【特集ドラマ】うつ病九段[字]…のネタバレ解析まとめ

出典:EPGの番組情報

【特集ドラマ】うつ病九段[字]

将棋最高位九段の先崎学。不祥事に襲われた将棋界を救おうとする中、うつ病を発症。病気との闘いは、将棋への情熱を取り戻す道のりでもあった。感動の実話をドラマ化!

詳細情報
番組内容
2017年、先崎学九段(安田顕)は対局中に突然、思考停止に陥った。将棋界を揺るがす不祥事に将棋連盟の広報として対応していた先崎は、多忙な日々を送っていた。精神科医の兄・章(高橋克実)はうつ病と断定。担当医は長期休養と将棋禁止を命じた。極度の集中力を強いる将棋は、治療の妨げでしかなかった。囲碁のプロ棋士である妻・繭(内田有紀)は、同じ勝負師として必死に支える。復帰を賭けた、壮絶な闘病生活が始まる。
出演者
【出演】安田顕,内田有紀,南沙良,福地桃子,渡部豪太,前川泰之,宇梶剛士,寺島進,高畑淳子,高橋克実
原作・脚本
【原作】先崎学

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

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  1. 将棋
  2. お父さん
  3. 先崎
  4. 春香
  5. 太地
  6. 対局
  7. 先生
  8. 入院
  9. 心配
  10. 元気
  11. 相手
  12. 花火
  13. 頑張
  14. 今日
  15. 勝負
  16. 明日
  17. お願い
  18. 棋士
  19. 山崎
  20. 散歩

解析用ソース(見逃した方はネタバレ注意)

   ごあんない

解析用ソースを読めば、番組内容の簡易チェックくらいはできるかもしれませんが…、やはり番組の面白さは映像や音声がなければ味わえません。ためしに、人気のVOD(ビデオオンデマンド)サービスで、見逃し番組を探してみてはいかがでしょうか?

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(うなり声)

[ 心の声 ] ああ… 頭がボヤッとする。

先の手が読めない。

先崎先生。
持ち時間を使い切りましたので

これより 一手1分以内でお願いします。

♬~

[ 心の声 ]
何で いきなり角を捨ててくるんだ?

う~ん 俺が金で取ると…

玉なら 相手は…

相手は…。

30秒。

♬~

[ 心の声 ]
こんな単純な一手が見えないなんて…。

(記録係)40秒。

[ 心の声 ] 一体 どうなっちまったんだ…

俺の頭は。

(記録係)1 2 3…。

負けました。

(繭)どうしたの?

だるい。
大丈夫?

盤上に集中できない!

え? ねえ それって
将棋が指せなくなったってこと?

水!
分かった ちょっと待って。

ねえ そんなに体調悪いんだったら
明日の映画のイベント

休んだ方がいいんじゃない?
嫌だ 行く。

ただいま。 おかえり。
どうしたの?

うん ちょっと調子悪いんだって。
あっ あんたの食事

今 冷蔵庫に入れたばっかだから
チンしなくていいよ。 うん。

イベント休むって
太地さんに連絡するから。

過保護。

駄目だ 太地に迷惑かける。

次の対局 行けなくなったら どうするの?

寝る。

眠剤 のむ?

のまないで 眠れるわけないだろ!
分かった。

春香 お水頂戴。
うん。

♬~

神様…
明日 元の自分に戻ってますように。

神様とか…。

(章)じゃあ お大事にして下さい。

先生。
うん?

おお。

ありがとうございます。
いえいえ。 はい どうぞ。 すみません。

診察の日に すみません。 お義兄さん。

繭さんの心配も分かるけどさ
学のやつが眠れないなんて

大きな対局の前には
いつも言ってるでしょう。 ええ。

あの… でも
最近 どうしようもなく不安だとか

新聞の見出しも読めないって言いだして。
字が読めない?

何か心当たりある?

ちょっと疲れてるかもしれません。

去年の夏から 将棋連盟が
将棋ソフトの不正使用疑惑で

大揺れに揺れて。
棋士が対局に携帯持ち込んで

将棋ソフトを不正に使用したんじゃ
ないかって大騒ぎした あの事件だよね?

会長の辞任だとか 理事の解任だとか
嫌なことばかり起こって…。

あの人 広報担当として矢面に立って
騒動を収めようって必死に走り回って

そのうち眠れなくなって…
それで お薬をもらうことになって。

それじゃあ ちょっとじゃない。
もう1年近く

結構なストレス
抱えてたってことじゃないか。

そうですね…。
今日 診察が終わったら行くよ。

あの それが 今夜は映画イベントに。

あの人が監修した
将棋の漫画が映画になって

その上映会にゲストとして呼ばれてて。

そんなタレントみたいな仕事も
しているのか あいつ!

この映画で 将棋界のマイナスイメージを
一発逆転させてやるんだって。

(拍手)

皆さん 盛大な拍手を
ありがとうございました。

先崎九段と中村太地六段は

昭和の名棋士 米長邦雄永世棋聖の
兄弟弟子でいらっしゃいます。

さて 先崎九段
撮影中のエピソードなどありましたら。

(司会者)先崎さん?

先崎さん?

え~ え~…。

将棋と え~ 勝負の魅力が…

きちんと… 伝わるように。

[ 回想 ] 神様…

明日 元の自分に戻ってますように。

ただいま。

死にたい 死にたい…。

あなた?
死にたい 死にたい…。

死にたい。
あなた!?

死にたい 死にたい…。
あなた!

死にたい…。

(チャイム)

お義兄さんだ。

何だよ~! 兄貴に連絡したのかよ!

どうした? 学。

ちょっと 疲れただけだよ。

うつ病だ。 入院した方がいい。

うつ病?
入院ですか?

嫌だ。

入院は嫌だ。

8月の初めに 大事な対局がある。

そんな状態で対局なんかできないだろ。

プロになって30年…。
えっ?

1, 000局以上指して…

不戦敗は一度もない。

お前は うつ病をなめてる。
今は棋士のプライドなんて邪魔なだけだ。

勝負はやめない!

この人 負けてもいいから
勝負がしたいんです。

戦わないで負けるのが
嫌なんだと思います。

あの なんとか薬で。
学の脳は もう動いていないんだ。

エネルギーが空っぽで
とにかく今は 休ませるしか方法がない。

取り返しのつかないことに
ならないうちに 入院させよう。

な? 病の勢いが収まるのを待とう。

うつ病の治療は 時間を稼ぐのが
全てなんだよ!

とにかく入院しろ 学。

掛かりつけは どこ? 聖都大学病院です。
すぐに連絡を取ろう。

分かりました。 ちょっと待って下さい。

繭ちゃん 担当医の名前は?
はい えっと…。

学? どこ行った!?

あなた!?

(遮断機の音)

(警笛)

(遮断機の音)

(悲鳴)

♬~

対局に行けませんか?

8月2日。

将棋ができるようになるには 最低半年
長くて2年かかると考えて下さい。

棋士にとって たとえ半年でも休むのは
致命的なんです 先生。

(山崎)ここから先が
精神科の入院病棟になります。
はい。

こちらが談話室です。

体調がよくなられたら
こちらで面会もできますので。

何かありましたら
ナースステーションに お声がけ下さい。

はい。
(山崎)こんにちは~。

先崎さんのお部屋は こちらです。
こんにちは~。

(佐々木)はい。

(山崎)こちらのベッドになります。

先崎です よろしくお願いします。

どうも。
よろしくお願いします。

どうも。

お花 下の売店で買ってきたの。
枕元には明るい色の方がいいわよね。

黄色にする? それともピンクにする?

先崎さん どっちがいい?

上の方? 下の方?

先崎さん
今はモノクロの世界にいるというか

色を感じなくなってるようなの。
え?

病気の影響ね。

(ドアの開閉音)

今日は早いのね。

もう夏休みじゃん。
ああ そうか。

おとなしく入院したの?
うん。

どうなるの? これから。

大丈夫。 生活は心配ないから
あんたが心配することないのよ。

お父さんだよ。

ああ…。

入院して よかったのよ。

大丈夫 お義兄さんがついてるんだから。

章伯父さんに相談するの
ちょっと遅かったんじゃない?

だいぶ前から 調子悪かったよね
お父さん。

先崎さん! ひと言お願いします!
将棋ソフトの不正使用疑惑ですが!

どうして答えられないんですか!
答えて下さいよ!

簡単な質問をしてるんですよ!
先崎さん!

ああ…!

(佐々木)大丈夫ですか?

地獄だよね うつ病患者の朝は。

朝が…。

♬~(「ラジオ体操」)

怖い…。

どうです? 一緒にやりませんか。

♬~(「ラジオ体操」)

おっ… よいしょ。

焦らせちゃったかな。

まあ 4~5日すれば
できるようになりますよ。

外まわ~し 内まわ~し 外まわ~し…!

私 外資系の通信機器メーカーに
勤めてましてね。

14年前の ある朝
ネクタイが結べなくなったんですよ。

私も それから ず~っと 朝が怖いですよ。

♬~(演奏)

(たたく音)

何回 間違えてるんだよ! 先崎。
水野と交代。

(サキ)はい。
すいません。

♬~

♬~

うわっ!
わっ!

どうしたの?
何か 集中できないみたいだね。

うん… ちょっと言い訳になるんだけどさ。

うん。 お父さん 入院しちゃって。
えっ どうしたの?

あ… まあ 疲労かな。

天才でも疲労するんだ。

(笑い声)

まあ でもさ
春香の家は お母さんも囲碁のプロだし

しっかりしててさ
何も心配することないよ。

うちの親たちさ 今までは
自分の勝負に夢中だったのよ。

でも 今は お父さんの病気で
頭いっぱいって感じ。

そうか。
両親そろって 勝負が仕事なんて

春香の家は特殊環境なんだねえ。

私さ 小さい頃から
うちに友達呼んだことなくてさ。

そうなんだ。 うん。 対局の日以外は
お父さん うちにいるしさ

研究会とか言って
しょっちゅう 仲間呼んで

ああでもない こうでもないって
将棋やってさ。

8五歩と歩を伸ばして
8筋から攻めるべきだ。

(中村)でも 同飛車で
この6二… 6筋から…!

(田中)いやいや 4三金右で 守りを…。

(サキ)お父さんが
家で部活やってるって感じだね。

そうそう そういう感じ。

研究会が終わったあとは
うるさく飲んだくれてさ。

まあ でも
何か ちょっと私は羨ましいな。

えっ 何で?

天才が仕事する姿を
いつも見ることができるってことでしょ。

まあ… 凡人は つらいよってことで。

(笑い声)

はい。

お忙しいのに わざわざ すみません。

9月には 復帰するから。

9月に復帰できないと
今後の対局が先延ばしになったりして

連盟に迷惑をかけてしまうので…。

(佐藤)不正ソフトの騒動では

ご主人に 半端じゃない
ご苦労をかけましてね…。

[ 回想 ] 先崎さ~ん!

ちょっといいですか?
報告会が 何で非公開なんですか!?

(テレビ)「さて この将棋ソフト
不正使用疑惑騒動ですけれども

この現役のプロ棋士が
本番の対局中に携帯を持ち込んで

将棋ソフトを使用したのではという疑惑が
発端となっているわけですけれどもね

日本将棋連盟としては
まあ その信頼を大きく揺るがす事態と」。

信頼を揺るがすってな 棋士は皆
真剣勝負してるんだよ! 命 削って!

でも 先ちゃんは
連盟が傷つくのが耐えられなくて

信頼を取り戻そうとして
原稿 イベント 取材

どれも休みなく引き受けてね。

(鈴木)いつ復帰するかは

2週間以内に連絡してもらえれば
いいですから。

(テレビ)「かわいかったですね。
たっぷり癒やされましたけれど。

続いては 将棋界のプリンスの話題です。

プロ棋士として活躍中の中学生
藤井聡太さん」。

「お~! かわいい」。

(大久保)こちらです。
あっ。

いかがですか?
何か困ったことはありますか?

たばこ… 吸えない。

まあ 我慢して下さい。

あっ どうも。

顔色 少しよくなったな。

薬のんで 寝てるだけの毎日なんて。

何もやることがないというのが
うつ病にはいいんだよ。

9月には復帰したい。

9月の復帰なんか無理。

対局があるというだけで また悪くなる。

いっそ このまま…

将棋やめようかな。

(藤井)「自分でも まあ 29連勝というのは
想像もしていなかったので

そうですね まあ 喜びとともに
非常に驚いております」。

兄貴。
うん?

もし… 対局したら どうなる?

恐らく 石のように固まって
席を立てなくなり

下手をすれば 失禁する。

失禁…。
うつの時は 決断しないのが原則だ。

将棋の勝負なんて 決断の連続だろ?

しばらく将棋のことは考えるな。

「私 先崎 学は 一身上の都合により

三月三十一日まで休場します」。

♬~

こんなものでいいかな?

文字も読めないんだ。

大丈夫です。

♬~

どこか地方で 将棋教室でもやるか。

先崎 学が 将棋を指せないなんて…。

いや… いや~。

(繭の泣き声)

おかえり。

もう ごはん食べた?
うん 適当に食べた。

そっか。

お母さんは? はい。

食欲なくてね。

お父さん 調子よくないの?

しばらく 将棋は無理だって。

なんとか 対局だけは
続けさせてあげたかったんだけどね。

そう…。

どん底まで行ったんだから
あとは上がるだけだよ。

そうね。

明日も行くの? 病院。

明日は対局だから
終わってからになるかな。

私が行こうか?
洗濯物届けるくらいしかできないけど。

そうしてくれる?
私が そばで心配そうな顔してるより

春香の顔を見た方が
お父さん 元気になるかもしれない。

たまには休んだ方がいいよ。

ちょっと頑張り過ぎなところあるからさ
お母さんは。

♬~

[ 回想 ]
先崎 学が 将棋を指せないなんて…。

♬~(「ラジオ体操」)

左 左! 上下の運動 1 2 3 4 5 6。

♬~

お父さん どうだった?

うん… 見てきた。

見てきたって 何?

やっぱ… ハードル高かったな
お父さんは。 えっ?

今のお父さんに 何を言ったらいいのか…。

元気な時だって
あんまり しゃべらなかったのにさ。

でも 安心して。 頑張ってたよ お父さん。

頑張ってた?
うん。

何かこう 一生懸命 治そうとしてる
そんな感じがした。

意欲 出てきたんだ。

あっ ギョーザの匂い。

あっ そう! 駅前で買ってきたの。
熱々だから食べよう。
うん。

春香の好きなね しそギョーザもあるから。
いっぱいある。

(山崎)お薬出した方がいいのかな?
あ~ 私 先生に聞いてみます。

(山崎)あっ 本当? お願いね。 はい。
小池さんが眠いって言ってんのよね。

お薬 効き過ぎてるのかしら?
あの~。

はい。

散歩 行ってみようかな。

ワ~オ! いいわね。
日の光を浴びると よく眠れるから。

外出は1時間ね。 ここに
何時から何時までと 名前を書いて。

はい。

♬~

あの電車に乗ったら
1駅で将棋連盟へ行けるんだよな。

右 左… くそっ。

くそっ…。

こんにちは~。
堀です いつもお世話になってます。

父の方 どうですか?

(山崎)あのね 堀さんのお父さん そろそろ
退院したいって言ってるんだけど

まだ早いかしらね?
娘様が来られた時は

もう いっぱい食べますよ。
よかったですよ。

美人な看護師さんが いっぱいいるって
喜んでましたよ。

(着信音)

♬~

俺… 今 うれしい顔してるよな?

感情あるよな?

(足音)

(せきばらい)

♬~

「60歳から始めるエロ動画入門」。

おお~。
エロ記事だったら読めるじゃないか。

(中村)先輩。

おお~ 太地。

おおっ 悠一。

こんなとこ うろうろしてて
いいんですか?

≪ありがとうございました。
(看護師たちの声)

思ったより ずっと元気ですね。
うん まあな。

あ~ 太地
いよいよ 羽生善治に挑戦だな。

覚えてて下さったんですか。

就位式には 必ず行くからな。

はい! ぜひ来て下さい。
それじゃ 祝勝会は寿司で!

(笑い声)
それで…

どうだ? 最近の盤上は。

将棋の話 してもいいんですか?
何で?

先崎先生の前で将棋の話はするな。

励ましも禁句だと言われて
来たんですけど。

励まし… 俺は うれしいよ。

頑張って下さいとか
元気になって下さいとか

言ってもいいんですか?
あ~ いいよ。 そうだな…

「みんな待ってま~す」とかいうのが
一番うれしいかな。

そうなんですかあ! 今はね
雁木が すごくはやっててですね。

悪い。
もう少し 小さな声で話してくれる?

えっ?

頭の芯に響く。

あと 明るい話で盛り上げようとするのも
勘弁して。

そういうもんなんだ。

「二人が会いに来てくれて

心の半分は ものすごく嬉しいのに

残りの半分は どんどん疲れていく」。

(セミの声)

(めぐみ)おじさん。
もう外 出られるようになったの?

入院してきた時
かなり重症だと思ったけど。 君は?

うん? 入院 長いの?
長くないけど…

う~ん 何回もしてる。

美大の受験に2度失敗した時に
うつになっちゃって。

あのさ…。
うん? ジグソーパズル 好きなの?

あ~ あれで うつの気持ち
なだめてるんだ。

入院してる時は 絵が描けないからさ。

まだ若いからさ 家族とか心配してない?

怖がられてる。

こんなことするから。 別に死にたいと
思ってるわけじゃないんだ。

不安定になると 何か脳から
「肉体を消せ」とかいう

信号のようなものが出てさ
発作的に切っちゃうんだよね。

(遮断機の音)

分かるよ。

おじさんは?
うん?

もう 信号出ない?

うん… 出なくなった。

そっか。

なあ… このまま復帰できなくて
稼ぎがなくなったら どうするよ?

そういうのを 貧困妄想っていうんだって。
今は そんな心配しなくていいから。

でも 6月に部屋借りちゃったし。
部屋? ああ 研究会用の?

うん。 タイミング悪いよなあ。

敷金礼金 払った途端
こんなことになって…。

ねえ 部屋のことは
私が なんとかするから 任せてくれない?

どう?

春香は元気か?
うん。

夏休みも毎日部活よ。

笛 吹いてるのか。
フフッ…。 クラリネットね?

主治医の先生が そろそろ
退院の時期を探ると言って下さって。

本当にお世話になりました お義兄さん。

とりあえず
自殺の心配はなくなったってことかな。

はい。 先生も 退院してからも
朝は きちんと起こして

日中は できるだけ
家にいないようにさせなさいって。

それは要するに
散歩をさせろってことだね。

学自身が 風の音や花の香り 色

そういった大自然のエネルギーを
足で一歩一歩 取り込んで

脳を充電していかなきゃね。

あっ それと… うつの患者は

悲しいとか不安だという感情を
コントロールできなくて

周囲にぶつけるからね

退院してからの方が
家族は大変になるんだよ。

あの… 将棋は?

それは まだ先のことだ。
まずは健康な日常生活を取り戻す。

それから ゆっくり
将棋のことを考えよう。

焦らないで。 ね?

はい。

♬~

(ため息)

3週間も病院食を食べると
さすがに飽きました。

ああ~ もう ラーメン食いたい。

あんた あの先崎九段なんだよな?

あ… はい。

少年の時から天才だったって
何かの記事で読んだよ。

6歳で将棋を覚えて

17歳でプロ棋士になって30年…。

将棋が指せなくなりました。

頑張れよ。

あんたには 頑張ってほしいよ。

ありがとうございます。

≪(打ち上げ花火の音)

神宮外苑の花火だ。
ここからは見えないけどね。

花火の音だけ聞こえるって 残酷ですね。

談話室の窓からなら ちょっと見えるかな。

(めぐみ)よし。
≪(打ち上げ花火の音)

(歓声)

≪(打ち上げ花火の音)

(佐々木)おおっ!
(歓声)

きれ~い。

(うなり声)

先崎さん?

(うなり声)

あ…。

あっ…!

どうしたの? 先崎さん。

花火に… 色がついてる。

赤。

青。

黄色 緑 紫。

今 花火の色が目に飛び込んできた!

突然 この世がカラーになった!

(歓声)

よかったな。

そうか… そうだったのか。

その服 ピンクだよな?

うん。

♬~

起きて。 起きてよ。

いってきます。
いってらっしゃい。 退院してからも

規則正しい生活しなさいって
言われてたでしょ!

だるい…。

お義兄さんが
9月中は とにかく散歩だって。

行きたいんだよ 俺だって!
俺も動きたいけど 動けないんだよ。

そうなの? 入院中は散歩できてたのに。

あ~っ もう! 何でもいいから…

頭の中の このおもし取ってほしいよ。

ねえ! ねえ 6月に借りた部屋

あそこ
囲碁将棋サロンにすることにしたから。

サロン?
もう名前も決めてあるの。

ほら。
何? どう読むの?

棋樂。

プロやアマに
将棋や囲碁を楽しんでもらったり

指導教室を兼ねた場所。

そんなもの簡単にさ…。
月末にはオープンするから。 え?

その時ね ちょっとしたパーティーも
開くから あなたも挨拶だけして。

まだ指導将棋とかは しなくていいから。

俺だって そのくらい指せるよ。
じゃあ まず起きて!

分かってるよ!
起きたいんだよ 俺だって。

1 2の3で… 起きる。 絶対起きる。

1 2の3。

1 2の3。

(2人)1 2の3。 1 2の3!

散歩 行ってくる。

ねえ 私も一緒に行こうか。
一人で行ける!

とにかく家から離れる。

さて… どこ行くよ?

(チャイム)

開いてる!

うわ~ いいなあ 隠れが的で!

ねえ 私も ここに友達連れてきていい?
クラリネットの練習とかもしたいし。

お父さんが うちで研究会するの
あんた 嫌がってたから。

えっ それで ここ借りることにしたの?
まあ それもあるけど

お父さんが元気になったら
また将棋ができるようにと思ってね。

やっぱ お父さんのためじゃん。

それにさ お母さんは
ここの準備で忙しくしてる方がいいの。

お父さんと一緒にいない方がね。

何で? 一人で散歩させて大丈夫なの?

あんたは家にいないから
分かんないだろうけど

一日中 そりゃあもう
お父さん 機嫌悪いんだから。

まあ 病気のせいだから
しょうがないんだけどね。

お父さん また将棋指せるようになるの?

さあ どうかな…。

私はさ お父さん
もう将棋指せなくたっていい。

健康さえ取り戻せばと思ってるんだ。
何か 普通のお父さんもいいかなって。

♬~

いつの間に こんなものを作ったんだ…。

こういうところで思う存分
研究会やりたかったでしょ?

(拍手)

え~ 本日は こんなに大勢お集まり頂き
本当に ありがとうございます。

おめでとうございます。
(拍手)

それじゃ 代表から ひと言。

あの… 代表というのは名ばかりで
全部 奥さんがやってるんです。

フ~!
よっ 先崎九段!

それじゃ 皆さん 今日は楽しんで下さい。
ありがとうございます。

(拍手)

あっ 鈴木さん。
おお。

ちょっと様子を見に来ました。 はい。

あっ どうも すみません。
ありがとうございます。

お花がたくさんで すごいですね。

忘れられてないと思える。
先崎さんは
連盟のムードメーカーですから。

はい。
(加藤)先崎先生。

ご指導よろしくお願いします。
(渡辺)よろしくお願いします。

将棋は久しぶりだからな…。

[ 心の声 ] ん? そんなところへ打って
どうするんだ?

全く手が読めない。

何だ これ… どこの国のゲームだ?

繭さ~ん。
あっ はいは~い。

(加藤)ここで銀を取ったのが
まずかったですかね?

え?

(渡辺)3八角と両取りをかけて
有利になったかと思いましたが

どうですか?
ああ…。

ここは 攻め合いに出るか 守りに入るか

勝敗を分ける局面ですよね。

例えば 4八銀成なら

6二角成と飛車を取って

同金に5一飛車と打ち込む。

あっ なるほど。 金は損しましたが
相手玉に迫ってますね。

♬~

(呼び出し音)

どうして すぐに帰っちゃったの?

心配するでしょう 急にいなくなったら!
皆 あなたの休場のことを知ってて

それで ああして
駆けつけてくれたんだから。 うるさい!

何が気に入らないの?
ねえ どなる元気があるんだったら

最後の挨拶ぐらいしてってよ!

せっかく苦労して準備してきたのに!

あなたのために作った棋樂なのよ!

誰が作ってくれって頼んだ!

恩着せがましいことを言うな!
出ていけ! 出ていけ~!

俺に構うな! 出ていけ~!

♬~

あ~っ!

♬~

(泣き声)

♬~

あの人が うつのつらさを忘れるのは
将棋しかないと思って…。

あいつは
本当は 繭さんに感謝してるんだ。

だけど 将棋ができないつらさを
ぶつける相手も 繭さんしかいない。

それを申し訳ないとも思ってるんだ。

あの人 立ち直れるんでしょうか?

いつか また
将棋が指せるようになるんでしょうか?

あの人が まだ
元気に対局してた頃

一度だけ 自分が勝った自慢の一局を
解説してくれたことがあるんです。

絶対 俺が負けの局面だった。
だけど その時に 俺は ここに銀を打った。

4三銀? もう これしかないっていう
「盤上この一手」だ。

相手は当然 金で取るだろ?

それは 私でも分かる 美しい手順でした。

2一角と打つんだ。

あの人も それを
美しい手と呼んでいました。

美しい手?

トップ棋士と言われる人でも
そんな美しい手を見つけるのは

一年に一局あるかどうからしいんですけど
でも 私は

あの人が また
そんな美しい手を指すところ…

見てみたいんです。

学が 美しい手を指せるようになるには
まだ時間がかかるだろうね。

あいつが また日常生活を
普通にできるようになる

それは心配ないんだけどね。

正直言うと 将棋は…

1年後か2年後 指せるようになれれば
御の字だと…。

この先 失ったものの大きさに
負けないでくれたらいいと思ってるんだ。

♬~

どうしたの? こんなとこで。
お父さんは?

ずっと泣いてる。
え…?

もう どうしたらいいか分からない…。

春香 ごめん。

お母さん… 弱くて ごめん。

(泣き声)

お母さん
もっと しっかりしなくちゃね。

♬~

[ 回想 ] 先崎 学が

将棋を指せないなんて…。

いや… いや~。

米長先生。

王手をかけると… 打ち歩詰めか。

早く来て!
何だよ?

待たないよ。
遅い遅い!

こんな問題 あれぐらいの頃にはもう
息を吸うようにできたのになあ。

(ため息)

お父さん あっち行こう。
あっち行きたい。

銀で取らせて あ~ それで3三桂か。

えっと 銀の… これか。

(ため息)

これじゃ 数学の先生が
算数を解けなくなったようなもんだぜ。

♬~(クラリネット)

♬~

(春香)何? それ。

お父さん 一から将棋やり直すんだね。

ありがとう。
(春香)うん。

お父さん やっぱ まだ山登りは
無理だったんじゃない?

お父さんさ
体力 なんとかつけたいみたい。

大したもんだよね。 全ては将棋のためか。

はい。
ありがとう。

お父さんさ しばらく病気で大変で

春香のこと放っておいたって
気にしてたよ。

へえ~。

春香が音大に行きたいなら
行かせてやれって。

そんな才能ないよ。

青春の全てをかけるほど
クラリネットが好きかって言われると

それほどでもないしね。

じゃあ 何だったら
青春の全てをかけられるの?

そういうものが簡単に見つけられない
人間もいるってこと

うちの親には分からないんだろうなあ。

(学の荒い息遣い)

わあ よく頑張ったね。
あ~ きつい。

はい はいはい よいしょ。

春香。 お父さんに お茶あげて。
(春香)うん。 はい。

はあ~ 気持ちいいなあ。

あのね 春香 そろそろ進路考えなくちゃ
いけないんだって。 ね?

うん…。

そんな大事なこと 今の俺に聞くなよ。

うつの時は
決断しちゃいけないんだからさ。

俺の場合は
これしかないって感じだったからな。

これしかない?
うん…。 気が付いたら

目の前には
将棋で勝つという道しかなかった。

そうよ。 お父さんがプロ棋士になったのも
17歳だもん!

ちょうど 今の春香の年ぐらい。

長いこと 指してきたな…。

だけど また明日も指したい。

まあ 生き方なんて
ゆっくり探せばいいさ。

また明日もやりたいと思えることを。

♬~

(テレビ)「将棋の最多連勝記録を
29勝と更新した 藤井聡太四段が

また新たな記録に挑もうとしています」。

「そうですね まあ なんとか勝てたので
よかったんじゃないかなと思います」。

(テレビ)
「羽生善治三冠をも驚かせた その強さ」。

将棋界が こんなに華やかな場所に
なったっていうのに

何で俺は休場なんかしてるんだよ!

よかった。
何が?

暇だって感じたら
うつが快方に向かっている証拠だって

お義兄さんが言ってたから。
詰め将棋やってる時は 楽しそうだしね。

勘が戻ってきたら… 将棋指したくてさ。

でも 本格的な将棋は まだね…。
だけど 相手がいないからな。

いや 俺が今 将棋指すっていうのは

リハビリにつきあってくれって
言うようなもんだし

プロ棋士に そんなこと頼めねえしな…。

あっ 太地… いや~ あいつは駄目だ。

あいつは今 王座戦だし…。

田中さんは?
悠一か?

あいつに 電話してみるか。

(呼び出し音)

(田中)ああ 先輩?
ああ。 あの…

すまないけどさ…。
(田中)はい?

その ちょっと相手してほしくてさ。

いや あの…
忙しかったらいいんだけどさ。

(田中)今から行きます。
30分後に棋樂で。

[ 心の声 ] ん? 何だ この手は…。

いや 今は相手の読み筋はどうでもいい。
自分の手だけを考えよう。

う~ん…。

8四同銀で歩を取れば 8三歩か。
銀が助からないな。

待てよ…。

7五銀と引く手があるぞ。

7五同銀と来て… 3一角か。

う~ん…。

この手でいいのか悪いのかも分からん。

負けました。

はい。

ありがとな。

手を抜かないでくれて。

全力で指しましたよ。

先輩が相手ですよ?

いや~ 悠一が粘り強くてさ
どんな局面でも諦めないんだよ。

もう一局 指したんじゃないでしょうね?
悠一が全力で指してくれたからさ。

あのね あなたね…。
激しい攻め合いから

いよいよ大詰めという場面で
悠一に信じられない悪手が出て…。

勝ったの?

俺が8四歩と突いた この局面でさ

悠一は こうな…
桂を ここに打ってきたんだよ。

8五飛に 8四歩として
こう 玉が逃げ出す…。

ねえ… 今日は もう休んで。
これ以上 頭使わないで。

え~?
お薬。

♬~

(将棋を指す音)

ねえ 今日は もう寝てちょうだいって
言ったでしょ。

眠れない。

やっぱり お薬のまなきゃ。

今日は 指せたけど…。
え?

また指せなくなったら どうしよう。

お願い もうやめて。

俺は 将棋をやるんだ。 やるんだ!

じゃあ 私と指そう。

気が済むまで つきあうから。

♬~

(解説者)「挑戦者の中村太地六段

今日勝てば
悲願のタイトルに手が届きます。

羽生王座が2四歩と打って
中村六段が長考に入っています」。

勝てるぞ 太地。 慎重にいけ。

「後手の中村六段 ここは どう指すか?」。

(解説者)「3六角」。

よ~し これで勝ったんじゃないか?

「参りました」。

あっ すごい! すごい すごい!
よくやった 太地!

(解説者)「第65期 王座戦 第4局
中村太地六段が 80手で勝利し

初戴冠となりました」。
美しい手だった。

太地のやつ
美しい手を指すようになったな。

もう これしかないっていう手だった。

俺も あそこへ戻らなきゃな。

また 負けたか…。

この局面で1七金と取ったから

2八金から詰んでしまいました。

ここでは 僕の玉を攻めていれば
危なかったと思います。

攻める手があったか。

俺さ 棋士になってから今まで

こんなにしがみつくように
一局一局を指してきたこと

なかった気がするよ。

さあ…。

♬~

先生。
あっ ごめん ごめん。

読めるようになったんだな。
うん 見出しくらいはな。

いらっしゃいませ。
俺はビール飲むぞ。

うん。 俺は 焼き魚定食で。

瓶ビールと刺身盛り合わせを。
はい。

決断は早くなったな。 つい この間まで

焼き魚定食にするか 煮魚定食にするかで
5分迷ってた。

やっと
街を普通に歩けるようになったかな。

ちょっと前まではさ
何か 派手なものが怖かったんだけどな。

ビールです。
あ~ どうも。

いいのか?

少しならな。

ただし 将棋は まだ駄目だぞ。

うつは必ず治る。
治ったら存分に指せばいいんだ。

それじゃ駄目なんだよ 兄貴。

俺は… 将棋で うつを治したいんだ。

学。

弱い棋士に居場所はない。

俺は そういう弱肉強食の世界に
戻っていこうとしてるんだ。

強くなって戻れなければ
意味がないんだよ。

そういえば 学
中学の時 いじめられてたな。

いくら拭いても消えないのに
いつまでも消してくれてたな おふくろ。

あの時 おふくろが
何も聞かないでくれたから 助かった。

あの日から お前は 学校へ行かずに
将棋連盟に通うようになった。

教師でさえ
将棋のプロになりたいっていう生徒に

偏見を持ってたからな。

学は いじめも
将棋で乗り越えてきたんだな。

♬~

(鈴の音)

よく来てくれたわね。 米長も喜んでるわ。

改めまして
明けまして おめでとうございます。

おめでとうございます。 先崎の入院中には
お心遣い頂き ありがとうございました。

元気そうでよかった。

繭さんも大変だったわね。

あなたが来たら
見せようと思ってたんだけどね。

これ。

長年 米長が 家で使っていたものなのよ。

拝見します。

「昭和三十八年」。

米長が四段になった時
お祝いにもらった駒ね。

先生は ず~っと この駒を…?

[ 心の声 ] すみません 先生。

俺は将棋が弱くなりました。

♬~

その駒 よかったら持っていって。

えっ いいんですか? こんな貴重なもの。

いいのよ。

持っていって。

♬~

先生は…

ふがいない弟子だと思っただろうな。

(すすり泣き)

ふがいないなんて言ったら
先生 悲しむよ。

私は あなたが一流の勝負師だって
知ってる。

♬~

勝負は これからじゃないの。

♬~

こんにちは。

おお~ 太地。 久しぶりだな。

すっかり 顔色いいですね。
うん… 将棋は まだまだだけどな。

太地。
はい。

この駒な 米長先生が
40年使ってきたものだ。

奥様から預かってきた。

これは また…。

はあ~ 使い込まれた…。

太地 今日は この駒で指そうか。

え~っ。

[ 心の声 ]
陣形を整える いとまも与えない。

やはり 太地は今 乗りに乗ってるな。

これじゃ 序盤から一気に
終盤になっちまうな。

[ 心の声 ] 王手か。 これまで… か。

[ 心の声 ] いや 太地は
まだ全然 気を抜いてない。

う~ん…。

う~ん う~ん…。

♬~

[ 心の声 ] 美しい。

♬~

[ 心の声 ] ある!

一筋ある!

7九玉 7八銀 同玉
7九金 8八玉 7八金 9八玉 7七竜。

はあ~。 3二銀… 同馬 同銀成 同玉

4一角 同玉 4二金…!

20手先まで見える!

♬~

[ 心の声 ] よし!

[ 心の声 ] これで詰んだ!

負けました。

今のは… 美しい一手でした。

♬~

(解説者)「昨年 王座に輝きました
中村太地七段と

先崎 学九段の兄弟弟子対局
間もなく始まります」。

よし。

♬~

それでは 時間になりましたので
先崎先生の先手番で お願いします。

♬~

♬~

お~ 何? 何? 何?
えっ 何?

今回の「ガクたび!」は…