【特集ドラマ】流行感冒[字] …のネタバレ解析まとめ

出典:EPGの番組情報

【特集ドラマ】流行感冒[字]

コロナ禍の今、約100年前のスペイン風邪の流行をテーマにした志賀直哉の原作小説『流行感冒』を主演・本木雅弘でドラマ化する

詳細情報
番組内容
小説家の私(本木雅弘)は、妻の春子(安藤サクラ)と4歳の娘・左枝子、二人の女中とともに暮らしており、娘の健康に対して臆病なほど神経質である。時は大正7年(1918)秋。流行感冒(スペイン風邪)が流行り感染者が増え始める中、女中の石(古川琴音)が村人が大勢集まる旅役者の芝居興行に行ったのではないかという疑惑が浮上する。
出演者
【出演】本木雅弘,安藤サクラ,仲野太賀,古川琴音,松田るか,池津祥子,石村みか,志水心音,秋野太作,石橋蓮司
原作・脚本
【原作】志賀直哉,【脚本】長田育恵
音楽
【音楽】清水靖晃

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

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キーワード出現数ベスト20

  1. 左枝子
  2. 先生
  3. 本当
  4. 今年
  5. 駄目
  6. 流行感冒
  7. 感冒
  8. 今日
  9. 芝居
  10. 春子
  11. 運動会
  12. 旦那様
  13. 根岸
  14. 嬢様
  15. 風邪
  16. お前
  17. バカ
  18. 左枝
  19. 失敬
  20. 村長

解析用ソース(見逃した方はネタバレ注意)

   ごあんない

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う~ん…。

≪(左枝子)1 2 3…。

4 5…。

出来た。

6…。

何してるんだい?
お店屋さんごっこ。

ああ そうか。

よいしょ。

おお。 これはね モミジ。

ほら 左枝子のお手々みたいだね。

こっちは?

南天っていうんだ。 南天?
そう。

お正月に赤い実を飾るだろう?

難を転ずる木なんだ。
だから 南天。

はい どうぞ。
(足音)

(石)お茶をお持ちしました。

突っ立ったまま言うやつがあるか。

♬~

(ため息)

(根岸)ごめんください。

先生 ご在宅でしょうか?
(きみ)は~い。

いらっしゃいませ。

奥様 根岸さんです。

(春子)はい。

あっ 根岸さん いらっしゃい。

(根岸)どうです? 先生は。

う~ん… いつものごとく。

えっ? 本当にそんな?

そうですよ
うちの新聞でも大々的に取り上げます。

明日の見出し こうですよ。

「恐るべき流行感冒
太平洋を越えて日本へ。

今後 激烈な流行の見込み」。

ちょっと大げさじゃない?

(根岸)それが決して。
威力も増してるっていうんですから。

海外からの打電じゃ 目下の欧州大戦
戦場でやられる人間よりも

この流行感冒で死んでく方が多いそうで。
何 それ?

そんなに死んでるのか?

スペイン・インフルエンザって
呼ばれてるんですが

病原菌も分からず
とにかく得体が知れない。

症状は 悪寒から始まって発熱
40度近くまで。

子供にも うつるのか?
そりゃ うつります。

一番 危ないんじゃないですか?

左枝ちゃんも気を付けた方がいいですよ。

そりゃ 気を付けるけど…。

あれ? ちょ… 待った!
フフフ 待ったなし! え~!

(笑い声)

♬~

(根岸)とにかく 世界の端から端まで
流行しているそうなんですよ。

日本じゃ 春ごろ まず力士が
相撲の台湾巡業でうつり

5月場所では 休場者が続出しました。

その後 九州の炭鉱や
軍隊でも はやったんですが

近頃は ついに 一般市民がかかり始めて

普通の人は
まだ気付いてないかもしれませんが

日本も 危ないんです。

それじゃあ 先生の創作の源は

最初のお子様を
亡くされたことにあると?

まあ 今 思えば そうですね。

長女が 生後37日で死んでしまった。
原因は 分かりません。

定めと言ってしまえば それまでですが…。

まあ 幸い 今は
次女は 元気に育っておりますが

あれ以来 私は できる限りのことは
何でもしようと。

まあ あらがうような心地で
書いてるんです。

だから 先生のお作は 胸を打つんですね。

次の新作も楽しみにしております。
失敬。

君 流行感冒のうわさは聞いたかね?
えっ? はっ ええ…。

あれは 大したもんなんだろう?
聞いた話なんですけど

何でも 白湯を飲むといいらしいですよ。
白湯?

失敬。
(寅吉)いらっしゃい。

おお 先生。 久しぶりだね。

今日は 取材があって出てきたもんだから。

いつもの?
いや その前に 白湯を。

酒を割るんで?
いや ただのお湯でいいんだ。

升に入れて。
へえ~…。

(寅吉)はいよ。
ありがとう。

流行感冒のうわさ 聞いたろう?
ああ まあ…。

白湯を飲むといいらしい。 一日10杯。

何ですか そりゃ。
言えば 風邪は風邪でしょう。

はやるも 何も
いつだって あるじゃないですか。

いや だが うちにはね
小さい子がいるんでね

私がかかって 子供にうつしでもしたら。
いやいや そんな…。

風邪なんてもんはね
卵酒キュ~ッとやれば治りますぜ。

大将 普通の風邪じゃないんだぞ。

欧州の戦場じゃ 鉄砲よりも
この病気で 人が死んでる。

バタバタ死んでる。
ブンヤが そう言ってた。

それが おまんまの種ですからね。

鉄砲よりも 風邪で人が死ぬ?

ハハハハハハ!

えっ まさか先生 信じたんですか?
え?

(琴音)アハハハハハ!

バカみたい。

こちらは 先月 出来た
湖月園のカフェーの。

琴音っていうの ごひいきに。
あっ 失敬 すまない 今はちょっと…。

アハハ… あのね おあいにくだけど
うちのカフェーは 盛況よ。

フロアでも み~んな楽しそうに踊ってる。

こう 手に手を取って。 フフフ。

それで 先生? 2杯目も白湯ですか?

いや 大将 いつもの!
そうこなくっちゃ!

♬~

そういえば 今日ね
村長さんがいらしたの。

来週の日曜のことで。

日曜? 何かあったか?
うん 小学校の運動会。

左枝子 もう4つでしょ?

今年の運動会には
左枝子ちゃんも連れていらっしゃいって。

学校に上がる前の子たちの
かけっこも あるんですって。

駄目だ。

左枝子 転んだって 平気よね?
うん!

駄目だ。 感冒が流行するんだから。

ええ。 でも それは 人が大勢いる
都心の話でしょう?

四ツ谷はどうでした?

みんな かかってました?
いや…。

じゃあ 平気よ。 こんな静かな村で
どうやって はやるっていうの?

でも 運動会は 大勢集まるじゃないか。

運動会をきっかけに
この村でも はやりだすかもしれない。

校庭で走るのよ?

みんな 表にいれば
平気じゃありませんか。

そんなことは…。

ほら 最初に軍隊で はやったろう?

表にいたって 関係ないんだ。

明日でも 村長の所に行って

今年の運動会を中止にした方がいいと
言ってくる。

(ため息)

心配し過ぎて何が悪い?

むしろ 多少なりとも 知識のある人間が
教えた方がいいじゃないか。

ええ そうね。

放っておいて 左枝子に何かあったら
どうする?

(せきばらい) また 取り返しの
つかないことにでも なったら。

あなた。

左枝子は 丈夫です。

左枝子 かけっこしたい。
駄目だ。

とにかく 運動会へは行っちゃ駄目。

かけっこなら お父様としよう。

石 きみ 2人とも分かったね?

左枝子に感冒は 絶対にうつすな。

買い物に行っても
店先でグズグズ話し込むんじゃないぞ。

(2人)はい。

はあ…。

ねえ あっち いちじくあったよ。

ああ 熟れてるねえ。

左枝ちゃん どうぞ。
食べちゃ 駄目です。

旦那様のお言いつけです。
何で?

左枝子お嬢様は
外で変なもの食べちゃいけないんです。

おなか壊すといけないから。

変じゃないよ いちじくだよ?
駄目。

(ため息)

食べたかった…。

ねえ お嬢様 石ちゃんに いつものあれ
やってもらいましょうか。

ねえ 石 いつものやって! やって!

よし お嬢様 こっちです。

宮さん 覚えておき。

来年の今月今夜の この月を

僕の涙で曇らせてみせる!

あれっ 貫一様!

石 上手!

あれっ 貫一様!
あっ お嬢様 アハハハハ。

去年の「金色夜叉」楽しかったよね
今年も一座の人たち来るかな?

来るよ 絶対。
また来年って言ってたもの。

今年のお芝居は何だろうね?

鬼ごっこ! 逃げろ~!

石ちゃんの鬼!

待て~!

そう。 上の娘さん 戻ってくるの。
さようでございます。

せっかく嫁いだと思ったら
半年で出戻りですよ。

でも まあ 嫁入り道具が 一式戻ってくる
ってことは 正直ありがたいんですよ。

石には そのまま
持たせればいいんですから。

あら 何? 石にお話があるの?

いえね… 石は かわいげがないから
心配していたんですけどね…。

フフフフフ…。

≪ああ…。

はあ…。

石は 本当に 風呂たきだけは うまいな。
ハハハハハ。

縁談があるんだって? どんな相手だ?

≪(石)8度目です。
えっ!?

8度目だそうです。

母は 私には ほかに話がないだろうから
話があるだけよかったと。

はあ…。

8度は よっぽどだよ。

気乗りしなければ やめた方がいい。

人間 誰でも 自分の心に正直に生きるのが
一番だから。

≪聞いてるか?

春子…。

春子!
ん?

来た… ついに!
は~い? 何?

あっ あなたの連載 今日から?
違う 見ろ これ。

ほら! 横浜だ。

ついに 上陸した… もう入ってきた。

上陸してませんよ。
まだ船の中でしょう?

みんな治ってから
船降りてきてもらえばいいじゃない。

こうしちゃおれん。
あなた?

失敬!

おっ 村長! 村長!

こりゃ 作家先生 おはようさん。

今年の運動会は 中止にしてください。

何ですか? いきなり…。
流行感冒ですよ。

まあ でも 子供らが
楽しみにしておりますからな。

読んでくださいよ ほら。
読みましたがね

わざわざ 外国に行って
かかってきたんだから

うちの村とは…。
関係ある!

病気は 人から人に うつるんですから
いつ この村に入ってくるか…。

今は 人が集まる催しは…。
村長!

ああ 校長。

ああ おはようさん ちょうどよかった
今 学校のこと話してたんだよ。

私も 相談がありましてね。
運動会ですね?

文部省から通達がありましてね

滋賀県の小学校で 流行感冒

100名以上の児童が
かかったそうなんです。

えっ!?
滋賀の学校は休校ですよ。

それで 今年は 遠足や見学旅行は
中止するようにと。

ほら ほら ほら ほら ほら!

今年の運動会 どうしましょうか?

ああ…。

村長!

(ホイッスル)

(歓声)

愚かだ 愚かすぎる。

人は どうしてこうも…。

だからって 先生が ここで怒りに
震えてたって しょうがないでしょ。

決まってる予定は
動かせないって言うんだ。

くだらない! 理解し難い!

(足音)

左枝子。 左枝ちゃん こっちいらっしゃい。

今からでも やめさせるべきだ。

言いに行かせる! 石! 石!

まあ まあ 先生。 僕は こういうところが
実に 日本人らしいと思いますがね。

決められていたことは
きっちりと完遂する。

それは 美徳の一つですよ。

そうしてる間に この村の誰かがかかって
このうちに入ってくるんだ。

もし左枝子に何かあったら…

この村に感冒を持ち込んだやつを
締め上げに行く!

だったら かなりの確率で 僕か ご自分を
締め上げなければなりませんね。

都心と行き来してるのは
僕たちだけでしょう。

もう来るのやめましょうか?

先生だって この村を
一歩も出ちゃいけませんよ。

何なら 村中 ぐるりと柵を立てて
外界と遮断してください。

それだ。 そうする!

ふう…。

(せきこみ)

ああ 先生。

今日は 何ですかな?

(せきこみ)

ああ… いやいやいや…。

(話し声)

おいおいおい…。

(歓声)

♬~

(柝の音)

(拍手と歓声)

おい ちょっと君!
ああ 作家先生 こんにちは。

何だね これは。
すごいでしょ。

もう出来上がりますよ。

今年の演目は 「八犬伝」だそうです。

待ちたまえ。 まさか 上演はしないだろ?

何です? しないわけないでしょ。

皆さん すっかり準備ができて。

俺たち青年団だって
1年がかりで準備を…。

駄目だ! 頼むから 中止にしてくれ。
今年だけは! えっ!?

フフフ やだ 左枝ちゃん こっち向いて。

ごはん粒ついてる。

ん? こっちは? あっ こっち ほくろだ。
フフフフ。

話がある。

みんな聞いてくれ。

今年の巡業公演 絶対に行ってはならない。

いいな。 どんなに芝居が好きでもだ。

分かったな?
はいはい。

「はい」は 一回!
はい!

はい。

今年の演目は 私どものおはこ中のおはこ。

その名も高き 「八犬伝」でござい!

不思議のえにしで結ばれましたる八犬士の
血湧き肉躍る大活躍。

嬢ちゃんたち 待ってるぞ。

とざい! 東西!

今年もお招きにより 参上いたしましたる
浮世十兵衛一座!

(にぎやかな声)

(にぎやかな声)

(左枝子)ねえ 石。
いつものやって やって。

左枝ちゃん 今日は およしなさい。

いいえ。 何でもないですから。

来年の今月今夜の この月を

僕の涙で曇らせてみせる!

あれっ 貫一様!

こんな時に芝居見物に行くなんて
どうかしてます。

きっと風邪をひきますよ。

♬~

そうだ 千代紙あげましょうか。

きみも石も いらっしゃい。
千代紙ですか?

じゃあ 終わったらね。
(きみ)はい。

はあ~ きれいですね。

頂けるんですか?
うん。

ねえ 石ちゃん どれがいい?

石 今日は芝居を我慢して偉かったな。

はあ… あとは出るだけだから
追いだきは もういいぞ。 ≪(石)はい。

そうだ。 この感冒が落ち着いたら

東京へ芝居を見に連れてってやろう。

歌舞伎座だ! どうだ?

ん?

石?

石。

≪入るぞ。

石は?

まきが なくなったので
もらいに行きました。

こんな夜更けに?

明日の朝のかまどの分がないのです。

本当か?
芝居を見に行ったんじゃないのか?

叱らないから言いなさい!

石は 芝居に行ったんだな?

んっ!?

もういいから。

左枝子がお布団はいでないか
見てきてちょうだい。 はい。

失礼いたします。

きみを問い詰めても
しかたがないでしょう!?

もう家の鍵を閉めてしまえ!

二度と石を入れるな!
そういうわけにもいきませんよ。

年頃の娘を預かってるんですから。

ああ…。

何時だと思ってる。

申し訳ありません。

芝居に行ったのか?

いいえ 薪を拾いに行きました。

こんな夜中に拾いに行くやつがあるか。

昼間 いくらでも拾えたろう?

昼間にも拾いに行きましたが
足りなくなりました。

芝居には行ったのか?
行きません。

本当か?
本当に行きません。

石 お嫁入り前のあなたを
預かっている責任があります!

夜中に勝手に出歩くのは許しません。

はい。

(ため息)

もう12時よ。 分かったら寝なさい。

♬~

なあ 春子。
ん?

石は うそをついてるな。

うそをついて 平気なんだ。

明日 聞いてみますよ。

♬~

♬~

(石)貫一様!

はあ… はあ… はあ…。

石 大好き。

左枝子!

左枝子 石から離れるんだ!
(左枝子)石のこと好きなの。

駄目だ!

今日は 石に近づけるな!

何ですか こっちだって
針仕事してるんですよ!?

昨日のこと まだ疑ってるんですか?
疑ってるも何も あいつは行ったろう!

あれだけ はっきり 行ってないと
言ったじゃないですか!

何なら ちょっと調べれば
すぐに分かることでしょう?

うそはつきませんよ。
俺だって 疑うのは嫌だ。

だが あいつが もし感冒にかかってたら
どうする?

左枝子にうつしでもしたら 俺は…。
だから 石は 行ってないと!

とにかく… 嫌だ! 嫌なんだ!

なるべく左枝子を抱かせないでくれ。

(泣き声)
大丈夫?

(ため息)

何だ?

いつまでも ギスギス ネチネチ。

しかたないだろう 何で お前がそんな…。

お前は俺の気持ちが分かるだろう?
分かりますけども。

春子。

今日は 疲れて 気分じゃありません。

一日中 左枝子の面倒を
見ていたんですから。

うちの中で しつこくお疑りになって

石は行ってないと言ってるのに
左枝子を抱いちゃいけないの何の

あれじゃ 石も
立つ瀬がないじゃないですか。

家族なら
それでもいいのかもしれませんけど…。

追い詰め過ぎるのは 酷ですわ。

(ため息)

俺だって 石の言葉を信じてやりたいんだ。

半信半疑の その疑いの方をなくそうと

俺なりに努力したんだ。

なのに 半信半疑のはずが
本当は疑いが全部だった。

石が あれだけ言ってるのに
どうしようもないんだ。

確かに俺は 少し残酷すぎる。

自分でも嫌になる。

♬~

左枝子は 石が好きか?

好き。 何で石と遊んじゃいけないの?

遊んでいいよ。 もう 遊んでいい。

お父様が 石に謝らなきゃいけないんだ。

ああ… 石は?

朝のうち 出かけました。
出かけたって どこへ?

≪ごめんくださいまし。

この度は なんとも申し訳ないことで。

そんな いきなり言われても…。

石? どうしたの?

ああ 旦那様。

本当に この度は…。

旦那様が ご一家のためを思って
おっしゃっているのに聞けないだなんて

本当にバカな子で。

芝居は 2幕目を
見たきりだそうなんですよ。

私もね 2幕だけ見たって
しょうがないんだから

1幕を我慢したなら 最後まで
我慢しなさいって叱ったんですがね。

お暇を頂くようでしたら

これから すぐ荷物を持っていこうと
思いまして 参りました。

ちょっと… お待ちなさい。

やはり 行ったのか?

どうなんだ?

本当にね 旦那様

私も ここまで バカだとは
知りませんでしたよ。

せめて こうして おわび申し上げます。

そんな おやめなさい。

それに まだ 暇をやると
決まったわけじゃないんですから。

ねえ あなた。

お気遣いなく。 こんな強情な子

さっさと嫁にやっちまえば いいんです。

石は 働き者で熱心ないい子です。

母親のあなたが そう言わないで。

母親が言わなきゃ 誰が言うんです?

全く 人様に迷惑は かけるなと
言い聞かせておいたんですがね…。

石 お前の部屋は? 荷物を取りに行くよ。

ほれ 石!

これでいいんだ。

思い切って出してしまわないと
また同じことが繰り返される。

だからって こんな狭い村の中で

しくじりで
暇を出されたなんてことになったら

後々まで 何か言われてかわいそうですわ。

石も もし嫁いだって

このせいで 相手の家から
ひどい扱いを受けるかもしれません。

あの子だって 懲りたでしょう。

もう うそはつきませんよ。 ねっ?

ねえ 許してやってください。

ほれ。

長々 お世話になりました。

あなた! こんなことで追い出したら

うちだって 心の狭い家だって
うわさされるんですよ。

いいんですか?

私 恥ずかしくて 表を歩けません。

あなただって 作家先生って
知られてるのに。

ねえ… ねえ お願い。

あなた!

♬~

あなた。

石には言ってやりました。

旦那様は そりゃあ怖い方なんだ。

いくら うそをついたって
お見通しなんだよって。

ちゃんと言い聞かせましたから。

♬~

(笑い声)

傑作ですね。
なにが 傑作だ。

石ちゃん
たとえ感染しても惜しくはない

それほど好きなもののために生きるって
幸せじゃありませんか。

だからって…
うそをつくのは許せない。

でもね 最近じゃ 棺桶は足りないし
火葬場も いっぱいで

3日前に言わないと ホトケさん
焼いてもらえないそうですよ。

だから 病人は まだ生きてるうちに
火葬場の予約をするそうです。

うんざりするじゃありませんか。

どうせ みんな いつかは死ぬんだ。

だったら やりたいようにやりゃあいい。

あんまり 病 怖がってても
人生 惨めになるだけですよ。

大将 まさに!

(戸が開く音)
いらっしゃい。

(せきこみ)
おじさん 寒いのよ。 熱燗ちょうだい。

待て! 入るな!

流行感冒じゃないわよ。 ただの風邪。
卵酒ちょうだい。

座るな!

帰ってくれ。

悪い。

(せきこみ)

店ぇ 守らなきゃなんねえんで…。

君たち 待ちたまえ。
はい。

マスクは?

周りを見たまえ!
みんな しとるじゃないか!

何だかなあ…。

前に言ったでしょ? みんな
やるとなったら 徹底的にやるって。

でも 僕は あまのじゃくですからね。

全員 右と言われたら
左に行きたくなる。

ねえ 先生。
カフェー 行きませんか?

バカ言うな!
今夜だけです。

その今夜一度で 命取りになったら
どうする!?

大して行きたくもないカフェーで

ほんの少し楽しんだからって
一生を棒に振ったら どうする!?

考えるまでもない。
バカのすることだ。

だったら 俺は バカが好きですね。

根岸 他人の迷惑を考えろ。

お前が感冒にかかったら
俺に うつるかもしれないんだぞ。

お前は 俺まで殺そうというのか。

先生に死なれたら困りますね。

原稿 書いてもらわなきゃなりませんから。

ちょっと待ちなさい。
マスクは?

いや…。
いかんですな。

今後は 気を付けていただかないと。

♬~

♬~

こっちですかい?
あっ もう少し左。

こっち? あ そうそう そうそう。
分かりやした。

それからね そこの上の枝も
思いっきり刈り込んでほしいんだ。

ああ あと 親方。
ええ。

あ~ ここの…

え~ この辺りに 何かね

今から植えていいようなものがあれば。
何かないかね?

葉牡丹なんか どうですかね?
おお~ なるほどな。

正月も来るしな。
色みがあるのは 明るくていいよ。

さすが 親方!
30年やってるからな。

すばらしいな
そのパッと浮かぶ発想がね。

(せきこみ)

ねえ あなた 明日なんだけど…。

(せきこみ)

あなた?

♬~

(せきこみ)

♬~

≪あなた 大丈夫ですか?

来るな!
明日一番で 医者を呼んでくれ。

≪え? 具合悪いの? 入るわね。

駄目だ! 開けるんじゃない。

開けるんじゃない!

(せきこみ)

♬~

40度です。

流行感冒ですね。 間違いありません。

この病は
非常に強い感染力を持っています。

病人とは 今日から
接触を極力減らすように。

はい。

あなた…。

春子 春子。

左枝子を くれぐれも…。

分かっています。

(せきこみ)

旦那様が 流行感冒にかかりました。

きみも 石も これを。

もう 遅いんじゃないですか?

気の持ちようです!

でも 用心は怠らないように。

半分で よさそうね。

お父様 ご病気?

だから 絶対に 書斎に近づいちゃ駄目。

お父様に
早く よくなっていただきたいでしょ?

待ってなさい。 今 寸法直すから。

≪(左枝子)い~ち にい さ~ん…。

い~ち にい さん。

≪い~ち にい さん。

お父様 早く よくなってね。

あっち行け! 春子! 春子~! 春子!

こら 左枝子!

(左枝子の泣き声)

お願いだから こっちにいて…。

♬~

(きみ)
あっ お嬢様! いけません! お嬢様!

離して! お母様!
お母様のとこ行くの!

ちょっとの辛抱ですから。

駄目ですよ。

…お嬢様 熱くないですか?
えっ?

きみも熱い。

私…。

お嬢様から離れて!

(泣き声)

お嬢様…?

お三方も 流行感冒です。

何があるか分からないので
病人は この一部屋で寝かせてください。

一度に 全員を見られるように。

はい。

先生

看護婦をよこしてください。
左枝子の面倒を…。

申し訳ないが 流行感冒のせいで
看護婦は 全員 出払ってるんです。

それじゃ 左枝子が… 左枝子が…。

私がおります。

駄目だ 石。 お前じゃ…。

(せきこみ)

♬~

≪(左枝子の泣き声)

(石)よしよしよし…。

♬「ねんねんころりよ おころりよ」

♬「左枝ちゃん よい子だ ねんねしな」

石。

旦那様。 起こしてしまいましたか?

いいんだ。

お前 ずっと寝てないのか…?

平気です。

石は 大丈夫なのか?

はい。 ピンシャンしております。

そうか…。

悪いな…。

すまない。

旦那様のせいじゃありません。
悪いのは 病です。

でも 俺は
憎まれたってしょうがないんだ。

お前を許せず つらくあたった。

あれは… 私が悪いんです。

芝居 我慢しようと思いました。
それは 本当です。

でも 旦那様が

人間は 心に正直に生きるのが
一番だと…。

どうしても…
どうしても我慢できなかったんです。

なのに 打ち明けることができなくて…。

本当に申し訳ありませんでした。

(すすり泣き)

話してくれて ありがとう。

(すすり泣き)

♬~

(左枝子)い~ち にい さ~ん

しい ご。

できた~。

お店屋さん 精が出るね。

おいで。

あ~ 南天 きれいだねえ。

お茶 お持ちしました。

突っ立ったまま言うやつがあるか。

さあ きみ。
あっ はい。

♬~

(赤ちゃんの声)

あっ すいません。
かわいいね。 男の子?

はい そうなんです。 う~ん。

(赤ちゃんの声)
おいくつかな?

1歳とちょっとです。
ふ~ん しっかりしてるね。

(赤ちゃんの声)
あ~ あ~ あ。

(町のにぎわい)

先生。 遅れて すいません。

店が。

そうですか…。
暮れに 一度来たんですがね。

感冒で客が減って苦しいと言ってました。

大将は どうしてる?

さあ…。

遅れた理由は これ 号外です。

女優の松井須磨子が自殺しました。
えっ!

感冒で死んだ島村抱月の後追いという
見立てです。

そうか…。 後追いか…。

先生のお宅も
皆さん 大変だったんでしょ?

うちは 全員 無事に回復できたが…。

つくづくな…。

こんな感冒が はやらなければ
抱月も須磨子も 死なずに済んだのにな。

人間なんて 死ぬ時は死ぬ。
死ぬまでは生きる。 それしかない。

でもまあ 考えますね。
抱月に須磨子 力士や軍人

九州の炭鉱夫も 製紙工場の女工も
赤十字の看護婦も 誰も彼も。

死んでいい命なんて 一つもなかった。
ああ。

はあ~。

何でもない日々を これからの夢を
当たり前に信じていたのに。

あら 先生!

明けまして おめでとう。
ああ。

豪勢だね。 宴会かい?

ハハハッ。

来たよ~!
(一同)おお~!

待ってたぞ~。

おう 先生!

おう 大将!
おう!

にぎやかですね!

こいつら みんな 感冒のせいで
世間から あぶれちまった連中で

つまり お仲間だ!

店 潰れちまいましたけどね
おかげで 寒さは しのげます!

でも 大将 大丈夫か?

見てのとおり からっきしです!

でも まだ 命持ってますからね。
まあ ぼちぼち やりますよ。 ハハハ!

金ためて 屋台から始めます。

そしたら 先生 また来てくださいよ。
おいしいもの 食わしますからね!

ああ 食わせてくれよ。 きっとだよ!

はい! アッハッハ!
持ってきたよ! お酒とお重!

(にぎやかな声)

はい どうぞ。

いいか みんな!

流行感冒 コンチキショーめ!

(一同)コンチキショーめ!

コンチキショーめ!
(一同)コンチキショーめ!

あっ そうだ。

原稿を持ってきたんだった。
あっ! 偉いじゃないですか!

早く言ってくださいよ。
失敬 失敬。

♬~

ただいま。

お帰りなさいませ。

あっ そうだ あなた
今日 石の母親が来ましてね

石に 別の縁談ですって!

ほう。

≪聞いたよ。

今度は 相手も 初めてだそうじゃないか。

年の頃も ちょうどいいんだろ?

よかったじゃないか。

石?

さみしくなります

お嬢様と離れるなんて。

♬「ねんねんころりよ おころりよ」

♬「石は よい子だ」

≪(鼻歌)

♬~

いいわ。 本当に よく似合う!

奥様 よろしいんですか?
こんないいお着物。

幸せになんなさい。

♬~

きれいだ…。 な?

長々 お世話になりました…。

バカ! 泣くやつがあるか。

着物が汚れる。

はい。
すみません。

♬~

お嬢様! お嬢様!

石! またね!

♬~

宮さん 僕のお嫁に来ておくれ。

喜んで。 貫一さん うれしい!

もう一回!

じゃあ もう一回だけですよ。

はい。
宮さん…。

祝言は いつなんだい?
来月だって聞きましたけど。

ふん。
ね?

あの時 石を辞めさせなくて
よかったでしょ?

ああ。
あれで別れたら 寝覚めが悪かった。

それだけ?

あの時 辞めさせていたら

俺は 石のことを 一生
嫌な女中と思うところだった。

石の方だって 俺のことを
生涯 嫌な主人だと思ったろう。

本当は そんな関係じゃなかったのに。

石は 俺たち家族にとって
大きな存在だったのに。

感冒は恐ろしいな。

この心の中の醜い部分まで
全部 あぶり出された。

でも 踏みとどまった。
そうでしょ?

何もかもを病のせいにして
心を捨てることもできたけど…。

あいにくと 人は
そう簡単に負けないんです。

つなぎ止めるものが
たくさんあるもん。

そういえば 葉書を出しといたよ

石の家に。
えっ 何て?

≪ごめんください!

♬~

葉書を頂きました。
ああ… うん。

字が読めないので 学校の先生の所に
持ってって 読んでもらいました。

そしたら 「いつでも遊びに来い」と。

だから 今 来ました。

えっ?

(笑い声)

なあ 石 芝居を見に行こうか。

♬~