【特集ドラマ】少年寅次郎スペシャル(前編)[解][字]…のネタバレ解析まとめ

出典:EPGの番組情報

【特集ドラマ】少年寅次郎スペシャル(前編)[解][字]

葛飾・柴又を旅立った車寅次郎は、旅の途中の山形で、初恋の人、さとこ(森七菜)と再会。もらったりんごに、母、光子(井上真央)との泣き笑いの日々を思い出して…

番組内容
最愛の妹、さくらに見送られ葛飾・柴又を旅立った車寅次郎。あれから1年、母・光子(井上真央)を亡くした寅次郎は、故郷柴又には戻っていない。しかしビジネスの旅の途中の山形で、初恋の人、さとこ(森七菜)と再会。さとこからもらったりんごに、よみがえる柴又の日々。わんぱく小僧だった寅次郎はお供えから拝借したりんごを、打ち直し中の布団の中に隠すが…そんな泣き笑いの母との毎日を思い出し、故郷へむかう。
出演者
【出演】井上真央,毎熊克哉,藤原颯音,井上優吏,泉澤祐希,岸井ゆきの,森七菜,山時聡真,きたろう,石丸幹二
原作・脚本
【原作】山田洋次,【脚本】岡田惠和

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

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  1. フフフ
  2. バカ
  3. 今日
  4. 寅次郎
  5. 観音様
  6. 光子
  7. 本当
  8. お兄ちゃん
  9. ハハハ
  10. 御前様
  11. 人呼
  12. 平造
  13. 竜造
  14. アハハ
  15. インチキ
  16. ハハハハハ
  17. ラッパ
  18. 一緒
  19. 頑張
  20. 元気

解析用ソース(見逃した方はネタバレ注意)

   ごあんない

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(鐘の音)

皆様 ご無沙汰しております。

さてさて 舞台は 葛飾 柴又。

あの涙涙の別れから1年がたちました。

(さくら)おはようございます。

おや 日本一の妹 さくらちゃん。

相変わらず かわいいですね。

♬~

(さくら)ありがとうございました。
(つね)またお待ちしてます。

(竜造)毎度~。
はあ~ やっと落ち着いたな。

お茶いれようか。 私やる。
ありがとう。

さくらのおかげで常連客が増えたね。
ああ 看板娘のおかげで商売繁盛だ。

にしても いつか
嫁に行っちまうのかねえ さくらは。

やめとくれよ。
そんなん考えただけで泣けてくるから。

そうか。 だって そうしたら
あんたと2人だろ。

はあ… 泣けてくるわ。
何だよ それ。

フフフ… はい。
ありがとう。

(つね)もうすぐ 光子さんの月命日だね。
(さくら)うん。

どうしてんのかね 寅のやつは。

そのうち帰ってくるだろうって 御前様が。
寅は柴又の子だからって。

そうかい。

意外と大成功しちまってよ
パリッとしたなりでよ

土産なんか たくさん持って
「よっ!」なんて帰ってくんじゃねえか?

え~。
フフフ。

(寅次郎)よう!

何だよ何だよ
鳩が豆鉄砲食らったような顔しやがって。

おいちゃん。
何だよ。

しばらく見ねえ間に
縮んだんじゃねえのか?

縮むか バカ! 元から小さいわ。

おばちゃん。
(つね)何だよ。

だんごの作り過ぎで

顔も体も だんごみたいに
真ん丸になってねえか。

うるさいね 余計なお世話だよ!
気にしてること言うんじゃないよ!

そうだ! もう こんな
ちまちました商売 やめちまってよ

今 はやりのマーケットってやつに
しようじゃねえか。

なあ おいちゃん。 ちょっと狭いから
あの裏の工場 買い取ってよ。

1時間もありゃ あんなペラッペラな工場
あっという間に さら地になるんだからよ。

そうだ… そうだな そうしよう。 なっ。

お兄ちゃん… 元気だったの?

おう。

(自転車のベルとラッパの音)

なんてな。

想像なのに 何で腹が立つんだろうね。
ああ 確かに。

(梅太郎)暑い 暑い。
やあ 秋だってのに暑いね。

タコちゃん ごめんね。
工場 さら地にしちまって。

えっ? ええ~っ!

えっ あっ 何でもない何でもない!
うそ うそ!

バカ!

お兄ちゃん…。

さあ 「少年寅次郎スペシャル」
始まり始まり~。

♬~

さて ちょっと
おさらいをしておきましょう。

昭和11年2月25日
雪の降る夜のことでした。

(光子)ど… どうしましょう お義父さん。
(正吉)あのバカ野郎。

(御前様)
命名 車 寅次郎。

あんたの名前が決まったよ。 寅ちゃん。

そして寅ちゃんは
元気いっぱいな少年に成長しました。

参ったか!
寅ちゃん!

うわっ! ごめんなさい。

戦争のさなか
大好きだったお兄ちゃんを失い…。

そして 中学生になった寅ちゃん。
よう。

俺がいると
お父ちゃん イライラして何か言うだろ。

さくらは泣くしよ。
いねえ方がいいんだよ 俺は なるべく。

もともと 平造さんとの折り合いは
よくなかったのですが…。

(平造)文句あんのか?

光子さんの葬儀の晩のことでした。

おいちゃん おばちゃん
さくらを頼みます。

平造さんと喧嘩して家を出た寅ちゃんは
ビジネスの修業で 旅から旅へ。

50でどうだ!

今日は 山形の とある田舎町に
たどりついたようで…。

(政吉)私 生まれも育ちも
東京・荒川 千住です。

姓は米田 名は政吉。

人呼んで 般若の政と発します。

渡世上 故あって 親 一家 持ちません。

何っ!? 万年筆工場が火事になったって?

全焼です。
(政吉)そりゃ えらいこった。

で 会社が潰れた。 そうだろうなあ。

はい。 それで これを売れと…。

つまり それを退職金代わりに やろうと。
そういうわけか?

はい。

かわいそうに…。
どれ 万年筆 見してみな。

何だよ 新品じゃないか。
これが いくらだ?

200円でお願いします。

200円!? デパート行ったら
1, 000円や2, 000円の品物だ。

200円じゃ買い得だよ。

聞きました? 買ってやりましょうよ。

おにいちゃん 1本… いや 2本くれ!
私も。

ありがとうございます。
こっちは3本だ。

ありがとうございます。
ありがとうございます。

おい にいちゃん 頑張れよ。
気を落とすな。

売れたね 今日は。 さすがアニキだ。

当たりめえだ お前。 年季が違うわ。

まっ 客も うすうす分かってて
買ってんだけどな。

おう 寅。 お前 先に旅館で
うまいもんでも食って待ってろ。 なっ。

はい。
おいら 2日程 遊んでくるからよ。 なっ。

はい。

行ってらっしゃい!

なかなかいいじゃねえか。

こんちは。
≪は~い。

≪失礼しま~す。
お食事お持ぢしましたあ。

あっ!

(さとこ)寅ちゃん。

さとこちゃん…。

やんだ 寅ちゃんだ!

寅ちゃんだよ。
フフフ…。

さとこちゃんについて
ちょっと おさらいしておきましょうね。

さとこちゃんは くるまやの裏にある
朝日印刷で働いていた

寅ちゃんの初恋の人でした。

(雷鳴)
うわっ!

うわ…。

でも…。

(千吉)よう。
うん。

来たのか。
うん 来た。

くるまやさんの寅ちゃん。

(千吉)へえ~。

誰? この人。 千吉さん。

ん? ちょっと待ってくれよ。

何で俺が お前みたいな町工場の田舎娘と
一緒になんか…。

ハハハハハ…。

私 寅ちゃんみだいな人を
好きになればよがっだな。

田舎さ帰る。

ありがどね 寅ちゃん
優しぐしでくれで。

うん うまい。
よぐ食べるねえ。

さとこちゃんに会って
胸がいっぱいなんだけど

腹は いっぱいじゃねえからな。
アハハ もう。

これも食べでみろ 玉コンニャク。
この辺りの名物だよ。

うまい。
んだが? ハハハ。

んでも たまげたねえ 寅ちゃんがねえ。

あの神社の境内とかで売ってる
あれだべ?

買うことあるかい?
ないよ。 んだって 大体 インチキだもの。

えっ?
えっ?

アハハ… そうそう 買わない方がいい。
大体 インチキなんだから。

ハハハハ… ごめんごめん。

いやいや いいのいいの。
だって インチキなんだから。

あ~ アハハ おかしい。
こっだい笑ったの久しぶりだ。

そうなのか?

田舎ではよ ほっだい笑うみだいな
面白いごどないしね。

もともと ほだい笑わねもの。
そうかあ。

おがわりは?
うん。

あっ…。
おっと! フフフフ… もう。

んでも あれだね
きれいなお母さんだっだよねえ。

ああ うん。 まあ 少なく見積もっても
日本一いい女だね。

うん。
2番は さとこちゃんかな なんて。

え~ あら やんだ 寅ちゃん!
ほだなごど言うようになってはあ!

(笑い声)

あ~ 久しぶりに褒められだよ。

そうかい。
俺がいたら 毎日 褒めちゃうけどね。

毎日褒めて 笑わしちゃう。
あら 大変 忙しいねえ。

(笑い声)

そうか 寅ちゃんがねえ。

はい。 あっ そうだ… よし。

私 生まれも育ちも
東京・葛飾 柴又です。

帝釈天で産湯を使い 姓は車 名は寅次郎
人呼んで フーテンの寅と発します。

縁あって この地に ごやっかいになり
粉骨砕身 売に励もうと思っております。

向後万端 引き立って
よろしくお頼申します。

うわ~ すごいすごい。

ヘヘッ。 しかし あれだね
こんなふうに偶然会っちまうなんてさ

これは もう 運命っていうかな。
ん?

あっ あれかい?
さとこちゃんは ここが実家かい?

ううん こごは親戚のうぢ。

おらのどごは 米作ってたんだけど
父ちゃん 体悪ぐしては

ほいで不作でよ こっちで働いでんの。
へえ~。

んでも 好きだがら わだし この仕事。
楽しくやってる。

そうか。 働き者だったもんなあ
さとこちゃんは。

ウフフ。
俺もな 旅館なんかで働いてみるのも

悪くないかななんて思ってな。
ほだの?

おうおう。
旅館でな 働いてみたかったんだよ。

本当?
おう。

ほだなこと言ったら こごの人 喜ぶば。
そうかい?

人手不足だからねえ。
そうかい?

それに わだし もうすぐ嫁さ行ぐし。

ああ そうかい! 嫁に。

えっ…。

≪さどごちゃ~ん。

ありゃ 仕事忘っでだ!
楽しすぎて。 ハハッ。

あっ 寅ちゃん
まだ ゆっくりできんだべ?

ねっ じゃあ まだ話聞かせで。 ねえ。

はい お待ちしております。

≪(犬の遠ぼえ)

はあ…。

りんご農家なんだげど
来ねがっで言ってくれてよ。

へえ~。
うん。 そだの。

まさか あれかい?
嫌だけど 無理やり嫁に…。

ううん。
ああ そう…。

最上川でね デートした。 写真見る?
見ない。

え~。
あ… 見る。

はい。

わだしって 何て言うが 面食いだべがね。

ハハハハハ…。
フフ…。

んでもよ…。
ん?

怖いんだ ちょごっど。

嫁さ行ぐ女の人たちは
みんな そうなのがもしれないげど

知らないうぢさ行ぐしね…。

うぢの人だぢと
仲よくできっがなあどが。

結構 山の中だから 家族としか会わない
みだいな暮らしだがらね。

頑張れ。

ありがどう 寅ちゃん。

♬~

(さとこ)
寅ちゃん。 何したの? 帰んのが?

ああ… おう。
急な用事をさ 思い出しちまって。

そうなんだ。
もっと いろいろ話しだがっだのに。

あ…。

さとこちゃん
嫁に行ったら 何て名前になるんだ?

高世。

私 生まれも育ちも 山形・寒河江です。

姓は高世 名は さとこ。

寅ちゃん… ハハハハハ。

これをやるとな 元気が出るんだ。

あっ… ほら。

姓は高世 名は さどご。

人呼んで… 人呼んで
山形りんごの さどごと発します!

いいぞ。

フフフフ… ハハ…。

頑張れ。
寅ちゃんもね。

はい。

これ 嫁さ行ぐうぢの りんごだがら。

あ… ありがとう。

フフフ。 ヘヘ。

はあ~。

はあ…。

りんご か…。

(鐘の音)

(クボチン)来た来た。
しっ。 静かにしてろ。

(御前様)さて こちらにお祀りしている
観音様ですが

もともとは 富士山の山頂に
安置されとったことは ご存じかな?

それでは お話しいたしましょう。

明治初め 廃仏毀釈といって

日本各地で寺や仏像が破壊される中

危うく打ち壊されそうになった
こちらの観音様は

信仰ある方々の手によって
富士山頂から降ろされました。

はあ~ おいたわしいことに
こちらの観音様のお背中には

富士の斜面を引きずられた時に出来た
擦り傷が…。

(せきばらい)
今も残っておいでです。

(笑い声)

あはは… そもそも 観音様という…。

(笑い声)

だ… 誰だ~っ!

逃げろ~!
(2人)うわ~!

うわ~!

逃げろ~!

ハハハ! アハハハ! ハハハハハハ!

竜ちゃん つねちゃん 悪いね。
こんなことのために来てもらっちゃって。

何言ってんの。 少しでも 昭ちゃんに
いいお布団 使ってもらいたいもの。

(竜造)そういうこった。
ありがとうね。

(せきこみ)

(せきこみ)

(くしゃみ)

全く役に立たないのが一人いてね
このうちには。

竜造。
俺じゃねえと思う。

父ちゃん…。
まあ しょうがねえけどな

年寄りなんだから。
(正吉)違うと思う。

じゃあ 誰だよ。
あんただよ。

ふんっ。

あ~ 寅ちゃん何やってんだろ。
言っておいたのに。

バカみたいに ほっつき歩いて
もう帰ってこねえんじゃねえのか。

(つね)ひどい。
(竜造)兄貴。

俺は ちょっくら。

わっ!

あ~ ちゃんと戻してくださいね。

(くしゃみ)

ただいま! あっ いけね…。

もう 寅ちゃん… 3時までに
帰ってこいって言ってあったろ。

ごめんなさい!

さくら頼むよ さくら。
ここは ほこりっぽいからね。

分かった!
(一同)あ~!

あ~… 全く バカみてえに約束忘れて
遊びほうけやがって。 誰に似たんだよ。

何だよ。

ごめんなあ さくら。

(ラッパと鐘の音)

あっ りんご… まずい。

(ラッパと鐘の音)

(口笛)

捜し物は こちらですかねえ 寅次郎さん。

どうしたんだい これ。

謝りに行くよ 御前様のところに。

そんな しょんぼりしなさんな。
うん…。

でも お母ちゃん思うけどね
いたずらとか 悪さとか

もちろん よくないけどさ。
でも あんなふうに

隠したり ごまかそうとするの
好きじゃないね。

何か 男らしくないじゃないか。

何をするにしても堂々とさ
そういう男が好きだなあ お母ちゃんは。

うん 怒る方もね
正直で気持ちがいいとさ

そんなに怒れないしね。

へえ~。

へえ~じゃないよ 全く。

おっ ちょっくら遊んでくるわ。

まっ そのうち帰ってくるだろ。
ヘヘヘヘヘ。

ちょっ…。
じゃあな。

♬「土手の柳は風まかせ」

全く…。

ああいうこと言ってんじゃないよ
母ちゃんは。

あれは 単なる開き直りだからね。
はあ。

行くよ。

この度は 申し訳ありませんでした。
すいませんでした!

ふむ… 観音様のお供えが盗まれたのは
これが初めてではありません。

7月には キリン堂さんのまんじゅうが
5月には ちまき

それから桜の散る頃でしたか
観音様に ひげが書かれていたのは。

誰が あんなことを思いついたんだ。

誰が考えたんだ?
あんな罰当たりなことを。

寅次郎!

はい おいらです!
全部 おいらが考えました!

そうか。 お前か。
はい!

この バカもんが!

痛っ! いつもより痛えよ 母ちゃん。

フフフ… ほれ 持ってけ。

やった~!

♬~

(りんごをすりおろす音)

♬~

いい匂いだ。

寅ちゃんは りんご好きだもんね。
うん。 これは?

これはね 昭ちゃんにね。

昭ちゃん 最近 食欲なくてね。

寅ちゃんと一緒で りんご好きだから
これならね。

食べられるね。
そうだね。

♬~

うまいか? 兄ちゃん。
おう うまい。

そうか いいなあ。

フフ… 寅ちゃんのは
ちゃんと切ってあるよ。

分かってないねえ 母ちゃん。
えっ?

そういうことじゃねえんだよ。
はあ やだやだ。

ん?

え… 何 その顔 昭ちゃん。

あのさ 母ちゃん。

ん?

(鐘の音)

おはようさん。
よう。

寅ちゃん 熱があるね。

えっ? おいら 熱あんの? 本当にかい?
え~!

頭使ってねえんだから
熱なんて出るわけねえだろ。

今日 日曜日だし
2階で兄ちゃんと一緒に横になってな。

えっ! いいのかい? 本当に?

後で りんご すったの
持ってってあげるから。

え~! 本当かい? やった やった!

大変だ こうしちゃいられねえ。
2階行かないと。

母ちゃん りんご 早いとこ頼むよ。
大盛りでな。

はいよ。
兄ちゃん てえへんだ!

何だ。
あんのか 熱。

あります 熱。
でも 高いとは言っていません。

ん?

昭一郎がね 教えてくれたんですよ。

多分 寅は 兄ちゃんのすることに
憧れてるんだろうって。

へえ~ なるほどね。

さてと りんご りんご。
光子さん。

はい。

俺も りんご すったの頂戴。
何か食いたくなっちまった。

えっ…。
あ~ やだやだ。

♬~

いや~ 参ったな 熱出ちまって。

う~ 熱い!

(笑い声)

おっ 待ってました。
バカだね 本当に。

はい どうぞ 召し上がれ。

頂きます!

うめえ。

昭ちゃんも。
うん。

フフフ。

フフフ。

フフフ…。

フフフ…。

俺 魚5匹釣るよ。
いや 俺だってさ 今日 20匹釣るよ。

そんな釣れないだろ。 いや 釣れるって。
釣れないよ。

(泣き声)

どうした 寅?
おなかでも痛いのか?

じゃあ どうしたんだよ。

ごめんなさい。

ん?

俺 お兄ちゃんのすること
全部かっこよくて 好きで…。

でも ずっと横になってるの

つまんないね… つまんないね…。

それなのに ごめんよ…。

ごめんなさい…。

ごめんなさい…。

りんご すったの食いたいとか言って
ごめんなさい。

バカだな そんなこと。

俺の この体をさ

丈夫な体をさ

兄ちゃんと 取っ替えてやりてえよ。

俺 そうしてえよ。

そう思うなら 寅…。
ん?

俺の分まで
お前は表で暴れてこい。

俺の分までだ。

思いっきり暴れ回れ。

俺のできないことを 全部やれ。

で 俺に話してくれ。 なっ。

それで 楽しいのか? 兄ちゃんは。

おう 楽しいんだ。 よろしくな。

うん… うん 分かった。

ああ~!
寅ちゃん! 寅!

キャ~!

兄ちゃん 見てろよ。

♬~

≪キャ~!

ただいま!
寅ちゃん…。

どうしたの?
エヘヘ。

(梅太郎)ひでえじゃねえか 寅ちゃん!
いきなり相撲取ろうなんて言ってよ!

これ見てよ おばちゃん。
新品の制服だよ。

何だよ 男のくせに メソメソしやがって。
ああっ!

もう絶交だよ!

寅ちゃん あんた また…。

(騒ぐ声)

くるまやさん!
一体 どうしてくれるんだい!

今日という今日はな 勘弁ならねえや!

寅ちゃんのせいで うちの子
転んで コブが出来ちまったよ ほら!

これ着て これから出かけんのよ!

おい 見ろ! うちはな
猫 放り込まれて 障子 穴だらけだ!

どうしてくれんだよ!

どうしてくれるったってよ…。

光子… 俺は 知らねえよ。

(騒ぐ声)

寅次郎!

え…。

寅… 寅 お前 やったのか?

へへッ 見たか 兄ちゃん。

待ってろ 後で ぜ~んぶ話すからな。
ヘヘッ。

え~。

はい おいらです!
おいらがやりました。 ごめんなさい。

ごめんなさい。

ごめんなさい!

申し訳ありません!

この子にとって 2人分なもんですから。

えっ?
何だい? 2人分ってのは。

あっ あの いや… すみません!
すみません。

どうも あいすみません。

今日のところは どうか ひとつ。

だんごでも… はい。 どうも すみません。

何言ってんだい 正吉さん。
うちも だんご屋だよ。

お気を付けて~!

バカ野郎!
痛っ。 ヘヘヘヘ。

寅ちゃん…。

こらっ!
うわっ! フフフ…。

もう~!
あ~! ハハハハ。

きったないな もう。
ハハハ。

あ~! ハハハ!

きったないな 本当に もう。

♬~

お母ちゃん…。

(すすり泣き)

(りんごをすりおろす音)

寅ちゃん… どうしたんだい。

母ちゃんが 全然 もの食わないって
さくらが泣くしよ。 りんご すってきた。

え…。

これなら 食べられるだろ。 なっ。

うん… そうだね。

おう。

ありがと。

寅ちゃんが すってくれたのか…。

頂きます。

♬~

おいしいね。 そうか。

うん。

♬~

でも こんな食べられないよ。

寅ちゃん 食べて。
あっ… 駄目よ。

俺 りんご嫌いだもん。
えっ?

もう大っ嫌いで…
あっ 食べると じんましん出ちゃうから。

だから 食べられない。

母ちゃんが 全部食べるしかないよ。

そうか… そうだったね。

寅ちゃん りんご大っ嫌いだったね。

ねっ。

そういうこと。

フッ…。

うん そうでした。

♬~

(笑い声)

♬~

おいしい。
そうか。

うん。

♬~

(汽笛)

(荒い息遣い)

乗るぞ~! 俺は乗るぞ~!

母ちゃ~ん!

(汽笛)

そして翌日 光子さんの月命日です。

(鈴の音)

えっ 平造さん?

(鐘の音)

「少年寅次郎スペシャル」
前編は ここまで。

うわ~! うまそう!

寅ちゃんの大好物だもんね。

バチ~ン!
聞こえな~い。

どこで何してんだろうな 寅次郎のやつは。

また いつか帰ってきてね!