【特集ドラマ】裕さんの女房[字] …のネタバレ解析まとめ

出典:EPGの番組情報

【特集ドラマ】裕さんの女房[字]

北原三枝(松下奈緒)は石原裕次郎(徳重聡)の素顔を知り、女優を捨て妻として生きることを選ぶ。夫を支えながら映画製作、重なる借金、そして病魔との闘いに愛で挑む。

詳細情報
番組内容
北原三枝(松下奈緒)はまだ学生だった石原裕次郎(徳重聡)と共演を重ねるうち、自由奔放なスターとなっていく彼の素顔を知る。海外への逃避行のすえ結婚。スター北原三枝を捨て、裕次郎の妻、石原まき子として生きることを選ぶ。石原プロを作り、自ら映画を作るという夢に向かう裕次郎を支えるまき子は、いつもはるか先を見据える夫に寄り添いながら、映画製作の苦難と、重なる借金、そして病魔との闘いに愛を貫き挑んでいく。
出演者
【出演】松下奈緒,徳重聡,麻生祐未,浅田美代子,永井大,石原良純,尾美としのり,かとうかず子,高嶋政宏
原作・脚本
【原作】村松友視,【脚本】神山由美子

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

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   ごあんない

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(裕次郎)「老人は夢を見ていた。

夢の中で彼は まだ少年だった」。

(波の音)

(まき子)あ…。

起きてた?

マコ…。

はい。

夢を見てた。

それは…

ライオンの夢?

♬~

(母)ああ… ない! ない~!

通帳が…。

お父さんに持ってかれた。

(父)うわっ。 圭子…。

(圭子)お母さん いじめないでよ!

お父さんなんか 大っ嫌い!

まき子も 嫌いか?

お父ちゃんな また 竿が欲しくてな。

けど お母さんに言っても なあ…。

それで つい…。

♬~

はい お疲れさま。

あの… あの~!
はい。

もう駄目ですか?
はい?

駄目ですか? もう。

♬~

(橋本)どうも あんまり
これっていうのは いなかったねえ。

そうですか?
うん。

(ノック)

すいません。 あの…。

すみません 遅れて…。

脚 見せて。
え?

脚だよ 脚。

はい…。

上まで見せるんだよ。

早く!

あの… お給金って いくらもらえますか?

あっ お疲れさまです。 お疲れさまです。
14時 再開です。

分かりました。
お願いします。

お茶 どうですか?
あ…。 マコちゃん!

あっ!

未来の阪妻 紹介する。

慎ちゃんの弟。 慎ちゃん?

石原慎太郎だよ。
ああ あの原作の作家さん?

たまたま カメラに映り込んだの。
えっ 慎太郎さんが?

(水の江)違うよ 弟の方。

(斎藤)ターキーさん。
え?

(斎藤)ターキーさん!
何?

見てみい 未来の阪妻がおるで。

阪妻?

化けるで あの子は。

阪妻以上のスターになるわ。

何か 目が行っちゃうのよ。

もっと男前なら いくらでもいるんだけど
何なんだろう?

それでね 急きょ
「太陽の季節」出てもらうことにしたよ。

チョイ役だけど。

あれ? どこ行っちゃったんだろう?
あ…。

裕ちゃん! 裕ちゃん!

ん~ 失礼なやつね。
主演女優 待たせるなんて。

あの おいくつぐらいの方なんです?

えっとね マコちゃんの1個下。
学生なんだ。

それでね
マコちゃんの映画 全部 見てるんだって。

あっ あんなとこにいた。 裕ちゃん!

♬~

「日本は
見違えるように復興しました。

明るい街角には スタイルブックから
抜け出したような若い人たちが

足取りも軽く 行き交っています」。

そうそう そうそう。
ああ! 行き過ぎや 行き過ぎ!

戻して 戻して。

どう? 緊張してる?

いえ 全然。

お待たせしました。

よっしゃ! 一発でいくで!

(一同)はい!

キスせえ!

(小声で)もっと 力抜いて。

そう。 楽にして。

(シャッター音)
よっしゃ! OK!

おい 新人!
なかなか 度胸あるやないか。

あ~ いいコンビになりそうね。

どう? 裕ちゃんは。
う~ん。

まあ みんなが言うほど
ずうずうしい人ではないと思いますけど。

へえ~ そう思うんだ。
ええ。

じゃあ リードしてあげて。
私がですか?

1つ おねえさんでもあることだし。
ああ…。

でも きれいだった 2人とも。

キスしても ちっとも嫌らしくない。

いいコンビになるよ。

♬~

撮影は?
巻いてる。 順調よ。

こんないい天気に 暗いスタジオで…

おっかしな仕事だな。
そう思いませんか?

面白い?

え?
その本。

ああ 面白いっていうか 好きなんです。

ふ~ん。 どんな話?

年取った漁師が 一人で海に出て

大物と格闘して。
大物?

カジキマグロ。 漁師の船よりもでっかい
化け物みたいなやつ。

特別な道具なんてない
ほとんど 銛だけで

何日も 夜も寝ずに
たった一人で 命懸けで化け物と戦って

とうとう やつをしとめるんです。

でも その大事な大事なカジキは
港に帰るまでに サメに食われて

骨だけになっちまう。

何だか 悲しい話ね。

そうかな? それでも
漁師は やり遂げたんですよ。

とてつもない大きなことを たった一人で。

貸しましょうか?

いいわ もう聞いたから。

あのね 裕ちゃん。
はい。

台本のせりふは
勝手に変えない方がいいと思うの。

はあ。

本当よ。 何本か主演したからって
誰も そんなことしないわ。

でも 「何とかなのだ~」なんて
あんなふうに言わないけどな 俺たち。

それと お昼に
食堂でビール飲んでるって 本当?

駄目なんですか?

そんなの 今まで 聞いたことないわ。

森繁さんだって 三國さんだって。
はあ。

いい時はいいけど 裕ちゃん
そんなことしてたら 仕事なくすわよ。

いいですよ。 干されたら干されたで。

俳優なんて
男子一生の仕事じゃないですから。

本気?
はい。

要するに 片手間ってことね。

気を悪くしたなら すいません。

マコさんが言うなら せりふも変えないし
ビールも もう…。

ううん。 いいのよ 別に。
裕ちゃんの好きなようにすれば。

真面目なんですね マコさん。

私 14の年に この世界に入ったの。

家族を支えるためには
これ以外にできることもないしね。

裕ちゃんは そのころ 何してた?

もう ヨットに乗ってた?
「太陽の季節」の世界ね。

中古の小さいやつですよ。
どうしても 海に出たかったから

父に ねだって やっと。

私には 想像もつかない。

そうだ。

14歳で 日劇ダンシングチームの試験
受けに行った時ね

「脚を見せて」って言われたの。

こんなふうに。

恥ずかしかったわ。

午後は 1時半からよ。 遅れないでね。

♬~

あの…。

何?

いつか乗ってくれませんか?
俺のヨット。

駄目。

私 船酔いするの。

「老人は すぐに眠りにおち
アフリカの夢を見た。

かれは まだ少年だった。

金色に輝く長い砂浜 白い海岸…。

老人は このごろ 毎晩のように
この海岸をさすらう」。

マコ!

お姉ちゃん。

裕次郎さんは?
手続き。

それと たばこ吸いに行ってる。

一体 どこへ行く気?

ニューヨーク。
ニューヨーク…!?

誰にも言わないでね。

こうするしかなかったの。
会社に 結婚認めてもらうには。

はあ~。

ごめんね。

だからって こんな大胆な…。

日活が認めればいいけど

そうじゃなかったら
2人とも おしまいじゃない。

どうせ
裕次郎さんの言いだしたことでしょ?

私 裕次郎さんに言うわ。
マコを連れていかないでくださいって。

お姉ちゃん!

私 自分で決めた。

裕ちゃん見てたら
自分のために生きてみたくなったの。

全部 捨てることになっても。

女優も… お父さんも お母さんも。

何も惜しくはない気持ち。

ごめんね お姉ちゃん。

分かった。

お姉ちゃん…。

私だってね マコにね いつか…。

いつか?

マコに…

いつか 自分のために
生きてほしいって思ってたんだ。

ありがとう。

マコ。

今日 とってもきれいだよ。

♬~

行くね。
うん。

♬~

♬~

大丈夫?
ええ。

明日 キーウェストに行こうか。

キーウェスト?
うん。

ヘミングウェーの家があるんだ。

ヘミングウェーは 猫好きでさ
6本指の猫を 幸せを呼ぶ猫だって

大事にしてたらしい。
ふ~ん。

その子孫の猫が まだ…。

(足音)

石原裕次郎さんですね?

そうですが。

これを預かってきました。

日活から
日本領事館に届いたものだそうです。

あなたは 領事館の方ですか?

あ いえ こちらに駐在してます
六葉商事の者です。

領事館に知り合いがいるもので。

おくつろぎのところ 失礼しました。

堀社長からかしら?

なぜ ここが分かったんだろう?
気味が悪いな。

でも 「結婚は許す」って。

許すも何も こっちの勝手だけど。

大手を振って結婚できるのよ?
よかったじゃない。

まあな。
ああ また働かされるなあ。

裕ちゃんはね。
え?

私 女優辞める。

これからは 自分のために生きるんだ。

私 不器用だし 2つのことできないし。
いいでしょ?

ああ。 女優だろうが 何だろうが

マコは 裸一つで来てくれれば
俺は いいんだ。

マコ。 はい。

いつか 俺 天下を取るから。

待ってて。

天下?

マコのためにさ。

乾杯。

乾杯。

「もはや 老人の夢には
暴風雨も女も大事件も出てこない。

夢は ただ
さまざまな土地のことであり

海岸のライオンのことであった」。

鶴間さん 本当に お座りになって。

(鶴間)では 今だけ 失礼いたします。

あの 私 本当に 何もできないんです。
よろしくお願いいたします。

はい。
子の大奥様から伺っております。

女優さんでらしたんですもの
当たり前ですよ。

奥様は 何にもなさらなくていいんです。
手が荒れますしね。

でも でもね 鶴間さん
それじゃあ 私が困るんですけど…。

あ どうぞ ご遠慮なさらず。
この鶴間が 全部いたしますから。

いえ あのね 私
お料理できるようになりたいんです。

裕さんに おいしいごはんを作りたいの。

あ… ああ なるほど。

だから ご面倒でも 鶴間さんに
少しずつ教えていただきたいんです。

承知いたしました。 きっと
すぐ できるようになりますですよ。

ですよね。

(鶴間)じゃあ 奥様 これを

薄めのいちょう切りに切っていただいて
よろしいですか? はい。

いちょう切り?

…あっ はい。 失礼。

このように…。

よろしいですか?
はい。

ハハ…。

♬~

あの 奥様 先に休ませていただいても…。

もちろん そうしてください。
ご苦労さまです。

おやすみなさいませ。
おやすみなさい。

あ あの 奥様

もし 旦那様がお戻りあそばして
温め直す時は

蒸し器でね なさると。
ありがとう。

♬~

≪お~い!
(ドアをたたく音)

おい みんな来たぞ。
あ~ マコちゃん!

お邪魔します。
久しぶり マコちゃん。

危ない 危ない!
奥様!

よ~し よしよし。
おう みんなで帰ってきたぞ。 ハハハッ!

おうおう みんな 遠慮するな。
座ってくれ 座ってくれ。

ねえ 裕さん あの人 誰?
え?

ほら あの赤いシャツの人。
うん?

誰かな? あ~ そうだ!
飲み屋で隣にいたやつだ。 ハハハハッ!

裕さん こっち こっち!

おう 今 ビール持ってくからな。
腹減ってきたな。 カレーあったよな。

でも あれは おとといのだから。
それに 鶴間さん もういないのよ。

そっか。 じゃあ 酒だけでいいや。
そんなわけには…。

じゃあ 出前取るか なり寿司の。
いや もう 閉まってるわ。

まだ起きてんじゃないかな?
よし 電話してみよう!

あ~ ちょっと ちょっと ちょっと…!
裕さん 早く!

おお ビールだったな。 ハハハハ!
あ…。

(一同)乾杯!

あ~ うまい!
うまい うまい うまい!

あっ カレーの匂いがしてきた。
あっ?

本当だ。 ハハッ!
北原三枝のカレーが食べられるぞ!

アハハハッ!
マコちゃん 引退したけど

ちゃんとやってんだな~。
おう 立派にやってるよ。

ハハハッ!

マコ一人で作ったの?
すごいな~。

裕さん どうしよう。
どうした?

固まらないのよ。 水みたい。

カレー粉が足りないのかしら。

♬~

(せきこみ)

♬~

マコ?

(騒ぐ声)

はあ~ どうしたらいいの?
助けて。

マコ!
ありがとう お姉ちゃん。

ううん。
ごめんね。

はあ~。

はい どうぞ!
(一同)お~!

どうぞ 召し上がれ。
いただきます!

こないだは ありがとう。
ちょうど お客様だったからね

多めに作っておいて よかった。
作り方 書いといたから。

あ~ 一生忘れない。
大げさねえ。

今日は ゆっくりできるんでしょ?
そうもしてられないの。

うちの子たち
学校から帰る前に 戻らないと。

2人とも 元気なんでしょ?
最近 生意気。 反抗期かしら。

いいわねえ。

マコも さっさと産んじゃいなさい。
若い方がいいよ。

帰ってこないんだもの。
裕さん?

午前様どころか 午後とか
翌日とか 翌々日とか 1週間とか。

なるほどね。

最近は 芸者さんあげて 料亭で…
らしいのよ。

まあ。

お義父様も 接待で
料亭じゃ 顔だったらしくて

憧れてるって
しゃあしゃあと言ってたわ。

男のつきあいは 大事だ
とか言っちゃって。

女のつきあいでもあったわけね。

子のお義母様は 料亭に
乗り込んでいったことがあるそうよ。

料亭に? いつも 宅が
お世話になっておりますって

菓子折と半襟 用意してって。
へえ~。

玄関で挨拶して
で 上がらずして そのまま帰る。

それが 妻の引き際だって言うの。

マコもやれば?

私はできないわよ そんなこと!
裕さんだって 嫌がるだろうし。

嫌がるから やるんじゃない。

そうか…。

(ため息)

ねえ お姉ちゃん。
うん?

結婚って 夫婦って 何なんだろうね?

結婚前の方が よっぽど
裕さんと顔合わせてたくらいよ。

共演してたから。

地方ロケ行ったら
ひとつきも会わないなんて ざらだし。

分かってたでしょ そんなこと。

ここまでとは思わなかった。

家が楽しくないのかな?
私のこと嫌いになっちゃったのかな?

あんた いいかげんにしなさいよ!
ウジウジ ウジウジ。

全部捨てて 結婚するって
言ってたじゃないの。 あれは うそ?

あなたが結婚したのはね
普通の男じゃないと思う。

いい意味でも 悪い意味でもね。

分かんないけど そんな気がする。

その覚悟も できてなかったの?

してたわよ。
してたつもりだったけど…。

甘ったれんのも いいかげんにして。
私 忙しいの。

あっ ねえ ちょっと お姉ちゃん!

お姉ちゃん 待って。 タクシー。

電車で帰ります。 一般庶民ですから。

あっ ねえ ちょっと お姉ちゃん!

♬~

(すすり泣き)

(泣き声)

♬~

ごめんください。

いらっしゃいませ。

いつも 宅の石原が
大変お世話になっております。

一度 ご挨拶をと思いまして。

それは 恐れ入ります。

これを。

あっ これは…

ご丁寧に ありがとうございます。

では。

奥様 お待ちくださいませ。

石原さんのお座敷に
ご案内いたしますので。

えっ それは…。

どうぞ お上がりくださいませ。

では…。

♬~

失礼いたします。

どうしたの? マコ。

ハハハハ。

どうしたのさ?

どうしたのって…。

これから 朝飯なんだ。 マコも食う?

おいで。 ハハハハハ。

はい。

♬~

≪失礼いたします。

あ~ 来た来た。

腹減った~。

お姉ちゃんの言ったとおりだわ。
え?

普通じゃないって 裕さんは。

いい意味でも 悪い意味でもだって。

アッハッハ。
うまいこと言うな~ 圭子さん。

ハハハハッ ハハハハッ。
ハハハハッ ハハハハッ。

♬~

どう? 裕さん。

どうもこうもねえよ。
痛い?

何の因果で スキーの骨折ぐらいで
8か月も入院せないかんのかねえ。

聞いたでしょ。 手術すれば早いけど
左右の脚の長さが違ってしまうんだって。

多少 脚が短くなろうが
女優じゃあるめえし。

因果な商売だよな~。

(戸が開く音)

真理子ちゃん。 ハハハ。

おいで おいで。

真理子ちゃん この人
おにいちゃんの奥さんだよ。

ハハハッ。

こんにちは 真理子ちゃん。

(真理子)こんにちは。

ハハハハ。

かわいい子ね。 入院してるの?
うん。

この前 記者が勝手に入ってきて

真理子ちゃんのお父さん
怒らせちゃってさ。

それが縁で
遊びに来るようになったんだ。

女の子もいいな。 裕さんは
男の子が欲しいんでしょうけど。

あの子 小児がんらしい。

えっ…。

残酷だよな。

着替え 着替え。

俺がやる予定だった
ほら 「激流に生きる男」

主役決まったよ。 赤木圭一郎だってさ。

ああ 赤木君なら よかったじゃない。

私 ちょっと
感じが似てるなと思ってたのよ。

退院したら
あいつを接待してやらないとな。

もう 裕さんったら
自分が行きたいもんだから。

あ… うん…。

うん? どうしたの?

ん… マコ 看護婦さん呼んでくれ。
早く!

え ちょっ… ねえ どうしたの?

トイレ!
トイレ!?

あっ これ!
いや それじゃなくて

大! あっ 駄目だ! だっ だあ~。

ごめん マコ。
本当に ごめん こんなことさせて。

いいのよ 裕さん。

情けない。
こんな状態で 8か月も入院かよ。

何 笑ってんのさ。
ひでえなあ。


裕さんの奥さんになったんだなと思って。

えっ?

だって こんなこと
ほかにできる人いないでしょ。

芸者さんだって クラブのママさんだって
できないでしょ?

勝ったわ。

もういいからさあ…。

(笑い声)

あっ…。

もういいから 看護婦さん呼んでくれよ。

いいわ このままで。
参ったなあ。

♬~

いけるだろうな。
いけると思いま…。

あ… 何だ マコか。

打ち合わせ?
うん。

悪いけど マコ ちょっと待っててよ。

うん 分かった。

ごゆっくり。

だからさ そこんとこ見直せば
予算もスタッフも削れるよな。

まもるちゃん 美術費 削れるよな?
なんとかしますよ。

そうやっていけば きっと
少数精鋭で いい映画が作れる。

セット 何日 かかるんだ?

15日あれば なんとかなると思うんだけど。
いや 駄目だ。

半分。 は?
1週間で なんとかしてくれ。

1週間…。
なんとかしよう。

昨日ね 田園調布の
石坂先生のお宅に行ってきたの。

石坂洋次郎先生?

日活は 裕さんの復帰第1作について
練りに練ってるのよ。

でね 第1作は 石坂先生の
「あいつと私」がいいってなって

それで マコちゃんも一緒に来てくれって
頼まれてね。

ふ~ん…。
日活も いろいろ考えてくれてるのね。

この8か月が 裕さんにとって
マイナスにならないようにって。

マコ。
うん? ちょっと待って。

ちょっと話しておきたいことがある。
何? 改まって。

俺 自分で 映画作りたいんだ。

どういうこと?

自分の会社を作って 自分で企画して
自分がいいと思う映画を撮りたい。

俳優は辞めるの?

今みたいな お仕着せの

ただ数こなすだけの映画なら
辞めてもいい。

やる意味がない。

一生かけてやる仕事じゃない。

じゃあ 「あいつと私」も やらないの?

いや
なにも 日活と縁を切るわけじゃない。

でも そんなに長くは待てない。

人生は短いんだ。

裕さん 赤木さんのこと言ってるの?

あれは 事故よ。 不幸な偶然。

現場を離れて8か月

いろいろ考える時間が
ありすぎたのかもしれないけど

いや 前から考えていた気もする。

ずっと俳優だけをやっていく…
そういう自分が想像できなくて。

そういえば 昔から そう言ってたわね。

思いつきや 気まぐれじゃないんだ。

でも 裕さん まだ27よ? 早すぎない?

迷ってたら
あっという間に 30 40 50だ。

その時には もう
そんな気力もなくなって…。

どうして そんなに生き急ぐの?
じゃあ

いつまで待てばいいんだ。
いつまでって…。

俺のおやじ 52で死んでんだ。

知ってるよな。

朝 一緒に 横須賀線乗って

横浜で 俺が 「じゃあね」って降りて

会社に駆けつけた時には
いびきかいてたな…。

52から27を引いてみろよ。
もう半分以上は…。

やめて! そんなこと言わないで。
縁起でもない。

男は
死んだ父親の年を意識するもんなんだよ。

裕さんには お義父さんより ずっとずっと
長生きしてもらわないと困るわ。

私 独りになっちゃう。

大丈夫だよ。 マコは強いから。

ただ 50で終わっても 80で終わっても

人生に悔いを残したくないだけなんだ。

なあ…?

日活には 話を通すのよね?
もちろん。

そう簡単じゃないと思うけど。

分かってるよ。

では 始めさせていただきます。

(拍手)

裕次郎の兄です。

この度は お忙しい中 お集まりいただき
ありがとうございます。

裕次郎が この度
プロダクションを設立するというので

本日は そのご報告です。

え~ 日活の江守専務にも
快諾を頂きまして

本日 ここに 石原プロモーション設立を
発表する運びとなりました。

(シャッター音)

それでは 記者の皆さん ご質問 どうぞ。

江守専務の承諾を得たのは いつですか?

実を言うと 3時間前です。

(どよめき)

あ… いや 皆さんに言っておきたいのは

なにも 日活に不満があって
反旗を翻すのではないということです。

ただ 現在のように
興行的に安定しているからといって

映画を
ベルトコンベヤーに乗ってるみたいに

ガサガサ作っていては
いつか 頭打ちになることがある。

少数精鋭で 予算の無駄を削り
いい映画を作る。

あるいは 逆に 世界に打って出るような
海外との合作とか

スケールの大きい映画を作るなど
いろいろなことができると思うんです。

何より
再来年は とうとう ここ日本で

初めての東京オリンピックも開かれる。

時代の大きな変革に合わせて
映画も変わっていくべきだろうと

脚を折って入院中は
そんなことを考えていました。

出る側ではなく 作る側
製作者になるということですか?

作る側にも参加するということです。

俳優は まだまだ引退しませんよ。
(笑い声)

まき子夫人は その石原プロモーションの
役員になるそうですが

映画には まき子夫人 北原三枝さんが
出演されることもあるんですか?

それは 本人に相談してみないと
何とも言えませんね。

日活以外 他社への出演はありますか?

現段階では 無理でしょう。

でも 五社協定の壁が破れるのは

時間の問題だと思っています。

(圭子)まあ 好意的に取り上げられてる
という感じかしらね。

うん… 五社協定がいいことだとは
本当は みんな思ってないのよ。

五社協定って?

映画会社が 俳優は所属しているとこ
以外の会社が作った映画には

出られないってこと。
ふ~ん。

ドル箱のスターは 独占したいじゃない。

考えてみたら 裕さんは マコと結婚して
ドル箱の女優 引退させて

更に 映画会社の協定を
破ろうとしてるわけよね。

まあね。

反逆児ねえ!
日活も 手を焼いてるだろうね。

まあね。
フフ…。

「北原三枝 女優復帰か!?」って書いてある。

出ないわよ。
でも マコ

石原プロモーションの役員なんでしょ?

う~ん
何か いつの間にか そんなことに。

マコ そういうの苦手じゃない。
…うん。

大丈夫なの?

しかたないのよ。 慎太郎さんも言ってた。

裕さんは 小さい頃から 言いだしたら
テコでも動かないんだって。

へえ~。

でもね 今の裕さん
すごく生き生きしてるの。

確かに そうみたいね。

独立は早すぎるって思ったけど
よかったのかなって思ってるわ。

どちらにしても もう
船は こぎ出してしまったんだからね。

♬~

簡単に言うと たった一人で 太平洋を
小さなヨットで横断した男の話です。

主人公は 一見秀でた人物でもなく
友達も あまりいない。

家族も もろ手を挙げて応援してはいない。
四面楚歌です。

でも そんな男でも
胸には 何か たぎるものを秘めている。

やらずにはいられないんです。

(記者)主人公は 何のために
そんな危険な冒険をやるんですかね?

人間とは そういうものだからですよ。

この映画を見たあとなら
きっと分かってもらえるはずです。

旧態依然とした映画とは違う
新時代の映画です。

石原プロモーションが
初のプロデュース作品として

自信を持って お届けします。

お待たせしました!
これより 「太平洋ひとりぼっち」

初号試写を始めます。
どうぞ お入りください。

ありがとうございました。
拝見させていただきますので。

よろしく頼みます。

裕さん 始まるわよ。 早く。

ちょっと待ってくれ。
どうしたの?

やっぱり 俺は ここにいる。

あ… マコ いいから 見てこいよ。

いいわ 劇場で見るから。

≪(上映ブザーの音)

マコ… 当たると思うか?
うん?

主人公の男はね 一人で平気だ。
友達なんかって男なんだが…。

それでも 何日も何日も
たった一人で 海の上にいると

亡霊のようなものを見たり

たまたま雑誌に載ってた写真の犬を見て

愛犬を思って
いとおしそうに なでたりする。

そういう繊細な映画なんだ。
いい映画なのは 間違いない。

でも 痛快なアクションも
ロマンスもないんだ。

そんな映画を 人は見たいと思うかな?

そういう映画を
撮りたかったんでしょ?

日活の裕ちゃんブームとは
全然違う映画が出来上がったんでしょ?

ならいいじゃない。
受け入れられるかどうかは また別の話。

…そうだな。

確かに そうだ。

コーヒーでも買ってくる。

≪ブラボー!
≪(拍手)

≪(歓声と拍手)

お前 大したやつだ。
兄貴。

よく こんなもん作ったな。
本当か?

ああ いい映画だと思う。

そうか。

裕ちゃん! 裕ちゃん よかったよ!
最高だよ 最高!

よかった!
最高だよ! ありがとう。 ありがとう。

いい映画だったよ!

♬~

「『さあ来い。 頼むぞ』
綱は徐々に確実に浮き上がってくる。

ボートの前の海面が
うねるように盛り上がり

ついに 魚は姿を見せた」。

鶴間さん お鍋取ってくださる?

ありがとう。
あのさ…。

アハッ。 もう 裕さん
鶴間さんかと思ったわ。

フッ… 何だよ 俺がうちにいるのが
そんなに珍しいか。

珍しいわよ。
私 鶴間さんと結婚したみたいよ。

ハッハ…。 マコ。
うん?

来週 三船さん呼んでもいいかな?
ああ うちに? いいわよ。

三船プロと組んで 映画撮るんだ。

あっ 三船さん 近くにお住まいよね?

何が お好きかしら?
お酒 何 用意したらいい?

う~ん 分かってるのは
ちょっと酒癖が悪いってことだけだ。

それは お互いさまでしょ。
ええ? ハハハ。

だからさ これから 日活の方の映画は
少し出るの控えるよ。

こっちに集中したいんだ。
そう。

それから 今年も
リサイタルやることにしたよ。

歌は やりたいわけじゃないが
資金集めないとな。

何だよ その顔。

随分 やる気になってるのね。
まあな。

どんな映画なの?

うん…。

ダムを造る男たちの話なんだ。

ダム?

(雨音)

お帰りなさいませ。
ただいま。

奥様 旦那様が…。

裕さん いるの?

やっぱり 駄目だったよ 「黒部の太陽」。

えっ?

役者がつかまらない。
みんな 五社協定を怖がってんだ。

ハッハッハッハ…。

でも 三船さんがいるじゃない。
世界の三船敏郎だもの

ほかの役者とは 格が違うでしょ。

その三船さんも 腰が引けてきた。

チクショー。

チクショー!

(うなり声)

≪(うなり声)

警察を呼びましょうか 奥様。
そうしましょう。

≪(うなり声)

≪頼もう~!

頼もう~!

三船さん?
あ?

(三船)裕次郎~!

ほら ねっ! いないでしょ?

どこへ行きやがった!?

さあ あちこち飛び回ってますから。

まだ諦めてねえのか。

当たり前でしょ。 三船さんだって
一度はやるって約束したじゃないですか。

うう~!

しかたねえんだよ マコちゃん。

日活は 社員だからって
熊井監督を貸し出さねえ。

その上 五社どこも
「黒部の太陽」はできない…

な~んて ぬかしやがって!

万事休すだ。

分かるだろ マコちゃんも
この世界のことは。

がんじがらめってやつだ。

でも 三船さんだって
三船プロダクションの

一国一城のあるじじゃないですか。
ふん!

五社協定には 勝てないの。

最初から そんなことを…。
女には分からん!

女も男もありません!

さっき マコになら分かるだろって
おっしゃったじゃないですか。

男だったら ぶん殴ってるとこだ!

ねえ 三船さん。
何だよ マコちゃん。

お願いしますよ。

う~ん… でも やめよう。
もう やめよう ねえ マコちゃん。

駄目です。

あ そう…。

あ~ ちょっと ねえ 三船さん
ねえ ここで寝ないで!

鶴間さん お水を。
要らん! 帰る!

三船さん 帰る前に聞いてください。
何だ!

裕さんは きっと
自分のためにやってるんじゃないんです。

じゃあ 誰のためだ。

分からないけど
後に続く人や この業界…

よくない古いしきたりを
壊すためにやってるんじゃないかしら…。

ハッハッハ! きれい事言うな。

確かに 立ち向かっても
駄目なんでしょうね きっと。

そう きっと 駄目なんだわ きっと…。

でも 三船さんだけでも
せめて 裕さんの味方でいてあげて。

お願いします。

お願いします!

♬~

マコ! マコ!

マコ やったよ!
引き受けてくれたよ 宇野先生が!

本当!?
全面協力してやるって。

正直に キャスト費
500万しかありませんって言ったんだ。

そしたら 「よし 俺に任せろ」って。

さすがは 劇団 民藝だよ。
さすがは 宇野重吉だよ!

ああ 宇野先生はもちろん
滝沢 修さんだろう…。

ほら これだけの人が出てくれるんだ。
ほかの劇団にも 声をかけるって。

すごいキャスティングじゃない!
だろう!

ありがたいよ。 本当に ありがたい!

よかったじゃない 裕さん。
ああ。

それから 三船さんが…。

三船さん?

三船さんが やろうって言ってきた。

そう!

でも 何で 気が変わったんだか…。

でも よかったじゃない!

やれそうだ やっと。
諦めないで よかった。

できるわ きっと。

さあ 祝杯挙げましょ。 こんなところで…。

♬~

行かないの?

マコ。 ちょっと そこ 開けてごらん。

「辞表」? 誰の?

熊井監督のさ。

五社協定盾に「黒部の太陽」撮らせないって
日活が言うから

それを懐に 監督 毎日 撮ってたんだ。

それを預かった。

これだけ みんなが苦労したんだ。
絶対 当たってくれないとな。

行こうか。

裕さん…!

♬~

待って!
ちょっと待ってね。

どうだい?
次回作の「ある兵士の賭け」の方は。

それがな~ 向こうは高いんだ ギャラが。
完全に予算オーバーだよ。

お前がやればよかったのに。
外人の役をか?

脚本 変えてさ。 外国人が主人公じゃ
客が入らないんじゃないのか?

世界に通用する映画を撮りたかったんだ。

日本だけがマーケットじゃない。
それに…。

それに?

これも 事実に基づいた話だからな。
戦争孤児や混血児のために

1, 300キロも歩いた米軍兵がいたんだ
現実に。

お前の作る映画は いつも共通してるな。

人のやらないことを成し遂げる男の話。

そういうのが好きなんだ きっと。

叔父ちゃ~ん!
おお 宏高。 ハハッ よっ!

お~ また重たくなったな。

宏高は 本当に 叔父ちゃんが好きね。
そうか そうか 叔父ちゃんが好きか。

ハハハハ。

なあ 兄貴
あの話 本気にしていいんだよな。

あの話?
養子の。

ああ いいぞ。

おい 宏高。
何? 叔父ちゃん。

宏高は 叔父ちゃんのこと好きか?
うん!

うんと好きか?
うん! う~んと好き!

ハハハハ! そうか。
じゃあ お前は

叔父ちゃんのうちの子になるか?
えっ?

(慎太郎)裕次郎叔父ちゃんの子に
なるってことだよ。

じゃあ 僕は
パパとママの子供じゃなくなるの?

僕は やだ! 僕は やだよ!

宏高 うそだよ 冗談だよ。
心配しなくていい。

叔父ちゃんが悪かった。
ごめんな 宏高。

本当に?
ああ 本当に。

宏高 また お兄ちゃんらと遊んでこいよ。

遊んでこい。

うん!

宏高に悪いことしたな。

大丈夫だよ あの子は。

ま いいさ。
俺たちの子供は 映画だから。

な?

♬~

えっ こんなに たくさん。
これも?

いや さすがね~。

見て これ。
そりゃ そうよ 女優さんだもの。

女優… だった。 過去形よ。

マコちゃん 本当にいいの?

今の私には 必要ないもの。
もう 言い値でいいわ。 大サービス。

え~! そうは言っても
私たちじゃ そんな高くはねえ…。

質屋さんとかに持ってった方が
高くなるんじゃないの?

うん…。
ばかね。

質屋なんか行けるわけないでしょ。
北原三枝よ。

ねえ マコちゃん。

私も 知ってる人に持っててもらった方が
うれしいし。

鶴間さん コーヒー まだ?

マコさん だいぶ困ってるのかな?

あなた 「ある兵士の」… 見た?
ううん。

私見たけど 映画館 ガラガラだったの。
え!?

(扉が開く音)

≪(足音)

奥様 お帰りです。

(足音)

人を呼びつけておいて どこ行ってたのよ。

それが…

裕さんが 秋田で倒れたの。

倒れた?

「甦える大地」の宣伝で
全国飛び回っててね。

最初は 急性肺炎って言われたの。

無理したんじゃない?
今 大変なんでしょ? 石原プロ。

で 今 東京の病院なの?
熱海の病院に転院になった。

熱海!?
結核だったの。 長くなりそう。

つくづく 浮き沈みが大きい商売よね。
つい この間

「黒部の太陽」で大当たりしたのに
あっという間に…。

大丈夫でしょうねえ
石原プロモーション?

今日は帰るわ。
マコ 熱海行くんでしょ?

お姉ちゃん。
何?

お願いがあるの。

何よ 改まって。

何よ。 言ってごらん。

お金貸してください。

信じられないかもしれないけど

今 うちの口座には 9万しかないの。
これが 全財産なの。

今日までに
銀行に150万入れないといけないの。

え~っ!?

えっ… でも どうして うちなの?

石原裕次郎なら
もっと借りられそうなとこ…。

おおっぴらには 借金できないのよ。

裕さんも この家 処分しようとしたの。

でも専務が
社長は そんなことしないでくれって。

スターでいてもらわないとって。

(ため息)

ごめんなさい。
やっぱり言うんじゃなかった。

忘れて。
そんな見え張ってる場合じゃないのにね。

マコ 覚えてる?

お母ちゃんが半狂乱になって

お父さんに 家の権利書だか お金だか
持ち出されたって。

押し入れ 捜して
「また持っていかれたわ」って。

汗びっしょりになって
後れ毛が額に張り付いて。

お姉ちゃん
お父さんに食ってかかってた。

あんたは 陰に隠れてた。
要領がいいんだから。

でも 私 お母さんとは違うわ。

全然違う。

だって 私 これでも 全然いいの。

幸せなの。

後悔してないの。

うん。

マコが この世界入ったの
私が宝塚の舞台へ連れてったからよね。

え?
私が 友達から もらった券で。

うん。

じゃあ 私にも責任があるわけだ。

分かった。

お金貸すよ。
お姉ちゃん…。

言うほど ないけどね。

ありがとう… ありがとうございます。
ううん。

こんにちは。

(光子)裕ちゃん 裕ちゃん
ああ かわいそうにねえ。

分かった 分かった。 うつるぞ フフッ。

ん? ああ マコちゃん。

遠くから すいません お義母さん。

おまじないしてたのよ。

疲れるから もう帰れよ。
マコ 駅まで送ってって。

病人が心配しなくていいの。
あなたより ずっと元気なんですから。

はいはい。

お義母さん…。

そんなに入ってないから。
あなたに渡した方が 安心だわ。

いや そんな 大丈夫ですから。

わざわざ持ってきたんだから
取っときなさいって。

今日は マコちゃんに会えて
よかったわ。

でも あの… 本当に
お義母さんに ご心配いただくほど…。

うそおっしゃい。

10億ぐらいあるって聞いたわよ 負債が。

どうして そんなことになるのかしらね。

大当たりした映画だって
あったじゃない? 怖い商売ね。

悪い時もあれば
いい時もあるはずですから。

苦労かけるわね。

あの子も 会社なんか始めないで

おとなしく
俳優だけやってりゃよかったのに。

でも それが裕さんですから。

そこが 面白いところでもあるんです。

まあ…
あなたって 本当にいい奥さんね。

でも さすがのあの子も
悪いと思ってるみたいだから

許してやってね。
許すなんて…。

実はね 今日 相談持ちかけられたのよ。

相談?

口止めされたんだけどね

マコと離婚しようと思うって言うのよ。

あっ もちろん あなたを守るためによ。

債権者やマスコミから。

マコちゃん?

(笑い声)

俺 裕次郎さんの
「黒部の太陽」見たんだよ。

ありゃ すごかったね。
こう スケールっていうの?

見た見た わしも見た! なあ!
ああ たまげたで。

本当ですか? うれしいな。

石原さんは
テレビには出られないんですか?

そりゃ そうだよ。
裕次郎さんは 映画の人だよ。

テレビなんか出ねえよ。
そうですよね すみません。

ただね 私たち忙しいから
映画見に行けなくて。

だから テレビで見られたらって
思っちゃって。

失礼しました。 行きましょ。
はい。 じゃあ また。

じゃあね。

テレビには 収まんねえんだよな。
だよな。 スケールが違う。

ハハハハハ! そりゃ そうだ。
なあ!

けどまあ すごかったな 「黒部の太陽」。
すごかった すごかった。

すごかったよな。
スカ~ッときてな。

あ… マコ
おふくろ帰った?

おっ。
ああ… だな。 じゃ!

あの たばこ 今日が初めてなんだ。
本当だよ。

もう吸いません。

お義母さんに聞いたわ。

離婚のこと。

本当なの?

私は 裕さんの何なの?

分からないか 俺の気持ち。
分からないわ 全然。

言ってみりゃ
俺は 自分のわがままを通して

とんでもない額の借金抱えた。

わがまま?

俺は自業自得だけど マコは違う。
違う?

2人は違うの? 別々なの?

もし そうなら
私 いつでも離婚してあげる。

マコ。

夫婦でしょ?
ねえ 夫婦じゃないの? 私たち。

俺の気持ちが分からないのか!
裕さん。

裕さんが真っ赤なカシミヤのセーター着て
大学に通ってた頃

うちじゃ 父が通帳持ち出して
母が半狂乱になって

姉が父に食ってかかって。

私は 半分は
家のために女優になったけど

学校も ろくに行ってなかったから
本読みで笑われたわ。

角力を カクリキって読んだりしてね。

裕さん 私は平気よ 貧乏なんて。

どうして 一緒に苦労してくれって
言ってくれないの?

映画に夢中になってる裕さんと
一緒にいることが

私の幸せなのに。

♬~

後悔したって 知らねえからな。

するもんですか。

♬~

(遠藤)ハハハ へえ~ なるほどね。

だから 若い女優さんも
おっしゃってましたもんね。

日活学校って。
学校か。

ベテランも新米も関係なく
食堂の前の芝生でギター弾いて 歌って

すごく楽しかったって。
アハハ。

裕さんが始めたことなんでしょ?

マコには 昼からビール飲んでって
叱られたけどな。

あら 私の悪口? フフッ。

冷めないうちに召し上がらない?

ありがとうございます。
もうちょっとで 1着目終わりますので。

でもまあ 日活学校も もうおしまいだな。

残念ですね。
ああ。

なにも 今 一度に3着作らなくても。

来月に回すとか。
ねえ 裕さん これからは 1着ずつ…。

うるさい!

ごめんなさい…。

疲れてなかったら 続けてやっちゃおう。

はい。

マコ ちょっと いいかな?

はい。

あのさ…。
今日は 本当に ごめんなさい。

考えてみたら スーツとか

レコードのジャケットとか
使うこともあるし

ぜいたく品じゃ…。

えっ 何の話?

ん?

あ… じゃあ もういいんだけど。

あのさ
日本テレビの岡村さん 知ってるよな。

俺と同じ学校出身らしいんだけど。

金曜夜のゴールデン枠って
ドラマの企画があって…。

テレビドラマなの?
まあ 聞けよ。

刑事ものなんだ。

本やキャスティングも

今までの刑事ドラマとは
一線を画すものにしたいって言ってる。

裕さん やりたいの?

ワンクール。
13話だけだったら やろうかと思う。

マコは 反対か?

だって 石原プロモーションは
映画の製作会社でしょ。

大きなところが撮れないような
いい作品を作ろうって

それで 今まで
苦労してやってきたんじゃない。

うん。
それを お金のために。

もちろん それもあるけど
それだけじゃない。

テレビはテレビで 映画とは違う
可能性もあるんじゃないかと思うんだ。

今までとは違うお客さんも
見てくれると思うんだ。

やっぱりな。

マコは反対すると思ったよ。

私だけじゃないでしょ。
石原プロのみんなや専務

慎太郎さんだって
反対するに決まってるわ。

いや それがさ やるべきだって。

え?
特に 反対はない。

そうなの?
うん。

マコが 最後のとりでだよ。

どうしても 駄目か? ん?

私は 映画俳優と結婚したの。

そしたら すぐに
映画を作る側の人になって

今度は テレビ俳優?

フフッ。

俺は マコに会う前から
北原三枝って女優の大ファンで

女優と結婚したと思ったら すぐ辞めて
専業主婦になっちまったけど

マコには変わりないから 全然問題ない。

で タイトルは
「明日に燃えろ」って言われたんだけどさ

俺は 「太陽にほえろ!」がいいって
言ったんだ。

太陽は 縁起がいいからさ。

♬~

ほら これ 出道具で置いておけ。

(岡村)おはようございます。
おお。

とうとう インですね。
よろしく頼みます ボス。

ボス?
藤堂ボスだから

これからは ボスって呼ばせてもらいます。

ボスねえ。
ボス!

最高じゃないですか 社長。
え?

失礼します! おはようございます ボス。
そろそろ お願いします。

こら なれなれしいぞ。
構わんよ。 ハハハハハ。

よし 行くか。

♬~

あちらにしましょうか 奥様。
ああ そうね。

ここに お願い。
はい。

こちらで よろしいでしょうか。
ありがとう。

失礼します。

♬~

「ふたたび魚は速度を落とし
もとの速さに戻りつつある。

だが さっきは
なぜ跳ねあがったのだろう。

老人は頭をひねった。

まるで 自分の大きさを見せるために
跳ねあがったみたいじゃないか」。

♬~

社長が死んだら どう責任取るんだ!

しかし 日本中が
社長の手術の成功を喜んで…。

ファンの中には テントで
ここに泊まり込んでる人もいるんです。

今は無理だ。 自分は反対です。

社長 石原プロの車にも すごいんです
「ボス 頑張れ!」って落書きが。

消してないんで
退院した時 見てください。

≪裕ちゃん 頑張れ!

≪ボス! ボス! ボス!

少しだけ… 少しだけでいいんです。
屋上で 手を振るだけで。

小林さん
裕さんの血圧は高いままなのよ。

社長 立てなければ座ったままでいい。

顔だけでも見せてください
一瞬でも。

専務!
哲…。

いいよ。 やるよ。

着替えられる?

いや…。
≪裕次郎さん!

≪裕次郎さん!
≪ボス!

≪ボス! ボス! ボス! ボス!

(波の音)

「ライオンは
薄暮のなかで仔猫のように戯れている。

老人は その姿を愛した…」。

撮影隊 もう日本に着いたかしらね。

着いて もう編集してるさ。

楽しみね
ハワイ編の「太陽にほえろ!」。

うん。

私 昔 テレビドラマなんてって
反対したけど。

マコが一人で 最後まで反対してたな。

やってよかったわね。

だろ?

裕さんが正しかった。

若い子まで
「ボス ボス」って言ってくれて。

どう?

大したことない。 微熱だ。

でも 来月 聰さんが来たら…。

倉本さん 4日に来るんだったわね。

映画の企画を 話したいと思ってる。

映画?

やっぱり 俺は 映画をやりたい。

そう 映画を。

ドンパチじゃなくて 大人の話を。

「老人と海」?

もっと しわが必要だろ。
そうね。

それは まだ先でいい。

社長には?
ないしょで来たわ。

話って何です?

実は あまり いい話じゃありません。

何?

検査の結果が出ました。

がん?

がんなのね?

肝臓がんです。 手術も難しい。

動脈瘤に舌がん
何度も乗り越えてきた社長ですけど…。

今度ばかりは 駄目かも…。

どうして
裕さんばっかり こんな目に遭うの…。

私 裕さんに何て言えばいいの。

慎太郎さんは
告知すべきだって言うんですが…。

(チャイム)

♬~

渡さんが いらっしゃいました。

渡さんが?

突然 すみません。

いいえ。 どうしました?

どうしても お話ししたくて。

私も2人で話したいと思ってたの。

はい。

豪快で男らしくてって
みんな言うけど…

本当は 裕さんは 誰よりも繊細で弱いって
私 思ってるの。

はい。

渡さんなら お分かりになるでしょ?

はい。

だから やっぱり 隠すべきなのよね。

でも 時々 私をじっと見るの。

もう分かってるような気もする。

なのに 何でみんな うそつくんだ
俺だけ 蚊帳の外かって。

そんな目で見られてるような気がして
いたたまれないんです。

渡さん お気持ちを聞かせて。

おつらいでしょうが

うそをつき通してください。

分かりました。 でも…。

奥さん。
はい。

奥さんは 女優だったじゃないですか。

何本も主役を張った
女優さんだったじゃないですか。

残酷なようですが

石原裕次郎は

奥さん一人だけの裕次郎じゃありません。

自分ら石原プロの社員の理想で

日本中のファンの人たちの夢なんです。

失礼なことばかり言って
すみません。

いいえ。

いいえ。

このまま ハワイで暮らすのもいいな。

そうね。

映画も こっちで撮る。

レコーディングも こっちで できるし。

そのつど スタッフに来てもらうの?

俺の体は 日本に帰ったら
また悪くなるような気がするんだ。

じめじめした気候が悪いんだな きっと。

でも そろそろ検査に帰らないと。
先生と約束したでしょう。

検査なんかしたって同じだよ。

いつまでたっても治りゃしない。

マコです。 会長ですか?

はい どうぞ。
(宮原)これは どうも。

おお。

ハハハハ。
あ~。

いや 裕さんが元気そうで 安心した。

ハハハ ここにいると 元気になるんです。

あっ 今度のCM
こっちで撮りませんか?

日本酒の宣伝を ハワイをバックに。
ハハハハハ!

いや しかし いい別荘だね。

そうでしょう?
ハレ・カイラニって付けたんです。

天国の家って意味です。

なるほど。

明日は ゴルフやりましょう。

裕さん 会長は着いたばかりで
お疲れなのよ。

いや ここで休んじゃうと
時差ボケが治らない。

そりゃ そうだ。

いや~ ごちそうさまでした。
お粗末さまでした。

裕次郎さん。
はい。

私が日本に帰る時 一緒に帰りましょう。

はい 帰ります。

一つ わがまま言ってもいいですか?

もちろん。

明日は ゴルフじゃなくて
ヨットにしましょう。

僕のコンテッサ3世に
会ってください。

コンテッサ?
はい。 伯爵夫人っていう意味なんです。

僕の船は 代々 コンテッサ。

特に 3世は
石原プロを立ち上げた年に買ったから

特別なんです。
というと 何年前?

昭和37年ですから 23年前ですか。
ハハッ。

よし!
明日は 伯爵夫人に会いに行くよ。

よかった。

会っておきたくて。

♬~

≪(足音)

あ~ 何だ 間に合わなかった。

何だよ。
裕さんが海から帰ってくるの

窓から見るのが楽しみなのよ。

あ~! 明日見ればいいじゃないか。

今日は どうだった?

今年のアドミラルカップは
いけると思う。

そう。 来年も再来年も出て。
来たいの ここへ。

こんな狭い所に?
だから いいのよ。

やっと2人っきりに。

あ~ 腹減った! 早く飯にしようぜ。

♬~

(叫び声)

(うめき声)

(うめき声)

裕さん!? 痛いの?
(うめき声)

俺はもう… 俺はもう…

たばこも やめない! 酒も飲む!

もう減塩食も食べない。

ヨットも葉巻も車も 好きなことやって
死んだら死んだで それでいいんだ。

そうだ 温湿布しましょう。

いいよ 寝てろよ!

ねえ 裕さん 明日 病院に行きましょう
ね その方がいいわ。

こんなに つらいんだもの。
嫌だ。

どうしてよ。
もう入院したくないんだ。

今まで 俺が
どんだけ入院したと思ってんだ。

絶対に嫌だ。

もう こりごりだ。 たくさんだよ!

治療しないと 治るものも治らな…。

本気で言ってんのか!

本当に そう思うか?

思うわ。

俺は そうは思わないね。

入院はしないって言っただろ。
ぐだぐだ言うんだったら寝ろ。

さっさと寝てくれ!

裕さん 裕さんが こんなふうに
目の前で痛がってたら

私だって 寝られるはずないじゃない。

私も もう ずっと寝てないのよ。

私 53よ。 もうヘトヘトなの。

もう限界よ。

そうか。

そうか 分かったよ。

明日 病院に行く。

いいか マコのために行くんだからな。

お前のために行くんだからな!

♬~

捜し物?

うん。

何?

本だよ。

何の本?

「老人と海」。

いつも手元に置いてるじゃない。

うん… ないんだ。

買っておくわ。

あれがいいんだ。

分かった。 捜して持っていくから。

着替える?

このままでいい。

(時計の秒針の音)

もう ここに帰ってくることは
ないだろうな。

(波の音)

「じゃ お前を
ひどいめにあわせたものは なんだ。

『そんなものはない』
かれは大声でいった

『おれはただ遠出をしすぎただけさ』」。

奥様 明日のお弁当を
お考えなんですか?

ええ。 なるべく
おかずが重ならないように

今までのものを見直していたの。

奥様は 本当に偉いですね。

旦那様のために カロリー計算をして

塩分をできるだけ控えたお弁当を
毎日毎日 お作りになられて。

いいえ。
これが 今の私の一番の仕事だから。

私が出るわ。

そう 鼻血が…。

裕さん つらそう?

うん…。

分かったわ。
今日 マスコミは? いつもどおり?

ちょっと待って。

あ… ううん 何でもないの。
じゃあ 後でね。

(波の音)

(すすり泣き)

あっ…。

起きてた?

マコ…。

はい。

夢を見てた。

それは…

ライオンの夢?

初めて読んだの。

やっとだなあ。

そうなの やっと。

そうか。

サンチャゴは きっとまた 海に出るよね。
そうよね?

ああ。 あの老人は また海に出るんだ。

懲りずに 何度でも。

ああ。 懲りずに 何度でも。

私ね 裕さんのこと
分かってたのかな? 今まで。

いつか 分かる日が来るのかしら。

マコ 疲れたから ちょっと寝るよ。

ええ。 ゆっくり やすんで。

ライオンの夢を見るのよ。

サンチャゴのように。

よ~い スタート!
よ~し OK!

はい スタート!

(撮影所のけん騒)

あれ? どこ行っちゃったんだろう?
あ…。

裕ちゃん! 裕ちゃん!

ん~ 失礼なやつね。
主演女優 待たせるなんて。

あの おいくつぐらいの方なんです?

えっとね マコちゃんの1個下。
学生なんだ。

それでね
マコちゃんの映画 全部 見てるんだって。

あっ あんなとこにいた。 裕ちゃん!

♬~

ほら。

ほら 挨拶!
ああ…。

石原裕次郎です。
初めまして。

北原三枝です。

♬~

「美しきものに ほほえみを

淋しきものに 優しさを

たくましきものに さらに 力を

すべての友に 思い出を

愛するものに 永遠を

心の夢 醒めることなく」。

♬~