NHKスペシャル「ドラマ こもりびと」10年以上ひきこもる倉田雅夫(松山ケンイチ)。厳格な父・一夫(武田鉄矢)が余命宣告を機に…

2020年12月9日

出典:EPGの番組情報

NHKスペシャル「ドラマ こもりびと」[解][字]

10年以上ひきこもる倉田雅夫(松山ケンイチ)。厳格な父・一夫(武田鉄矢)が余命宣告を機に、もう一度息子と向き合うことに。雅夫は人知れず、出口を必死に探っていた―

番組内容
10年以上ひきこもり生活を送る倉田雅夫(松山ケンイチ)。重いストレスを抱え働けなくなったことがきっかけだった。厳格な父・一夫(武田鉄矢)は元教師。地元でも尊敬を集める存在だが、雅夫の存在を世間から隠し、立ち直らせることも諦めていた。しかし、自らの余命宣告を機に、最後にもう一度息子と向き合うことに。一方の雅夫は、閉ざされた部屋の中で人知れず、ひきこもりから抜け出す道を必死で探っていた―
出演者
【出演】松山ケンイチ,武田鉄矢,北香那,迫田孝也,根岸季衣
原作・脚本
【作】羽原大介
音楽
【音楽】上野耕路

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
ドキュメンタリー/教養 – ドキュメンタリー全般
ニュース/報道 – 報道特番

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  1. 雅夫
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動きますね。 大丈夫ですか?
(一夫)ええ…。

お名前 言えますか?
はい 倉田です。

生年月日は言えますか?
はい。 昭和20年8月です。

今夜は
入院してもらうことになると思うので

ご家族のご連絡先 教えてください。

入院って… 私 何の病気ですか?

検査のあと
先生から説明があると思います。

ああ…。
ご一緒に住まれてる ご家族の方

いらっしゃいますか?
あっ はい…。

いいえ…。
お独り暮らしですか?

い… いえ…。

ご家族と同居ですね?

い… いいえ…。 うっ あ~。

どっちですか?
あ… アタッ。

(美咲)お父さん えっと…
入って右って言ってたから。

多分 こっち こっち。
(耕平)右? どこ?

多分 こっち。
(耕平)あれじゃない。

(耕平)おばさん すいません
遅くなりました。 すいません失礼します。

(みどり)先生 そろいました。

検査の結果 胃がん ステージ4です。

(みどり)ステージ… 4?

リンパ節が腫れていて
がんが転移している可能性が極めて高い。

根治は難しいかもしれません。

じゃ どうすればいいんですか?

まずは抗がん剤治療をし

胃のがんが小さくなれば
手術で取り除き…。 あの…。

どのくらい生きられますか?

いや あの…
先生のお見立てで結構ですから

あと どのくらい…。

半年だと思います。

半年…。

ほかの病院 探そう。
ちょっと 兄さん 落ち着いて。

かばん持ってきてくれ。
ちょっと待って。

セカンドオピニオンするにしても すぐに
次の病院が見つかるとは限らないし。

俺が死んだら あいつは どうなる。

ん? あいつ? 誰のこと?

(ブザー)
≪倉田さん 宅配便で~す!

(ブザー)

≪倉田さ~ん!
(戸をたたく音)

えっ!? じゃあ 30歳から10年間
ずっと あの家にいたの?

お父さん おじさん ずっと
海外で働いてるって言ってなかったっけ。

(みどり)どうする? 雅夫に病気のこと。

下手に刺激しない方がいいと思う。
だけど…。

まだ死ぬわけにはいかん。
病気は治す。 必ず。

(みどり)どうも お世話さまでした。
ああ どうも すいません。 ご苦労さん。

≪(物音)

≪(みどり)どうぞ 入って。
≪お邪魔します。

(ノック)

≪雅夫 たまには出てこないか?

みどりおばさんも耕平も美咲も来とる。

みんな お前の顔 見たがってるんだ。

(ノック)
≪出てこないか?

≪おじさん 美咲です。 お久しぶりです。

(ノック)
≪雅夫 出てこないか?

(ノック)
≪雅夫。

(ノック)
≪雅夫!

(ノック)
≪雅夫!

(ノック)

はあ…。

ああ…。

こないだ
リズム体操の仲間に聞いたんだけど

ひきこもりを外に出してくれる
専門の業者があるんだって。

引き出し屋だろ?
引き出し屋?

俺も調べたんだけど かなり強引で
いろいろ問題になってるらしいよ。

ああ…。 じゃ やっぱり 前に話した
あの 新小岩の祈祷師に…。

おばさん お祓いだの 祈祷師だの
荒唐無稽な提案は もうやめよう。

じゃ あんたが なんとかしてよ。
自分の弟のことでしょ。

考えてるよ 俺だって。

考えるだけで行動しないから
こうして10年も ずるずる ずるずると…。

雅夫が ひきこもったのは
俺のせいじゃない。

(みどり)じゃ 誰のせいなのよ。
自己責任だよ。 甘えてるんだ あいつは。

あっ ねえ これ
全部おじいちゃんの教え子?

ん? ああ そうだよ。

へえ~。
全部で何人ぐらい教え子がいるの?

あ~ 何人ぐらいになるかな…。

あっ ねえ この子 お医者になったって
言ってなかった?

セカンドオピニオン
この子に相談してみたら?

なかなか 優秀な子でね
それに比べて 雅夫のやつは情けない。

どこで どう 道を踏み間違えたか。

張り切って働いてた時もあったじゃない。
ファミレスの店長さん?

店長といったところで
非正規だよ。

あのころは ちょうど
就職氷河期だったから。

え? 氷河期っつったってな
何人も正社員になったやつはいる。

全く あいつは努力が足りないんだ。

昔は真面目な いい子だったのにね。

やっぱり 義姉さんが亡くなったのが
ショックだったのかね。

(耕平)母さんが死んだのは
雅夫が 30近くなってからだよ。

(みどり)でも そのあと
一度も働いてないんでしょ?

やっぱり 区役所に
頼ってみるしかないんじゃない?

世間体を考えろよ お前は。

でも もう そんなに時間もないんだし…。

(鈴の音)
兄さん。

こんにちは。

すみません。
はい。 あっ。

すいません あの ひきこもりの件で
ちょっと聞きたいんですけど。

ひきこもっているのは どなたですか?

えっと…。
あっ あの… 私の あの…

私の あの…
知り合いの息子さんなんですけどね。

おいくつですか?
40ですね。 あの 40歳になります。

ひきこもり支援の対象は 39歳までで

40歳以上の中高年の方は
うちの区では受け付けられないんです。

えっ たった一歳しか違わないのに?

区によっても違うんですが…。
あっ そうですか。

えっ じゃあ 40歳以上って
どこに相談に行けばいいですか?

保健所に行かれてみたら どうでしょう?

心の相談にも乗ってもらえると
思いますよ。

障害の認定は受けていらっしゃいますか?

障害? いや 息子は
障害でも病気でもないんですが…。

となると 私たちが対応できる
法律や制度は ないんですよ。

10年以上となると
病気の可能性もあるので

一度 精神科を受診してみては
いかがですか?

精神科…。

やはり ご本人に ご来院いただかないと
診断書は もちろん

診察を受けていただくことも
できないんです。

あ… そうですか。
申し訳ございません。

いえいえ ありがとうございます。
失礼します。

はい ありがとうございます。

そもそも おじさんはさ
何で ひきこもったの?

甘えてんだよ。
現実からの逃避ってやつかな。

毎日 家で何してるんだろ?
分からん。

趣味とかは?
知らんよ。

おじいちゃん おじさんのこと
何も知らないじゃん。

知らなくたって しょうがないじゃないか。

部屋に閉じこもったっきり
出てこないんだから。

それに 口なんかも全く利かないしな。

そっか…。 でも ひきこもるって
私 何か 理由があると思うんだよなあ。

ヒント探してみない?
ヒント?

うん。 おじさんがさ
あの部屋を出る時ってある?

いや それは もちろんあるよ。
その トイレ行ったり

それから お風呂の時。
あとは 漫画を買いに行く日。

♬~

おじいちゃん 早く。

美咲 駄目だよ。 美咲。

美咲 駄目だって。 美咲。

開けるよ。
ん? うん。

よいしょ。 わっ え… 何これ?

おい 言っとくが触るなよ。
物 動かすなよ。

前 ゴミ集めに入った時に
それがバレて大喧嘩になったんだから。

大丈夫 大丈夫。
触るなよ 触るなよ。

ごめんなさい 触ります。

小学生じゃあるまいし 漫画の本ばっかし。
本当に。

おっと… こうだったかな。

え?

いらっしゃいませ。

いらっしゃいませ。

ねえ おじさん
資格取ろうとしてるのかも。 え?

だってさ ほら こんなに調べてる。

精神保健福祉士。

社会福祉士。

本当だ…。

♬~

いらっしゃいませ。
お預かりいたします。

「いってみる?」って何?

ひきこもり当事者グループ。

囲炉裏?

自分でも ちゃんと
こうやって調べてんだ。

だったら 何で…
何で 外出ないんだ あいつ。

出られないから
ひきこもってるんでしょ。

なるほど…。

何これ?

≪(自転車のブレーキ音)
何これ…。

来た。 帰ってきた 帰ってきた。
えっ!? ちょっと待って待って…。

早く早く。 早く。
(シャッター音)

早く。 触るなよ。 触るな。
早く元に戻して。 元に戻して。

急げ急げ。

「小学生じゃあるまいし
漫画の本ばっかし…」。

♬~

(雅夫)何で… 入ったの?

≪何で入ったの?

明日 ゴミを出す日だろ。
ゴミのことは いいんだよ!

雅夫 待て。 待て 雅夫。

待てよ 雅夫。
お前 何か資格を取ろうとしてるのか?

一体 どんな勉強してるんだ?

もし やりたいことが見つかったら
お父さんに相談しなさい。 なっ。

パソコン見たの?

ふざけんなよ。 人としてやっていいことと
悪いこと あるでしょ。

あのな! 何か見られて
まずいもんでもあんのか? あん中に。

プライバシーの侵害でしょ!
そんなことも分かんないのかよ!

何が プライバシーだ! お前は! え!?

いいか? 大人になったら働いて
税金を納める。

それが社会人の務めだ!

お前な 俺が死んだら
どうやって生きていくつもりなんだ!

黙れ うるさいよ!

おじさん ごめんなさい!
おじさん ごめんなさい!

私… 私が…。
いいか? 言っとくがな

みんなな 必死に…
必死に我慢して頑張ってんだぞ!

これ以上…

何 我慢すればいいのよ!

おじさん!

(ドアが閉まる音)

大丈夫?
あんなやつなんか…

あんなやつなんか どっかで
野たれ死にすればいいんだよ。

おじいちゃん
ちゃんと話し合うとこから始めないと。

あんなやつと どうやって話し合うんだよ。

ちょっと来て。
え? おい。

あ… ごめん。

これ おじさんのつぶやき。

つぶやき?

自分の考えとか気持ちを
ネットでつぶやいてる。

何で そういうことが分かるんだ?

これ おじさんのパソコンに残ってた。

カチナ… シオ?

「伝説のバンド、 ブルーハーツを愛する
何の価値もない男」。

で これが おじさんのつぶやきね。

「役立たずと罵られて
最低と人に言われて

要領よく演技できず
愛想笑いも作れない

まさにオレだな」。

これをあいつが書いたんだ。
そう。

じゃ これ あの 誰に宛てた手紙だい?

まあ それは 誰でもない誰か… かな。
ふ~ん…。

だから 要するに これ使えば
おじさんと会話ができるかもしれない。

え?
ねっ おじいちゃん スマホ持ってる?

そんな ギュ~ッて押さなくても
触れるだけで反応するから。

このアイコン タップして。
よっ。

だから ギュ~ッてしないの。
おじいちゃん 貸して。

じゃあ いい? おじいちゃん。

スッて。
ああ… はあはあ。

どうしようかな~。

えっ?
この「パンク先生」ってのは何だい?

これは 本名だと
おじさんに バレちゃうでしょ?

ああ…。
そうそう。

よし。
へえ~。 そう これで

おじさんのツイートが読める。

よし。 じゃあ 私 面接あるから
続き また今度ね。

どうもありがとな。
うん。

ああ 美咲! はい。
なあ ツイートって何だったっけ?

ツイートは つ・ぶ・や・き。
ああ つぶやきな。 じゃあね。

どうもありがとう。 うん またね。
ありがとうな。

ありがとう。
バイバ~イ。

「誰かが言った がまんするんだ

僕は叫ぼう がまんできない」。

あ… ごめんなさい。

「慎重に検討いたしましたが
まことに残念ながら

今回は期待に添えない結果となりました」。

倉田美咲さん。
はい。

♬~(「スクラップ」)

♬~

(田辺)次は いよいよ最終面接だな。
先輩のおかげです。

本当にありがとうございます。
まだ決まったわけじゃないぞ。

アハハッ はい。
でも できることは何でもやります。

そういうとこだよ。
君は自分の殻を破り切れてない。

だから この時期になっても
いまだに就職が決まらない。

やめてください! 離して!
内定 欲しいんでしょ?

いらないの? 内定。
嫌だ 嫌だ 嫌だ! ほら!

え… 何 何 何? 行こ。

(田辺)冗談。 まっ 頑張って。

ほかでもない先生のことだから

できる限りのことしますって
言いたいんだけど…。

やっぱり 駄目かい。

うんうん うんうん
いやいや ありがとう ありがとう。

いや どうもありがとう。

忙しいのに すまなかったね。
どうもありがとう ありがとう。

ほらほら もう忙しいから。 忙しいから。

会社の後輩で
最先端医療に詳しいやつがいるんだ。

東洋医学の方も詳しく調べてみるよ。

なあ ブルーハーツって知ってるかい?
ブルーハーツ?

うん。 はやってんのか? 今。

全盛期は 30年前ぐらいかな。 何で?

ん? いいや 何でもない ちょっとな。

とにかく 日本に戻ったら連絡する。
タクシーで送るよ。

いやいや。 俺なあ ちょっと 今日
寄りたい所があるんだ。

ほんじゃあな。 どうもありがとう。

(ノック)

≪おい 今夜は鍋にした。 うん。

どうだ? たまには一緒に食わんか?

≪ああ そうそう 今日 たまたま
郵便局に行ったらさ

そこで ばったり教え子と…
いや そいつな 郵便局長やってんだよ。

いろいろ話したらさ 郵便局 今
働き手探してるらしいな。 うん。

あの 夜中に郵便物を仕分けする仕事。

≪お前 やってみらんか?

いや あの 誰とな 会わずにも済むし…
なっ? うん。

まあ 単純作業だ いわゆる。 うん。

そいつにも 全て事情を話したんだ。

≪そしたら そいつがさ
「いや 大丈夫ですよ。 大丈夫ですよ。

それに先生の息子さんだったら
信頼できるし」って言うんだ。

どうだろうな。

そんなこと 誰が頼んだんだよ。

いいかげん 大人になれよ お前も。

(投げつける音)

おい! 言っとくが ここは俺の家だ!

≪自分勝手がしたいんだったら
外に出て部屋を借りろ!

お前のためを思って…。

恥を忍んで 少しは親の気持ちを考えろ!

うわ~っ!

≪(投げつける音)
≪うわ~!

その性格が この就職活動において
生かされたことってありますか?

思い立ったら
即行動をするという点においては…

合うかなと 納得いくかなとおも…
思い… 思います。

そうですか。
はい。

♬~

親が死んだら どうなるのか?

これね 日本にも
100万人も ひきこもりの人がいて

で そのうち半分以上が中高年なんだって。

100万人か…。 そうみたいよ。
よいしょ。

だからさ
大変なのは うちだけじゃないね。

解決するには まずは 家族が 意識を
変えることが大事って書いてあったよ。

何で俺があいつのために
変わらなきゃならないんだよ。

え? だけど…。

あいつは無理だ。 もういいよ。

諦めちゃうの?

本当に このまんまでいいの?

(ノック)
≪おじさん?

おじさん もう寝ちゃった?

おじさん この間は本当にごめんなさい。

また来るね。 おやすみ。

「なんだか とても苦しいよ

一人ぼっちで構わない

キリストを殺したのは
そんな僕の罪のせいだ」。

♬~

「生きているということは
カッコ悪いかもしれない

死んでしまうということは

とってもみじめなものだろう

だから親愛なる人よ

その間に ほんの少し

人を愛するってことを

しっかりとつかまえるんだ」。

♬~

♬~

「チェインギャング いいよね」。

♬~

あっ こんにちは。
はい。

今日は初めて…?
初めてなんです はい。

じゃあ こちらにお名前を
ペンネームでもいいです。

で もし 話しかけられたりするのが
嫌な方は こちらに書いていただいて…。

あ~ いやいや…。 いいですか?
はい。

まずは 当事者本人が どういう場面で

何に困っているのかを知ること。

当事者を否定せず
プレッシャーを与えず

そのまま生きていても大丈夫だよという
安心感を与えてやることが大事です。

何か こう とにかく
何を考えてるのかっていうのをですね

どうしても知りたくて
伺ったような次第なんですけれどね。

とにかく絶望しきってましたので

あの 自分の未来は もう ないものだと
そういうふうに感じてましたので

とにかく現実を見ないように
えっと その場しのぎというか

考えないようにしてました。

私なんかは普通になりたいっていう
気持ちは 非常に強かったんですけど

普通になりたいという気持ちが
強いがゆえに

今の自分の現状とのギャップが大きすぎて
動けなくなっちゃうんですよね。

そういう 普通じゃなきゃ幸せじゃない
っていう習わしが

とても怖いんです。

何かね 潰されちゃう感じがしちゃって
すごい…

僕は昔 嫌な感じになってました。

あの 何か こう ご家族からね
声をかけられてね

とっても励みになったとか
印象的な言葉とか 何かあったら

教えていただけませんかね?

励みになったっていう言葉が
あんまなくて…。

何か あの どっちかっつうと

何か 責められてる感じが
ずっとしてました。

お前 何で そんな状態なんだとか

そういうことを言われるのが
つらかったので

あの… 朝だったら おはようとか

その ちょっとした声かけとかで
…の方が楽。

挨拶をされるだけでも
自分が肯定されてる

人として認められてるっていうふうに
伝わるんだと思います。

外に出てみようと思われたきっかけ
何だったんでしょうね?

きっかけは その… 両親が変わったこと。

その… 外に出ようが 出ないだろうが

そのままでいいっていう空気感ができて
まあ ある時 出てもいいのかなと。

♬~

[ 回想 ] わざわざ 進学校まで行って

国立受験失敗は 自己責任だな。

自分を甘やかしてるからだ。

契約社員?

大学まで出してやったのに
何で正社員になれないんだよ。

非正規なんてお前
アルバイトと おんなじじゃないか。

何十社も受けてさ

一社もお前 合格しないって
どういうわけだよ。

黙ってないで何か言えよ。 え?

回想 張り切って働いてた時も
あったじゃない。

ファミレスの店長さん?
店長といったところで非正規だよ。

(耕平)あのころは ちょうど
就職氷河期だったから。

氷河期っつったってな
何人も正社員になったやつはいる。

全く あいつは努力が足りないんだ。

よいしょ。
ああ ありがとう。

あっ お帰りなさい。
ああ ただいま。

雅夫 ちょっと。

何で仕事辞めた? え?

かあさんの介護にかこつけて
逃げてるんじゃないぞ。

…ったくよ。

ほら!

おい。 ほら起きろ! え?

結婚はできないわ 仕事は続かないわ
恥ずかしくないか?

少しは俺の立場も考えろ。
このままだとお前

家族の恥さらしだぞ。

♬~

(ノック)

おはよう。

おはよう。

≪失礼します。

倉田さん ご気分はいかがですか?
大丈夫です 今日は。 はい。

吐き気もないですか? ええ 大丈夫です。
はい。

では また後から来ますので。
はい。

(ノック)
≪飯置いてあるぞ。

おやすみ。

♬~

(小声で)頂きます。

「小生って おたく何時代のお方?」。

フフフ…。

はあ…。

ただいま!

「ずっとずっと こんな感じ」。

♬~

頑張ってきたんだよ。

♬~

うっ…。

♬~

おはよう! 今日寒いぞ。
洗濯物置いとくな。 風邪ひくなよ。

よいしょ よいしょ よいしょ。
どっこいしょっと。

(戸が開く音)
いやいや 寒い寒い。

(戸が閉まる音)

おはよう。

♬~

「厳正なる選考の結果

倉田美咲さんの採用を
内定いたしましたので

ご通知いたします」。
あ…。

よかった…。

よかった…。

お邪魔しま~す。

よいしょ。

おじいちゃん。

おじいちゃん いる?

おじいちゃん?

(ノック)

おじさん? 私 就職決まったよ。

≪4月から 新宿にあるIT系の会社で
働けることになりました。

おめでとう。

ありがとう。

フフッ…。

もう… ホッとした。

でもね 私
本当は音楽系の仕事したかったの。

中学の時に
音大受験したいって言ったんだけど

お父さんが絶対駄目だって。

≪小さい頃からピアノが好きでね

本当は ずっと続けたかったんだけど

高校受験の時にやめさせられちゃった。

そっからは ず~っと偏差値が
私の価値基準。

そんなの おかしいって
思ってたんだけど

お父さんにも先生にも
「協調性が大事だ」とか言われて。

でも 就活になった途端に
「個性を出せ」とか言われて…。

♬~

おじさんが
ひきこもってるって聞いた時

私 正直驚いた。

でも何か 今
ちょっと分かるような気がする。

≪パワハラ セクハラだらけの社会で

普通に暮らしてる私たちの方が
異常かもなって。

ごめんね 何か勝手にベラベラ。

≪聞いてくれて ありがとう。

じゃあね。

≪同調圧力。
え?

何があっても
社会や学校のルールを守って

忠誠を誓うやつだけが
仲間だと認められる。

うん。

誰も社会を疑わない。

働くのは当たり前。 頑張るのは当たり前。

[ 回想 ] 申し訳ございません。
少々お待ちください。

クレーマーみたいな客に怒鳴られて

年下の正社員に ネチネチ嫌み言われて

ボロボロになるまで働いても
給料は上がらない。

正社員にもなれない。

とうとう うつになって休んだら
「もう来なくていい」って。

≪効率ばっかり求めて
優しさがなくなった この国で

俺たちの居場所って
どこにあるんだろうね。

本当は焦ってる。

同世代は みんな働いて
結婚して家庭持って。

なのに俺は ず~っと止まったまま。

毎日 夏休みの宿題が終わらないで
焦ってる8月31日。

このままじゃいけないって分かってる。

頭では分かってるんだけど…。

体が動かない。

最悪だよ。 マジ最悪。

♬~

俺… 生きてていいのかな?

♬~

こんな人間でも生きてる価値
あると思う?

「大丈夫。 誰だって生きてるだけで
価値はあるんです、 ガンバレ!」。

今日は ありがとうな。

美咲のおかげで
あいつが何を考えてるのか

やっと分かったよ。
うん。

おじさん大丈夫かな?

ああ… 気を付けて帰れよ。
うん。

♬~

≪(物音)

「もう二度と戻ることはないよ

僕はまた一歩踏み出そうとしている」。

雅夫…。 雅夫!

雅夫! まさ…!

♬~

もしもし! 美咲か?

おじいちゃん
おじさんと何があったの?

あの書き込み本当なの?

分からん! 分からんのだよ。

おじいちゃん 落ち着いて!
私もすぐ行く。

ああ 頼む。

雅夫!

雅夫!

(警笛)

雅夫!
やっぱり 父さんか。

ふざけんなよ。 何で?
何で こんな だますようなことすんだよ。

いや だましたんじゃないんだ。
どうか分かってくれ。

じゃ何で? じゃ何でこんなことすんの?
何でだますの? 何でよ!

お前と 話がしたかったんだよ!

嘘つけよ!

俺の話なんか
一回も聞いたことなかったじゃん。

いっつも兄貴ばっか。

優秀な兄貴ばっか贔屓して
出来損ないの俺は ゴミ扱い。

なあ そうじゃないんだ。
なっ 帰ろう。 おうち帰ろう!

おうち帰ろう! おうち帰ろう!

おうち…。
離せよ!

俺のハンドルネーム言ってみなよ。

知ってんでしょ? パンク先生。

カチ… ナシオ。

言ってたよね?

「お前は 生きてる価値のない
クズ人間だ」って。

[ 回想 ] ほら起きろ! え?

結婚はできないわ 仕事は続かないわ
恥ずかしくないか?

生きている価値なし!

このままだと ただのクズだ!

あんたさ そんなに偉いのかよ?

俺は
そんなに生きてる価値ない人間ですか?

ねえ。

そんなに生きてちゃ駄目なの?

あんたの期待を裏切るたんびに

俺は いっつもビクビクしてた。

生きてちゃいけないんじゃないかって…。

いっつも思ってたよ!

受験に失敗した時も
正社員になれなかった時も

仕事辞めた時も

いっつも いっつも いっつも いっつも!

もう毎日思ってたんだ!

大事に思ってたんだよ!

だから お前には
頑張ってほしかったんだよ!

ただ それだけなんだよ!
だから 嘘つくなって!

いや いい父親じゃなかったかもしれん!

でもな 俺は俺なりに
家族を大事に お前を大事に

そう 掛けがえのない息子だと
思ってたんだよ!

嘘つくなよ…。
(泣き声)

頼む。 頼むから 生きててくれ。

もう それだけでいいから。

頼む。 おうち帰ろう。

生きててくれ。

生きててくれ! それだけでいいから!

今更 何だ…。

今更 何だよ!

(せきこみ)

おじいちゃん! おじいちゃん!

おじいちゃん! 大丈夫?

おじいちゃん 大丈夫?

おじいちゃん…。

おじいちゃん がんなんだよ!

大丈夫? ちょっと待って!

今… 救急車呼ぶから。

おじいちゃん 待って。

変われなかった~。

最後まで 父親失格だな。

おじいちゃん… そんなことない。

そんなことないよ。

何もかも… 遅すぎたんだ。

おじいちゃん しっかりして!

♬~

頼むから 生きててくれ!

もう それだけでいいから!

ごめん…。

お父さん ごめん。

お父さん お帰り。 さっきは ごめん。

ごめんなさい。

ごめんなさい。

もしもし。
☎もしもし おじさん?

うん。
☎おじいちゃんが…

息を引き取りました。

うん。 分かった。

ありがとう 連絡。

「9月4日 雅夫は相変わらず小生と
目も合わせてくれない。

なぜ あんな大人になってしまったのか」。

「雅夫は毎日食って寝るだけの男。
全く憎らしい程 情けない」。

「ゴミ出しの件で雅夫と大喧嘩。

小生が強引だったか 少々反省」。

♬~

「耕平 美咲 みどりが来る。

小生の人生のタイムリミットが
迫っている。

雅夫をどう立ち直らせるか
父として 最後の大仕事」。

「兄弟分け隔てなく育ててきたつもり。

小生自身 父から厳しくしつけられ

それを手本とし
息子たちに接してきたが

今の時代には そぐわなかったのか」。

「長い間 『なぜ 雅夫だけが』と悩んだ。

だが 雅夫は 『なぜ こんな父親なのか』と
悩み続けていたのか。

小生がもっと雅夫の生き方を認めてやれば
よかったのか。

命が残り少なくなり

ようやく気付いた愚かな父を
許してほしい」。

「雅夫 父は君の幸せを願う」。

「自分が正しいと思う人生を歩み

自分らしい幸せを手に入れてほしい」。

♬~

(みどり)日にち あけない方がいいのは
十分 分かってるんですけど

喪主が海外出張中で… ええ。

葬儀は
23日以降でお願いしたいと… はい。

相談して また ご連絡します。
はい 失礼します。

はあ…。
ごめんなさい 何から何まで。

兄さんには悪いけど 三途の川渡るのは
しばらく待ってもらうしかね。

いいんじゃない? この写真で。
ねえ 笑ってるし。

いいと思う。
(みどり)引き伸ばせるよね。

(みどり)若いかな?
俺 やるよ。

(みどり 美咲)え?

やるって何を?

喪主 俺にやらしてよ。

あんたが喪主?

兄さんの学校時代の関係者や
教え子が大勢来るんだよ?

本当にやれんの?

(読経)

それでは これより
お焼香に移らせていただきます。

(読経)

ちょっと何してんの?
お焼香始まっちゃったよ。

ちょっと もう一回 電話してくる。

(読経)

終わっちゃったよ。

どうする?
どうしよう…。

ご導師 ご退席されます。
皆様 合掌をもって お見送りください。

お直りください。

それでは 遺族を代表し
喪主の倉田雅夫様より

ご挨拶申し上げます。
(みどり)すいません すいません。

喪主が間に合ってないんで
あの… なしってことで。

分かりました。

え~ 本来なら ここで喪主様から
ご挨拶を頂くところでございますが

本日は都合により
割愛させていただきたいと。

本日は ありがとうございました。

(小声で)雅夫です 喪主。

失礼しました。
倉田雅夫様 お願いいたします。

本日は…。

すみません。

本日は お忙しい中お集まりいただき
本当にありがとうございます。

父は真面目で 一生懸命な人で
教師として 父親としても

正しく立派だったと思います。

けれども 僕は
そんな父の期待に応えたい

応えなければいけないという重圧で
がんじがらめになり

動けなくなってしまいました。

父は 残された時間を

僕を支えるためだけに
費やしてくれました。

ですが もう 父は この世にいません。

ありがとうと言うことすらできません。

僕にできることは 父の分まで
精いっぱい生きることだと思います。

僕はまだ 自分が本当に望むものを
見つけられません。

これから それを探して
生きていきたいと思います。

本日は 本当に ありがとうございました。

♬~

おじいちゃんが 笑ってる。

♬~