【土曜時代ドラマ】子連れ信兵衛2(3)「おぶんの涙」おぶん(小島梨里杏)の両親の墓参りに同行した信兵衛(高橋克典)。…

出典:EPGの番組情報

【土曜時代ドラマ】子連れ信兵衛2(3)「おぶんの涙」[解][字]

おぶん(小島梨里杏)の両親の墓参りに同行した信兵衛(高橋克典)。その時に見た男が強盗の一味らしいが、男が逃げ込んだ家には老婆・おつね(中村玉緒)しかいなかった。

番組内容
おぶん(小島梨里杏)の火事で亡くなった両親の墓参りに同行した信兵衛(高橋克典)。毎年見知らぬ人がお参りしてくれているらしいが、若い男を見かけて意外に思う。その後、信兵衛は酒問屋に入った強盗の一味が、墓参りで見かけた男・捨五郎(金井勇太)だと見抜く。しかし捨五郎が逃げ込んだ家にいたのは煮売屋の老婆・おつね(中村玉緒)だけだった。実はそのおつねとおぶんの祖父・重助(左とん平)には、つながりがあった…
出演者
【出演】高橋克典,左とん平,小島梨里杏,宮田俊哉,中村玉緒,金井勇太,新井康弘,中村嘉葎雄
原作・脚本
【原作】山本周五郎,【脚本】いずみ玲
音楽
【音楽】栗山和樹

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
ドラマ – 時代劇

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♬~

(彦蔵)おい ぐずぐずするな。

♬~

≪泥棒だ!

二手に分かれるぞ。
(捨五郎)金は どうするんで?

ここで分け合ってる暇はねえ。
明日の晩 いつもの場所で

落ち合おう。
あ…。

≪誰だ!?

あっ おい いたぞ!

早くしろ!

(榎戸)うまいな~。
毎晩食べても 飽きない。

ハハハハハ うれしいねえ。

おい 鶴坊。

おめえからも
よ~く礼を言ってくれ。

なあ!

≪こっちへ逃げたぞ!

お役人様! 店の蔵に盗人が!

何!?

♬~

おう 賊は?

あっ いや それが…。

逃げられたか。

(美濃屋)捨五郎の仕業です。

そう ふたつきほど前

口入屋の世話で雇った

下働きですよ。

(源吉)そいつは 確かな話なんで?

(番頭)寝静まった部屋から
捨五郎が出ていくのを見た者が。

早々に とっ捕まえて
打ち首獄門にして下さい!

それから 番頭さん!

今すぐ 口入屋へ行って
うちで盗まれた300両

そっちで埋め合わせするよう
言っとくれ!

はあ しかし…。

(床を打つ音)
しかしも へちまもありません!

盗人を世話してよこした責めは
きっちり負ってもらいます。

ほらほら お前たち! いつまでも
ほうけた顔をしていないで

さっさと お働きなさい!

(ざわめき)
それじゃ… 店を開けるんで?

当たり前です!

♬~

<俺は松村信兵衛。

木挽町の裏長屋に住む
貧乏浪人だ。

長屋のみんなの手を借りて
男手一つで子育てに奮闘中。

おう 鶴坊 今日も ご機嫌だね>

(おぶん)きっと喜ぶわ。
先生に お参りしてもらえて。

知らなかったよ おぶんちゃんが
おとっつぁんと おっかさんを

火事で亡くしてたなんて。
私も詳しい事は知らなくて。

まだ 赤ん坊だったし
おじいちゃんに聞いても

あんまり
話したくないみたいだから。

かわいい娘と そのご亭主を
いっぺんに亡くしたんだ。

無理もねえさ。

あ… お線香が。
ん?

きっと あの人だわ。

あの!

何者だい?
分かんないんです。

毎年 お参りして下さる方が
いるんだけど

今まで 顔を合わせた事がなくて。

あんなに若い人だなんて
思ってもみなかった。

だけど うれしいわね。
忘れずにいてくれる人がいるって。

おとっつぁん おっかさん
いつも話してる松村先生と鶴坊よ。

おじいちゃんも私も
お世話になってるの。

2人からも お礼を言ってね。

いやいや 礼を言うのは
こっちの方で…。

ほい 鶴坊。

どうしちまったんだい あにぃは。

(あくび)

こんな どん詰まりで
一体 どこから どうやって…。

(あくび)

あの男 今朝方の…。

♬~

(戸をたたく音)

≪夜分にすまねえ。 ちょいと
尋ねてえ事があるんだが…。

≪(おつね)ちょっと
待っとくれやす。

お待たせして すんまへんな。

寄る年波で
足が ヨタヨタしてしもうて。

今 ここへ 男が入っていったろ?
何の話だす?

いや たった今 この家へ…。

いや ここにいるのは
わて一人でおます。

しかし 確かに この目で見たんだ。

御用の筋のお方どすか?

いや そういう訳じゃねえんだ。

もしかして ゆんべの騒ぎで
役人が ここへ?

うん まあ 今朝方早うに
何や 泥棒が入ったとかで

この辺りのうちを
しらみ潰しに回ってはるて。

ああ…。

実はな そっちも
気になっちゃいるんだが

今 尋ねてえのは 下谷の寺で
墓参りをしてた男の事なんだ。

毎年 二親の墓を
参ってくれてるってんで

娘が礼を言いたがっててな。

おい どうかしたのかい?

はい そんな人は
どこにもおりまへん。

お役に立たんと
すんまへんどしたな。

♬~

(ため息)

大丈夫かい?

やっぱり来たのか? 役人が。
俺の正体 分かっちまったんだな。

何で かばってくれる?
何で お上へ突き出さねえんだ?

あんさんは
大事なお人の眠ってるお墓へ

わての代わりに参ってくれた。
おあいこどす。

おなか すきましたやろ?

さあ お上がりやす。
温かいうちに。

まさか これ 俺のために?

また 戻ってきはるような
気がして…。

長い間 煮豆や煮物を作って
商売してたんどす。

味は悪ないはずどっせ。

いい匂いだ。

お店じゃ こんな ごちそう
いっぺんだって…。

うんめえ!

≪しじみ~!
ちょいと!

(重助)
昨日 墓参りに行ったんだってな。

誰か知らねえ男が来たって?

珍しいわね おじいちゃんから
その話するなんて。

随分 若い人で
びっくりしちゃった。

だって 私が まだ小さくて
おばあちゃんと一緒に

お参りしてた頃から
ずっとだもの。

きれいなお花 誰がくれたの?

さあ どなただろうね。

そんなにしてくれるなんて
どういうご縁の方だったのかしら。

ねえ おじいちゃん どう思う?

そんな事は
どうだっていいんだよ。

何よ 自分から聞いておいて。

私は 思い出一つないのよ。

少しは
おとっつぁん おっかさんの事

話してくれたっていいじゃない。
うるせえな。

おめえは 何も知らなくて
いいんだよ。

(おりき)おちかさんのは
うまいんだよね。

(おちか)あっ おぶんちゃん
ちょっと あんた…。 あれ?

(おたえ)とっつぁん
けんかでもしたのかい?

珍しい事もあるもんだ。

何でや… 何で 追い返したんや!

≪(赤ん坊の泣き声)

どけどけ! 危ねえぞ!

どいた 危ねえぞ!

あっ 冷たっ!

やだ! 何で そんな所
歩いてるんですか?

え… 私のせい?

墓参りをしていた男の人相風体
覚えているか?

「蛇の道は蛇」。
私が捜してあげよう。

えっ でも 旦那には
泥棒を捕まえるお役目が。

いいから。 任せておけ。

それを おつねに尋ねてみたら

知らぬ存ぜぬで
追い返されちまった。
う~ん…。

≪(源吉)それじゃ 旦那は
その墓参りの男が捨五郎だと?

≪ああ 間違えねえ。

≪(源吉)うん。
中へ入ったのは確かなんで?

≪うん。

ばあさんも
一味って事でしょうか。

う~ん…。

♬~

ああ おおきに。 もう十分です。

やっぱり
ちゃんと医者へ掛からねえと。

いや~ もう長い事
こき使てきた体やさかい。

医者でも
どうにもできまへんやろ。 ハハハ。

♬~

捨五郎だな?

あっ いやいや待て。
御用の筋には違いないのだが

その前に 一つ聞きたい事が。

≪(榎戸)あっ やめろ!

何をする! 痛っ!

やめろ!

やめなはれ! あっ あっ…。

あっ 待たんか!

♬~

あら あらららら。

いい男が台なしだな。

旦那 いや
今日ばかりは昔に戻って

坊ちゃんと呼ばせてもらいやす。

一人で功を焦ったところで

一体 何ができると
思いなすったんですかい?

坊ちゃん。
それは…。

上役に だいぶ
お目玉食らったんだよな。

か~っ 情けねえ。

亡くなったお父上に
合わせる顔がねえや。

いいとこ見せたかったんだよな
おぶんちゃんに。

おぶんちゃんに?

あげくの果てが このざまだ。

(笑い声)
面目ない。 アイタタタタ…。

それで
おつねは 何て言ってんだい?

泥棒といっても 盗んだ金を
持っていた訳ではないし

自分は 何も知らないと。

金は 片割れが持ってったに
違えねえ。

どうも 捨五郎は いいように
使われた気がしやすね。

うん。

あっ あんさん ゆうべの…。

(鶴之助の声)
お~っとっとっと。

よしよし いい子にしてな。

さあさあ どうぞ。
ああ すまねえな。

あんさんのお子どすか?

ああ。 鶴之助っていうんだ。

ハハッ。

あのころの おぶんちゃんも
ちょうど

この 今の鶴坊ぐれえだったんじゃ
ねえのかな。

20年ばかり前
その おぶんちゃんって子の

おとっつぁんと おっかさんが
火事で焼け死んだ。

その2人の墓参りを 今も 毎年
欠かさずにしてくれてるのは

おつねさん
あんたじゃねえのかい?

ところが 足腰が弱っちまって
今年ばかりは どうあっても

坂の上の墓まで歩けねえ。

それで あの捨五郎に代参を。

(ため息)

やつは盗人だと分かってて
かくまったのかい?

わては 何にも聞いてまへん。

♬~

≪おう 賊は?

≪(榎戸)あ… いや それが…。

≪逃げられたか。

(おつね)悪い人には見えんかった。

けど あんさんの言わはるとおり
わてにとっては

渡りに船やったんどす。

朝まで ここで隠れてたらよろし。

そのかわり わてにも
頼まれてほしい事がありますねん。

何があっても 年に一度の墓参りを
欠かしちゃならねえ。

おめえさん それほどまでに
死んだ2人を大事に思って…。

わてはな 首をくくって
死のうと思たんどす。

一旗揚げようと思て
上方から出てきたいうのに

商いの ままならんうちに
亭主が死んでしもうて…。

(おしま)おばちゃん お裾分け。

(悲鳴)

(弥助)おいおい おい!

何やってるのよ おばちゃん!
死んで何になるの!

どんなにつらくたって 生きてりゃ
きっと いい事がある!

明日のてめえを信じなくて
どうすんだよ!

弥助さんと おしまちゃん
2人とも まだ若うて

初めて会うた時は 2人が
所帯を持ったばっかりやった。

そんな若い2人が かわるがわるに
そりゃ もう親身になって…。

あ… ありがとう。

(おつね)それで おしまちゃんに
手伝うてもろて

煮売屋を始めたんどす。

2人に女の子が生まれた時は
そら もう

自分の孫ができたように
うれしいて。

それが おぶんちゃん…。

会ってやってくれねえか
おぶんちゃんに。

会って おとっつぁんと
おっかさんの思い出話を…。

会うたら
恨みをぶつける事になりますえ。

恨み?
おしまちゃんの父親を

わては どうしても
許す事ができまへんのや。

重助をか?

≪(おつね)
あの父親が意固地やさかい

あんな事に…。

死なんでもええ若い2人が

乳飲み子を残して 火に巻かれて

みすみす
命を落とす事になったんどす。

(おつね)そやさかい わては

毎年 朝一番に
お墓へ お参りに行って

誰とも顔を合わさんようにと。

♬~

会わん方がええのや
会わん方が…。

どうしたんですか? その顔。

いや その…
ちょっと 捕り物騒ぎがあって。

そういえば さっき お役人が
泥棒を取り逃がしたらしいって

みんなが。
あれ 旦那の事だったんだ。

早耳だな。
でも おぶん殿との約束は

ちゃんと。
ん?

役向きに関わる事ゆえ
詳しくは話せんのだが

例の男 ただ 頼まれて
墓参りをしていただけらしい。

頼まれてって 誰に?

橘町で煮売屋を営んでいた
おつねという女だ。

煮売屋の おつねさん?

うん…。

(ぶつかる音)

しっかり!
足元 危ねえよ!

うるせえ おめえ!
酔ってねえよ!

(竹造)しっかりしねえな
とっつぁん。

酔ってねえってんだよ!
それが とっつぁん

酔ってるって事よ。

おぶんちゃん! おぶんちゃん!
早く 早く!

とっつぁんが…。
おじいちゃん!

一体 どうしたっていうの?
こいつらが うるせえんだ。

俺は 酔ってねえってんだよ。
いやいや 酔ってる 酔ってる。

酔ってるよ。

(いびき)

(戸が開く音)
悪いけど 今夜はもう…。

あんた…。

捨五郎…
おめえ 何で ここに?

あにぃに声をかけられたのは
この店で飲んだ帰りだった。

ほかに何の手がかりもねえから
当たりをつけて来てみたら…。

だました訳じゃねえんだ。
ほとぼりが冷めたら

半金の150両
ちゃんと渡すつもりで…。

もう いいんだ。

奉公人をいたぶる美濃屋の旦那の
鼻をあかしてやれって

あんたに そう言われて つい
その気になっちまったけど…。

もういいってんなら
一体 何の用だ?

やっぱり 金じゃねえのか?

かくまってくれた おばちゃんに
礼をしてえ。 それだけなんだ。

金は まとめて隠してあってな

今は これっきゃねえが
また 改めて…。

いいの? ほっといて。

あの野郎。

へえへえ ちょっと… ちょっと
待っといておくれやっしゃ。

あああ… ああ… ああっ あ…。

おめえさんかい あのまぬけな
捨五郎をかくまってやった

奇特な ばあさんってのは。

この裏手で 役人と盗人の
立ち回りがあったって噂で

すぐに分かったぜ。
どこへ行ったんだ? 捨五郎は。

ひっ… 知りまへん。
ほんまに 知らんのどす。

もともと お互い
ただの通りすがりどすさかい。

あいつは ばか正直な男でね

その通りすがりの恩ってのを
返さずにいられねえ性分なのさ。

ほら 正直に しゃべっちまいなよ。

あかん…。

はっ!

おぶんちゃん
何で… 何で こんなとこへ…。

知ってるんですね 私の事。
おぶんって 私の名を…。

(戸が開く音)

おつねに会ったぜ。

20年前 何があったかは知らねえ。

けどな とっつぁんが
おぶんちゃんには

何も話したくねえというんなら
それでいいと思うぜ。

おぶんちゃんを あんなに
気立てのいい子に育てたのは

とっつぁんだ。

とっつぁんの考える事に
間違いはねえさ。

さてと… おぶんちゃんに

うめえ みそ汁でも
こさえてもらうかなっと ヘヘヘ。

そういや 今朝から
おぶんの姿が見えねえな。

信の字。
おう。

ちょいと見てもらいてえものが
あるんだが。

うちへ放り込んであった。

誰だか知らねえが その金で
煮売屋のばあさんの体を

診てやってほしいというんだ。

おめえさんだったら
こいつを どう絵解きする?

威勢のいい ねえちゃんよ
もういっぺん かかってきねえ。

この子には
何の関わりもあらしまへん。

堪忍しておくれやす。

顔を見られた以上
生かしちゃおけねえ。

覚悟しな。

ああ…。
はっ!

そんなに地獄に行きてえのか。

やめておくれやす!
やるのやったら わてを!

汚え手を その子から離しやがれ。

先生…。

うわ~っ!

うっ!

♬~

てめえだな?
捨五郎をそそのかして

美濃屋の金蔵
荒らしやがったのは。

捨五郎の口を
塞ごうって肚だろうが

やつは ここには来ねえぜ。

ばあさんの療治代 医者に渡して
消えちまった。

てめえ 何者だ?

俺は ただの そば屋だよ。

(彦蔵)そば屋だ?
ああ。

1杯16文のそばを こつこつ売って
その金で赤ん坊を育ててる。

高望みさえしなきゃ それで
十分 食っていけるもんだぜ。

そいつを そのまま 美濃屋に
言ってもらいてえもんだ。

てめえばかり贅沢して

ほかの者は みんな
ごみくず扱いしやがる。

たかが300両もらって 何が悪い!

恨みがあんのか? 美濃屋に。

どうやら ただ金が欲しくて
やった訳じゃなさそうだな。

おう 何でえ その恨みのもとは。

てめえに何が分かる!?

彦蔵だな!
美濃屋押し込みのかどで召し捕る。

源吉 縄を打てい!
へい!

おらっ 神妙にしろい!

遅えよ。 おぶんちゃんに いいとこ
見せらんなかったじゃねえか。

それが 出ようとしたところへ
捨五郎が現れまして。

なるほど。

野郎 はなっから
自訴する気で…。

はい。

おぶん!

おじいちゃん…。

ありがとうございました。

心配要らねえ。 ばあさんの足は
養生すれば治る。

それじゃ ちゃんと歩けるように?

え? ああ 歩けるよ。

おつねさん
改めて 礼を言わしてもらうぜ。

毎年 欠かさず
娘夫婦の墓に参ってくれて

ありがとうな。

いや 絵師なんかと一緒になったら
苦労するばかりだって

何回も言っても
言う事をきかねえ おしまに

つい かっとなってよ。

「親を見捨てるつもりだったら
勝手にしやがれ」って…。

(重助)口答え一つした事のねえ
娘だった。

(鶴之助の声)

女房に似て器量よしでね

いいお店から
お嫁に来てくれねえかって

言われた事は
一度や二度じゃなかった。

いつまでも おしまを 手元に
置いておきたかったんだよ。

ま 正直に言やあ
もっと いいところから

お声が
かかるんじゃねえかっていう

欲もあったからね。

おしまが 弥助と出ていってから
1年ばかりたって

女房が言った。
赤ん坊が生まれたから

会ってやってほしいって。

顔なんか見たかねえや!
追い返せ!

追い返せって…。
ちょいと お前さん!

(重助)うるせえ!

(おつね)あの日
帰ってきた おしまちゃん

言うてはったんや。

(おしま)
本当に 意地っ張りなんだから。

今日は 許してくれなかったけど

次は きっと
この子を抱いてくれる。

おとっつぁん そういう人だもの。

ねえ おぶん。

まさか…

まさか それっきりに
なっちまうなんて…。

(おつね)
ちょうど その晩の事どした。

長屋が火事に巻き込まれて…。

えっ あっ…。

(赤ん坊の泣き声)

誰か! おつねさん!
こいつを頼む!

おしまちゃんは!? おぶん庇って
火に のまれたんだ!

必ず助ける! 待っててくれ!

(おぶんの泣き声)

♬~

何でや… 何で 追い返したんや!

(泣き声)

(重助)
悔やんでも悔やみきれねえよ。

おぶん すまねえ。 俺のせいで

おめえの おとっつぁんと
おっかさんが…。

おじいちゃん…
今まで 一人で苦しんできたのね。

私の前では涙を見せずに…。

いつも どこで泣いてたの?

おぶん…。

あ… あ…。
おお どうした?

それかい?

これは…。

この絵 おとっつぁんが?

おとっつぁん… おっかさん…。

♬~

では 捨五郎は
ただ言われるままに

盗人の手伝いを
させられていただけだと

こう おっしゃるんで?
そのとおり。

それじゃ 一体 誰が?

たくらんだ者は 彦蔵という名だ。
覚えはないか?

ふんっ そんな輩の名など。

即刻 打ち首獄門にして下さい!

知る訳もない。

お前は 一度として 彦蔵に
会った事さえないのだから。

30年前
外へ囲っていた女がおろう。

その女が みごもった時
お前は 雀の涙に等しき金で

母子を見捨てた。

で… では?

彦蔵は その時 生まれた
お前の子だ。

♬~

ありがとうございました!
松村先生のおかげで

なんとか
面目を保つ事ができました。

あ~ 上役にも褒められたんだろ?
よかったじゃねえか。

は~ 旦那は 先生がいないと
お手柄が上げらんないんだね。

だらしないねえ。 しっかりおしよ。

しかも 事情を知らず
余計な事を伝えたせいで

おぶん殿を危ない目に。

平気よ 私。 助けに来てくれるって
信じてたもの。

え?

もちろん 先生がよ!

(笑い声)

よし それじゃ 今日は
旦那のおごりで

だんごでも食うか!
いいね!

よ~し 行こう 行こう 行こう!
よ~しよしよし。

おごりは ちょっと…。
いいじゃねえか。

行こう 行こう 行こう
よ~し 行こう!

頼みたい事がある。
島帰りの男の事よ。

どうあっても 捕らえて
お上の威信を示さねば。

用心棒?
大丈夫かしら 榎戸の旦那。

罪を許す訳にはいきません!

心一つで
正義を守ろうとしてるんだぜ。

♬~

♬~

♬~

♬~