【スペシャル時代劇】十三人の刺客 島田新左衛門(中村芝翫)は、暴君・松平斉継を暗殺することに。しかし斉継を守るのは…

2020年12月9日

出典:EPGの番組情報

【スペシャル時代劇】十三人の刺客[字]

島田新左衛門(中村芝翫)は、暴君・松平斉継を暗殺することに。しかし斉継を守るのは無二の親友・鬼頭半兵衛(高橋克典)だった。二人の武士の意地をかけた戦いが始まる。

詳細情報
番組内容
老中・土井大炊頭(里見浩太朗)は、将軍の弟であり、暴君として知られる松平斉継(渡辺大)の暗殺を御目付役・島田新左衛門(中村芝翫)に命じた。新左衛門は天下万民のため、信頼できる強者たちを集める。一方、新左衛門の無二の親友・鬼頭半兵衛(高橋克典)はその時、斉継の側用人となっており、斉継暗殺を阻止しようと新左衛門の前に立ちはだかる。砦に改造された宿場町で、十三人の刺客たちと半兵衛たちの死闘が始まった。
出演者
【出演】中村芝翫,里見浩太朗,福士誠治,大島優子,渡辺大,神尾佑,岡本玲,片山萌美,飯田基祐,山口翔悟,中村福之助,鶴田忍,渡部豪太,勝野洋,西村まさ彦,石橋蓮司,高橋克典
原作・脚本
【原作】池宮彰一郎,【脚本】土橋章宏
監督・演出
【演出】金佑彦
音楽
【音楽】沢田完

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

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  11. 老中
  12. バカ
  13. 武士
  14. 覚悟
  15. 新左衛門
  16. 千世
  17. 島田新左衛門
  18. 藩士
  19. 牧野
  20. 万石

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<天保15年 10月。

江戸三大道場のうちの一つ
桃井道場では

門弟の中でも竜虎といわれる
島田新左衛門と

鬼頭半兵衛が戦っていた>

♬~

だ~っ!

てや~!
(師範代)それまで!

くっそ~ 相打ちか。

見事な手並みだ。
お主もな。

おおっ よく焼けとるな。

あ~あ こら いかんな。
よいしょ。

よし。
ほら これでいいか。 お~ すまんすまん。

ここか ハハッ よしよし…。
じゃあな それをもらおう オホホッ。

お~ ホホッ こりゃいいぞ。
いい具合だ。

うっ…!

おい 半兵衛 大事ないか?

水…。
おうおう 水か。 よしよし。

ハハハハハハッ
相変わらず せっかちなやつだ。

うん… のんびり食うていては
餅がかたくなる。

それより 次の勝負は いつだ。
今度こそ勝つぞ。

いや… これで終わりだ。

何?

そろそろ
剣を置こうかと思ってる。

どういうことだ。

娘も ようやく嫁いだ。

あとは 孫の相手でも
してやろうかと思ってな。

バカな!
お主ほどの者がやめるというのか!

ああ。 来年からは
楽な お勤めとなる。

おい 待て。 お主との勝負は
わしが一番 勝ち越していたはずだ。

そのままにしておいて よいのか!

お主のような好敵手がいて よかった。

新左衛門。
俺はな 1, 000石の仕官が決まったぞ。

明石松平家の側用人だ。

そうか! それは めでたい!
ああ 半兵衛 よかったな。

お主というやつは…
欲というものがないのか!

いや 将棋の方では 二番
まだ わしの方が勝ち越してる。

そちらの方は いつでも相手になるぞ。

(笑い声)

父上 お帰りですか。

あき 何をしておる。 フフフッ。

明神様へお参りついでに寄ったのです。

どうせ お一人では
身の回りのこともできないでしょう?

毎日毎日 余計なことを。

父上の頭は
お勤めのことばかりですから。

御目付はな
ご公儀をお守りするのが勤めだ。

寝食を忘れ 励まねばならぬ。

幼き頃から何度も何度も聞かされ
よく存じております。

それゆえ 母上も私も 父上のおられぬ家で
眠ることが多うございました。

あき…。

今少し
父上のお世話をさせてくださいませ。

苦労をかけたな。

多江にも… お前にも。

そのお言葉を聞けば
母上も きっと喜ばれると思います。

春には 目付の役も解かれよう。

ようやく ゆるりとできるのう。

はい。

ハハハハハハッ。

<半年後 弘化2年 3月>

<明石藩 江戸家老 間宮図書が

老中 土井大炊頭利位の屋敷門前で
切腹した。

それは 藩主 松平左兵衛督斉継の
非道を訴えてのものであった>

<間宮図書切腹の5日後 新左衛門は 老中 土井大炊頭に呼び出された>

島田新左衛門 参上いたしました。

急に すまんの。

いえ。

早速だが
先日 明石藩の江戸家老が

我が屋敷の門前で腹を切ったこと
知っておろう。

はっ。 事の起こりは
斉継様のことと聞いております。

さよう。

お主…

斉継様のことを どう思う。

恐れながら… 由緒ある明石松平家には
到底ふさわしくないお方と。

我らも評定を重ねてまいったのだがな…。

斉継様の
生まれつき無類の好色と残虐。

皆 ご存じであろう。

その上 年貢を八公二民に上げ

少しでも不平を言った者は
皆 死罪とした。

明石藩においては
百姓一揆が頻発しておる。

しかし 上様からは 穏便に計らうようとの
ご沙汰であったが。

致し方ない。
お腹違いとは申せ 上様の弟君よ。

お待ちくだされ。

斉継様を明石松平のご養子としたことは
我らの過ち。

それゆえ 間宮図書は

我が屋敷の門前で腹をかっさばいて
しかるべき処置を迫ったのでござるぞ。

しかしのう…。

斉継様御身が大切か
間宮図書めが命が大切かといえば…。

上様おぼし召しをもって
尊しとなすのが天下のご政道よ。

(土井)<長評定の末 おとがめなしと相成った…>

存じております。
ならんのだ!

あたら真摯な武士の一命を
無駄にしてなるものか。

なんとかせねばならぬ。

新左。

そうは思わぬか。

ご老中 まさか… 斉継様を。

考えに考え抜いた末のことだ。

旗本八万騎 あまたあるといえど

この大事を託されるは お主しかおらぬ。

明年 斉継様は
ご老中に ご就任と内定しておられる。

斉継様に 天下の采配を任せられると!?

どうだ 新左。

天下万民のために 引き受けてくれぬか。

もうすぐ斉継様は
参勤交代で江戸を離れる。

明石に入ってからでは 手が出せぬのだ。

新左 急ぎ返事を聞かせてくれ。

はっ…。

♬~

長らくの御目付役お勤め

ご苦労さまでございました。

祝いなど よいと言ったではないか。

母上が生きていれば
きっと こうしたはずです。

あき…。

それに…
お話ししたいこともあるのです。

何だ。

私 ややが出来ました。

そうか! よかったな。

名前を付けてくださいますか 父上。

ああ よいとも。
こうなれば 努めて養生いたせ。

決して むちゃをするではないぞ。

はい。 父上 おなかの子を
ずっと見守っていただけますか。

もちろんだ。

(笑い声)

♬~

土井様。

昨日のお話ですが やはり…。

待て 新左。

今日はの 明石松平家と事を構えた侍が
尾張から参っているのだ。

話だけでも聞いてやってくれぬか。

牧野 これへ。
≪(牧野)はっ。

尾張家木曾本陣詰

牧野靱負にございます。

御目付役 島田新左衛門にございます。

牧野。

はっ。

(牧野)<昨年4月のことにございます。

松平斉継様は

江戸参府の途上 尾張領 木曾上松にて
ご一泊遊ばされました。

上様の弟君に粗相のなきよう

家中の者たちは 妻や娘も加えて
接待にまかり越しました>

(牧野)采女。
(采女)あっ

これは 父上。 何か?

ご覧に供された絵巻物は
もうお下げしたか。

気が付きませんでした。 早速。

待て。

千世に申しつけろ。
これは心がきいておる。

はっ。 おい 千世。

はい。

(牧野)<千世は 半年前に 采女に迎えた嫁でございました>

(斉継)ハハハハハハハッ
ハ~ハハハハハッ。

うん?

その方 いずれの者じゃ。

はい 尾張陣屋勤め
牧尾采女の家の者にございます。

ほう。 木曾の山中に置くには
惜しい器量じゃの。

フフフフ ハハハハ…。
さあ 来い!

あ… お戯れを。
来い!

ええい 来い! お離しくださりませ!
いいから 来い。

お許しを!
さあ 来い。

千世!

♬~

千世…。

千世…。
何やつじゃ。 ああ… 千世…。

あっ…。

無礼者。
うっ!

あなた! あなた~!

あなた~!
うるさいのう。

うっ…。

山猿の血で汚れたわ。

(牧野)<私は 一夜にして せがれも嫁も失いました…>

むごい…。

それだけではありません。

千世の腹には… 赤子が…。

孫まで死なせ
この後 生きるかいもなく…。

無駄な命を生き長らえておりまする。

年寄りの愚痴とお笑いくだされ。

手前には…。

過ぎたせがれ

過ぎた嫁にございました。

(すすり泣き)

新左衛門 これで あのお方の人となり
よう分かったであろう。

この太平の世に

兵法と義を知り 斉継様を倒せる
まことの武士は お主しかおらぬ。

新左。

頼む!

ご老中。

やってくれるか。

これが 最後のお勤めとなりましょう。

♬~

<一方 明石藩邸では

切腹した家老 間宮図書の遺族が
引き出されていた>

武士の忠義とは
あるじに尽くすことではないか。

間宮め それをないがしろにしおって。

お許しください!

子供の命ばかりは!

ほう。 助けたいと申すか。

何とぞ お慈悲を…。

ならば…。

これで女どもを斬れ。

そんな…。

(泣き声)

(丹羽)鬼頭氏!
(大野)半兵衛殿!

役に立たん方々だ!

間宮の家の者に手をかけるなと
あれほど申したではないか!

それは…。
浅川殿。

殿の仰せだ。 致し方あるまい。

殿は いずこだ。

それは…。
≪(悲鳴)

どうした。 嫁は 斬れぬか。

お待ちください!

うっ…。

(泣き声)

どうか…

どうか…! 竹之助だけは…。

ああっ! ぐっ…。

(泣き声)

殿… お お約束が!

えいやっ。
ああっ!

殿~!

お~ 半兵衛。 フフフッ。

いや~ 斬りごたえがないのう。

恐れながら 殿。
うん?

土井様より 間宮が身寄りの者に

ご配慮願いたしとのお言葉が
ござりました。

土井ごときが。
余を誰だと思うておる。
しかし…。

おのれ 斉継…。

許さぬ!

無礼者。

殿~!

フハハハハッ ハハハハッ!
ハ~ハッハッハッハッ…!

よいか 今日のことは家中の者の口を塞ぎ
外に漏れぬようにせよ。

しかし とがめもなく
落着いたしましたからには もはや…。

いや 少しは叱責があった方がよかった。

これでは あまりに松平家にとって
都合がよすぎる。

それは 格別のお計らいにて…。

ならば 門前で間宮に腹を切られた
土井大炊頭の面目はどうなるのだ!

鬼頭殿の取り越し苦労であろう。
殿は 上様の弟君でござるぞ。

いや 誰か人をやって
土井様のお屋敷に行かせろ。

門番小者に金をやり

屋敷に招かれた者の名を調べるのだ。
はっ。

お前とは 縁を切ることにした。

なぜでございます?
好きな女ができたのだ。

そのお年で色恋沙汰を…。
何が悪い!

これまで 勤めばかりにかまけ
生きる楽しみを忘れていた。

でも 母上のことは…。

言うな。 もう何年になる。

でも父上 おっしゃったではありませぬか。

この子を ずっと見守っていただけると。

忘れた。
父上 お願いです。

この子の名付けすら まだ…。

去れ! 何度も言わせるな!

そんなに…

そんなに その女が大事なのですか?

私より 母上より 生まれてくる子供よりも
大事なのですか!

ああ。

見損ないました。

言われなくても
二度と参りません!

♬~

多江…。

すまぬ。

(出口)鬼頭殿!
うむ。

出入りは これに。
待ちかねておった。 見せい!

甲府御勤番支配 戸田下総守… 違う。
永井信濃守… 違う。

違う! これも違う!

尾張藩士 牧野靱負…。

尾張藩 牧野靱負といえば
木曾上松の…。 うむ…。

御目付 島田新左衛門!

新左と会ったのか!
ご存じの者ですか?

知ってるも何も 竹馬の友だ。

その男 できまするか。

天下の大事を託すに 最もふさわしい男だ。

土井大炊頭が あの男を選んだのなら

当家は
最も悪いくじを引き当てたことになる。

いつもながら見事なものだ。

いえ。 いまだ お恥ずかしいかぎりです。

どうだ。

久しぶりに手合わせするか。

大事の前 お慎みなされたが
よいと思いますが。 大事?

桃井道場でお会いしてから 長年
食客としてお抱えいただきましたのは

いつか 身を捨てて報ゆる時が来ると
思っていたからでございます。

(倉永)新左衛門殿。

おおっ よく来てくれた 2人とも。

当然のことでございます。

お久しゅうございます。

平山殿も息災か。

はい。 では。

相変わらずだな。

本当によいのか。
命を懸けることだと話したはずだが。

武士たるもの
大義と命 どちらを守るかと言われれば

命を捨てるは当然のこと。

罪なき民をあまた殺した大名など
捨て置けませぬ。

何より 島田様が動かれるなら
ついていくのみ。

すまぬ。

水くさいことを申されますな。

ほかにも これはと思う者を
急ぎ探し集めております。

ほう。 腕の立つ者 口の堅い者
それに 身寄りの少ない者。

うむ。

御徒目付 大竹茂助と

石塚利平 日置八十吉でござる。

御小人目付 樋口源内
同じく堀井彌八にござる。

これだけか…。

おるように見えて
おらぬものですな。

御徒目付 68名
御小人目付 103名を見回してみても

役立ちそうなのは これだけ…。

集まってもらったのは ほかでもないが
時がないので包まずに言おう。

ご老中 土井大炊頭様の ご内意により

明石藩主 松平斉継様を
討つことと相成った。

お待ちください 斉継様といえば
上様の弟君…。

なぜ 我らが…。

しくじったら どうするのです。

しくじれば… お家は断絶となろう。
そんな…。

せめて 密命ではなく
表立った御下命であれば…。

斉継様のご評判は
確かに存じてはおりますが…。

斉継様は 来年 老中となる。

上様の弟君が老中となって
悪政を行うようなことになれば

国が乱れることは必定。

武士は本来 民を守るものだ。

それが 民を痛めつけるような行いをして
許されると思うか。

武士が武士であるために
貴殿らの命 預けてくれ。

無理にとは言わぬ。

≪(平山)御免。

拙者は 島田家食客 平山九十郎。

弟子の小倉庄次郎にござる。

急に何だ? お主ら。
この大事な時に。

その大事におびえておられるのは
どちらか。

何!
お主 無礼であろう!

その方ら 見ぬ顔だな。 御家人か?

浪人でござる。

先生と私を
企てのお仲間に加えていただきたい。

浪人が加わるだと?

浪人だが いつまでも まごついている
あなたたちに

バカにされる覚えはない!

何だと…!
待て。

浪人とて 侍。

お主らの技量なら
きっと力になってくれよう。

では 血判を。

この一大事 浪人に任せておけるか!
ならば わしもだ!

拙者もだ。
私も。

よし。

皆 頼むぞ。

(一同)はっ。

では 拙者 これにて…。

何やつだ?

島田新左衛門の屋敷から出てきたな。

何のための談合だ?

それを なぜ?

明石侍か?

我らを明石侍と見るからには
何か陰謀を巡らせておるな。

命惜しくば 言え。 言わねば 斬るぞ。

≪聞かぬが身のためだろう。

(仙田)おのれも一味か!
何者だ!

上州浪人 平山九十郎。

ていや~!

ああ~!
うわっ!

♬~

これは どうしたことだ?
(鈴木)島田新左衛門の屋敷に行った

出口と仙田が斬られました。

一太刀だ。

やはり 新左は 手だれを集めたか。

浅川殿。 このようなあからさまな動きは
慎んでもらわねば 困る!

しかし…。

これで 新左のねらいは 明らかだ。

(平山)拙者の友人で
武州浪人 佐原平蔵めにござります。

佐原でござる。
(平山)佐原氏は

即金で2百両もらえるなら
お企てに加担してよいと言うのです。

2百両? 一体 そこもとは 何を考えて…。

いや…
誤解のないように 申し上げておく。

お企てに気乗りしたことは
金とは関わり合いがない。

だが 手前は 縁もゆかりもない浪人。

まるきり ただという法も
なかろうかと思うが…。

その金 何に使われる?

さよう… 長年 積もりに積もった借金と
身寄り 知り人を喜ばせるのに120両。

30両は 苦労をかけた女房の墓。

我が身の支度に 20両。

残り30両は 死ぬまでに生涯なかった
ぜいたくをするつもりです。

ヘヘヘヘヘヘ…。

面白い。
新左衛門殿 この性根が2百両とは

買い物でござろう。

佐原氏 これへ。
はっ。

さあ。
頂戴しましょう。

うめえ!
ハハハハハ…。

さあ。

ハハハハハハ…。

<新左衛門の企てを恐れた鬼頭半兵衛は

明石藩の参勤交代の出立を急がせた>

鬼頭殿。
何だ?

支度の間に合わぬ者どもが
立ち騒いでおります。

突然 いかがなされた?
うち捨てていけ。

新左が我らを狙うからには
相当の人数を集めるに相違ない。

その前に 出立する。

本当に来るのですか?

来る。

しかし 必ず防いでみせる。

侍の一分に懸けてもだ。

ありがとうございました。

まあ 島田のお殿様。

おう 小えん。 変わりはないか?
はい。

新六郎は 達者にしておるか?

ただいま! 新さん!
新さん いるんでしょうね?

新さんの干物になりかかったのなら
一匹いるぞ。

まあ… 何を嫌み言ってるんですよ。

夜遊びするには 銭は なし。
一杯飲むにも 酒は なしだ。

だらしない格好して。

島田のお殿様が来られましたよ。

何? おじ御が?

新六郎 どう思う?

そいつは 大変なことですなあ。

一緒に来ぬか?
侍として なさねばならぬ 勤めだ。

力を貸さぬとは言いませぬが
命までは 御免被ります。

そうか…。

小えんのやつが
侍じゃなく俺という人間に

ほれ込んでいてくれましてね。

となると 習い覚えた剣の道も
とんとご無沙汰で。

無駄とは思うたのだが…。

はあ…
俺は 人並み外れた極道者ですから。

貸してみろ。

お見事。 ハハ
おじ御 こんなこともできるんですか?

お前ぐらいの年だ
わしも侍の家が嫌いでな。

放とう三昧をしたことがある。

だが そのあげくが これよ。

それは?

帯刀もせずに 女に斬りつけられてな。

なんとか受け止めたが…。

その時 気付いた。
わしは 逃げていたのだ。

武士としての本分と向き合うことから。

放とうに生きがいを見いだすのも よい。

だが 放とう三昧で生きることが
侍として死ぬことより

楽だなどと思うな。

さらばだ。

♬~

[ 回想 ] 放とう三昧で生きることが
侍として死ぬことより

楽だなどと思うな。

どうしたんです? 一体。

しばらく留守にする。

一度
思いっきり真剣になってみたくなった。

新さん。

いつ 帰ってきてくださるんです?

早けりゃ ひとつき足らずだろう。

遅けりゃ 次の盆に帰ってくる。

迎え火たいて 待っててくれ。

新さん…。

新さん!

新さん 待って!

新さん!

新さん…。

<翌早朝 明石10万石 松平斉継は

江戸藩邸を出立した>

斉継様がご帰国され
明石領内に入られては

我らは よそ者。 到底そばへ近づけぬ。

よって 中仙道で討つしかない。

行列の数は 200ほどになろうが
狙いは ここ

碓氷峠。

ここは 崖に挟まれた あいろだ。

行列も間延びし 警護も手薄になろう。

桶狭間の奇襲ですな。

時が不足なら 人も不足。

まさに 難中の難だ。

この太平の世に
命を懸けて合戦をした侍などおらぬ。

人が命と命をぶつけ合って戦う時

どのようなことが起こるか
誰にも想像がつかん。

命を惜しんだ者が負ける。

新左!

新左! 新左は おらぬか!

半兵衛か。
邪魔をしたようだな。

いや 構わぬ。 もう済んだところだ。

♬~

お主 わしを斬りに来たな?

フッ。

フフフフフフ…。

ハハハハハハ…。

いや これから明石に帰るゆえ
急ぎの挨拶よ。

お主とは どうも悪い巡り合わせだな。

お主が御書院番になり

わしが ようやく同役となったら
次は 御目付だ。

禄はといえば 100石違い。

その100石が どうしても追いつけぬ。

お声がかかったを幸い

明石藩側用人として
1, 000石取りとなったが

その1, 000石が
このような目となってしまった。

所詮
お主とは こういう巡り合わせらしい。

いかようなことがあろうとも

侍として 潔くいたしたいものだ。

侍として 潔くか…。

その言葉 はなむけに
うれしく もろうていくぞ。

さらばだ。

また会おう。

きっとな。

♬~

<高崎宿を出た斉継一行は

碓氷峠に さしかかっていた>

♬~

参りましたぞ。 行列が。

(三橋)いた。 あれだ。

おい 待て!

かごが もう一丁ある。
(平山)一丁は 影武者だろう。

どっちをやる? 前か? 後ろか?

やりおるのう 半兵衛。
さすがは 知恵者だ。

かごの虚実も侍数の伏せようも鮮やか。
どうやら こちらの負けだな。

バカな。 これまで来て おめおめと。

(樋口)やるなら お供しますぞ。

死中に活を求める。 武士の本懐です。

そいつが間違いのもとさ。

何故だ?
そうです 何故です?

あちらも人間なら こちらも人間。
勝つ時もあれば 負ける時もある。

負けとみたら なるべくケガのないうちに
逃げ出すことだ。

新左衛門殿 いかがいたします?

新六郎の言うとおり ひとまず引く。

我らの勝負は 一度きり。

絶対に 失敗は 許されんのだ。

本当に あそこに いたのでしょうか?

やるなら まず あそこだ。

だが かごの仕掛けを見て
手を引いたのかもしれん。

待て。
どうした?

何か来る。

でや!

♬~

明石の手の者か!

数は せいぜい20! 一人も帰すな!
心得申した!

♬~

刺客が あそこにいるとすれば

討っ手を
送るべきだったのではありませんか?

もう わしが送ったわ。
何!

あの地形で 相手を討つには
3倍の人数が要る。 犬死にだぞ!

バカな。
新左と渡り合えるのは 俺だけだ。

だあ!

鬼頭半兵衛 さすがに手強い。

いや… 半兵衛にしては 詰めが甘すぎる。

あやつは やると決めたら
全てをつぎ込んでくる。

(倉永)もはや あいろは ないのか?

あったとしても かごが2丁では
的を絞れません。

焦るな。 行列の数を減らし

斉継様のかごを突き止める策を
考えるのだ。

大竹氏 それは 愚策であろう。
何!? 愚策とは 何だ! 愚策とは。

愚かしいから 愚かしい考えと
言うたまでだ。 ええ? 不服あるか?

おう やれやれ!
お主も 少しは考えたら どうだ?

わしは
腕を貸す分だけしかもろうておらぬ。

これだから 浪人は。
覚悟がないというのだ!

よく食うな。
腹が減っては戦はできぬ。

確かに。
それは 何だ?

俺は 30俵2人扶持だからな。
貧しくて 日々内職ばかりよ。

竹を見ると もう手が勝手に動く。
おお 分かるぞ! 俺の内職は 傘張りだ。

おお そうか! お主も やらんか?
いや やめておこう。

どちらが浪人か 分からぬな。

お主らも金をもらえばよかったのだ。

ふざけるな! 我らは 金のためではない!
そうだ。 我らは お主とは違うのだ。

そうだ!
気の毒にな…。

おっ 何だ? お主 その言い方は!
謝らんか!

(佐原)すまん。
先生 あの男 役に立つのですか?

まあ 見ておれ。

<斉継一行は 信濃路へと入った>

入るぞ。

待たせたな。

倉永 絵図面を。
はっ。

明石 松平斉継様を討つは ここと定めた。

美濃国 落合宿だ。

(石塚)
宿場で 警護は 薄くなりましょうか?

それに かごが2丁のままでは
的を絞れぬのでは。

いかにも。 それゆえ
まずは 木曾上松御陣屋詰の

牧野靱負殿にお力添えを頼む。

牧野殿というと… あの?

そうだ。

この木曾上松で 昨年
せがれ夫婦を非業に死なせたお方だ。

そこで 牧野氏に 事の子細を打ち明け

尾張大納言様のお名を借り

斉継様 ご領内ご通行を止めていただく。

すると どうなりましょうか?

尾張木曾領国境で御行列は
立往生となる。

強情 気ままな斉継様が
むざむざ引き返しもならず

尾張領のみを避ける手を考えよう。

御行列の諸道具は
明石藩荷物として尾張領を通し

ご自身は
侍のみを連れ ひそかに宮ノ越へ戻り

伊那街道へ出る。

なるほど。
まずは 行列の数を減らすわけですな。

そのとおりだ。
すると 斉継様一行は

飯田から三州街道を岡崎へ抜け

行列荷物と合流する。

それが そうはいかぬのだ。

尾張領木曾と尾張本領の間に

美濃苗木藩1万2, 000石が
挟まれていることを見落としておる。

ここまで沿道の諸藩に
挨拶を済ませてきたものを

尾張藩に道を塞がれ

苗木藩を抜いて逃げ走ったとあっては
天下の物笑い。

苗木藩に挨拶をするなら
通らねばならぬのは

落合宿だ。

その落合宿に袋小路の備えを作り

敵の来るのを待つ。 いかがか?

しかし 斉継様が世間体を恥じず

そのまま伊那街道を下られたら
どうなさります?

確かにな。 苗木領を通らぬ場合もある。

これは 賭けだ。

この人数にて 斉継様一行を討つには

いかように仕組んでも
最後は 賭けるよりほかはない。

最後の一点に賭け 天命を待つ。

その覚悟をなくして
大事は 成し遂げられぬ。

分かりました。

それをお聞きいたして 覚悟
新たになったような心地がいたします。

どうだ? おのおの。

よし ならば わしは 牧野殿のもとへ行く。

事ならぬ時は 差し違えてでも
必ず 御行列差し止めてご覧に入れる。

お先に御免。

新六郎。
はっ。

当の落合宿だ。 お主は 先行して
名主を通じ 話をつけてくれぬか?

ご公儀からの正式な沙汰もなく
言うことを聞くでしょうか?

できる。
いかように?

ご公儀よりも 人が恐れ入るものがある。

<一方 斉継一行は 木曾路に向かっていた>

<新左衛門たちに先んじて 新六郎が落合宿へと着いた>

おい 名主の三州屋というのは どこだ?

この先を左に曲がった奥の店だ。

そうか。

かような所ゆえ
粗末な座敷で恐れ入りますが。

加代 奥は 片づいたろうな?

はい。 片づきました。

ささ。
造作をかける。

して どのようなご用件で?

ご覧のように この宿場は 極めて小さく

あまり ご公儀のお役に立てるとも
思えませんが…。

この宿場を大幅に作り替える。
ある方の行列を迎えるためにな。

そんな!
急に言われましても無理でございますよ。

ご老中様のお書きつけでも
ございますか?

さようなものは ない。
え~! それでは とても…。

代わりに この宿場全てを買い取ろう。

はあ? 買い取る?

全てを買い取ると言っておるのだ。
家も蔵も何もかもだ。

ご冗談を。 落合宿には
50軒もの家があるのでございますぞ。

一軒あたり百両で どうだ?

えっ! ひゃ ひゃ… 百両!?

不服か?

とんでもない。
百両となれば 皆 大喜びでございます。

是非 是非! ああ…。

頼むぞ。
ありがとうございます。

<そのころ 斉継一行は

木曾上松の尾張国境に さしかかっていた>

鬼頭殿!
何事だ!

一大事でござる! 尾張家が
領内通行お断りを触れ出しておりますぞ。

何!?

はっ!

(牧野)「松平左兵衛督様

當尾張藩領内御通行

御断り申すべく候事」。

「弘化二年 五月 尾張藩
木曾上松陣屋」。

う~ん… 尾張領内を通行させぬとは…。
なんたることだ!

何事だ! どけ!

おのれら… かようなものを
ただ手をこまねいて見てるつもりか!

殿!
この しれ者が!

あっ 殿!

大納言が 御三家の一なら
この斉継は 将軍家慶の弟ぞ!

かような高札一枚に 頭など下げぬ!

構わぬ 渡れ!

見事 この国境を押し通って

尾張61万石に ほえ面かかせてやれ!
渡らぬか!

殿 お怒りは
ごもっともではござりまするが…。

おのれらが渡らぬというのなら
余が一人でも渡ってみせるわ!

殿!
待て… 見ておれ。

何故…。

ここは 何としてでも通り抜けたい所だ。

いつもながらの殿の横車が
ここで通るか通らぬか

とくと見極めるのだ。
鬼頭氏…。

万一のことあらば この半兵衛
殿に代わって死ぬ覚悟!

侍の一分に懸けてのことだ。
無用の止めだてはさせぬぞ!

♬~

何やつじゃ! 名を名乗れ。

命が惜しくば のけ!
斬って捨てるぞ!

ご存分に。
何?

お見忘れかと存ずるが

昨年4月 木曾上松本陣にて

お手にかかりし尾張藩士

牧野采女夫婦が父

牧野靱負にござる。

見事斬って お通りめさるか。

尾張61万石の名に懸けて この道

きっと おとどめ申す!

くっ… こしゃくな…!

(藩士たち)はっ!

殿!

半兵衛か。

この場は ひとまず あれへ。

殿!

ええい!

♬~

ううっ!

尾張侯が差し止めたは 殿お一人。

よって 行列は ここで解き
諸道具は 明石藩荷物として通す。

小泉殿 宰領をお願い申す。
心得た。

鬼頭氏
くれぐれも殿をお願い申すぞ。

うむ。

我らは 伊那街道から三州街道を抜け
岡崎へと向かう。

こちらに残された人数は 何名だ?

さよう… 殿をはじめ 48名でございます。

時に浅川
先ほど お主に相談した件だが…。

苗木領には入らぬとのお話ですか。
そうだ。

尾張勢に道を遮られたばかりか

道中の諸家に礼を欠いて
逃げ帰ったとあれば 天下の物笑い…!

物笑いを避けるが大事か

それとも 殿のお命
ひいては明石10万石が大事か

それが聞きたいのだ。

笑おうが笑うまいが
たかだか一年のご辛抱。

明年 ご老中に就任されれば 天下の誰にも
指一本ささせぬ御身となる!

ここで一度…
ただの一度の挨拶のために

命と10万石を懸けねばならぬ道理が
どこにある!

(斉継)その方!

あるじを笑い者にいたしても
命を惜しむというのか。

侍とは 世の物笑いから逃れるために
死を選ぶと聞いたが…。

どうじゃ 半兵衛!

恐れながら 今は非常の時。

非常の策がのうては かないませぬ。

黙れ!
明石10万石 その10万石の家臣が

たかの知れたる痩せ旗本に
恐れおののくとは なんたることだ~!

恥を知れ! 恥を~!

よいか! いかようなことがあろうとも

沿道諸藩 必ず挨拶して参る!

このこと きっと申し渡すぞ!
(一同)はっ!

お前たちも参るのだ。
はっ!

これは新左の策か…。

だが わしにも まだ策がある!

(いななき)

新左衛門殿。
ご苦労をかけた。

なんの。
それより新左衛門殿 お喜びめされ。

牧野殿が働きにて
明石の御行列 差し止めましたぞ!

斉継様は手勢のみ引き連れて
伊那へ お回りなされました。

もくろみが的中しましたな。

で 牧野靱負殿は いかがいたした?

それがな

御行列を止めたあとは
その場を去らず

腹 真一文字に かっさばいて

相果て申しました。

あとに一片の書き置きすら
残さなかった由にございます。

我らに…
迷惑を及ぼさぬ心遣いであろう。

あとは 斉継様が
どちらの道を行くかですな。

<2日後 新左衛門たちは 落合宿へ たどりついた>

おじ御! どうぞ。

新六郎 ご苦労であった。

万事 お申しつけどおり
取り運んでおります。

こちらは 当宿の名主で…。

三州屋徳兵衛にございまする。

どうか お任せくださいませ。

さあ こちらへ。

まずは この宿場へ誘い込まねばならぬ。

こちらへ。

♬~

ここで何ができるか。

こちらへ。

この三州屋の路地奥が
街道への裏道となっております。

どうぞ。

♬~

この道は 苗木藩への街道へ
つながっておるのですな?

ええ。
きやつらが この街道に出たら

お味方の負けでしょう。

道は一本筋
逃げるも追うも 多勢に無勢…。

それだ。
それゆえ この何の変哲もない宿場を

いかに必殺の場と転じるかだ。

斉継様一行を 街道に進ませてはならぬ。

ここに柵を築いて 宿場の中へ誘い込む。
宿場を とりでとするんだ。

そして 徐々に敵の数を減らし

斉継様を 奥へ奥へと誘い込む。

まずは 一の路地から

二の路地に 斉継様一行を誘い込むのだ。

更に 三の路地から

四の路地へ。

次に 三州屋の前から

街道につながる裏木戸に追い込み

最後に 三州屋の味噌蔵へと押し込むのだ。

うまくゆきましょうか…。

日置。
お主は 小心で どうもいかんな。

しかし…。
日置は 用心深いのです。

♬~

≪んっ!
(平山)何者だ!

(樋口)明石の手の者か!

≪いてててて…!

いった! あっ…。
お前は何者だ?

お前は何者だ?
それは こちらの言うことだ!

あ痛たたたたたた!

小弥太!
お加代は? お加代は どこへやった!?

何を申しておる。

小弥太さん!
お加代ちゃん 無事だったか!

こいつらは?
江戸のお旗本よ。

バカ! それは内密のことだ。

どうも とんだものが
お目に留まりました。

妙な男が紛れ込んできたな!
相すみません…。

とにかく
しばらく おとなしくしてもらおう。

いたたたた…!

大丈夫? 小弥太さん。
お加代ちゃん。

バカ 夜ばいに来たって駄目よ。

おとっつぁんが許してくれるわけないわ。
ん~!

あっつ!

俺が お加代ちゃんのことで
望みをかけてるのは

名主様は町人 俺は郷士だってことだ。

それを あいつら
郷士をバカにしやがって…!

(加代)違う 違うの。

お侍様たちは
すごく大変なことをしに来てるから。

すごく大変なこと? 何だそりゃ。

誰にも言うなって言われたんだけどね…。

ご老中様の お指図で
あるお大名を斬りに来たんだとか!

悪い人なんだって!
そこまでだ!

<佐原は 斉継一行の居所を探るため

物見に出ていた>

消えた?

方々 物見に参ったのですが

斉継様ご一行は 伊那街道 駒ヶ根までは
通っております。

それからあとは
街道筋から消えております。

まさか…
江戸へ引き返したのではありますまいな。

(倉永)
いや そのようなことはあるまい。

むしろ 間道伝いに飯田を通らず

三州街道へ抜けてしまうことが心配だ。

苗木領を通らずにですか…。
うむ。

はあ…
せっかく物見を仰せつかったのに

ふがいない始末ですが… 御免。

いかがいたします?
いま一度 人を変え 物見に出されては。

そう せくな。
土地不案内の者が下手に動き回っては

かえって 相手に悟られる。

さすがは鬼頭半兵衛よ。

おじ御。
どうした 新六郎。

どうも困ったことになりました。

お主 大事に加担したいと申すのか?

はい!

これでも 郷士の端くれのようで
名前は木賀小弥太。

親兄弟もいない 独り身だと…。

困ったものだ。

大事を うかがうのみか
仲間に加えろなどとは

身の程知らずの あきれたやつ…。

で 出世が望みか?

望みは この三州屋の娘のようで。

命懸けで ほれ合っておるのに

親の名主殿が
さっぱり見向きもしてくれん。

ここで大事に加わり
勇ましいところを見せれば

望みが遂げられるのではないかと。

バカなやつです。

娘も男も バカ者だが…。

ただ 口を塞ぐだけで
斬らねばならんとなると…。

いいだろう。
何かの足しになるかもしれん。

これで…

13人になったな。

早くしてくれ
これでは間に合わんぞ! はい!

おい なるべく急いでくれ!
へえ!

徳兵衛殿
これでは支度が間に合いません。

小倉様 そうおっしゃられても…。
人手を増やすことは かなわんのですか?

(徳兵衛)そう言われましても…。
(小倉)しかし それでは間に合わんぞ。

石塚 それが役に立つのか?

さてな。
島田様に頼まれたのだが

一体 何に使うことやら…。

どうして 私が 傘張りなんか
しなくちゃいけないんですか!?

まあまあ そう怒るな。

<落合宿に着いて はや5日が過ぎたが 斉継一行は現れなかった>

♬~

さあ みんな 一息入れておくれ。

ほれ 次はこれだ。
厳重に もっと強く縛ろう。

縄は二重に。
(男性)下も縛れ 下も!

(樋口)早くしろ!

あれは…。

斉継様ご一行に
半兵衛めが ついておるゆえ

苗木領を通らぬおそれもあるが。

(倉永)我らの策どおり
伊那街道へは来ましたが

消息を絶ったのが不気味ですな。

ご一行が うわさにも上らず
道中することは 難中の難だ。

どこぞ 一か所にとどまって

こちらの出方を うかがっておるに
相違ない。

今は 息を潜めて
針に魚がかかることを待つことだ。

おのおの方 一大事でござる!

どうした?

日置の姿が見えません。
何!?

逃げたかな?
バカな!

まあ落ち着け。

そうであれば
備えを変えればよいことだ。

こうなれば 小弥太が来たのは
もっけの幸いでしたな。

よし! おい 小弥太。

お主の命をくれ。
えっ?

命をよこせ。
ええっ!? ちょ…。

(佐原)よこせ!

お主の命をよこせと言うとるのだ!

(鈴の音)

父上 どこへ行かれたのです…。

(土井)そこにいるのは あき殿かな?

(あき)ご老中様!
まあまあまあ 楽にしてくれ。

あの… ここで何を…?

あき殿 よく聞いてくれ。

全ては わしのせいじゃ。

新左衛門は 今の ご公儀のために…

いや この日の本の全ての民のために
命を懸けておる。

これは?

明石藩主 松平斉継様を
討ちに行った者たちの血判状じゃ。

父上は なぜ そのことを…。

打ち明ければ そなたにも害が及ぶ。

そう思って
新左は何も言えなかったのであろう。

父上…。

私が浅はかでございました…。

これを。

これは?

帰れぬ時にと 言づかった。

生まれてくる おなかの子の名前じゃ。

♬~

父上…。

新左衛門はの

そなたと 生まれてくる子のため

そして 天下安寧のために

戦いに行ったのだ。

はい…。

♬~

(足音)

島田様!
日置!

戻ってきたか!

(戸の開閉音)

あっ!
日置!

逃げたのではないのか?

逃げたわけではありません!

昨日 十曲峠の麓から

飯を炊く煙が上がるのを
目にしたのです。

風に消されぬうちにと 慌てて駆け下り…。

果たして やつらでした。

敵が動くまで ずっと張り付いていました。

もうすぐ ここへ来ますぞ!

でかした!
はい!

で 敵の人数は?

50名ほどにございます。

半兵衛め… ついに来おったか!

<弘化2年5月17日 卯の刻。

この日は 深い朝もやであった>

♬~

おのおの方 決戦でござる!

狙うは 斉継様ただ一人。

覚悟はよいか!

(一同)おう!

皆 持ち場へ!

待て!

御免!

何だ あれは!

しまった! 戻れ!

(一同)はっ!
戻れ~!

(一同)戻れ~!

しまった!

戻って あの高塀を突き破れ!
(一同)はっ!

戻れ! 戻れ!

はっ! はっ! はっ!

播州明石ご城主 松平左兵衛督
斉継様ご一行と お見受けつかまつる!

はばかりながら この場のご通行

弓矢にかけて お止め申す!

ついに来たか!

♬~

覚悟せい!

殿を守れ!
(一同)はっ!

あっ! (藩士)ぐあっ!
ああっ!

あっ! あっ! ああっ!

(藩士1)殿! 殿!
(藩士2)殿!

殿~!

やあ~!
ぐあっ!

ああっ!

(浅川)殿~! 殿を お守りしろ!

引け! 引け~!
引くな~! 押し破れ~!

(一同)おお~!
(藩士)引くな~!

引け! 引け!
殿!

(一同)おおっ!
引くな~!

おお…。

ああっ!
うっ!

敵は塞がれたと知って 道を引き返す。

その背を狙い撃て。

あらゆる道で 挟み撃ちとするのだ。

あっ!

道は一筋ぞ! あの塀 乗り越えろ!

(一同)おお~!

ええい 引くな 引くな!
ここさえ突き破れば通れるぞ!

うおっ! ああっ!

(一同)殿!
殿 こちらへ!

殿!
(藩士)こちらへ! さあ!

推参!

(刺す音)
(藩士)おおっ!

(藩士)ああっ!

殿! ここから抜けられます! 早く!

引け! この道から抜けるぞ!

待て! それは罠だ!

鬼頭氏! まずいぞ!

あっ!

来い!

どうした!
明石侍の死にざまを見せんか!

黙れ!

次!
こしゃくな…!

(一同)ああ~!

ああっ!

ああっ ああっ!
てやっ!

はあっ!

ああっ!
でや~!

いけ! いけ!
てや~!

ああっ!
でや~!

ぎゃ~っ!

殿!
(浅川)殿 あちらへ!

急げ~! こっちだ!

おっ!?

(喚声)

(2人)うっ!

(喚声)

ん~!

♬~

あ~!

殿は いずこだ?
あちらの方に…。

殿を守るのだ!
(一同)はっ!

♬~

おあ~!

.
こちらへ こちらへ!

♬~

うっ…!

うっ!

(縄を切る音)

からくりを用いて
敵の数を少しずつ減らし

退路を断て!

これは何だ?

ぐっ… ぐう~!

くっそ! くっ…!
これは 空城の計だ!

その傘のほとんどは 目くらましだ!
先に進んではならん!

うりゃあ~!

うっ!

伏兵か!

♬~

殿!
殿!

うりゃあ~!

うお~!

うりゃあ~!

あ~!
庄次郎!

はい。
わしの背後へ抜けた敵を斬れ!

♬~

うおっ!
ええい なんとかせい!

♬~

待て!

うっ! うっ…。

♬~

抜けたぞ~! 殿!

♬~

殿!
鬼頭氏!

てや~!
たあ~!

ええい このようなところで!

(佐々木)殿!
この道へ抜けられます!

よし その道へ行け!

♬~

(斬り合う音)

殿~!

半兵衛 なんとかせい!

かかる場所へ お連れしたのが
間違いのもと。

今しばらくの ご辛抱を…。

鬼頭様!
何うろたえておる!

明石10万石が
立つか立たぬかの瀬戸際ぞ!

死力を尽くして ぶつかっていけ!
おう!

(清田)また あいつらだ!
どうして ここに!?

敵を追い込んだ者は
裏を回って 再び前に立つ。

こうして
十の兵を二十にも三十にも見せる。

さすが新左 やりおる…。

ええい!

♬~

鬼頭殿 抜け道はあるのか?

なに… 手は打ってある。

たあ~!

今 四の路地で
倉永様たちが乱戦となっております。

半兵衛も一緒か?
はっ!

何分にも人手が足らぬ。

お主は 三橋と一緒に

急ぎ 倉永たちに加勢せよ。

半兵衛は 死に物狂いで
突破を図るに相違ない。

行け!
心得ました!

半兵衛め やりおったな。

よし!

(火が燃える音)

うわっ 木戸が燃えてる。

は~!
何者だ!?

お主 一味だな!

(叫び声)

(倉永 鬼頭)ん~!
鬼頭半兵衛だな!

(2人)ん~… ん~…!

いかにも!
くう~!

ぐわ~!

うっ…! うあ~… ぐっ…。

うりゃあ~!

うりゃあ~!

うあっ… うお~!

ん~!

ふっ…!
てや~!

道は見えた~!

あの煙の向こうが中仙道ぞ!
一斉にかかれ~!

(一同)お~!

♬~

倉永様~!

♬~

ひとまず こちらで。
うむ。

♬~

死ね~!
あ~!

大丈夫か?

早く火を消して 出口を塞げ!
はい!

(叫び声)

(斬り合う音)

(喚声)

ひるむな~! まだ 数では負けん!

煙に向かって進むのだ!
(一同)や~!

こざかしい…。

今だ! 進め~!
(一同)お~!

三橋様!

うっ! うあっ!

鬼頭様!

後ろの押さえに行け!
時を稼ぐのだ! はっ!

いや~っ!

街道への出口は もうすぐだ!
押し進め~!

日置! ここは わしらに任せて
街道への出口を守れ! 行け!

はい!

くそっ!

慌てるな 庄次郎!
戦ってるのは我々だけではない!

はい。
いや~っ!

♬~

のけ~! おのれ~!

うっ!

佐原殿!

行け!

庄次郎! 行くぞ!
しかし…。

行け!

無駄にするな!
てや~!

♬~

(浅川)と と… 殿!

(喚声)

(喚声)

(喚声)

(柵が壊れる音)

道が抜けたぞ~!

(喚声)

殿 お早く!

どうなされました?

殿…。

誰じゃ お前は。

お許しください。
子供の命ばかりは…。

いやっ!

う~っ!

おのれ 斉継…。

許さぬ!

下がれ! 下郎!
ああっ!

な なぜ…。

(喚声)

(清田)殿!

殿!

(喚声)

いた!

(小倉)ここまで来て 逃すか!
うりゃあ~!

鬼頭様は
きっと やつらを倒しましょう。

それまで ここに お隠れを…。
隠れるだと!?

なぜ わしが かようなまねを!
御免!

さあ お早く!

うりゃあ~!
う~っ!

(喚声)

くそ~っ!

先生…。

くあ~!

うう~…!

先生… 先生!

お前は生きろ…。

生きろよ…。

先生…。

先生!

(喚声)

おい 殿は どこだ!?

殿は あの路地に逃げられました!

しまった! 袋のねずみだ!

いや~っ!

うりゃあ~!

いや~っ!

うっ! おああ~!

うあ~!

(喚声)

殿…。

明石ご城主 松平斉継様と
お見受けいたす。

その方は?

公儀直参 島田新左衛門。

ご老中ご内意により
お命 頂戴つかまつる。

下がれ 下郎!
おのれ~!

うりゃ~! ああっ!

ぐあっ!
はっ!

下がれ! 下がれ!

待て待て 待て! 島田とやら。

将軍家ご舎弟にも似合わぬお言葉

未練を捨てて お覚悟めされい!

待て! 余が なぜ討たれなければならぬ!

や~っ!
(斉継)うあ~っ!

ああっ 腕が 腕が…
ああ ああ 痛い! 痛い。 腕が…!

それが… 斬られる者の痛み。

殺される者の痛みでござる。

お分かりいただけたか?

ううっ… やめろ… 助けてくれ!

いくらでも褒美をとらす。
ああ… あっ 栄達も望むがままぞ!

政をなすものは 民の痛みを
最も知る者でなくてはなりませぬ。

なぜ それを学ばれなかった!?

ああ… ああ…。

あわれなお方よ!

ああ… ああ… あ~ あ~!

御免!
あっ!

殿!

殿~!

殿! 殿~!

うう~…。

おのれ! 新左!

侍として 潔くか…。

その言葉 はなむけに
うれしく もろうていくぞ。

♬~

新左… 覚悟!

♬~

おじ御!
おりゃあ~!

新左!

なぜ 抜き合わさん!

なぜ 俺の刀を受けたのだ!?

これでよい…。

何?
おのれ~!

うっ!

ううっ…!

うあ~!
ううっ…。

ぐっ!

ううっ…。

半兵衛!

新左…!

これでよい…。

斉継様を斬らねば… わしの侍が立たぬ。

お主は… わしを斬らねば…

侍の一分が立ちにくかろう。

お主というやつは…。

新左… 冥土で語るを… 楽しみに…。

♬~

半兵衛~!

♬~

新六郎!

おじ御!

新六郎…。

のろしを上げろ。

もう… 無用の争いは やめにいたすのだ。

はい。

新六郎…。

あきを…。

あきと… 子を頼む。

はい。

済んだ…。

これで… どうやら…。

(新六郎の泣き声)

(足音)

♬~

侍というやつは…

命懸けで 事を成し遂げて…

報いのないのを潔いなどと言う。

そう言ってるうちは
よくならんのだ…。

侍も… 世の中も…。

♬~

やった! 俺は やったぞ~!

小弥太さん!

あっ お加代ちゃん。

お加代ちゃ~ん!

お加代ちゃ~ん…。
(泣き声)

小弥太さん…。
俺は やった。

やったぞ!
(泣き声)

<弘化2年 5月。

参勤交代帰国の途上で
病を発した松平斉継は

明石城に帰城と同時に
病死と届けられた>

新左… この恩は 某 生涯 忘れんぞ。

これで 天下は救われた。

強い子になるのですよ 千代丸。

あなたは あの父上の孫なのですから。

あき殿 飯にしましょう。

はい。

千代丸様には
重湯で よろしゅうございましたか?

ありがとう。 あなたも身重なんだから
働き過ぎないで。

新六郎様が
それはよくしてくださいます。

あっ いや… しかたのないことよ。

<老中 土井大炊頭の命により

島田新左衛門の名跡は
新六郎が継ぐこととなった>

あっ…。

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父上…。

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