ドラマ 山女日記3(2)「ロマンスの道しるべ・雨飾山」[字]…のネタバレ解析まとめ
出典:EPGの番組情報
ドラマ 山女日記3(2)「ロマンスの道しるべ・雨飾山」[字]
好意を寄せていた岳人(中村俊介)との間が、ある事が原因で冷え込んでしまい落ち込む柚月(工藤夕貴)。そんな彼女の元に初老の夫婦を雨飾山にガイドする依頼が舞い込む。
詳細情報
番組内容
柚月(工藤夕貴)がけげんに思うのをよそに、父・昭一(田中健)は村長の弥生(若村麻由美)との距離を急速に縮めていく。一方、自分の恋路はと言えば、好意を寄せていた岳人(中村俊介)との間が、ある事が原因ですっかり冷え込んでしまい意気消沈する。そんな傷心の彼女の元に初老の夫婦を雨飾山にガイドする依頼が舞い込む。依頼主は妻(市毛良枝)のほうで、無理やり連れて来られた形の夫(石丸謙二郎)はすこぶる機嫌が悪い。
出演者
【出演】工藤夕貴,若村麻由美,中村俊介,本仮屋ユイカ,LIZA,田山涼成,石丸謙二郎,市毛良枝,田中健
原作・脚本
【原作】湊かなえ,【脚本】吉川次郎
音楽
【音楽】窪田ミナジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
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(柚月)<山に登る。
自分の力だけを信じて 一歩 また一歩
足の置き場を探して登り続ける>
<一人で生きていける
ずっと そう思っていた。
人は誰もが孤独だと。
でも 本当にそうだろうか?>
<山で会いましょう>
(昭一)いいかげん 意地張るのはやめて
戻ってこい。
お父さん…?
何で ここにいるの?
(あかね)登山ガイドの立花柚月さんです。
(弥生)こんにちは。
村長 初代 ミスアルプスだから。
(岳人)
君がガイドになったことは知ってた。
そのうち どこかで会えるだろうと
思ってたけど。
私も 山根君の写真集 買ったよ。
あれが私の
山との最初の出会いだったかも。
来週 この近くで 写真展やるんだ。
もしよかったら来てよ。
お父さんと一緒に
世界を巡ることだって。
お母さんの一番の夢。
ハニー おいで。
ハニー いいでしょ。
イエ~イ ハハハ。
不思議だなあ 俺も君も
お互い こうして
山をなりわいにして生きてる。
こんな未来 全く想像してなかった。
想像できないから 人生は面白い。
それも運命かも。
な~んてね。
事業者側が今回提示した
ダム建設事業に係る環境レポートですが
2000年の報告書に色を付けただけで
中身は ほとんど変わっていません。
(弥生)分かった ありがとう。
(舘村)これは村長。 ハハ。
御自ら視察とは ご苦労さん。
舘村議員 提出された この報告書ですが
20年前と一緒です。
気候変動の影響にも
触れられていませんし。
これを根拠にダム建設を再開するなど
私には とても容認できません。
村長 前も言ったろう。
俺に言わせりゃ
そんなレポート自体 無意味なんだ。
本来 環境評価の手続きを行う
義務もないんだ。
2013年の法改正以後は
手続きは義務化されたはずですが。
では こちらで改めて調査した上で
意見書を県に提出します。
よろしいですね。
おい… おい!
あ~ ご苦労さまでした。
お疲れさまでした。
こんにちは~。
こんにちは。 こんにちは~。
あなたも疲れたでしょう。
コーヒー飲もうか コーヒー。
フフ…。
あっ コーヒー…!
え?
あっ 柚月さんのお父さん!
ああ~。
お店お休みですか? お父さん。
立花です。
あっ… 立花さん。
マスターでいいですか?
あ ええ…。 フフ。
あ~ そうそう あの…
コーヒーのデリバリーなんて
お願いできますか?
無理ですよね?
あ~ いえいえ。
いつでも
いれたてをお持ちしますよ。
やった! いや 実は
この村に来て一番の悩みは
おいしいコーヒーが
飲めなかったことなんです。
ああ…。 これで安心して
私も行政に専念できます。
なんて… では。
この光って 何だか分かりますか?
これは 山小屋から山頂を目指す
登山者のヘッドライトの光なんです。
(花奈)いらっしゃいませ。
あっ こんにちは~。
こんにちは~。
ちょっと すいません。
いらっしゃい。 ああ…。
来てくれたんだ。 山根君。
ああ ほら この前話した
登山ガイドの。 ああ~。
お待ちしてました。
さあ どうぞ。
すごいね…。
こんな景色 私でも見たことない。
これなんて 17日間ふぶかれて
やっと月明かりで撮れた一枚。
まさに奇跡だよ。
山根君。
ん?
そういえば
まだ 聞いてなかったんだけど
山根君ってさ 結婚…。
(花奈)編集長!
こんにちは~。 こんにちは~。
わざわざ 東京から
ありがとうございます。
いえ 楽しみにしてました。
編集長!
あっ こんにちは。
お忙しい中 恐縮です。
おめでとうございます。
ありがとうございます。
編集長 お久しぶりです。
あっ ご無沙汰です。
元気そうだね。
はい。 で 前に話した写真集の件だけど
今 ちょっといいかな?
ああ もちろんです。
あっ じゃあ ちょっと待ってて。
頼む。
じゃあ こちらへ。
(編集長)ちょっとね 表紙の写真を
どうしようかで悩んでいて。
ああ そうですか。
青空の槍ヶ岳でいくか それとも
鹿島槍のモルゲンロート。
真っ赤に焼けたあの写真。
インパクト強いのは赤の方ですよね。
山根君…。
ごめん ちょっと急用出来ちゃって
また来る。
ああ そう。
うん。 あっ 編集長
また お願いします。
あ それじゃあ。
また来て。
うん ありがとう。
どうも。
あっ あの…。
奥さんが いたんですか?
あたたた たたたた…。
そう。 あたたたたた~ だよ本当に。
だったら 最初に言ってくれっていうの。
言わないですよ男性は。
その気があったら絶対言わない。
ずるいんです。
私もそれで一回
ひどい目に遭ったことがあって。
あかねちゃん
ちょっと不倫してたの?
声がでかい…。 いやいや
結果 そうなっちゃったってだけで
要は だまされちゃったんですよね。
もう~ いいじゃないですか。
何の話?
あっ 弥生さん! フフフ。
こんにちは。 こんにちは。
あの 大人のロマンスについて
議論してました。
ん~ 楽しそう!
じゃあ 私たちも交ぜてもらおうかな。
どうぞ~
お嬢さんもいらっしゃいますよ。
せっかくだから
相席させてもらいましょっか。
あ いや~
こっちの席にしませんか?
ちょっと お借りしますね お父様。
はい。
役場にコーヒー届けてもらって以来
急に親しくなっちゃって。
案外 お父様に
先越されたりなんかして。
おはよう お父さん。
おはよう。
何か まめだね。
こんな早く出かけるのか。
山の仕事は早いから。
今日は日帰りだから
夜までには帰れると思う。
ああ そう。 ハニー
今日は うまいもん食えるぞ。
よし。 ハニー ハニー…。
お父さん。
ああ?
ゆうべ 弥生さんと 何話してたの?
ただの世間話だ。
世間話? お父さんが 村長さんと?
彼女もな 俺と同じ よそ者だ。
話し相手が欲しいんだよ。
母さんの一周忌も
まだだっていうのに…。
勘違いするな。
そんなつもりは 全くない。
でも お父さん
すっごい うれしそうだった。
お母さんの前では あんな顔
絶対 見せなかったくせに。
夫婦って 一体何なんだろうね~。
ハニー。
(秀雄)♬「赤い火をふく あの山へ」
♬「登ろう 登ろう」
♬「そこは地獄の釜の中」
♬「のぞこう のぞこう」
♬「登山電車が…」
今回は山登りですか?
いやいや 女子供の遊びですよ
あたしゃ 全然。
(秀雄)♬「トラのパンツは…」
(裕子)ちょっと~ 何 のんきに
お風呂なんか入ってんのよ!
約束の時間 過ぎちゃったじゃない。
嫌んなっちゃうな~ もう。
早く着替えて! 早く!
おい 朝飯どうすんだよ 朝飯。
♬~
おはようございます。
ああっ 立花さん!
本当ごめんなさい すぐ来ますから。
大丈夫ですよ ごゆっくり。
≪裕子! 裕子!
あなた!
靴ひもなんて 後でいいから 早く。
おはようございます。
初めまして 登山ガイドの立花です。
今日 お二人をご案内させていただきます。
よろしくお願いいたします。
女の人か。
あなた…。
ご主人 山は初めてですか?
ええ 実は…。
もちろん 初めてです。
こいつが一緒に来いって
うるさいもんだから もう
しかたなく
つきあってやったんですよ。
また そんな。
ちょっと 失礼します。
かかと トントンって
やってみていただいて いいですか?
あっ はい そんな感じです。
あ OK! そんな感じです。
このまま 動かないでくださいね。
登山靴は かかとをしっかり
固定しておくことが
とっても重要なんです。
中で足が動くと
靴擦れの原因になりますから。
殿様になった気分だな。 ん?
こんな感じで…。 きつさを見たいので
ちょっと いいですか?
どんな感じですか?
ん~ 苦しゅうない!
もう…。
♬~
せっかく温泉に来て
朝飯がこれか?
山は朝が早いんです。
いちいち文句言わないでください。
お待たせしました。
何 読んでらっしゃるんですか?
ああ…。
これです。 「雨飾山という山を知ったのは
いつごろだったかしら」。
「日本百名山」。
百名山に登る前には
必ずこれを読むようにしてるんです。
「後立山連峰の威圧的な壮観に
目を奪われる旅行者には
ほとんど気付かれぬ つつましやかな…」。
「つつましやかな
むしろ かわいらしいと
言いたいような山であった。
私はその山に心をひかれた。
雨飾山という名前も気に入った」。
すごい! 暗記してらっしゃるのね!
あっ いえいえ…。
部分的にです。 山の解説用に。
あっ これ。 濃い方が旦那様のです。
何です?
奥様からご依頼された
オリジナルの山帽子です。
登山デビューのプレゼント。
開けてみて。
ええ?
(裕子)立花さん お帽子の作家さんでも
いらっしゃるの。
せっかくだから
おそろいで お願いしちゃった。
おそろいって お前…
俺に これ かぶれっていうのか?
いいじゃないの~。 かぶってみて。
よかったら サイズの確認
お願いします。
ああ~ いいわ。 サイズもぴったり。
お似合いです。 お世辞じゃなくて。
やだ~ かぶらないの?
この年で 夫婦そろって
こんなもん かぶってたら
頭 変だと思われる。
俺は こっちでいい。
大体な こんなぜいたくをする
余裕ないはずだ。
これから死ぬまで 年金暮らしなんだ。
返せるものなら お返ししたいが。
返せません! オーダーメードなんです。
すいません。
(秀雄)
ガイド料だって バカにならんだろうし…。
ごめんなさいね 失礼なこと申し上げて。
いやいやいや 大丈夫ですよ。
ゆっくり行きましょう。
ご主人 あの ストックは
お持ちじゃないですか?
杖なんかつかん。 じじくさい。
あっ でも あの 膝に負担が
かかりますので…。 いらん いらん。
こっちか?
ああ…。 行くぞ。
よし!
じゃあ ゆっくり行きましょう。
滑りやすいですからね。
ゆっくり行ってくださいね。
急登に入る前に
この木道 抜けてきます。
足元あまりよくないのでね
気を付けてくださいね。
(裕子)
夫は今年 定年を迎えたんです。
もともと無趣味な人だったから それから
ず~っと 家に籠もりっぱなしで。
それで ご主人を山に?
この先まだ長いし
1つぐらい趣味があった方がいいって
言ったんです。
でも なかなか首を縦に振らなくって。
ようやく説得して 連れ出したんですけど。
(秀雄)裕子!
何 べちゃべちゃしゃべってんだ。
置いてくぞ!
やっぱり あんな調子で。
奥様が山を始められたのは?
4年前
昔からの友人に誘われたのが最初です。
その時まだ ご主人は
お仕事されてましたよね?
下の子が家を離れて
一番 暇を持て余していた時期なんで。
実は その時 最初に登ったのが
この山なんです。
雨飾山。
(裕子)はい。
私の一番好きな山です。
お疲れさまで~す。
ブナ平に到着しました~。
(2人)おお~。
見てください 文字どおりね
見渡す限り ブナの原生林です。
今ね 緑が濃いんで美しいですね!
本当 きれい!
それでは ちょっと休憩しましょうか。
ええ?
ええ~ 8時出発でお願いします。
はい。
もう休むのかよ~。
俺 まだ 全然行けるよ。 しょっぱなから
年寄り扱いしないでくれよ。
いえいえ 山登りは 少しずつ休んだ方が
疲れがたまりづらいんです。
水分補給とかもね
お忘れないようにお願いします。
(秀雄)
ああ~ 所詮 女子供の遊びかよ。
ああ~ 懐かしい香り。
え?
前来た時も ちょうど今くらいで
思い出しました。
あれ? 泰野さんって確か
東京ご出身じゃなかったでしたっけ。
何か 初めての山が 雨飾山って
珍しくないですか?
一見 地味だけど
実はロマンスの山なんだって
その友人に聞いて。
どうしても登ってみたくなっちゃって。
ロマンスの山といえば 深田久弥ですね。
そう。 立花さんも ご存じですか?
その話。 はい。
作家として成功していた深田久弥は
38歳の時に
20年ぶりに初恋の女性と再会して
道ならぬ恋に落ちた。
2人が 人目をしのんで目指したのが
この雨飾山でしたよね。
お相手は 木庭 志げ子さん。
後に再婚して深田夫人に。
その時は
雨で登れなかったらしいですけど。
でも 16年後 2人は夫婦になって
もう一度ここに戻ってきた。
2人の思いは 時を超えて
成就したわけですよね。
さすが ガイドさん。
何でもご存じですね。 いえいえいえ。
でも よくよく考えると
久弥ひどくないですか?
当時 深田久弥は結婚していて
病気の奥さんを家に残して
来てたわけじゃないですか。
それ聞いて 私 何か
「百名山」のイメージ変わりました。
私も最初聞いた時はそうでした。
男の人って
なんて勝手なんだろうって。
でも 実際自分の足で歩いてみたら
何だか分かるような気がしたんです。
その時の2人の気持ち。
道ならぬ恋ですか?
ええ。
(裕子)
久弥が志げ子さんに送った言葉です。
はしけやしっていうのは
いとおしいっていう意味だそうです。
はしけやし君 かあ…。
何か 一度ぐらい言われてみたいな~。
でしょう?
はい。
ハハハ…。
(秀雄)よいしょっ… ハア ハア…。
いい調子ですね。 ああ~ そうですか。
はい。
裕子! 裕子…!
あっ ご主人!
大丈夫ですか?
大丈夫じゃない!
どうなさいました?
何だ この急登 聞いてないぞ!
いや ちょっと 最初にペース
上げ過ぎましたね。
山登りのコツは
一定に登ることなんですよ。
自分で呼吸が上がらないように
自分で自分をコントロールするんです。
うう… そういうこと 先に言ってくれ。
言いました。
あなたが耳を貸さなかっただけです。
やっぱ山登るやつなんか バカだ。
裕子 お前 一人で行ってこい。
俺は温泉につかってる。
あ 旦那さん ちょっと 危ないですよ。
いいから来るな!
いや… ちょっと待ってください。
足元危ないですから!
(ため息)
ちょっと待って!
はあ~。
♬~
(バイブレーション)
桐谷君…?
(桐谷)僕はね 55で
早期退職の道を選んだんだ。
前の年に妻を亡くしたっていうのもある。
一度きりの人生だ 自分の生きたいように
生きなくてどうする。
そう思ったら
矢も盾もたまらなくなってね。
奥様 亡くなったの?
ああ… それで決めたんだ。
あいつと一緒にやりたくて
できなかったこと 何でもやろうって。
マラソン ツーリング カヤックで川下り。
でも 一番はまったのが 山だった。
山登り?
そう 何がいいって
ひと言じゃ言えないんだけど。
奥様も一緒だったらよかったわね。
ああ。
はい 焼き鳥。 (桐谷)ありがとう。
あ~ おいしそう!
フフッ。 旦那は?
一緒に 外で飲んだりしないの?
あの人は全然。
仕事のことしか頭にない人だから。
ああ… 僕も前はそうだった。
後悔先に立たず。
そのことに
いつ気付けるかが重要なんだ。
いっそ 君も登ってみないか?
山に。
ええ? 山?
(秀雄)こんなことして
何が楽しいってんだよ。
…ったく! こんなんなら 家で
テレビでも見てた方が よっぽどマシだ。
だったら もういいです。
ここから先は
私と立花さんで行きますから。
あなたは温泉につかるなり
先に帰るなり 好きになさってください。
何? 自分から誘っといて
その言いぐさは何だ!
山に登ると その人の
本当の人柄が分かるんですって。
いや… まあまあ。 あの ご主人もね
せっかくこんな所まで
登ってきたんですから
あともう少しだけ
頑張ってみましょうよ。
頑張って 何か いいことでもあんのか?
あります!
きっとあります。 だから
もう少しだけ頑張ってください。
よろしくお願いします。
立花さん。
是非。
分かった。 それで 何もなかったら
俺 本当 帰るよ。
はい。 ありがとうございます。
じゃあ もうちょっと 頑張りましょう!
ゆっくりで。
あっ いい感じでストック使えてますよ。
(秀雄)山って高尾山か?
ですから 雨飾山って。
長野と新潟の県境です。
そんな遠くまで行って
一日で帰ってこれるのか?
ですから
前の晩は 麓の温泉に1泊して。
俺の飯はどうする?
2日もほったらかしか?
はあ…
ちゃんと 用意していきますから。
亭主は老後のために
老体にむち打って働き
女房は その金で のんびり温泉三昧。
いい気なもんだなあ。
(ため息)
♬~
わあ~。
あっ… おお…!
すごいでしょう。
あの岩峰の向こうね 見えてないけど
雨飾山があります。
すごいな…。
ですよね~。
あの~ こう しましまに見えるエリアね
あのスラブのエリアが
布団菱っていわれてるエリアです。
(秀雄)フトンビシ?
お布団に菱形の菱。
名前の由来はね いろいろあるんで
諸説あって
なかなか はっきりしたこと
言えないんですけど。
(スマホのシャッター音)
深田久弥と志げ子さんが
2度目に この山を訪れた時には
まだ尾根には道らしい道が
全然 出来てなくて
登頂には かなり困難を極めたそうです。
(裕子)「百名山」にも
その様子が書かれてますよね。
道ならぬ恋から16年。
きっと長かったんでしょうね。
♬~
やあ。
どうです? ご主人。
頑張ったかいがあったでしょう?
どうかな~ 問題はこれからだよ。
だって あそこまで登んだろ?
あの上まで~。
考えただけで ゾッとするよ。
いや~ でも 登山は
つらいことだけじゃないんですよ。
こうしてね すばらしいご褒美も
待ってるじゃないですか。
ご褒美なら
湯上がりの一杯で十分だよ。
いや 下山後の
湯上がりの一杯ですよ ご主人。
頂上を極めて 無事 下山したあとに
温泉に入って飲む
一杯のキンキンに冷えた生ビール。
クウ~ッとね!
下山後の湯上がりのビールね~。
はい。
やぶさかではないぞ。 ん~。
がぜん やる気になりましたね。
そうやって 客を乗せるのも
ガイドの仕事のうちか~?
はい!
(秀雄)チェッ 何だい。 ハハハ…。
じゃあ ゆっくり出発しましょう~。
(秀雄)よしっ。
このあとね
更にハードな登りが待ってますので。
(秀雄)これ渡るの…?
元気出して行きましょう!
(秀雄)おい… 危ねえよ…!
大丈夫ですよ。
ゆっくりで大丈夫です。
はい そうですね。
いい感じですね。
(裕子)ハハ ありがとう。
(秀雄)ハア…。
大丈夫ですか?
あの 体もう少し
離して登ってください。
くっ… 裕子! 裕子!
ここにいますから!
もう少しですよ!
うっ うう…!
ゆっくりでいいですよ。
♬~
今 歩いてる道は 雨飾の乙女って
呼ばれてます。
(秀雄)雨飾の乙女? どうして?
それは山頂に着いてからの
お楽しみということで。
またお預けか~。 そうやって
客の尻をひっぱたくわけだな~!
はい。 くそ~!
それを楽しみにまいりましょう。
ハア ハア…。
♬~
(裕子)よいしょっと…。
もう少しですよ~。
はい お疲れさまで~す!
日本百名山 雨飾山に登頂しました!
おめでとうございま~す!
(裕子)ああ~。
やった やった! 登った!
裕子… 俺 登った 登った!
ちょっと ちょっと!
あなた ちょっと…。
フフフ…!
それでは こちらをご覧ください!
はあ~…!
本当! 乙女の顔になってる!
もちろん 偶然だとは思うんですけど
山頂に乙女の横顔なんて
この山にぴったりのイメージだと
思いませんか?
さすが ロマンスの山だなあ…。
え?
やだ~ 私たちの話聞いてたんですか?
声がでかすぎんだよ。
聞きたくなくても聞こえるよ!
アッハハハハ…。
じゃ いきますよ~
笑顔で~
はい チーズ!
(スマホのシャッター音)
いいですねえ~。
ありがとう。 見てください よかったら。
すごくいいですよ。
ねえねえ あっちも山頂?
あ そうです。 こっちが南峰で
向こうが北峰。
三角点があるのは こちらですけど。
向こうは向こうで
昔の石仏なんかがあってね
景色も違って すごくいいですよ。
左の耳は僕の耳
右の耳は何とやらってな。 ハハハハ!
よし あっちで飯にしよう。
なっ 裕子。
休んでから行きますから
お先にどうぞ。
あ そう? よしっ。
何だか すっかり
気に入っていただけたみたいですね
ご主人に 山登り。
どうかしら~。 続けばいいんだけど。
(裕子)久弥と志げ子も
同じ景色を見てたんでしょうね。
そうですね。
季節は秋の終わりですけど。
前に来た時は 山頂に着く前に
ガスがかかってしまって。
この景色を見せたかったのにって
一緒に登った友人も ガッカリしてました。
そのご友人って 今も山に一緒に
登られるんですか?
いえ。 彼はもう
北海道に越してしまったんで。
彼?
あ…。
あっ あ すいません。
今のは聞かなかったことに。
あっ… いいんです。
別にやましいこともなかったし。
同級生です 高校の。
SNSで再会して
それから何度か 一緒に山へ。
私に山のイロハを
教えてくれた お師匠さんです。
残念ながら
道ならぬ恋のお相手ではありません。
一つだけ うかがってよろしいですか?
なぜ ご主人と この山へ?
私 一度も結婚したことないし
夫婦って何なんだろうなって。
両親とか見てると なおさら。
それは…
私にも分からないわ 立花さん。
(裕子)お見合いで あの人と一緒になって
子供も2人産んで 育てて
去年 上の子が結婚して 孫も生まれて。
それでも まだ分からない。
だから この山に来たのかもしれない。
私も
その答えを知りたいと思ったから。
何なんでしょうね~ 夫婦って。
♬~
(桐谷)裕子さん 君 今 幸せか?
えっ?
(秀雄)裕子! お~い! 裕子!
お~い 裕子!
行きましょうか。
ええ。
♬~
(花奈)
迷ってるくらいなら 電話でもしたら?
したよ もう3回も。
全部 留守電だった。
仕事で山に行ってるとか?
多分 勘違いしたんだと思う 立花さん。
ん?
私のこと 奥さんだと思ったんじゃない?
お兄ちゃんの。
あれってそういう顔だった。
行ってみたら~? おうちに。
ここから近いんでしょ?
行ってどうする?
今更 何 話すんだよ。
それくらい自分で考えなさいよ
もう3回も 電話しちゃったくせに。
だから いつまでたっても
お一人様なのよ?
お前に言われたくないな。
おあいにくさま。
私 結婚するわよ 11月。
はあ?
だから お兄ちゃんの
お手伝いができるのも
これが最後ってわけ。 フフフフ。
さっさと いい人見つけなさい。
どうぞ。
ああ~ いい香り!
山の頂で本格コーヒーなんて
すごいぜいたく!
じゃあ 乾杯。
ん~ おいしい!
ほんっと おいしいわ。 立花さん!
ありがとうございます。
はあ~。
そんな遠くまで行って
一日で帰ってこれるのか?
(裕子)ですから
前の晩は 麓の温泉に1泊して。
♬~
裕子 さっきの本 俺にも貸してくれ。
本って… これですか?
そう それそれ。 ヘヘ。
こう気持ちがいいと
読書の一つもしたくなる。
学生時代を思い出すな~。 うん。
(秀雄)「雨飾山」。
「全ての頂には憩いがある。
数体の小さな石仏の傍らに
私たちは身を横たえて
ただ静寂な時の過ぎるのに任せた。
下から眺めて あんなに美しかった
その2つの耳の上に立った喜びで
私の幸福には限りがなかった」。
♬~
(秀雄)ありがとう。
いい山だった。
えっ?
気に入ったよ 雨飾山。
また来よう。 な 裕子。
ええ…。
♬~
(裕子)いつ行くの? 北海道。
来月。
ふ~ん。
落ち着いたら のんびり
ログハウスでも建てようと思っている。
畑を耕して
いずれは自給自足の生活だ。 ハハ。
いいわね~
桐谷君は どこまでも自由で。
うらやましいわ。
一緒に来たっていいんだぜ。
君さえよければ。
ええ…!?
フッ…。
♬~
お待たせしました~。
待ってました!
湯上がりのキンキンに冷えたビール!
う~!
どうぞ。
ああ~。 ウ~ッ! フフフ…。
山屋の間では これを
下山祝いって言うんです。
下山祝い? はい。
いい言葉だね~。 フフフ。
立花さんは?
あっ 私は運転なんで これで。
裕子さんは まだお風呂ですか?
あいつ のんきに いつまでも…。
ああ お疲れさまです。
あ~ 遅いぞ 裕子。
せっかくのビール 温まっちゃうよ。
ああ ごめんなさい。
じゃあ 泰野秀雄さんと裕子さんの
雨飾山登頂と 無事下山を祝しまして
乾杯!
乾杯! 乾杯。
おめでとうございます。
あ~! あ~ 最高!
こんなにうまいビール
生まれて初めてだよ。 フフフ…!
ありがとね 立花さん。
あ いえいえ。
本当 うれしいです 私も。
ありがとう 立花さん。
この人と2人だけだったら
一体 どんなことになっていたことか。
すてきなガイドさんに恵まれて
感謝します。
ありがとうございます。
あっ じゃあ 私は ちょっと これで。
あ でも…。
いえいえ ご挨拶もあるんで。
お二人で水入らずで ごゆっくり。
また。
はあ~。
お疲れさま。
どうでした? 初めての山。
ああ。 これなら俺でも
なんとか続けられそうだな。
本当?
ああ。 少しは 体を鍛えんと
ダメだけどな。 うん。 フフ…。
そうね。 フフ。
つきあうわ 私も。 それくらいなら。
そういえば…
結婚記念日だったな 今日。
覚えてたの?
忘れてたんだよ。
これ もらって やっと 思い出した。
ありがとう。
今まで やってこれたのは
お前のおかげだよ。
ありがとう。
(すすり泣き)
♬~
どうしよっかな 結婚。
最近 何か考えちゃうんだよね。
本当に これでよかったのかなって。
こんなんで 本当に結婚なんか
できると思う?
今更 何だよ。 自分で選んだ相手だろ。
責任持てよ。
責任って。
お兄ちゃんこそ どうする気?
昔の彼女。 写真展にまで呼んじゃって
無責任なのはどっちよ。
昔の彼女って何だ?
立花さん。
つきあってたでしょ? 大学時代。
ちゃんと知ってるんだから。
ハニー!
ただいま~。 さみしかった~?
よしよし ごめんね。
お父さん ただいま。
まだ働いてんの?
村長に出前を頼まれた。
こんな時間に?
村長だからな。
そっか…。
じゃあ。
お父さん。
ちょっと考えたんだけど。
始めてみない? 山。
ええ?
せっかく こんな所に住んでるんだし。
体力のことだったら大丈夫。
軽い山から始めれば
お父さんでも 全然行けると思う。
ん。 考えとく。
うん 考えといて。
ハニーのこと ありがとう。
おやすみ。
(舘村)ダメだ。
治水事業は村の生命線だ。
去年の台風で
どれだけ被害が出たと思ってるんだ。
治水事業の重要性は分かっています。
だからこそ 早急な検証が必要だと
申し上げているんです。
調査は続けます。
異議がおありなら
議会に提起してください。
あんた この村を潰す気か。
ここは議論の場ではありません。
お引き取りください。
いや~ もう 本当
お恥ずかしいところをお見せしちゃって。
ごめんなさい マスター。
怖い女だと思ってます?
いいえ。 フフッ…。
あかねちゃんも
コーヒーいただきましょ。
あっ 私大丈夫です。
えっ?
お疲れさまでした。
ごゆっくり。
えっ…?
お疲れさまでした。
失礼しま~す。
う~ん。
ああ~。 本当 生き返る~。
マスターのコーヒー。
光栄です。
う~ん。
あっ その写真 20年前。
(昭一)スイスですか。
ええ ええ。
仲間のクライマー4人と遠征して。
アイガーとかマッターホルンとか
登りまくりました。
このころは 本当
怖いものなしだったから。
これ見ると 今でも 闘志が湧くんです。
20年前…。 もしかしてツェルマットの
ホテルにいらしたことは?
ええ~。 8月に2週間ほど
滞在したけど…。 えっ なぜ?
その時 ホテルのバーで
酔い潰れたことは?
ええ…。
(昭一)居合わせた日本人の客が
部屋まで担ぎ上げて。
ああ… 確か
テレビ番組の取材で
ホテルに滞在してる人だった。
一緒に飲んで意気投合して
で 結局…。
結局 朝まで
あなたを介抱するするはめに。
まさか… えっ?
ええっ!? あ… あの時の!?
ええ!?
アッハッハッハッハ…!
アッハ…! アッハハハ そう!?
♬~
急に登りたくなったの 安達太良山に。
息子も連れてくればよかった。
仕事が終わって東京に帰る時が
一番さみしい。
私の心の支えになってください。