ドラマスペシャル 家栽の人[解][字]…のネタバレ解析まとめ
出典:EPGの番組情報
ドラマスペシャル 家栽の人[解][字]
人間の本質を描く名作を船越英一郎・主演に迎えてドラマ化。感動のスペシャルドラマ待望の第2弾!
人々の心の中に“やさしさ”という種を植えるヒューマンドラマーー◇番組内容
前崎家庭裁判所。調査官となった石川圭吾(堀井新太)は、判事・桑田義雄(船越英一郎)のすすめである夫婦の離婚調停を担当することになった。調停初日、鮮やかないでたちで現れたのは、人気ファッション雑誌のカリスマ編集長・宇田川杏奈(観月ありさ)。杏奈は、前橋で小さな写真館を経営する夫・良介(少路勇介)との離婚を決意、小学生の娘の親権を要求したところ、不服に思った良介から家裁に調停を申し立てられて…
◇出演者
船越英一郎、足立梨花、佐藤仁美、堀井新太、山中崇、森下能幸、国広富之、少路勇介、早霧せいな、水沢林太郎、丘みつ子、観月ありさ(特別出演)、角野卓造
◇原作
『家栽の人』
【作】毛利甚八
【画】魚戸おさむ
(小学館 ビッグコミックオリジナル)
◇脚本
両沢和幸
◇監督
猪原達三
◇スタッフ
【ゼネラルプロデューサー】三輪祐見子(テレビ朝日)
【プロデューサー】都築歩(テレビ朝日)、新野安行(ザフール)、長坂淳子(ザフール)
◇おしらせ
☆番組HP
https://www.tv-asahi.co.jp/kasai/ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
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キーワード出現数ベスト20
- 沙也加
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リアルな戦に突撃してきました!
ぜひ ご覧ください!
(男性)何かあるんですか?
(女性)何があるの?
(女性)なんかあるのよ。
(女性)何が?
(男性)何があるんですか?
(女性)何があるの?
なんかあるのよ!
えっ?
ちょちょちょ… ちょっと!
(男性)ああっ… 危ない!
(桑田義雄)おおっ…!
えっ…?
♬~
何かあるんですか?
何があるの?
なんかあるのよ!
(男性)何かあるんですか?
春ですねえ。
(ウグイスの鳴き声)
(バットを引きずる音)
(男)おい 大!
行かせるか コラ!
(殴る音)
(穂積大介)うっ… ううっ…!
(男)おい 待てよ! コラ!
(殴る音)
(男)オラッ!
♬~
(宇田川杏奈)
もういいわ。 時間もないし
さっさと始めましょう!
(手をたたく音)
(杏奈)「なんのために
ファッションにこだわるか
その目的が大事です」
「男の気を引くため?
だったら 無駄です」
「そんな時代は終わりました」
「今のファッションは
女性の自己主張です」
「ファッションを通じて
自分を表現する」
「セルフブランディングの
ツールであり…」
(足音)
(杏奈)「パーソナルなメディアと
言ってもいいかもしれません」
行きましょうか。
(日向子)はい。
「少年 穂積大介は
3月7日 午後4時半頃
石山町の飲食店
ラーメン末松において
同店主 末松政二から
素行を注意された事から立腹し
右手拳で 同人の顔面を
数回 殴打し
よって 同人に
加療 約2週間を要する
顔面打撲などの傷害を負わせた」
ここに書いてある事に
何か間違いはありますか?
ほら… 答えなさい。
♬~
間違いありません!
私がやりました!
事件のあった日
君は何をしてたのかな?
昼過ぎに起きて
漫画喫茶 行って…。
ハハハ…。
保護観察期間だというのに
昼間っから漫画喫茶か?
チッ… うるせえな!
なんだ? その態度は!
戸張調査官。
♬~
(ドアの開く音)
戸張さん 資料によると
穂積大介は 以前にも
この裁判所に送致されてますね。
少年同士の暴行事件で…。
私が担当しました。
その時は
不処分になっています。
それは 戸張さんの調査で
穂積大介に更生の意思が
確認されたからですよね?
わかっています!
私の判断ミスです。
絶対に更生できると
断言したんですから…。
失礼します。
えっ 本当!?
ああ~ おめでとう!
(桜井書記官)
おめでとうございます。
これからは
どんどん仕事を回してください。
じゃんじゃん
解決していきますから!
いやあ… 頼もしいですねえ!
(ドアの開閉音)
(石川)はい! フフフ…。
あっ 戸張さん
聞いてくださいよ。
ついに 家庭裁判所調査官補の
「補」が取れて
調査官になったんです。
あんまり張り切らんほうがいいぞ。
(石川)えっ なんでですか?
報われない事が多い仕事だよ。
(田之倉)あっ 戸張さん…。
(戸張)えっ… なんだ? これ!
俺のロッカー どこいったんだよ!
これは 桑田判事が
持ってらっしゃったもので…。
この辺りが
一番 日当たりがいいという事で
戸張さんのロッカーは
廊下に移動しました。
ご不満でしたら
桑田判事に 直接 お願いします。
また桑田かよ…。
そうですか。
それは おめでとうございます。
でも これからが大変ですよ。
頑張ってくださいね!
はい! よろしくお願いします。
祝賀パーティーとか
やらないの?
一応 やってくれるみたい。
へえ~。
じゃあ 私たちも
参加しなきゃですね 桑田判事!
えっ? ハハッ…。
あっ… でも
判事は お忙しいと思うんで…。
いやいやいや
ぜひ 参加させてください。
あっ でも
ちょっと 面倒を見なきゃいけない
子供がいるんで
少し遅れるかもしれません。
子供…?
昨日 持ってきた
あの植木の事ですか?
ひょっとして あの戸張さんの
ロッカーがあった場所の?
そうだ! 戸張さんのロッカー
僕 黙って
動かしちゃったんですけど
怒ってませんでしたか?
いや…
そんな事はないと思いますが。
ああ それはよかった。
じゃあ のちほど。
…はい?
なんで 桑田判事まで誘うんだよ。
えっ? 駄目なの?
ところで 最初に担当する事件は
もう決まってるんですか?
いや… まだですが。
ああ…。
離婚問題が
いいんじゃないでしょうか?
えっ…?
桑田判事が
遅れてるみたいですが
先に乾杯をしましょう。
すでにご存じのように
石川くんが 晴れて
家裁調査官となりました。
家裁調査官は これから ますます
必要とされる仕事です。
石川くんのような若い力に
大いに期待しています。
ありがとうございます。
それから もう一つ。
司法修習生の口日向子さん
彼女の
本家庭裁判所における修習も
もうすぐ終わりです。
彼女のような若い女性にも
大いに期待しております。
それでは 乾杯!
(一同)乾杯!
♬~
(寝息)
(池上の声)君が離婚問題を?
最近は 若い夫婦の離婚問題が
増えていますので
そういう気持ちがわかる人が
必要なんじゃないかって
桑田判事に言われまして。
なるほど。
さすが桑田判事だねえ。
いやあ でも 桑田判事は
僕の事 あんまりわかってない
っていうか…。
えっ?
離婚問題なんて 石川さんには
無理だと思うんですよね。
子供の気持ちだったら
本人が それに近いから
わかると思うんですけど…。
(石川)本人が それに近いって
どういう事だよ?
えっ? 聞いてたの?
(石川)聞こえてきたんだよ!
なんで 2人とも
そんなムキになるの?
別に ムキになんて
なってないですよ。
ただ 石川さんは
まだ調査官としては新人だし…。
大丈夫です!
やります 離婚問題。
夫婦のあり方については
僕なりに真剣に考えています。
精いっぱい やらせて頂きます。
よろしくお願いします!
(池上)おお 頼もしいねえ!
(石川)はい!
(池上)ハハハハ…!
(田之倉)おはようございます。
(戸張)おはようございます。
昨日は
お忙しかったんですか?
パーティーに
来られませんでしたけど。
お祝いするほどの事じゃ
ないでしょ。
何か捜し物ですか?
以前 俺が担当した事件の
ファイルなんだけど…。
保護観察期間に
傷害事件を起こした少年の?
(戸張)はい。
それなら
桑田判事が持っていきましたよ。
ちょっと勉強したいと
おっしゃられて…。
桑田が?
(ブレーキ音)
♬~
(ため息)
♬~
あっ… こんにちは。
ああ…。
誰だい? 何しに来た!
ここは売らないって
言ってるじゃないか!
いやいや いやいや…。 あまりにも
お庭が立派だったものですから
ちょっと見せて頂きたいなと
思いまして。
調子いい事ばっかり言って…。
機嫌を取ろうったって
そうはいかないんだよ!
あっ そこ アリッサム!
ああ… よかった。
このアリッサムはね もうすぐ
きれいな花を咲かすんですよ。
うわあ… いい香り。
この沈丁花は
きれいに咲いてますねえ。
でもね もうちょっと
お手入れしてあげるとね
このお庭も
もっともっと
良くなるんですけどね。
もったいないなあ。
(八重)あんた 少しは
草花の事 知ってるみたいだね。
いえいえ…
まだ ほんの未熟者です。
仕事は?
そこの家庭裁判所で ちょっと…。
家庭裁判所で?
はい。
そんな事で この私が
騙されるとでも思ってるのかい?
はい?
えっ?
あれ? 僕のロッカーは?
えっ…?
ちょっと 田之倉さん
どうなってるんですか?
(ドアの開閉音)
(石川)おおっ…。
おはようございます 所長。
(真理)おはようございます。
所長 どうかなさったんですか?
いや 実は ロッカーを動かされて
困ってらっしゃると
田之倉さんから聞きましてね。
(石川)そうなんです。
桑田判事が持ち込んだ
植木が原因で
このままだと
ここは温室になってしまいます。
ええ。 彼は ここを温室にしたいと
言ってるんです。
えっ…?
ここは この裁判所で
一番 日当たりが良くて
植物の世話がしやすいそうです。
それで ぜひにと頼まれましてね。
それで 所長は
承諾なさったんですか?
何か まずい事でもありますかね?
♬~
(杏奈のため息)
♬~
ねえねえ ねえねえ…!
今 誰が来たと思う?
宇田川杏奈よ!
(桜井)ええっ!?
あのファッション雑誌の編集長?
そう! 『LA STRADA』よ!
石川調査官の
担当事件の人ですか?
そうなんですか?
有名な人なんですか?
まあ 田之倉さんには
縁のない世界ですけどね。
わ… 私 桑田判事にお願いして
立ち会いしてきます!
時間の無駄ですね。
そもそも 裁判所に
持ち込むような事じゃないんです。
答えは もう
はっきりしているわけだし。
それを あの人が突然…。
多分 周りの人に
何か言われたのよ。
ああ… いえ でも
旦那さんの宇田川良介さんは
正式に 裁判所に調停を
申し立てられていますので。
(ノック)
失礼します。
そちらは?
司法修習生の
口日向子と申します。
司法修習生? 学生さんって事?
あっ いや… 学生じゃなくて
司法試験合格後の
いわば 研修生です。
(ため息)
私の離婚問題を 研修の材料にでも
使おうっていうの?
(尾崎正彦)ご心配なく。
修習生にも守秘義務はありますし
お願いできますか?
まあ あまり かたく考えないで
思っている事を
率直に話して頂くのが一番です。
話しているうちに
お互いのこだわりが見えてきて
自然に問題が解決するなんて事も
ありますから。
もう そんな時期は
とっくに過ぎました。
(携帯電話の着信音)
もしもし?
ああ… その件なら
デザイナーからも聞いたわ。
とにかく リシュートできなきゃ
あの特集は なしよ。
言い訳してないで
早く新しいモデルを探しなさい。
あの… 調停室では
携帯は お切りになって…。
(杏奈)時間の無駄です!
(京子)えっ?
離婚は もう 既定の事実です。
決めるべきなのは
どちらが親権を取るか
という事だけです。
妻とは
もう 何カ月も会っていません。
資料によると
お二人は 東京で仕事を通じて
お知り合いになったそうですね。
愛し合って
結婚なさったんでしょ?
(宇田川)あの頃のあいつと
今のあいつは 全然違います。
確かに 今のあいつは
金もあるし
ファッション雑誌の編集長という
立派な肩書もあります。
だけど それは
私が娘の面倒を見ていたから
できた事で…。
あいつは
娘が まだこんなに小さい時に
娘よりも仕事を取ったんです。
今 少し余裕ができたからって
親権をよこせだなんて…
そんな事が認められますか!?
(机をたたく音)
どう見ても
旦那の言い分のほうが正しいよ。
えっ? どういう事?
あの母親は 娘が まだ3歳の時に
家を出たんだぜ。
下手すりゃ
これは育児放棄でしょ。
家を出たんじゃなくて
東京に仕事部屋を借りただけよ。
できる限り
家には帰ってきてたって…。
生活費も子供の教育費も
彼女が ほとんど負担してるし。
金だけ出して 週末とか深夜にだけ
子供の相手をしたって
それじゃ育児とは言えないよ。
(ため息)
(ファイルを置く音)
(林田幸之助)何を考えてるのよ!
こんな時間に仕事もしないで…。
あれだろ?
出世させられないために
わざとサボってるんだろ?
聞いてるよ。 あんた 本当は
東京でバリバリやってても
おかしくないんだってね。
いえ 私なんて そんな…。
(林田)
それより 裁判所の人たちは
大丈夫なのかよ?
こんなに植木を持ち込んじゃって。
大丈夫です。
皆さん 快く賛成してくれました。
(林田)えっ…!?
この街を
あちこち歩いてみたらね
立ち退きや土地の売買で
今にも切られそうな木が
たくさんあったんですよ。
まあ あまり大きな木は
無理ですけれども
できるだけ たくさん引き取って
それを利用して
温室を作りたいんです。
(林田)へえ~!
まあ 俺にできる事なら
喜んで手伝うけどね。
コラ!
(子供たち)どうもすみません!
(林田)なんだ 下手くそだな。
(相沢 宏)下手くそじゃないよ!
(井上雄二)沙也加のキックが
強すぎるんだよ!
ハハハ…。
沙也加ちゃんっていうの?
君がエースストライカーか。
将来はサッカー選手かな?
頑張ってね。
(宇田川沙也加)ありがとう!
(戸張)お前が苦労してきた事は
わかる。
おふくろさんを早くに亡くして
親父さんも もういない。
ろくに学校にも行けず…。
気持ちがすさむのは 当然だよ。
お前は 本当のワルじゃない。
きちんと仕事をして
立派な大人になれる。
そう思ってたんだ。
勝手に思われても困るんだよな。
俺は…
死んだあんたの息子の
代わりじゃない。
(机をたたく音)
なんだと!?
(ため息)
もう会いに来ないでくれ。
(戸の開閉音)
♬~
戸張さん!
あっ ちょうどよかった。
今ね お借りしてた資料を
返しに行くとこだったんです。
ありがとうございました。
以前のファイルを
判事自らチェックするって事は
私の調査では信用できない
って事ですか?
読ませて頂きました。
素晴らしかったです。
穂積大介の心に寄り添って
根気よく向き合っていた事が
よ~くわかりました。
気休めは やめてください。
今度の事件なんですけどね…。
飲食店の店主の話だと…。
(桑田の声)穂積大介は
ラーメンを食べた時
どんぶりに唾を吐いて…。
(末松政二)料理に
唾なんか吐いてんじゃねえよ!
(桑田の声)それを注意したところ
カーッとなって
暴行されたそうですよね?
(戸張)はい。
その時 穂積大介は
スーツを着てたって
書いてあったんですけど…。
それが なんだっていうんですか?
どうして スーツなんか
着てたんでしょうか?
えっ?
だって スーツを着るような
タイプには見えません。
いや まあ
確かに そうですが…。
今となっては
なんの意味もないでしょう。
あいつは
更生のチャンスを逃した。
要するに…
俺には
見る目がなかったんですよ。
再犯した少年のほうが
傷が深いんです。
失敗する子には 何度でも
付き合ってあげましょうよ。
本気で 温室なんか作ったのかよ。
まったく… 所長も物好きだよな。
あっ…。
ハハハハ…。
いやあ 私も庭いじりが好きでね。
ハハハハ…。
まさか 裁判所で
こんな事ができるとは
思ってもいなかった。 ハハッ!
君も一緒にどうだい?
ちょっと これ持ってごらん。
持ってごらん。 持ってごらん!
(石川)はい…。
(桜井)石川さん
お見合いしたんですか!?
(真理)そうなのよ!
私が紹介したんだけどね
地元の信用金庫に勤めている人で
お料理が とっても上手なの。
石川くんのお嫁さんに
ぴったりよ!
(桜井)キャー! 素敵!
(池上)何? 何?
何が素敵なんだね?
(田之倉)石川くんが
お見合いをしたそうなんです。
(池上)えっ そうなのか?
なんで 私に言わないんだい?
いや でも
一度しか会った事ないですし…。
気に入らなかったのか?
いや そんな事ないですけど…。
でも 今どき お見合いなんか…。
あら 婚活サイトとか
結構 流行ってるでしょ?
あれと変わらないわよ!
最初から
相手の条件を指定できるし。
石川くん 自分が調査官になったら
結婚するって決めてたのよね。
それで 早く子供を作って
ご両親を安心させたいって。
へえ~。 随分と古風なんですね。
見合いも悪くないぞ。
私もね
うちの奴とは見合いだったけど
優しくて
気立てのいい女房だった…。
(池上)うっ…。
いやいや… ハハ…。
この間 七回忌を済ませてね…。
ハハハ…。
独り身っていうのは
寂しいもんだな。 アハハハ…。
あの よろしければ 所長にも
どなたか ご紹介しましょうか?
うん。
ちょっと 具体的に聞きたいね
その話。
(真理)ああ そのようですね。
♬~
(八重)あっ いたいた!
ああ~!
裁判所で働いてるっていうのは
本当だったんだね。
アハハハ…。
温室の管理係かい?
ええ。 まあ そんなところです。
でも
なかなか立派な温室じゃないか。
ああ~ これなんか
立派な枝ぶりになるよ。
ありがとうございます。
今ね 大きな鉢を探してるんです。
うん。
結構 元手かかったろ?
いいえ。
実はね
ここにある木たちは みんな
切られそうになったり
捨てられそうになってるのを
譲り受けてきたもの
ばっかりなんですよ。
あっ じゃあ うちの庭の木も
預かってくれるかい?
でも あんな立派なお庭が
あるじゃないですか。
いやあ 造園業やってたんだけど
去年 お父さんが
病気で亡くなってね。
最近じゃ
土地を売ってくれっていう
変な連中ばっかり やって来て
正直 困ってるんだよ。
あっ そうだ。
いい制度がありますよ。
(真理)成年後見制度
というのがありまして
八重さんには
任意後見制度を利用して頂くのが
いいかと思います。
なんだい? そりゃ。
まだ ご自身がお元気なうちに
将来に備えて
自分の後見人を決めておくんです。
誰が私の後見人なんかに
なってくれるのよ。
だって うちは 子供もいないし
頼りになる身寄りも
近くにはいないのよ。
(真理)後見人になる人は
血縁の方でなくてもいいんです。
弁護士や司法書士
社会福祉士の方など…。
一度 専門家のところへ
ご相談に行かれては
いかがでしょう?
その人が
何か やってくれるのかい?
土地を売ってくれないかと
言ってくる業者の方が多い
って おっしゃってましたよね。
中には 悪質な誘いも
あるかと思います。
ご自身の判断能力に
不安を感じるようになった時に
任意後見契約があれば
後見人の方が対処してくれます。
現在の財産管理も 合わせて
お願いできるところも多いですよ。
あと 老人ホームなどに入る時に
保証人になってくれるところも
あります。
老人ホームになんか
入りたかないね。
…例えばの話です。
どういう事ですか?
つまり
クレームが来たんですね。
クレーム?
ええ。 宇田川杏奈さんから
調停委員が
お気に召さなかったようで
代えてくれないかと。
そんな事できるんですか?
原則的には できません。
こういった場合 裁判官に
同席して頂く事が多いですね。
裁判官?
♬~
ありがとう。
(ノック)
裁判官の桑田です。
今日は よろしくお願い致します。
ん? なんか
刺激的な においがしますね。
これは なんの香りですか?
香水 お詳しいんですか?
いえいえ 花の香りなら
詳しいんですけれども
あの 最近の人工的なにおいは
どうも苦手で…。
判事!
はい?
あっ ハハ…。
あの 先に進めてください。
失礼しました。
本日は 面会交流についてですね。
資料によりますと
奥様は何度も お子さんとの面会を
求めているのに
ご主人のほうは 一向に
認めてくれないとありますが
これは 本当ですか?
はい そのとおりです。
会わせる気はありません。
何か 会わせたくない
特別な理由がありますか?
あいつが家を出て行ったあと
娘は 精神的に
不安定になりました。
…って事は 娘さんは
母親を求めていた
って事ですよね?
あっ すみません…。
どうぞ 続けてください。
そのとおりです。
娘は母親を求めていました。
しかし あいつは
仕事が忙しくなり
東京のマンションから
戻ってこなくなりました。
娘は 赤ちゃん返り
っていうんですか
夜泣きや おねしょを
するようになりました。
娘は あの時
確かに母親を求めていた。
しかし あいつは
娘のそばにはいなかった。
そばにいたのは私です!
やっと母親のいない生活に
慣れてきたんです。
今 あいつと会わせても
不安定な精神状態に戻るだけです。
だから 絶対に認めません。
娘さんは
どう思っているんでしょうか?
娘も あいつに会いたいとは
思っていません!
あの人は 今 仕事がないんです。
まあ でも
確か カメラマンの仕事が…。
それは昔の話です。
彼は ファッションフォトグラファーとして
それなりに売れていた時期も
あります。
その頃に結婚して
子供を作ったんです。
でも 次第に
彼の仕事が減っていって
代わりに
私が働くようになったんです。
しかし ご主人は 今
お父様の写真館を
継いでいらっしゃるんですよね?
石川調査官 その辺りの事情は
どうなっているんですか?
宇田川良介さんは 確かに
父親の写真館を継いでいます。
しかし その経営は
決して順調ではなかったようです。
でも 生活に困るような事は
ないわけですよね?
週末に
ウェディングフォトグラファーをやってる他には
道路工事や清掃の仕事で
穴埋めをしているようです。
この街では得られない
大きなチャンスが
東京には あるんです。
私は身をもって
それを経験しました。
娘には もっと大きな可能性を
与えてあげたい。
中学受験もさせたいし
そのための進学予備校にも
入れてあげたい。
今すぐ
東京に連れて行きたいんです。
娘さん 沙也加ちゃんですね?
(杏奈)ええ。
…も それを
望んでいるんでしょうか?
はあ…。 もちろんです。
(深呼吸)
やっぱり ここは
空気がいいですね。
いやあ ありがとうね。
みんなが いい酸素を
たくさん出してくれてる
おかげですよ。
桑田判事は
あの2人 どう思います?
はい?
僕は 父親の気持ちは
よくわかります。
一番 母親が必要な時に
彼女は そばにいなかった。
今さら 子供に会いたいとか
引き取りたいとか
そんな事 言う資格があるのか…。
それは当時の話でしょ。
今 親として資格があるのは
彼女のほうよ。
私たちは
これからの事を考えるべきよ。
いや だって 子供のほうだって
母親には会いたくもないと
父親が言ってたじゃないか。
同居親が別居親に
子供を会わせたがらないのは
よくある事なんです。
子供は 会いたくないと言っている
というのも
よくある親の言い訳です。
でも 本当に そうでしょうか?
沙也加ちゃんは お父さんの手前
もしかしたら 自分の本心を
隠してるのかもしれません。
あの年で
そんな難しい事 考えますかね。
女の子は
大人になるのが早いのよ。
言葉にできない事
自分でも気づいていないような
本当の気持ち
そんな思いを察してあげたり
引き出してあげたりするのも
家裁調査官の大事な役割
なんじゃないでしょうか。
一度 沙也加ちゃんと
じっくり話をしてみたら
どうですか?
わかりました。
父親の許可を得た上で
あの子と話をしてみます。
♬~
桑田判事…。
見てください この葉っぱ。
ここに来た時にはね もう
今にも枯れそうだったんですけど
ほら こんなに青々として。
根がしっかりしていれば
生き返るという事なんですね。
♬~
宇田川さーん。
♬~
あっ!
♬~
(シャッター音)
♬~
(真理の声)戸張さんが 少年犯罪に
入れ込むようになったのは
息子さんと関係があるの?
ラグビー選手に
なってほしかったんだが
家 飛び出して やばい連中と
付き合うようになった。
ナイフで刺されて死んだ。
♬~
(チャイム)
今日は 別に
僕一人で大丈夫だよ。
桑田判事の許可は得てますから。
調べるのは
僕ら調査官の仕事だよ。
君は 僕らの調べた資料を読んで
判断する立場だろ?
まだ 判事になると
決めたわけじゃないわよ。
どっちにしたって
いずれは こんなふうに
気楽にしゃべれなくなる。
そんなふうに思ってたんだ。
…えっ?
(小泉教諭)
あっ お待たせしました。
(小泉)こちらの部屋に どうぞ。
(石川)はい。
今日は 沙也加ちゃんと
ゆっくりお話がしたいと思って
来たんだ。
沙也加ちゃんは お母さんの事
どう思ってるのかな?
会いたい?
♬~
ちょっと いいかな?
♬~
ほら お母さんよ。
沙也加ちゃんも写ってる。
(石川)どこで そんな写真…。
(杏奈)沙也加!
沙也加は どこ?
すみません。
沙也加ちゃんのお母さんが…。
ああ 沙也加。
(石川)宇田川さん?
さあ 行きましょう。
ちょっと待ってください。
どういう事ですか?
お母さん 落ち着いてください!
宇田川さん!?
まさか
このまま連れ去るつもりですか?
それは いけませんよ。
自分の娘を迎えに来たのよ。
何が悪いのよ。
行きましょ。
宇田川さん!
ちょっと…。
ちょっと!
♬~
あとで問題になりますよ。
お気持ちは わかりますが
そのまま連れて行くと
略取誘拐罪に問われる可能性が
ありますよ!
何 言ってるのよ!
この子は 私の子供なのよ!
この子のために…
この子と一緒に暮らすために
今まで頑張ってきたのよ!
沙也加 ママと一緒に
東京に行きましょう。
そこで 一緒に暮らすの。
沙也加の部屋も
ちゃんと用意してあるからね。
(宇田川)何やってるんだ!
パパ!
あっ… 沙也加!
(沙也加の泣き声)
もう怖くない。 怖くないよ。
(沙也加の泣き声)
(真理)聞いたわよ。
で どうだった?
調停は もういいから
訴訟で決着をつけてください!
…って 杏奈さんに言われました。
ああ そりゃあ大変だ。
離婚訴訟って
何度か出た事があるけど
胸が痛くなるのよね。
まあ 自分のが
一番大変だったけど…。
えっ? 真理さんって
そうだったんですか?
えっ!? あっ いやいや…
その話はおいといて…。
ああっ! しかしなあ…
奥さんのほうが
少しでも譲歩してくれれば
全てが丸く収まるのに。
奥さんだけが悪いわけじゃ
ないでしょ。
状況だけ考えれば
そう言わざるを得ないよ。
彼女が子供よりも
仕事を優先してきたのは
事実なんだから。
でも それは…。
女性が仕事をするな
なんて言うつもりはないよ。
うちだって
ずっと共働きだったし。
あっ 真理さんだって
この仕事をしながら
お子さんを育てられたんでしょ?
まあ うまく育ったとは
言えないけどね。
彼女だって
そう言ってたじゃない!
娘と暮らすために
仕事をしてきたんだって。
それって 本当なのかな?
…えっ?
一緒に暮らしたいんだったら
それが可能な仕事を
選べばいいじゃない。
地元にだって
仕事はあるんだから。
それは 彼女のやりたい仕事じゃ
ないじゃない。
だからさ 結局 それって
自分のやりたい事を
優先してきたわけでしょ?
せめて
子供がもう少し大きくなるまで
我慢すればいいじゃん。
タイミングを逃したら
彼女は 今の地位には
上れなかったはずよ!
要するに 子供よりも
自己実現を優先してきた
って事だよ。
それじゃあ駄目なの?
両方とも手に入れるのは
無理があるね。
(ため息)
やっぱり 石川さんって
そういう考えの人だったのね。
期待しなくてよかったわ。
期待って 何?
なんでもないわよ。
どうでしたか?
この間の家庭裁判所での お話は。
どうもこうも…
あんたが紹介してくれた人ね
私に 老人ホームに入れ
って言ったわよ。
いや そういう意味で
言ったわけじゃないと思いますよ。
じゃあ どういう意味だい?
八重さん この庭の木や植物の
今後が心配だって
おっしゃってましたよね。
うん。
でも あんたが
いくつか面倒見てくれるんだろ?
それと同じです。
ん?
私は この庭の植物たちのお世話を
多少は できると思います。
それと同じように
八重さんの今後の人生の
お世話をできる人を
今のうちから見つけておこう。
そういう事なんじゃ
ないでしょうか。
(ため息)
♬~
お父さんさえ
生きていてくれたらね…。
♬~
ちょっと 先に行ってて。
(雄二)わかった。
(八重)この沈丁花は
お父さんと2人で挿し木してね。
うまく育った時は
ご近所にも お裾分けしたわ。
沙也加ちゃん!
あっ あの時の…。
どうしたの?
あっ もしかして
お庭が見たいのかな?
うん。
いいでしょうか?
ああ~ どうぞ!
入ってらっしゃい。
よかった。 おいで おいで。
これは 沈丁花っていうの。
好きなのかい?
ママのにおいがするの。
ママのにおい…。
(沙也加)うん。
♬~
(桂木百合子)何 下向いてるのよ!
あっ… 百合子!
(百合子)
私が来れば もう大丈夫よ。
娘を取り戻せる?
何 弱気になってるのよ。
やるしかないでしょ。
慰謝料だって請求してやるわよ。
かなり変わり者の判事らしいけど
任せといて。
桂木百合子じゃない?
あっ…! 2人の対談
テレビで見た事あります。
(真理)大物弁護士 登場か…。
ますます荒れそうだわ。
それでは 開廷致します。
本日は
原告 宇田川杏奈による
離婚等請求訴訟の
第二回口頭弁論になります。
第一回口頭弁論は
訴状と答弁書の陳述のみでしたが
その後 原告 被告とも 何か
主張に変わりはありませんか?
私は この手の訴訟は
何度も扱っておりますが
今回ほど 答えが明確なものは
ありません。
宇田川良介氏は
以前は 一流クライアントの
ファッショングラビアなどを
受注する
いわば 売れっ子カメラマン
でありましたが
その後 徐々に仕事を失い
今では失業状態です。
父親から受け継いだ写真館も
開店休業状態であり
その収入は 派遣や日雇いなど
不安定な状況にあります。
一方 母親の宇田川杏奈さんは
一流ファッション雑誌
『ラ・ストラーダ』の編集長として
責任ある立場で
仕事をしております。
2人の現在の収入や
生活能力を比べれば
どちらの家庭で子供を育てるのが
その子の幸せに繋がるのか
議論の余地もないほど明白です。
(河瀬龍一)
子供を育てるというのは
お金があれば良いとか
そういう事ではない
と思うのですね。
この数年間 宇田川良介さんは
娘さんを育てるために
生活の全てを捧げてきました。
カメラマンを辞めて
故郷の写真館を継いだのも
それが理由です。
そして 娘さんも
今の環境に慣れ親しんでいます。
(百合子)被告代理人のほうから
娘さんのために
カメラマンを辞めた
という表現がありましたが
それは間違いです。
辞めたのではなく
クビになったのです。
彼のクライアントからの証言も
取ってあります。
次回までに
陳述書として提出しますが
これは大きな違いです。
宇田川杏奈さんは
娘さんに 最高の教育を
与えようと思っています。
具体的には
中高一貫の名門学校への
進学を考えています。
そのためには
今のうちに東京に移住して
進学予備校に
通わせなければなりません。
教育にかかる費用や
環境の事を考えても
父親である宇田川良介氏の元に
彼女を置いておく事のメリットは
何もありません。
3年前の4月13日の事です。
この日の深夜
娘の沙也加さんは
前崎市民病院で
診察を受けていますね。
(河瀬)異議があります!
本件とは関係のない質問です。
原告代理人。
娘さんの生活環境に関する
質問です。
本件との関係性は
すぐにわかります。
異議を棄却します。
原告代理人は 本件との関係を
明確にするようにしてください。
(百合子)わかりました。
質問を続けます。
3年前の4月13日に
娘さんが 前崎市民病院で
診察を受けたのは なぜですか?
(宇田川)それは…
娘が肩を脱臼しまして…。
(百合子)その原因は?
(宇田川)それは…。
あなたが
娘さんの手を強く引っ張って
脱臼させた。
(百合子)病院の診察記録には
そう出ています。
記憶の明確化のため
甲第3号証を示します。
それは つまり…
お客さんに納品する予定の
写真の上に
娘がジュースをこぼして…。
思わず どけようと
あの子の手を引っ張ったら…。
父親による
虐待ではありませんか?
えっ…?
(百合子)さらに 10月23日
今度は 額を怪我したという事で
別の病院に救急搬送されています。
祖母の宇田川アキさんが
見ている目の前で
公園の遊具から転落したのが
怪我の原因です。
間違いありませんね?
ええ…? はい…。
はっきり答えてください。
被告は 質問に答えるように。
はい…。 仕事が忙しくて
母に子守を頼んだんです。
高齢の宇田川アキさんは
子供の面倒を見る能力に
欠けていると思いませんか?
いや でも… 怪我といっても
大したものじゃなくて
母が大げさに騒いで
救急車を呼んだだけで…。
ちょっと 百合子…。
(百合子)何よ?
お義母様の話は
ここでしなくても…。
やりすぎよ。
大丈夫よ 心配しなくても。
原告代理人 どうかしましたか?
ああ いえ… 問題ありません。
百合子…。
以上のように
娘の沙也加さんが置かれている
状況は 劣悪なものです。
これだけを見ても 沙也加さんは
母 杏奈さんの元で暮らすのが
正しいのではないでしょうか?
♬~
(雄二)沙也加 元気出せよ。
(沙也加)うん…。
(宏)俺たち
沙也加の味方だからな!
ありがとう。
♬~
なんでしょうか? お話って。
今度の離婚訴訟の判決起案を
あなたにお願いしようと
思ってます。
えっ? 判決の基になる案を
私がですか?
はい。
判決起案も
司法修習の課題の一つですからね。
自信がありません…。
どうしてですか?
最初は 仕事を頑張っている
妻の杏奈さんを
応援したい気持ちでいました。
けれど 訴訟が進むにつれて
お互いの気持ちよりも
相手の人格攻撃みたいに
なってしまうのを見せられて…。
2人だって 一度は 愛し合って
結婚したはずなのに…。
そんな事で動揺している私に
判決起案なんか…。
動揺するのは
悪い事じゃありません。
その動揺が どこからくるのか
考えてみてください。
でも…。
あの家族を
よーく眺めてみてください。
きっと何か見つかるはずです。
♬~
(戸張)何か落とし物ですか?
ハコベって知ってますか?
えっ?
アスファルトの隙間に
よく生えてるんですけど
でもね ついつい
踏んで歩いちゃうんですよ。
よーく見ると 春にはね
小さい花が咲いてるんです。
ほら! あった!
戸張さん 見てくださいよ! はい。
ここですよ ここ。
(戸張)ああ… 本当だ。
私たちの知らないところで
咲いている花もあるんですね。
それに気づく人間でありたいと
思いませんか?
♬~
今日 ここに来る前に
被害者のラーメン屋の店主に
会ってきたよ。
お前は あの日
ラーメンを食べた時
どんぶりに唾を吐いた。
(戸張)そして
それを店主に注意され
カッとなって殴ってしまった。
そこまでは報告書に書いてあった。
しかし 今日 店主が
報告書にない事を言い出した。
その唾に 血が混じっていたって
言うんだ。
一体 何があったんだ?
俺は 確かに 死んだ息子とお前を
重ね合わせていたのかもしれん。
あいつも
お前みたいに突っ張っていた。
だから その奥に隠れて咲いていた
小さな花に気づかなかった。
花…?
お前の心の中にも
まだ それが咲いているはずだ。
フッ… フフ…。
馬鹿じゃねえの。
(戸張)俺は 同じ過ちは
繰り返したくないんだ!
♬~
へえ~! きれいなお弁当!
ああ いや…。
えっ?
私 まだ残ってるから
何か一緒に買いに行こうと
思ってたんだけど…。
それ お母さんの手作り?
いや おふくろじゃなくて…。
えっ?
まさか… お見合いの相手?
もう そんな仲なの?
困っちゃうよな…。
困ったようには見えないけどね。
えっ?
(ため息)
あっ…
一応 報告しておくけど
私 今度の離婚訴訟の判決起案を
やる事になったの。
判決文を考えて
桑田判事に提案するの。
あっ… そうなんだ。
頑張ってね。
…頑張ってるわよ。
(キーボードを打つ音)
(キーボードを打つ音)
(ため息)
♬~
♬~
(桑田の声)動揺するのは
悪い事じゃありません。
♬~
(桑田の声)その動揺が
どこからくるのか
考えてみてください。
(桑田の声)
根がしっかりしていれば
生き返るという事なんですね。
♬~
(桑田の声)あの家族を
よーく眺めてみてください。
♬~
そうか… そうかもしれない!
石川さん!
(石川)えっ?
面会交流 試しましょうよ!
面会交流?
もう一度 沙也加ちゃんを
お母さんに会わせるの!
でも この前 沙也加ちゃんが
お母さんを嫌がってたじゃない。
今度は
きっと うまくいくと思うの。
桑田判事の許可は
もらってるから!
もう あいつには会わせません。
この間の事で
よくわかったじゃないですか。
娘も 母親を嫌ってるんです。
(石川)俺も無理だと思うよ。
それでいいんですか?
えっ?
娘さんが 自分の母親を
嫌ったままでいいんですか?
それで 本当に
彼女は幸せなんですか?
たとえ離婚したとしても
娘さんと両親の絆は残るんです。
そんな事 言ったって…。
それに 本当は あなただって
昔の絆を取り戻したいと
思ってるんじゃないんですか?
表のショーウィンドーに
飾ってある家族写真
お二人の新婚の時のですよね?
今でも飾ってあるのは
まだ奥さんとの絆を
大事にしたいと
思ってるからじゃないんですか?
♬~
ちょっと
私が話してきてもいいかな?
(石川)えっ?
いやいや ちょちょちょっ…
待ってよ!
(ため息)
あの…。
少し早く着いてしまって
すみません。
弁護士の方がいらっしゃってから
また お声がけしましょうか?
いいわよ。 何?
あの…
面会交流をやろうと思いまして。
日を決めて
裁判所まで来て頂けませんか?
娘に会えるの?
はい!
なんか ちょっと怖いわね。
この前は
すっかり嫌われてしまったから…。
その理由を知るためにも…。
私ね
あの子が初めて立った時の事を
知らないの。
初めて言葉をしゃべった時も
その言葉が「パパ」だったって事も。
小学校の入学式にさえ
行けなかった。
私は その間
仕事ばっかりしてた。
馬鹿な母親だと思うでしょ?
どっちが大事かなんて
はっきりしてるのに。
でもね そんな大切な瞬間を
たくさん犠牲にして
やっと手に入れたのが
今の地位なの。
あなたみたいな人から見たら
ファッション雑誌の
編集長なんて
くだらない仕事かもしれないけど。
私 杏奈さんの雑誌
いつも買ってます!
ネットに上がっている動画も
よく見てます。
私も まだ半人前なので
仕事をする自分と
プライベートな感情の間で
迷う事も多いです。
だから
仕事をしている女性の先輩として
杏奈さんを尊敬しています!
へえ~…。
裁判所にも こんな人がいるんだ。
ありがとう。
日向子さんでしたっけ?
はい!
面会交流の件は
あなた方にお任せするわ。
ありがとうございます!
<この男は 身の丈に合うことを信条として
生きている ごく普通の人間である>
<そんな彼の心の中に
新しい「家」の姿が生まれた>
(松坂)<その「家」は完璧でなくてもいい>
<…と思っている>
<自分と同じように>
<家族と一緒に作る 伸び代のある…>
<そんな「家」がいい>
<家は 生きる場所へ>
(石川)それって
どういう事ですか!?
♬~
昨日の夜 面会交流の事を
娘に話したんですよ。
その時は
別に変わった様子はなくて…。
今朝も いつものように
学校には行ったんですが
昼休みのあと
姿が見えなくなったそうで…。
やっぱり 沙也加は
母親に会いたくないんですよ。
何 言ってるのよ!
あなたが隠したんじゃないの?
裁判で負けそうだからって
やり方がずるいわよ!
俺が
そんな事するわけないだろう!
やっぱり 弁護士の言うとおりに
するべきだったわ。
親権さえ取れば
こっちのものなんだから!
こっちこそ 面会交流なんかに
応じるんじゃなかったよ!
(宇田川)待てよ! おい…。
お前こそ 沙也加を
誘拐したんじゃないのか?
前にも 学校から
連れ出そうとしたじゃないか。
そうだろう?
痛いじゃない! 離してよ もう!
(石川)あっ…。
あっ…。
(宇田川)お前…!
(石川)ちょっと ちょっと…
2人とも やめてくださいって!
誰か呼んできます!
あっ! 桑田判事…。
沙也加ちゃん 見つかりましたよ。
えっ?
どこにいたんですか?
杏奈さん
あなたの家の前にいました
東京の。
ええっ?
なんで そんな所に…。
とにかく
早く会わせてください。
心配はいりません。
今 警察の方と一緒に
こちらに向かってるところです。
(ため息)
実は 担当した警察の方から
詳しいお話を
電話で聞かせてもらいました。
沙也加ちゃんは 今日の午後
お友達2人と 東京行きの電車に
乗ったそうです。
(宇田川)子供たちだけでですか?
はい。
やっぱり あの子は
私と一緒に住みたいのよ。
何 言ってんだよ!
こんな時に…。
まあ まあ まあ まあ…。
3人とも 子供たちだけで
そんな遠くまで電車に乗った事は
初めてだったそうです。
(桑田の声)彼女たちには
ちょっとした
冒険旅行だったでしょう。
♬~
なぜ 沙也加ちゃんが
わざわざ東京まで行ったのか。
どうして 1人じゃなく
お友達と行ったのか。
私たちは
それを想像しなくてはいけません。
発見された時 沙也加ちゃんは
泣いていたそうです。
(宏)沙也加
今度 ここに住むのかよ?
多分ね。
遠いなあ…。
遊びに来てくれる?
(雄二)そりゃ 来るけどさ…。
同じ学校には行けないって事か。
(雄二)そうだな…。
♬~
(泣き声)
(3人の泣き声)
彼女たちの涙の意味が
わかりますか?
♬~
改めて お二人に
お聞きしたい事があります。
あなたたちが取り戻したいのは
親権ですか?
それとも 娘さんの心ですか?
♬~
♬~
(八重)後見人の事だけど
弁護士の人を紹介してもらったわ。
ええ。
これで この庭の将来も
少しは安心ね。
そうですか。
それは よかったですね。
でも 私は どうしようかしら…。
子供でもいれば
面倒を見てもらえたのかも
しれないけど…。
作ろうとはしたのよ。
でも 若い頃は 旦那の造園業を
手伝うのに夢中で…。
一度 流産してね…。
そのあと うまくいかなかった。
この庭の木や花は
八重さんにとって
子供みたいなものだったんですね。
ねえ… 老人ホームってのは
私みたいな者が行っても
うまくいく場所なのかしら?
(林田)お待たせ!
おお! 植木屋さん。
(林田)どうも。
おっ! これかい?
裁判所に持っていく
沈丁花っつうのは。
はい そうです。
(八重)この子たち よろしくね。
大丈夫です。
本当に大丈夫かしら?
確かに 育った場所を離れると
気候も変わりますし
鉢が置かれる場所によっては
日当たりや風通しが
変わってしまいます。
でもね 1~2年もすれば
この子たちは ちゃんと
その環境に
なじんでいくものなんです。
むしろ 今までよりも
さらに いい環境に
巡り合う事も多いんです。
そうですよね? 植木屋さん。
(林田)そのとおり!
悪いけど ちょっと手伝って…。
ああ… はい。 失礼しました。
(林田)傷つけんなよ。
はい。
♬~
面会交流 うまくいくでしょうか?
なんか とても不安で…。
この沈丁花っていうのはね
実は 植え替えが
とっても難しいんですよ。
この根っこを
うまく扱ってあげないと
すぐに枯れちゃうんですよ。
あっ ジョウロください。
はい。
その代わり
こうやって花が咲くと…。
ほ~ら 素晴らしい香りでしょ?
この香りにはね
心を落ち着かせる効果も
あるんですよ。
日向子さんも嗅いでみてください。
大丈夫ですよ。
この子がいれば
きっと うまくいきます。
♬~
おはようございます。
あなたの言うとおり
香水もつけないで来たわ。
ありがとうございます。
(ため息)
あの子は
私を受け入れてくれるかしら?
それは…
杏奈さん次第だと思います。
生意気ね。
さあ 行きましょう。
よし。 じゃあね 今度は ここ。
ここら辺。
ほ~ら。
ねっ 喜んでるみたいでしょ?
じゃあ この辺。
あっ…。
♬~
声をかけてあげてください。
沙也加。
♬~
♬~
ママ…。
(杏奈)あっ… 沙也加。
(沙也加)うう…。
ママが抱いてもいいの?
(沙也加)うん!
今日は ママのにおいがする。
沙也加…。
♬~
この写真の頃の杏奈さんは
鉢植えの花が大好きで
写真館には いつも
花の香りがしてたらしいの。
あの温室で2人が会えば
その頃の事を
思い出してくれるかもしれない。
そう思ったの。
ママのにおいか…。
枯れてしまったように見えても
根がしっかりとしていれば
植物は生き返るのよね。
いい事 言うじゃない。
桑田判事の受け売りだけどね。
えっ?
♬~ルックプラス
(主婦)あっ…フチ裏
洗いにくいのよね
♬~ (新津)それなら
洗いにくい所も 泡におまかせ!
「泡ピタ」! 《ヒミツは
密着泡 60秒後に流すだけ》
《便座も床も》
♬~「泡ピタ」! 《新発売》
あっ どうぞ
もう座ってください。
どうかしましたか?
こいつがいる前で話したくない。
わかりました。
判事さえ よろしければ
私は外で待機しています。
どうして 戸張調査官の前では
話したくないんですか?
戸張調査官は 1年前に
あなたが起こした暴行事件の
担当になって
そのあとも
家裁調査官という立場を超えて
あなたと付き合ってくれたんじゃ
ありませんか?
あなたの生活や将来を考えて
住む所や
アルバイトを紹介してくれて
なんとか更生の道を見つけようと
必死になってくれたんでしょ?
おせっかいなんだよ! あいつは。
そして あなたも
その戸張調査官の行為に
次第に心を開いて
更生の道を誓ったはずです。
その証拠に
あなたは ちゃんとした仕事に
就こうと思って
ある会社の面接に
出かけましたよね?
スーツを着て。
ところが あなたは
その面接会場に行く途中で
昔の不良仲間たちに
出会ってしまった。
スーツを着たあなたを見て
面白くなかったんでしょう。
仲間 抜けて
自分だけ まともになろうと
してんじゃねえぞ。
そう言って
あなたに殴りかかってきた。
でも あなたは 殴り返さなかった。
どうして それを?
戸張調査官が
全て 調べてくれました。
面接時間に間に合わなかった
あなたは 飲食店に入りました。
ラーメンを食べた時
口の中の傷に ラーメンが染みて
思わず
どんぶりに唾を吐いてしまった。
それを
主人に咎められたあなたは
すさんだ気持ちのままに
暴行事件を起こしてしまった。
違いますか?
私の目を見てください。
目を見てください。
本当の気持ちを
聞かせてくれるかな?
俺は…
また裏切っちまったんだ。
また?
高校の頃 親父を裏切って
不良仲間に入って
男手一つで育ててくれたのに
心配ばかりかけて…。
その上 病気で死んじまって…。
続けて。
戸張さんは
まるで親父みたいだった。
それなのに
また裏切っちまって…。
それで 戸張調査官を
避けるようになったんですね。
俺は なんの価値もない
クズみたいな野郎なんです。
それは違う。
そんな事は 決してありません。
この写真を見てください。
いい笑顔でしょ?
その笑顔に嘘はないはずです。
もう一度 戸張調査官と一緒に
その笑顔を取り戻しましょうよ。
(泣き声)
(穂積の泣き声)
(真理)あの少年
再度の保護観察処分で
済んだみたいね。
ああ…。
桑田判事 罰ではなく
チャンスを与えてくれたのね。
父親代わりとなって
見守ってくれる人を
見つけないとな。
いるじゃない すでに。
いや… 俺は 立場上 無理だよ。
でも まあ
できるだけの事はするさ。
今度こそ きっと
更生させてみせる。
♬~
(キーボードを打つ音)
何やってるの?
あっ…。
あっ 判決起案。
桑田判事も言ってたみたいに
落ち着くのよね ここにいると。
じゃあ きっと
いい判決起案ができるね。
あっ ねえ
もしよかったらなんだけど
読んでみてくれないかな?
えっ… いいの?
うん。 今回の離婚裁判には
最初から関わってるし
石川さんは 一応 先輩だし。
一応ね。
これなんだけど…。
(石川)ん? どれどれ…。
♬~
やっぱり ここでしたか。
おはようございます。
おはようございます。
温室に いらっしゃらなかったので
ここかなと思って。
ヘヘッ… ここにいるとね
ここに座る人の気持ちが
なんとなく
わかるような気がするんですよ。
あっ なんか用事でしたか?
あっ 判決起案。
私なりに
意見をまとめてみたんですけど
読んで頂けませんか?
できましたか。 ご苦労さまです。
(日向子の声)
「宇田川良介 杏奈夫妻の
離婚訴訟について」
「本件については
一般によくある離婚訴訟と違い
どちらかが不貞行為を働いた
というような案件ではなく
ほんの小さな行き違いが
お互いの強がりや誤解を生み
歳月と共に大きくなっていった
結果だと思われます」
「夫 妻 双方に
立場や言い分があり
どちらに
より大きな責任を負わせるべきか
判断しづらい案件でもあります」
「娘の面会交流を経て
互いのわだかまりの解消も
見られた事もあり
当裁判所としては
以下のような提案をしたいと
思います」
(桑田の声)「慰謝料は なし
親権は 妻 杏奈が持つ」
「ただし 就学先については
娘本人の意向を重視する事」
「養育費は 杏奈が月々支払う
金額に関しては 別途検討」
どうでしょうか?
この「就学先については
娘本人の意向を重視する事」
というのは
沙也加ちゃんは
この街の小学校に通ったほうが
いいという考えですか?
駄目でしょうか?
沙也加ちゃんは
この街で育ちました。
はい。
という事は
彼女にとっては この街が
自分の世界の足場でしょう。
そうなんです。
街が変わるという事は
あの子は全てを失う事になる
と思うんです。
あの子を育ててるのは
両親だけではないという事ですね。
はい!
いいでしょう。 よく考えましたね。
ありがとうございます!
それでは ただ今より
当裁判所の判決を言い渡します。
その前に 原告 被告とも
何か言いたい事はありませんか?
何か ありますか?
特にありません。
原告側は いかがでしょうか?
ちょっと お話ししても
いいですか?
もちろん どうぞ。
この訴訟を
取り下げたいのですが。
(百合子)
ちょっと 何 言ってるのよ?
すみません。
一時休廷を申請します。
いいから。 今日は 私に話させて。
どうして 今になって
取り下げようと思ったんですか?
娘を取り戻したい。
そう思って 私は 夫を訴えました。
親権を取って 自分で育てる。
それが 娘のためにもなる。
そう信じていたんです。
でも 何かが違うような気が
してきたんです。
何が違うんでしょう?
私は 夫と出世争いをしていただけ
なのかもしれません。
出会った頃 夫は 売れっ子の
ファッションカメラマンでした。
その姿は とても魅力的で
私のほうから
積極的にアプローチして
結婚したくらいでした。
やがて 子供が生まれ
最初は幸せでした。
(杏奈)しかし 夫は
視力が弱くなったせいもあって
仕事が減っていったんです。
その頃から 私は
ファッション雑誌の仕事が
評価され 編集長になりました。
私たちは 事あるごとに
対立するようになりました。
夫は 「お前が仕事を辞めて
俺を支えろ」と
言うようになったんです。
私は それに腹を立てて
家を出ました。
ひどい母親かもしれません。
しかし 私が もっと出世をして
財力を持てば
娘を取り戻せるかもしれない。
そう思っていたんです。
今は どう思ってるんですか?
確かに お金があれば
もしくは 訴訟に勝てば
娘の親権を手にする事は
できるかもしれない。
でも
判事さんがおっしゃったように
それでは
娘の心を取り戻す事はできない。
娘さんは この街で生まれて
この街で育ちました。
すでに お友達も たくさんいます。
もう 娘さんの人生は
始まっているんです。
それなのに まるで
財産でも取り合うかのように
娘さんを取り合ってました。
(ため息)
そのとおりだと思います。
もう一度 娘のために
どんな決断が正しいのか
あの人と一緒に
考えてみたいと思います。
♬~
素晴らしい決断だと思います。
♬~
(杏奈)その事に気づかせてくれた
桑田判事と裁判所の皆さんに
感謝しています。
私たちは 皆さんを
幸せにする事なんてできません。
小さな光を見つけてくれる
お手伝いをしてるだけです。
♬~
(石川)進路は決まったの?
ええ 決めたわ。
次に会う時には
偉くなってるんだろうな。
石川さんこそ 次に会った時には
子供の1人や2人ぐらい
いるんじゃないんですか?
お見合いの相手だったら
断られたよ。
えっ? なんで?
彼女 結婚する前に
やりたい事があるって。
料理が得意だから それを生かして
何か仕事がしたいって。
へえ~。
要するに 振られたって事だよ。
あっ そうだ。
これ 桑田判事から
預かってたんだ。
また きれいな花を
咲かせてくださいって。
ありがとう。
それじゃあ…。
いつか会えるといいね。
きっと また戻ってくる…。
ここには好きな人がいるから。
えっ? それって 俺の事?
フフ… じゃあね。 はい。
えっ…。
えーっ!
うん。
(池上)どうだ? いいだろう?
(拍手)
(田之倉)いやあ さすが所長!
あれ? でも 字 間違ってますよ。
あっ 本当だ。
(田之倉)家裁の「裁」が
栽培するの「栽」になっています。
それが狙いなんだよ。
植物を栽培するように
人の心も育てる。
そんな家庭裁判所でありたい。
そういう意味を込めてるんだ。
いやあ さすが所長!
(拍手)
やれやれ。 所長まで
桑田みたいな事を言いやがる。
八重さん おはようございます。
(八重)あっ… なんだよ。
どっか お出かけかい?
ええ。 あんまり
風が気持ちいいもんですからね。
あのね 私 この間 実はね
老人ホームに
見学 行ってきたのよ。
本当ですか? で どうでした?
そのホームはね 海が見える
本当 素敵な場所なの!
へえ~!
お庭が広くて最高よ。 フフフ…。
もう お友達もできちゃってね…。
うわあ よかったじゃないですか!
あんたの言葉に
背中 押されたのよ。
植物だって 1年か2年すれば
新しい場所に慣れるんだろうって。
私も まだ そういう生き方が
できるのかなと思って。
もちろんです。
まだまだ これからですよ。
私も頑張るから
あんたも裁判所の温室管理
頑張ってね!
ハハッ… わかりました。
じゃあ また。
あっ そうそう。
あんたの名前 なんていったっけ?
桑田です。
よろしくお願い致します。
ああ…。
♬~
おっ!
あっ! ナイスシュー!
いけ いけ いけ!
百合子。
はい 請求書。
えー! 取るの?
当たり前じゃない。
しっかりしてるなあ。
うちの子 かわいいでしょ?
(百合子)そうねえ。
百合子も 子供 作んなよ。
子供は欲しい気もするけど
男は いらないな。
百合子らしいね。
ほら いけ! そこだー!
痛え…。
やったー!
♬~
ちょっと… 邪魔よ!
すいません。