【土曜ドラマ】風の向こうへ駆け抜けろ(後編)[解][字]…のネタバレ解析まとめ

出典:EPGの番組情報

【土曜ドラマ】風の向こうへ駆け抜けろ(後編)[解][字]

緑川厩舎が窮地に立つ。諦めない瑞穂(平手友梨奈)の姿勢に心を動かされた光司(中村蒼)は、成績次第では地方の所属馬でも挑むことができる桜花賞に狙いを定め挑む!

番組内容
緑川厩(きゅう)舎が窮地に立つ。諦めない瑞穂(平手友梨奈)の姿勢に心を動かされた光司(中村蒼)も一念発起し新たな馬を探すことに。そうして見つけたのは虐待され傷付いた馬・フィッシュアイズだった。光司と瑞穂の熱い情熱によって厩務員たちも一丸となり、フィッシュアイズの再生に取り組む。彼らは人馬一体となり成績次第では地方の所属馬でも挑戦することができる中央競馬会のクラシックレース・桜花賞に狙いを定め挑む!
出演者
【出演】平手友梨奈,中村蒼,板垣李光人,小沢仁志,大地康雄,石井正則,降谷建志,奥野壮,高橋侃,玉置玲央,新津ちせ,剛力彩芽,池内博之,玉山鉄二,奥田瑛二
原作・脚本
【原作】古内一絵,【脚本】大森寿美男
音楽
【音楽】中島ノブユキ

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

テキストマイニング結果

ワードクラウド

キーワード出現数ベスト20

  1. フィッシュアイズ
  2. 実況
  3. フィッシュ
  4. お前
  5. 芦原瑞穂
  6. 中央
  7. 瑞穂
  8. 池田
  9. 大丈夫
  10. テキ
  11. 山名
  12. 騎手
  13. レース
  14. 回想
  15. 先頭
  16. 彼女
  17. コマンダーボス
  18. 自分
  19. 徳永
  20. アン

解析用ソース(見逃した方はネタバレ注意)

   ごあんない

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(瑞穂)<私は たった一人の女子として
競馬学校を卒業し

中央競馬の騎手になった。

しかし 1勝もできず

なんと 地方競馬に
移籍することになってしまった。

やって来た鈴田競馬場の緑川厩舎には
変な人しかいなかった。

そんな時 私たちは
ある 一頭の馬に出会った>

(いななき)

(いななき)
(山田)おお おお…。

危ね 危ねっ。

おいおい… トク!

(徳永)オーケー。
クソ馬…。

鼻ねじか?

何だよ! 口で言っても分からねえから
しかたねえだろ!

アンちゃんが
口で ものが言えねえからだろうが!

どけ!
(いななき)

(光司)やめろ ゲンさん。

(山田)アンちゃんには何もしねえよ。

鼻ねじが駄目だったら
一体どうすりゃいいんだよ。

(いななき)

(山田)「好きにさせる」だ?

いいか アンちゃん。
競走馬ってのは ペットじゃないんだ。

しつける時に
きっちり しつけしとかねえと

あとで大変なんだ。

(蟹江)ゲンさん この馬は
まだ しつけができるまではいかん。

分かったよ 誠。

この馬は ひどく怖がってるんだな。

(山田)テキ。
(いななき)

(徳永)そんな のんびりしとって
ええんですか?

焦っても駄目だ。

あの馬 前の厩舎で
虐待を受けていたみたいなんだ。

(いななき)

誠と同じだ。

<私は本当に あの馬に乗れるのだろうか>

♬~

馬主の山名隆一郎さんだ。

(瑞穂)ご無沙汰しております。

(山名)覚えててくれた?

はい。

山名さんは
山名自動車の山名さんだ。

えっ ヤマナの!

いや~ 君のお父さんには
本当に お世話になった。

シーギリアの馬主さんだったんですね。
うん。

緑川先生が 初めてGⅠを制した時の。
フフフッ…。

その馬を 父の養老牧場に
預けてくださったんですね。

シーギリアを育ててくれたのも
君のお父さんなんだよ。

自動車会社の人間が馬主なんて
悪趣味だと言う人もいたけど

自動車のご先祖 原点は馬だからね。

生産牧場で働いていた君のお父さんからは
いろんなことを教わった。

特に 馬を道具と思ってはいけない。

馬は人間と一緒に生きるパートナー。

車も 全く同じだと
考えられるようになった。

ヤマナを継いで悩んでる時に

君のお父さんが答えをくれたんだよ。

ありがとうございます。

きっと…
その言葉に父も救われると思います。

あの馬は 大丈夫ですか?

ちゃんと あなたのパートナーとして
走れますか?

大丈夫ですよ。 なっ。

えっ…。

お願いしますよ。

はい。

あの馬の名前は どうしましょう?

名前か…。

「魚の目」と書いて
「魚目」って言うんだったね。

はい。

おい この馬の名前が決まったぞ。

(徳永)おっしゃ!

魚目の馬だから…。

フィッシュアイズだ。
(徳永)そのまんまかいな!

フィッシュアイズの担当はもちろん…
誠だ。

誠 ここはもういいから
行ってこい。

何ですか?

ちょっとな。

テキ。
どうした カニ爺。

わしは そろそろ辞めさせてもらいます。

あとは もう若いやつらに任せる。

そろそろ休ませてもらうよ。

カニ爺。
お金のことなら心配いらない。

それより 誠にも瑞穂にも
カニ爺が必要なんだ。

もちろん 俺にも。

ボン…。

ボンは変わりましたな。
あの女の乗り役が来て。

最初は いやいやだったでしょうに。

瑞穂 何してる? 暇なら手伝え。

(戸が閉まる音)

そこの野菜 洗ってくれ。

はい…。

最初は いやいやだったんですか?

は?

もしかして 山名さんが私を…。

違うよ。
俺は鈴田に頼まれただけだ。

まさか シーギリアで 山名さんと
つながってるとは思わなかった。

何だ。 ただの客寄せだったんですか。

それが嫌なら
お前自身が変わるしかないんだ。

ここに来た 誠のように。

まだ 声を出せない?

焦ることはないけど

牧場で働くのに
不便は感じてないってことかな?

(医師)あ… そっか。 厩舎。

食事や睡眠は ちゃんととれてる?

心療内科?

社会福祉士に 毎月診断の結果を
報告しなければならない。

どうしてですか?

まだ観察下にあるからな。

中学生の時 傷害事件を起こしたんだ。

あいつは 子供の頃
いろんな男から暴力を受けていたらしい。

その日は 新しく父親になった男が
母親に暴力を振るってた。

回想
(女性)ごめん…。

それを見た あいつは
カッターで切りつけた。

回想 ああ~っ!

だけど 母親がそれを見て
逆上して 逆に誠に暴力を振るったんだ。

それからあいつは 声が出せなくなった。

それからは施設で育って

社会福祉士に
ホースセラピーを勧められたらしい。

馬は… フィッシュアイズは
木崎さん自身でもあるんですね。

そう簡単に割り切れないよ。

人も馬も。

はい…。

テキ… お前 偉そうに 料理するって
焼いてるだけじゃねえか。

いやいや ほら 野菜切ったろう。

それ 普通だって。
ヘッ。

いい野菜ですよね これ。

その野菜は 全部タダやで。
えっ?

近くの農家にな
新鮮な馬ふんの堆肥配って

代わりに
新鮮な野菜をもらってくるんや。

俺が行くと ようおまけしてくれる。

まっ 俺の人間力やな。
あ~…。

トクちゃんは 厩務員じゃなかったら
きっと仕事ができる人ですよね。

おう それ よう言われんのや。
やっぱり?

アンちゃん アンちゃん! こっち。

おう 誠 おかえり。

待ってたぞ。 今日の昼飯
俺が腕振るったからな。

いや 野菜切っただけですけど。

まあ 待て 誠。

まずは 乾杯だけしてけ。

フィッシュアイズの歓迎会だ。

それと 遅くなったが
芦原瑞穂の。

正直 この緑川厩舎は
今 非常にまずい。

でも まだ勝機はあると思ってる。

それには
芦原瑞穂とフィッシュアイズを

なんとかして
ものにしなければならない。

まずは フィッシュアイズを
まともな競走馬に仕上げる。

それも
今月末の能力試験に間に合わせる。

はい。

俺も そろそろ

本気で競馬をやろうと思ってる。

ほな 今までは何やったんです?

ちゃかすな!

芦原瑞穂を勝たせる。

みんな よろしく頼む。

はい。

うい。
(徳永)はい。

よし。
しゃあ…。

乾杯!
(一同)乾杯!

(大泉)こっちにいたんですか。

随分くつろいでますね。

大泉さん 槙山さん
あんたらも食ってけよ。

ベルフォンティーヌが壊れたらしいです。

えっ?

月柴さんが
中央に転厩させたんですが

坂路の調教中に 突然
後ろ脚を骨折したらしく…。

結局 殺処分が決まったと。

やっぱり あの馬 故障してたのか。

アンちゃんの見立ては 正しかったんじゃ。

獣医さえも分からへんかったのに…。

木崎さん…。

誠… これも競馬だ。

ベルフォンティーヌの分も 必ず勝とう。

俺たちのやり方で。

馬なりだ。
フィッシュアイズの思うままに走らせろ。

燕麦を蒸した 特製の飼い葉だ。

これなら食欲が出るだろう。

なっ?
(笑い声)

うっ あっ…。

♬~

お願い 私に任せて…。

大丈夫だよ フィッシュ…。

私は味方だからね…。

よし…。

ありがとう。

…で 今日は?

そのまま 馬なり調教を続けろ。

分かりました。

♬~

<そして 能力試験の日がやって来た>

(池田)ほかの馬 怖がってるよ
瑞穂ちゃん。

(いななき)
すいません。

その馬 中央で早々に
使えなくなったやつなんだって?

まあ 頑張って。 ほかの馬に
迷惑になんないように走ってね。

[ 回想 ] 何もするな。 能試も馬なりでいい。

だけど それじゃパスしません。
この馬は まだ何も知らないんです。

競走することも まだ知りません。

パスしなければ
それまでの馬だってことだ。

<そんな… 何もするなって…>

<結果は4着。

能力試験をパスするには
申し分のないタイムだった>

私は 何もできませんでした。

それであのタイムなら上出来だ。

だけど それじゃ 一生勝てません!

問題は 馬じゃないんです。

私なんです。

先生は 諦めてるんじゃありませんか?

何を?

私には見込みがないと…。

馬の力だけで
勝とうとしてるんですか?

そんなの無理です!

馬の力だけで勝つなんて
ありえません!

私を信じてないんですか?

お前は この馬を信じてるのか?

信じてます。
この馬は もっと速く走れます。

本当は…

もっと速く
走りたがってるはずなんです。

それなのに

それなのに 走れと命じない私に
不満を持っています。

乗ってて それを感じるんです!
先生!

それでいいんだ。
えっ?

そう思えたのは フィッシュアイズが
お前に安心したからだろう。

そうだよな? 誠。

♬~

馬に 私を信じさせたんですか?

私も…?

お前が 無意識に
馬を怖がっていたのは

自分の力に
馬があらがうと思っていたからだ。

自分の力じゃなくて
馬の力を信じろ。

信じきろ。

それが お前に欠けていたものだ。

人馬一体になるためですか?

お前には 馬を操る技術はある。

あとは お前が馬に操られるだけだ。

私が… 馬に…。

いや~
これだから面白いよね 競馬は。

馬と騎手が 一緒に強くならなければ
勝てない。

よいしょ。
大丈夫ですか?

大丈夫だ。
調教ぐらいできる。

今日から このツバキオトメと一緒に走る。

併せ馬ですか…。

フィッシュに 併せ馬だった頃の
嫌な記憶が戻らなければいいですが…。

馬は もともと集団で生活するものだ。

群れには 必ずリーダーがいて
群れ全体に影響を与える。

フィッシュアイズは まだ2歳の子供だ。

オトメが フィッシュアイズの
馬としての本能を呼び覚ましてくれる。

頼むぞ オトメ。

よし 俺についてこい。

分かりました。

よし 行くぞ。

<速い…! 18歳のツバキオトメに
あんな力が…。

先生の力だ。
足が悪いのに崩れがない>

どうやら テキの本能も
呼び覚まされたようだな。

いいか ツバキオトメより
フィッシュアイズの方が力は上だ。

もし フィッシュアイズが
もっと走りたいと感じた時には

お前がそうしてやれ。

その力を解き放て。

その時 鞭は命令じゃなく
正確な合図になるんだ。

(鞭を打つ音)

(実況)スタートしました。
今日がデビュー戦のフィッシュアイズ。

好スタートを切りました。
そのまま先頭に立とうとしております。

フィッシュアイズ 軽やかな走り。

先頭に立って これから
1コーナーに入っていきます。

さあ 直線を向いて
先頭はフィッシュアイズ。

フィッシュアイズが先頭だ。
さあ 差が開く 差が開く。

外から鞭がとんだ。
(鞭を打つ音)

(実況)なんという末脚だ。 2馬身 3馬身
どんどん差が広がっていく。

フィッシュアイズ
5馬身差をつけて 今 ゴールイン!

<そこから
フィッシュアイズの快進撃が始まった>

(実況)芦原瑞穂 待望の初勝利です。

(実況)フィッシュアイズ 今日は
中団からの競馬となっております。

さあ 直線を向いて
先頭は 外からフィッシュアイズ。

フィッシュアイズが先頭だ。
フィッシュアイズ フィッシュアイズ。

芦原瑞穂が また勝ちました。

(実況)そのフィッシュアイズだ フィッシュアイズが
外から ぐんぐん伸びてくる。

先頭は リーディングジョッキー 池田と
ポアソンボス。

しかし フィッシュアイズ
差し切りました!

差し切りました。
見事に バラの騎士 芦原瑞穂が

リーディングジョッキー 池田鞍上の
ポワソンボスを差し切っています。

バラの騎士 芦原瑞穂 またやりました。
7連勝です。

リーディングジョッキーの池田 満
このレースで敗れております。

<フィッシュアイズは
ツバキオトメに導かれ

私は 緑川先生の背中をひたすら追った>

瑞穂。

えっ?
決まったぞ。

次のレースは 中央だ。

中央競馬の特別指定交流競走への出場が
決まったんだ。

フィッシュアイズが中央へ…?

そうだ。
お前が遠征に行くんだ。

私が 中央へ…。

(池田)いや ちょっと待ってくれ!

池田さん…。
(月柴)お邪魔しますよ。

月柴さん…。

それは ちょっとないんじゃないですか?

何が?

なぜ 彼女が中央に行くんですか?

彼女は勝った。
君は認定戦で負けたんだ。

それは馬の実力だ。
彼女の実力じゃない。

そう。 光司君
君は たまたま いい馬を手に入れた。

そのラッキーは認めよう。

でもね 鈴田競馬場の功労者を
忘れちゃいけないよ。

功労者?

フィッシュアイズが
鈴田競馬場の代表なら

それに乗る騎手の代表は 当然

リーディングジョッキーの池田君をおいて
ほかに いないんじゃないのか?

騎手を決めるのは馬主ですよ。

だったら 俺を推挙してくれ!

俺が乗れば あの馬はもっと勝つんだ。

いや それはない。

ふざけるな!
何でそんなことが言える。

(山田)テキ。

どうかしたか?

いや 何でもない。

その女は 1勝もできなかったんだぞ。

中央でも ここでもだ。

それが あの馬に乗っただけで
何で勝てるんだよ?

それだけ あの馬が強いってことだ。

こいつは 女ってだけで
なぜ あの馬に乗れるんだ。

騎乗手当 5, 000円しか出ないような
地方競馬

必死で頑張ってる。

俺には チャンスも与えないのか。

あの馬は 彼女だから勝ったんだ。

バカなこと言うな!

君は 彼女と寝たのか? 光司君。

おい もういっぺん言ってみろよ。

うちの乗り役をコケにされて
黙ってねえぞ この野郎!

相手にせんことや!

だって そうとしか思えないだろう。

緑川先生に謝ってください。

私は あなたのような偏見には
これからも絶対に勝ちます。

暴力でか。

もう ええ加減にしてくださいよ
月柴さん。

どんだけ俺らを苦しめたら
気ぃ済むんです?

その関西弁も
どうにかなりまへんか~!

は?
君は 関西人じゃないって話もあるけどね。

どこぞの競馬場で借金を踏み倒して
逃げ隠れしてるうちに

この厩舎に流れ着いたって話じゃないか。

光司君にかくまってもらってるのか?
ん?

この野郎…。

んな落ちぶれちゃいねえよ!
やめろ!

月柴さん。
それに ここにはヤクザだっている。 ねえ。

犯罪者が 中央に遠征する馬の世話をして
いいのかね?

俺は あの馬の世話してねえよ。

今の世の中
世間は そう思うかな?

月柴さん 好きにしてください。

けど 俺たちは脅しには屈しませんよ。

突っ張っても
マスコミの怖さは

あんたが 一番
よく分かってるはずじゃないか。

今度は 彼女を潰す気か?

それは誰のせいじゃ。
お前のせいじゃろうが!

カニ爺! もういいから。

池田さん
あんたも騎手なら分かるはずだ。

勝ったのは 芦原瑞穂の実力だって。

あんたほどの人が
分からないはずがない。

おい。

やりたきゃ やってみろよ。
ああ?

まあ せいぜい…
気をつけてください。

(山田)テキ…。

大丈夫だ。 気にするな。

ゲンさん ここにいたんですか。

って また飲んでるんですか。

ほっとけ お前。

まさか 辞めるなんて
考えてるんじゃないですよね。

元はと言えば 私があの人を
投げ飛ばしたせいなんですから。

ゲンさんのせいじゃありません。

俺な 競馬のノミ屋やってたんだ。

ノミ屋?

ああ。

小さな傷害事件なんて
昔は しょっちゅう起こしてた。

そういう ヤクザまがいの
暮らしをしてたのは 事実だ。

テキとはな 飲み屋で出会ったんだ。

先生も ノミ屋をしてたんですか?

そこはな 普通の飲み屋だ。

ああ…。

フッ 俺は競馬が好きでなあ…。

緑川光司と知り合えたのは
うれしかった。

人を差別しない 本当にいいやつでな。

こんな俺の馬好きを買って

テキは 俺をここまで
引っ張ってきてくれた。

だったら これからも
ここで戦いましょうよ。

先生と 一緒に。

私も 絶対負けませんから。

本当 変わった嬢ちゃんだな。

変わり者の父に育てられましたから。

私は 父に代わって
見返してやりたいんです。

木崎さんだって 頑張ってるんですから。

アンちゃんには
俺なんか いない方がいいんだ。

どうしてですか?

俺にも 取り返しのつかない
暴力っていうのがあって…。

そういう罪は
においになって消えないんだろ…。

だから あいつを苦しめてた男たちと

同類だと思われてんだ。

♬~

おい みんな!
仕事が終わったら集まってくれ。

これから 俺のプランを発表する。

プラン?

まずは 今度の特別指定交流競走で勝つ。

そんな簡単に…。

次は 地方競馬の地区代表馬になる。

(徳永)地区代表馬?

まさか…。

そう そのまさかだ。

俺たちは フィッシュアイズで
中央のGⅠを目指す。

GⅠ!?

そのためには 瑞穂
最低でも30勝はしておけ。

30勝…。

GⅠに出る騎手は それが条件なんだよ。

大丈夫だ。 今のお前は 他厩舎からも
騎乗依頼が来ている。

騎乗回数が増えさえすれば
今のお前なら 30勝は可能な数字だ。

フィッシュアイズで落馬慣れして
一気に才能が花開いたか? ハハハッ…。

それを証明してみせろ。
はい。

はい!

俺もなあ ほんまに
関西人やっちゅうとこ見せたる!

そこ 関係ねえだろ。 座れよ。

私が女だというのも
関係ないことを証明します。

しかし 体力で劣る女の騎手には

馬の負担重量が マイナス1キロという
減量特典がある。

その特権だけは生かさないとな。

はい。 これからは
ちゃんとそれも 味方にします。

それで もし… もし GⅠを目指すなら

目標は 来年の春にしたいと思います。

(蟹江)来年の春?

その時 フィッシュアイズは
3歳の牝馬になります。

ってえ…。

おい… お前 まさか…!

どうやら 俺と同じ考えのようだな。

同じことって… 2人とも
何ちゅう夢 見てるんや。

フィッシュアイズなら
夢じゃありません。

桜花賞 狙えます。

<その後も フィッシュアイズの力は
底知れなかった>

(実況)フィッシュアイズ
外から見事に差し切ってゴールイン!

<中央の特別指定交流競走にも勝ち

私たちは 次々と
GⅠへ続く道のりをクリアしていった>

(実況)フィッシュアイズ
フィッシュアイズ 1着 ゴールイン!

これからも 一鞍一鞍を大事にして

ファンの皆様から信頼されて
愛される騎手になっていきたいです。

<緑川厩舎に関する嫌なうわさも
ネットの中を駆け巡ったが

それも フィッシュアイズの前では
意味をなさなかった。

馬の強さに ウソはなかったからだ。

フィッシュアイズの人気と共に
鈴田競馬場の人気も高まり

経営も上向いた。

私の存在は
中央でデビューした時よりも更に

馬以上の話題になった。

しかし
これが私の望んでいた勝利なのか?

私が女じゃなかったら
ここまで騒がれるだろうか?>

(モニター・実況)
オグリキャップと武 豊 一気に…。

(武)久しぶりにオグリキャップの走りや
フィッシュアイズとあなたを見て

僕もまた 諦めない競馬というのを
思い出したような気がします。

お互いに頑張りましょう。

はい。

ありがとうございます。

君なら きっと大丈夫です。
はい。

<私はまだ それほどの騎手じゃない。

私が女じゃなかったら もっと
実力だけを見てもらえるのだろうか。

どこまでいけば
女性騎手の「女性」は取れるのだろう?

私は 何者だ?

勝つほどに
私は 何のために戦っているのか

それが分からなくなっていった>

(場内アナウンス)
鈴田競馬 今日のメインレースは

2歳馬の重賞競走 鈴田若駒賞です。

快進撃を続けます フィッシュアイズ
今日は5番ゲートからの出走。

鞍上はもちろん 芦原瑞穂。

そして
そのフィッシュアイズに挑みます

かつてのリーディングジョッキー
池田 満鞍上の9番 コマンダーボス。

コマンダーボスは
このフィッシュアイズに

挑戦する形となっております。

山名会長 どうも。

(山名)ああ いや~
月柴さん どうも。

フィッシュアイズ
今年は いよいよGⅠ挑戦ですね。

さあ どうなることやら。

ハハッ…。
しかし 会長は お目が高い!

わざわざ 地方競馬から話題を作って
盛り上げるなんて

さすがは 世界のヤマナです。

フフフ…
私は何もしてませんよ。

いやいや 僕も早く 山名会長のように
なりたいものです。 フッフッ…。

フフッ 私は負けてばかりの馬主ですよ。

いやいやいや
人生で勝ち続けていらっしゃるから

余裕がおありなだけでしょう それは。
ハハハ…。

いや 勝つことばかり考えていると
大事なものを見失いますよ。

深いなあ…。

あっ 今度のうちの若駒もいいんですよ。

コマンダーボスといいます。
見てやってください。

きっと いい戦いすると思いますよ。

ほう…。

(ファンファーレ)
(実況)鈴田競馬 今日のメインレース

鈴田若駒賞です。
各馬の枠入りが始まっています。

5番のフィッシュアイズ
ゲートに収まります。

外に コマンダーボス。
各馬の態勢が完了します。

(実況)スタートしました。
鈴田若駒賞

各馬 きれいなスタートを
切っております。

真ん中から5番のフィッシュアイズ
好位をとろうとしています。

そして 外から9番のコマンダーボスが
並んでいきました。

内に フィッシュアイズ
外に コマンダーボス。

2頭 馬体が合って
1 2コーナーから

2コーナーカーブ
向正面へと出てまいります。

さあ 直線に向きました。
鈴田若駒賞。

各馬 最後の力を
振り絞っての争いとなっております。

最後の直線 どうなるか。
先頭はフィッシュアイズ

フィッシュアイズは先頭
外からコマンダーボスが並んでくる。

内 フィッシュアイズ
外からコマンダーボスが並んでくる。

2頭の競り合いが
これから始まろうとしております。

先頭は フィッシュアイズ
おっと 外から…。

危ない! やめてください池田さん!

道を空けろ!
(鞭を打つ音)

(実況)外からコマンダーボスか
コマンダーボスか

内からフィッシュアイズが
鞭がとんでいる

2頭の激しい競り合いとなっている。

邪魔だ どけ!
そっちがどけ!

(いななき)

うっ!
(実況)フィッシュアイズ 落馬!

フィッシュアイズ 落馬!
あっ…。

(実況)外からの
池田ジョッキーのラフプレーで

落馬 競走中止となりました。

あっ…。

寝てろ。 ここは病院だ。

フィッシュアイズは?

大丈夫だ。
今 獣医に診てもらってる。

誠たちがついてる。

私… 落馬したんですね。

幸い 骨は折れていないようだ。

お前…
もう勝つことだけを考えるのはやめろ。

えっ…。

人を見返すなんて
そんなことも考えるな。

馬は そのために乗るものじゃない。

馬と自分のために走れ。

闘争心も大事だが

レースで一番大事なのは
冷静に一瞬の判断をすることだ。

分かるな?

はい…。

ともかく今は ゆっくり休むことだ。

先生 カニ爺… 私は大丈夫だから
フィッシュアイズをお願いします。

分かった。
馬のことは心配するな。

先生に知らせてくる。

(ドアが閉まる音)

えっ…。

くれるの?

どうして?

(晴香)池田の家内です。
すみません。

あっ さっき病院から連絡あって
嬢ちゃんが目覚ましたそうや。

ああ。
もう大丈夫やって。

そうか。

フィッシュアイズは?

骨折はしてないようだが
まだ分からん。

おう それからな 池田の野郎
斜行で騎乗停止処分になった。

池田の野郎 何ちゅうことすんねん。

フィッシュアイズを潰す気で
わざとやったんちゃうやろな。

おい アンちゃん!

若造 若造! やめろ!

何するつもりだ!

こんなことしたって 捕まるだけだぞ!

(誠)あっ!

誠…。

お前がいなくなったら
フィッシュアイズはどうなる?

瑞穂はどうなる?

誰が瑞穂を助けてやれるんだ。

お前しかいねえじゃねえかよ!

せや。

お前は この厩舎に必要な人間なんや。

お前には才能がある。

俺らとは違うんや。

誠… 俺にはいいよ。

けど 頼む。

頼むから テキや瑞穂には
お前の声を聞かせてやってくれねえか。

怒りや苦しみじゃなく

お前が思うことを ちゃんと言葉にして
伝えてやってくれ。

なっ…。

それができるまで
お前はどこにも行ったら駄目だ。

(寝わらカギを落とす音)

(泣き声)

あっ…。

ああ そのまま そのまま。

あの… すみませんでした。

いや フィッシュアイズは心配いらないよ。

骨折はないそうだ。

ああ よかった…。

あっ どうぞ座ってください。

山名会長。
ん?

昔… 一緒に桜の木を植えましたよね。

お~ 覚えてるの?

はい。
フフフ…。

父を亡くして 親戚に預けられていた私を
迎えに来てくれました。

私は 訳も分からずついていって…。

だけど あの時のことは忘れていません。

[ 回想 ] この桜の木が大きく育って
花が咲く時

君たちの未来という花も
きっと咲く。

花を咲かせるように
自分の夢を育ててほしい。

あの植樹は
君のお父さんが始めたんだよ。

えっ?

彼は 震災のあと
傷ついた子供たちのために

未来に何かを残す活動をしたいと
言いだしたんだ。

自分の手で
自分の新しいふるさとを作るような…。

それで 桜を植えようと。

父が…。

自分は借金で大変だった時に…。

あ~…。

あの人が自分のことで悩んでる姿を
私は 一度も見たことがなかった。

私は 忙しすぎてね
その苦しみに気付けなかった。

(山名)あの人は
いつも 馬のことばかりで。

あっ いや もちろん 君のことは
何よりも大事に思っていたがね。

はい…。
(山名)うん。

おい 帰ってきた 帰ってきた!

戻りました~!
(徳永)あ~ 嬢ちゃん!

おかえり~!
きゃっ ウザい もう!

(山田)何やってんだ お前。
おい 大丈夫だったか?

はい。
(蟹江)よかった よかった。

カニ爺 フィッシュは?
フィッシュは 支柱跛行じゃ。

はあ~ 支柱跛行…。
片脚をちょっと痛めただけだ。

しばらくしたら
また走れるようになるだろう。

あとは フィッシュの気持ち次第じゃ。

フィッシュ…。
えっ… どうしたの?

やっぱり 私を怒ってる?

あの時 瑞穂が落馬した時…。

埒に突っ込む前に フィッシュは

ちゃんと立ち上がって
お前を振り落としたように見えた。

回想

えっ?

お前は 砂だまりに落ちて
後続の馬に踏まれることもなかった。

フィッシュは
ちゃんとお前を守ったんだ。

だから
俺みたいに大けがをしなかった。

フィッシュ…。

(蟹江)馬は 馬なりに反省しとるんじゃ。

フィッシュ。

(いななき)

<その後も フィッシュアイズの様子は
変わらなかった>

フィッシュ…。

<やっぱり フィッシュアイズは
変わってしまった…。

私に 心を閉ざしてしまったのだろうか?>

[ 回想 ] お父さんは よく言ってたよ。

馬は勝ちたくて走るわけじゃないと。

馬は 人間と生きるために走るんだよ。

それを しむけたのは
競走馬を作った人間だと。

回想 人が馬を愛すれば
馬も人を愛してくれる。

お父さんは そう信じてる。

だから 瑞穂にも そう信じてほしいな。

フィッシュ… ごめん。

ごめんなさい…。

あんな走り方 嫌だったよね…。

木崎さん…
私はフィッシュを傷つけてしまった…。

フィッシュは 私を信じていたのに…

信じてくれていたのに…

その気持ちを… 私は 裏切った。

♬~

フィッシュ… 違うよ。

あなたのせいじゃない。

(いななき)

(すすり泣き)

フィッシュ… フィッシュ。

♬~

(蟹江)この海は 昔から
故障した馬の脚を治してきたんじゃ。

水の中は自然に圧がかかるから
いいマッサージになる。

フィッシュ!

(いななき)

せ~の…。

瑞穂 大丈夫か?

あっ 初めて名前呼んでくれましたね。

馬は 人の心を頼りに動く。

瑞穂が フィッシュを…

テキや わしらを
動かしてきたんじゃ…。

それだけは 自信を持て。

カニ爺… ありがとう。

(蟹江)フィッシュに任せたら…。

フィッシュに任せたら大丈夫だ。 なっ?

フィッシュ…。
(いななき)

乗り役を変えろというのは
どういうことですか?

(藤村)だから ここは悪いイメージを
一新するんだよ。

芦原瑞穂が
何をしたっていうんですか?

(手塚)落馬したじゃないか!

落馬ぐらい 誰だってするでしょう!

光司。 結局 お前は
昔から何も変わってないんだ。

自分さえよければ
それでいいのか?

そのせいで 鈴田競馬場全体のイメージが
傷ついたんだ。

(大泉)しかしですね ここまで
地方競馬を盛り上げてきたのは

芦原瑞穂ですし
あの競馬場廃止論者の市長が

今じゃ 前面に出て応援してるんですよ!

盛り上がってる今だからこそ
変える必要があるんでしょう。

女の騎手より
馬が大事じゃないんですか?

女であることは関係ないと思います。

それを利用したのは
あんたたちじゃないか!

あいつを 一人のジョッキーとして
見てください!

その可能性を見てやってください!

じゃあ 芦原瑞穂が負けたら
どうするんだ?

そうだ。 これは もう
緑川厩舎だけの問題じゃ済まないよ。

その時は 私が調教師を辞めます。

緑川さん そう熱くならないで。

これは私のレースです。

芦原瑞穂が負けるなら
私に力がなかったということです。

そうです。 私は昔のままです。

競馬に 全てを懸けています。

(いななき)

フィッシュアイズの 桜花賞
トライアルレースへの出走が決まった。

おお いよいよだな…。

場所は 桜花賞と同じ阪神競馬場。

報知杯 フィリーズレビューだ。

おお! 桜花賞トライアルの中じゃ
一番グレードの高いGⅡや。

芝1, 400mか。

鞍上はもちろん 芦原瑞穂だ。

はい。

そこで3位以内に入って初めて
桜花賞への参加資格が得られる。

地方競馬としては 久々の快挙やな!

中央の重賞馬相手に 3位目指すなんて
簡単なことじゃねえぞ。

分かってます。
中央の強さは 誰よりも。

あと1か月で仕上げる。
いいな 誠。

よし! 俺たちで
フィッシュアイズを勝たせるぞ!

(一同)よっしゃ~!

♬~

いや~ 忙しいのに
呼び出してすまないね。

いえ。

どうだい 調教の方は?

ええ。 心配なのは フィッシュアイズより
芦原瑞穂の方です。

これを 彼女に渡してくれないか。

これは?

いや~ 少しでも彼女の恐怖心を取り除く
助けになればと思ってね。

彼女の刺激を受けて
久々に私も走ってみたくなったんだ。

この車はね 私が最初に
テストドライブをした時の車なんだ。

ヤマナの車には これを造る
仲間たちの思いを感じる。

だから 私は
安心して走らせることができる。

きっと彼女も
同じことを感じるだろう。

どうだ それを一緒に
見届けようじゃないか。

はい。

どうや
テキより俺が焼いた方がうまいやろ。

これが ほんまもんの味や。

これで分かったやろ。
俺が ほんまに関西人やて。

焼いてるだけじゃねえか。
ちゃんと作ったで。

おっ テキや!
早よ 早よ。

瑞穂。 はい。
山名さんから これ預かった。

何ですか?

お前の勝負服だ。
勝負服?

バラの騎士と違うんかい?
私は それでもいいんですけど。

おう あれはあれで
格好よく見えてきたからな。

本当ですか?
せっかく馬主が用意したんだ。

トライアルには これを着て出ろ。

はい。

おっ!

えっ これって…。

分かるか?
はい…。

先生が 初めてGⅠを取った時の
勝負服に そっくりです。

山名さんの計らいだ。

(蟹江のすすり泣き)
山名さんが 私に これを?

ありがとうございます。

あれ? カニ爺 泣かしたらあかんで。

バカタレ 勝つまで泣くか!

これがまずいんじゃ これが。

(徳永)はあ?
(山田)それは言える。

(徳永)ほな 阪神競馬場には
みんなで行ってくれ。

ここは 俺だけで十分や。

何でだよ。
だって 関西だぞ。 なあ。

家族や友達にな
借金で迷惑かけたのは ほんまなんや。

そやから俺は
もっと立派な厩務員になるまで

関西には戻らへんって決めてるんや。

トクちゃんを 私が
GⅠ馬の厩務員にしてみせる。

おう 頼むで~!

うん。
(徳永)うん。

<調教は追い切りに入った。

レースに備えて 馬の状態を
最高に持っていくための調教だ。

フィッシュアイズの脚は順調だったが

そのスピードに 高齢のツバキオトメが
ついていけなかった>

おい オトメ しっかりしろ!

(いななき)
あの野郎!

緑川先生 併せ馬が必要なら
このポアソンボスはどうですか?

ポアソンボスを?

おお 池田さんよ
今度は 何たくらんでるんだ?

もちろん フィッシュアイズが
GⅠで勝つことです。

馬主の許可は取ってある。

馬主って その馬は…。
(いななき)

(池田)来ましたよ。

(奈保美)どうも お久しぶりです。

(山田)あんた 馬乗れたのか。

私も馬が好きなんです。

だから やる気のない厩舎が
本当に許せなかった。

何だと?

だけど ベルフォンティーヌのことは
私が間違ってました。

今度は 信じる。

あなたたちに勝ってほしいんです。

沢田さん…。

この馬のためにも
どうか 併せ馬に使ってください。

Aランクのポアソンボスが
併せてくれるなら

申し分ないですよね 緑川先生。

ああ そうだな。

テキ。

こうなったら
わしらも信じるしかねえだろ。

なあ? アハハハ…!
ああ。

ついでに 俺も調整さしてもらいます。

今度 中央の騎手免許試験
受けることにしたんです。

もうすぐ 2人目生まれるんで。

池田 満なら やれるよ。

俺は駄目だったけど
守るものがある お前なら きっと。

池田さん 奥さんとお嬢さんが
すぐに病院へ来てくださって

お見舞いをいただきました。

[ 回想 ] 娘は あなたのファンなんです。

どうもありがとう。

私も退院したらすぐに

お礼に伺わなくては
いけなかったんですが…。

すいません。

芦原。

お前とフィッシュアイズが
勝ってくれないと

俺の罪悪感 消えないんだ。

頼む 勝ってくれ。

池田さん あの時は私も悪かったんです。

謝るのはいいが

お前の闘志だけは捨てるなよ。

さあ 行くぞ。

はい。

♬~

<そして その日はやって来た。

騎手は レースの前日から
調整ルームに泊まり

外部との連絡は遮断される>

<中央競馬の調整ルームに
またやって来た>

おっ バラの騎士だ。
おお~!

こんにちは。
よろしくお願いします。

よろしくね。
よろしくお願いします。

久しぶり。
(佐々本)おう。

貴士 お前ら同期だっけ?

はい。
(男性)あ~…。

大活躍だね。

そっちこそ。

貴士と また…

佐々本貴士と
また同じレースを走れるなんて

夢みたい。

(佐々本)お前さ。

ライバルに向かって
そんなこと言っていいの?

えっ…?

[ 回想 ] お前さ 何か勘違いしてない?

俺は 瑞穂をライバルと思ったことは
一度もないから。

ライバルだと思ってくれるの?

当たり前だろ。
同じ重賞を走るんだから。

明日 負けないからな。

うん… 私も。

(実況)さあ 本日の報知杯
フィリーズレビュー。

何と言っても注目は 唯一の地方在籍馬
フィッシュアイズ。

中央に返り咲いた 一輪のバラ
芦原瑞穂騎手です。

果たして 桜花賞への切符を
手に入れることはできるのでしょうか。

<怖い… 何だろう この恐怖は>

<食欲はなく 緊張で吐きそうだった>

♬~

(稲葉)緑川さん。

あっ 稲葉さん。

まさか ここまで戻ってくるとは
思わなかったよ。

彼女には もともと力があったんですよ。

いや 君がだよ。

やっぱり 中央が恋しいか?

どこにいても同じです。

ただ勝つために
戻ってきたんですよ。

中央の競馬は そんなに甘くねえぞ。

でしょうね。

(男性)止ま~れ~。

11レース 乗馬。

(一同)お願いします。

パドックの歩様は悪くねえ。

フィッシュの脚は万全だ。
はい。

(蟹江)この馬は 芝にも十分対応できる。

芝の走り方が分からん時は
フィッシュに聞けばいい。

はい。

せ~の…。

(実況)桜花賞トライアル
報知杯 フィリーズレビュー

出走各馬の本馬場入場が始まりました。

(ラジオ・実況)桜花賞への
3枚の切符をかけて…。

よっしゃ~ オトメ 聞くで!
よっしゃ~ 行け~!

(実況)4番フィッシュアイズ。

そして そのフィッシュアイズを
管理するのは 緑川光司調教師。

ジョッキー 芦原瑞穂を
今は育てる立場となっています。

回想 本当にうまい騎手はな

ほんの少し手綱を引いて
ハミを震わせるだけで

自分の思いを
馬に伝えることができるんだよ。

<そうか。 あの時 父が言っていたのは
緑川先生のことだったんだ。

父は 母を失った悲しみに
負けないようにと

私に馬を教えた>

(実況)さあ いよいよ桜花賞トライアル
報知杯 フィリーズレビュー

発走の時を迎えます。

阪神競馬場 芝の1, 400m

今年は 16頭によって争われます。

注目 4番フィッシュアイズ。
鈴田競馬から参戦。

鞍上は あの芦原瑞穂騎手。

スタートしました。
まずまず そろいました。

フィッシュアイズは
じわっと後方に下げます。

[ 回想 ] ゲートで出遅れても慌てるな。

前半は いつものように馬なりでいい。

うまく折り合いながら抑えていけ。

(実況)向正面 先行争い。

<そして 今は
緑川先生の意志も感じる。

カニ爺の ゲンさんの トクちゃん
木崎さん 山名会長

みんなの意志を感じる。

それで十分だ。

それを感じて走るのが 私のレースだ>

≪(誠)今だ!
<えっ 今のは誰の声?>

フィッシュ… もっと走りたいか?

いいよ。 さあ 行こう。

見ろ… 人馬一体じゃ!

(誠)行け~!

(実況)フィッシュアイズが
ぐんぐん伸びて…。

フィッシュアイズ 芦原瑞穂
ゴールイン!

鮮やかに差し切りました 最後の直線!

馬群を捉えて 追い出されると
あっという間に…。

やった~!

(実況)ゴール後 ガッツポーズ!
芦原瑞穂!

鈴田競馬の星 フィッシュアイズが
見事に報知杯 フィリーズレビュー制覇。

桜花賞の切符を手にしました!

(ラジオ・実況)鈴田競馬に移籍した

芦原瑞穂騎手。
やった~ やったで~!

(ラジオ・実況)
フィッシュアイズとのコンビで快進撃!

アンちゃん 今 お前…。

(笑い声)

本当に やったな…。
うん!

アハハ…!

(実況)そして この報知杯
フィリーズレビュー

桜花賞トライアルを制覇!
見事な重賞制覇を飾りました!

♬~

(実況)満開の桜咲き誇る阪神競馬場に
いよいよ GⅠのファンファーレです。

(ファンファーレ)
<そして 念願の桜花賞!>

(実況)いよいよ 牝馬クラシック第1弾。

桜花賞 ゲートインが始まります。

大観衆が詰めかけます 阪神競馬場。

場内からは 手拍子 拍手 沸き起こって
それが大歓声へと変わりました。

(実況)スタートしました。
きれいに各馬そろいました。

フィッシュアイズ 芦原瑞穂
まずまずのスタートを切って

今日も後方に控えています。

満開の桜のもと 向正面先行争い
ナギサノハヤテが行きました。

メグロキットが2番手
ショウロタイムが3番手

後方で クラハマクイーン
フィッシュアイズは控えています。

かつての同期 佐々本貴士が乗る
クラハマクイーン。

フィッシュアイズ 芦原瑞穂
2頭並んで並走。

さあ 2頭 芦原瑞穂 佐々本貴士
それぞれが追い出して

一気に追い上げを開始しますが

その外から ツキヨノヒカリと
名手 武 豊が襲いかかって

ツキヨノヒカリ 武 豊
これが一気に先頭に変わるか

外からぐんぐん脚を伸ばしている。
芦原瑞穂は後方だ。

<結果は 惨敗だった。

まだまだ GⅠの壁は厚かった。

それでも 私とフィッシュアイズ

緑川厩舎にとって 大きな一歩
晴れの大舞台だった>

次は 頑張れよ 芦原瑞穂!

(男性)またGⅠに戻ってこいよ~!

これが 私の植えた桜ですか?

ああ。

この桜も 君の未来も
まだまだ伸び続ける。

いや~ どんな未来が
待っているんだろうね?

山名会長も 未来を見ていますか?

ハハハハ… もちろん。

自動車業界は今 100年に一度の
大変革期と呼ばれている。

自動運転とか
無人で動くロボットとか

どんなに未来が変わっても

人と馬
人と車が築いてきた絆の歴史は

忘れたくない。

君のレースを見て
つくづくそう思った…。

ありがとう。

あれは 私だけのレースでは…。

私は 一人じゃありません。

こうなったら みんなで世界一

凱旋門賞を目指します!

(山名)ああ。 ハハハ…!

♬~

<どんなに未来が変わろうと

あの鈴田競馬場が

私のスターティングゲートです>

(山名)
ここに 養老牧場も新しく作ったんだ。

君のお父さんが夢みた
サラブレッドの未来も残したくてね。

(いななき)

ん? えっ…。

フッフッフ…。
シーギリア!?

(いななき)

(岸辺露伴)ヘブンズ・ドアー。