少年寅次郎「総集編」国民的映画「男はつらいよ」の主人公、車寅次郎の知られざる少年時代を描いたドラマ「少年寅次郎」を…

2020年12月3日

出典:EPGの番組情報

少年寅次郎「総集編」[解][字]

国民的映画「男はつらいよ」の主人公、車寅次郎の知られざる少年時代を描いたドラマ「少年寅次郎」をぎゅっとまとめた総集編。出生の秘密から13歳の旅立ちまでを描く。

番組内容
国民的映画「男はつらいよ」の主人公、車寅次郎の知られざる少年時代を描いたドラマ「少年寅次郎」を再編集してぎゅっと75分にまとめた総集編。寅次郎出生の秘密から、育ての母、光子(井上真央)の愛に包まれたわんぱく少年時代、そして戦争をはさんだ泣き笑いの日々を綴(つづ)る。そして、ちょっぴり切ない初恋と13歳の旅立ちまでをいっきに見せる寅次郎、エピソードゼロ!
出演者
【出演】井上真央,藤原颯音,井上優吏,毎熊克哉,泉澤祐希,岸井ゆきの,きたろう,石丸幹二
原作・脚本
【原作】山田洋次,【脚本】岡田惠和

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

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  11. ハハ
  12. ハハハ
  13. 光子
  14. 千吉
  15. 名前
  16. 夏子
  17. 車君
  18. 冗談
  19. お前
  20. お母さん

解析用ソース(見逃した方はネタバレ注意)

   ごあんない

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(鐘の音)

東京・葛飾 柴又です。

フーテンの寅次郎で有名な街といえば

ここ柴又。

これから始まる物語の舞台は

その中にあります
くるまやという おだんご屋さん。

さて 今夜は 昭和11年2月25日。

夜が明けると 歴史を揺るがす

二・二六事件が起きるとは
世間は知る由もございません。

くるまやにとっても 大変な事件が
これから起こるわけでございます。

今日は そろそろ しまいにしようかね。
こんな天気だし 人も歩いてないしね。

おお そうだな。 そうすっか。
閉めよう 閉めよう。

どうです? お義父さん。
どうです? お義父さん。

(昭一郎)フフフ…。
昭一郎~。

うん。

さてと じゃあ 俺は…。

ちょっくら…。
出かけんのかい? こんな日まで。

会合だよ 町内会の。 備後屋のバカ旦那が
風邪ひいて熱出して行けねえから

代わりに出ろって頼まれてんだよ。
俺を待ってんのよ。

(平造の鼻歌)

(せきこみ)

大丈夫かい? 昭ちゃん。
うん。

何か おいしいもん作ろうね。 ねっ。
さっ 寒いから入ろう。

(泣き声)

≪(戸をたたく音)

(赤ちゃんの泣き声)

えっ…。

(泣き声)

「どうか よろしくお願いいたします」。

(泣き声)

よしよし。 よしよし…。

よしよし。 いい子 いい子。

(泣き声)

こら! 寅! 待て! 待たんか!
(笑い声)

(笑い声)

待て!

ちょっと寅ちゃん! 待ちなさい。

何したの? 今度は。
デヘヘ。

こら 寅! またお前か!

はい「少年寅次郎」 始まりでございます。

♬~

さて あの事件のあと
どうなったのか

おさらいをしておきましょう。

おなかすくよね。

(つね)どうも。
あっ 竜造さん つねちゃん。

えっ?
(竜造)えっ?

どしたの? 義姉さん。
大丈夫? 光子さん。

うん…。 えっ?
どこの子?

あら やだ。
バカだね 兄貴は。

こんな きれいな嫁さんがいるのにな。

きれいかどうか関係あんのかい?

車家の次男 竜造さんと
女房の つねさん。

後の おいちゃんと おばちゃんですね。

で 兄貴は?
さあ 朝帰りじゃないかね。

あら~。
(ため息)

私… ちょっと御前様のところに
行ってくるよ。

名付け親になって頂こうと思ってね。

じゃあ 光子さん…。
この子に罪はないだろ?

だよね? そうだよね? そう思うだろ?

そうだね。
そうだけどよ…。

いいですか? お義父さん。

御前様 だんごお好きだから 持ってけ。

はい。

苦労されるな 光子さんも。

いえ 覚悟しました。

さて どんな名前がいいですかな?
光子さんは。

大変だと思うんです この子。
生きていくの。

狭い町ですから
事情は すぐ噂になるでしょうし

ず~っと言われるんだと思うんです。
なるほど。

ですから それを はねのけるような
強くて愛きょうのある名前だと

生きる力になるかなと…。

みんなに愛されるような…。

難しい注文ですなあ。

命名 車 寅次郎。

寅次郎…。

ありがとうございます。 立派な名前を。

いやいや
気に入って頂けたら よかった。

よかったね。 あんたの名前が決まったよ。
寅ちゃん。

そんなわけで 赤ちゃんの名前は
寅次郎に決まったのでした。

さて おさらい終わって昭和16年8月です。

寅 もっと落ち着いて食え。
だって おいしいんだもん。

(昭一郎)これもいいぞ。 食べろ 寅。

昭ちゃん
もっと食べなきゃ駄目じゃないか。

いいのか? 頂き。

寅ちゃん。
寅ちゃん 行くよ。

おお 今行く。

(クボチン)早く行こう。
(タンクロー)早く行こうよ。

お待ち。 悪さするんじゃないよ。
ヘヘ。

寅ちゃんは お母さんのことが
それはもう大好きで大好きで

しかたないようですね。

行ってきま~す!

ねえ 今日 何して遊ぶ?

♬~(歌声)

ん? おめえ誰だ?

あっ 俺がベロベロに
酔っ払っちまった夜にできちまった

確か 名前は猫三郎とかいったか。

寅次郎… だい。

寅次郎… だい。 ハッハッハッハッハッ。

バカにはバカが寄ってくるもんだな
ええ?

どうした? 早く行きな。

行くぞ。

気を付けてね。
あんまり遅くなるんじゃないよ。

いいぞ そのまま帰ってこなくても。 ハハ。
ちょっと あんた なんてこと…。

行くぞ!

あっ!
おはようございます。

おはようございます。

それから しばらくして…。

車家にとって そして寅ちゃんにとって
大きな大きな出来事がありました。

(鐘の音)

おいちゃん! 寅!

元気な女の子だ。 お母ちゃんも元気だ。

万歳! 万歳! 万歳!

よかった よかった。

ありがとうございます。

♬~

かわいがってね 寅ちゃん。
うん。

(平造)しかし すぐ上に そんな
ろくでもねえ兄貴が1人いたんじゃ

嫁にも なかなか行けねえかもしれねえな。

兄貴なのか? おいら。

えっ?
今 お父ちゃん そう言ったよな。

フフフ… そうだね。

言ったか?

♬~

この子 さくらって名は どうかね。

さくら。

おお~。

決まりだな。

(さくらの声)

というわけで 日本一の妹
さくらちゃんが誕生いたしました。

アメリカ イギリスとの戦争が始まり

庶民の生活は厳しく
暗い時代になってまいりました。

寅次郎はといいますと…。

國民學校の2年生 7歳になりました。

「ナガメノ美シイ国デス」。

(一同)「日本ハ 春 夏 秋 冬ノ
ナガメノ美シイ国デス」。

入れ。
(2人)やった!

(笑い声)

あれ~ おいらの席どこだっけ?

(笑い声)

ここか ここか。
廊下にばっかいるから忘れちまったぜ。

(笑い声)

(あくび)

あ~ やだやだ 暇だね。

ねえ。 まあ 忙しくなられても
砂糖が ほとんど手に入らないんだから

そんなに作れないし。 ねえ さくら。

(平造)まっ そういうこったな。
しょうがねえ しょうがねえ。

つまんねえな。

飲みに行く店は閉まってるし
仲間もいねえしな。

げた屋の勝男さんは?
死んだよ。 戦死公報が来た。

そう…。
次男坊だからな やつは。

何だ そのバカ面は。

あれだろ どうせ 学校行っても
立たされてばっかりなんだろ。

ええ? そうに違えねえ。
で 「立たされてばっかりで

自分の席 忘れちまったよ」とか
言ってんじゃねえのか。 ええ?

えっ。

(竜造)兄貴のことじゃねえか それ。
あっ おいちゃん。

あら 珍しい。
(つね)どうも~。 (正吉)おう。

(昭一郎)にぎやかだね。
うん。 大丈夫かい?

うん。 今日は 何だか いいんだ。
そう。

よう 昭ちゃん。

これがな 手に入って
今日は持ってきた。

昭ちゃんに食ってもらおうと思ってな。

栄養つくぞ~。 なあ。
うん。

(昭一郎)ありがとうございます。
そんなん いいって。

ありがとう。 すごいね。 後で頂こうね。
うん。

悪いな。
いいって。

そこの ちっこいの。
えっ?

男の方だ 男の方。
そこの弟。 次男坊主の弟。

来たか 赤紙。

いや…。

来るぞ 赤紙。 おめえには来る。 必ず。

何でだよ。

次男 つまり弟だからだ。

弟は こういう時 真っ先に駆り出される。

つまりは いなくても困らねえからだ。

ひどいよ あんまりだよ。
つね。

でも しょうがねえだろ。
そういうもんだ。

そういう時のためにいるんだ
弟なんてのは。 諦めろ。

やめなよ もう 子どもの前で。
ふん。

不謹慎だよ 父ちゃん。
えっ?

僕は行きたい… 行きたい 戦地へ。

戦いたい。

やめろ。
俺だって同じだよ。

俺だってな お国のために戦って…。

足手まといだよ。
何だと こら!

ああ 俺だってな 行きたいよ 行きたいね。
お国のためにね。

万歳なんて見送られてね。

でも 呼ばれねえんだから
しょうがねえじゃねえか。

臆病者だからな 兄貴は。
何だと こら。

そうじゃねえか。 喧嘩だって争い事だって
好きじゃねえだろ 兄貴は。

すぐ逃げるじゃねえか 大事なことから。
てめえ…。

確かに。
何だと こら。

しょうがねえだろ 呼ばれねえんだから。

だから おめえは覚悟しとけって
言ってんだよ。

うるせえや!
てめえ やんのか こら!

≪すみません。

すみません。
うるせえ!

車 平造さんのお宅は こちらでしょうか?

おめでとうございます。

失礼します。

へえ~… 本当に赤えんだな。

何だよ この出来損ないの落語みてえな
オチはよ。 ええ? へへ…。

ちょっくら 酒でも飲んでくるわ。

♬~

(ため息)

また飲んだくれてんだな あいつは。

お茶でも いれましょうか。
いや…。

光子さん。
はい。

あんたには 苦労ばっかかけるな。

ろくでもない息子で申し訳ない。

仕事は半端だわ
よそで作った子どもを育てさせられるわ

今だって…。
いえ。

詐欺だよな こんなのな。

仲人の田中のばばあ
何つった? 見合いの時。

仕事が大好きな
バカがつくくらい真面目な。

本当に詐欺だな それは。

本当ですよ もう。

申し訳ない。
ちょっと やめて下さい お義父さん。

♬~

(さくらの声)

どうした? ん?

どうした?

さくらの顔 よ~く見とかねえと。

なあ さくら。

♬~

お母ちゃん。
ん?

お父ちゃん 好きなんだよ 里芋。
やっと手に入った。

へえ~… なあ お母ちゃん。
ん?

おいら 父ちゃんのこと好きになるよ。
えっ?

だって お母ちゃん
父ちゃんのこと好きだろ?

じゃあ おいらも好きになる。

フフフ…。

そう… そうかい… うん… ありがとう。

うまそうだね。
うん。

♬~

平造さんは 陸軍部隊に入隊します。

このころになると
派手な見送りは禁じられておりました。

行ってくる。

♬~

そして…。

なんて顔してんだ 寅。

死んじゃうのか? 兄ちゃん。

それを聞くか 僕に…。

だってよ…。

母ちゃんや さくらのこと 頼むぞ 寅。

お前はさ 生きろ。

何があっても 生きろ。

なっ 寅…。

バカだね 本当に。

いいな 寅は…。

みんなを笑わせることができて…
いいな…。

♬~

(空襲警報)

お母ちゃんが かわいそうだよ 御前様。
(御前様)ん?

父ちゃんは 戦争行っちまうし。
うん。

兄ちゃんは 死んじまうし。
うん…。

ねえ 御前様。

おいらなんか いなくてもいいのにさ。

バカもんが。 いなくなっていい人間など
一人もおらん。

ヘヘ…。
(御前様)分かったか? 寅。

分かってるのか?

はい。

うん。

そして しばらくして
あの日が やってまいります。

3月10日 東京大空襲。

♬~

夜が明けるまで 寅ちゃんは
身動きすらできず 眺めていました。

♬~

寅ちゃん… 寅ちゃん…。

寅ちゃん…。

お母ちゃん ただいま…。

バカ! どこ行ってたんだい!

もう… 死んだと思ったじゃないか。

あんた いなくなったりしたら…

あんた いなくなったりしたら 私は…

私は どうしたらいいんだよ。

バカ!

ごめんなさい… ごめんなさい…。

バカ…。

お母ちゃん!

お母ちゃんも ごめんよ…。

(泣き声)

よかった 帰ってきてくれて…。

さあ 朝ごはん食べよ。 ねっ。

うん…。

♬~

戦争が終わって 3年の月日がたちました。

少しずつですが 町に活気がよみがえり
人々にも笑顔が戻ってきました。

♬~

くるまやも 少し様変わり。

お待ち遠さまでした。
ごゆっくり どうぞ。

あっ つねちゃん 私やるから。
はいよ。

(竜造)♬「晴れた空 そよぐ風」

竜ちゃんは楽しそうに働くね。

いいね 仕事が好きなんだね。

まあね。
(さくら)ただいま。

ああ お帰り さくら。
ただいま。

さくらちゃん 大きくなりましたね。

お~い 寅ちゃん!
寅ちゃん!

よう。

こちらが寅ちゃん 12歳になりました。

(タンクロー)どうだい? 釣れたかい? うなぎ。
おう。

(クボチン)うわ すげえ。 大漁だ!
2人で持って帰って食えよ。

本当に?
ありがとう 寅ちゃん。

ちょっと男っぽくなってきましたかね。

(さとこ)あら 寅ちゃん。

あっ ど… どうも こんにちばんは。

フフッ…。

裏の工場の子か?

そうそう 工員さん。
さちこちゃんとかいったかね。

さとこさんだよ おばちゃん。
人の名前を間違えちゃいけないよ。

あ… すいません。
そうだよ 駄目だよ。

(梅太郎)よう 寅ちゃん 何やってんの?
邪魔。

(雨音と雷鳴)

(竜造)兄貴 ここ俺がやるから
みんなを2階に上げてくれ。

(平造)おう。

大丈夫ですか?

足元 気を付けろよ。

いや~ 悪いですね 本当に。

こいつらと さとこちゃんの部屋が
窓がやられて水浸しになっちまって。

本当 すいません。

何言ってんの。
困った時は お互いさま。

すいません。 おやじは
工場の機械守るんで動けなくて。

まあ この風と雨だ。
潰れるだろ あの工場は。

えっ…。
ちょっと…。

(平造)冗談だよ 冗談。
みんなの気持ちを和ませようと思って。

和まないよ。 バカだね~。

(梅太郎)それじゃあ 俺は これで…。

大丈夫かい? さとこちゃん。

はい ありがどうございます。

はあ… 俺も こっちがいいな。 ハハハ。

じゃあ。

ありがどうございました。

(雷鳴)
うわっ!

うわ… ごめんね 寅ちゃん。

(雷鳴)

今夜は寝られそうにないね。

何か食べようか みんなでね。 ねっ。

手伝います。
ああ ありがとう。

いい子だね さとこちゃん。

う~ん おいしいね。

ありがとね さとこちゃん。

田舎の料理なんだろ。
(さとこ)はい。

いいお嫁さんになれるね。

え~ ヘヘ んですが?

いやいやいや 参ったな。

何で あんたが照れてんだよ 寅ちゃん。

えっ… あれ 何でだ?

(笑い声)

山形だったよね さとこちゃん。

はい。 寒河江っていうどごで
山の中です。

そう。 こっちの暮らしは慣れた?
はい。

さとこさん 好きな食べ物は何?

私? 安上がりだよ。 がんもどぎ。

え~! 俺と一緒だ。

(さとこ)んだ?
んだ んだ。

そんなに驚くようなことじゃないだろ。

あとは?

う~ん… あっ
東京さ来で 初めで食べで

こだな うまいもんあんのがって
思ったのが うなぎ。

お兄ちゃん うなぎ釣りの名人だよ。

もう よせやい!

痛っ! 痛えな おめえ。

へえ~ うなぎか。
(さとこ)はい。

そごの うな芝さんのが
おいしいです。

ほがは食べだごどないげど。 フフフ。

うな芝さんの千吉っていったかね
うなぎ さばいてる人。

ちょっと いい男だよね。

(竜造)そうなのか?
(つね)うん。 ちっとばかり

歌舞伎役者みたいな顔でね。
はい。

(竜造)へえ~。 (平造)歌舞伎役者ね。

こんな顔か?

そうじゃないよ バカだね。

きれいな顔だって話だよ。
はい。

おや? さとこちゃん
まんざらでもないね その顔は。 ん?

え~ ヘヘ… 千吉て…。

やんだ ほだなごど
こごでは言えないでっしょ。

やんだ 恥ずかしい。

そう 好きなんだね。 向こうは?

やんだ 本当に…。

今度 一緒に映画ば見に行ぐべなんて
言ってくれで…。

(雷鳴)

おやすみ。
おやすみ。

(鐘の音)

(御前様)こら 寅。
お前は ここで何をしているんだ。

いい若いもんがだな…。
御前様。

今 お説教を聞く気分じゃないもんで
またにしてくれませんか。

ほう… それは
すまなかったな。

いえいえ いいんですよ。

はあ…。

(さとこ)寅ちゃん。
あっ!

あっ はい 何でしょう?

お給料がね 出だんだ。
んだがら おごってあげる うなぎ。

え…。
やんだ?

いや… とんでもない うれしいです。

んじゃ 行ぐべ。
はい!

(千吉)よう。
うん。

来たのか。
(さとこ)うん 来た。

んまいね。
うん。

フフフフ… 大丈夫?

(さとこ)どごさ行ったんだべ 千吉さん。
なあ。

休み時間に話がしだがったのにな。

そうか。
うん。

えっ?

落ちちゃったよ。
ごめ~ん。

ああ~! 腹減った?

えっ? 今 食べだでしょ?

寅ちゃん。

何やってんだ あのバカ。

≪そうだ 映画。
あっ…。

≪(さとこ)映画? 今がら?

何っ!?

もう 何なの? 寅ちゃん。

いや えっと あの… そうだ
甘いものでも食べないか?

金はないけど おごるよ。
んだが? おう。

んじゃあ… おだんご食べだい。

おう だんごか! いいね!

うん じゃあ 入っべ。
おう… あっ!

よう。

誰? この人。 千吉さん。

ん?
何 この田舎娘。

あんたこそ誰?

千ちゃんの 女だけど?

ちょ ちょ… やめようか。
うるさい!

やんのかい? このガキ。
いやいや ちょっと やめようか。

触んじゃねえ このスケベじじい!

私… あんたのごど本気で考えでで…。

田舎がら見合いの話があるがら
帰ってこいって言われだげど

断っで…。

好きな人がいるがらっで 断っで…!

(千吉)おいおい ちょっと待ってくれよ。

何で俺が お前みたいな町工場の田舎娘と
一緒になんか…。

ハハハハハ…。

冗談じゃねえ。

(千吉の笑い声)

寅ちゃん。

♬~

そうが。

え?
そうが 寅ちゃん。

さっき 私を あの人だぢに
会わせないようにしでくれでたんだね。

優しいね 寅ちゃんは。

私 寅ちゃんみだいな人を
好きになればよがっだな。

田舎さ帰る 私。

ありがどね 寅ちゃん
優しぐしでくれで。

寅ちゃんの恋が終わりましたね。

そう こんなこともありました。

(すすり泣き)

どうしたよ さくら。

だって… だって…
お兄ちゃん かわいそう。

知らないの 私だけなんだね。

お兄ちゃん… お母ちゃんが産んだ子じゃ
ないんだってね。

だから お父ちゃん… お兄ちゃんのこと

あんなふうに いっつも…。

かわいそう。

どこが かわいそうなんだよ。

バカだね お前は。

何で?

俺は幸せ者だぜ。
お母ちゃんの子どもでいられるし

それに 柴又で一番
いや 日本一の妹がいるんだからな。

幸せ者だ。 だから
お父ちゃんにだって感謝してるんだぜ。

お兄ちゃん…。

さっ 帰るぞ。 お母ちゃん心配してる。
うん。

さくら。

フフフッ…。

立てるか。
ありがと。

こらっ! いつまで遊んでんだい。

遊んでばっかりいると くるまやの
寅ちゃんみたいになっちまうよ。

(2人)え~ やだ~。
帰るよ!

(2人)は~い。

はあ…。

ハハハッ ハハ…。

さくら… ほら。

行くぞ。

(散歩)Robinson Crusoe

was born in England.

(一同)Robinson Crusoe
was born in England.

(散歩)違う違う違う。
みんな なまってるらべや。

みんな なまってるらべ。

こら。
(一同)こら。

(笑い声)

寅ちゃんは
英語の時だけは起きてるな。

車 寅次郎君。
はい。

楽しそうだね 君は。 好きか? 英語。

好き… だべ。
(笑い声)

(さくら)お父ちゃんは 何で あんななの?

えっ?
さくら?

お母ちゃんがね
お兄ちゃんのことをさ

気に入らないとか
つい意地悪しちまうとかさ

そういうのは分かる。

えっ?
どういうこと?

まま母だからさ お母ちゃんは。

えっ… あっ… 私のこと?

まま母? あ… そうか。

読んだ本とかだと 大抵そうだよ。
まま母は 意地悪したりするんだよ。

そうなの?
どんな本 読んでんだい?

お父ちゃんにとってはさ お兄ちゃんは
れっきとした自分の子じゃないか。

何なの? 一体…。

ああ もう やだ。 考えるのも嫌だ!

はっけよ~い のこった!

(騒ぐ声)

ああ いたいた 車君。

ちょっと お話があります。
お話?

会議室へ すぐに。

ああ…。

すまんな 突然。

お菊さんっていう人を
知ってるかね?

知らない。

そうか…。 君のお母さんだそうだ。

えっ…。

君を産んだ方だ。 分かるか?

あ…。

そういう人がいることは
知ってるんだね?

どうしても君に会いたいと
学校を訪ねて見えた。

今 あっちで 待って頂いてる。

仕事の関係で遠くに行かなくてはならず
東京に来られるのも最後のようでな…。

やはり どうしても君に…。
(戸が開く音)

あっ いや…。

(お菊)ごめんね。 えっと…
寅次郎さんだったね。

ごめんね 突然。

嫌だよね 嫌に決まってるよね。

そりゃそうだ ひどい母親だもんね。
今更 何だってんだって話だよね。

そうだそうだ そりゃそうだ
そのとおりだね。 ハハ… バカ…。

ハハハ… ああ そうそうそう
私ったら バカだからさ

あんたと別れてから
もう随分たってんのに

いまだに頭の中じゃね
赤ん坊のままだったもんだから…

こんなの買ってきちゃってね。

(お菊)バカだよね…
計算すれば分かるだろって話なのにね。

アハハ… 本当に やんなっちまう。
何やってんだ 本当に。

あら… あららららら。

本当 やだね もう本当にバカ力でね…。

でね でね 今日さ
銀座のさ 文具屋に行ってね

「私の息子に贈るんだ 万年筆出しておくれ
一番いいやつをね」なんて言ってさ…。

でね これ 買ってきたんだけど
上から3番目くらい。

あっ ごめん 嘘ついた。
下から3番目くらいの値段だけど

私には これが精いっぱいでさ。

でさ… でね… で…

お願い これ 受け取ってくれないかね…。

(お菊)お願いだよ…。

ありがとう。

♬~

(お菊)ありがとう…。

ありがとう… ありがとう。

ごめんね…。

ごめんなさい…。

ごめん…。

♬~

ただいま。
(2人)お帰り。

あっ お帰り。

♬~

えっ!

えっ! えっ!

え~!

えっ え~!
(夏子)お父さん!

はい! えっ?

え~!
車君。

ハハ… どうも お父さん。

いや 誰がお父さんだ?
あっ いや…。

娘の夏子だ。 こんにちは。
いつも父がお世話になっております。

はい。
いやいや。

ここは とんでもありませんとか
こちらこそとか。

えっ?
「えっ?」じゃなくて。

面白い子。
お父さんが言ってたとおりね。

だべ?
えっ?

ハハハ。
あっ でも ちょうどよかった 車君。

はい。

夏子に怒られてしまってな。

君と 訪ねてきたお母さんのことを
話したら。

君の気持ちを確かめずに
いきなり会わせるのは無神経だ。

寅次郎君の気持ちを考えろ。

えっ…。

それに 君と今 暮らしてらっしゃる
お母さん… なっ。

車君は
両方のお母さんの間で板挟みになって

どれだけ つらいと思ってるんだ。

確かに そのとおりだ。

車君…。
えっ…。

本当に申し訳なかった。 許してくれ。

えっ いや… えっ あの いや えっ…。

あ… こちらこそ すみません。

いやいや 何をおっしゃいますか。
いやいやいや…。

いやいやいや こちらこそ。
いやいや…。

何をやってんの もう。

ハッハハハ。

美しいだろう。 だが 惚れても無駄だぞ。

死んでしまったからな。

えっ?
(散歩)ハハ…。

死んだお母さんのなのよ。

お母さん
バイオリニストだったんだけど

戦争で
あまり思うように活躍できなくて…。

だから 私が その分 思いっきり弾くの。

へえ~… お母さんか…。

♬~

(夏子)ごめんくださ~い。
あっ いらっしゃいませ。

な… 夏子さん。
どうも 寅次郎君。

寅次郎…。
君?

(さくら)
わあ それ バイオリンですか? すごい。

あっ さくらちゃんね。 よろしく。

寅ちゃん。

あっ… あのさ 学校の…。

父が 寅次郎君の担任をしております。
私 坪内夏子と申します。

あら そうですか 散歩先生の。
(夏子)はい。 あの 父が

こちらの おだんごが また食べたいって
言うものですから 買いに寄りました。

買いにだなんて とんでもない
いくらでも。

あっ いえ…
恐らく そうおっしゃるだろうけど

絶対にお金を払ってくるようにと。

(2人)ハハハハ…。
あら そうですか。

はい。 なので よろしくお願いいたします。

はい 分かりました
ありがとうございます。

よろしくお願いいたします。
(お盆で頭をたたく音)

痛えな おい!
ハハッ。

寅次郎君 さくらちゃん またね。

さよなら。

あ~あ やだやだ
何がバイオリンだよ 気取りやがって。

やだね ああいうのは。
イライラするわ。

あら これが庶民の食べ物
草だんごなのね。

そんなんじゃねえや…
何も知らないくせに。

あ? 何だって?

やめなよ。

おい そこのガキ もういっぺん…。

うわあ~!

離せ おいちゃん!
駄目だ 寅! 寅!

うう… 離せ おいちゃん!

寅ちゃん。

寅ちゃん!

寅ちゃん!

痛っ…。

ついに平造さんと喧嘩をして
家を飛び出した寅ちゃん。

そして数日後…。

シ~。

帰ってなさい。 分かったかい? さくら。
はい。

どうした? さくら。 忘れ物か?

お母ちゃん どうしてる? 俺がいなくて
メソメソ泣いてんじゃねえのか?

「寅ちゃ~ん」とか言ってよ。
寅ちゃ~ん…。

そうそう そういう感じだよ。
お前 母ちゃんのまね うまいな。

わっ!

痛っ!
あっ。

いって…。
どこに逃げるつもりだよ。

あ…。

何やってんだい こんなとこで。

だってよ…。
だって何?

帰ろう 寅ちゃん。

あんたがいないと つまんないよ。

寂しいよ 私は…。

帰ろ。

ねっ。

うん。

あいたた…。

大丈夫か?
ハハハ…。

母ちゃん。

えっ? じゃあ お言葉に甘えて。

いくよ。 よいしょ。

大丈夫かい?
大丈夫。 行くぞ 母ちゃん。

大きくなったんだね 寅ちゃん。

フフ…。

重くないかい?
ちっとも。

へえ~。

よし じゃあ このまま上野まで。

合点だ!

冗談だよ 冗談。

そうして…。

先生に話を聞いてきた。

(竜造)すい臓が悪いんだそうだ。

(竜造)すい臓がんだ。

手の施しようがないそうだ。

そのまま入院することになった。

何だそりゃ。 えっ?
兄貴?

俺の知らねえところで何やってんだ
バカバカしい。

だって それは…。
バカバカしいって何だよ。

俺は認めねえ そんなこと。
冗談じゃねえよ。 ふん。

嫌なこった。 俺は認めねえ。 お断りだ。

兄貴!
うるせえ!

お母ちゃん 死んじゃうの?

さくらちゃん。

♬~

散歩先生が5点くれたんだ。
へえ~。

いい先生だね。

寅ちゃんが?
どういうことだい? 逃げるって。

見舞いには
毎日のように来てくれるんだけどね…。

私が 大事な話 しようとすると

気配感じてさ 逃げちまうんだよ。

フフ 平造さん そっくりだと
思わないかい?

そうだねとも言いづらいけど。

そっか。 フフ…。

似た者親子だと思うんだけどね。

かえって うまくいかないのかね…。

分かり合えないもんかね…。

あんた。

よう 元気か?

元気だったら こんなとこいないよ。

違えねえな。

あ…。
ん?

あ…。

♬~

車君 ちょっと…。

すぐに お母さんの病院さ
行きなさい。

(鐘の音)

ああ~!

(泣き声)

母ちゃん!

(泣き声)

♬~

ありがとうございました。

とうとう帰ってこなかったですね
平造は。

本当に 申し訳ありません。

うん…。

寅次郎。

はい。

立派だったぞ。

(戸が開く音)

死なねえ 死なねえ。 死ぬわけがねえよ。

おっ… ご苦労さんです。 ハハハ…。

兄貴 何やってんだよ。
そうだよ あんまりだよ。

うるさい!

おい… そこの おにいさんよ
猫次郎だったっけ?

何?

喪主の代理だったそうじゃねえか。 ああ?

ハハ 見てみたかったねえ。 ハハハ。

あの捨て子がね。

感謝しねえとな 光子に。
光子がいなかったら おめえ

あのまま冬空の下で
野たれ死んでたんだからな!

ええ? それにしても まあ
偉くなったもんだよ。

なあ。 へへ…。

母ちゃん ごめん。

あ? 何か言ったか お坊ちゃま。

寅。

てめえ 親に向かって…。
うるせえや!

ああ~!

離せ!

(さくら)お兄ちゃん。

おいちゃん おばちゃん 申し訳ない。
このとおりだ。

俺は この家を出ます。 その方がいいんだ。

さくらを頼みます。

ちょっと…。
何言ってんだ お前。

では。

お兄ちゃん!

お兄ちゃん 何で行っちゃうの?

その方がいいんだよ。
ガキには分からねえよ。

どこ行くんだよ。
行くとこ あるの?

「お前は見込みがある。

働きたくなったら いつでも来い」って
言ってくれる人がいてな。

ふ~ん。
何だよ その兄を信用してない顔は。

お金は? 持ってるの?

あるに決まってるだろ。 ほら。

(ため息)
全然ないね。

♬~

えっ… えっ… お前 えっ…
何で こんなに持ってんだよ。

無駄遣いしないからよ。
いいから 持っていきなさい。

いいのか? あっ いや でも…。

フフフ…。
ハハ ハハハ…。

(汽笛)

お兄ちゃん…。

おう。

達者でな さくら。 頑張れ。

お兄ちゃんもね
つらくなったら帰ってくるんだよ。

はい 分かりました。

(すすり泣き)

結構毛だらけ ネコ灰だらけ
共にシラミのたかるまでってね。

♬~