2夜連続ドラマスペシャル 山崎豊子『女系家族』 第2夜[解][字]…のネタバレ解析まとめ

出典:EPGの番組情報

2夜連続ドラマスペシャル 山崎豊子『女系家族』 第2夜[解][字]

宮沢りえ×寺島しのぶ…日本を代表する実力派女優が初共演にしてW主演!嫉妬、欲望、愛憎…数々の人間の業を描いてきた山崎豊子の遺産相続ドラマの傑作が令和の世に甦る!

◇出演者
宮沢りえ、寺島しのぶ/水川あさみ、山本美月、長谷川朝晴、山村紅葉・伊藤英明、余貴美子・渡辺えり、役所広司(特別出演)、奥田瑛二
◇原作
山崎豊子『女系家族』(新潮文庫刊)
◇監督・脚本
鶴橋康夫
◇音楽
羽岡佳
◇スタッフ
【チーフプロデューサー】五十嵐文郎
【プロデューサー】船津浩一、浜田壮瑛、山形亮介(角川大映スタジオ)
◇おしらせ
☆番組ホームページ
 https://www.tv-asahi.co.jp/nyokeikazoku/
◇脚本・監督
鶴橋康夫

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)

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  1. 宇市
  2. 芳子
  3. 君枝
  4. 文乃
  5. 大番頭
  6. 旦那
  7. 子供
  8. 千寿
  9. 相続
  10. 良吉
  11. 今日
  12. 本宅
  13. 失礼
  14. 神ノ木
  15. 先生
  16. 認知
  17. 認知届
  18. 矢島商店
  19. お父さん
  20. 財産目録

解析用ソース(見逃した方はネタバレ注意)

   ごあんない

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(警笛)

(大野宇市)〈三代目あたりから

奥内の女子衆の贅沢で
傾きかけた…〉

(矢島嘉蔵)
お前を もっと抱きたかった…。

〈木綿問屋 矢島商店の信頼を
持ち直した嘉蔵旦那が

病に倒れた〉

〈旦那には 若い愛人がいた〉

(矢島藤代)あんた
それ知ってはったんやろ!

(矢島芳子)やめなはれ!

〈その愛人 浜田文乃が

まさかの嘉蔵旦那の子を
身ごもってた〉

〈流れは 渦を起こし
また別の流れを作る〉

〈急がねば…〉

♬~

〈こんな隠れ家のような
情事の場で

出戻りの嬢さんが
人待ちをしている〉

〈なんちゅうこっちゃ…〉

(仲居)失礼します。
お連れ様がお見えだす。

(梅村芳三郎)やあ。

お待ちしてましたわ 若さん。

ビールと川魚 それに…

鰻も!

それで よろしおますか?
(梅村)ええ。

若さんに会われへんと
ずきずき痛みますわ。

(カメラのシャッター音)

痛っ…。

おおきに。

(梅村)こんな静かな所を
知ってるやなんて

嬢さんも隅に置けまへんな。

何 言うてはるのん…。

亡うなった母が
ここの料理が大好きで

しょっちゅう
生牡蠣を食べに来てましてん。

おいおい
この辺りも埋め尽くされて

川筋の風情も
のうなってしまいますんやろ…。

そやから

若さんにも
見ておいてもらおうと…。

(シャッター音)

(仲居)失礼します。

そちらにしますか?
(梅村)ええ…。

(梅村)なんで別れはったん?
えっ…。

えっ… 何?

線香屋の長男でっしゃろ?

嬢さんほどの人が なんで
あんな筋金入りの遊び人と…。

あの人 いつも
ぎょうさんの仲間に囲まれてて

そばにおったら安全やと思わせる
不思議な目をしてましてん。

なんでやろ
あかんあかんと思いながら

明日 また
やり直す事もできるんやしと…。

あの人 冬は湯たんぽみたいな
温かい肌してて

冷え性の私は
助かってたんやけど

だんだん 触るのも嫌になって…。

(シャッター音)

〈取り戻せない
昔の話でもしているのか?〉

〈嬢さんは 近頃見た事のない
嬉しそうな顔をしている〉

〈なんちゅうこっちゃ…〉

(カメラのシャッター音)

(電車の警笛)

〈嬢さんの情事をのぞくのは
不快だが

相手が色事師なのは
もっと不快だ〉

〈…が どこで
この隠し球を使うかや〉

〈わしかて
嬢さんが心底憎いわけやない〉

〈わしは いつも
嘉蔵旦那の幻を見てた〉

〈矢島家の娘婿は

代々 目から鼻へ抜ける
賢い番頭の中から選ばれた〉

〈足軽から主家に
迎え入れられるのと同じや〉

〈先代から
せがれ同然と言い続けられて

飼い殺しになったわしと違い

嘉さんは 婿になる器量と度胸を
持っていた〉

〈車が止まってる…〉

〈また 流れが変わるのか?〉

〈妻が増えれば
分配金も分散する〉

〈そこに子供まで出てきたら
わしの分かて…〉

(チャイム)

(宇市)ごめんください。

(出目金)どなたさんでっか?

矢島商店の者ですけど…。

あっ… 矢島商店の!
ええ。

ちょうどよろしおました。

今 お医者さんが
来てくれてはりますねん。

お… お医者さんが?
へえ。

文乃さんが
急に具合悪なって…。

あっ ともかく 早う
上がっておくんなはれ。

さあ さあ。

(出目金)こっちです。

先生 どないですか?

(高木)お身内の方ですか?

…はい!

(高木)実は 妊娠初期からの
かなり激しいつわりに加え

妊娠高血圧症候群で
腎臓に負担がかかってるんです。

(高木)うっかりすると
子癇を引き起こして

母子に危険が及ぶ事があり

経過によっては

妊娠の維持が難しくなる事を
覚悟しないといけません。

堕ろさはったらええやん。

(高木)では お大事に。

(浜田文乃)おおきに…。

(出目金)ほな うち
お薬持ってきますさかい

あとは あんじょう頼んまっさ。

(宇市)あっ… へえ。

あの眼鏡の人は どなたさんで?

角の薬局の奥さんです。

私 つわり止めの薬を
もらいに行って

倒れてしもて。

大番頭さん…

今日は また なんで?

あっ… ああ。

あの… 本宅伺いの
不始末のおわびを早うせんとと。

あっ… 食事 まだでっしゃろ?

大番頭さんには
何から何までお世話になって…。

食事は 薬局の奥さんも
じきに戻ってきはりますし…。

ああ… いやいや! わては
一人暮らしが長いですさかいに

ああ… おかゆさんぐらいなら
ちゃっちゃっ! って。

大番頭さん どうでっしゃろ?

明日からでも
付き添いさんに来てもろうたら。

ああ…! そうでんな。

あっ ほな 早速…。

〈大旦那は 文乃に格別の約束を
しているに違いない〉

〈それを探らせようと

君枝を付き添いに
送り込む事にした〉

矢島商店さんから
ご紹介頂きました

小林君枝と申します。

ご病人さんの付き添いは
不慣れでございますが

精いっぱいやらせて頂きますので
よろしゅうお願いします。

旅館で 仲居さんしてはった
そうですけど

どこででっか?
はい。

嵐山の料理旅館に
勤めてたんですけど

お客扱いが いま一つ
うまい事いかんで…。

(出目金)へえ~ お宅みたいに

よう行儀の行き届いた人でも
あきまへんか。

(君枝)ええ…。
(出目金)ほな 早速ですけど

お台所のほうから…。
(君枝)へえ。

あんまりうずくんで
お医者さんに行ったら

悪うすると2カ月はかかる
言わはりますねん。

せやから 遺産分けの相談は
もうちょっと あとにしてもうて。

(芳子)落馬やのうて…

馬から下りて 捻挫とはなあ。

(宇市)ごめんやす。

あの… えらい事になりまして。

えらい事?
(宇市)へえ。

山に なんかあったん!?

(宇市)いや 山の事やおまへん。
文乃さんの事でおます。

ああ… あら まあ。

宇市つぁん。

あんた 神ノ木の事を
「文乃さん」って呼んではるんか。

恋愛は自由や。

お互い 不倫でもないし。

で 神ノ木が
どないしたいうねん。

ああ… 雪彗の軸の事が
気になりまして

もしやと
文乃さんの家に行ったら

なんと お医者さんが
いてはりまして

「妊娠高血圧症候群」と
言わはりました。

(芳子)妊娠高血圧症候群!?

へえ。
(芳子)ほんで?

いや うっかりすると 母子ともに
危険になる場合があると。

経過によっては諦めなあかんと。

(芳子)そんで そのおなごは

「ややを堕ろす」
言うてますのんか?

いや…
「どうしても産みたい」言うて。

神ノ木へ行こ!

(矢島千寿)神ノ木へ?
う… うちらが?

そや! 神ノ木へ見舞いに行って

私らの目で
ほんまの病状を確かめるんや。

ここで あのおなごの事を
うんぬんしてるより

あっちへ行って 私らの思うほうに
向かしたらよろしいねん。

(矢島雛子)うちも行く!

なっ? なかんちゃん!
(宇市)ああ… めっそうもない。

嬢さん方が 父親のおなごの家に
出かけるやなんて

いや 聞いた事ありまへん!
宇市つぁん。

あんた えらいむきになって
私らを引き留めはるけど

私らが行ったら

あんたに都合の悪い事でも
おますのんか?

いやあ… とんでもない!

それにしても
嬢さん そのおみ足では…。

捻挫は安静が第一や言いますし。

うちは行きますのや!

行くなら パリッとした格好で
行かなあきまへんで!

(雛子)藤代姉さんいうたら

お芝居にでも出かけはるような
気の入れ方やな。

(芳子)ほんまや。 まるで
歌舞伎の顔見せに行くようやな。

今日の舞台は なかなかの見応えに
なりまっしゃろなあ。

狐と狸の化かし合いですわ。

見応えのほどは
終わってみんとわかりまへん。

♬~

(君枝)ご本宅様が
お見えでございます。

奥さん ちょうだいしました。

本日は おそろいでのお見舞い
ありがとうございます。

(柱時計の時報)

…えっ!?

♬~

あっ…。

♬~(お囃子)

あっ!

♬~

嫌…!

(荒い息)

(君枝)どうぞ ご寮人さんから
こちらのお席に。

(君枝)嬢さん方も どうぞ。
おおきに。

〈藤代の声が聞こえるようだ〉

〈道楽を知らず

つまらん男やと思ってた
お父さんが

ここで 本を読み
子供を作ってたと…〉

(芳子)宇市つぁん
あんたがお世話したという

付き添いの人は
この方でおますか?

あっ… どうぞ よろしゅうに。

宇市つぁんに
話を聞いたんですけどなあ

他の病気と違うて
この妊娠高血圧症候群いうんは

重症化すると

妊婦の命取りになる事も
あるようですな。

おなかのややを
どないするつもりでおます?

産もうと思うてます。

旦那さんも 子供の顔を見られずに
死ぬのが一番の心残りやと…。

やめてもらえますか!

二言目には 「旦那さんが…」
「おなかのややが…」と。

嬢さん それは…!

お仏壇も お位牌も
持たせて頂けない私です。

せめて
旦那さんのお写真ぐらいは…。

もしも あんたに子供が生まれ

「この写真がお父さんや」
言われんのが迷惑なんです!

これは
家に持って帰りますよって。

そんなに 私にややが生まれるのが
ご迷惑なんですか?

へえ!

(芳子)文乃さん

自分の命を懸けてでも
子供を産みたいいうんは

何か
それ相応の理由があるんやろ?

やっぱり あるんやな。

(芳子)なんにもないと
はっきり言い切らはんのか?

(芳子)そんなら あんた
一体 どないするつもりなんや!?

(チャイム)

(君枝)はい。

(君枝)坂上先生とかいう
お医者さんが診察にお見えです。

坂上先生?
(君枝)はい。

私がお呼びしたんです。

私の不妊治療…。

いつも うちが診てもろてる
産婦人科の先生に

特別に診察お願いしましてん。

どうぞ 通ってもろてください。

お医者様でしたら
私のほうでかかっています。

せっかくのお計らいですが
どうぞ お断りください。

お医者さんのお見立ては
いろいろや。

産婦人科で有名な坂上先生に
わざわざ往診をお願いしたんは

それこそ
あんたが欲しがってるややを

間違うのう産むためにと。

…まさか!

(芳子)付き添いさん
何 ぐずぐずしてんのや。

先生を早くご案内して。

それから 雛ちゃんと宇市つぁん
そっちの部屋で待っといて!

♬~

ご寮人さん 何をするんです?
あれ…。

やめてください…。
私に触らんといて!

待って… 待ってください!

大丈夫やて~。
ちょっと!

無理やりの診察など
やめてください!

任せといて。

(芳子)大丈夫や。 大丈夫やって。
(君枝)先生がお見えです。

(千寿)あっ…!
ようお運びくださいました。

本当に往診して頂けるのか
心配してたんです。

(坂上五郎)
やっと外来を抜けられまして。

(千寿)どうぞ こちら…。
(芳子・藤代)お忙しいところ…。

(千寿)こちらです。

(千寿)どうぞ こちらです。

〈責めるような 拝むような
文乃のかたくなさに

芳子たちの心の土台が壊れた〉

〈千寿を患者にしたのは不運だが

医者としては
不憫でも不幸でもない

大学病院の先生に
すがるしかない〉

浪速大学産婦人科の坂上です。

♬~

(君枝)痛っ…。

先生…

私がお願いしたわけでもない
ご勝手な診察は

やっぱり 困ります…。

(坂上)どうしたんですか?

診てあげてほしいと
矢島さんが…。

ご診察を!

♬~

患者さんの同意がなければ
医者は診られません。

(芳子)文乃さん

わざわざ
ええ先生が来てくれはったんや

言うとおりに診ておもらい!

(千寿)私らが あんさんに
遺産を分けるについては

あんさんにも 私のほうの先生に
診て頂く務めがおます!

務め?
そうや 務めや。

(芳子)さあ 文乃さん
どうでも診てもらいまっせ!

(坂上)そんなむちゃは
おやめなさい!

医者は 本人の同意なしでは
診るわけにはいかないんです!

あんたら
それでも船場の嬢さん方でっか!?

人が嫌や言うもんを無理やりに…。
恥を知りなさい! 恥を!

この先生 連れてきたんも

私の子を
流産させるためなんやろ!

そんなふうに言ってはいけません。

あなたに必要なのは
診察だけです。

医者を信じなさい。

はい…。

診て頂きます。

あっちへ行ってください。

うちは
立ち会わせてもらいますわ。

嬢さんは… 女やない!

(坂上)冗談じゃない…。
早く出て行きなさい!!

♬~

(坂上)横になってください。

(芳子の声)「死んでも産む」
言うてはるわ。

阿呆や。
(雛子)死ぬかもしれへんの?

母体は無事でも
死産の公算が大きいのやて。

診てもろて よかったわ。

(鳥のさえずり)

♬~

人がおとなしいしてると思うて
馬鹿にしやがって…。

どうするか見てたらええ!

(鳥が飛び立つ音)

(宇市)お墓に入るまで
ちょっと間があります。

皆さん しばらく
控室でお休みください。

♬~

(芳子の声)なあ こいさん

あんた うちの養女に
来てくれはらへんか?

叔母さんの養女に?

そうや。 うちな

こいさんの世話を あれこれ
焼かせてもらってるうちに

いつの間にか
実の娘みたいに思えてきてな

手放しとうのうなってしもたんや。

あんまり突然で

どない言うてええか
わからへんわ…。

うちと あんたは 叔母と姪の仲や。

気兼ねもない 損得もない。

入り婿を取らはるなら
取ってもええ。

なあ 雛ちゃん

次の親族会議の時にでも
披露できるよう

考えてみてくれはらへんか?

叔母さんのお気持ち おおきに。

ゆっくり考えさしてもらいますわ。

♬~

(矢島米治郎)やっぱり
無理やったんと違いまっか?

何が無理やねん!

あんたが
いつも控えめに考えるから

うちのかまどは
いつも火の車なんや!

うちは どないしてでも
雛ちゃんを養女にして

あの子が相続する財産を

うちへ
取り込むつもりですさかいな!

いや そやけど…。
とにかく 親族会議は

延ばしてくださいな!

(宇市)でも
おみ足も お治りやして

こうやって お寺へも
お参りに来てはりますのやし…。

なんで あんた
そない親族会議を急ぎはるの?

おかしいやないですか!

(宇市)失礼な言い方では
ございますが

ご相続が長引きますと

ご姉妹で遺産争いなどと
世間の とかくの噂になります。

神ノ木のややが
予定どおり 出産ともなれば

それはそれで ちゃんと
相続を済ませておいたほうが

あとで
首尾がよろしいんやないかと…。

どうでも開くというなら
うちにも言いたい事があります。

みんなで分ける共同相続分の…
私は山が欲しおます。

姉さんも!?

うちも山が欲しいと
思うてたんです。

うちも。
こいさんも!?

雛ちゃん あんた
いつの間に そんなん…。

うちな 山が自分のもので

そこの木の生え具合や
成長を見て回るのって

ほんま ええ気分やと思うんや。

それに 山持ちいうたら
どかんと雄大で かっこええやん。

うちは山をもろて
山持ちになるわ!

フッ…。

こいさん
あんた そんな夢みたいな事を…。

私は ただ 自分の目で
山を見てからでないと

次の親族会議には出ません
言うてるだけや。

私 宇市つぁんの作らはった
共同相続財産の目録に

不審がありますねん。

信用でけへんのや!

遺言執行者が作った財産目録に
不審や異議があった場合

その相続人が立ち会いのもとで
相続財産の目録を作成するか

公証人に 相続財産の目録を
作らせねばならないという

法律があるのん あんた…
宇市つぁん 知ってはりました?

♬~

ハハハハッ…。

これは また
えらいお詳しいでんな。

どなたさんからのお知恵で?

「どなたさん」って…
そんなもん 問題やおまへん。

財産目録の作成の仕方に
問題がある 言うてるんです。

なるほど。

(机をたたく音)

公証人の立ち会いが必要なほど

私の目録の どの点に
信用がないと言わはるのか

そこから
聞かせてもらいましょか。

この場を親族会議に切り替え

私が 山の目録作成の
立会人になる事を

認めてもろてください!

(宇市)ええ…
異議はございませんが

万一 私に間違いがなければ

いくら嬢さんでも 容赦しません。

名誉毀損で訴えますが
よろしゅうおますか?

(芳子)名誉毀損!?

ええわ。 その代わり

宇市つぁんに不正があれば
横領で訴えます!

横領!?

(矢島良吉)乳母日傘で育った
義姉さんには

ついていかれへんけど

宇市つぁんかて 怪しいもんや。

棚卸しでな

在庫数と商品台帳の数字は
ちゃんと合うてるのに

実際の在庫数が少なすぎるねん。

まさか…。

そんな おかしいと
思うんやったら

宇市つぁんに向かって
聞いたらええやん。

とんでもない!

相続がつつがなく終わるまでは

何があっても 知らん顔で
過ごすしかないんや…。

そやないと 僕らが孤立する。
(千寿)孤立?

義姉さんも義姉さんなら
こいさんも こいさんや。

いきなり
憎らしゅうほど ええ子ぶって

「うちは山もろて
山持ちになります!」

なんて言いよる。

何を考えてるのか
ちっとも わからへん…。

(千寿)もう… どないしたん?

♬~

どうやろ?

義姉さんに この店 売って
矢島商店の商い 任せるいうんは。

利益の5割の3分の1は
僕らも もらえるんやし。

そんな事…
うちら どないなるん?

この近くのええ場所に
鉄筋の店 作って

新大阪繊維株式会社でも
なんでもええ

会社を起こすんやがな。

良吉さん… あんた
この店 辞めるつもりなん?

そうや。

あんさんが社長で 僕が専務や!

それが あかんかったら

僕らが矢島商店の営業権を継いだ
その暁に

宇市の抜き差しならん
横領の証拠をつかんで

僕を子供扱いにして
なめきってた あいつに

倍返ししたるんや。

あんさんも そのつもりで。

あんた…。

僕の辞書に 「和解」という
2文字はないんや。

(君枝)すんません。
おはようさん。

(戸をたたく音)

すんません。 君枝です。
起きてはりますか?

起きて!

どないしたんや?
朝っぱらから…。

うちは もう
付添婦のまね事なんか嫌ですわ。

今日限りにさしてもらいます。

訳言わな わからへんわ。
ほら 上がれ。

もう やだ~。

かなわんな…。

本宅のおなごはんたちが
お見舞いに来はった あの日から

文乃さんは 人が変わったみたいに
強うなってな

何がなんでも ややを産みたい
言うて…。

今日は ビタミンDとか
持ってきましたさかい

赤ちゃんにもいいし
晩ご飯のあと 飲んでくださいね。

(君枝の声)医者や薬局の奥さんが
勧める薬は

金に糸目をつけずに
なんでも買うて飲みますねん。

体のほうは
日に日に ようなって…。

(出目金)吐いて…。

(君枝の声)そやけどな

最近 あの人の様子が
おかしなってきて…。

あの人 住吉さんの種貸人形を

旦那さんの写真の前に
飾りましてな

赤い袴の子供を
ひざに抱えた人形にも

毎朝 ご飯を供えて

まばたきもせずに見てたと
思うたら

急に にたーっと笑いますねん。

その気持ちの悪い事…。

その種貸人形ってな

最初は
五穀豊穣の神さんやったのが

いつの間にか
人の種を貸してもらう子授け

安産の神さんに
なったんやそうですわ。

ねえ~。

なんや?

で わしが頼んだ
書き付けみたいなもん

持ってる気配はあるんか?

それが さっぱりで…。

あの日 本宅の嬢さん方が
帰らはったあとな

あの人 たんすの引き出しから
大旦那の写真を取り出す時に

白い封筒みたいなんを
なでてんのを見ましてん。

そんで あの人の洗濯物の
出し入れの時に

手早く探してみたんやけど

あったんは 指輪と腕時計

手編みの小さい靴下と
帽子だけで…。

♬~

ちょっと あんた…。

なんや?

あんなところへ
働きにやらせといて

かれこれ 60日だっせ。

もう ちょっとぐらいなら
家 空けてもええさかい

たまには
どっかで会うてえな…。

そんな事してる場合やないやろ!

女の気持ち
わからしませんのか?

いけず!

早うしてや。

なあ…。

♬~(鼻歌)

早うして… ハハハッ!

♬~

ハハハッ!
いやあ~!

(君枝)ハハハハッ!
(宇市)女はええやんな…。

♬~

そんで 旦那さんの子を産んでも

証拠のもんなかったら
あの人 1円ももらわれへんの?

くれるような相手やないやろ…。

かわいそうやけどな
証拠になるものがなかったら

わしらは
なんの力にもなられへん…。

それはそれとして

こっちの身が危ういんや。

ぐずぐずしてたら
えらい目に遭う。

なあ 君枝…。

ええか? もう ひと踏ん張りや。
(君枝)うん。

なんでもええから探してくれ。

頼むで ほんまに。 なっ。

しゃあないな~! ハハハッ!

おはようさん。
(一同)おはようさんです。

(宇市)ああっ…!

おはようさん。
朝から お出かけでっか?

ああ びっくりした…。

この間から始めた
料理のお稽古の日やさかい

ちょっと 神戸に行ってきますわ。

ああ さよか。

金正のぼんぼん
えらい男前ですさかいに

こいさんのお好みに
合いますやろ?

嫌やわあ… なんで
そんな事 知ってはるの?

それは もう
船場のご商家筋の事なら

地獄耳ですわ。 フフフッ…。

今日も 稽古を口実に
デートでおまっしゃろ?

ハハハッ… もう!

〈文乃を見舞ってからの雛子は

子供の仮面を脱ぎ捨てたように

憎らしいほど 大人の顔になった〉

(君枝)こない元気にならはって…。

今日あたりの奥さんの様子を

本宅の嬢さんらが見たら
どないしまっしゃろ。

女の一念… というもんですわ。

フフッ…。

(チャイム)

お人ですわ。

(ドアの開く音)

(君枝)まあ 大番頭さんですか。
いらっしゃいませ。

丸損だけは 絶対せえへんからな。

(宇市)おお~!
こない元気にならはって…。

おかげさんで。

(宇市)お訪ねもしませんで
すまん事でした。

でも こない元気にならはって
ひと安心ですな。

(君枝)せやけど

大きく育っていかはるお子には
お金がかかります。

それとも 奥さん
また 働きにでも出はりますんか?

そうなるかもしれません。

今からでは
芸者に出られんようなら

君枝さんに お料理屋の下働きでも
お世話してもろうて…。

ハハハッ… ご冗談を。

やっぱし 奥さんは
確かなもん 持ってはりますわ。

なあ? 大番頭さん。

アハハハハッ!

あの… なんぞ ありましたら

わしに出しなはれ。

僭越ながら…

あんさんの気を わてが
晴らしたげますさかいに。

ハハハッ… なんちゃって…。

あんたさんと私は

ご本宅の大番頭さんと
その旦那さんの影の女との

お付き合いですのに

数々のお気遣い
ほんまにありがとうございます。

ああ…。

付き添いさん
番頭さんに お酒 持ってきて。

(君枝)えっ?
(宇市)あっ いや お構いのう…。

わて 親族会の準備で
疲れが重なっておりますんで

悪酔いして帰れんようになったら
困りますさかい…。

あんた
旅館の仲居をしてはったくせに

何を不調法してんのや。

さあ 早う
番頭さんに お酒 差し上げて。

へえ…。

寝間やと 辛気くさいでしょ?

さあ こちらへ どうぞ。

《やっぱり この人
人が変わったみたいや》

《「大番頭」から
「大」が抜けて「番頭」に》

《君枝も 「付き添いさん」から
「あんた」になってる》

(宇市)失礼します。

♬~

(君枝)どうぞ。

番頭さんに お酌してあげて。

えっ? へえ…。

どうぞ お一つ。

(宇市)いただきます。

♬~

はあ~! おいしい。

大番頭さん

私も 久しぶりに
お酌させてもらいます。

あっ…。

あっ…。

(宇市)いや
お医者さんにかかってる人に

お酌などして頂いて

いや そんな酒 飲めまへん…。

ぐいっといきますさかいに
茶碗酒でいきますわ。

♬~

♬~

ふうー…。

いやあ… ごちそうになりました。

今日のところは
これで失礼させて頂きます。

ほんなら
また ゆっくりお越しください。

(宇市)あっ へえ…。

付き添いさん 駅までお送りして。
(君枝)はい?

(宇市)あっ 結構でおます。
一人で帰りますさかい…。

そうでっか?
(宇市)ええ ええ ええ…。

大番頭さん。

へえ なんです?

雪彗の『滝山水』の掛け軸

どないなってます?

ああ お預かりした
雪彗のお軸は…

ええ… あの…
偽物かもしれんというんで

親族会までには鑑定を終え

真物なのか 偽物なのか…。

きっぱり お返しする手はずに
なっております。 はい。

番頭さん
それも 嘘やないですやろな?

えっ… 嘘?

いやいや いやいや…
めっそうもございません。

そんな作り話
言えたもんじゃありませんから。

本日は
ご足労さまでございました。

へえ…。

♬~

(宇市)おおきに。
ありがとさんでございました。

嬢さん お出かけで?

ちょっと お稽古に…。

長い事 お休みしてましたさかい。

〈文乃は ひと筋縄ではいかん〉

〈潰す標的を 藤代からに決めた〉

〈日常の華美と

派手な日舞発表会の無理が重なり

稽古場の土地は抵当に入り

なさぬ仲の家族の中で育った
出生の運命に

無責任な父に対する反抗心が
加わって

冷酷非情なところがあり

覚えの悪い弟子に
何度も稽古を繰り返し

相手によっては
残忍露骨な金銭欲を絡ませるが

この間の所作が巧みで
決して卑しさを見せない〉

♬~

♬~

(襖の開く音)
(梅村)嬢さん。

(襖の閉まる音)
若さん 遅い…。

発表会が終わって
間なしでっしゃろ。

衣装の仕込み代

地方や裏方への勘定の後始末が
忙しゅうて…。

それに この頃

内弟子たちが
嬢さんとの事 噂してて…。

稽古 放ったらかしにして
出てくるわけにもいきまへんねん。

へえ~。 内弟子さんに
私との事が知れると

具合の悪いお人でも
いますのんか?

何 言うてんねん
内弟子なんかと…。

嬢さん ここへ来て座って。

へえ…。

ちょっと 500万ほど
回してもらえまへんか?

えっ?

急に 入り用ができましたんや。

なんとか 一両日中に
お願いしますわ。

心配でっか?

僕が これを手始めに
財産 巻き上げるのやないかと。

あんさんの婿になるならともかく

そんな無心はしませんよって
安心して。

若は 私の婿になるつもりは
ちょっとも なかったん?

フッ…。

婿になって そろばんでも
はじかせたいんでっか?

そうやのうても…。

嬢さん

僕の資本は 独身やという事です。

そやから 結婚は困りますねん。

♬~

独り身やからこそ

人の嫁はんや お嬢さん方が
寄ってきてくれますねん。

もちろん 稽古にですよ。

嬢さんとは
このままでよろしいやん。

こういう関係で。

♬~

そうなんや…。

若に 婿になってやる言われたら

もう逃げられへんと
覚悟もしてたんや…。

おおきに。 助かりましたわ。

♬~

若さん 助かったお礼は
その500万だけにしてくださいね。

うちの体もあげたんやし…。

♬~

ごめんください。

はーい。

矢島商店の使いの者だす。

2階の座敷の うちの嬢さんに
急用がありまして…。

はい。 ちょっとお待ちください。

あの…
わざわざ 呼んで頂かなくても

私が 上に上がりますさかい。
はい。 こちらどす。

♬~(梅村)「うみは ひろいな
おおきいな」

♬~「つきが」

(汽笛)

失礼します。

(襖の開く音)

お宅から
急用がおありだそうで…。

私でございます。

宇市つぁん!
なんで あんた ここへ?

失礼します。

山の立ち会いが済むまでは

宇市つぁんとは
仕分けの話はしませんさかい。

ああ それは結構でございますが

そん時は
嬢さん お一人でお願いします。

いや… 今 ご一緒の

踊りのお師匠さんと一緒では
困ります。

ああ… お人がお悪い。

お二人で
鷲家の山に行かはったのに

馬で足をくじいたやなんて。

吉野の宿で ひと晩
そのお師匠さんに

介抱しておもらいに
なったんですやろ。

それだけやおまへん。

不動産屋に
家屋を安う見積もらせた事も

存じています。
ええ加減な事を…!

いや ええ加減やおまへん。

探偵事務所に
しっかり調べさしましたさかい。

探偵事務所…!?

嬢さんが色仕掛けで

財産分けに有利な工作を
しはったなんて

いやあ 世間にも 身内にも

そんな事
申し上げる事できません。

色仕掛け? 私が?

山は 私の書き上げたとおり
認めて頂きます。

有利な山は
嬢さんに仕分けしてあります。

その代わりに 目録には出てない
立木の伐採権

これは 私と嬢さんの共同名義で

その収入は半々
という事にしてもらえますか?

あんた…
ようも そんな後ろ暗い事を…!

いやあ… もう これで

相続分配は
終わりにしてください。

(ため息)

もう…! 好きなように
してくれはったらええわ!

せやさかい 若の事は
どうぞ誰にも言わんとって。

ええ。
それは もう あの… はい。

誓って 言いません。

おおきに
ありがとうございました。

長うおますな お便所…

若さん。
えっ?

あんた まさか

今の話を
若の前でするつもりやったん!?

はい。

いかがなもんでございまっしゃろ。

山は 嬢さんにお譲り願うて…。

うち 山が欲しいんや。

姉さんや こいさんは
分配金を低う見積もってるだけで

うちのほうが少ないに
決まってるし。

その上 山まで…。
そんなん よう応じられへんわ。

中ぁんさんは
特定相続分で一番有利な

暖簾営業権を相続しはるわけで
ございますからね。

いやあ いくらか譲ってあげんと

この先 いつになっても
事が決まりまへん。

宇市つぁんは
簡単に 譲れ言うけど

うちは 100万はおろか
たとえ1円でも

姉さんや こいさんより
少なかったり

譲ったりするのは嫌なんです!

ああ…。

良吉さんは 親族会で

純益3分と
発表しはりましたけども

実際の純益は 5分でおます。

なんで 2分も
純益率を割り引いたんだす?

宇市つぁんに教わったとおりだす。
(宇市)えっ?

(良吉)始末の始まりと終わりとで
帳尻を合わせ…。

つまり
商いの目減りを見込んで…。

商いの目減り?
えっ それ なんでおます?

はっ?
ん?

(宇市)そんな
持って回った言い方せんでも

私に
それらしい事実があるんなら

はっきりした証拠を突きつけて
言うてください!

ああ いや…

別に 宇市つぁんを指して
どうこう言うてるわけや…。

目減りの例として…。

そうでっか…。

良吉さんが ここを根城に
4階建てのビルをおっ立てて

新会社を起こす
というような事をですな…。

そんな事 誰が…!?

フフッ… いやいやいや…
聞いておりますで。

ええ…。

矢島商店を有名無実にし

ここで上がる純益を

新会社に吸い上げるシステムを
考え中やと。

わてな 耳は遠なっても
地獄耳ですねん。

ええ加減な事 言わんといて!

まあ… この事は

嬢さんや こいさん方には
この先も申し上げません。

一つ ここは

この辺で ご相続
ご承知頂きます事をお願いします。

そんなら…。

(せき)

大番頭の 綿布工場からの
リベートや横流し

それは どないなるんだす?

ハハハハハ…!

半分 店に
納めさしてもらいますわ。

(金正六郎)はあ…。

ほんなら 今日は…。

せっかく
お店 予約してくれはったのに…。

ええよ ええよ。
今度 行ったら よろしいやん。

六郎さんって ええ人やね。

う~ん… さあ どうですやろ?

あの人が うちの大番頭。

今度の遺産相続の
遺言執行人ですねん。

ハハハハ…!
嫌やわ。

何がおかしいの?
急に笑い出したりして。

いやいや 「大番頭」に
「遺言執行人」ですか?

そんな言葉が 雛子さんみたいな
若い人がいてはる家で

今も 日常的に
使われているのかと思うと

なんや おかしくて。

フフフ…!

♬~

(宇市)ご寮人さん

例の雪彗の軸 見つかりましてん。

見つかった!?

神ノ木の…。

あのおなごのとこに?
(宇市)いや 大旦那は

あのおなごに やろうとしたのかも
しれまへんけども

実は 近所の表具屋の
表装直しに出てまして…。

そんで?

(宇市)そんで お話でおますが

あれが 今 出ますと
こいさんの取り分になります。

そんで?

そんで あれをお金に換え

ご寮人さんに差し出すというのは
どないでっしゃろか?

うん…。

なんやて!?

(芳子)けど 宇市つぁん

あんた
ただでは済まさへんのやろ?

口止め料の3分の1を頂きます。

まあ あれは
行方知れずという事で…。

ええっ? ハハハ… そうか。

悪い人やなあ あんた。

(芳子)そろそろでっせ。

あの辺りから
昼の月が 顔 出しまっせ!

(芳子)嬢さん
何 考え込んではりますねん?

ちょっと疲れただけで…。

朝から 苔寺 祇王寺 天龍寺と
欲張って回りすぎましたさかい。

それなら よろしおます。

わてが 急に お月見に誘うて

寺回りまで
組み込みましたさかいな。

ああっ! 出た!

ほら こっち こっち こっち!
こっちや!

ほら あそこ あそこ!

(芳子)ほんまや!

一句 できましたわ。

「上向かぬ 監視カメラや 秋の月」。

♬~

叔母さん 素晴らしいお月見やね。

ほら!
(芳子)ハハハ…。

♬~

(芳子)ほら…。
うちは ええわ。

♬~

(携帯電話の着信音)

はい 雛子です。

あれ? 宇市つぁん。

ちょっと待ってな。

宇市つぁんから。
えっ?

もしもし? 藤代です。

えっ?

もっと大きな声で!

えっ? 神ノ木が子供を!?

(宇市)お達者な ややで…。

この度は
ご安産 おめでとうございます。

おかげさんで…。

安産の上に 男の子でしたので

すぐに 君枝さんに
お電話してもらいました。

それで ご本宅の皆さんへの
お取り次ぎは どないでしたか?

へえ…。 実は 奥内の皆さんは

分家のご寮人さんと一緒に
相続の内祝いで

京都に お月見に行ってはります。

ほんなら おめでとうも
男の子でお手柄やったとも

言うてくれはらへんかったの
ですか…。

京都へ お月見…
ご相続の内祝いに…。

大番頭さん。
あっ… はい。

私 ご相続をお決めになる
親族会の前の日に

ご本宅へ ごあいさつへ
伺わせて頂きたいのですが

4日後でしたかしら?

はあ…
えー ごあいさつだけの事なら

なんとも…。

(赤ん坊の泣き声)

(宇市)あの…
今晩は これで失礼します。

お祝い事の事については

奥内方と また ご相談の上
改めて こちらに…。

お産が済んで ホッとしたのか

住吉さんのいなり寿司を
食べとうなりましてん。

大番頭さんを送りがてら
それを買うてきてくださいな。

へえ…。

(宇市)そういうついでがあるなら
駅まで送ってください。 はい。

おい。 わいと お前の仲
感づいてるんちゃうか?

かまへんやん。

どうせ ややが生まれるまでの
お目付け役ですさかい。

うん…。 なんやろうなあ…。

急に 本宅へ やや産んだ
ごあいさつに伺いたいって。

それは
女の晴れ自慢というもんですわ。

晴れ自慢?

いつも弱ぁて
下目に立たされてる日陰もんは

子供を産んだ時ぐらい

一生に一度の晴れ自慢を
してみたいもんですわ。

ああ…。

大旦那の子かどうか
そないな証拠もなしに

晴れ自慢したかて
なんのかいがあるっちゅうねん。

そこが女心というもんですわ。

DNA鑑定で
裁判沙汰にするもよし

どんどん旦那さんに似てきて
「よっ 五代目!」と呼ばれながら

矢島商店の軒下に居座るもよし。

別に かいがあっても なかっても
「これ 旦那さんの子!」と

晴れ自慢に
本宅に行きたいんですやろ。

はあ~ そんなもんか…。

そうやとして… いや…

親族会前日に それって
どういう意味があるんや?

それも女心ですわ。

旦那さんの子として
認められてもないのに

ご親戚一同 集まる席へ
出るわけにはいかん。

せやから 前日っちゅう事に…。

はあ~ なるほど…。

何もかも 女心というわけか…。

奥さん 明日 住吉区役所に
この子の出生届を提出し

至急で 私の本籍地の
丹波の町役場に

回送してもらいたいんです。

ええっ!?

ほんで 丹波にまで足を運んで頂き
この子の認知を確かめた上で

新しくできた戸籍謄本を
もろうてきてほしいんですわ。

この子の認知を…
誰がしはったんです?

旦那さんです。

まさか…。

嘉蔵さんは
私の妊娠を知って 今年の2月

私の本籍地の丹波に

この子の認知手続きを
出してくれてたんです。

(出目金)そんな…
半年も前に死なはった人が

それも おなかの子が
生まれてもきてへんのに

自分の子やて
認知しておくなんて

そんな事 ほんまにできますんか?

できます!

それを証明するためにも

奥さんのお力を
お借りしたいんです。

奥さん 身寄りのない私は

奥さんの他に
おすがりする方がいないんです。

改めてのごあいさつは
いかようにも考えます。

どうか 私たちをお助けください!

うちが引き受けへんかったら
あの女狐が丹波に行くんでんな?

そんな事になったら
あの狸じじいと 連絡 取り合うて

どんなけったいな事に
なるやもしれへん。

フフッ…。

こんな事になってるとは
つゆ知らず

あの2人は どこぞの暗がりで

年がいものう
イチャイチャしてまんにゃろ。

不遇結構 無理解よし。

天から授かった あんたの命は
うちが守りまっせ!

魂は宙を飛ぶ言いますさかいな。

ほな… はい。

文乃さんの本籍地の住所は?

おおきに… おおきに…。

助かります…。

♬~
(高畑)頭痛い…
《バファリン 効いてくれるよね》

《でも 眠くなると困るな…》

(姪)おねーちゃん?
<バファリンAは

眠くなる成分が 無配合なんです>

いたみは止める わたしを止めない
♬~《ぴんぽん》

♬~ (男性)イタタ…
(大泉)胃痛にはスクラート いいですか?

二つだけ覚えてください
①胃痛には痛みのもとがある

②そこを直接修復できる

<直接貼り付いて効くんですから>

胃痛に効きそうでしょ?
♬~直接効くのはスクラート
覚えた?

奥さん。 ややさんに
お乳をあげるお時間ですけど

お出かけ前ですし どないします?

ほんなら ちょっとだけ。

ちょっと待ってな~。

おなかすいた~。

♬~

(車のブレーキ音)

♬~

待っててな。

♬~

道が混んでて
こない遅なってしもて…。

さあさあ 乗って 乗って。

中身は大丈夫や。

封は自分で開けんと
本宅の人に開けさせるんでっせ。

慌てたらあきまへん。

ゆっくり 大きいに構える事だす。

♬~

さあ 急がんと。

おおきに。
うん。

♬~

(出目金)バンザーイ!

バンザーイ!

♬~

(政子)神ノ木から お人が…。

お通しやす。

♬~

私のほうから
ご無理を言いながら

20分も遅れてしまって
申し訳ありまへん。

出しなに
ちょっと めまいがしまして…。

この15日 男の子を
無事に出産させて頂きました。

そのご報告方々
ごあいさつに上がりました。

それは おめでとうさん。

それで あんたのややは

付き添いにでも抱かせて
玄関で待たせてはるんか?

いいえ。

まだ 首が据わっておりませんので
私だけが。

ちゃんと首据わりを致しましたら
改めて。

そこまでしてもらわんかて
結構だす。

あんたが
無事に ややを産まはった事と

矢島家の私たちと
なんの関係がありますの?

生まれた子が旦那さんのお子で

名前も
旦那さんのお言いつけどおりに

嘉夫とさせて頂きました。

そのご報告もと…。

今は なんでも
法律で片付ける世の中だす。

法律的証拠でもない限り
父の子にはなりません。

その法律的証拠を

今日なら
ちゃんと お見せできます。

法律的証拠を?

そんなアホな!

本当です。

ここに 息子の認知届と
戸籍謄本が入っています。

法律的に有効なのかどうか
どうぞ皆さんでお改めください。

(せき払い)

大旦那さんが 亡くなる前に
出さはった認知届でおます。

認知届…!?

ちょっ…。

「認知する父 矢島嘉蔵」

「認知される子 胎児」

「子の母 浜田文乃」…。

♬~

「届出人 父」

「平成26年2月12日届出」…。

おなかの中の胎児が
認知されるやなんて…。

そんな事ありますの…?

(宇市)
戸籍謄本が同封されております。

(宇市のせき払い)

「名 嘉夫 父 矢島嘉蔵

母 浜田文乃 続柄 長男」

「出生日 平成26年9月15日

届出日 16日 届出人 母」

「送付を受けた日 19日
受理者 大阪市住吉区」

「父 矢島嘉蔵 母 浜田文乃
長男 嘉夫」と

明記されております。

ええ 入籍の日時は…。

(宇市)「9月19日」…。

今日や!
今日…。

今日や!
今日…。

(宇市)あ… あの その…

さっきの認知は
胎児の時に有効にされてます。

文乃さんが産まはった男の子と
故 矢島嘉蔵は

親子であると認めななりまへん。

(ため息)

あんた いつの間に
そんな手続きしてはったん?

私がしたのではありません。

ご存命中の旦那さんが ご自身で
私の本籍地へ郵送されたもので

私は ただ
「母 浜田文乃」のところに

判を押しただけです。

(ため息)

認知届の事を
申し上げなかったのは

「子供が生まれるまでは

誰に何を聞かれても
認知届の事は話すな」

「子供が生まれたら
すぐに出生届を出して

預けてある認知届の写しと
戸籍謄本を持って

本宅あいさつへ行け」と
何度も何度も

繰り返し 旦那さんが
おっしゃっていましたので

そのお言葉どおりに
させてもらっただけです。

認知届の事を早うに知られたら

うちらに
妙な事をされるかもしれへんと

一切 極秘に運ばはった
というわけやな。

そりゃ
羽織で おなかも隠しますわなあ。

♬~

(千寿のため息)
(千寿)なんでやろ?

こんなに手の込んだ事してまで

矢島家に
ややを認知させたかったんは。

(雛子)ほんまよ。

こんな えげつないやり方で…
恐ろしいお父さん。

恐ろしいお父さんやなんて…。

お父さんが
嬢さん方のためにならない事を

するはずがありません。

あんなにお優しい
お父さんの事を…

もったいない事です。

いつも 矢島の血筋の女たちに
囲まれてた父は

世間とは ちょっと違う考え方を

持つようになったんかもしれへん。

あんたに心配されるような事でも
ないけど。

そのようですね。

(千寿)宇市つぁん。

その子の相続分は
うちらと均等という事ですか?

法律上は そうなってます。

ほんなら それは どのくらいの
勘定になるんですか?

ちょっと待っておくれやっしゃ。

ざっとでおますが…
ちょっと待っとくれやす。

合わせて約53億円ほどを
総額としますと

13億2500万円ほどという事に
なりますけど…。

(千寿)13億2500万…!?
(宇市)ええ。

(芳子)宇市つぁん!

あんた よう平気で そんな事

ぺらぺら ぺらぺら
しゃべれますな!

妾腹の子が
いきなり 13億2500万でっせ!

宇市つぁん あんたの懐は
なんも損得がないさかい

平気で 妾腹の子の相続の勘定が
できるんやろうけど

こんな化け物みたいな
たった一枚の書き付けで

13億もの財産を減らされて
どんなに悔しい事か!

(芳子)本妻腹の この子たちは
もちろん

うちかてそうや!

宇市つぁん!

あんた まさか
文乃さんの認知届の事

グルになってるんやないかいな!

(宇市)くっ…。

(眼鏡を投げつける音)

文乃さんと本宅との間を
いろいろ取り持って

いよいよ 明日
最終的な親族会が開かれる。

そのために
私が どれだけの段取りをして

こぎつけたか!

それを なんで
今さら 文乃さんとグルやなんて。

誰よりも どんだけ わいのほうが
文乃さんに言いたい事があるか!

(紙を払いのける音)

文乃さん
あんたという人は…。

(宇市)あないに 私が何度も
あんたの家に足を運んだのに

そん時は
なんも ひと言も言わず

なんで 今になって
全て ひっくり返すなんて…。

これでは わいの立つ瀬が
おまへんやないか!

宇市つぁん!

泣きっ面に蜂みたいな事 言うても
手遅れや。

文乃さん。

もし 私らが 非嫡出子の相続を
頑としてお断りしたら

どないしはるおつもりです?

私の仕分け分はともかく

こうして 旦那さんに

胎児認知の手続きまで
してもらった 子供の相続は

法律で定められたとおりに
お運び頂きます。

そうして頂けない場合は
この認知届と戸籍謄本を盾に

旦那さんのためにも
裁判所に持ち込んでと思うてます。

実は もう一通

お預かり致していますものが
ございます。

もう一通…? また…。

はい。

子供の認知についての
書置状です。

(ため息)

書置状まであったん。

(宇市)その封書を
遺言執行人のわてが…。

♬~

(宇市)「追記」

「一つ 私 矢島嘉蔵は
次のことを新たに申し添える」

「平成二十六年十月出産予定の
浜田文乃の胎児は

万に一つも間違いのない
私の子供に相違なく

無事 出生の暁には
法の定めるところにより

嫡出子と均等の財産を
相続すること」

「男児出産の場合は
成年に達するを待って

矢島家の暖簾を
千寿夫婦と共に継ぎ

共同経営をすべし」

「浜田文乃の出産予定の胎児が
死産したる場合は

文乃への仕分けとして

金一億円と

現在の住んでいる家 一戸を
さしつかわすこと」

なんというざまや!

おなごの死産の事まで
こまごまと書き並べて!

(宇市)「一つ 相続人各位

遺産相続のあとは
長女 藤代は別居して

一戸を構え
自分の道を見つけること」

「未婚の雛子は
相続分を持参金とし

他家へ嫁くべし」

「当家または分家へ
入り婿を迎え

この上
さらに女系を重ねることは

矢島家と雛子自身のために
固く戒め申し候」

(芳子)雛ちゃん!

(宇市)「一つ

万が一 私の認めおきし
別紙の財産目録と

大番頭・大野宇市の手による

ざ… 財産目録… が…」

(宇市)「財産目録が…」

へっ… あ… た… た…。

どないしたん?

ううーっ…!

ううーっ…!

(良吉)はあーっ!
やあーっ! はあっ! やあ!

ひっ ひっ ひっ ひっ
ひっ ひっ ひっ…!

(良吉)ああーっ!
あっ あっ あっ…。

(良吉の荒い息)

(良吉)「財産目録と

大番頭・大野宇市の手による
財産目録が相違ある場合は

宇市の不正なり」

(良吉)「さりながら
本人の長年の勤続と世間体を考え

訴訟沙汰にはせずに
横領分を返却させ

退職金二千万円を渡して
勝手払いにすべし」

(良吉)「一つ 新たに
遺言状の保管並びに執行は

大番頭・大野宇市に代わって

婿・矢島良吉を指名

遺言状の執行は 良吉と相談の上
ことを運ばれたし」

(投げキスの音)

財産目録に
山の樹齢まで書いてはりますわ。

♬~

これから先は
お身内の事でございます。

私が長居をしては
かえってお邪魔でございましょう。

これで失礼させて頂きます。

先ほど ご認知頂きました
子供の事につきましては

何とぞ
よろしゅうお願い申し上げます。

♬~

♬~

(良吉)ないない言うてた
雪彗のお軸が

ちゃんと
この目録には載ってます。

「野田の骨董屋に修理に出す」って
書かれてますわ。

ほんなら 雪彗のお軸まで
あんたが着服してたんか!

お茶でも もうてきまっさ。

叔母さん。

(雛子)大丈夫?

(芳子)大丈夫 大丈夫や。

あれは 正真正銘 本物か 偽物か
鑑定するために…。

もうええわ!

もう ええですわ。

「男児出産の場合は
成年に達するを待って

矢島家の暖簾を
千寿夫婦と共に継ぎ

共同経営をすべし」

「一つ 相続人各位

遺産相続のあとは
長女 藤代は別居して

一戸を構え
自分の道を見つけること」

「この上
さらに女系を重ねることは

固く戒め申し候」…。

♬~

遺産もろたら

うち 六郎さんと
世界一周でもしてくるわ。

ええ気分転換になるやろから。

(千寿)
お母さん 威張ってはったけど

お父さんとは
ちっとも幸せそうやのうて

寂しそうやった…。

(千寿)うちら これから
どないしたらええんや?

千寿ちゃんには

良吉さんいう
しっかりした人がおるやないの。

2人で時代に合うたお店を
やったらええやんか。

姉さんは? どうしやはるの?

この家 出て行きまっさ。

家柄や長女や言うたかて

いざとなったら
なんの力にもならへん。

一人で生きていく事が
一番強いって

お父さんに教わったような
気ぃするわ。

♬~

「長女 藤代は別居して
一戸を構え…」。

「この上
さらに女系を重ねることは

固く戒め申し候」…。

♬~

や…。