相棒 season 19 #7 2年前に起きたアポ電強盗殺人の被疑者を白骨遺体で発見。同じく2年前に妊婦が転落死した事件に…
出典:EPGの番組情報
相棒 season 19 #7[解][字]
【同日同刻】
“平成の毒婦”遠峰小夜子が再来!!
急展開!特命係vs人を操る女!!
犯人の自供を覆す小夜子の真意とは…!?◇番組内容
【同日同刻】
2年前に起きたアポ電強盗殺人の被疑者を白骨遺体で発見。同じく2年前に妊婦が転落死した事件について、別件で事情聴取を受けていた男が自らの犯行を自供。しかし、“平成の毒婦”と呼ばれる遠峰小夜子から拘置所に呼び出された特命係は、妊婦が死亡した同じ日の同じ時刻、まったく別の場所で自供した男を目撃したと聞く!そして、小夜子が目撃した場所と、アポ電強盗殺人の事件現場が近接している事実を掴むが…!?
◇出演者
水谷豊、反町隆史
川原和久、山中崇史、篠原ゆき子、山西惇、浅利陽介、小野了 ほか
【ゲスト】西田尚美、松尾諭 ほか
◇スタッフ
【脚本】山本むつみ
【監督】橋本一
◇音楽
池頼広
◇おしらせ
☆最新情報はツイッターでも!
【ツイッター】https://twitter.com/aibouNow
【番組HP】https://www.tv-asahi.co.jp/aibou/ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
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「今日 午前 荒川区の住宅地で
ブルーシートに包まれた
身元不明の遺体が発見されました」
(アナウンサー)
「警視庁の捜査によりますと
遺体は白骨化しており
死後 およそ2年が
経過しているとの事です」
(中園照生)遺体は 2年前に
足立区綾瀬本町で発生した
アポ電強盗殺人事件の被疑者
野添恭一のものと判明した。
2年前の事件では
一人暮らしの三井正子さんが
殺害され
家にあった現金150万円が
奪われている。
(野添恭一)ハハハハ…!
(三井正子の悲鳴)
(刺す音)
野添の死因は
鈍器で殴られた事による脳挫傷。
殺害後 空き家の床下に
埋められたものと推測される。
(芹沢慶二)
共犯者との仲間割れですかね?
(伊丹憲一)金の取り分で
もめたってとこだろ。
警察の威信に懸けて
早急に事件の全容を解明しろ!
(一同)はい!
(記者)「井原さん 2年経って
被疑者が逮捕された
お気持ちは?」
(井原俊樹)「今は 正直
ホッとしています」
(角田六郎)暇か?
…って 聞くまでもねえな。
(井原)「妻の写真に向かって…」
えっ?
ああ 2年前の町田の事件か。
駅裏の階段で
妊婦が突き落とされたっていう…。
目撃情報がなくて
事故か事件かも
不明のままだったな。
(冠城 亘)
別件で事情聴取を受けてた男が
2年前の犯行を
自供したそうですね。
(角田)須藤龍男 32歳か。
(杉下右京)彼の自供がなければ
お宮入りしていたかも
しれませんねぇ。
「犯人が捕まっても
妻は もう帰ってきません」
情報の提供を
呼びかけてたんだよな。
ああ これで ようやく
奥さんも浮かばれるよ。
(携帯電話の着信音)
連城さんです。
連城?
杉下です。
(連城建彦)
お久しぶりです。 連城です。
お伝えしたい情報があります。
わかりました。
では これから伺います。
なんです?
ある事件の事で
我々に情報を提供したいと
申し出ている人がいるそうです。
ひょっとして また彼女ですか?
ええ。 あの人です。
♬~
あなた 遠峰小夜子の
なんなんです?
なぜ 彼女に協力するんですか?
協力ではありませんよ。
いわばモニタリングです。
彼女は人の心を操る術に
たけている。
弁護士としては 大いに
学ぶべきところがありますからね。
あなた自身が操られないよう
くれぐれもご用心を。
ご心配なく。 では よろしく。
♬~
(遠峰小夜子)
よかった 来てくれて。
♬~
(小夜子)
これで あの人を助けられます。
助ける? 誰をですか?
新聞で見たんです。
2年前 町田の駅裏の階段で
妊婦さんを突き落とした人が
捕まったって。
須藤龍男の事?
顔写真 見ましたけど
あの人 やってませんよ。
やっていない?
ええ。
事件があった9月9日
同じ時間帯に 私
別の場所で
あの人を見ましたから。
あの日は
葛飾区のお客さんのお宅に
伺ってたんです。
飯垣さんっていう 年配の男性。
黒真珠養殖の投資話が
トントン拍子に進んで
その日のうちに成約して…。
確か 午後2時過ぎでした。
(小夜子の声)
車を出そうとした時に
急に男の子が
飛び出してきたんです。
(小夜子の声)ヒヤッとしたので
よく覚えています。
その時 男の子の手を
引っ張ってくれたのが
須藤って人です。
間違いありません。
私 しっかり顔見ましたから。
妙ですねぇ。 町田市と葛飾区は
東京の西と東ですよ。
同じ日 同じ時間帯に
両方にいられるはずは
ありません。
おかしいでしょ?
きっと何か裏があるんですよ。
例えば…
真犯人をかばっているとか。
君が須藤を見たのは
別の日じゃない?
いいえ。 私 あのあと
千葉のお客さんのところにも
行ったんです。
妊婦さんが転落死したニュース
カーラジオから流れてきた事
よーく覚えてますから。
で… 狙いは?
フフフ… 狙いだなんて…。
別に。
気がとがめるじゃないですか。
無実だと知っていながら
黙っているのは。
階段の転落事故は
珍しい事ではありません。
町田の事件も 発生当時は
特段 注目されていなかった。
ラジオで聞いた小さなニュースを
なぜ 覚えていたのですか?
運命って残酷だなって思ったから。
幸せの絶頂にいる時に
こんな悲劇が起きるなんて。
ああ 思い出しました。
確か あなたのお母様も
階段の事故で
亡くなられていましたね。
ええ。 私が10歳の時に。
階段の事故が気にかかるのは
そのせいでは?
関係ありません。
母が死んだのは
もう ずーっと昔の事ですから。
ああ… ありました。
2年前の9月9日 午後2時頃
遠峰さんは 葛飾区亀明町の
飯垣文雄さんを訪ねています。
彼女の話が本当なら
須藤龍男は なんで
やってもいない犯罪を
自供したんでしょう?
何か 訳があるはずですよ。
遠峰さんが 彼の冤罪を
晴らそうとした事にも。
♬~(『きらきら星』の鼻歌)
よくも あんな女と!
うるさい 小夜子に聞こえるぞ!
あの子は 全部 知ってるわ。
毎日 毎日 仕事 仕事…。
いいかげんにしろ!
(悲鳴)
(衝撃音)
♬~(『きらきら星』の鼻歌)
フフフ… アハハ… ハハハッ。
須藤龍男から
自供を引き出したのは
あなたですか?
(谷江)引き出したというか…
罪の意識に駆られて 自発的に
言い出したようなもので…。
自発的に?
(谷江)あの晩
夜間パトロール中に
須藤が通行人と
もめているところに
出くわしたんです。
(須藤龍男)オラッ!
(男性)やめて!
俺は 前にも やってんだ。
(谷江)おい! よしなさい 君!
おい!
(男性)お巡りさん! お巡りさん!
(谷江の声)引っ張ってきて
事情を聴くうちに
須藤が話し始めたんです。
2年前 女性を
階段から突き落としたって。
腹のでかい女が
トロトロ歩いてるから
イラッときて…。
軽く押したつもりが…。
(谷江の声)町田の事件だと
ピンときました。
この前 出た雑誌で
インタビューを
読んだばかりでしたから。
あっ 『月刊プレス』。
ええ。
これです。
(出雲麗音)杉下さん?
おや。
特命係が どうして ここに?
君こそ。 アポ電強盗の
捜査中じゃないの?
今 昼食タイムです。
お聞きしたい事があって
伺いました。
ひょっとして
君も須藤龍男の件で?
そちらも?
私 白バイ勤務の時に
須藤の違反切符
切った事があるんですよ。
切符を切った相手
いちいち覚えてる?
まさか。
須藤の事は
たまたま印象に残ってて。
はい ここにサイン。
(舌打ち)
(麗音の声)
手の甲に派手なタトゥーが。
龍男だからドラゴンなのかって
妙に納得したんです。
なるほど。
ドラゴンのタトゥーですか。
違反者の中には
こっちが女と見ると
ネチネチ絡んでくる人もいます。
陰湿な男って いるでしょ?
道で
わざと女性に肩ぶつけてきたり
妊婦を狙って
嫌がらせしたりするような奴ら。
いるね 残念ながら。
須藤は
そういうタイプではなかった。
なんていうか
もっとストレートなワル。
金を奪うためなら
暴力も振るうだろうけど
なんの得もないのに
見ず知らずの妊婦を突き飛ばした
っていうのは
ちょっと違和感が…。
違和感…。
ただの勘だって言われてしまえば
それまでなんですけど。
勘というより
白バイ勤務で培った
君の人間観察力では
ありませんかねぇ?
案外
的を射ているかもしれませんよ。
そうでしょうか?
雑誌に増刷がかかるのは
珍しいですね。
(森尾淳史)いやあ おかげさまで
今月号は 売れ行き絶好調です。
犯人 いいタイミングで
登場してくれましたよ。
2年前の小さな事件を
よく記事にしましたね。
犯人が現れなければ
話題にもならなかったでしょう?
それは まあ
社会正義のためというか
日常の小さい事件を
風化させない事も
メディアの使命ですから。
ああ 立派な見識ですねぇ。
その割に扱いは小さいですが。
実は この企画 出したの
うちの女子社員で。
おーい 白石くん ちょっと。
(白石佳奈子)はい。
(佳奈子)なんでしょう?
(佳奈子)2年前の事件の直後に
井原さんを
取材させてもらっていたので。
それで 今回も…。
(佳奈子)これです。
(佳奈子)お話を聞けたのは
うちだけでした。
取材を受けるのも
おつらい時期でしたから。
どうやって
井原さんを説得したんですか?
雑誌に載れば話題になるし
目撃情報が
寄せられるかもしれないからと。
当時 警察は
事故の可能性が高いと見て
捜査に熱心ではなかったんです。
(井原仁美)
私。 もうすぐ家に着くから。
(佳奈子の声)奥さんの仁美さんは
妊娠5カ月で
里帰りしていた実家から
帰宅するところでした。
後ろから 誰か来る…。
(佳奈子の声)電話で
そう話した直後
事件が起きたんです。
井原さんは 家を飛び出し
現場に駆けつけ
倒れている奥さんを見つけて
すぐに救急車を呼んだそうです。
でも 奥さんは…。
おなかにいる赤ちゃんも
助からなくて…。
気の毒に…。
井原さんは
最初から確信を抱いてました。
これは事故じゃない 事件だって。
記事を見た人から
目撃情報は寄せられましたか?
残念ながら。
元々 人通りも少ない所ですし
あの日は 日曜日で
雨も降っていましたから。
ああっ! あっ すみません。
この写真は どなたが?
それは 一般の方から
提供されたものです。
でも よかったですね。
えっ? 何がですか?
犯人が名乗り出た事です。
2年間 記事を書いて 井原さんを
応援してきたんでしょ?
ええ。 それは もちろん。
過失致死って 時効3年ですよね。
その前に犯人が捕まって
本当によかった。
それが 水を差すようで
申し訳ないのですが
須藤龍男は犯人ではないと
主張する人が現れまして。
えっ 本人が告白したんですよね?
自分がやったって。
自白だけでは
犯罪は立証できないんです。
そう…。
じゃあ 事件は
まだ解決してないんだ。
その本も
あなたが担当されたんですか?
遠峰小夜子さんの特集号。
ええ。
編集部の総力戦で作りましたから
私も記事を書いたり
構成を立てたりしたんですけど…。
この本が何か?
いえ 以前 面白く
読ませて頂いたものですから。
(男の子)こっちだよ。
(男の子)危ないぞ。
葛飾区亀明町。
遠峰小夜子が須藤を目撃したのは
この辺りですかね?
ええ。
(伊丹)ああ もう
なんで特命係がいるんだよ?
よく会うね。
(伊丹)「よく」ってなんだよ?
さあ…。
(芹沢)なんかご用ですか?
アポ電強盗事件の捜査なら
ご協力頂かなくても
間に合ってますけど。
アポ電強盗…。
あっ! 僕とした事が
うっかりしてました。
ここは 区の境目。
通りを挟んで向こうは
足立区綾瀬本町。
2年前にアポ電強盗殺人事件が
起きた現場ですよ。
こんなに近く… 偶然ですかね。
いや 調べてみない事には
なんとも…。
何を
ごちゃごちゃ言ってるんですか。
とにかく こっちの捜査の
邪魔をするのは やめてください。
そういう事。 よろしく。
うっ…! おっと…。
(伊丹)出雲! 何やってんだ!
はい。
伊丹さんたちが
教えてくれるわけありませんね。
帰って捜査資料を当たりますか。
しかし せっかく
ここまで来たのですからねぇ。
(青木年男)事件発生は
2年前の9月9日。
被害者は三井正子 一人暮らし。
事件の前日 リフォーム会社を
名乗る男から電話があって
手元に現金があるか
聞かれています。
気味悪く思った被害者は
千葉に住む娘に連絡。
翌日の午後
娘が被害者宅を訪ねたところ…。
お母さん…!
(青木の声)まだ意識はあって
ガスの点検と名乗る男が
金を奪って逃げたと
話したそうですが
搬送先の病院で死亡しました。
被害者の爪からは
犯人のものとおぼしき
皮膚片が採取されて
DNA鑑定の結果
半グレ組織の一員で 前科のある
野添恭一のものと判明。
まあ こんなところですね。
「共犯者は?」
「アポ電強盗は
一人じゃやらないだろ」
路駐していた車に
作業服姿の男が乗り込むのを
近隣住民が目撃してます。
運転していた男が
恐らく見張り役でしょうね。
そのあと 捜査は難航して…。
ようやく見つかった野添は
この有り様。
(操作音)
アポ電強盗が行われたのは
何時頃ですか?
「午後2時から2時半の間です」
午後2時から2時半…
かなり絞られていますねぇ。
「娘が被害者を発見したのが
2時半」
「その前に 近所の子供が
回覧板を届けに行って
被害者とインターホン越しに
話しているんです」
「それが2時頃だったと」
午後2時過ぎでした。
車を出そうとした時に
急に男の子が
飛び出してきたんです。
青木くん 回覧板を届けに行った
子供の連絡先 調べてください。
「はあ!?」
青木 大至急 頼む。
「あっ ちょっと…」
見張り役の男は
回覧板を届けに行った子供から
被害者が家にいる事を
聞き出したのかもしれませんねぇ。
(冠城の声)遠峰小夜子が見たのが
その子と須藤だとしたら
アポ電強盗の見張り役は 須藤…。
(携帯電話の着信音)
あっ もう来た。
あいつ 仕事だけは早いな。
綾部裕樹くん 当時10歳。
住所は?
この近くですね。
(裕樹の母親)はい。
回覧板を届けたあと
車にぶつかりそうになったって
言ってました。
絶対 飛び出しちゃ駄目よって
きつく叱ったんで覚えてます。
ねえ? 裕樹。
(綾部裕樹)うん。
2年も前の事を聞いて
申し訳ありませんが
いくつか確かめたい事が。
車道に飛び出した時
誰かが君の腕をつかんで
歩道に引き戻してくれた?
はい。
それ 若い男の人だった?
多分 そうです。
この人ですか?
わかりません。
ああ さすがに 顔は覚えてないか。
ああ…
君の腕をつかんだ手ですがね
この辺りに ドラゴンのタトゥーが
入っていませんでしたか?
ドラゴン?
ありました!
なんか 派手なやつ!
ビンゴですね。
ええ。
転落事故のあった同日 同時刻
須藤龍男は この辺りで
アポ電強盗の見張り役を
していたようですねぇ。
2年前の9月9日
お前は町田じゃなくて
ずーっと東の
足立区綾瀬本町にいたんだろ?
妊婦を突き落としたり
してないよな?
やってもない事を
なんで自供したんだよ?
俺がやったんだよ!
本人が言うんだから
間違いねえだろ。
(伊丹)お前が本当にやったのは
アポ電強盗殺人の見張り役だ。
嘘の自供をしたのは
それを隠す
アリバイ作りのためだな?
転落死なら
うまくすれば過失致死
悪くても傷害致死で済む。
そう計算したんじゃないのか?
(伊丹の声)野添を殺したのも
お前だな?
床下に埋めた遺体が掘り出されて
足がつくのを恐れ
同じ日に起きた
別の事件の犯人だと名乗り出た。
…ったく
つまらねえ芝居しやがって。
野添が所属してた半グレ集団も
須藤の行方を
追っていたそうですが…。
警察の捜査と半グレ集団の報復
両方から逃れる最善策が
別の事件で 警察に捕まる事
だったわけですねぇ。
遺体を包んでいた
ブルーシートから
須藤のものと見られる頭髪が
見つかりました。
今 鑑識で確認中です。
決定的だね。 早々に決着しそうだ。
あの…。
特命係って
特別なルートでもあるんですか?
ルートって?
須藤とアポ電強盗が
結びつくなんて
一課では
誰も思っていませんでした。
特命係だけが どうして
そこに たどり着いたのか
不思議で。
須藤龍男が自供しました。
アポ電強盗事件の
見張り役を務めたのも
共犯の野添を殺害したのも
彼でした。
「瓢箪から駒」って この事ですね。
子供を守った人が
殺人犯だったなんて びっくり。
未解決事件は これで解明。
君の目撃情報のおかげだ。
フッ… 大誤算だわ。
彼の無実を証明して
助けてあげるはずが
まさか 警察の捜査に
協力するはめになるなんてね。
ご協力には感謝します。
あなたには別の思惑があって
善意から 情報を提供したのでは
ないとしても。
♬~
あっ そういえば
もう一つのほう どうなりました?
町田の転落事件。
残念ながら
振り出しに戻ってしまいました。
そう…。
井原さんって言いましたっけ?
お気の毒に。
やっと
犯人が見つかったと思ったら
奥様の死を アリバイ工作に
利用されてただけだなんて。
ショックだろうね。
一度は
事件が解決しかけたんだから。
こんな事なら 須藤を
犯人のままにしておいたほうが
よかったかも…。
ねえ お二人なら 町田の事件
解決できるんじゃありません?
真犯人 捜してあげたら
いかがですか?
どうして
そんなに親身になるんだ?
君は 井原さんを知ってるのか?
いいえ。 全っ然 知らない人。
フフッ…。
♬~
♬~(『きらきら星』の鼻歌)
お母さん。
私 あの人 見た事ある。
よしなさい!
また変な事 言って…。
気持ち悪い…。
本当よ。 私 見たの。
お父さんが あの人と腕組んで
楽しそうに歩いてるところ。
えっ…。
♬~
フフッ…。
(笑い声)
ここですね。
駅から抜ける裏道ですね。
人通りはありません。
これじゃ
新たな目撃情報は 望み薄ですね。
まだ 何か
進展があるかもしれませんよ。
現に 須藤は
『月刊プレス』の最新号を見て
この事件を利用する事を
思いついたのですから。
井原さんの家 ここから
徒歩5~6分のとこみたいですよ。
行ってみましょうか。
(井原)事件の事は…
今は 何も話す気になれません。
お気持ちはわかりますが
警察のほうで見落としがあると
いけませんので
いくつか
確認だけさせてください。
(井原)でも…。
ご協力 お願いします。
(井原)どうぞ お入りください。
嘘の証言に振り回されて
嫌な思いをされたんでしょうね。
最悪ですよ。
ようやく
楽になれると思ったのに…。
また逆戻りです。
落胆なさらないように。
真実は 必ず明らかになります。
どうぞ。
あっ…。
(携帯電話の着信音)
どうぞ 出てください。
いや…。
どうせ ろくな電話じゃないから。
…と言いますと?
メディアに出たりすると
応援してくれる人もいるんですが
嫌がらせのような電話もあって…。
それなら
脅迫罪に問う事もできます。
こちらで対処しましょうか?
えっ? いや そこまでは…。
事を荒立てたくないですから。
あっ お茶いれましょうか。
お茶の葉 あったかな?
お気遣いなく。 すぐ失礼します。
そうですか。
奥様の仁美さんは
あなたと携帯電話でお話し中に
転落されたそうですね。
後ろから誰か来ると言ったあとに
悲鳴が…。
そのあと 通話が切れて
階段から落ちたんだと
思いました。
あなたは 現場に駆けつけ
倒れている奥様を見つけて
救急車を呼んだ。
それで間違いありませんか?
ええ そうです。
そこが ちょっと
わからないんですがね。
転落した事に気づいた時
なぜ すぐに
救急車を呼ばなかったんです?
えっ?
現場までは
走って数分はかかります。
身重の体を思えば 一刻も早く
救急車を呼ぶのでは?
それは…。
混乱していて
頭が回らなかったんです。
なるほど。
気が動転していらした。
無理もありませんね。
ええ。 今から思えば
すぐに救急車を呼ぶべきだったと
思います。
じゃあ もういいですか?
気分が優れなくて。
はい。
どうも お邪魔しました。
ご苦労さまです。
あっ すいません。
もうひとつだけ。
あなた 家を出る時
傘を差していましたか?
えっ?
あの日 あの時間帯
この辺りは 強い雨が
降っていたはずなんですよ。
もちろん 傘は差してました。
おっ…。
だとすると また新たな疑問が…。
冠城くん 例の雑誌を。
はい。
ご覧になるの
つらいかもしれませんが…。
これは 救急車の到着を
待っている時の様子ですよねぇ。
あなたの傘
どこにも写っていないんですよ。
えっ?
ああ…。 慌てて 傘を差さずに
飛び出したんでした。
本降りの中を?
玄関の傘立てに傘があるのに?
もう いいかげんに
してもらえますか?
何が知りたいんですか?
犯人を捕まえてくれるんじゃ
ないんですか?
すいません。
この人 細かい事 気になるのが
悪い癖なんですよね。
これは
一般の人の投稿だそうですが
いかにも素人ですねぇ。
ほら ここ。
撮影者の差している傘の縁が
少しだけ写っています。
井原さん
これ あなたの傘ですよね?
えっ…?
さっき 入ってくる時に
気づいたんですがね
玄関の傘立てにある傘
これと 同じ模様なんですよ。
おやおや…。
同じ柄。
偶然ですかね?
これは あくまで推測ですが
奥様から電話が来た時
あなたは外にいて
誰かと一緒に この傘を
差していたのではありませんか?
そして 奥様が転落した階段近くで
この傘を その人物に渡した。
で その人が写真を撮って
『月刊プレス』に
送ったのだとすると
全ての辻褄が合うんですがねぇ。
何を言ってるんですか…。
井原さん。
奥さんは 本当に
誰かに襲われたんですかね?
もしも 事故を事件と偽って
捜査させたのだとしたら
偽計業務妨害。 立派な犯罪です。
まさかとは思いますが
奥さんの背中を押したのは
ひょっとして…。
(たたく音)
(井原)違う!
俺は やってない!
だますつもりも なかった…。
つい… ほんの少しだけ
嘘をついただけで…。
(携帯電話の着信音)
もう うんざりだ! あの女…。
話して頂けませんか?
あの日 何があったのか。
帰ってくるはずじゃ
なかったんです…。
(井原の声)妻の留守に
ちょっと息抜きのつもりで…。
つい 出会い系サイトで知り合った
女性を家に…。
(携帯電話の着信音)
(井原の声)傘がないと言う彼女を
駅まで送る途中でした。
もしもーし。
(仁美)
「私。 もうすぐ 家に着くから」
えっ… 今… 今 どこにいるの?
(仁美)「いつもの抜け道よ。
階段のとこ」
えっ…。
なんなの? その女。 誰!?
ああっ!
仁美!
仁美!
おい しっかりしろ! おい!
早く行ってくれ!
通りに出て タクシー拾って!
おい 大丈夫か!?
♬~
(井原)もしもし
救急車をお願いします!
(井原)妻は
急いで階段を下りようとして
足を滑らせた。
でも 警察に事情を聞かれた時
つい 嘘を…。
私のせいで 妻が死んだと
責められるのが恐ろしくて…。
その嘘が世間に広まって
あなたは 後に引けなくなって
しまったんですね。
あんな記事になるなんて
思ってなかった…。
(携帯電話の着信音)
もしもし。
今から そちらに伺います。
井原さんから伺ったお話は
あなたが書いた記事とは
かけ離れたものでした。
この写真を撮ったのは 君だね?
(冠城の声)井原さんは
君を駅まで送る途中
奥さんと鉢合わせた。
いい記事が書けるはずだよ。
君は当事者で
現場で 全て見ていたんだから。
あの人が何を言ったか
知りませんけど
それ 証明できます?
私は 聞いた話を
記事にしただけですよ。
読者受けするように
少しはアレンジしましたけど。
一体 何が狙いなんだ? 金か?
まさか!
ああ… 何度か
プレゼントは頂きましたよ。
記事のお礼にって。
それ… 罪になります?
人を意のままに操る事の楽しさ。
あなたは それを
遠峰小夜子さんから
学んだのですか?
えっ?
名誉毀損で訴訟を起こしたり
ある女性の失踪にまつわる
手記を発表したり…。
遠峰さんは 以前から
『月刊プレス』を
利用しているように見えます。
いや むしろ 『月刊プレス』が
遠峰さんに協力しているように
僕には思えるんですよ。
なんのために そんな事を?
第一 拘置所にいる人に
どうやって協力するんですか?
面会時の会話は記録されるし
手紙は検閲されるんですよ?
これは
あくまで可能性の話ですが
読者の投稿に見せかけ
遠峰さんに必要な情報を発信する。
そういう事もできるのでは
ありませんかねぇ。
記事 写真 広告 ページ番号…。
雑誌は 情報の塊です。
あなたなら 雑誌と手紙を使って
当人にしか わからないように
メッセージを送る事も
可能だと思いますよ。
君と遠峰小夜子は どういう関係?
関係って…
別に。
僕は あなたと遠峰さんは
ずっと以前から
協力関係にあったのだと
思っています。
知り合ったきっかけは
彼女の黒真珠養殖詐欺。
あなたは 詐欺の被害者ですよね。
君は 遠峰小夜子を
恨んでるんじゃないのか?
恨む?
(笑い声)
なんでですか?
あの人のおかげで
夫が 愚かで
つまらない男だと わかって
別れられたのに。
どうせ調べるでしょうから
話しておきますけど
遠峰さんには
何度か 手紙を送っています。
彼女の自伝を出したくて
以前から交渉してるんですよ。
犯罪者の自伝…。
悪趣味だな。
そんなんじゃありません!
彼女は 上っ面のきれい事や
もったいつけた権威を剥ぎ取って
人間の救いようのない本性を
暴き出すんです!
フフッ… 痛快だわ!
拘置所にいても
彼女は自由!
人を引きつけて
意のままに動かす事さえ
できる…。
読者は きっと こう思うはずよ。
「遠峰小夜子は 私だ」。
「解き放たれた
もう一人の自分だ」って…。
(携帯電話の振動音)
青木くんからです。
杉下です。
そうですか。
どうも ありがとう。
自伝の出版は
当分 無理かもしれません。
は…?
井原俊樹さんが
被害届を出したそうです。
恐らく あなたは
脅迫罪 もしくは恐喝罪で
逮捕される事になるでしょう。
君に操られる人生よりも
世間から石を投げられても
真実を告白する道を
選んだようですね。
嘘…。
白石佳奈子さん…
誰だったかしら?
『月刊プレス』の編集さん。
何度か 手紙のやり取り
してるはずだけど。
そうでしたっけ?
私 女性から
お手紙頂く事 多いんですけど
名前まで いちいち覚えてません。
冷たいね。
向こうは 君を尊敬してるのに。
尊敬というより
崇拝というべきでしょうねぇ。
あなたのようになりたいと願い
あなたを模倣した行動を
しているように見えます。
そうそう…
こんな事を言っていました。
あなたは
解放された もう一人の自分だと。
もう一人の自分?
はあ? 馬鹿みたい。
ハハハハ…!
ハハハハ…!
その人
自分の中身が空っぽだから
借りものの何かで
埋めようとしてるだけですよ。
そういう人って
簡単に心を乗っ取られて
都合良く
操られてしまうんですよね。
お気の毒。
やはり そうでしたか。
はい?
僕は 最初 あなたが
井原さんを破滅させようと
しているのかと思ったのですが
違っていました。
あなたが もてあそび
破滅させたのは
白石佳奈子さん。
初めから 狙いは
彼女のほうだったんですね。
あなたの思惑どおりに事が進んで
振り回される事に疲れ果てた
井原さんは 真実を告白しました。
その結果 犯罪の加害者として
白石さんは 全てを失った。
もう 編集部にも
戻れないでしょう。
なぜ 彼女に そんな仕打ちを?
君に協力してたんじゃないの?
協力?
私 頼んだ覚え ありませんけど。
白石って人とは
なんの関係もありません。
でも… 愚かな人たちの嘘が
一つ一つ暴かれて
階段を転げ落ちるように
破滅していく…。
そういうゲームを考えるのは
いい暇つぶしになります。
何しろ ここは
とっても退屈ですから。
遠峰さん。
このゲームでは
真実が全て暴かれて
破滅するのがルールです。
あなたも 例外ではありませんよ。
♬~
♬~
♬~(『きらきら星』の鼻歌)
自伝を出す話
どうなるんでしょうね。
どうにもなりませんよ。
そもそも 遠峰さんは
自伝を書く気など
なかったでしょうからねぇ。
でしょうね。
おや 君は読みたいのですか?
彼女の自伝。
知りたいと思いません?
自分の支援者まで もてあそんで
傷つける。
あの悪意が どこからくるのか。
僕は結構です。
闇の中に分け入ったところで
何も見えませんから。
それに あの人が
本当の事を書くと思いますか?
書くはずないですね。
ええ。 でっち上げた自伝など
読む価値はありませんよ。
(宇野健介)
彼女の婚約者が殺された…。
ハハ…。 それは ツイてるなあ。
君は もう
僕と結婚する以外 道はないんだ。
(小早川奈穂美)
本気で言ってるの?
なぜ 結婚にこだわるのか…。
僕には れっきとしたアリバイがある。
事件は全く違って
見えてきますね。 ええ。