ドラマスペシャル ドクターY~外科医・加地秀樹~[解][字]…のネタバレ解析まとめ
出典:EPGの番組情報
ドラマスペシャル ドクターY~外科医・加地秀樹~[解][字]
手術ミスに失恋!?“老いの荒波”にのまれながら…“腹腔鏡の魔術師”こと加地秀樹が帰ってきた!!まさかの戦力外通告-!?「ドクターX」のスピンオフドラマ第6弾!
◇番組内容
“腹腔鏡の魔術師”と呼ばれたスーパードクター・加地秀樹(勝村政信)は、“老い”が本格化し、得意のオペでミスを連発してしまう。しかも彼女・早苗(武田玲奈)が、余命6カ月の起業家・六車航平(満島真之介)に乗り換えていたことが判明!手術ミスに失恋…。そんな中、六車が入院を拒否し、加地を主治医に指名!2人は院外でも行動を共にすることになるが、目の前に迫る六車の命の期限…。加地秀樹、外科医としての決断は-!?
◇出演者
勝村政信、満島真之介、武田玲奈、手塚とおる、小林隆、風吹ジュン
【特別出演】内田有紀、遠藤憲一
◇ナレーター
田口トモロヲ
◇脚本
林誠人
◇演出
山田勇人(ザ・ワークス)
◇音楽
沢田完
◇スタッフ
【エグゼクティブプロデューサー】内山聖子(テレビ朝日)
【プロデューサー】大江達樹(テレビ朝日)、峰島あゆみ(テレビ朝日)、大垣一穂(ザ・ワークス)、角田正子(ザ・ワークス)
◇おしらせ
☆番組HP
https://www.tv-asahi.co.jp/doctor-y/ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
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キーワード出現数ベスト20
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〈「キング」と呼ばれる男がいる〉
〈最高のパフォーマンスを
発揮するため
誰よりもストイックに
鍛錬を重ねるキングの生き様は
人々に大きな感動を与えた〉
〈しかし 誰にでも
終わりは訪れる〉
〈限界という枷が
キングの進むべき栄光への道を
阻んだ〉
〈世界の誰もが
キングは引退を選ぶと思った〉
〈キングの時代は
終わったのだと…〉
〈そして もう一人〉
(加地秀樹)
通りすがりの外科医です。
「お金じゃありません。
私にとって手術は…」
プライスレスの
ライフワークなんだ。
腹腔鏡の魔術師 加地秀樹です。
シクヨロで。
緊急オペだ。 運ぼう!
しかし この病院では…!
状況が変わったんだ。
やるしかないだろう!
君は 超スーパードクターの
加地秀樹と出会った。
超スーパーラッキーだ。
(加地の声)
生涯 現場にこだわりたい。
地位や権威に興味はありません。
オペをなめるな。
〈この男も かつて
「腹腔鏡の魔術師」と呼ばれる
スーパードクターだった〉
〈そして 今…〉
よし。 このまま
トンネリングに移ろう。
メリーランド。
(阿部秀俊)加地先生
このままだと
門脈を損傷するリスクが。
先に膵尾を
脱転してからにしましょう。
必要ない。 このままで大丈夫だ。
俺に任せろ。
(阿部)…わかりました。
いいか? 気を抜くな。
小さな油断が
大きなミスを生むんだ。
(韮崎 翔)…はい。
〈だが この男もまた
限界の時を
迎えようとしていた…〉
あっ…。
(心電図モニターのアラーム)
(阿部)出血点を探そう!
(博美)何してるの!?
血圧70まで低下!
(韮崎)加地先生!
加地先生 どうしたんですか?
加地先生…!
ガーゼ追加して!
はい!
〈これは 自らの限界に抗い
苦闘する男の話である〉
♬~
〈外科医 加地秀樹〉
〈またの名を ドクターY〉
(ぶつかる音)
ああーっ! あっ はあ…。
♬~
ああ またやっちゃったみたいだね
蛭間さん。
えっ?
せっかく 首の皮一枚で
東帝大にぶら下がってるのに
これはないよね…。
「女医は 話が長いから
カンファレンスには呼ばない」
うわっ… こんな事
言っちゃったんですか?
まさに老害だよ。
もう見て これ!
大炎上だよ。 くわばら くわばら。
「医者 辞めちまえ!」って…
結構 厳しいのありますね。
人ごとじゃないんじゃないの?
えっ?
君もまた
やっちゃったそうじゃない。
若い頃のように
体は思うように動かない。
認めたくないのはわかるよ。
私だって
経験がないわけじゃない。
衰えは 誰にでもやってくる…。
例外なくね!
君も 医者として 次のキャリアを
考えていい頃じゃないかな?
僕に現場を離れろと?
うちの系列病院に
一つ 病院長の椅子が空いてね。
…病院長?
君は 腹腔鏡の魔術師と呼ばれた
スーパードクターだ。
キャリアは申し分ない。
僕が病院長…。
座り心地はいいよ~
こちらの椅子は。
あの… 病院は どこですか?
ああ…。
さあ。
…ここですか?
飛行機は飛んでない。
飛んでない?
船で13時間。
13時間…。
珊瑚が そりゃあ
きれいなとこらしいよ。
実は 僕 泳げないんで
海とか珊瑚には全く興味…。
最初は 何事もね
しょうがないわなあ!
興味…。
なあ?
あの… 少し考えさせてください。
失礼します。
ゆっくり考えればいいよ。
引っかかってるよ。
…すいません。
失礼します。
頑張ってね 病院長!
♬~「神様 ありがとう
運命のいたずら」
オッケー。
いいなあ きれいな珊瑚。
人ごとだと思って…。
加地先生 ガンバ!
♬~「ふわふわる
あなたが名前を呼ぶ」
(大村詩織)ここだけの話ですけど
どうも 加地先生
離島の分院に
飛ばされるらしいですよ。
まあ あれだけミスが続けばな。
フォローする
こっちの身が持たないよ。
俺たちのアドバイスも聞かないし。
前の病院でも
一緒だったんですけど
年々 頑固になってます。
ああいうの
老害っていうんですかね。
ああは なりたくな…。
(詩織・韮崎)あっ…。
(阿部)さっ お昼にするか!
あっ いいっすね! 近くに
良さげな中華ができたんです。
行ってみます?
(阿部)加地先生もどうですか?
俺はいい。
(阿部)じゃあ… 失礼します!
(詩織・韮崎)失礼します…。
見てられない。
この頃の加地先生のオペ
危なっかしくて
ハラハラしっぱなしよ。
オペ室には金が落ちてるって
突っ走ってきたんだけどなあ…。
院長っていったって
オペ室もない。
医者も俺一人だよ。
やる気ないの?
そろそろ潮時かなって…。
視力も落ちてきたし。
(博美)ふ~ん。
腰も痛いし。
(博美)うん。
思うような…。
思うようなパフォーマンスも
できないし。
グズグズ続けてるんなら
スパッと辞めちゃえば?
はっきり言ってくれるし
フリーの麻酔科医は。
そんなんで医者を続けられても
患者だって迷惑なんだよ。
中華 行こう。
何? デーモンが乗り移ったの?
ビシーッ! よし よし よし。
あれ? 帰ってたんだ。
さなた~ん。
ただいま! さなたん…。
来るなら
電話ぐらいしてよ…。
したよ。 留守電も入れた。
あれ? 誰かいるの?
いないよ… 誰も。
いや だって だって…。
ごめん。 今日は帰って。
疲れてるの。
俺も疲れてるんだよ
心がめちゃめちゃ。
ねっ 隣でギュッとして
朝までずーっと。
無理! 無理 無理 無理…。
ギューッと…。
無理… 今日… 今日 無理 無理…。
(六車航平)誰か来たの?
いないよ 誰も。
しっかり いるじゃん。
どちら様?
ああ… 加地先生じゃないですか。
はっ?
彼女から よく話は聞いてます。
マジか!?
何も言ってない。
どういう事?
加地先生 最近
ため息が多いそうじゃないですか。
はっ?
女性は ため息をつかれるたびに
愛が消えていくって
感じるそうですよ。
「疲れた」とか 「もう駄目だ」とか
「珊瑚には興味がない!」とか…。
珊瑚の話は今日じゃない!
めちゃくちゃしゃべってんな!
六車航平と申します。
あとは 僕が引き継ぎます
しばらくの間。
なんだよ? 「しばらく」って…。
彼 死ぬの。
はあ?
だけど あんな事もやりたい
こんな事もやりたいって
いつも前向きで。
どっちがかっこいいと思う?
加地先生じゃない… よね!
まあ そんな感じです。
どこが悪いの?
さあ…。
おい…。
航平さん!
大丈夫か?
救急車。
うん。
(韮崎)六車航平さん 2カ月前に
検査入院をした時のものです。
急性肝炎。
意識障害を起こしたのは
肝性脳症の可能性があるな。
(韮崎)ええ。 ステロイド療法を
行いましたが
効果はありませんでした。
肝機能の数値もかなり悪い。
移植が必要だ。
(阿部)ドナーが見つかれば
助かる可能性もあるのですが
血縁者は
もう誰もいないそうですし…。
適合者が現れるまでの時間が
残されているかどうかも…。
このままだと
余命は半年ぐらいだろうな…。
彼 死ぬの。
本当だったんだ…。
♬~
(阿部)今 できる事は
内科的な延命治療しかありません。
…院長?
なんとしても入院させろ!
とんでもない資産家じゃないか。
えっ?
「六車氏は 23歳の時
通販サイト ONE ITEMを
立ち上げ
IT業界に革命をもたらした」
「若者からも絶大な支持を集め
瞬く間に急成長を遂げる」
「六車氏の個人資産は 推定3000…」
「3000億」!? マジか…。
彼は この病院にとって
特患中の特患じゃないか。
入院は勧めなかったのか?
いや… もちろん勧めました!
だけど 本人が拒否をして。
拒否?
♬~
(ノック)
失礼します…! 大変です!
六車さんが
病室からいなくなりました!
はあ?
なんだって!?
(詩織)病院内は捜したんですが
どこにも…。
どこ行ったんだよ…。
♬~
ありがとうございます。
いってらっしゃい。
(モーター音)
おい! ちょっと待て…!
おい! ちょっと待てって!
おい!
おい!
おっ… 加地先生!
おお 加地先生。
今日は 絶好のスカイダイビング
日和だそうですよ。
なんだ? それ。
これが
君のやりたかった事なのか?
ええ。 まあ その一つです。
今の君の体を考えたら
こんな事 医者としては
とても認められないよ。
じゃあ 付き合ってください
飛ぶの。
えっ?
ドクターが近くにいてくれたら
安心じゃないですか。
絶対無理!
わかりました。 もし ダイブ中に
僕に何かあったら
加地先生の責任という事で!
おい… ちょっと待てよ。
♬~
なんで乗っちゃったんだろう!?
アハハハッ!
ワクワクしますよね
初めてのチャレンジって。
こんな映画 見た事ある~!
なんで乗っちゃったんだろう!?
じゃあ お先です!
待って! 行かないで…!
せーの!
フォーッ!
嫌だ~! 嫌だ…!
私はカモメ!
♬~
すげー!
うわーっ!
アハハハッ!
フォーッ!
加地先生 俺 生きてまーす!
♬~
おわっ…。
アハハハッ!
大丈夫ですか?
はい 大丈夫です。
(手首をくじく音)
あっ 痛い。 痛い…。
寒い…。
痛い…。 寒い。
痛い…。
大丈夫ですか?
病院 行こう。
そんなに痛むんですか?
俺じゃない。 君だよ!
治療が必要な体だって事は 自分が
一番よくわかってるだろう。
治療は受けませんよ。
どうしてだよ?
自分の人生に
区切りをつけられちゃったから
かえって
残りの人生をどう生きるか
真剣に
考えるようになったんですよ。
まだ やりたい事が
たくさんあるんです。
何もせずに
病室でチューブを通されて
死ぬなんて 真っ平ですよ。
加地先生も
辞めたらいいんじゃないですか?
えっ?
医者ですよ。
正直 もう続けていく気力
ないんでしょう?
辞めちゃったら
だいぶ楽になると思うけどな。
気軽に言ってくれるよな…
金持ちは。
どうしたんですか?
ああ…
夜になって
急に痛み出しちゃってさ。
骨折とかですか?
一応 レントゲン
撮ってもらったんだけど
骨には異常なかった。
加地先生 今日 腹腔鏡のオペ
入ってるんじゃないですか?
大丈夫だよ。 問題ないよ。
ほら。
い… 痛い…。
(詩織)お疲れさまです。
うう…。
(植地)今日のオペ
阿部くんに
代わってもらったそうじゃない。
申し訳ありません!
別に構わないよ。
今の君なら
阿部くんのほうが安心だ。
フッ… そんな顔するなよ。
君には
新しい案件を用意している。
新しい案件?
例の億万長者だよ。
君には
彼の主治医になってもらいたい。
主治医?
彼のご指名なんだけどね。
はっ?
…といっても
入院はしないそうだ。
どういう事ですか?
つまり 彼と行動を共にして
経過観察をするって事だ。
彼はね お金なら
いくらでも払うと言ってるんだ。
病院の利益を考えれば
断る理由などないだろ?
うまく手なずけてくれよ。
よろしくね~。
(ドアの開閉音)
どうして 俺なんだよ?
どうしてって 元カレと
今カレの仲じゃないですか。
真面目に聞いてるんだよ。
加地先生って 昔
腹腔鏡の魔術師と呼ばれるほどの
スーパードクターだったんですよね。
「昔」って言うな。
ほら
こんなの見つけちゃいました。
ああ…
ちょっと前に出したやつだよ。
ちょっと前って…
これ出版されたの
僕が中学生の頃ですよ。
中学生!?
はあ…。
まあ でも こんなすごい先生に
主治医をしてもらえるなんて
最高ですよ。
馬鹿にしてんのか?
あっ…
銀行に付き合ってくれませんか?
銀行?
先月 僕が保有していた
自社株の20パーセントを
大手企業に売却したんですよ。
その振り込みが今日ありまして。
まあ… それは確かめないと
心配だわな。
その桁が
通帳に記入しきれるかどうか
ちゃんと見ておきたいんですよね。
はい?
うん?
ちなみに… おいくらなの?
その金額って。
ちょっと待って。
気を失う準備するから。
どうぞ。
1000億です。
ああ… 自分で通帳記入するの
何年ぶりだろうな?
楽しみだな。
まあ 人の金だからな…。
全然 心躍らない。
おっ。
記帳できてるの?
はい。 できてます。
見ます?
いいの?
でも カンマがありません。
カンマ?
ああ… カンマの代わりに
0を並べないと
1000億は記帳できない
って事なんだ…。
はあ?
通帳に記帳できない金額って
いくらなんだろう?
はあ…?
稼いでみたかったな
そういう金額。
それだけ稼げば十分だろう。
…あれ?
「まだまだ稼げるよ」とは
言ってくれないんですね。
おなか すきません?
えっ?
なんで来ちゃったんだろう…。
着きましたよ。
なんで来ちゃったんだろう?
(チャイム)
うわっ…。
うわっ なんで
押しちゃってるんだろう?
あれ? いないですね。
もうさ やめようよ こういう事。
どうしてですか?
ほら 患者と主治医の仲でしょう!
ほら もう…
彼女が同じだったからって
ギスギスしたくないじゃないですか。
別に ギスギスしてないじゃない。
加地先生から
受け継いだものです。
うわあ…
なんか懐かしい感じ。 スリスリ。
あれ? 繋がりませんね。
もうすぐ
帰ってくるんじゃないの?
あっ 一応
これ まとめておきました。
えっ?
加地先生の私物です。
歯ブラシとかパジャマとか。
ああ…。
哺乳瓶とか紙おむつも
ありましたけど…。
まさか
この部屋で使ってたんですか?
ああ… それはね
彼女が 親戚の赤ちゃんを
預かってた時があってさ。
本当かな? 哺乳瓶に
「かじひできくん♥バブー」って
書いてありますけど。
実はさ 俺 赤ちゃんプレイが
大好きなんだよ。
究極の遊びなんだよ
赤ちゃんプレイ。
いいか?
このさ おむつをはいて…。
帰ってきたみたいです。
哺乳瓶をさ くわえるんだよ…。
何してるの!?
ああ… ごめん。
何かご飯
作ってもらおうと思って。
無理。
えっ? えっ どうして?
これ…
まとめておいたから
あなたの私物。
おおーっ!
はっ? どういう事?
(帝塚山 翼)
お取り込み中なら 帰るけど…。
いいの!
すぐに帰ってもらうから。
誰?
あなた 六車さんですよね?
ああ。
はじめまして
帝塚山翼と申します。
このあとはね
僕が引き継ぎますので
どうぞ よろしくお願いします。
うわあ シェークハンド…。
トレンドなんだ 令和の。
(帝塚山)失礼します。
どうも こんにちは。
こんにちは。
よろしくお願いします。 は~い。
帝塚山翼って… あの漫画家の?
はい。
漫画家?
今年 『木こりの八重歯』が
大ヒットしたでしょう?
私 大ファンなの!
知らなかった…。
世界で誰よりも早く
『木こりの八重歯』の続きが
読めるなんて
こんな幸せ あると思う?
ないと思う。
だよね。
そんなわけだから。
フラれちゃいました。
撤収。
どんなに金持ってても
フラれちゃうんだな。
何 言ってるんですか
しょっちゅうですよ。
女性は
お金だけじゃ駄目みたいです。
難しいよな 女心っていうのは。
…謎ですよね。
あそこにするか?
えっ?
腹 減ったろ?
はい。
君が行くようなとこじゃ
ないかもしれないけど…。
おおっ いいですね。
行きましょう!
うん!
うまい!
ラーメンを美味しいと思う
人生を送れ。
腹いっぱい食べて寝れば
大概の事は なんとかなる。
なんですか? それ。
よくわかんないけど
近所のラーメン屋のおやじが
言ってた。
ふ~ん。
僕も お金がない頃は
随分 ラーメンに
お世話になりましたからね。
へえ~。
君にもあったんだ そんな頃が。
僕だって
それなりに苦労してますから。
ああ… それにしても うまいな。
おかわりしちゃおうかな。
君の事
少し調べさせてもらったよ。
えっ?
23歳で通販サイトを
立ち上げてからの成功は
ネットで検索すれば
いくらでも拾える。
ネットは嘘だらけですよ。
ああ。
だけど わからない事があるんだ。
なんですか?
通販サイトを立ち上げる以前の
君の人生だよ。
どれだけ調べても 学歴はおろか
出身地さえ出てこない。
一切 見つからないんだ。
あえて隠してるんです。
隠してる?
そのほうが
カリスマ性が出るじゃないですか。
カリスマ性ね…。
ネットには 僕が
ハーバードでMBAを取得した
なんていう書き込みも
あったりしますからね。
ああ それ 見たよ。
加地先生にだけ
こっそり教えちゃうと
僕 高校も出てないんですよ。
マジで?
信じます?
えっ?
そっちのほうが嘘だったりして。
ハーバードが本当で。
なんだよ それ!
ほら!
気になるでしょ それだけでも。
これ ビジネスの基本です。
まあ 過去なんて
どうでもいいじゃないですか。
成功したら 過去なんか 世間が
いくらでも 都合のいいように
作ってくれますから。
俺みたいな凡人には
訳がわからないよ。
ちょっと おしっこしてくる。
えっ?
(つまずく音)
危ねえ…。
あれ?
おお 連れなら帰ったよ。
えっ?
釣りはいらねえって
1万円 置いていきやがった。
まいど。
じゃあ お釣りは俺がもらって…。
まいど。
どいつもこいつも
やりたい放題だな。
まったく もう 本当に…。
あれ?
うわあ…!
ブラックカードばっかりだ。
よく こんな財布
忘れて帰れるな…。
やっぱり 昔の事は
どこにも出てないか…。
(着信音)
もしもし。
「ああ 加地先生。 六車です」
さっき ラーメン屋に
財布 忘れてきちゃったみたいで。
見つけた。 預かってるよ。
「わあ よかった」
じゃあ 明日 横浜第一公園まで
持ってきてもらえませんか?
横浜第一公園?
「ええ」
ちょっと やりたい事があって。
またかよ。 今度は なんだよ?
それは お楽しみって事で。
なんだ それ。
じゃあ 明日。
「えっ? ちょっと…」
嫌な予感しかしない。
(女性)あら。
おなかペコペコでしょう?
お箸 持った? はーい。
(女性)熱いからね 気をつけてね。
炊き出し こちらでやってます。
(女性)今日はね 豪華なの…。
こんなとこで
何しようっつうんだよ…。
(源さん)兄ちゃん 兄ちゃん!
兄ちゃん!
兄… 兄ちゃん?
(源さん)そう あなた あなた。
あなた?
(源さん)ちょっと…。
ちょっと
順番 取っててくれねえか?
順番?
うん 順番 ここ。
小便したくなっちまって。
うん 悪いね。
(女性)はい じゃあ 特盛りですよ。
あっ お箸
持っていってくださいね。
おにぎりは1個なんだよね?
はい。 すいません。
じゃあ 頂きます。
(女性)はい 次の方。
海老名先生!?
(海老名 敬)おお! 加地くん!
(二宮)服のニオイ気にして
いろんなもの使ってない?
はい 古い~
今やニオイ専用これ一本で
ぜ~んぶいけちゃいます
紫の「NANOX」ニオイ専用
《約7割が洗濯成分で 濃いーの!≫
海老名先生!?
おお! 加地くん!
いや 加地くんじゃなくて
加地くん。
こんなとこで何してるんですか?
今 おなかすいたからさ
もらってたんだよ ご飯。
ちょっと 食べな 食べな ほら。
もらってきてあげるから。
熱っ 熱っ…。
ねっ ねっ。 はい はい はい。
ごめん ごめん!
友達来たからさ ちょっといい?
割り込んじゃってごめんね。
(女性)もう しょうがないわね。
すごい すごい これ。
お箸も…。
(海老名)座んなよ 座んなよ。
俺んちじゃないけどさ。
ここのさ これ うまいんだよ
豚汁。
食べよ 食べよ。 ねっ。
ああ… びっくりしちゃった
もう 急だから。
海老名先生
まさか ホームレスに?
2年前にさ 俺たち 東帝大
クビになったじゃん。
チェンジ&チャレンジだと
思います。
(蛭間重勝)しゃべるな。
♬~(一同)「並ぶ山はなし」
♬~「風は後追いしかせぬ」
♬~「我が道を」
あれから いろいろ
就職活動したんだけどさ…。
どこも雇ってくれなくてさ。
だからって こんな…。
心配しないで。
ちゃんと仕事してるから。
医者ですか?
いや…。
もう医者には 見切りつけてね。
えっ?
娘が大学に入ったんだけど
その学費 借金しちゃってるしね。
で 回転寿司の見習い
やったんだけどさ…。
回転寿司?
(海老名)うん。
だけど 機械より
シャリ握るのが遅すぎるって
1カ月でクビになっちゃった。
つくづく思ったよ。
やっぱ 俺は
医者しかできないんだなって。
そんな時さ
この町の役所が誘ってくれてさ
今じゃ ホームレスの人たちを診る
青空診療所やってんだ。
あれだよ ほら。
あれですか?
(海老名)うん。
一応 院長だよ。
医者は俺一人だけど。
金はなくても名刺は作るんだ…。
ハハハハ…!
加地くんは 今 どうしてるの?
僕は… それなりにやってます。
そうだよね。
バシッとしてるもんね。
なんてったって あれだもんね。
腹腔鏡の魔術師だもんね。
ハハハハ…。
でもさ そういう人がさ
ここに並んでさ
ご飯なんか食べちゃ駄目だよ。
まあ 今日は ほら…
俺がいたから いいけどさ。
ハハハ…。
(永田恵以子)海老名先生!
(恵以子)患者が待ってるよ!
ああ ごめん ごめん。
行く 行く 行く。
ちょっと これ これ これ…。
♬~
皆さん
差し入れ 持ってきましたよ。
焼肉弁当です。
さあ 最高級 松阪牛ですから
うまいですよ。
(歓声)
はい どうぞ。 どうぞ。
はい 慌てないで 慌てないで。
神様からの贈り物だ!
(梅ちゃん)ありがたい事だよな!
美味しく食べてください。
(男性)頂きます。
はい ありがとうございます。
どうぞ。 はい…。
はい 落ち着いてるね。
大丈夫。 問題ないよ。
問題ないって事はないと
思うんだけど。
(海老名)どうして?
また 飲んだくれのクマさんに
言い寄られちゃったんだよ。
冗談じゃないっていうの。
血圧 カッと上がって
目の前だって
クラクラしたんだから。
それはね まだまだ おばちゃんに
色気がある証拠だよ。
そうかい?
俺も口説いちゃおうかな?
(恵以子)嫌だ!
海老名先生ったら冗談ばっかり!
ハハハハ…!
(西口)てめえ!
なめんじゃねえぞ!
(西口)ちょっとぐらい
金持ってるからって
調子にのってるんじゃねえよ
若造が!
(西口)俺はな
おめえらみたいな若造に
会社 乗っ取られて
人生めちゃめちゃにされたんだ。
なんの苦労もしねえで
金持ちになった
お前みたいな奴の施しは
受けたくねえんだよ!
ちょっと! ちょっと!
(西口)ふざけるな!
ちょっと 何やってるんですか!
ちょっと…。
なんだ おめえは!
ああ 痛え…。
(源さん)もういいだろ。
(梅ちゃん)その辺にしときなよ。
カスが!
大丈夫ですか?
大丈夫なわけないだろ。
はあ…。
ああ…。
ああ… 痛え…。
これが やりたかった事なのか?
たまには
人に喜ばれる事をしようと思って。
自己満でした。
(荒い息)
僕は まだまだ
世の中を知りませんね。
ありがとう。
何かあったら また連絡します。
ああ…。
♬~
(成瀬秀成)会社を潰す事だけは
勘弁してください!
俺だけならいい。
だけど 俺の下にも
何十人もの社員がいるんです!
そいつらの家族も
路頭に迷わすような事だけは…。
お願いです。
(成瀬)お願いします!
やめてくださいよ。
あなたたちの人生がどうなろうと
僕には なんの関係もない。
失礼します。
♬~(口笛)
ぶっ殺してやる!
ハハッ…。
ご自由に。
(成瀬)ああーっ!
♬~
あっ…。
うっ…。
うっ…。 ううっ!
うっ…。
うっ…!
ああ… うっ…!
(せき込み)
(せき込み)
(園美)フガッ!
道に迷っちゃったのね?
僕は この先 どう進むべきか
わかんなくなっちゃって…。
最高の年も 災難の年も
シナリオは
すでに決まっています。
マジですか?
この水晶に
両手をかざしてごらんなさい。
こうですか?
ルック ルック… こんにちは。
何か 見えますか?
あら やだ。 運気がダダ漏れ。
ダダ漏れ?
すぐ処置室に!
(丸山琴美)はい。
ああ…。
はっきり言ったはずだよ。
君は あの患者と行動を共にし
経過観察をしろと。
はい。
なのに その患者を放ったらかして
何をしてたんだよ!
ダダ漏れだよ…。
申し訳ありませんでした!
(植地)もう いい!
先ほど撮った彼のCT。
(植地)病状は急速に悪化してる。
(ため息)
経過観察は もう終わりだ。
終わり?
彼が もし 外で
命を落とすような事があったら
マスコミに なんて言われるか
わかったもんじゃない。
(植地)週刊誌に出るぞ。
電車の中吊りにまで…!
彼を必ず入院させろ!
君は 彼を上手にお守りする事だ。
君の役目は ただ それだけだよ。
いいね?
…御意。
(早苗)加地先生。
ファイトー!
♬~「拗らせてしんどい」
♬~「愛してるのファンだけど」
♬~「同じ人間を
好きになっただけじゃん?」
(戸の開く音)
痛みは どうだ?
ああ…。
いよいよ 危ないんですよね?
自分でもわかります。
そうだな。
はっきり言うな…。
やりたい事もできたし
もう十分だろ?
俺としても病院としても
入院を勧める。
加地先生。
やりたい事が
あと一つあるんです。
まだあるの?
すごく大事な事なんですよ。
本当に死ぬぞ。
だからです。
絶対に やらなきゃならない。
また それに付き合えって
言うんじゃないだろうな?
いけませんか?
これ以上 君に振り回されたら
俺は本当にクビだよ。
ああ…。
わかりました。
もう巻き込みません。
そうしてくれ。
おい。 何してんだよ!
僕は一人でいきます。
はっ?
気づかなかったふりだけ
してくださいね。
おい…。
加地先生には
これから先の まだ長い人生が
待ってるんですもんね。
僕と違って。
待てよ!
あと一つ 何がやりたいんだ?
謝る?
あと一つ やりたい事が
謝る事なんだ?
起業したての頃は
無我夢中だったんです。
どうしたら
会社を大きくできるんだろうって
そればっかりで。
一度だけあるんですよ。
人の会社を潰して乗っ取った事が。
お願いです。
あなたたちの人生がどうなろうと
僕には なんの関係もない。
法律違反すれすれの手段でした。
その人に謝りに行くんだ?
どうせ死ぬから
少しでも いい人間になって
死にたいじゃないですか。
また 自己満かもしれないけど。
(携帯電話の着信音)
加地くん! 今 どこにいるんだ?
申し訳ありません。
(植地)
「そんな事 聞いてるんじゃない」
例の億万長者は一緒か?
「はい」
すぐに一緒に帰ってきなさい!
君は それでも医者か!
患者さんに
納得した生き方をさせる事も
医者の役割だと僕は思います。
失礼します。
わあ… やっちゃいましたね。
ああ ああ ああ…。
これで完全にクビだよ。
加地先生にもあるんですか?
ん?
何かに夢中になってた頃って。
もちろん あるよ。 俺は二度かな。
一度目は
外科医になったばかりの頃。
誰よりもオペがうまくなりたくて
がむしゃらに勉強したし
研究もした。
ああ…。 それで
腹腔鏡の魔術師と呼ばれるほどの
スーパードクターに
なれたんですね。
あの頃は 本当に楽しかったなあ。
もう一つは なんですか?
女が現れた時かな。
あれ? 意外だな。
恋愛のほうですか?
違うよ。
ライバルだよ。
ライバル?
これが
めちゃめちゃ腕の立つ女医でさ。
ああ… 激アツですね。
俺もスーパードクターって
呼ばれ始めた時だから
負けたくなくてさ。
わかります。
お互い 夢中になって
腕を磨き合ったんだ。
♬~
(大門未知子)私は加地先生ほど
お金好きじゃありませんから。
だから 一緒にするなって
言ってんだろ!
あっ ねえねえ 加地ちゃん。
「ちゃん」って言うなよ
「ちゃん」って。
併用すれば
腹腔鏡で切れるじゃない。
同時に そんな事
できるわけないだろう!
なんで? 私 できますよ。
歩き始めた。
(海老名)駄目だ…! 駄目だ!
みんな…!
おなかすいたので。
昼飯?
飯かい!
大事なオペに
なるかもしれないんだよ。
だから
バイトのお前は外されたの。
大事じゃないオペなんて
ないと思うけど。
(未知子)プライド? 恥?
ふざけんじゃないよ!
そんな
ゴミみたいなもんのために
あの患者
死なせるとこだったんだよ!
そんなんで
患者に メス入れんな。
じゃあ 何もしないの?
それって
患者を見殺しにする事なんだよ。
もっと自分の頭で考えたら?
誰のためのオペなんだよ ボケ!
私 失敗しないので。
それで その勝負
どっちが勝ったんですか?
わかりきった事 聞くなよ。
もう ボッコンボッコンの
ビッタンビッタンにしてやったよ。
ハハハハハ…!
そいつ
デーモンっていうんだけどさ…。
デーモン?
最低の女だよ。
成瀬さん。
六車です。
ご無沙汰しております。
なんの用だ?
謝りに来ました。 あの時の事を。
申し訳ございませんでした!
今さら どういうつもりだ!
僕にできる事があれば
なんでもさせてもらいます!
てめえ…!
やめてください。
やめてください!
誰だ? あんた。
彼の主治医です。
医者?
はい。
僕… 死ぬんです。
何?
♬~
死ぬって どういう事だ?
肝臓が もう駄目らしくて。
残された時間は あと6カ月。
(成瀬)それで俺のところに?
はい。
今さら 謝ったって
許してもらえない事は
よくわかっています。
迷惑なだけでしたね。
死のうと思ったんだ。
(成瀬)あんたに会社を潰されて
俺は何もかも失った。
飲まず食わずのホームレスさ。
恨んだよ あんたを。 心底な。
そんな時 あいつに出会ったんだ。
♬~
(鮎子)はい。
ジャガイモの煮っころがし。
(鮎子)今日 私が作ったんです。
美味しいですよ。
ありがとう。
(成瀬の声)あいつは
人を恨み続けると
気持ちが荒れて
自分が傷つく 自分が損をするって
教えてくれた。
俺は あいつと一緒になれて
もう一度
人生をやり直す事ができた。
もう… 恨んじゃいねえよ。
♬~
ありがとうございます…!
(衝撃音)
(荒い息)
(成瀬)鮎子…?
どうした!? 鮎子!
ちょっと すいません。
(荒い息)
救急車 呼んでください。
はい!
(荒い息)
鮎子…。
ちょっといいか?
ストレートに聞くよ。
なんですか?
彼女…
君のお母さんじゃないのか?
見ちゃったんだよ 写真を。
彼女の手にも
ほくろが3つ並んでた。
ちょっと すいません。
かなわないなあ 加地先生には。
やっぱり そうなのか?
ええ。
彼女は 32年前
僕を産んでくれた人です。
同時に 僕を捨てた人でもある。
捨てた…?
僕は 児童養護施設の前に
置き去りにされたんですよ。
♬~
その施設で 中学を出るまで
育ててもらいました。
中学を出てからは
いろんなアルバイトをしながら
金持ちになって見返してやる…
その思いだけで生きてきたんです。
なのに 成功して金持ちになったら
次は余命を宣告されました。
最悪ですよ。
病気になって
最初に頭に浮かんだのが
母の事だったんです。
もしかして
君が最後にやりたかった事って…。
母に会う事です。
僕は 残された手掛かりをたどって
母の事を調べました。
そしたら
母が あるエアポートの事務所で
働いてる事を知ったんです。
スカイダイビングの事務所か。
ええ。
(真由美)5年前だったわね。
やりたい仕事が見つかったから
って 辞めたわよ。
辞めた?
(真由美)NPO法人の仕事だって
言ってたけど…。
(六車の声)
母がやりたかった仕事は
NPO法人が公園で行う
炊き出しのボランティアでした。
そうか…。
だから
あの公園に差し入れしたのか。
情報を得るためです。
そしたら
そこで思わぬ事を聞きました。
鮎子さんは
ここのマドンナだったんだよ。
絶対 俺たちの事を
見下したりしなかったもんな。
だけど よりにもよって
仲間と恋仲になっちゃってさ。
恋仲?
(梅ちゃん)あの時は驚いたよね!
所帯まで持っちゃうんだからさ。
結婚したんですか?
(源さん)そうだよ。
成り上がりのガキに
会社 潰されたって言ってたけど
あんないい女と
一緒になれたんだから
人生とんとんだよ。
あの…
その人の名前は ご存じですか?
あいつ なんていったかな?
確か 成瀬じゃなかったか?
(源さん)あっ そう! 成瀬だ。
成瀬?
(源さん)成瀬だ。
(六車の声)運命を呪いましたよ。
僕が潰した会社の社長と
母が結婚してたなんて…。
そりゃ驚いたろうなあ…。
でも すぐに気がつきました。
これは 母が あの人に謝る
チャンスをくれたんだって…。
♬~
疲れがたまったんだろう。
無理をさせてるからな。
すまん…。
あなた…。
ん? どうした?
♬~
君は 成瀬さんに許してもらえた。
お母さんに会う事もできた。
これで やりたい事は
みんな できたな。
(足音)
全部 聞いたよ。
鮎子が君と会いたいそうだ。
(鮎子)来てくれたのね。
…うん。
ごめんなさいね…。
(鮎子)あの時の私は
事故で主人を亡くして
どうしても あなたを
育てる事ができなかった…。
(金村)約束の返済期日は
とっくに過ぎてるんですよ!
(ドアをたたく音)
(下平)旦那の借金返すの
奥さんの務めでしょー!
(金村)おい いるんだろ!?
(窓をたたく音)
(泣き声)
(窓をたたく音)
(金村)ガキがどうなっても
知らねえぞ!
(鮎子)大丈夫 大丈夫…。
(泣き声)
♬~
(鮎子の声)私のした事は
許される事じゃない…。
もう二度と会えないって
思ってたの…。
♬~
昔の事情なんて
どうでもいいんです。
あなたにできる事があります。
肝臓を頂けませんか?
(鮎子)肝臓…?
僕の助かる道は
肝臓移植しかないんです。
あなたなら
ドナーになれるはずだ。
そうですよね? 加地先生。
ちょっと待ってくれよ!
君は そのために
お母さんを捜していたのか?
いけませんか?
ずっと 俺をだましてたのか!?
医者なら わかってると
思ってました。
最低だな…。
あなただって
僕と同じ病気になったら
必死に
ドナーを探すはずでしょ?
それのどこが悪いんですか?
生きようとする事の
何がいけないんですか!?
♬~
(鮎子)あげるわ…!
それで償えるのなら…
それで
あなたが生きられるのなら
命をあげます…!
♬~
そう言ってくれると
思ってました。
先生…
この子を助けてください…。
お願いします…。 お願いします!
(小藪)加地先生 ちょっと…。
この町には 透析を受けられる
病院がないからな。
こんなになるまで
どれだけ我慢してきたんだ…。
鮎子は どこが悪いんですか?
(小藪)奥さんは
1型の糖尿病を患っていますね。
すでに 著しい 腎臓と膵臓の
機能不全が見られます。
鮎子は どうなるんですか!?
このままだと 鮎子さんの余命は
半年ぐらいかと…。
鮎子さんを救うには 膵臓と腎臓を
移植するしかありません。
移植って…。
僕への移植は どうなるんですか!?
君に肝臓をあげてる場合じゃ
なかったよ。
(成瀬)俺のを使ってくれ。
俺は 鮎子に人生を救われた。
今度は俺の番だ。
膵臓も 腎臓も
くれてやる…!
鮎子を助けてやってくれ!
♬~
検査の結果が出たよ。
成瀬さんは お母さんのドナーには
不適合だった。
あの人は どうなるんですか?
移植希望登録をして
最適なドナーが現れるのを
待つ事になる。
…そうですか。
だけど それまで
お母さんの病状が持つかどうか…。
僕と同じなんですね。
いや… 正直言うと
君の状況は もっと悪い。
君の門脈が 血栓で
潰れてしまっている事がわかった。
発達した側副血行路が邪魔して
肝臓グラフトと門脈が繋げない。
それは どういう事ですか?
つまり
ドナーが現れたとしても
君の移植は
極めて難しいって事だ。
(ため息)
僕は死ぬしかないって事ですね。
せっかく あの人を
見つける事ができたのに
最後の最後で
ツキに見放されるなんて…。
なんだか
二度 捨てられた気分ですよ。
諦めるのは まだ早いよ。
…えっ?
助けられる可能性がある。
僕は生きられるんですか?
君じゃない。 お母さんだよ。
幸い 君には
感染症も悪性腫瘍もない。
血液型も HLAも
適合条件にマッチしている。
それに 膵臓も腎臓も
十分 機能している。
君なら
お母さんを救う事ができる。
僕の膵臓と腎臓を
提供しろって事ですか?
お母さんにも
ドナーが必要なんだよ。
冗談きついっすよ…。
なんで 俺が
俺を捨てた人の命を
救ってやんなきゃ
なんないんですか!?
ふざけんのも いい加減にしろよ。
ふざけてるわけじゃない。
お母さんを救えるのは
君しかいないんだよ。
たった一人の
お母さんじゃないか。
俺に死ねって言ってんのかよ!
♬~
あんた それでも医者かよ。
ああ。
俺は 君の主治医だよ。
♬~
♬~
(成瀬)六車さん!
鮎子を助けてくれ。
俺は 土下座をしてでも
あんたに そう言うつもりだった。
だけど 鮎子に止められたよ。
自分には
臓器をもらう資格はないってな。
あいつは
あんたに助けてもらおうなんて
みじんも考えちゃいない。
それどころか あんたに
肝臓をやれなかった事ばかり
悔やんでる。
(成瀬の声)あいつは 15年かけて
必死に借金を返済して
あんたを迎えに行った。
だけど もう あんたは
施設を飛び出したあとだった…。
これは
鮎子の部屋から見つけたものだ。
あいつが 32年間
一日も欠かさずにつけていた
日記だよ。
それを読んだら 鮎子に
「もう苦しまなくていい」とだけ
声をかけてやってくれないか?
頼む…。
俺が欲しかったのは
あの人の肝臓なんだよ!
手に入ったのは
こんな古ぼけた日記だけですか。
早く出せ!
(運転手)はい。
♬~
おい… 待てよ! 待てって!
♬~
はあ… はあ…。
(荒い息)
♬~
(鮎子の声)「1991年7月16日」
「今日は航平の2歳の誕生日」
「お祝いしてあげられない母親で
ごめんなさい」
「私は
どうして生きているんだろう」
「あなたを捨てて
どうして生きていられるんだろう」
♬~
(鮎子の声)「今日
航平と同じぐらいの男の子を
見かけました」
「お母さんと手を繋いで
歩いていました」
「航平は
どんな手をしているんだろう」
「きっと温かい手なんだろうね」
「手を繋いであげられなくて
ごめんなさい」
「一緒に歩いてあげられなくて
ごめんなさい」
♬~
(鮎子の声)「今日は中学の卒業式」
「卒業おめでとう 航平」
「あなたの背丈は
もう私を超えたのでしょうか?」
「そばに行って あなたを見たい」
「そんなこと許されないことだと
わかっているのに」
♬~
(鮎子の声)「2015年9月27日」
「航平が載っている雑誌を
見つけました」
「成長した顔つきに 涙が出ました」
「ここまで来るのに
大変な苦労をしたと思います」
「航平は全部乗り越えて
成功をつかんだんですね」
「最低の母親から
生まれてきたのに
こんなにも立派に育ってくれて
ありがとう」
「本当にありがとう」
♬~
こんな映画も見た事ある。
絶対 ハッピーエンドに
ならないやつ…。
おお…!
♬~
加地先生…。
君はさあ…
大事なもの 忘れすぎなんだよ。
俺…。
♬~
どうした?
俺…。
(嗚咽)
(マツコ)お口のね 歯周病とか虫歯とか
悪いのは菌なの。
だから…。 自分のお口は自分で守ろっ。
<菌のかたまりを「ピュオーラ」でバラバラに>
さぁ 菌をためない お口メンテ。
(石橋)毎日の なんとなくのハミガキが
お口のメンテナンスだと思うと
やりがいもでます。
まさに自分磨き。
<菌のかたまりを「ピュオーラ」でバラバラに>
さぁ 菌をためない お口メンテ。
《2人とも救うには…》
生きようとする事の
何がいけないんですか!?
この子を助けてください…。
どうする…?
《母親への移植は なんとかなる》
《問題は 息子の肝臓移植か…》
術式は…。
(未知子の声)
私 病人 嫌いなんですよ。
病人が嫌いって… じゃあ
なんで 医者になったんだよ?
病人 嫌いだから
外科医になったんです。
切って 絶対に助けたいんです。
あんたにすれば あの患者は
大勢の中の一人かもしれないけど
患者にしたら
医者は あんた一人!
デーモンなら どうするんだろう?
電話で聞いちゃおう。
うわあ! いかん いかん。
俺は加地秀樹だ。
スーパードクターなんだ。
血栓は上腸間膜静脈に進展してる。
とても取りきれない。
駄目だ…。
側副血行路の分枝まで
カバーできない。
人工血管じゃ無理だ…。
♬~
ああっ! ダメよ ダメダメ!
絶対 ダメ!
もう…
なんで ひらめかないのかな。
よし。
うわっ 無糖だ。
なんだよ
甘いの飲みたかったのに もう。
(ため息)
もう…。
迂回…。
バイパス…!
(恵以子)聞いてよ 海老名先生。
また 酔っ払いのクマさんに
言い寄られちゃった?
言い寄られるだけなら
まだ我慢もできるんだけどさ。
あれ なんか 進展あった?
おっぱい 触られちゃった。
あら~ そりゃ急展開だね!
こっちも久しぶりだから
ポッと体がね。
ハハハハ…!
嬉しそうだ。
(携帯電話の着信音)
ごめん。 ちょっと電話来ちゃった。
もしもし 加地くん どうした?
海老名先生 ぶっちゃけ
借金 いくらあるんですか?
なんだよ やぶから棒に。
その借金 僕が全部返しますよ。
えっ…!?
肝硬変と膵腎不全か。
これ どっちも深刻だね。
まずは 母親への移植です。
息子の膵臓の半分と片方の腎臓を
母親に移植します。
ちょちょちょ… ちょっと待って。
息子 肝炎なんだよね?
それ すごい危険だよ それ。
わかってます。
わかってますって…
最悪 2人とも助からないよ。
海老名先生は 息子から
膵臓と腎臓のグラフトを
取り出してください。
そのグラフトを
僕が母親に移植します。
ちょちょちょ…
ちょっと待ってよ!
俺 そんな すごい手術だと
思わなかった。
もう イメージ 全然違うよ!
肝臓に障害のある
患者なんでしょ? ねえ!
膵臓 切っちゃったら
もう ブワッブワッ 大出血だよ!
血 止まらないよ!
僕たちがやるしかないんですよ
海老名先生!
すっかり
医者の目になってるじゃん。
(海老名)うわあ 城之内くん
お久しぶり! 元気だった?
海老名先生
医者 辞めたんじゃなかったの?
まあ ちょっと いろいろあってね。
ああ でもね
俺 一国一城の主で院長ね。
フフフッ。 結局
医者しかできなかったって事ね。
(海老名)まあね。
(博美)最初に 新鮮凍結血漿と
血小板を準備すれば
出血のリスクを
軽減できるんじゃない?
そうか
術前に投与すれば いけるな。
それは そうかもしれないけどさ
血栓症が悪化する可能性だって
あるんだよ。
そもそもさ
病気抱えた患者がドナー…。
このまま放っておいたら
2人とも死んじゃうの!
私は加地先生に賛成。
(海老名)だけどさ…。
医者しか できないんでしょ?
腹 くくりなさいよ!
やるんですか やらないんですか!
や や や… やりますよ。
チェンジ&チャレンジ!
チェンジ&チャレンジ!
チェンジ&チャレンジ…。
元気がないな!
さあ みんなで一緒に!
(3人)チェンジ&チャレンジ!
ハハハハハ…!
(少女)大坂さんと話した。
(大坂)
テニスとともに生きていける私は 幸せだ。
でも テニスがすべてではない。
はっとした。
幸せではない人や 不公平を見て
黙っていることはできない。
私の情熱を 世界中の人たちに届けたい。
きっと 理想は 現実になる。
世界を 元気に。 くらしを 理想に。
お願いします。
手術を受けて頂けませんか?
(ため息)
もう そのお話は…。
お母さんのドナーになる事は
息子さん自身が望んだ事なんです。
彼は
自分の命を懸けているんです。
あの子を殺してまで
私に生きろというんですか。
助けられる命が目の前にあるなら
どんな事をしてでも
その命を助ける。
それが医者なんです。
残酷な事をおっしゃる…。
僕を信じてください。
♬~
お母さんが
オペに同意してくれたよ。
そうですか。
ありがとうございます。
君の決意に応えてみせる。
どのみち 僕の余命はわずかです。
必ず 母の命を
助けてやってください。
私 失敗しないので。
えっ…?
いや あの…
一度 言ってみたかったの。
すいません…。
えっ?
すいません…。
これより 生体膵腎同時移植
レシピエント手術を始めます。
よろしくお願いします。
(一同)よろしくお願いします。
(博美)血圧112の85。
心拍数89でサイナス。
メス。
はい。
♬~
モノポーラ。
はい。
♬~
ちょっと…。
(看護師)海老名先生。
久しぶりの手術すぎる…。
チェンジ&…
チェ… あれ?
チェンジ&… チェン チェン…。
チェンジ& なんだっけ?
(看護師)チャレンジです。
(海老名)チャレンジ。
(海老名)フッ…!
ただ今より 生体膵腎同時移植
ドナー手術を始めます。
よろしくお願いします。
(一同)よろしくお願いします。
メス。
はい。
モノポーラ。
はい。
♬~
あと少しで
右総腸骨動脈の剥離完了。
(韮崎)早い…。
ドナーの膵臓グラフト
持ってきました。
ありがとう。
完璧なハーベストね。
海老名先生 頑張ってくれたね。
♬~
よし。 膵臓グラフト吻合完了。
次に 腎移植に移る。
(韮崎・阿部)はい。
左総腸骨動脈剥離。 ケリー。
(看護師)はい。
腎臓グラフト 移植します。
♬~
♬~
(海老名)よし 終わり。
♬~
(海老名)お疲れさまでした。
(一同)お疲れさまでした。
借金も終わりです。
腎静脈吻合完了。
次に 腎動脈吻合に移る。
(阿部)はい。
動脈壁を露出。 メッツェン。
はい。
第1助手 視野 もっと展開して。
(阿部)はい。
筋鉤。
(看護師)はい。
あっ!
(心電図モニターのアラーム)
出血点は?
早く吸引しろ!
(韮崎)はい!
血圧60まで低下。 加地先生!
♬~
<小さくて 軽くて
あなたにも地球にも嬉しい>
<それって サステナブル>
<未来へ続く省資源 低燃費>
<サステナブル・スモール
「ダイハツ ミライース」>
<用品8万円>
♬~
♬~
(松坂)
<大きな間口によって切り取られた外界>
<内に広がる空間は 曖昧な境界線によって
つながりながら広がっている>
<日本の伝統的な空間の捉え方だ>
<その中に人は身を置き
移ろいゆく豊かな時間に身を浸す>
<日本の美意識を宿す邸宅 「MARE」>
<家は 生きる場所へ>
血圧60まで低下。 加地先生!
(心電図モニターのアラーム)
必ず 母の命を
助けてやってください。
大丈夫だ。 血管鉗子。
(看護師)はい。
第1助手も吸引。
は… はい!
RBC 10単位。
はい。
ガーゼ。
はい。
♬~
あった。 内腸骨動脈分枝の損傷だ。
5-0ポリプロピレン。
(看護師)はい。
♬~
バイタルは?
血圧110の81。
心拍数92でサイナス。
終了。
(博美)加地先生。
お疲れさま。
お疲れさまでした。
(一同)お疲れさまでした。
♬~
すごいオペだったな。
(韮崎)スーパードクター復活って
感じでしたね。
♬~
(成瀬)頑張ったな 鮎子。
手術は成功したそうだ。
こ… 航平は…?
航平は どうしているの…?
大丈夫だ。
(戸の開く音)
ああ… 航平…。
日記 読みました。
駄目だと思います。
毎日 あんな悲しい事ばかり
書いてるのは。
僕には
楽しい事が たくさんありました。
誰にも まねできないような
まねさせないくらい楽しい事を
たくさんやってきました。
それができたのは
あなたが
僕を産んでくれたからです。
♬~
だから これからは あなたにも
楽しい人生を送ってほしい。
もう泣かないでください。
♬~
ありがとう… 母さん。
(嗚咽)
♬~
次は 君の番だ。
お母さんと約束したんだよ。
君の事も必ず助けるって。
僕を信じてください。
息子さんを助けられる可能性を
見つけました。
バイパス手術です。
ジャンプグラフトという再建法で
上腸間膜静脈と門脈を
バイパスします。
あの子の役に立つんですか?
私の肝臓が。
はい。
今度は… 私の番…。
母が… 僕のドナーに?
僕は… 生きられるんですか?
(鮎子)生きるの…。
生きるの 航平…。
(鮎子)生きるの…。
(嗚咽)
♬~
これより
上腸間膜静脈・門脈バイパスを
用いた
生体肝移植レシピエント手術を
始めます。
よろしくお願いします。
(一同)よろしくお願いします。
メス。
(看護師)はい。
(植地)いやあ よくやってくれたね
加地くん!
まるで 神が宿ったような
オペだったって
報告を受けているよ。
まさにゴッドハンドだ!
ありがとうございます。
君のおかげで あの億万長者が
多額の寄付をしてくれるそうだ。
しかも 新しい病棟まで
建ててくれるそうだ。
病棟ですか!? すごいですね!
君は バリバリの現役だ。
こちら側に引き込もうとした
自分が もう恥ずかしいよ。
いえ。
でね ものは相談なんだが
その新しい病棟に…。
私の名前をつけようと
思ってるんだ。
(植地)植地正人記念館。
ハハハ…!
どうだろう?
はい?
私は 加地秀樹記念館のほうが
よかったな~。
まだ あの木こりと続いてるの?
一緒に お話考えちゃってまーす。
ゼンチュウチュウ!
しっかし…
よく あの億万長者を手放したね。
人は お金じゃないから。
♬~
〈キングと呼ばれる男の話に
戻ろう〉
〈限界をささやかれながらも
キングが引退する事はなかった〉
〈キングは限界を大きく超え
今なお 現役のプレーヤーとして
世界に勇気を与え続けている〉
ええい…!
人は お金じゃないから。
ハッハ~ 何 言ってるんだ!
甘いんだよ 甘いんだよ!
幸せとお金は歩いてこない。
よいしょ…。
人は お金なんだよ!
お金が こんなに重いなんて…!
ああっ…! 幸せだ!
(荒い息)
よし。
(携帯電話の着信音)
うっ… ああっ…。
(携帯電話の着信音)
なんだよ…!
(海老名)「もしもし 加地くん?
もしもーし」
もう
幸せを邪魔しないでくださいよ!
あのさ 蛭間院長から電話あった?
いえ ありませんけど。
ああ そう…。
やっぱり 俺だけなんだ。
えっ なんか あったんですか?
ここだけの話なんだけどさ
東帝大に戻ってこいって。
マジっすか!?
蛭間院長 なんか
いろいろ大変みたいでさ
まあ そういう時の
俺なんだろうね。 ハハッ。
何 笑ってるんですか。
青空診療所は?
あっ 引き継いでもらった。
誰に?
おばちゃんに。
女医だったんだよね。
大丈夫ですよ。
嘘でしょ?
ただ ほら 女医ってさ
ちょっと診察長いからさ
それが ちょっと
心配っちゃ心配なんだけどね。
老害予備軍…。
海老名先生 災いは口から生まれる
って言いますから。
大丈夫かなあ?
えっ どういう意味?
意味わからないんだけど。
それよりさ 本当に
借金 任せちゃっていいの?
「任せちゃってください」
なんか悪いね。
やっぱり 持つべきものは 友だね。
蛭間院長にさ 君の事
ちょろっと頼んでおくからさ。
いつか また会おうよ。 ねっ。
悪いね。 じゃあね。 バイバイ。
「あの 蛭間院長…」
ラッキーだな。
いいのかな? 本当に。
切ったよ…。
自由だなあ 海老名先生は。
借金なんて
いくらでも返しますよ。
なんなら 娘が入学した大学ごと
買っちゃいましょうか!
ヘッヘッ!
(荒い息)
はあ…。
「また 飛びましょうね!」
何度でも 飛ばせて頂きます。
(リップ音)
帯封なし。
やった… 金持ちだ。
やった…!
ああ いい風だーっ!
(風の音)
〈男は完全に復活した〉
〈しかし この男から
勇気をもらえるかは
定かではない〉
〈外科医 加地秀樹〉
〈またの名を
ドクター ワ… Y!〉
ワイル ビー バック。