森村誠一ミステリースペシャル 終着駅シリーズ37 停年のない殺意[解][字]…のネタバレ解析まとめ

出典:EPGの番組情報

森村誠一ミステリースペシャル 終着駅シリーズ37 停年のない殺意[解][字]

息子の死から崩壊していく幸せな家庭…そこは嘘まみれだった!消えた「7.5cmの幸せ」とは?21年前の屈辱が生んだ前代未聞の復讐劇!!牛尾刑事が辿り着いた哀しい真実とは…

◇番組内容
東京・新宿の公園で若い男性の遺体が見つかった。被害者は文房具メーカーの社長秘書・伊庭崇彦(堀井新太)で、第一発見者の妹・晴美(山谷花純)は、兄から「面白いものを見せてやる」と呼び出されていたと打ち明ける。しかし“面白いもの”とは何のことなのか晴美はまったくわからないと困惑し、父・悌二(尾美としのり)、母・頼子(七瀬なつみ)も心当たりがないという。
◇番組内容2
聞き込みを進めた牛尾は、勤務先の社長・市野清明(国広富之)をはじめ、誰もが崇彦のことを“優秀で素晴らしい青年”とほめたたえるのを聞き、そんな非の打ちどころのない崇彦に実はウラの顔があったのではないかと直感。また、父・悌二がつぶやいた“7.5センチの幸せ”とは何なのか…?調べを進めるうち、平凡な一家に潜む切なくも悲しい真実が浮かび上がっていく…。
◇出演者
片岡鶴太郎、尾美としのり、七瀬なつみ、堀井新太、山谷花純、国広富之、東根作寿英、徳井優、秋野太作、岡江久美子
◇スタッフ
【原作】森村誠一
【脚本】橋本綾
【監督】池広一夫
【チーフプロデューサー】佐藤凉一(テレビ朝日)
【プロデューサー】山川秀樹(テレビ朝日)、目黒正之(東映)、井元隆佑(東映)
◇おしらせ
☆番組HP
 https://www.tv-asahi.co.jp/shuchakueki/

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)

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(伊庭頼子)パパは 昼過ぎに
大洗に行くって言ってたから

そうなったら あんた 1人よ。
大丈夫? 1人で。

(伊庭晴美)大丈夫だったら。
もう 何度も何度も…。

戸締まり 火の元
しっかりやってよ。

あっ そうだ。 あのね

冷蔵庫の中に
ゆうべの残りのね…。

(晴美)ねえ もう 早くしないと
待ち合わせに遅れるよ。

やだ! 本当。 じゃあ 頼んだよ。
じゃあね。

(晴美)いってらっしゃーい。
(頼子)はーい。

(携帯電話の着信音)

はい。 何?

(伊庭崇彦)忘れてないよな?
今日の約束。

(晴美)「忘れてないわよ。
それより お兄ちゃん…」

一体 何? 面白いものって。

来れば わかるよ。
見せてやるから。 じゃあな。

(晴美)パパ。
(伊庭悌二)うん?

今晩 久しぶりに
お兄ちゃんと会うんだけど

お兄ちゃん
おかしな事を言うのよね。

うん? どんな事だ?

面白いものを見せてやるから
来いって。

(伊庭)面白いもの?
(晴美)うん。

それを見ると 最初は
おかしくてケタケタ笑うけど

最後は必ず泣くって言うの。

うん?

いや 「なんの事よ?」って聞いても
教えてくれなくて。

ねえ パパ 心当たりない?
わからんなあ。

(高瀬愛子)頼子!
(新藤久美)頼子!

ああ~!
(愛子)ああ いた いた!

オシャレね 今日も。

(牛尾正直)〈ありふれた毎日〉

〈ありふれた光景〉

〈人の幸せは そんな毎日の中に

そんな光景の中に
あるのではないでしょうか〉

〈その幸せが壊れた時 人は…〉

(パトカーのサイレン)

(カメラのシャッター音)

(大上刑事)伊庭崇彦 25歳。

(大上)市野商会で
社長秘書をしているそうです。

市野商会というと
文房具メーカーの あの?

そうです。

住所は この近くの
ロイグラント新宿 901。

そこで一人暮らし。

死亡推定時刻は
本日 10月9日の金曜日

午後8時頃から10時頃までの間。

所持品は?
(大上)こちらに。

(大上)財布の中には
2万7000円入っていましたし

リュックの中も
物色された形跡はありませんから

もしかして
事件ではなく 事故の可能性も。

(山路刑事)モーさん。

(山路)通報者を待たせているから
頼む。

名前は伊庭晴美。
ガイシャの妹だそうだ。

妹?

(山路)父親は 茨城の大洗

母親のほうは
岐阜の高山に旅行中だそうだ。

(西谷刑事)
ついさっき 連絡がついて

2人とも すぐに
こちらへ向かうと言ってました。

(山路)俺たちは 先に
ガイシャのマンションに行ってる。

大洗からだったら 2~3時間
高山からじゃ この時間だと

5~6時間
かかるんじゃないですか?

牛尾と申します。
大上です。

つらい思いをしましたね。

こんな時に
本当に申し訳ないんですが

少し お話を
聞かせて頂きたいんですが

よろしいですか?

亡くなっていたのは
伊庭崇彦さん

あなたのお兄さんに
間違いありませんか?

間違いありません。

今日は お兄さんに
会いにいらっしゃったんですか?

(晴美)おととい
電話がかかってきたんです。

会いたいからって。

それで 今日の9時に
マンションで会う約束をして…。

約束の時間に行ったんですけど

兄は まだ帰ってなくて…。

それで しばらく
近所をブラブラして…。

あそこを通りかかったら…

そしたら… そしたら…。

お兄さんが倒れていた。

お兄さんと会う約束をしてたのは
9時。

110番通報は
10時18分に入っています。

1時間以上 お兄さんの帰りを
待ってらしたわけですが

今日 どうしても
お兄さんに会わなければならない

特別な事情でもあったんですか?

兄が おかしな事を言ったんです。

おかしな事?

(晴美)面白いものを
見せてやるから 来いって。

それを見ると
お前は 最初はケタケタ笑うけど

最後は必ず泣くって。

(牛尾の声)18万?

去年 入社したばかりの
新入社員に

18万もの家賃が払えるほどの
給料を出すんだろうか

市野商会は。

まだ 親のすねかじり
だったんじゃないのか?

クローゼットの中も

ブランド品のスーツやらシャツが
ぶら下がってる。

牛尾さん。

妹の証言に嘘はないみたいですね。

冷蔵庫の中に これがありました。

これ 妹も
同じ紙袋を持ってましたよね。

(大上)一緒に食べようと思って

買っておいたんじゃ
ないですかね?

兄は兄で用意していて
妹は妹で買ってきて…。

(警察官)
牛尾さん こちらの方が…。

(伊庭)あの… 私 先ほど
連絡を頂きました 伊庭崇彦の…。

お父さんですね?
あっ…。

牛尾と申します。
大上です。

大洗にいらしてたそうですね?
(伊庭)はい。

実家なんです 私の。
母が1人で暮らしてまして。

そうですか。

先ほど 奥さんも
到着されたそうです。

高山にいらっしゃると
聞いたもんですから

随分 早くお見えになったので
ちょっと驚いております。

家内から連絡をもらいました。

今 考えると

虫の知らせだったんじゃ
ないかって…。

虫の知らせ?
はい。

家内は 高校の友人たちと

今朝 早くから
高山に向かったんです。

夕方くらいになると

気がせくというか
心が騒ぐというか

不安でたまらなくなって
結局 夕食も そこそこに

旅行を切り上げてきてしまった
そうなんです。

じゃあ
娘さんから連絡を受けた時

奥さんは
東京へお帰りになる途中だった?

(伊庭)そう言ってました。
そうですか。

(頼子)ああっ…! 崇彦!

あなたの人生
これからじゃないの…。

なのに なんで? どうしてよ…?

ねえ… 起きて 崇彦。 起きて!

起きて…!

あなた…!

(頼子の嗚咽)

(パトカーのサイレン)

(海野鑑識係)遺体が発見された
現場の近くに階段があります。

その上に
争ったようなゲソ痕があり

階段には
血痕が残されていました。

ゲソ痕の靴を特定する事は
できませんでしたが

階段の血痕は 被害者本人のものと
判明致しました。

階段の上で
犯人と もみ合いになり

突き飛ばされ 階段を転落。

死因は

その際に後頭部を強打したための
脳挫傷です。

死体が 階段下ではなく

少し離れた場所で発見されたのは

もうろうとした意識の中で
約20メートルほど歩き

そこで力尽きて
絶命したものと思われます。

鑑識からは以上です。

所持品の事ですが

リュックを物色した形跡も
ありませんし

家族に確認したところ

盗まれたものなども
ないとの事でしたので

物取りの可能性は
薄いと思われます。

現在 残されていた
スマホとタブレットを

調べています。

事件当日のガイシャの動きですが
午前9時に出社

昨日は 社長の市野氏が
山中湖の別荘に行っていて

不在だったため
終日 社内で勤務。

定時の5時に会社を出ています。

夜 秘書室の同僚たちと
飲み会があったため

四谷の居酒屋に直行し

午後7時40分頃
1人で店を出たそうなんです。

ですが 居酒屋を出たのが
午後7時40分頃。

110番通報があったのは
午後10時18分。

その間 およそ2時間半

ガイシャが どこにいたのかが
今のところ 全く。

(坂本課長)2時間半の空白か…。

じゃあ 伊庭さんが1人で

午後7時40分頃 店を出た事は
間違いないわけですね?

(大里典子)間違いありません。

飲み会での伊庭さんの様子は
どうでしたか?

(石川)すごく楽しそうでした。

(石川の声)
なんか 吹っ切れたって感じで。

(牛尾の声)吹っ切れた?
(典子の声)ここひと月の間

伊庭くん
なんか 悩んでたっていうか

不機嫌っていうか

いつも ピリピリした感じ
だったんですけど

ゆうべは すごい楽しそうで
よくしゃべって よく笑って…。

(高杉の声)で 悩みが
解決したんだなって そう…。

どんな事で悩んでいらしたか
わかりますか?

いいえ それは…。

でも かなり深刻な事だったと
思いますよ。

じゃなきゃ
あんな八つ当たりは…。

(エレベーターの到着音)
(市野清明)ハハハ…。

ああ わかったよ。
なんとかしてみる。 ああ じゃあ。

伊庭くん。
(崇彦)はい。

今日 7時から会食だが それ…。

君 そのリュックで行くつもりか?
(崇彦)そうですけど。

みっともないから
そんなもの 処分しなさい。

君がそんなじゃ 私が ろくに
給料払ってないようじゃないか。

うっせえなあ。

僕が何を持ってようが そんな事
あんたに関係ないだろう。

仕事 ちゃんとやってんだから!

ハハハハハハッ!

いやあ 結構 結構。

社長に意見するとは
実に頼もしい。

ハハハハハ…。

これからも
その元気でいってくれ。

さあ 行こう。

(典子の声)うちの社長は
ワンマンで有名なんです。

ですから あの時は
もう本当にびっくりして…。

社長さんに気に入られていた
そういう事ですか?

総務の伊庭部長の息子さん
だったからだと思います。

市野さんと伊庭さんのお父さんは
特別な関係なんですか?

(典子)社長と伊庭部長は
大学の同期で

クラブ活動も
一緒だったそうなんです。

部長の奥さんも
当社で働いてらして

結婚の際には 社長は

自分が 2人の
恋のキューピッドをしたんだから

仲人をするとおっしゃって。

(市野)
今でも まだ信じられません。

崇彦くんが
あんな事になるなんて…。

市野さんは ひと月ほど前

伊庭さんに
怒鳴られたそうですね?

えっ?

ああ… ハハッ…
あの時の事ですか。

正直 驚きました。

でも ちょっと嬉しかった。

息子の事を思い出して…。

崇彦くんと同い年でした。

だが 2年前 バイクの事故で…。

息子が生きていてくれたら

あんなふうに
怒鳴ったんじゃないかって思えて。

ハハハ…。

同僚の方たちが

伊庭さん 何か
悩み事を抱えていたようだと

おっしゃってたんですが

その事について 何か
心当たり おありになりませんか?

いえ。 私には
そんなふうには見えませんでした。

最後に もう一つだけ。

これは
皆さんにお伺いしてるんですが

昨日 10月9日 金曜日
午後8時頃から10時頃までの間

市野さん どちらに?

山中湖の別荘におりました。

(大上)優秀で 優しくて
思いやりもある よくできた青年。

ガイシャの事を悪く言う人は
一人もいませんでしたね。

そういう人間には 必ず
誰にも見せない裏の顔がある。

そんなふうに
思ってしまうんですよね。

長年 犯罪者ばかり見てきた
弊害ですかね。

〈同じ事を感じていました〉

〈伊庭崇彦には

決して誰にも見せない別の顔
裏の顔があったんじゃないか〉

〈事件当日の空白の2時間半は

その顔と
関係してるのではないか〉

〈かすかな疑惑を抱えたまま

私たちは
本格的な捜査に入りました〉

(山路)ありがとうございました。

すいません。

♬~

どうも はっきりしませんね。

うん…。

♬~

伊庭崇彦名義で
去年の7月から先月の9月まで

合計750万の金が入金されている。

去年の7月に
50万の金の入金から始まり

次の月には 30万
さらに次の月には 60万等々。

日付と金額は一定していないが

先月の9月まで
合計750万の金が入金してあり

10月8日に
全額が引き出されている。

なんか 悪意を感じますよね。

引き裂いた上に
側溝に投げ込むなんて。

やっぱり ガイシャには 裏の顔が
あったんじゃないですかね?

裏の顔?
例えば

誰かの弱みを握っていて
それをネタに ゆすっていたとか。

確かに まっとうな金じゃ
ないような気がするな。

遅くなりました!

10月8日 九十九銀行 四谷支店で
全額 下ろされてます。

下ろした人間は?

本人です。
伊庭崇彦自身が下ろしている。

いずれにしても
こういうものが出てきた以上は

捜査方針を見直さざるを得ない。

この金が どこから出て
どこへ消えたのか。

伊庭崇彦という人物を洗い直す。

去年の7月から先月まで
合計750万の金が入金されてます。

ですが 10月8日
殺害される前日ですが

その日に 息子さんは
750万 全額を下ろしています。

何に使われたか 見当は…?

申し訳ありません。
私には 全く…。

でしたら… 例えばですが

息子さんが誰かの秘密 あるいは
弱みのようなものを知っていて

その事を…。

息子が誰かをゆすったと
おっしゃるんですか?

いえ そういうわけじゃ
ないんです…。

あり得ません。
あの子は… 崇彦は

そんな事をするような子じゃ
ありません。

もう一度 事件当日の事について
確認させて頂きたいんですが

あの日 伊庭さんは
大洗のご実家に

行っていらっしゃったん
ですよね?

(伊庭)はい。 実家の母が
足の怪我で入院してまして。

翌日 ようやく
退院となったものですから

あの日の昼に大洗に行って

病院で1時間ほど 母と過ごして
それから実家に帰りました。

(大上)奥様と娘さんにも

もう一度
お話を伺いたいんですが。

(伊庭)家内は
崇彦のマンションにいます。

あそこで待っていれば

崇彦が戻ってくるような気がする
と言って…。

(大上)お嬢さんも ご一緒ですか?

(伊庭)いえ 晴美は大洗にいます。

母の事が心配だったものですから
それで。

わかりました。

じゃあ 我々は これで。

あのケーキが
お好きだったんですね 息子さん。

息子さんの部屋の
冷蔵庫の中にもあったんです

あのケーキ。

会うのが久しぶりって
おっしゃってましたから

妹さんと一緒に食べるつもりで
用意してあったんでしょう。

晴美さんも同じ思いだったようで

あのケーキ
買ってらっしゃいましたから。

7.5センチの倖せ…。

えっ…?

小さい頃から あのケーキが
大好きだったんです 2人とも。

(伊庭の声)家内が
切り分けて出してやると…。

お前のほうが5ミリ大きい!
そんな事ないもん!

お兄ちゃんのほうが
3ミリ大きいもん!

じゃあ 交換こしよう。
嫌だ!

(崇彦)なんでだよ!
(晴美)晴美のだもん!

ほら! また やってる…。

(崇彦)だって こいつのほうが
5ミリ大きいのに…。

だったら いっその事

定規で測って
自分たちでカットしなさい。

喧嘩しないように
きっちり平等にして。

(伊庭の声)そうして

次に 家内が あのケーキを
買ってきた日に 崇彦が…。

全体の長さが… 30センチだから

4人で分けると

一人… 7.5センチだ。

これが 晴美の7.5センチ。

なんだか楽しそうね。

7.5センチの倖せだな。

(伊庭の声)それからは

いつも崇彦が
カットするようになって…。

(伊庭)あのケーキの事を

我が家では
「7.5センチの倖せ」って そう…。

失礼します。

刑事さん。

死刑ですよね?

…はい?

人ひとりを殺したんです。

絶対に死刑ですよね? 犯人は。

♬~

〈何度 同じ言葉を聞いただろう…
そう思っていました〉

〈子供が殺された親が
必ず口にする言葉です〉

〈ですが たとえ犯人が
死刑になったとしても

親の悲しみは…〉

〈人が人を殺す

その無残さを思っていました〉

(伊庭の嗚咽)

♬~

失礼ですが…。

新宿西署の牛尾と申します。

伊庭崇彦さん
ご存じなんですか?

(愛子)いえ 直接には…。
実は 私たち

お母さんの頼子さんと
高校の時から友達なんです。

実は 崇彦さんが亡くなった時

一緒に
旅行に行ってたもんですから

それで…。
じゃあ 高山へ?

(愛子)ええ そうですけど…。

(久美)今も話してたんですよ。

虫の知らせって
本当にあるのねって。

伊庭さんの奥さんが
旅行を切り上げられたのは

旅行に出た日の夕方…
確か 夕飯頃でしたね。

(愛子)違いますよ。
彼女が 私たちと別れたのは

昼食を済ませたあとですから。

(久美)そうそう… 1時半ぐらい
だったと思いますけど。

(愛子)
朝 言われたんです 彼女に。

私 途中で
帰る事になるかもしれないけど

その時は よろしくね。
ええ? どうして?

気にしないでね。
何かあるの?

そうなの。 あの…
主人の母が入院してるのよ。

もしかしたら そっちに行かなきゃ
ならなくなるかもって…。

それは 間違いありませんか?

(愛子)間違いありません!

(チャイム)

(チャイム)

いないみたいですね。

♬~

(中村) 顔の印象はね 変わるのよ

歯で

顔の印象はね 変わるの

歯 で

<ライオンが本気で作った美白ハミガキ>

<その名も「ライティー」>

(濱田)ちょっとー!
この除菌できる洗剤 速乾じゃない!

≪フキンの菌が 食器につくかも!?≫

除菌できる洗剤は 速乾でしょ!

置くだけで乾いてく ≪清潔≫

≪速乾プラス カラッと除菌!≫カラッと除菌!

何が 虫の知らせだ。

虫の知らせなんて
嘘っぱちだったって事ですよ。

高山で 友人たちと別れたのが
午後1時半頃。

娘さんのメールに気づいて
連絡してきたのが 午後10時半頃。

約9時間ある。

その間 一体 どこにいたのか…。

嘘の証言までしたんですから

どこにいたかは
我々には もちろん

ご主人にも絶対…。

牛尾さん… もしかして
不倫なんじゃないですかね。

友人たちとの旅行にかこつけて
実は 不倫旅行に…。

奥さんが 署に到着したのは

娘さんと連絡ついてから
約2時間後だったから

署から2時間で行ける場所にいた
という事になる。

車か電車かで
かかる時間は違いますけど

2時間だったら 署を中心にして
半径100キロから150キロ見当。

となると…。

北は日光 東は銚子ぐらいで
西は静岡 富士山ぐらいですかね。

富士山…?

山中湖…。

山中湖?

牛尾さん… 社長ですか?

不倫の相手は
市野商会の市野社長?

当たりですよ 牛尾さん。

通帳の出所不明の750万 あの金

母親と社長との不倫に気づいた
ガイシャが

その事をネタに 市野を脅して…。

だから
社員たちの前で怒鳴られても

何も言えなかったんですよ
市野は。

大上は この足で
山中湖へ飛んでくれ。

水族館?
(伊庭君江)んだ。

(君江)水族館さ
アルバイト行ってるんですよ あの子。

でしたら 水族館のほうへ…。

ああ あの… こちらで
お待ちになったほうがいいですよ。

あの子 もうすぐ帰ってくるから。

今でも まだ信じられねえんだ。

崇彦が もう いねえなんてよ…。

崇彦さんは こちらへ
よく いらしてたんですか?

ちっちゃい時は よく来てた
晴美も一緒に。

でも 中学生ぐらいになると
いつも機嫌が悪くてな。

息子は
5歳の時に父親亡くしてるから

父親っつうものが
どういうものなんだか

よくわかんなかったんだと
思うのね。

初めての子だし
男の子だったから

いい子に育てようと思うあまり
厳しい しつけをして

それに
崇彦が反発するようになって…。

厳しい しつけはしても

息子は 間違いなく
いい父親だったよ。

本当に あの子の事
大切にしてたもの。

ただ 愛情表現が下手くそで

そういう思いが 崇彦には
伝わらなかったんだね…。

崇彦のほうも そう。

愛情表現が下手で…
よく似てんのよ あの2人。

だから お互いに
気持ちが うまく伝わらなくて

ギクシャクして…。

ただ そういう時期を通り過ぎて

崇彦は 最近
すごく優しくなって…。

ひと月ぐらい前だったかな
ふらっと現れて…。

ひと月ほど前?

会社 辞めようと思ってるって。

なんか もう
アップアップなんだよな。

アップアップって あんた…

勤め始めて まだ
1年とちょっとだっぺ?

それなのに もう?

俺 爆弾なんだ。

(君江)爆弾?

強力だけど 少し悲しい爆弾。
(君江)はあ?

あんな会社なんか
粉々に吹き飛ばすぐらい

威力のある強力な爆弾
って事だよ。

だから 辞めたいんだ。

爆発してしまう前に…。

(君江)それ以上 何 聞いても

余計な事 しゃべっちったって…。

パパやママ
それから もちろん晴美にも

この事は絶対内緒にな って…。

そんな事 知ったら

みんなが つれえ思い
するだけだからって…。

強力だけど 少し悲しい爆弾…。

〈その「爆弾」の意味が
わかり出し始めていました〉

〈被害者には
やはり 裏の顔があった〉

〈そう思いました〉

(晴美)ただいま。

おばあちゃん 夕ご飯の材料…。

崇彦さんとは あの日の夜9時に
会う約束だったけど

連絡が取れなかったので

約1時間ほど
近所をブラブラして待っていた。

そうでしたね?

ええ そうです。

その間 どちらかに
いらっしゃいませんでしたか?

例えば 喫茶店とかコンビニとか。

本屋さんに行きましたけど…。

駅の近くにある 開本堂です。

あそこは
遅くまでやってますから。

開本堂… わかりました。

それから もう一つ

お兄さんが おっしゃってた
「面白いもの」の事ですが

何かわかりましたか?

わかりません 全く。

こっちに来てからは
毎日毎日 ここへ来て

兄に聞いてるんです。

なんだったの?
何を見せたかったの? って…。

♬~

(晴美の声)おばあちゃんの家に
遊びに来てた時

父に叱られると
兄は 必ず ここへ来て

この岩に座って 泣いてた。

私… 兄が かわいそうで

慰めたくて ついてくるんだけど

隣に座ると 兄が怒るから

反対側に座って 一緒に泣いてた。

(晴美の声)そのうち
お兄ちゃんが笑い出すの。

お前の泣き方は変だ

顔がおかしいって。

(晴美の声)そしたら
私も嬉しくなって…。

♬~

7.5センチの倖せ。

今朝 お父さんから伺いました。

7.5センチの倖せのお話を。

父が… その話 したんですか。

晴美さんは あの日
お兄さんと一緒に食べるつもりで

あのケーキを
買ってらっしゃったんですよね。

ええ。 そうですけど…。

崇彦さんも
同じ思いだったようです。

マンションの冷蔵庫の中に
ケーキが用意してありましたから。

えっ…?

恐らく 7.5センチに
カットされてたと思います。

きちんと
4つにカットされてましたから。

本当に…。

本当に 兄が あのケーキを
用意してたんですか?

ええ そうですけど?

だったら…。

だったら…。

市野商会の市野清明社長と

ガイシャの母親
伊庭頼子との関係ですが

不倫関係にあると見て
間違いないと思います。

かあ~!
事件当夜 伊庭頼子は

タクシーで署まで駆け付けた
という事だったので

別荘地近くのタクシー会社を
当たってみたんです。

そしたら 当たりでした。

ああ~ この人 この人!

長距離だし 行き先は
新宿の警察だって言うし…。

それに その人の様子が
おかしかったから

よく覚えてますよ。

(頼子)嘘よね?
なんかの間違いよね?

ああ… でも もし本当だったら…。

バチよ…
バチが当たったんだわ 私。

話の内容から考えると
電話の相手は市野

そう考えていいんじゃ
ないでしょうか。

だとすると
随分 冷酷な男だな

その市野って奴は。

息子が殺されたという
連絡を受けて

ショックを受けている
愛人と一緒に

東京まで行ってやる事は
ないと思うよ。

でも せめて タクシーの
手配ぐらいしてやるのが

普通なんじゃないのかな。

なのに そんな事も…。
(大上)そうなんです。

私も そこが引っかかったんで
調べてみたんです。

そしたら
別荘を管理してる事務所は

午後7時に
別荘地内を巡回した時には

もう すでに 市野の車は
なかったと言うんです。

事件当夜 市野は
別荘にいなかったって事か?

市野は 別荘にいたと
言っています。

ですが 車の事等を考え合わせると
彼のアリバイは崩れた

そう考えていいんじゃ
ないでしょうか。

ちょっと待てよ…。
確か ガイシャの携帯の履歴に…。

(山路)崇彦は
事件当日の午後5時12分に

市野に電話をかけてますね。

ガイシャに呼び出されて
東京に戻ったんじゃないですかね。

5時頃 山中湖を出たとすると
東京に着くのは 8時前後。

ガイシャの空白の2時間半を
埋められる可能性が。

モーさん。

ガイシャは自分の事を
爆弾だと言ったんだよな?

会社など
粉々に吹き飛ばしてしまう

強力な爆弾だって。

そうです。

爆発してしまいそうだから
会社を辞めたい。

そう言ってたそうです。

これで 決まりなんじゃ
ないですかね。

やはり ガイシャは
市野と母親との不倫をネタに

市野を脅していたんですよ。

市野にしてみれば

伊庭崇彦は
まさに 爆弾そのものだよな。

もし 爆発して そんな事が
表沙汰にでもなってしまったら

それこそ 自分も会社も バンだ!

だから
爆発する前に 自分の手で…。

そういう事じゃないですかね。

よし。 問題は証拠だ。

明日からは 徹底的に
市野をマークだ。

(西谷)牛尾さん。

伊庭晴美のアリバイ
確認 取れました。

これ… 証言どおり

事件当日の午後9時38分に
開本堂の店内へ入り

10時7分に店を出ています。

(踏切の警報音)

〈被害者の裏の顔

いずれ その事を知る事になる

父親の 母親の 祖母の

そして 妹のショックと悲しみを
思っていました〉

崇彦さんも
同じ思いだったようです。

マンションの冷蔵庫の中に
ケーキが用意してありましたから。

♬~

♬~

(頼子)勝手な事だって事は重々…。

でも 私 どうしても…。

♬~

あなた…。

本当は もっと前に
こうすべきだったんだ。

あの時に…。

(頼子)あの時?

(大上)本当の事を
話して頂けませんか 市野さん。

あなたは 伊庭さんの奥さん
伊庭頼子さんと

不倫の関係にあった。
そうですよね?

事件当日 午後5時12分
被害者の伊庭崇彦さんから

あなたに
電話がかかってきてますよね。

あの夜 あなたは

崇彦さんに 呼び出されたんじゃ
ないんですか?

崇彦さんは あなたと母親の関係に
気づいていて

この金を あなたから
むしり取っていた。

あなた方は
大事な事を忘れてらっしゃる。

いや ご存じないんだろう。

(大上)何をです?

私はね
伊庭くん夫婦の仲人なんですよ。

(大上)そんな事が なぜ?

夫婦の間で
何か もめ事があったら

仲人のところへ行って相談する。
これは 世間の常識でしょう。

伊庭くんの奥さんが
私の別荘にいたからといって

即不倫と決めつける。

全く 非常識も甚だしい。

(市野)怒る気にもなれませんよ。

おっしゃるとおりです。

仲人した人の奥さんが 夜

市野さんの別荘に
いたからといって

即不倫と考えるのは 浅はかです。

ですが 市野さんは
仲人としては失格ですね。

(市野)えっ?

仲人として
絶対にしなければならない事を

してらっしゃいませんから。

(市野)何を?

息子さんの死を知り

不安で動揺している
奥さんに対して

市野さんは
なんのサポートもせず

奥さんを1人で東京へ帰させた。

そういう事になりますね。

仲人だったら 当然
奥さんに付き添って来て

力を落としてるはずの
伊庭さん一家を

慰め 励ます役目を

すべきだったんじゃ
ありませんか?

ですが あなたは
そうはしなかった。

いや できなかったんです。

奥さんに
息子さんの死の連絡が入った時

あなたは 別荘には
いなかったからです。

違いますか?

事件当日の午後7時前から

別荘に あなたの車がなかった事は
確認済みです。

改めて お聞きします。

事件当日の
午後8時頃から10時頃までの間

あなたは どちらに
いらっしゃいましたか?

5時12分に

伊庭崇彦さんから かかってきた
電話の内容を話してください。

お答え頂けないんでしたらば
署のほうへ。

(ため息)

自宅にいた。

(市野)夕方5時過ぎか。

取引先とのトラブルが起こったと
連絡が入った。

崇彦くんからの電話も その事だ。

8時過ぎに自宅へ戻って

夜中まで 1人で
その処理をしていた。

証人はいますか?

いや…。

あっ いる。 息子だ。

息子?

市野清和。

(市野)これと同じ写真が
自宅の居間に置いてある。

この子が見ていたはずだ。
この子に…。

どうやって聞きに行けって
いうんですか?

2年も前に亡くなってるのに。
ふざけてんのか あんた!

♬~

ふざけやがって。
死人が証人だなんて。

でも これで決まりですね
牛尾さん。

間違いなくホンボシですよ
あの男。

だから 苦し紛れに あんな事…。

写真。

♬~

錯覚か…。

♬~

(牛尾の声)似ている…。

赤の他人なのに なんで…?

爆弾…。

(崇彦の声)俺 爆弾なんだ。

強力だけど 少し悲しい爆弾。

まさか…。

まさか そんな事が…。

あの日の夕方

あの子
あそこで なんか燃やしてたわ。

何 燃やしてんだ? って聞いたら
鎖 燃やしてんだって。

鎖を?

でも 鎖なんか燃やしてなかった。

燃やしてたのは
書類みたいな紙だったから

私 言ったんだ。
「紙だっぺ それ」って。

そしたら あの子…。

実は鎖なんだ これ。

血の鎖 DNAの鎖

俺たちをがんじがらめにする鎖…。

〈血の鎖 DNAの鎖

自分たちを
がんじがらめにする鎖…〉

♬~

〈伊庭崇彦は

自分の出生の秘密に
気づいていたのだと思いました〉

〈本当の父親は伊庭悌二ではなく

市野であるという事に〉

〈そして 2人の父親の間で

怒り 悲しみ 悩み 揺れ動き…〉

〈それが 伊庭崇彦の
裏の顔だったのです〉

〈決して 人には見せない
孤独な裏の顔〉

(足音)

申し訳ありません
お呼び立てして。

いえ。 こちらこそ
こんな所に来て頂いて。

ここ 崇彦と
よく来た場所なんです。

あの子
小さい頃は飛行機が大好きで

大人になったら
パイロットになるから

パパとママと晴美は
タダで乗せてあげるねって。

なんでしょうか?
お聞きになりたい事って。

崇彦さんは
伊庭さんのお子さんですか?

(頼子)えっ?

崇彦さんは
伊庭さんのお子さんではなく

本当は 市野商会の市野社長の…。

(頼子)なんなんですか あなた。
なんで そんな事…。

おかしな事 言わないでください。

あの子は伊庭の子です。
伊庭以外 父親はいません!

(飛行機の飛行音)

(頼子)あの子を妊娠した時

私 すごく嬉しかった。

でも 市野は

私と結婚する気なんて
なかったんです。

その時には もう

東阪銀行の頭取のお嬢さんとの
結婚が決まってましたから。

選択肢は2つしかない。
市野は そう言いました。

中絶するか お腹の子はそのままで
誰かと結婚するか

どちらかを選べって。

市野が目を付けたのが
伊庭だったんです。

伊庭が 私に
好意を持ってくれている事は

市野も気づいてましたし
私もわかってました。

この人なら だませる。

なんにも気づかず

お腹の子を自分の子供として
大切に育ててくれるだろうって。

伊庭は まさに
そのとおりの事をしてくれました。

本当に いい父親でした。

そんな伊庭を
私は裏切ってたんです。

(頼子)
伊庭は なんにも気づいてない。

そう思ってました。 でも…。

本当は もっと前に
こうすべきだったんだ。

あの時に…。

(頼子)あの時?

♬~

知ってたよ 崇彦の事は。

俺じゃなく 市野の子だって事は
21年前から知ってた。

あの子が4つの時に…。

だったら どうして?
どうして 今まで その事を…。

市野に復讐するためだ。

どんな復讐をすると
おっしゃったんですか?

伊庭さんは。

奥さん
伊庭さんは どんな復讐を?

刑事さん お願いがあります。

♬~

なんですか 刑事さん
こんな時間に。

どうして嘘をついたの?

えっ?

崇彦が死んだ日の夕方。

(頼子の声)なんだか ひどく
慌ててるみたいだった あなた。

トラブルが起きた。
これから すぐに東京へ戻る。

(頼子)えっ?

事によると 今夜は
ここへ戻れないかもしれない。

(頼子)だったら 私も一緒に…。
駄目だ!

あの電話 崇彦からだったのよね。

ああ 確かに あの電話は…。

あなた あの夜
崇彦と会ったんじゃないの?

いや 私は…。

(頼子)刑事さんの前で
本当の事 言って。

ねえ あなたじゃないわよね?
あなたが崇彦 殺したんじゃ…。

なんで私が あの子を…。

崇彦くんを殺すような事…。

(頼子)ごまかしても無駄だわ。
刑事さんは もうご存じだから。

崇彦が 伊庭の子供ではなく
あなたの子供だって事は。

(頼子)ちゃんと話して。
あの日の夜

あなたは崇彦と会った。
そうなんでしょ?

(ため息)

爆弾が爆発しそうだから
すぐに戻ってきてほしい。

そう言ってたんだ。

爆弾!?

会社にか?

(市野)
「会社に仕掛けられたのか!?」

違いますよ。 爆弾は僕ですから。

お前が爆弾?

崇彦 爆弾って どういう事だ?

とにかく
すぐに戻ってきてください。

8時頃 社長の家で待ってます。
じゃ。

おい 崇彦。 崇彦!

何がなんだか わからなかった。

だが 気になったから帰ったんだ。
そしたら…。

どうしても今日中に返したくて。

(市野)えっ?

通帳を作って
それに入れてたんですけど

その通帳は この前 腹立って

破って捨ててしまったので
金だけ。

(市野)ハッ… どういう事だ?

崇彦 この金はな
お前に小遣いとして やった金だ。

返す必要などない。

もう やめる事にしましたから。
えっ?

会社も
社長の息子もどきの生活も。

ハハッ… もどきのって
一体 何を言ってるんだ? 崇彦。

社長に 市野商会に来ないかと
誘われた時

ちょっと興味があったんです。

本当の父親っていうのは
どんな感じのもんなんだろうって。

育ての親とは違うのかなって。

それで?
(崇彦)それで…。

もう十分に わかったから

これ以上
ここにいる必要はない…。

いいか 崇彦。

お前が どう思おうと
人が なんと言おうと

お前は私の息子である事には
変わりない。

そんなに大事だったら…

捨てるべきじゃ
なかったんですよね。

しかも おたくは
人として 一番最低な…

一番卑怯な方法で
僕と母を捨てた。

だったら

今度は僕が おたくを捨てる番だ。
違いますか?

ショックだった。

崇彦が帰ってから
ここにいて ずっと考えてた。

どうすれば
あの子を取り返す事ができるか。

嘘じゃない。

私は あの子を殺したりなんか…。

殺した奴は わかってる。

伊庭だ。

あいつが あの子を殺したんだ。

あの人には

崇彦 殺すような理由なんて
ないわ。

ある!

復讐だ。 俺に対する復讐だ。

あいつは 崇彦が
俺の子だという事を知っていた。

お前と あの子を押しつけられて
俺を恨んでたんだ。

俺の子を…。

唯一残った俺の子を殺す事は
最大の復讐じゃないか。

あの人の復讐なら
もう済んでるわ。

21年かけて 徹底的に

あなたに復讐したんだから
あの人は。

どういう事だ? それは。

(頼子)実に見事な復讐だ
って思った。

あの人らしい復讐だって。

〈前代未聞の復讐〉

〈そう思いました〉

〈21年という時間をかけ

誰ひとり 傷つける事なく

誰ひとりに知られる事なく

自分をおとしめた男に対して
行われた

ひそやかな

けれど 徹底した復讐〉

〈この人は やり遂げたのだと
思いました〉

〈自分自身の復讐を〉

すごい人だ。

なんで持ってないんだろう?

(晴美)ケーキの事?
ええ。

晴美さんは あの日
お兄さんと一緒に食べるつもりで

八王子の自宅を出る時に

ケーキ屋さんへ寄って
あのケーキをお買いになった。

そうでしたね?
ええ そうですけど それが何か?

だとすると ちょっと
おかしな事になるんですが…。

これなんですが。

この写真は 開本堂の
防犯カメラのものなんです。

晴美さん ケーキの入った紙袋を
持ってらっしゃらないんです。

ああ… あの時は
コインロッカーに入れてましたから。

いつ お入れになったんですか?

本屋さんに入る前です。

でも たったの29分ですよ。

えっ?

あなたが本屋さんに入ったのは
午後9時38分

店を出たのは10時7分。

その29分だけのために
わざわざコインロッカーに?

入れたら いけないんですか?

5分だろうが10分だろうが

忘れたら大変だと思ったから
入れておいたんです。

時間なんて関係ないわ。

もう いいですか。

(高木)10月9日?

10月9日 金曜日の
午後7時頃なんですが

その女性が このケーキを買ったと
言ってるんですが

間違いありませんか?

10月9日なんて

そんな10日も前の事
覚えちゃいねえよ。

ゆうべ 何 食ったのかだって
覚えちゃいねえんだから。

防犯カメラ ありましたら…。

そんなの ありゃしねえよ
うちには。

(高木洋子)ねえ お客さん
今 10月9日って言った?

ええ。 この女性なんですが
覚えてませんか?

10月9日って
ほら あの人が来た日だよ。

いい話だって
あんた すごく喜んで

10月9日は
7.5センチの日って呼んで

サービスデーにしようって。

(高木)そうか 7.5センチの日か。

7.5センチの日?

(高木)このケーキ 買いに来た客から
聞いたんだけど

その人のお子さんたちが
このケーキが大好きなんだってよ。

奥さんが
カットして出してやると

必ず 喧嘩するんだって。
ウフフフッ…。

(伊庭の声)だったら いっその事

定規で測って
自分たちでカットしなさい。

喧嘩しないように
きっちり平等にして。

〈伊庭は 事件当日は大洗にいて

どこにも行っていないと
証言した〉

〈けど 本当は 八王子に行き
あのケーキを買っていた〉

〈なぜ そんな嘘を…〉

〈彼には 息子を
殺さなければならないような

理由などない〉

〈だったら なぜ
アリバイを偽証したりした?〉

〈誰かをかばっているのか?〉

〈それとも…〉

面白いもの…。

父親?

ホンボシは伊庭悌二。

彼と見て
間違いないと思います。

はあ?

動機は?
動機は 一体 なんなんだ?

父親が息子を
殺さなければならないような

動機があったっていうのか?

「面白いもの」だと思います。

(山路)「面白いもの」って

事件当日にガイシャが
妹に見せると言った あれか?

最初は笑うけど
最後は泣くっていう。

あの日の朝 伊庭は
娘から その事を聞いています。

娘には 心当たりはないと
言ったそうですが

彼には心当たりが
あったんだと思います。

一体 なんなんだ? モーさん
その「面白いもの」っていうのは。

鑑定書だと思います。

鑑定書?

伊庭崇彦と市野清明の
親子関係を調査した鑑定書です。

ガイシャと市野の親子関係って
それ 一体…?

伊庭崇彦は
伊庭悌二の息子ではなく

市野商会の市野清明の子供です。

(捜査員たちのざわめき)

ちょっと待ってください
牛尾さん。

あの父親がホンボシだなんて
あり得ませんよ。

この前 あの人
犯人は死刑だって言ったんですよ。

人ひとり殺したんだから
絶対に死刑だって。

自分自身に死刑の判決を下した。

そう思ってる 私は。

自分自身に死刑って
それ 自殺するって事か?

そのつもりでいると思います。

モーさん 証拠はあるのか?

伊庭悌二が
ホンボシであるという証拠。

証拠はありません。

ですが 証人はいます。

証人?

伊庭悌二の犯罪に
気づいている人物が

一人だけいます。

伊庭は その事に
気づいてはいませんが…。

パパ チョコ チョコ。

(一同の笑い声)
さあ 食べよう。

(晴美)嫌だ!
なんでだよ!

もう 嫌だ!

(崇彦)いい感じ?

♬~

(携帯電話の着信音)

どうした? 晴美 こんな時間に。

(晴美)「うん…。
どうしてるかな? って思って」

どうもしてないよ。
なんとなく 空 見てた。

ママから連絡があった。

パパと離婚したって…。

「詳しい事は
落ち着いてから話すけど…」

悪いのは全てママで…

パパは
ちっとも悪くないのよって。

パパを大事にしてあげてって。

「パパ…? パパ?」

「聞いてる?」

聞いてるよ。

私…

パパを大事にするからね。

「ずっとずっと大事にするからね」

「晴美…」

もう遅いから寝なさい。

パパも もう寝るから。

わかった。

じゃあ もう寝るね。

また明日。

「おやすみ」

おやすみ。

♬~

(泣き声)

(夫)
<妻が妊娠。 わが家は自給自足を決意した>

まずは井戸だ!

<水は出なかった。
しかし僕の心には火がついた>

<牛を飼い 稲を植え…>

<鶏を飼った>

自給自足 サイコー。
(妻)はぁ…。

<石を削り 布を織り 時は流れた>

<そして ある日 力尽きた>
これだけ…。

<というわけで わが家の自給自足は

電気だけ
ということになった>

<電気を自給自足する家。 大和ハウス>

(足音)

よろしいですか?
どうぞ。

お引っ越しですか?

あ… 家内は実家に帰ったし

晴美は 大洗で暮らす事に
なりましたので

この家は もう…。

今日は何か?

伊庭さんに
出頭して頂きたいと思って。

はい?

伊庭崇彦さん

息子さんを殺したのは あなただ。

そうですね?

証拠があるんですか?
私が崇彦を殺した証拠。

7.5センチの倖せです。

えっ?

事件当日の午後7時頃

あなたは高木ベーカリーへ行き
あのケーキをお買いになった。

いえ 私は
あの日は ずっと大洗にいて…。

そして 崇彦さんに会い
そのケーキを崇彦さんに渡した。

刑事さん。

崇彦さんは
そのケーキを持ったままで

あなたに殺されたんです。
いい加減に…。

ですが 我々が現場へ臨場した時

息子さんの手から
あのケーキは消えていました。

あなたがお買いになった
あのケーキを持っていたのは

晴美さんです。

晴美…?

崇彦さんの死体を発見した時

晴美さんは あのケーキは
自分と一緒に食べるために

崇彦さんが
買ってきてくれたものだと

思い込んだんです。

ここに そのまま残しておいたら

警察は そのケーキを
持っていってしまう。

そう思ったんだと思います。

証拠を隠蔽する意図など
全くなく

ただ 抱きしめていたかったんだと
思います。

お兄さんの思いを。

そして 私たちには

崇彦さんと一緒に食べるために
自分が買ってきたものだと

嘘の証言をなさったんです。

すでに用意してあったんだったら

崇彦さんが同じものを
もう一つ買うわけはない。

だったら 一体 誰が買い

なぜ 崇彦さんが
それを持っていたのか。

答えは すぐ出たはずです。

父親か母親。

朝早く
高山へ出かけていった母親に

ケーキを買う時間はない。

けれど 父親だったら…。

晴美さんは

あなたが なぜ
崇彦さんを殺したのかまでは

気づいていらっしゃらないと
思います。

でも
目をつむる決心をしたんです。

あなたの共犯者になる
決心をしたんです。

共犯者?

私 パパを
ずっと大事にするからね。

ずっとずっと大事にするからね。

そんな晴美さんを残して

あなたは
死ぬ事ができるんですか?

放り出せるんですか?

崇彦さんが
あなたのお子さんではなく

市野さんのお子さんだった
という事は

奥さんから聞いて 知っています。

あなたが 21年も前から
その事をご存じだったという事も。

伊庭さん 話して頂けませんか?

あの夜 一体 何があったのか。

付き合ってください。

何から お話ししましょうか。

やはり あの日がいいですよね。

全ては
あの日から始まったんですから。

(男性)年に一度の
ファミリー感謝祭 いいね。

子供たちは 本当 楽しそうだ。

(男性)
そういえばさ お前 見たか?

総務の伊庭課長んとこの男の子。

見た 見た。 よく似てるよな
社長んとこのガキに。

やっぱり 本当なんじゃないのか?
あの噂。

(男性)本当だったら
すげえよな 社長も。

てめえの子供 はらんでる女を
伊庭課長に押しつけて

仲人やったっていうんだからさ。

(男性)けど 伊庭課長のほうは
彼女に惚れてたから

社長に涙ながらに
感謝したって話だぜ。

(伊庭の声)信じられませんでした。

そんな事があるはずはない。
そう思いました。

でも…。

♬~

(市野清和)これ 美味しいね。
(崇彦)うん。

♬~

(伊庭の声)どうすればいいか
わからなかった。

(伊庭の声)
あの時 決心したんです。

私をこんな思いにさせ 陥れた
市野を許す事ができなかった。

だから 復讐してやろうって。

あなたの復讐は

崇彦さんを立派に育てる事だった。

誰が見ても
うらやむような青年に育て上げ

市野さんに
崇彦くんを捨てた事を後悔させる。

それが あなたの復讐だった。

私のそんな勝手な思いのために

あの子には
本当につらい思いをさせました。

違うだろ! もう 昨日も
同じ問題を間違ったんだぞ。

ちゃんと理解してないから
間違うんだよ。

もう 嫌だ!

(伊庭の声)勉強を強要し…。

おい!
あっ…!

(伊庭の声)運動を強要し…。

どうした!
いけるだろ そんなの!

うっ…!
(伊庭)どうした? 崇彦! ほら!

(伊庭の声)中学校に入ると

あの子は もう 私には
口を利いてくれなくなりました。

それでも 私はやめなかった。

あの子が
おかしくならなかったのは

晴美がいてくれたからだと
思います。

大学生の頃からは

私と崇彦の関係は
良好になっていました。

建築という興味を持てるものに
出会えたからだと思います。

私たちは ごく普通の

どこにでもいる
父親と息子になってました。

崇彦は 本当に 私の望みどおりの
青年に育ってくれました。

近所の人にも 友人たちにも
みんなに うらやましがられた。

大学を卒業し 大学院へ進む時に

私は崇彦を
市野に会わせたんです。

(清和)おっ いいじゃん。
ボール よく見てたね。

(清和)いいじゃん。

(市野)すごいな 崇彦くんは。

東都大の大学院か。

専攻は建築なんですよ。

社長もご存じのように
私の趣味は日曜大工ですから。

いつか私のために
家を建ててくれるというんです。

ですから 今から
とても楽しみにしてるんです

その日が来るのを。

(市野)うちのは
三流大学に金で潜り込ませて

やれやれと思ってたら

ハハハッ… 二度も落第だ。

(市野)それに比べて
崇彦くんは すごいな。

(伊庭の声)
勝った。 そう思いました。

ついに あの男に復讐してやった。

私の21年間が報われたんだって。

これで崇彦は
本当に私の息子になった。

あの子の建ててくれた家に住み

あの子の孫を抱き

あの子に みとられて
死んでいくんだって そう。

それが 去年の6月
私の定年の日に…。

(市野)だが 残念だな。
入れ違いになるのか。

入れ違い?

(市野)
崇彦くんから聞いてないのか?

何をですか?
(市野)いや 崇彦くんには

うちへ来てもらう事になったんだ。

えっ…?

大学院を辞めて 就職もしてない
って聞いたもんだから

彼に会って話したんだ。

ハハハ… そしたらね
「いいっすよ」なんて

嬉しい返事をもらってね。
ハハハハ…。

崇彦が市野商会に入社する
って事ですか?

ハハッ。

なんだか 事後承諾になったようで
申し訳ないが

崇彦くんにとって
悪い話じゃないと思う。

(伊庭)本当にいいのか? 崇彦。

親父らしくないなあ。
(伊庭)えっ?

「自分の人生は自分で決めろ」。

何か相談しても

必ず そう言ったじゃないか
親父は。

そうでしょ?
(伊庭)それは まあ…。

だから 自分で決めたんだ。
来月には引っ越すから。

(伊庭)引っ越す?

八王子からじゃ
通勤は大変だろうからって

マンションを借りてくれたんだ
社長が。

なんか 至れり尽くせり
って感じなんだよな。

だから しばらく
それにのってみようと思って。

全然 帰ってこないね お兄ちゃん。

私 なんだか お兄ちゃんが

別人になっちゃったような
気がする。

7.5センチの倖せなんて
忘れちゃったみたいで。

(伊庭の声)市野が
そのままで済ますはずがない。

でも まさか…。

♬~

(市野)気づいてたんだろ?

問題は これからだ。

これから どうするかだ。

どうするかって そんな事は…。

今までどおりに
やっていくしか…。

無理だ。

えっ…?
(市野)息子だとわかった以上

私は
あの子の父親として接したい。

そんな勝手な事は…!
当たり前だろう!

崇彦は紛れもなく
私の息子なんだ!

呼び捨てにするな。

崇彦を呼び捨てにしていいのは
私だけだ。

父親の私だけだ!

父親は私だ。

この鑑定書が証拠じゃないか。

こんなもの! こんなもの!!

そんな事しても無駄だよ。
原本は崇彦が持ってる。

えっ…!?

お前 話したのか?
崇彦に そんな事 話したのか!?

知ってたよ あの子は!
清和から聞いたそうだ。

(伊庭の声)信じられなかった。
崇彦が知っていたなんて。

しかも 2年も前から
知っていたなんて…。

君には 随分
厳しく育てられたそうだから

もしかしたらという思いは
子供の頃から あったって。

崇彦と話し合わなければいけない
そう思いました。

でも 怖くてできなかった…。

(伊庭)そうしてるうちに
あの日が来て…。

お兄ちゃん
おかしな事を言うのよね。

うん? どんな事だ?

面白いものを見せてやるから
来いって。

面白いもの?

それを見ると 最初は
おかしくてケタケタ笑うけど

最後は必ず泣くって言うの。

(伊庭の声)
最初は笑うけど 最後は泣く…。

なんの事だか
わかりませんでした。

まさか…。

(伊庭の声)
あの鑑定書の事だと思いました。

崇彦が本当の兄じゃないって事を
知るだけでもショックなのに

その上 母親のひどい過去まで
知る事になるなんて…。

なんとしてでも
やめさせなければと思いました。

あれ? 親父?

どうしたんだよ? こんな所で。
ちょうどよかった。

今 お前のところへ
行こうと思って。

(崇彦)えっ?
(伊庭)晴美に聞いたんだ。

今晩 お前と久しぶりに会うって。

7.5センチ買ってきた。
2人で食べなさい。

(崇彦)ああ…。

(伊庭)頼むよ 崇彦

晴美に
あんなものは見せないでくれ。

あんなもの?

面白いものだ。
それって鑑定書の事だろう?

お前と市野の あの…。

違うよ。

(伊庭)だったら なんなんだよ?
一体 なんなんだ?

何を見せようと思ってたんだよ?
(崇彦)それは…。

なんで そんな事
親父に話さなきゃいけないんだ。

関係ないだろ。
やっぱり そうなんだな。

なあ 頼むよ。 そんなものは…。
なあ 崇彦!

違うって言ってんだ。
さっさと帰れよ。

明日になれば
わかる事なんだから。

待ちなさい 崇彦!

なあ 約束してくれ。
そんなものは見せないって約束!

(崇彦)離せって。

崇彦 ちゃんと話し合おう。
ちゃんと2人で!

離せって!

あっ! 崇彦…!

崇彦 大丈夫か?

うう…。

(伊庭)崇彦…。

(伊庭の声)
大丈夫だと思ったんです。

起き上がって歩いたから
大丈夫だって…。

なのに…。

なのに…。

♬~

ご迷惑をおかけしました。

ご一緒します。

♬~

(ドアの開く音)

申し訳ありません。 お待たせして。

いえ…。

伊庭さん 本当の事を
話して頂けませんか?

えっ…?

あなたは嘘をついてる。

いえ 私は嘘なんか…。

肝心な部分で一つだけ
大きな嘘をついてらっしゃる。

私は嘘なんかついてません。
全て本当の事を…。

「面白いもの」の事です。

ですから それは崇彦と市野の…。

私も最初は そう思いました。

ですが
あなたの話を聞いているうちに

本当に そうなんだろうか

動機としては
弱すぎるんじゃないかって。

でも 私は…。

晴美さんは
しっかりしたお嬢さんです。

当初はショックを受けたとしても
そんな事は克服できる人だ。

お嬢さんの性格を 一番
よく知っているはずのあなたが

なぜ それほどまで必死になって
うろたえて

鑑定書を見せまいとしたのか。

他に何か
別の理由があったんじゃないか

もっと強い もっとつらい理由が。

違う。 他に理由なんかない!

鑑定書は もう一枚あった。

そうですね?

一体 何を言ってるんだ!?
あんたは!

そんなものはない!
あるはずがない!

今 市野さんに会って
確認してきました。

市野さんは認めました。

崇彦さんだけではなく

晴美さんとの親子関係の鑑定も
依頼したって。

♬~

(市野)気づいていなかったのか
晴美ちゃんの事は。

(市野)そりゃそうだよな。

私も信じられなかった。

産んだ母親も
気づいてないんじゃないのか?

2人とも返せとは言わない。

晴美ちゃんは 君に任せる。

だが 崇彦は
正式に私の息子として…。

どうして
信じてあげなかったんですか?

そんなものを見せるつもりはない。

あの時 そう言った
息子さんの言葉を

あなたは信じるべきだったんです。

息子さんは 鑑定書を

見せるつもりなんて
なかったんです。

鑑定書は2枚とも もう
この世には存在しないんですから。

存在しない…?

(崇彦)鎖なんだ これ。

血の鎖 DNAの鎖

俺たちをがんじがらめにする鎖…。

だったら…
だったら 面白いものって…

崇彦が晴美に見せようとしていた
面白いものって?

恐らく…。

これだったんだと思います。

これは 息子さんの部屋の
冷蔵庫の中にあった

ケーキの写真です。

どうして これが…。

測ってはいませんが

7.5センチに
カットされてたと思います。

このケーキを見たら

晴美さんは嬉しくなって
笑ったんじゃないでしょうか。

お兄さんは ちっとも

変わってなんかなかったんだ
と思って。

一緒に このケーキを食べながら
息子さんは晴美さんに

自分の本心を話すつもり
だったんだと思います。

本心…?

それを聞いたら
晴美さんは恐らく 涙を…。

どういう事なんですか?
あの子の本心って 一体…。

あの夜 伊庭さんに会う直前

息子さんは 市野さんに
会ってらっしゃいます。

その時…。

今度は僕が おたくを捨てる番だ。
違いますか?

♬~

フッ… なんてね。

社長は

僕が子供の頃に
なりたかった職業を

知ってますか?
(市野)えっ?

(市野)いや。 なんなんだい?

初恋の女の子の名前は?

(市野)そんな事…。

この世の中で
一番苦手な生き物は?

一番好きなケーキは?

(市野)なんで
そんな事を聞くんだ?

わかったんです 僕。

血とかDNAなんかは
関係ないんだって事。

大事なのは

思い出とか記憶とか

そういうのを
共有している事なんだって事。

つまり 僕には もちろん
晴美にとっても

父親は一人しかいない
って事ですよ。

思い出とか記憶とか

共有しているのは
あの人しかいませんから。

市野商会の万年総務部長を
ようやく卒業した

あの父親しか。

そして おっしゃったそうです。

八王子に帰るつもりだって。

親父に
家を建ててやる約束をしてるし

親父も
その日を楽しみにしてるから

息子としては まずは その約束を
果たそうと思ってるって。

あの時

そんなものを見せるつもりはない
とおっしゃった

息子さんの言葉を
伊庭さんが信じてさえいたなら…。

息子さんのほうも ひと言…
たったひと言です。

八王子に帰るつもりだと
おっしゃっていたなら

こんな事には ならなかった。

なのに… なのに お二人とも…。
残念です。

あの子が…

あの子が
子供の頃になりたかった職業は

パイロットです。

あの子の初恋の女の子は

幼稚園の百合組で一緒だった

池田香ちゃんです。

ママよりも
100万倍もかわいいんだよって…。

あの子の苦手な生き物は
蛾です。

蝶々は平気なのに 蛾は怖くて…。

悲鳴を上げて逃げ回って…。

そんな崇彦を見て
晴美が笑って 笑って…。

あの子の好きなケーキは…。

好きなケーキは…

7.5センチ…。

崇彦…! 崇彦!!

(伊庭の嗚咽)

〈日々が流れていきます〉

〈苦しんだ人にも…〉

〈後悔した人にも…〉

(男の子)わあ 見て。 もっと上…。

(晴美)この水槽の中にはね
2万匹の魚が…。

〈たくさんの涙を
流した人にも…〉

〈そして 私にも〉

〈家内が 私の人生から
姿を消してしまってから

半年が経ちます〉

〈耐え難い苦痛と悲しみの中で

私は 若い頃に読んだ
本の中の言葉を

思い出していました〉

〈愛別離苦〉

〈愛する者たちには 常に
別れの苦しみが つきまとう〉

〈苦しみたくないのなら

愛さなければいいのかも
しれません〉

〈けれど 私たちは出会い
愛し合い

そして お互いに

かけがえのない人に
なったのです〉

〈苦しむ事が
愛した事の証しなら

別れの この苦しみを
受け入れよう〉

〈今は そう思っています〉

〈今も彼女の笑顔が目に浮かび

彼女の声が聞こえます〉

〈その彼女に 私は語りかけ
そして 言います〉

〈ありがとう。
そして いつか また〉

♬~