岸辺露伴は動かない [新](1)「富豪村」[解][字] …のネタバレ解析まとめ
出典:EPGの番組情報
岸辺露伴は動かない [新](1)「富豪村」[解][字]
荒木飛呂彦・原作の大ヒット漫画「ジョジョの奇妙な冒険」からスピンオフした短編を初映像化!高橋一生演じる漫画家・岸辺露伴の活躍を描くミステリードラマ!
番組内容
周囲から隔絶された山奥に豪邸が立ち並ぶ「富豪村」。所有者はいずれも各界で成功した大富豪ばかりで、20代でこの村の土地を所有して成功しているという。ただし、ある条件をクリアしないと買うことが許されないらしい。真偽を確かめるべく露伴(高橋一生)は、編集者の泉京香(飯豊まりえ)と共に富豪村に赴く。そこで課されたのは奇妙な試験だった。それは「マナー」。マナーに寛容はない。「正しい」か「正しくない」か…
出演者
【出演】高橋一生,飯豊まりえ,柴崎楓雅,中村まこと,増田朋弥,坪根悠仁,佐々木睦,中村倫也,【声】櫻井孝宏
原作・脚本
【原作】荒木飛呂彦,【脚本】小林靖子
監督・演出
【演出】渡辺一貴
音楽
【音楽】菊地成孔ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
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(窓が開く音)
(扉が開く音)
(泥棒B)
うそだろ… この家って もしかして…。
(泥棒A)どうした。
(泥棒B)これ… これ
「ピンクダークの少年」って超有名な漫画だよ。
「少年ジャンボ」で
俺が ガキん時から連載しててさ
大好きだった漫画で…。
≪おいッ!
うおっ!
≪なぜ 過去形にする?
(マッチをする音)
(マッチを水につける音)
「ピンクダークの少年」は 先月
第8部の連載が始まったばかりだ。
読者なら 今 この瞬間も
それを心待ちにしている
「大好きな漫画」のはずだ。
だが お前は違う。
「大好きだった」と言ったな?
つまり 僕の漫画を
途中で止めたことになる。
それは 最初から読まないより
もっと悪い 致命的だ。
理由が気になるね。
非常にッ。
岸辺… 露伴だ…。
(泥棒A)ああ?
(岸辺露伴)読まないのに
漫画家の名前は知ってるのか。
ますます 致命的だ。
(泥棒A)
お お お… うわあ… おお!
おおおおお… おお…
何で 今 そんな話してんだ!
お おめえ 状況 分かってんのか!?
(特殊警棒が伸びる音)
僕は今 空き巣に入られている。
いや 違うか。
もし 僕が居ると知って侵入したんなら
空き巣じゃあない
居空きというんだったな。
もし 僕が寝ていたのなら 忍び込みだ。
そして 僕に見つかった今
居直り強盗に変わった。
そうだろう?
ああ…? おめえ 頭 おかしいのか?
ちょっと今 窃盗犯について調べていてね。
毎晩 鍵を開けていたかいあって
いいネタを仕入れることができた。
(泥棒A)あ? ネタ?
そう。
漫画のネタだ。
(特殊警棒が伸びる音)
(泥棒A)あっ… あはっ
あ なんか ヤベぇな。
おう 逃げっど。
おうっ!
はっ…。
「ヘブンズ・ドアー」
今 心の扉は開かれる。
あっ… う… 何だぁ…?
あっ…。
(倒れる音)
さてと 窃盗犯になる人間の過去が
どんなものか
じっくり読ませてもらいたい…
が…。
なぜ 僕の漫画をリタイアしたのか。
(ページをめくる音)
ガキの時と言っていたな…。
となると… この辺りか。
「月曜日だけは早起きが出来る。
学校へ行く前に
『ジャンボ』の早売りを ゲットして
『ピンクダークの少年』を読むために
コンビニに…」。
人間の体には 今まで生きてきた
全てが記憶されている。
たとえ 本人が忘れていても
消せない記憶が。
それは インタビューなどでは
決して得られない 100%の「リアル」…。
その「リアリティ」こそが
作品に命を吹き込む エネルギー
極上のエンターテイメントとなるッ!
♬~
ハハハハ…。
ハッハハハハ…。
ハッハッハッハッ
ハッハッハッハッハッ…。
ハッハッハッハッ
ハッハッハッハッハッ!
もちろん
この岸辺露伴の才能あってこそ だがね。
♬~
(泉 京香)フゥ… 重い…。
ハァ ハァ ハァ ハァ…。
ここだ。 ハァ… 急ごう。
ハァ ハァ ハァ…。
よっこいしょ。
(ノック)
フゥ フゥ フゥ…。
(ノック)
ハァ ハァ ハァ ハァ…。
露伴先生ー 集明社の泉といいますー。
実はー 急なんですけどー
今度 先生の担当になりましてー。
ご挨拶と
今日 お届けすることになっていた
資料を持ってきたんですけどー。
ハァ ハァ ハァ…。
ハァ…。 うっそー。
これ 持って帰んの キツイよー!
はっ! ああ…。
(扉が開く音)
うっ。
えい。
いらっしゃらないみたいなんでー
置いて帰りますねー。
(紙袋が倒れる音)
う~わ もう最悪! もう…。
ハァ…。 ああ…。
≪おい うるさいぞッ!
≪気が散るだろう。
今から 仕事にかかるんだ。
露伴先生 ですよね。
いらっしゃったんですか。
集明社の泉ですー。
≪もう聞いた。 あっ それで
資料をですねー。
≪もう要らない。 帰ってくれ。
手首の角度は 直角90°を保つ。
各指は曲げずに 真っ直ぐを保つ。
ふううう~…。
ふう~…。
手のひらを前に…。
一本ずつ 指を折る。
1 2 3 4 5。
再び 一本ずつ 指を開く。
1 2 3 4 5。
ハァ…。
以上 漫画を描く前の「準備体操」 終わり。
失礼しまーす。
おい…。 はじめまして。
私 今度 「ジャンボ」編集部に
配属になりました 泉 京香です。
今日から 先生の担当に。
だから それは聞いた。
ていうか 君 帰れと言ったのに
何で上がってくるんだ。
編集長に ちゃんと ご挨拶しろって
言われたんで。
それに この犯罪の資料
今度の短編に必要だからって 前の担当が。
だから それも聞いた。
要らないって言ったろう。
えっ… でも せっかくだし
すっごく専門的な感じですよ。
ふん。 こんな資料だけで
分かった気になるのは 三流漫画家だけだ。
そうですか?
で どこに置いておきますー?
おいおい…
人の話を聞いたらどうだ?
今度の短編って 犯罪者の話なんですか?
違う。
だが 泥棒が 一コマ出てくる。
一コマ!?
それだけのために調べてるんですか?
当然だ。
セリフがあるからな。 ふーん。
でも 普通の泥棒なんですよね?
普通の泥棒?
そんなものは
存在しない。
生い立ちがあり 泥棒になった背景がある。
例えば… 受験前に 大好きだった漫画を
取り上げられた子供が
結局 落第して
人生からも落ちて 泥棒になる。
それを踏まえて書くセリフには
「リアリティ」が出る。
生きたセリフになるんだ。
ふーん。 でも
セリフ 一個だけなんですよね。
数の問題じゃあないッ。
うそっぽいセリフひとつが
作品全てを 台なしにしてしまうんだ。
この岸辺露伴が
そんなものを描けるかッ! へー。
じゃあ 棚に入れておきますねー。
よいしょっ… ううっ。
ハァ…。
泉君 だったか? 君。
漫画 読まないだろう。
読みません。
でも 先生の漫画は読み始めました。
まだ 第1部ですけど。
うそ…。 ええっ? 何 これ!?
僕が求めている 生きた資料だ。
いや ほんとに生きてますよ!
どうして こんなッ…。
ゆうべ
うちに入った泥棒を 僕が捕まえたんだ。
泥棒!? えっ… じゃあ
警察に連れていかないとッ!
もちろん 引き渡すよ。 だが その前に
少し取材をしてからだが。
そうだろう? 君たち。
(泥棒たち)
はい 俺たちは 露伴先生に協力します。
ええぇ…?
さあ。
帰ってくれ。
いや… でもっ。
早く 描き始めたいんだからな。
いや ちょっちょっちょっちょっ…。
♬~
うっ… ちょっと…。
うっ…。
うそ…。 ハァ ハァ…。
う~ん…。
えっ。
(舌打ち)
うっそ…。 うっ!
念のために書いておいて 正解だった。
♬~
「露伴が許すまで 彼の資料に徹する」。
書き込まれた命令には
絶対に逆らうことはできない。
さてと 泥棒のセリフは…。
うん 「くそッ」じゃあないな。
ただの無言 それのみ。
♬~
(汽笛)
≪太郎く~ん。
お待たせ。 ふふっ。
マロンも来たよ。
(マロンが鼻を鳴らす音)
もう うっそって感じなの。
漫画家って
変わった人が多いと思ってたけど
そういうレベルじゃないっていうか
絶対 普通じゃないの。
でも 次の日には 泥棒は逮捕されたし
しかも原稿は出来ちゃってて
評判も すごく いいのよねー。
だから まあ すごい漫画家なのは
間違いないのかなーって。
でも やっぱり変。
変なの 何かが。
(店員)お待たせいたしました。
ごめんね 仕事の話ばっかりで。
太郎君 つまんないよね。
(平井太郎)泉ちゃんは?
仕事 楽しい?
えっ? うーん…。
私 ほんとは
ファッション誌がよかったし
露伴先生の漫画も
よく分かんないんだよねー。
でも 先生の「変」なところは興味あるし
そういう意味では おもしろいけど
楽しいかどうかは…。
そっか。
太郎君は? 今 楽しい?
(マロンが鼻を鳴らす音)
なんか 見つかった?
いや。
そっか。
うん でも… 変なもの見つけた。
ん?
300万だって。
えっ?
ええっ…?
≪(カラスの鳴き声)
≪こんにちはー。 泉でーす。
泉君…。
≪失礼しまーす。
泉君
君は どうして そう究極に間が悪いんだ。
僕が 仕事を始めようとする時に限って
来るなんて ふざけてる。
アポぐらい取ったらどうだ。
ええー? すいません。
でも先生が 「岸辺露伴に いちいち
応対させるな。 勝手に上がってこい」って。
今までの担当 どうしてたんですか?
僕の邪魔をするのが怖くて
こんなに しょっちゅう来なかったね。
あー 先生
うちじゃ 超大物ですもんねー アハハ。
だから 書斎に インターホン
つけましょうかって この間。
あ~あ~ 分かった 分かった。
で 何の用なんだ。
先生 短編 第二弾 45ページ
もう 描くこと決まってますか?
ちょうど 今 考えてたところだ。
例えば…。
「金環日食」の話とか。
あーっ おもしろそうですねぇ。
でも それとは別に 「山奥の別荘」を
買うっていうのは どうですか?
なんだって?
別荘ですよォ。
それも なんと
超お買い得の 300万。
これ 見てください。
この山奥の ここ
道が 一本も つながってないのに
11軒あまりの「豪邸」が建っている
「村」がある。
道路どころか
送電線の一本も引かれてないんです。
調べたんですけど
完全に 「森の中」に遮断されています。
でも 電力はあるし
ヘリポートが見えます。
ここに住む大富豪たちは
ヘリコプターで移動してるんです。
まさか さっき「買う」って言ってた
別荘っていうのは…。
そうなんです。 現在 この一区画だけ
売りに出されてるんですよ 300万で。
おいおいおい。 ハァ…。
おいおいおい おいおいおい
おいおいおいおいおい。
いくらなんでも うさんくさすぎるだろう。
いくら 僕に金があったって
そんなものを買う気はないねッ。
違いますよォ。 先生は短編のための取材。
買うのは 私です。
君が?
はい。 区画の広さは 800坪。
300万なら 私の給料とかローンでも
買えるかなぁと思って。
あのなぁ… 絶対に おかしいだろ!
いくら山奥とはいえ 大富豪の村が
一区画 800坪で 300万? 裏があるねッ!
違うんです。
肝心なのは ここからなんです。
実は 11軒のオーナーたち みんな
親の代からの お金持ちじゃないんです。
いいですか。
最後に この村の土地が
売りに出たのは 23年前。
この豪邸のとこですけど 買ったのは
当時25歳の 宅配の運転手だった人です。
この人は 現在
資産300億の 航空会社CEOです。
他にも みんな そんな感じで
20代で この村の土地を「所有」して
大富豪になっていった人たちなんです。
偶然… というには 数が多すぎるか。
そうなんです!
先生 取材してみませんか?
私が この幸運の別荘を
買っちゃうところを…。
いや… やっぱり おかしい。
そんなに すごい所なら
希望者が殺到して 売れてるはずだ。
どうして 君なんかが
のんびり検討してられる?
さすが 先生。
実は 買うのが
すっごく難しいんですよ。
まずは この案内サイトに行き着くまでに
結構 運と ココが必要だし
現地に行けたとしても
かなり難しい条件を
クリアしなきゃいけないらしいんです。
条件? 収入とか家柄か?
それだけは
いくら調べても 出ないんですよねー。
成功した人は 当然 ないしょにしてるし
失敗した人も なぜか言わないっていうか。
そのあと連絡取れない人も
多いみたいで。
おもしろそうじゃないですか?
しかし 気になるな。
まだ 何かあります?
僕の取材のためなら
編集部が 300万くらい すぐに出す。
君は まだ借金してまで
別荘を買う年じゃあないだろう。
まあ… う~ん それには
ちょっと 個人的な事情があって。
実は
この案内サイトに たどりついたのは
私じゃなくて 彼氏っていうか。
なるほど。
男に頼まれた もしくは 貢ぐってわけか。
違いますよー。
それには ちょっと事情があって。
まあ 交通事故なんですけど
今 こう 何ていうか
頭が ふんわりしちゃってるっていうか。
で 初めてなんですよね 彼が
ちょっとでも 何かに興味持ったのって。
まあ きっかけは大事ですし
幸運ゲットして
彼のサポートしてあげたいんですよねー。
ふん くだらないね。
だったら 君一人で やればいい。
僕は 湿った恋愛ものには興味がない。
アハハ
そんなの編集部も期待してませんよー。
先生 言ってたじゃないですか。
背景があったほうが リアリティあるって。
そういう背景の私が 借金して
幸運の別荘を買って どうなるか
これ
生きたネタになると思うんですよねー。
編集部。
ヘリ 持ってるのか?
ふっ… よし!
マロン いい子にしてるんだよ。
(マロンが鼻を鳴らす音)
お土産 買ってくるからね。
(マロンが鼻を鳴らす音)
ごめんね お願いして。
大丈夫。
じゃあ。
新しい情報あったら メール入れるから。
うん。
私も頑張ってくるね。
じゃあ いってきます。
フゥ… ハッ…。
ヘリを用意すると言ったろう。
それが 住人以外
ヘリポート使っちゃ ダメらしくて。
まったく…。
よいしょ… ハァ ハァ。
ハァ…。
よいしょっ。 ハッ。
ハァ… フゥ… ハァ~ ハァ!
えっ? ああ ちょっと…。
ハァ… ハァ… ちょっと待って!
ヘェ… ハァ… ハァ…。
ハァッ。
まだ着かないの?
ハァ ハァ ハァ…。
先生 体力ありますねー。
ハァ。
漫画家に 体力が要らないと思ってるなら
大きな間違いだ。
アスリート並みに鍛えているよ。
それにしても…。
僕も少し調べてみたんだが
この辺りは 昔 禁足地だったらしい。
今は その痕跡もないが。
キンソクチ?
簡単に言えば
人間は立ち入り禁止ってことだ。
神聖な場所だったり 祟りがあったりで。
へー。
でも 今は ネットのマップで
どこでも見られますしねー。
どこでも ずかずか入り込んでくる
怖いもの知らずもいるしな。
あー いますねー 心霊ツアーとか。
アハハ。
ああ~!
ううっ ハァ フゥ…。
ううっ… フゥ… ううっ!
ああ… ハァ~… ハァ!
あっ 道だ。
道だよ。
フゥ… ふっ ほっ ほっ ほっ。
フゥ… ちょっと待って!
(受信音)
あ…。
先生! 彼から
新しい情報です。 ん?
売り主は ここの別荘地の代表者で
めちゃくちゃ
礼儀作法に うるさいそうです。
「マナー」を守らない人には
売らないと決めている ですって。
先生 お願いしますよー。
「お願い」ってなんだい?
買うのは君だろォ?
いや 「違反すると まとめて追い返される」
って書いてあります。
お金を いくら持ってても。
ほら 先生って 自分が一番みたいなとこ
あるじゃないですかぁ。
「オレ様」っていうか。
訪問者として 失礼のないよう
これから会う相手への敬意を
よろしくお願いします。
ふん。 「マナー」くらい
その気になれば ロイヤルファミリーの
前にだって出られるね。
すてきです 先生。
期待しちゃいます。
♬~
(扉が開く きしんだ音)
(鳥の鳴き声)
(一究)こんにちは…。
遠路はるばる
ようこそ おいでくださいました。
はじめまして。
私は 泉 京香と申します。
別荘の購入の件で
お時間をいただき ありがとうございます。
こちらは 付きそいの岸辺露伴さん。
漫画家の先生です。
私の名前は 「一究」です。
正門からの案内役を
務めさせていただいております。
どうぞ お入りくださいませ。
ただいま
当別荘地の売り主を呼んでまいります。
こちらで お待ちください。
ありがとうございます。 失礼します。
フゥ~… 緊張した…。
玄関から 始まっていたからな。
「マナー」の試験が。
どっちに座るか 迷いましたよ。
こっちなんですね。
客といえども 勧められるまでは
「下座」に座る。 基礎中の基礎だ。
さすが 先生。
失礼いたします。
どうぞ あちらへ。
♬~
紅茶ですね。
ああ。
で 君 知ってるの?
えっ?
「マナー」だよ。
これも試されてるんじゃあないの?
君 正確な答え 知ってるの?
それが…。
先生 ロイヤルファミリーの前にも
出られるんですよね。
どうやるんですか?
彼らは こんな和洋折衷の
変な応接セットで飲まないんだよッ。
うそ…。
どうする?
ネットで 「飲み方」検索でもするかい?
なんか それも
マナー違反な気がするし…。
大丈夫です。 飲食は 不快感を抱かせる
音や動作がNGなんです。
失礼いたします。
(一究)
まことに残念ではございますが…
当別荘地の売り主が お目にかかることは
もう ございません。
本日は お引き取りください。
えっ!
(一究)
泉様に マナー違反がございました。
無礼なる者に お売りする土地は
ございません。
わ… 私が?
(一究)はい。
テーブルが ヒザの高さより低い場合
受け皿を持って 召し上がるのは
正しいのですが
ティーカップの取っ手に 指を突っ込んで
お持ちになるのは
この上なく 下品な行為。
「マナー」は 「正しい」か「正しくない」かの
どちらかです。
寛容はございません。
どうぞ 本日は お帰りください。
えええ…。
あれ~ これで終わりかい?
ここの主人の姿も見せずに
これで終わりねェ。
ちょっと 露伴先生。
あの… 今…
「本日は」と おっしゃいましたか?
それは 別の日に もう一度
試していただけるってことでしょうか?
何?
もし そうでしたら
もう一度 最初から お願いしますッ!
「マナー」の 「再試み」をなさりたいと…?
今… そうおっしゃいましたか?
はい! 是非ッ!
なあ… もう帰ろう…。
こんなんじゃあ 全然 取材にならない。
ダメですよ
せっかく ここまで来たんですから。
私 頑張ります。
絶対 ゲットしたいですもん。
おい…。
♬~
(セミの鳴き声)
では 続けてもよろしいですが
その場合 失敗するたびに
大切なものを ひとつ
失うことになりますが。
はい お願いしますッ。
待て。
では 再トライを
開始いたします。
(振動音)
もしもし 太郎君?
今 ちょっと大事な…。
えっ…? えっ!?
えっ うそっ。
どうしたんだ。
マロンが… マロンが 急に倒れたって。
太郎君… 病院… 病院は?
連れてく タクシー拾って。
でも これって もう…。
(急ブレーキの音)
(衝突音)
太郎君? 太郎君!?
大丈夫ですか!? ちょっと 救急車…。
救急車 救急車!
誰か呼んでます!? お願いします!
あ… あっ… うそっ。
泉君 しっかりしろッ! どうしたッ!?
太郎君が倒れたって。
車が 急に突っ込んだって…。
いやだあっ! ああっ… ああ…。
先ほど 申し上げました。
失敗するたびに
ひとつずつ失うと。
泉様は 「2つ」失敗しましたので
代償は 「2つ」。
なにィ…?
先ほどの紅茶が 「1つ」
そして 「2つ目」は 携帯電話。
かかってきた時は 周りの人間に断り
席を離れて出るのが 「マナー」です。
ああ… ハァ ハァ…
太郎君 マロン。
私 行かなきゃ… 行かなきゃッ!
待て!
下手に動けば またマナー違反で…。
(ページが めくれる音)
これは…。
一応 「マナー」として教えてやろう。
これは 僕に備わった「能力」だ。
人の心や記憶を
「本」にして 読むことができる。
天からのギフトと言うしかないが
僕は こう呼んでる。
ヘブンズ・ドアー。
「僕は正門からの案内人」。
「山の神の意思を伝ゑる人」。
「この山に入る時
敬意なきマナー違反者は
自分の大切なものを 一つ失ふ」。
「それは 神聖なる土地の掟。
ひとつ得るか ひとつ失うか。
それは 山の神からの罰。
土地に敬意を払う者は 成功を『得』
否なる者は ひとつずつ『失う』」。
まずい…。
禁足地だったのは ただの迷信じゃない。
ここは 山の神々が住む場所。
生半可な作法で
侵入していい場所じゃあないッ。
「他人の心の中を 断りもなく
読もふとするなど
相手への敬意に欠ける マナー違反」。
♬~
まずいぞ…!
♬~
はっ… ああっ… ああああっ!
ああっ!
ひとつの違反は ひとつの代償を負う。
ぐっ… うっ。
(一究)もう お帰りになることを
お勧めいたします。
先ほど ううっ…。
漫画家と伺いましたが
今なら まだ
左手をお使いになれるのでは?
多少の鍛錬は
必要かと存じますが。
ハァ… うっ。
さあ どうぞ。
このような状況ですので
お帰りの「マナー」は
不問とさせていただきます。
ハァ… ハァ… ハッ。
(一究)お帰りになられますか?
うっ…。
♬~
そのほうが いいんだろうな。
だが 断る。
それは つまり…。
続行だ!
かしこまりました。
(一究)どうぞ お召し上がりください。
この「トウモロコシ」 どう食されますか?
みっちり並んだ粒…。
これが クセモノだが
キレイに外す方法なら ある。
まず 下から2列ほど外し
あとは指全体を使って 内側に倒していく。
あるいは ナイフで削ぐ。
だが 正しい食べ方は…。
そして 今
問題なのは…。
さあ どうぞ。
[ 心の声 ] まずい。 温かい料理に
長く 手をつけないのは マナー違反。
(一究)いかがなさいましたか?
既に 再トライされていますので
今更の辞退は できません。
[ 回想 ] 先生
ロイヤルファミリーの前にも出られるんですよね。
岸辺露伴様 お召し上がりに
ならないのでしたら マナー違反として…。
いや。
食べる。
この岸辺露伴を なめるなよ…。
(かむ音)
「手づかみ」 ですか。
なるほど。 しかし 片手でというのは…。
その前に。
君 足元 大丈夫か?
あっ!
畳の縁を…? まさか!
なぜ この私が!?
どうかしたか?
(一究)イカサマだ。
そうでなければ 私が こんな初歩的な
マナー違反をするはずがない。
へえ~ 君 違反したのか。
とぼけるなッ!
ジャッジは 君の主が するんだろ。
くっ…。
♬~
トウモロコシは 「手づかみ」が正解らしい。
し… しかし
正しくは 両手で食べなければ。
なあ。
イギリス王室のエピソードで
有名なのがあるんだが 知ってるか?
(一究)は?
ある女王が主催した食事会で
招待客の一人が
指を洗うための水を
間違えて 飲んでしまったそうだ。
当然 マナー違反だよな。
だが 女王は
すかさず 客と同じように水を飲んだ。
恥をかかせないためにね。
何を…。
まあ
ほんとかどうかは知らないが
ポイントは そこじゃない。
つまり 「マナー」の本質とは
相手を不快にさせない
思いやる気持ちにあるんだ。
君に それがあったとは言えないよなぁ。
私のほうが マナー違反だと?
あ。
(一究)あっ!
ああッ!
ひとつの違反に ひとつの代償だったよな。
あっ!
あれっ?
(救急隊員)
大丈夫ですか?
はい。
(救急隊員)ちょうど 車と電柱の
隙間に入ってたんです。 奇跡ですよ。
(マロンのほえる声)
(女性)どうぞ。
(マロンが鼻を鳴らす音)
(一究)イカサマだ…。
こんなイカサマは 許されない。
神々の怒りを買うぞ。
いいや 怒りは買わずに済んでるようだ。
さすがに 「マナー」に厳しい神は公平だな。
そんなはずは… マナー違反は絶対に…。
ジャッジを下すのは 君じゃあない。
♬~
ひとつ 教えてやろう。
全てのマナーにおいて
最大のマナー違反
それは…。
マナー違反を その場で指摘することだッ。
(畳をたたく音)
(畳をたたく音)
ハハハハハ…。
(一究)岸辺露伴様。
再トライなさいますか?
いいや。
帰る。
♬~
二度と来るつもりもない。
♬~
はぁ~あ!
部屋に入るまでは完璧だったのに
紅茶で追い出されちゃいましたねー。
残念すぎる…。
「紅茶で失格になり 追い出される。
二度と 村には行かない」。
でも ネタとしては
おもしろいですし
フィクションで膨らませれば
短編になるんじゃないですか?
いいや あのネタはボツだ。
ええっ? でも…。
ボツだ。
帰れ。
(舌打ち)
はい。
♬~
あんなものを描いて
読者が村に行ったら とんでもない。
それこそ マナー違反だからな。
僕が敬意を払うとしたら 読者だけだ。
(刑務官)おい 差し入れだ。
(泥棒B)ああッ…!
うおおおッ…。
♬~
岸辺露伴。
やっぱり 何か変。
♬~
太郎君。
(急ブレーキの音)
♬~
(大学教授)うわああああ~ッ!
ああ…。
あ… あ… 違う違う違う違う違う
違う違~う!
ああ~!
「くしゃがら」ぁあああ…。
(倒れる音)