【土曜ドラマ】ノースライト(前編)「消えた家族」[解][字]…のネタバレ解析まとめ

出典:EPGの番組情報

【土曜ドラマ】ノースライト(前編)「消えた家族」[解][字]

建築士・青瀬(西島秀俊)にY邸設計を依頼した吉野(伊藤淳史)の一家が、完成から一年たってもY邸に引っ越していない事が発覚する…

番組内容
「あなた自身が住みたい家を建てて下さい」それがY邸の依頼人・吉野陶太(伊藤淳史)が、建築士・青瀬稔(西島秀俊)に託した唯一の注文だった。バブル崩壊後、妻・ゆかり(宮沢りえ)とも別れ、流れ作業で仕事をしてきた青瀬にとって又とない機会だった。青瀬は所長・岡嶋昭彦(北村一輝)の応援を受け、全ての思いを託してY邸を完成させる。だがその一年後、吉野一家がY邸に引っ越していない事が発覚する。
出演者
【出演】西島秀俊,北村一輝,田中麗奈,柄本時生,田中みな実,井之脇海,長澤樹,竹財輝之助,池田鉄洋,戸田昌宏,でんでん,徳永えり,勝矢,春海四方,梅沢昌代,山口果林,李千鶴,宇都宮太良,川口和空ほか
原作・脚本
【原作】横山秀夫,【脚本】大森寿美男
音楽
【音楽】稲本響

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

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  1. 吉野
  2. お前
  3. 青瀬
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  5. 椅子
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  7. 家族
  8. Y邸
  9. 日向子
  10. ママ
  11. 岡嶋
  12. 子供
  13. コンペ
  14. 一緒
  15. 仕事
  16. 九官鳥
  17. 電話
  18. 能勢
  19. 繁田
  20. ノースライト

解析用ソース(見逃した方はネタバレ注意)

   ごあんない

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(青瀬)<「渡り鳥は
渡らねえと死んでしまうんだ。

うちらと一緒でな」。

昔 おやじに言われた言葉だ。

建築士も いろんな土地を渡りながら

巣作りをするのが
習性なのかもしれない。

10年前に この国のバブル経済がはじけ
大きな設計事務所を追われた俺は

確かに 生きてるとは言えなかった。

建築士のプライドも 家族も失った>

<大学の同期だった この岡嶋が経営する
小さな事務所に拾われて3年。

ようやく また建築士として
生きられると思い始めていた>

(鳥の鳴き声)

(岡嶋)ん? 着いたか?
まだだ。

おい だったら寒いよ。
俺の二日酔い 責めてんのか?

鳥の声が聞こえたんだ。
鳥?

ヒガラだ。 シジュウカラに似てるけど
これは ヒガラの鳴き声だ。

(鳥の鳴き声のまね)

(鳴き声)

お前 そういう人種だったっけ?

岡嶋には分からないだろうな。

鳥の声に
孤独が癒やされるなんて気持ちは。

お前は好きで孤独になったんだろう。
どういう意味だよ?

あ~ なるほどね。

青瀬は 確かに
鳥に似てるかもしれないな。

別れた妻からも
人類じゃなくて鳥類だと思われてたよ。

え? ああ~。
何だよ。

♬~

これ 屋根勾配 何寸だ?
2寸5分だ。

やっぱ あの煙突 目にくるな。

光のチムニーって
「200選」で絶賛してたな。

「四方向の光を仕分けし

しかも 雪が吹きたまらない
奇跡の造形」だっけか?

屋根職人泣かせだわ 本当に。

実際 泣いてた。 金もかかった。

まあ おかげで
ノースライトを全身に取り込めたわけだ。

まさに 光を集める画期的な発明だな
あのチムニーは。

(竹内)お帰りなさい。
ただいま。

(石巻)お疲れさまです。
どうでした? 大阪。

はい 八つ橋。
え? 八つ橋は京都じゃないですか。

ご苦労さん。
(マユミ)青瀬先生 ゆうべはホテルですか?

領収書あります?
ない。 施主の家だ。

細かい話は全部ジャンプで
酒盛りに つきあわされたよ。

で 施主のプランは?

土地は自前で 予算の上限が4, 000。
親の遺産が入ったんだと。

いい親 持ったな。 要望は?

早い話 信濃追分のコピーを欲しがってる。

はあ~ 赤丸急上昇中のY邸ってことか。

まあ そういうことだ。

この「200選」を見たってことですね。

やっぱ強えな この手の本は。

(石巻)しかし 羨ましいですよ。
何がだ?

Y邸ですよ。 こうやって 次々と
人の目に留まって評価されて。

代表作ってのは こうやって
生まれてくるもんなんだなって。

そんな大層なもんじゃないだろう。

(竹内)だけど意外でした。

青瀬さんは もっと筋金入りの
リアリストだと思ってましたから。

リアリスト?
妥協ばかりしてるってことか?

そういうことじゃないっすよ。

何か 仕事に対する姿勢が
いつもと違ったのかなって。

青瀬は 常に変わり続けるんだよ。

竹内君 お茶でもいれてきなさいよ。
すいません。

あんたは リアリストにはなれないよ。

参ったな~。

俺には こんな奇抜な家を提案する
度胸もロマンもないですからね。

建物は造れても
作品は造れないって感じかな。

それって悪口だろ。
いや 違いますよ。

そういえば 依田さんの奥さんが
変なこと言ってたな。

依田さん?
お前の依頼主だよ 浦和の。

やっぱり「200選」見たっていう。

見学に行ってきたらしいんだよ
そのY邸に。

そしたら
誰も住んでないみたいだったって。

誰も住んでない?
うん。

そんなわけないだろう。

(チャイム)

やっぱり住んでないのか…。

別荘みたいに使ってる
ってことじゃないのか?

それならそうと最初から言うだろ。
表札も出してないんだ。

ほとんど電気は使われてないみたいだ。

留守でも もっと
メーターは動くはずだよな。

冷蔵庫とかあれば。

依頼主は
ここに住みたくて建てたんだよな?

<それは 初めから奇妙な依頼だった>

(吉野)信濃追分に 80坪の土地があります。

建築資金は 3, 000万円まで出せます。

全てお任せします。 青瀬さん

あなた自身が住みたい家を
建ててください。

私が?

≪☎

あっ… ほら 鳴ってる。
電話はあるんだよ。

何度かけても留守電だ。

まさか 家の中で…。

(ノック)

おい ちょっと待て!

何だ? これ。
誰かが こじあけようとしたのか?

泥棒かよ。

警察呼ぶか?
いや まずは確認してからだ。

いや お前 入るのかよ?
おい おい…。

おい。
絶対 泥棒だよ お前。

いや 強盗かもしれんぞ お前
強盗殺人とか…。

バカ言うな。
念のため 足跡は踏まないようにしよう。

おいおい…。

≪(鳥の鳴き声)
おっ! びっくりした…。

カケスだ。 カラスほど不吉じゃない。

≪(カケスの鳴き声)
さすが鳥類だな。

♬~

電話以外 そっくり盗まれたってことか。

いや 最初から何もなかったと見る方が
自然だろ。

引き渡して もう4か月たつんだろ?

≪(カケスの鳴き声)

≪(カケスの鳴き声)

くう~! これが自慢のノースライトか。

浅間山が絵のように見えるな。

ノースライトなんです。
ノースライトですか?

あえて北向きに家を建てて
北からの光を取り入れるんです。

画家のアトリエのように
とても やわらかで

物静かな光になるんですよ
ノースライトは。

いいですね。

<吉野さんには 女の子が2人と
末っ子の男の子がいた。

子供の頃のうちの家族と同じだった>

<ここで5人家族が暮らすことを想像して
俺は この家を建てた。

それが 俺の設計意欲をかきたてた>

♬~

<昔 家族で渡り歩いたダムの飯場は

どこも不思議と
北側の壁に 大きな窓があった>

♬~

<吉野さんは
気に入ってくれていたはずだ。

このノースライトの家を>

おっ! 気を付けろよ。

すばらしいですね。

(香里江)こんなうちに住めるなんて
夢みたい。

<それなのに…>

はい チーズ。
(シャッター音)

<なぜ あの家族はいなくなった?

ここに 椅子を一つだけ残して…>

おお ようやく 家具発見か。
ああ。

とても座り心地がいい椅子だ。

青瀬。
ん?

これって タウトの椅子じゃないのか!
タウト?

ブルーノ・タウトだよ!
ブルーノ・タウト!

何で 昔のドイツの建築家の椅子が
ここにあるんだよ?

そのタウトが 戦前 日本にいた時に
作った椅子かもしれないぞ。

まさか。
いや~ 何か本物くさいぞ。

こういうの見たことある。

どこで?

どこだっけ… 忘れたけど。

お~ ほう ほう ほう…。

警察に任せた方がいいんじゃないか?

今のところ 警察が何をしてくれる?

一家蒸発だけじゃ弱いか…。

でも 依頼主が
危ない目に遭ってる可能性だってあるぞ。

事情があって 引っ越しが
遅れてるだけかもしれないだろ。

吉野さんの仕事は?

輸入雑貨の卸をしている会社にいると
聞いたが

ネット通販の勉強をしてるとも
言ってたよ。

独立を考えてるって。

でも 金は持ってんだよな?

Y邸だって 借り入れなしで
全額払ってるもんな。

その割には かなり年季の入った
借家に住んでたけどな。

それじゃ ますます
犯罪がらみか借金がらみってところか。

もし そうだと分かったら
あんまり深入りするなよ。

何でだ? 今 大事な時期なんだよ
うちの事務所にとって。

面倒は困るんだよ。
何だよ? 大事な時期って。

まあ…。
お待たせしました。

あ~ すいません。

ご主人 私のこと覚えてますか?

ええ。 前に何度か
おいでいただきましたわな。

その時 私と一緒にいた
40歳ぐらいの男性 覚えてますか?

あれから ここに来たということは
ないですかね?

ああ 一度おいでになったわな。
来た? いつごろですか?

3か月ぐらい前ですかね…
背の高い奥さんと一緒でしたな。

どうぞ ごゆっくり。
すみません どうも。

どうした?

お前 会ったことなかったか?
吉野さんの奥さんを知ってれば

誰に聞いても
背が高いなんて印象は残らないはずだ。

だったら 別の女か?

不倫相手か?

不倫相手と住むつもりで
あの家 建てたってことか!

うれしそうに言うな。
だったら 奥さんと一緒に依頼するかよ。

お前じゃないんだ。
おい どういう意味だよ お前。

俺が まるで お前 堂々と
不倫でもしてるみたいじゃないか お前は。

いや 別に…。 とにかく Y邸は
吉野さんのために建てたんだ。

吉野さんが住まなければ
Y邸は完成しない。

それは あれか
別れた自分の家族の代わりってことか?

どういう意味だよ?
いや 別に…。

(能勢)ゆかりさん!
やっと来てくれましたね。

(ゆかり)こんにちは。
お久しぶりです。

お久しぶりです。 どうぞ。

今は こぢんまりと
こんな感じでやってますよ。

すごいじゃないですか。

今の時代
成功している設計事務所は少ないもの。

バブルのあとも 能勢さんが
実力を示されたからですよ。

ありがとうございます。

いや~ ゆかりさんに認めてもらえると
本当に安心します。

あっ どうぞ。
はい。

(能勢)鳩山君。
(鳩山)はい。

で これが今回の藤宮春子の資料です。
ああ。

この人の絵 私も大好きです。

僕も大好きです。

あっ 彼が今回のコンペのリーダーです。

鳩山です。
青瀬です。 よろしくお願いします。

よろしくお願いします。

(能勢)まだ青瀬なんですか?
ああ。

仕事の時は 今でも青瀬なの。

離婚したことを わざわざ
触れ回ることもないでしょ。

まあ そうですね。
下心で寄ってくる男の

魔よけにもなりますしね。
おいおい…。

そんなことは考えてませんけど。

もともとの青瀬さんは どうしてます?

さあ… どうしてるんでしょうね。

(能勢)全然会ってないんですか?

娘は会ってますよ。 月に一度。

(日向子)ねえ 大丈夫?

ん? 何が?

(日向子)今 別のこと考えてたでしょ。
いや そんなことないよ。

仕事のこと考えてた?

そんなこと考えてないよ。
せっかく日向子と一緒にいるのに。

うそ。 ママが言ってたもん。

「パパは 目の前にいるのに
ここにはいない時がある」って。

いつ そんな話 聞いたんだ?
私が子供の時。

子供の時? よく覚えてるな。

ねえ パパって鳥類なんでしょ?

え? そんなことも覚えてるのか。

それは 最近聞いたの。

ママに… どうして パパと
離婚したのかって聞いた時に。

パパは渡り鳥だから 同じ場所に
ずっとは住んでいられないんだって。

そんなこと言ったのか…。
そうなの?

さあ… ただ パパは子供の頃
そういう生活をしてたからね。

日向子のおじいちゃんが
渡りの仕事をしてたんだ。

わたり?
日本中を渡り歩くことだよ。

ダムを造ってたんでしょ?

そう。 いろんな山の中を渡り歩いてた。

(年雄)みんな 足元 気を付けろよ。
は~い。

(年雄)さあ もう少しだ 頑張れ。
は~い…。

♬~

ねえ 建築の仕事って そんなに面白いの?

そうだな…。

青瀬さん あなた自身が住みたい家を
建ててください。

ああ… そういえば あれ どうした?
あれ?

この前 話してたろ…
変な電話が かかってくるって。

あっ かかってこないよ もう。
そうか。

知らない男の人から
ママに電話がかかってきたって

もう気にしないから大丈夫だよ。

そうか… ごめんな。

何で パパが謝るの?
ああ いや…。

パパが建てた家 見てみたいな。

<日向子は 時々
私に甘えているようで 実は

私の願望を
見透かしているように思えてならない>

ママに伝えることある?
いや 別に。

じゃあ 元気だったって言っとくね。

またね パパ。
また。

♬~

ただいま。
あ お帰り。 どうだった?

うん いつもと同じだった。

♬~

☎「ご用件をお話しください」。

☎今日は お疲れさまでした。

日向子 とっても喜んでました。

来月も また第3土曜日でお願いします。

(電話を切る音)

♬~

終わりってことだよね?

はあ…。

ああ…。 はあ…。

<俺は 仕事の合間に 吉野さんを捜し始めた>

<吉野さんが 家族で住んでいた町には
下町風情が色濃く残っていた。

人と人の近さを見る度

子供の頃のダムの飯場も
こうだったと思う>

♬~

(ノック)
ごめんください 吉野さん。

(ノック)

すみません お隣 留守ですかね?

(村田)知らねえってば!

吉野さん 捜してるんですけど。
だから 知らねえって言ってんだろ!

つきあい なかったんだよ。

あの 前にも誰かに聞かれたんですか?
は?

あんた
あの男の仲間じゃなかったのかい?

それは どんな男でしたか?

堅気じゃねえや あれは。

目つきが悪くて ガタイよかったな。
おい!

(村田)あっ そうだ
指に ギプスしてたよ 3本も。

ギプスを…。

借金取りですかね?
そんなこと分かんねえよ。

あんただって 初め そう見えたんだから。

あの 吉野さんが引っ越されたのは
3か月ぐらい前だったんですよね?

ああ。

背が高い女性が
訪ねてくることはなかったですか?

そんなこと言われても分かんねえよ。

奥さんがいなくなってから
女っ気なかったと思うけどな。

奥さんがいなくなった?
うん。

だいぶ前から
旦那が一人で住んでたみたいだよ。

引っ越す時も 家族は見なかったしね。

借家には 吉野さんが一人で住んでた?

だいぶ前からだと言っていたが

俺は 11か月前に あの家で
奥さんと子供に会ってるんだ。

いなくなったとしたら そのあとだろう。

奥さんと子供が
先に出てったってことか?

やっぱり 何かトラブルがあったんだ。

ギプスの男が それに絡んでるのか…。

吉野さんは 何らかの事情で
家族でY邸に住むことができなくなった。

いや だけど
引き渡す時に家族いたんだろ?

おっ! 気を付けろよ。

こんなうちに住めるなんて 夢みたい。

ああ。 だから分からないんだよ。

俺の建てたY邸が
あの家族を壊したのか…。

♬~

何だ?

家にあった
タウト関係の本を持ってきたんだよ。

俺はさ あの椅子が
妙に気になって しょうがないんだよ。

どこで よく似た椅子を見たか
思い出したか?

いや… それは まだ。

<Y邸にあった椅子が
本当に タウトの椅子であったとしたら

それは 吉野さんを捜す
手がかりになるのだろうか>

<第2次世界大戦前夜
ドイツの建築家 ブルーノ・タウトは

ヒトラー率いる
ナチの弾圧から逃れるように

日本に亡命した>

<タウトが 伴侶のエリカと共に 2年余り暮らした家が 今も残されている>

♬~

(池園)
「ICH LIEBE DIE JAPANISCHE KULTUR」。

「我 日本文化を愛す」。
タウトの言葉です。

あっ… すみません。 地元の関東日報で
記者をしています池園といいます。

近々 タウトの特集紙面を組むので
ファンの生の声を集めているんです。

すいません 私は
タウトファンというわけではないので。

そうですか。
じゃあ たまたま こちらに?

ちょっと調べたいことがあって。
調べ事?

椅子のことなんです。
椅子?

タウトの椅子ですか?
そうです。

ここにもあると聞いたんですが。
はい。 ご案内しますよ。

どうぞ こちらへ。

これですね。

これですか…。
捜している椅子と違いますか?

タウトは 日本滞在中

いろいろな家具や工芸品を
デザインしてますから。

どんな椅子なんですか?
ああ 写真があります。

なるほど…。
本物でしょうか?

この写真だけでは…。

タウトは 日本人に
工芸を教えていたんです。

だから タウトが指導するために描いた

デッサンや設計図が 何枚も残っていて

乱暴に言ってしまえば それをまねて
誰が いつ どこで作っても

タウトの椅子というふうに
言えちゃうわけですよ。

なるほど。 本物かどうか
見極めが難しいということですね。

青瀬さん
その椅子の裏側は見てみましたか?

いえ。
この「タウト井上」印があれば

いわゆる本物ですよ。

タウト井上印?

井上房一郎という人が こっちで
タウトの世話をしていまして

その人が売ったものという印に
なるわけです。

♬~

<タウトの印は どこにもなかった>

☎「ただいま留守にしております。
ご用件のある方は…

メッセージを再生します」。

☎(留守電)岡嶋設計事務所の…。

<誰かが 電話の留守録を聞こうとしている>

☎(留守電)「申し訳ありません。
お話ししたいことがあるので 一度…」。

もしもし 吉野さんですか?

☎(かすかな風の音)

青瀬です。

吉野さん どうしたんですか?

皆さん無事ですか? 今 どこです?

教えてください。 今 どこ…。
(電話が切れる音)

♬~

う~… よし よし よし。

おおっ…。

おりゃ~ おりゃ~…。

おりゃ~! (一創)ああ~。
ハハハハハ…。

まだまだだな。
(一創)もう一回 もう一回!

もう一回? もう一回。
よし いくぞ。

いくぞ よ~い…。

(チャイム)

ああ… はい。

何だよ もう昼だぞ。
さっき寝たんだよ。

あっ 吉野さん 生きてたんだって?
よかったじゃないか。

確証はない。

まあ とにかく乾杯しよう。
え?

いいだろ お前 日曜日ぐらい。
おい。

あ… ちょっと待ってくれ。
これ使ってくれ。

お前 男が こんな ちまちま
江戸切子で飲んでも

ビールの味は変わらんだろ。

子供の頃 食器は全部
割れないもの使ってたんだ。

引っ越しばかりしてたから
ものを壊して無駄にしないようにってな。

渡りの生活か。

ダムの子は 繊細なグラスで

浴びるほど酒を飲む大人に
なりましたってか。

今は 1日1本 缶ビールを飲むだけだ。

家族は壊しても
このグラスだけは壊しません。

何しに来たんだ? お前。
ハハハ。

まあ 乾杯だ。
おう。 おう。

あ~ うまい。

おっ 役に立ったか? これ。

ああ…
少なくとも タウトに興味は持った。

「我 日本文化を愛す」か…。

俺は これまで
そういうものを避けてきたのかもな。

生前 タウトは 死んだら この少林山に
骨を埋めてほしいと言っていたそうです。

願いは かないませんでしたが
トルコで没したあと

伴侶のエリカが はるばる
デスマスクを届けにやって来たんです。

海を渡って
ここまで戻ってきたんですか?

ええ。

タウトは 死ぬまで
故郷を持てなかったんでしょうか。

そのかわり エリカ夫人が
そばにいてくれたんですよ。

エリカは奥さんじゃないけどな

タウトは亡命する時
女房と子供を ドイツに残してきた。

だからって不倫じゃないぞ。
あの2人は同心梅だったんだ。

ドウシンバイ?

中国の梅だ。
1つの心に 2つの花が咲くって意味だ。

一心同体のことか。
つまらない言い方するなよ。

いいか? 同じ心を抱く2つの体だ。

いるんだよ 世の中には。
色恋とは別の次元で

心がこう… シンクロする相手が。

結婚とか離婚とか関係なくな。

離婚は関係あるだろ。

別れてから
シンクロする相手だっているさ。

まだ諦めなくていいんじゃないのか?
青瀬。

大手を辞めてから くすぶって
惰性で仕事してたお前も…。

痛っ…。
あのY邸を建てられるようになったんだ。

家族だって どうにかなるかもしれないぞ。

今更 どうにかなるもないだろ。
終わったことだ。

また そうやって逃げる。
は?

お前と事務の津村マユミは
どうなんだよ。 は?

そういう げすなうわさがあることは
知ってるよ。

お前まで信じたか。

昔のお前を知ってるからな。

女にも建築にもルーズだった頃の。

同心梅だ。
あいつが ちっちゃい時から知ってるんだ。

兄妹 家族に近い。

それじゃ お前が死んだら どこに帰る?

は?

ああ いや… 気にするな。

あっ 青瀬 今日はな
大事な話があって来たんだ。

大事な?
何か そんなこと言ってたな。

ほら 座れ 座れ。

市が 建設を予定してる
藤宮春子メモワール。

その指名業者の一社に
地元のうちが入った。

本当か? コンペか?

ハハハ… そうだ。
コンペに参加するんだよ。

藤宮春子メモワール… 記念美術館か。

みんなには 明日話す。

うちにとっては マイナーからメジャーに
昇格する絶好のチャンスだ。

かなり むちゃして指名を取ったんだ。

どうしても勝ちたい。 力 貸してくれ。

当たり前だろ。

言いにくいが…
俺に力を貸してほしいんだ。

どういう意味だ?

お前はお前で プランニングしてほしい。
出来たら 俺のと突き合わせる。

俺のでは勝てないと踏んだら
お前のアイデアを 俺のに取り込む。

つまり あくまで お前の作品ってことか?

一つでいい。 俺も遺したいんだよ。

遺したいって お前
そんな年じゃないだろ。

お前はいいよ もう遺したから
焦らずにいられる。

お前が死んだら 帰る家は
もう決まってるんだよ。 あのY邸だよ。

何言ってんだよ。
違うか?

お前が デスマスクをかぶる瞬間
心が向かう家だ。

自分が生み出した
自分の魂が乗り移った場所に

帰りたがるに決まってる。
俺たちは みんなそうだよ。

お前にはあるが 俺にはないんだよ。

俺のためだけじゃない。

一創に遺したいんだ。

一創君に?

俺が建てたんだって
息子に 胸を張って自慢したいんだ。

一創君は まだ小学生だろ。

そのころの父親の記憶は
一番 鮮明に残るだろ?

一生に一度でいい。

そういうものを創りたいんだよ。

♬~

[ 回想 ] や~い ダムの子!

(3人)やった~!

よし オッケー。
そこ そこ ゆっくり下ろせ。

はい ケンジ そっち持て。

よいしょ 上げるぞ。 せ~の ほい…。

(年雄)お前は
独りぼっちなんかじゃねえぞ。

お天道様だって うちのお客さんだからな。

♬~

稔よお ダムはな

神さんの手みたいなもんよ。

山に降った雨も雪も
一滴残らず 集めてためて

みんなに大盤振る舞いするんだからよ。

ジャ~ン!

「藤宮春子メモワール」よ。

おっ コンペですか! 燃えるな~。

よ~し とことん やりましょう!
しばらく家に帰れないな。

リーダーは所長だ。
みんなで 大手事務所を蹴散らすぞ!

(2人)はい!
よし。

藤宮春子はな 絵葉書を路上で売って
生計を立ててた

パリ在住の孤高の画家だった。

70年の生涯を閉じるまで
下町の労働者や子供たちを描き続けたが

この優れた作品群は ほとんど
人の目に触れることはなかったんだ。

彼女の人生と絵画 その両方にふさわしい
メモワールを考える。

頼んだぞ。
(一同)はい!

岡嶋 これは何だ?

お~ それな
路上で売ってた絵葉書の裏に

なんと 藤宮春子が自筆で書いてたんだ。

「埋めること 足りないものを埋めること

埋めても埋めても足りないものを
ただ ひたすら埋めること」。

いいだろ? これこそ芸術だ。

創り 遺すってことだろ。

パパが建てた家が これに載ってる。

日向子が見たいと言ってくれたから
持ってきたんだ。

ここに?
うん。

わあ… これをパパが造ったの?

ああ。

「光のチムニー 淡いノースライト」…?

北向きの家なんだ。
北からの淡い光を取り込んで。

パパが 子供の頃に住んでたダムの飯場が
みんな そんな感じだった。

それで いつか そんな家を
建ててみたいって思ってたんだよ。

鳥類のパパが これだって思った家?
そうだな。

ママにも見せたら
きっと気に入ると思うよ。

いつも言ってるもん。
「地べたに住みたいよ」って。

うちは ずっとマンションだもんね。

昔 パパとママは
家を建てようとしたことがあったんだ。

だけど 建てたい家が合わなかった。

ママと 意見が合わなかったの?

うん…。
ママは 木の家がいいと言ったんだ。

ほら 浜松のママの実家みたいな。

だけど パパは
コンクリートの家がいいと言ってね。

どうして?

どうしてだろうな…。

<そのころ 俺は

鉄や ガラスや コンクリートの建物を
造ることに夢中だった>

<そして バブルがはじけ 俺は事務所を追われ 酒に溺れた>

家を建てなくてよかったな。

それって… 終わりってことだよね?

♬~

パパは 九官鳥を飼ってた?
え?

ママが 前に そう言ってたから。

ああ… 子供の頃
野鳥を拾ったことがあるんだ。

野鳥? 九官鳥じゃなくて?
うん。

(鳥の鳴き声)

転校ばかりで
なかなか友達ができなくて

山には いろんな鳥がいるから
一人で鳴き声を覚えたりして。

パパは いつの間にか
鳥を好きになってた。

その鳥は どうしたの?
家に連れて帰ったけど

日向子のおばあちゃんに
「野鳥を飼っては駄目だ」って叱られてね。

それでも パパは泣きながら頼んで
鳥籠を ねだったんだ。

そしたら…。

おい これ。

九官鳥だ。

しゃべるから面白えぞ。

九官鳥? 初めて見た。
(年雄)うん。

そいつは 山に返してやれ。

渡り鳥は 渡らねえと死んじまうんだ。

うちらと一緒でな。

それで その九官鳥を飼ったの?
うん…。

九太郎って名付けて それからは
その九官鳥に夢中になった。

九官鳥は 人間の言葉を
すぐ覚えちゃうんだ。

お~い 青瀬 稔く~ん。

「オ~イ アオセミノルク~ン」。

(笑い声)

お~い 青瀬 稔く~ん。

「オ~イ アオセミノルク~ン」。

すっかり覚えちまったな。
ねえ 本当に 賢い。

「オ~イ アオセミノルク~ン」。

オ~イ アオセミノルク~ン。

恥ずかしいよ。
ハハハハ… ごめん ごめん。

おじいちゃん 優しいね。
うん。

鳥しか友達がいない息子を
かわいそうに思ってくれたんだろうな。

でも その九官鳥のせいで… いや

パパのせいで
おじいちゃんは死んでしまったんだ。

パパのせいで?

高校生になって 家を出たあと
九官鳥が逃げてね。

おじいちゃんは パパのために
それを捜しに行って…。

パパは いつも肝心な時に
大事な人のそばにいないんだ。

だけど
ママの好きな家は建てられたじゃない。

この家には 今
どんな人が住んでるのかな?

吉野さんという家族だ。

吉野さん?
どうした?

ママに 何度も電話をかけてきた人も
吉野さんといったから。

え…。
(日向子)偶然だよね。

♬~

なあ青瀬 吉野さんなんだけどさ。
あ?

つつもたせにあって
逃げてるとは考えられないか?

つつもたせ?

そば屋に来たっていう背の高い女が
その相手だ。

指にギプスをした男が 女の情夫で
吉野さんを脅してた。

吉野さんの奥さんは それを知り
怒って 子供を連れて出てった。

もしくは 吉野さんが家族を避難させ
今でも一人で逃げてるか。

ほら これで全部 つじつま合わないか?

考え過ぎだよ。
そうか?

それに タウトの椅子の謎は残る。

一家蒸発に関係があればな。

おっ あの空き地が
メモワールの建設予定地か。

あっ 先客があるようだな。

能勢琢己か…。

そうだ。 赤坂時代
お前と同じ事務所にいたんだよな。

このコンペで うちの強力なライバルだ。

一緒にいる男は誰だ?

鳩山だ。 笹村事務所から
ヘッドハンティングしたらしい。

通称 美術館荒らしだ。

あの若さで そんなにすごいのか?

おっ 来るぞ。

(能勢)どうも ご無沙汰しています。
どうも。

(能勢)やっぱり青瀬さんでしたか。
お久しぶりです。

久しぶり。

鳩山です。 まさか 青瀬さんが
ライバルになるなんて

お手柔らかに願いますよ。

岡嶋さんも 抜け目がないですね。

別に 能勢さんの手の内知るために

青瀬を ハンティングしたわけじゃ
ないですから。

いや 僕も青瀬さんとやっていた時よりは
成長していますから。

まさか ゆかりさんから
筒抜けってことはないですよね?

どういう意味です?
おい 失礼なことを言うな。

いるのか? そっちに ゆかりが。

ええ。
優秀なインテリアプランナーとして

今回のプロジェクトチームに
招きました。

勘違いしないでくださいよ。

青瀬さんのいる岡嶋事務所が
今回のコンペに参加するなんて

思ってもいなかったんですから。
そう分かったら

青瀬にひと言 断るべきじゃないですか?

ひと言 断った方がよかったですか?

別れた奥さんと仕事しますって?

お前 黙ってろよ お前…!
よせ 岡嶋。

黙っていたとしたら ゆかりの方だ。

ゆかりさんのことは
悪く思わないでくださいね。

そうそう 「200選」拝見しましたよ。

Y邸 いいじゃないですか。

ゆかりさんも知っていましたよ。

青瀬さんの仕事を
今でも気にかけてるんですよ。

♬~

びっくりした…。

すまない 急に。

ちょっと いいか?

どうしたの?

君は「200選」を見たのか?
え?

「平成すまい200選」って本だ。

見たわ。
能勢のところでか?

家でよ… 買ったの。

日向子は それを知ってるのか?

え… そりゃ 一緒に見たわよ。
いつ?

それが どうかしたの?

日向子から聞いてないのか?
何を?

この前の土曜日に
俺が その本を見せたことだ。

日向子に あなたが あの本を見せたの?
ああ。

知らなかった。
何にも言ってなかったもの。

じゃあ 日向子は前から
Y邸を知っていたってことか?

そうね。

わあ… これをパパが造ったの?

初めて見たふりをしたのか…。

うれしかったのよ きっと。

あなたに見せてもらえたことが。

あなたの大事なものを
見られた気がしたんじゃない?

子供にとって 家は
親の存在そのものってところがあるから。

どうしたの?
ああ いや…。

吉野さん?
どうした?

ママに 何度も電話をかけてきた人も
吉野さんといったから。

もしかして君は… 吉野さんのことも
知ってるんじゃないのか?

吉野さん? どこの?

Y邸の吉野さんだよ!

どうして?
違うのか?

住んでる人のことまで知らないわよ。

そうか…。

ごめんなさい 夕飯作んなきゃ。
もう行っていい?

あ… すまない。 日向子によろしく。

日向子に よろしくって言うの?

あ… 言わなくていい。

♬~

[ 回想 ] 背の高い奥さんと一緒でしたな。

♬~

つつもたせ?

そば屋に来たっていう背の高い女が
その相手だ。

指にギプスをした男が 女の情夫で
吉野さんを脅してた。

♬~

岡嶋 どう思う?

ん? 吉野さんが
お前を名指ししてきた理由か?

そうだ。 俺が 前に建てた家を
見たからだって言ってたけど。

まあ 確かに それだけで
名もない建築家に

好きに造ってくれなんて言うとは
思えないよな。

誰かから俺の話を
聞いたということはないか?

さあ… 俺は知らんが。
本当か?

どうした? 何 疑ってんだ?

あ いや… 知らなければいいんだ。

それで お前が これから会う
記者というのは どういう用件なんだ?

どんな話かは 俺にも まだ分からん。

お前 いつから吸ってんだ?

昨日からだ。

何があった?

市長の首を すげ替えたいと思ってる
連中がいるんだよ。

繁田って記者は
そのお先棒を担いでやがるんだ。

コンペの指名に関することか?
政治が絡んでるってことか?

繁田は2年前まで
本社で警察庁を担当してた。

その時 国家公安委員長だったのが
大道って代議士で

そいつが 裏で糸を引いてる。

次の総選挙までに 市長を
引きずり下ろしたくてたまらないらしい。

それに お前が どう絡んでる?

さあ…。

東洋新聞の繁田です。

青瀬です。
深水です。 岡嶋です。

青瀬さんは
藤宮春子メモワールの建築士ですか?

いえ 建築士のリーダーは私です。

話は 手短に願います。

(繁田)さあ 短く済むかどうか。

彼女は今 県警の本部を回ってるんです。

それが?

では 早速。
藤宮メモワールの件で

岡嶋さんは その指名を取るために
随分と無理をなさったみたいですね。

無理とは?

市の門倉建設部長と
頻繁に飲んでらっしゃいますね。

え~っと 割烹 品月 寿司処 椎名
韓永飯店…

全部 言いましょうか?

それが何か?
何かって…

門倉部長は 実質的に
指名業者選定の権限を握ってるわけです。

あなたは その部長に飲み食いさせ
結果的に 指名業者の仲間入りを果たした。

つまりは 賄賂を贈って見返りを得た
ということになるんじゃありませんか?

飲食代は折半してます。
門倉さんに聞いてください。

賄賂なんてありませんよ。

門倉部長は
コンペの審査員も務めてるわけですよ。

誤解を招くとは考えなかったんですか?

やましいことがあれば考えたでしょうね。
たまたまですよ。

門倉さんとは
プライベートなおつきあいです。

プライベート? なるほど。

それで 篠塚市長も含めて3人で
サッカー観戦に出かけたわけですか?

行きましたよね? 国立に。

ええ… 行きましたよ。

門倉部長は
大のサッカーファンですからね。

私もです。

J2のチームを誘致して
市を活性化させようと

そういう夢を
いつも飲みながら話してたんですよ。

市長もですか?

もともと J2の誘致を口にしたのは
市長だったんですよ。

それで一度 後学のために まあJ1ですが
観戦に行こうということになったんです。

で チケットは誰が取ったんですか?

私です。 代金は割り勘ですよ。
後で ちゃんと頂きました。

(繁田)交通費も?
もちろん そうです。

(繁田)飲み会の時は違いましたよね?
同じです。

某タクシー会社の運転手が
持っていました。

門倉部長を 市内の自宅まで乗せ

代金は この名刺の事務所に
請求するように言われたそうです。

同じ 岡嶋さんの名刺ですよね。

記憶にありませんね。
記憶になくとも 名刺はここにある。

どう説明なさるんですか?

結果的に サッカー観戦直後に

お宅の指名が決まったことも
事実なんですよ。

単なる推測でしょう あなたの。

確かに推測です。
ですが 単なるではない。

青瀬さんは おかしいと思いませんか?
何がですか?

公衆トイレと交番以外 何の実績もない
たった5人の設計事務所が

こんな大きなコンペに
参加できたことですよ。

そんな無礼な質問に答える義務はない。

分かりました。
もうしばらく こちらで取材してみます。

今回の件に関しては 県警の捜査二課も
重大な関心を持っています。

何が重大な関心だよ。
繁田に言わされやがって…。

こけおどしも いいとこだ。

すまんな… 助かった。

岡嶋 俺には うそは言うな。
一創君にもだ。

ああ すまん。

もしもし。
(池園)関東日報の池園です。

青瀬さん あの写真とよく似た椅子が
見つかりましたよ。

タウトの椅子が?

(池園)はい。 熱海にありました。

(池園)日向利兵衛という実業家が建てた

別荘のことは知っていますか?

はい。 タウトが設計したという
日向別邸のことですね。

これから向かう そば屋の建物も
その日向氏が買い取って

昭和10年に移築してるんです。

その時 タウトに
工事監理を頼んだんですよ。

それで タウトの椅子もそこに?

こちらです。

ああ これですか?
はい。

どうですか?

確かに よく似てます。

座ってみてもいいですか?
どうぞ。

♬~

やっぱり似てる。

すみません ちょっと
変なことをお聞きしますが

吉野陶太という人は ご存じないですか?

ああ… 一度いらっしゃいましたよ。

えっ!
新聞記事を読まれて

椅子を見せてもらえないかって。

名前が トウタでしょう。
逆から読んだら タウトですもんね。

それで よく覚えてるんですよ。

ああ 吉野トウタ… 気付きませんでした。

何でも 仙台がルーツだって
おっしゃってましたけど。

仙台?
ほかには何か言ってませんでしたか?

自分も タウトの椅子の設計図を
持ってるんだとおっしゃってました。

びっくりしましたよ。
設計図を?

その人が 青瀬さんの言っていた
椅子の持ち主ですか?

間違いないでしょう。

青瀬 話がある。 今から行っていいか?

うわっ… 大丈夫か?
おう…。

だいぶ酔ってるな。
頭は全然酔ってない… 全然酔えん。

おい 何があったんだ?

あ… 酒くれ 酒。
酒は もうよせ。

お前 あるじゃねえか お前…。
おい!

どうしたんだ?

青瀬…。
うん?

明日の朝刊に記事が出る。 東洋新聞だ。

バカ言え。
あの程度の話が記事になるもんか。

なるんだよ それが!

手品みたいに… 繁田が
市議会の革新系の議員を動かしたんだよ。

反市長派の保守系市議も相乗りした。

明日にも百条委員会が出来る。

市長と業者の癒着を
追及するための百条委だ。

それが繁田の常とう手段らしいよ。

最後の駄目押しに
俺を取材したってことだ。

だけど お前 何もやってないんだろ?

やったのか?

門倉部長のタクシー代を
出したのは事実だ…。

飯代も 一度出した。

岡嶋! やっぱり うそだったのか!

(笑い声)

コンペは降りるよ…。

何でだ!
お前 昔と何にも変わってないのか?

昔のお前は 野心家だけど

格好ばっかりで
ちゃらんぽらんなところがあったよ。

だけど 3年前に会ったお前は
まるで別人のように変わってた。

だから 俺は
お前を信じて ついてきたんだぞ!

お前もだよ…
お前も昔と ちっとも変わらんぞ。

あ?
信じてついてきたとか言いながら

人を見下してる。

そんなことはない…。
あるよ!

お前は鳥みたいに
人を上から見下ろすだけで

その人間の気持ちを
想像することもできないんだよ。

だから 自分に自信を失った時には
簡単に家族を捨てられたんだろ。

じゃあ お前が家族を大事にしてるって
言えんのかよ!

俺は 家族をだましてるよ!

でも お前みたいに逃げてないんだよ!

すまん…。

すまん…。

俺は そういうお前が嫌いじゃない…。

そういうお前に ほめてもらえる
建築家になりたかったんだ…。

だけど 終わった…。

俺は もう終わりだ…。

何が終わりだ。

今度のコンペが なくなるだけだろ。

百条委に呼ばれたら出ればいいだけだ。
そこで やったことはやった

やってないことは
きっぱり否定すればいい。

お前は 何にも終わってない!

♬~

ずっと逃げてるお前に言われるとはな。

岡嶋… 俺の話も聞いてくれ。

吉野さんに 俺を紹介したのは
別れた妻のゆかりじゃないかと思うんだ。

え?

これは 俺の勝手な想像だ。

吉野さんと そば屋で一緒にいた
背の高い女っていうのは

ゆかりだったんじゃないかと。

え ちょっと待ってくれ… 何のためにだ?

分からないよ… ただの勘だ。

だけど この勘を
無視してはいけないような気がするんだ。

最初から 何かが始まってたんだよ。

青瀬さん あなた自身が住みたい家を
建ててください。

誰も住んでないみたいだったって。
誰も住んでない?

これって タウトの椅子じゃないのか?
タウト?

名前が トウタでしょう。
逆から読んだら タウトですもんね。

ママに 何度も電話をかけてきた人も
吉野さんといったから。

もしもし 吉野さんですか?

それって… 終わりってことだよね?

岡嶋 お前の言うとおりだ…。

俺は人の… 家族の気持ちを
考えてこなかったのかもしれない。

だけど 俺はもう そこから逃げたくない。

だから お前も逃げるな。

また一緒に立て直そう。 な…。

♬~

おお。 一創 どうした? 学校 遅れるぞ。

お父さん それ見てもいい?

ああ… これ まだ未完成なんだよ。
完成したらな。

お父さんは 絵を描くのが好き?

絵か? うん…。

昔 一創と同じぐらいの時にな
隣の子が 絵が上手でな。

それが羨ましくて
こっそり まねして描いてたんだ。

まあ でも お父さんは
あんまり うまくなかったがな。

僕も好きだよ 絵を描くの。

お~ そうか。

(一創)あんまり うまくないけど。

よし じゃあ
もっともっと 絵を好きになれ。

きっとうまくなるぞ お父さんみたいに。
分かった。

それ いつか見せてね。
おう。

行ってきます。 行ってらっしゃい。
(八栄子)行ってらっしゃい。

気を付けてな。
(ドアの開閉音)

新聞 読んだのか?

ごはん 食べる?

いや… すぐに出かける。

ううっ… ああっ…。

あなた…!?

♬~

<俺は 今 どこに向かっているのか。

この先に 何が待っているのか。

ただ霞のように だが はっきりと

あのノースライトだけが見えていた>

♬~

本気で殺してやろうかと思ったぜ。

あなたを だますことになってしまった。

あの人は 所長を
ずっと裏切ってるんです!

ちゃんと調べて本当のことを書け!

これが何なんだ!

お前にとって 一番美しいものって何だ?

俺は救われたんだ Y邸に。

吉野… さんですか?

♬~