【BS新春時代劇】大岡越前スペシャル~初春に散る影法師~[解][字]…のネタバレ解析まとめ

出典:EPGの番組情報

【BS新春時代劇】大岡越前スペシャル~初春に散る影法師~[解][字]

連続人斬り事件が発生。下手人は忠相(東山紀之)に瓜二つらしい。一方、吉原の櫻木太夫(本仮屋ユイカ)は、人斬りは浪人・月嶋左内(東山紀之)の仕業だと見抜いていた。

詳細情報
番組内容
連続人斬り事件が発生。目撃者から、なんと南町奉行の忠相(東山紀之)が下手人と名指しされる。一方、忠相に瓜二つの浪人が吉原にいた。結核を患うその浪人・月嶋左内(東山紀之)の身を心配する櫻木太夫(本仮屋ユイカ)は、左内が彼女の過去の恨みを晴らそうとしていることに気づいていた。しかし左内はその理由を語らない。やがて次の標的を襲撃しようとする左内。そこに現れた忠相と左内は一騎打ちとなるのだが…。
出演者
【出演】東山紀之,本仮屋ユイカ,勝村政信,寺脇康文,美村里江,近藤芳正,高橋光臣,柄本時生,石井正則,金山一彦,山崎裕太,加藤頼,室龍太,板尾創路,宮崎香蓮,柳亭小痴楽,栗塚旭,高橋長英,寺田農ほか
原作・脚本
【脚本】尾西兼一
監督・演出
【演出】黛りんたろう

ジャンル :
ドラマ – 時代劇

テキストマイニング結果

ワードクラウド

キーワード出現数ベスト20

  1. 旦那
  2. 吉原
  3. 小紫
  4. 太夫
  5. 櫻木太夫
  6. お奉行
  7. 三島屋
  8. 老中
  9. 若旦那
  10. 久乃
  11. 父上
  12. 子吉
  13. 黒崎
  14. 松葉屋
  15. 大和屋
  16. 本当
  17. エッホ
  18. お奉行様
  19. 左近将監様
  20. 油差

解析用ソース(見逃した方はネタバレ注意)

   ごあんない

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♬「千歳の命を延ぶる酒ときくものを」

(笑い声)

何や お侍。
おい そこ どいてくれ。

村役人 高岡善兵衛だな。

そうだが あんたは?

すまぬが 命を頂く。

何を言ってんだ やぶから棒に こら。

うわっ。
(悲鳴)

うわ… ううっ。
ひっ… ひっ…。

旦那! 旦那 しっかり…!
旦那!

旦那! 誰か呼んでくれ!
旦那! 旦那~!

あ~! 旦那…。

(せきこみ)

♬~(囃子)

<幕府公認の廓である吉原では
正月元日と2日

妓楼から贈られた小袖に身を包んだ
遊女たちが 禿たちを引き連れ

世話になっているなじみの茶屋へ
新年の挨拶回りに出向く風習があった>

<妓楼から一斉に遊女があふれ出す その光景は 豪華絢爛であった>

あれが 松葉屋の櫻木太夫だ。

まるで錦絵から抜け出してきたような
器量じゃないか。

男と生まれたからには
あんな女を身請けしてえもんでえ。

(筧)ちょいとごめんよ ちょいとごめんよ。
ごめんよ ごめん ごめんよ。

(子吉)どいた どいた どいた。
(筧)どうだ いい景色だろう。

(子吉)いい景色ったって
こうも人が多いんじゃ

どうしようもありやせんて。
(筧)まあまあ まあまあ そう言うな。

目の保養ってもんだ。 目の… おおっ。

おい 何でえ 与ノ介じゃねえか。
(与ノ介)あっ 旦那。

明けましておめでとうございます。
う~む。

で? まだ追っかけてんのか
松葉屋の小紫。

追いかけてるなんて言い方
よしてくださいよ。 あたしゃあね…。

そうだった
小紫とは添い遂げるんだったよな。

えっ 添い遂げる?
そうよ。

この横山町二丁目べっ甲問屋
千倉屋の若旦那はな

あの見目麗しき櫻木太夫の妹分
小紫に入れあげたあげく

一緒になるとか何とか言い出して

そろそろ勘当されようかっていう
近頃 奇特なお方よ。

ハハッ。 へえ~ 松葉屋の小紫。 へえ~。

いけませんか?
いやいや いけなくはねえだろうけど

ハハッ それはちょっとな。
何ですか。

いや 何でもねえよ。
おっとっと…。

(筧)東西百八十間 南北百三十間

5つの町からなる この吉原にいる遊女は
3, 000人だ。

皆 それぞれ美しさを競い合い
手練手管で客をたらし込み

一晩で千両もの金を落とさせる。

客を本気にさせるためなら

「主様命。 次に来るのは
いつでありんす」とばかりに

相手の名前を腕に彫り
髪を切り 小指も落とし

爪を剥いで送ったりするもんさ。
おっと それじゃあ 男はイチコロだ。

そもそも 髪は別の女の物だし
小指も爪も しんこ細工の作り物。

おう 彫り物すら

別れちまえば もぐさで焼いて
消しちまうんだから お笑いぐさよ。

女郎のまことと卵の四角
あれば晦日に月が出るってな。

(子吉)よっ 旦那 お上手!
小紫はね

本気で私にほれてくれてるんです。
それに応えるのが私の務めなんだ。

必ず お父っつぁんに頼み込んで
小紫を身請けしてみせますよ。

フン こんな私の気持ちね

やぼ天の旦那なんかには
金輪際 分かりっこないんだ。

やぼ天とは何だ やぼ天とは。 おい!
やぼも やぼだ。 大やぼ天だ。

何だと この野郎!
2人とも こんなところで…

やめ やめ…。
うるせえ! うるせえ どけ! どけ!

(子吉)旦那 旦那! 旦那 ちょっと旦那!
何だよ。

おぶ おぶ… お奉行様! えっ。
お奉行様ですよ!

うん?

(求次郎)
明けましておめでとうございます!

(雪絵)どうぞ。

若様 いかがですか?

熱っ。 あっ ほらほら

ゆっくり食べなきゃいけません。

私より おばあ様のことを
心配なすってください。

おもちが喉につかえたりすると
大変です。

まあ 私は そんな年寄りではありません。

ねっ 忠相。
えっ。

あっ はい。

フフッ。

おかしくはない。

(せきこみ)

まあ。 フフフ…。

(笑い声)

♬~

♬~

はあ…。 (源次郎)筧。
えっ。

(源次郎)どうした。
はっ…。

(堅太郎)考え事ですか。
(喬之助)何かありました?

いや… 大したことじゃねえんだが…。

(橋田)いかがした 筧。
いえ 別に。 はい。

大介 もう慣れたか。

はい。 ご心配なく。
こらっ。

お奉行に向かって
何だ その口の利き方は。

いいさ 若いのだから。 励めよ。

はい! ハックシュッ。

ハハハハハッ。

ふう~。

≪(源次郎)何 お奉行が?

≪(源次郎)吉原に?
≪(堅太郎)いたっていうんですか?

だよな 子吉。
えっ 旦那だって見たでしょう。

本当ですかい 旦那。
(喬之助)ありっこないよ そんなこと。

そうですよ
お奉行様に限って 吉原だなんて。 ねえ。

ああ。 旦那 本当に見たんですか?

いや… 遠かったし チラッと
見たっていうか見なかったっていうか…。

何でえ それは。
見間違いってやつですよ。

そうに決まってやすって。

信用ねえなあ ったく。
けど お奉行だって男なんですから

吉原に足を運ぶことだって
あるんじゃないですか。

お前は 来たばっかりで。

お奉行のことを知らないから
そんなこと言うんだい。

(戸が開く音)

おい 子吉。
(源次郎)あっ これは 吉本の殿様。

まことなんだな?
婿殿を吉原で見たというのは。

へ… へえ。 はあ。

筧。
はい。 お主も見たのか?

えっ いや それはですね あの…。
いやいや 皆まで言うな。

男子たるもの たとえ町奉行とはいえ
堅物一辺倒ではいかん。

フッフッフッフッ 吉原 大いに結構。
それでこそ 忠高の嫡男じゃ。

ハッハッハッハッ。 のう 村上。
あ… いや ですから 殿様…。

ハッハッハッ。 では なあ。

フフフッ ハハハハハハッ。
殿様! 殿様!

殿様!
あ~あ 知りませんよ あっしは。

フッフッフッフッ…。

何かいいことでもおありだったんですか?
おじじ様。

フフフッ。

よいか 誰にも言うてはならんぞ。
特に 母上殿には内密にな。

フフフッ 実はな…。

あっ あら
おじじ様と将棋ではなかったのですか?

♬~

まことでございますか!?
誰にも言ってはなりません。

特に 母上には。
はい もちろんです。

奥様!

あっ!

はあ…。

どうした。

おかあ様がよく諦め顔で
おっしゃってました。

殿方の その道ばかりは止められぬと。

うん?
いいえ。 何でもございません。

火の用心。
(拍子木)

<それから幾日か過ぎた ある夜のこと>

(くしゃみ)

♬~

お奉行? えっ?
旦那 お待たせいたしやした。

こう冷えると 下の方が近くなって…
どうかなすったんで?

あ… いや 今 お奉行がな そこを…。
ええ?

エッホ エッホ エッホ エッホ…
エッホ エッホ エッホ エッホ…。

米沢町両替商
三島屋甚右衛門の乗る駕籠だな。

へえ。 ≪下ろせ。
へい。

私が甚右衛門でございますが。

悪いが死んでもらう。
ええ?

うわっ… うわあ…。

ぎゃ~! あ…。

ううっ… ああ…。

旦那様~! 旦那様~!
ひ… 人殺し!

≪誰か~!
≪人殺しだ!

旦那。
あっちだ。

旦那様~。

旦那様~!

お役人様。
うわ~!

何があった!
いきなり 浪人者が現れて 旦那様を!

どっちに逃げた。
あ… あっちでさあ。

旦那。
あ~…。

ここ頼みますぜ。
(呼子笛)

♬~

(源次郎)下手人は かなりの腕だな。 おい。
(辰三)へい。

手代の話じゃ
甚右衛門は 商いには厳しいようですが

温厚な人柄で とても他人に
恨みを買うような人じゃねえと。

だが 財布はとられてはないし…。
三島屋かと声をかけてるところからも。

恨みの筋と見るのが妥当だろう。

旦那 どうかなすったんで?

うん… どう考えても
あれはお奉行じゃないかなと…。

そういや
そんなことおっしゃってましたっけ。

お奉行? お奉行が どうかしたのか。

相良の旦那が見たんだそうです。
つじ斬りが出る前に あの近くで。

何だと? 本当か?

はい。 通りを す~っと横切って
目と目が合って…。

見間違いだろ。
お前は 来たばっかりで…。

あれは お奉行ですよ。
確かにお奉行です。

声をかけられたか?
えっ?

だから
ご苦労さんとか 寒くはないかとか。

あ… いえ。
何も言わず す~っと行ってしまって。

じゃあ違うよ。

お奉行なら そういう時
ひと声かけてくださる。 ねえ?

村上さん。
うん? うん まあなあ…。

はあ…。

それは 私ではない。
今夜は一歩も ここを出ていない。

やはり そうでしたか。 いや 実は…。
吉原の一件かい。

吉本の殿様からお聞きに?

フッ 巡り巡ってというやつでね。

やっかいなことに
ならなきゃいいんですが…。 はあ…。

<翌日のこと。 ここは老中 松平左近将監の上屋敷>

(矢島)三島屋が?

(黒崎)何者かに斬られ
命を落としたそうな。

わしが三島屋と懇意にしておったのは

そちも承知しておるはず。

すまぬが
わしの名代として 三島屋に出向き

悔やみの言葉をかけておいてくれぬか。

いかがした。

実は 先頃 淀の木津川で

村役人 高岡善兵衛が
やはり 何者かに斬られて殺されたと。

淀…。

(悲鳴)

その村役人 あの折
木津川で治水工事を請け負った者か。

はっ。 三島屋もまた
あの折に我らと…。

(松平左近将監)何かあったのか。

いいえ。
殿がご心配なさることはありませぬ。

そうか。

殿は ご老中として
天下の政をつかさどる お方。

家中のことは
私どもにお任せくださいませ。

いつも すまんな。 ハハハハッ。

ご家老。

思い過ごしであろう。

今更 あのことで…。

♬~

いかがなさいました?

何か用か?

松平家用人 矢島又兵衛殿でござるな。

そうだが… 貴公は?

名無しの権兵衛。
何?

その命 もらい受けた。

お主… まさか!
無礼だぞ 貴様!

百も承知。

おのれ!
うわっ!

ぐっ… ぐあ…。

♬~

や~! ふん!

(せきこみ)
とう!

♬~

うわっ…。

♬~

騒がせたな。 許せ そば屋。

♬~

何? ご老中の?

ご用人で
矢島又兵衛とか申すお方だそうで。

家中でも かなりの使い手だとか。

供をしていた若侍も
腕の筋を一太刀で斬られてます。

三島屋と その用人につながりは?

特に 深い関わりはなかったのではないか
と お店の者は申しております。

ですが こたびも その浪人者は
身元を確かめてから襲っているんです。

その浪人者の顔は?

ですから それがお奉行…。
(筧)おい!

(せきばらい)
三島屋殺しの時と同じように

手拭いで顔を覆っていたそうですが
今度は そば屋が見たと言ってます。

もう一度見れば必ず分かると。

では その方 しかと見たのだろう!
その顔を思い出せ!

で… ですから
そんなことおっしゃったって…。

このままでは武士の意地が立たぬと
言っておるのだ。

なんとか思い出せ!

もういっぺん見たら
あの 思い出しますけどね

いや でも もう 見たかね…。
そば屋 1杯頼む。

へい。 すいませんね ヘヘヘッ。

へい いらっしゃい。

あ… ああ…。

どうした。 私の顔に 何か付いているのか。

いえ。 別に な… 何も…。

おい そば屋!

この男か… この男なのか!

≪(堅太郎)お待ちください!

このお方は 南町奉行 大岡越前守様。
何!?

お奉行様…!

そば屋 昨日の男は
それほど似てるのか この私と。

はい。

お奉行。
うん。

この男 知らないか。
<その日から 南町奉行所の面々は

忠相の顔を模した人相書きを手に
男の行方を追った>

知りませんね。

見覚えないかい。
いや 知りませんね。

では あなたと似たような人が
この江戸に?

うむ。 しかも つじ斬りだ。

そんな… もし そのような
おかしな噂が広がったら…。

町奉行も形なしだな。 フフフフ…。
笑い事ではありません。

でも そうなると…
吉原で あなたを見たというのも…。

うん 恐らく その男のことだろう。

はあ~。

うん?
まっ ようございました。

ただいま お茶を。

フッ。

火の用心。

<子の刻 午前零時となると

吉原では 引け四つといい
どの妓楼も店じまいとなる>

これは 油差しの浪人さん。

小紫は まだか。
まだなんですよ。

ご苦労だな いつも。
皮肉言っちゃ嫌ですよ。

浪人さんこそ 毎晩ご苦労さまです。
これが役目なのでな。

またまた。 小紫と足抜けしたら

浪人さんが
大門の前で待ち構えてんでしょ。

あ~ 怖い怖い。

では どうする?
そりゃあ 身請けをして

堂々と大門から出ていきますって。
それは楽しみだな。

遅いよ~。

門屋の若旦那が
離してくれないのでありんす。

なにが「ありんす」だよ。
あいつ また来てやがんのか。

私がいるんだよ
うっちゃっときゃいいんだよ。

そうもいかねえべ。

太夫がお待ちかね。

うん? 何? 何だい。
べ つ に。

ほら 若旦那 奥でしっぽりと。 ねっ?

≪火の用心。

さっしゃりましょう。
(拍子木)

よいのか。 客の相手をせずとも。

何故なのですか。
何のことだ。

聞きました つじ斬りのこと。

三島屋と 矢島又兵衛を斬ったのは
あなた様でございますね。

勝手に俺がしたことだ。
太夫には関わりはない。

そんな!

(せきこみ)

♬~(三味線)

♬「春雨に」

♬~

♬「しっぽり濡るる鶯の」

左内様。
(せきこみ)

あ~ すまぬ。

すまないのは 私の方です。

あの日 酔って
あんなお話さえしなければ…。

俺には…

俺の事情があって あの者たちを斬った。

太夫のためではない。

ですから その訳を。

その訳を お聞かせください。

久乃…。

えっ?

いや…。 残るは2人。

やめてください。 これは私の…。
今となっては 俺の役目だ。

ですから!
(せきこみ)

♬~

ありがとうございやした。

(小紫)与ノさん。

お父っつぁんに必ず認めてもらうからな。

あい。 待ってるでありんす。

(与ノ介)ちょっと お父っつぁん!
(清兵衛)やかましい!

待って お父っつぁん。
(清兵衛)勘当だ! 出てけ!

うん? うん?

勘当って。
ちょ… 嘘でしょ お父っつぁん!

見ず知らずの人に お父っつぁんなんて
言われる筋合いはないよ。

番頭さん この人にね 野たれ死んでも
帰ってくるなと伝えなさい。

旦那様…!
ああ そうかい!

私には 小紫がいりゃあ十分だ。
番頭 そう伝えてやれ!

なにが 小紫だ!
千倉屋の後ろ盾がないお前なんか

世間の誰が相手にするものか!

そう伝えなさい 番頭さん。

若旦那!
旦那様に 頭を下げておくんなさい。

世話になったな番頭。 お天道様と
おまんま粒はね いつでもついて回るんだ。

後で ほえ面かいても知らないよと

そこの白髪頭に そう伝えてやれ!
あばよ!

わ… 若旦那…。
し… 塩~!

あ~あ やっちゃった。

実は 頼みがあって来てもろうた。
(伊生)はっ。

先日 家中の矢島又兵衛が

つじ斬りに遭うたことは存じているな。
はい。

その前には 両替商
三島屋のあるじも同じ目に遭うておる。

その下手人を お主に捜し出してほしい。

これは異なことを。 月番は南…。

入れ。

家老を務める黒崎監物じゃ。
黒崎でございます。

次に狙われるのは 恐らく この男。

…だと申しておる。

そうだな。

はっ。

この者 当家の勝手掛として
なくてはならぬ。

みすみす何者かの手にかけられては
わしが笑われる。

お聞きしますが
何故 黒崎殿が狙われますので。

江戸での 2件のつじ斬りの前に

山城国 淀の木津川で
村役人が斬られておる。

淀… 確か 左近将監様は
ご老中になられる前

山城国 淀6万石
大坂城代であられたはず。

遺恨は その折にあった。

殿 遺恨などではございませぬ。
ただの逆恨み!

ですが
つじ斬りの狙いは 私だけではなく…。

ご老中まで?

下野。 北町奉行としての力
貸してくれるのう。

ですが 先ほども申しましたとおり
月番は 南。

越前は 「差控」とする。
差控?

<差控とは 自宅に謹慎することをいう>

しかし…。

下手人は 越前に よう似ておるという。

そうだな?
はい。 そのように聞き及んでおります。

下手人に似ておる奉行が
その下手人を追う。

それでは 上様ご寵愛の越前が
世間にとって格好の餌食となり

それは つまり
ご政道に関わるゆゆしき事態となろう。

そうは思わぬか。

なるほど。

差控?

以降 この一件のみ
それがしの北が引き継ぐことになる。

これは 上意。
…となれば 致し方なしですな。

では。
お待ちを。

これは つまり… 左近将監様の…。

差し金かと お尋ねか?

はてさて。 宮仕えとは 悲しきもの。
あまり詮索なさらぬが懸命かと。

なるほど。

そういうことでござる。
では 御免。

(橋田)お奉行は 差控となった。
(一同)ええっ!

いや… むちゃくちゃですよ それは!

(堅太郎)
何故 我々が探索してはならんのですか!

お上のお達しゆえ しかたあるまい。

(喬之助)いくらお上だからって
あんまりです!

(源次郎)お奉行 どうなさいます。

この際だ
役宅で のんびりさせてもらうよ。

(筧)いや…。
(大介)嘘でしょ!?

もっとも 大介たちには動いてもらう。

えっ…。 はい!

そうこなくちゃいけません。 で?

気取られぬよう 手分けして それとなく
左近将監様のお屋敷を探ってもらいたい。

やはり ご老中に関わりが?

こりゃ 相当でかい山になりそうですね。

下手人捜しの方は?

そちらも続けてくれ。
ただし 北に見つからないようにな。

伊生殿の立場もある。

はい。 よいな。
(一同)はっ。

(黒崎)殿。

何?

お家に ご迷惑のかからぬよう
考えた末のこと。

何とぞ ご容赦の程を。

腕の立つ者を連れていくがよい。
気を付けるようにな。

ありがたきお言葉。

出立!

♬~

抜かるな。
(4人)はっ!

♬~

黒崎様 お待ちしておりました。

大和屋 世話になるぞ。

恐らく つじ斬りは わしを狙ってくる。
その時は…。

はい。 先生方にも
存分に腕を振るっていただきますので。

さあ さあ さあ さあ…。

(せきこみ)

あ~。

うう…。

そうか… 長崎へな。

(新三郎)はい。
蘭学を学んだ恩師が病に倒れたと手紙が。

何分 ご老体ですので
当分の間 向こうで面倒を見ようかと。

養生所のことは 伊織に任せておけばよい。

あ… はい。

若。

家老の黒崎監物?

そいつが 仕入れ問屋 大和屋の
湯島にある寮に移ったようでして。

しかも 家中の者だけではなく

腕の立つ浪人まで集めてまして。
ものものしい数だとか。

浪人連れとなると
余計な勘ぐりを入れたくなりますな。

殺された用人の矢島と 家老の黒崎…

この2人とつながる何かが
こたびの一件の鍵を握りそうだ。

ご老中様が大坂城代だった頃からの
仲だそうで。

それと関わりあるかどうか

殺された三島屋も そのころに商いで
上方に出向いていたことが分かりました。

つまり ご老中が
山城国 淀6万石のご城主だった頃…。

はっ。

う~む…。

源さん 頼まれてくれ。

へい。 万事承知いたしましたと
お奉行様にお伝えを。

分かった。 ありがとよ。
俺も 途中まで一緒しよう。

お秀。
はい。

すまねえが しばらく留守にするぜ。
はい。

結城先生 ちょっと…。
うん。 では。

(戸が開く音)
あ… いらっしゃい。

とにかく座れ。
(泣き声)

だから泣くなよ。

あんまりですよ。
こんなに息子が苦しんでるのに!

自業自得ってんだよ そういうのは。
どうしたい?

吉原の遊女に入れあげて
勘当食らった若旦那なんですけどね。

へえ~ そいつは また 豪気じゃねえか。

頼まれて
実家の父親に泣き入れてみたんですがね。

けんもほろろで。
そうかい。 ハハッ。

(泣き声)
おい 与ノ介

あれは 当分無理だぞ。
景気づけに酒でも飲め。 おい お秀。

はい。
こいつに たらふく飲ませてやってくれ。

はいはい。
若旦那 酒のあては 何にします?

あたしゃ 小紫がいい!
(泣き声)

小紫?

吉原での敵娼。

そいつは悪うござんした! フン。

はあ…。
(筧)おう。 どうだった人相書きの方は?

あ~ まるで引っかかりません。
一体 どこにいんだ この野郎。

うん? 油差しの浪人さん?

おめえ 今 何つった?

で… ですから 油差しの浪人さん…。

知ってるのか。
こいつを!

あ… はい…。

(せきこみ)

≪太夫。

どうです? 具合は。

困ったねえ。 いくら太夫の肝煎りでも
用心棒が こんなありさまじゃ。

あっ 楼主さんが呼んでますよ。

分かりんした。

はあっ。

嫌~!
待て!

こっちへ来い!
助けて!

やめなんし!
何!?

ここで騒ぎは勘弁してくんなまし。
わっちの顔に免じて どうか。

しゃらくせえ!

太夫の顔に傷をつけたら お前はしまいだ。

今なら まだ間に合う。 出ていけ。

ありがたいことでありんす。
構わん。 これが役目よ。

主は?

先日から雇われた 油差し。

油差し?

珍しいでありんすえ。 お侍様が。

あ… そうか。

何を笑っておる。

お気付きですか。

ううっ 太夫に
こんなことをさせてはいかんな。

勝手にしてることですから。
左内様と同じです。

でも もうおやめください。

こんな体で… もう無理です。

あの者たちは 父の仇。
私の父の仇なのですから。

(雨の音)

太夫は 生涯ここで
その仇を待つつもりなのだろう。

父親の仇をここで待つ。 そう言った。

だが それこそ無理かもしれん。

俺は 北国のある大名家に仕えておった。

勘定方として
つつがなく暮らしていた ある日

上役の不正に気付いた。

その上役は 俺の妻の父親でな。

不正を見逃せ 罪をかぶってくれと
言われた。

妻の父だ。 受けるしかなかった。

それがため
同僚からは そしられ 禄を削られ…。

(せきこみ)
いや それはいい。

だが ある日…

妻が…

久乃が自害して果てた。

俺は 武士を捨てた。

ふがいなき己を
呪って生きるしかなかった。

そんな時に 太夫に会った。

その身を売ってまで 仇を討つという。

来るかどうか分からぬ仇を待つという。

その強さに 俺は驚いた。

久乃も そうだった。

おのが命を懸け 武士の矜持を捨てた
義父と俺にあらがったのだ。

俺には 到底かなわん。

長いものに巻かれ
情けなく生きてきた己が 惨めになった。

俺の命は 長くはもたん。
ならば 死ぬ前に…

ふがいなき己を始末するためにも

あだ討ちの手助けをしようと
思ったまでだ。

全ては俺の…

俺だけのために。

(せきこみ)

♬~

(堅太郎)最近
こういう男が出入りしてるだろう。

<そのころ 南町奉行所の面々は 油差しの男を追って 吉原にいた>

こんな人 知りんせん。

この松葉屋で
油差しをしながら用心棒してる男だ。

知らねえはずねえだろ。

小紫。 与ノ介が会いたがってたぜ。

勘当になっちまって しおれてるけどな。
いつも おめえに会いたいって言ってるよ。

ほう~ そうかい。 お前もほれてんのか。

だったら話が早い。

そのうち 若旦那の勘当を解いて
会えるようにしてやる。

だからよ 何でもいいんだ
こいつのこと 教えてくれ。

本当に会える?

ああ。

それなら 私より 櫻木太夫が。
櫻木太夫…。

左内様…。

♬~

お奉行様でありんしたか。

太夫と親しかった油差し
この顔と うり二つのはず。

その男 江戸を騒がす つじ斬りなのだ。

このまま 放っておくわけには
いかないのだよ。

何か知ってることがあったら
教えてもらいたいのだが。

いんや 何も知りんせん。

そなた 武家の出か。

武家の出でありながら このような暮らし
太夫とはいえ さぞや つらかろう。

言われるとおり ここは苦界。

なれど 世間の方が よほど苦界。

それは 毎日お裁きをなさる

お奉行様の方が
ご存じのはずではありんせんかえ。

なるほど。

もう帰ってくんなまし。

<身の危険を察知した左内は 吉原を ひそかに抜け出した>

おい この男 見たことないかい。

おい あるか。
よ~く見てみろ よ~く。

♬~

旦那!
うん?

(堅太郎)あっ! おい 待て!

(筧)お奉行!

♬~

(子吉)待ちやがれ~!

♬~

くっそ…。

子吉 捜せ。

♬~

お奉行…。

<一方 忠相の命を受けた三次は

新三郎と共に山城国へ入り
手分けして聞き込みを始めた>

木津川の決壊?
(宅悦)はい。

当時 次席家老だった
黒崎様が絡むとなると

恐らく その一件かと。

あれは 何年前になりますか…。

今のご老中 松平左近将監様が
淀城主でおられた頃

木津川は 2年続けて氾濫
大勢の死人が出ました。

左近将監様は 筆頭家老の里井主膳様に

木津川の治水を命じられました。
ですが…。

(里井)殿は知らぬが
家中の勝手は火の車。

どこに借財を申し入れてよいやら…。

困った。 実に困った。

(宅悦)ところが それからしばらくして…。

次席家老の黒崎が 江戸の両替商 三島屋に
渡りをつけられると申すのだ。

これで工事の目鼻が
なんとかつきそうじゃ。

三島屋…。

しかしながら 三島屋からの借財が
土壇場で頓挫しましてな。

当てにしていた金が入らず
工事は遅れに遅れて…。

また決壊が起こった?

左近将監様が激怒なされたそうです。

なんたることじゃ! 無能にも程がある!

家老として 家中の者に対する示しが
つかんではないか!

まことに申し訳なく。

どう始末をつける。 己で考えい!
ああっ。

はは~っ。

(宅悦)ところが それには
からくりがあったのです。

からくり?

それを拙僧が知ったのは
ある法要の席で…。

なんと。 では それがしが
そこもとを陥れるため 三島屋を唆し

偽りの借財話を企てたと仰せか。

そうとしか考えられぬ。

どこに証拠がおありなさる。 うん!?

全て ざれ言 ざれ言よ!

ハッハッハッハッ…。

…で その里井という筆頭家老は?

切腹なされた。
切腹…。

責めを一身に負われてのう。

それが この墓よ。

そうですかい。

実は 矢島又兵衛も 当時 郡奉行として
その治水工事に絡んでたんですが

その矢島の下にいた
村役人の高岡善兵衛ってのが

やはり つじ斬りに遭ってました。
何!?

あっしは その里井って家老のことを
もう少し調べてから戻ります。

うん。
結城先生も 道中ご無事で。

うん ありがとう。 ではな。

つまり 里井主膳が指図した治水の工事に
関わった男たちが つじ斬りに殺された。

となると 次は黒崎 そして…。

まさか ご老中様?

三次 里井主膳の元家来に
私に似た男というのはいたか?

それが
そんな男はいなかったようでして…。

いない…。

そなた 武家の出か。

女は どうだ?
女…。

そうだ 里井主膳の娘で
光恵っていうお人がいたんだそうです。

美しい方だったらしいんですが
お家が断絶したあと どうしたのかは…。

ただ…。
ただ?

残された 体が不自由な母親や
ちりぢりになるご家来衆のために

その身を売ったっていう話も。

身を売った…!

♬「サーサ 浮いた浮いた
やーと やとやと」

♬「サーサ 浮いた浮いた
やーと やとやと」

♬「送りましょうか ヨウ~ッ
送られましょうか」

♬「せめて あの丁の角までも」

♬~

(里井)すまぬな いつも。

何をおっしゃいます。
たった一人の母上です。

お前の嫁入り姿が見たいものだが。

まだまだ先のことでございます。

そうか。 ハハハ…。

ではな。

はい。

父上。

父上…。

父上!

父上~!

父上! 父上~!

(泣き声)

(里井)「ふがいなき父を許せ。

殿に対して
不始末をおわびせねばねらぬ。

こうするより ほかにないのだ。

あの者らに謀られた わしの落ち度。

返す返すも無念」。

左内様…。

♬~

わちきには 何もできんせん。

このまま ここで朽ちていくのなら

いっそのこと死んでしまいたい。

さあ 太夫。

私には…

父の仇がいるのです。

何?

この身を売って 名を挙げて…。

いつか来る仇を
待ち受けているんでありんす。

フッ。 フフ…。

♬~

久乃 力を貸してくれ…。

(せきこみ)

♬~

そこまで調べられたか。 さすがは大岡殿。
では まことなのだな?

黒崎監物が申すには

仮に里井主膳の切腹を根に持った
元家臣の仕業だとしても

それは あくまで 逆恨みであると。

逆恨み。
さよう。

ご老中も こうおっしゃっておりました。

里井の切腹によって 木津川氾濫による
民の政に対する不満は防げた。

それを恨みに思うとは…

片腹痛し。

(伊生)家臣とは まことに…。

それはともあれ

ご老中は 治水工事のありようは
全くご存じなかったご様子。

だが 残された娘にとっては
どちらでも同じこと。

父親の切腹は
理不尽なことに変わりはない。

黒崎監物は 大和屋の寮に入ったとか。

配下の者と
浪人たちに囲まれておりますから

こちらが面倒を見るまでもないでしょう。

古だぬきは やぶから いぶり出し
懲らしめるが肝要。

何か 策がおありのようだ。

では 御免。

差控は いかが相成りました?

ハッハハ… ハハハハハ…。

(ふすまの開閉音)

あっ 父上。

町奉行の嫡男殿か。

ならば父上に伝えてくれ。

もうすぐしまい とな。

何? それは まことか。

はい。
本当に 父上に似た人がいたんですね。

あなた。
すぐに 出かける。

♬~

若。

ここへは現れなかったか。

では 大和屋か。

若!

黒崎様 もう賊は
現れないのではありませんか?

我らの備えに恐れをなし
手を出せぬのかもしれぬ。

騒ぎが収まりましたなら
いつものように。

おい。

まずは 私の気持ちでございます。

これが こたびの入れ札の値となる。

これで 家中の調度品の数々

畳や ふすまの張り替え
全て お主の手に落ちる。

この見積もりが外に漏れることもなく

いつものように
殿に気取られる心配もない。

(笑い声)

田口 いかがした。

松平家筆頭家老 黒崎監物殿!
何やつ!

命をもらい受ける。

先生方!

てや~っ!
やあ!

うっ…。
うわっ。 あ~!

♬~

やあ~!
とう!

うわ… あ~!
やあ!

うっ… うわ…。

♬~

た~! あ~!

うう…。 うう…。

てや! あっ! ああ…。

♬~

よさないか!

さあ どうする。

何故 斬る。

仇!
いや~!

(黒崎)ああ… あ… あ…。

お主の仇ではあるまいに なぜだ。

ふがいなき己に 始末をつけるためよ。

何?

♬~

黒崎!

や~!
ヒ~ッ! 大和屋!

≪(呼子笛)

うわあ… 大和屋…!
≪向こうだ! 行け!

大和屋。

♬~

ふん! こ… こやつを…!
ええ!?

♬~

(せきこみ)

ハア… ハア… ハア…。

くっ…。

(伊織)労咳だ。 長くは もたん。

そうか…。

しかし驚いたな。
お主と うり二つだぞ。

(おいね)本当に。
もうびっくりしてしまって。

(せきこみ)

気付いたか。

聞くが 吉原の櫻木太夫は

木津川工事の責めを負って切腹した
家老 里井主膳の娘 光恵ではないのか。

(せきこみ)

何のことか 分からん。

(せきこみ)

では もう一つ。
何故 里井主膳の仇を討とうとする。

ふがいなき己に始末をつけるとは
どういうことだ。

知らん!

(せきこみ)

(久乃)このままでは…
あなたに申し訳が立ちません。

父のせいで あなたが そしられるなど
あってはならないことです。

私が… 私がいるせいで あなたが…。

そうではない!
俺は お前と生きる道を選んだ。

俺のそばにいてくれ。 いつまでも
いつまでも! そのために俺は…!

でしたら何故!

父の頼みを
断ってはくださらなかったのですか。

♬~

久乃!

久乃! 久乃!

久乃!

久乃~! 久乃…。

(泣き声)

♬~

忠相。

どうやら 心に秘めたものがあるようだ
あの男には。

そうらしいな。

死を悟っている者に
口を開かせるのは無理だ。

どうする気だ。
このままでは どうにもならんのだろ。

私に考えがある。

今 何と申した。

遺恨を立つための
はかりごとでございます。

何を申すか。
大岡にたばかられおって。 お主…。

黒崎監物殿を 差控でありながら
身をもって助けたのは 大岡殿。

大岡殿に借りを作らぬためにも
ここはひとつ

左近将監様のご決断が肝要かと。

<その日 松葉屋へ なじみの茶屋から
1枚のさし紙が届いた。

さし紙とは 遊び客の指名である>

(小紫)ご老中様!?

太夫 あんた 押しも押されもしない
日の本一の太夫におなりなすった。

おめでとう。

さあ 行列の共ぞろえだよ。
小紫 いいね。 粗相のないようにな。

あい。

姐さん よかった… よかった。

老中…。

松平左近将監が…。

♬~

父上 とうとう この日が…。

(すすり泣き)

この日が… やって参りました。

♬~

…ということなんです。
榊原先生 よろしくお願いします。

任せろ。 若旦那

しゃっきり働けよ。
本当に ここで働くんですか?

当たり前だろう。
改心しましたってとこ見せなきゃあ

勘当なんて解けねえぞ。
俺たちには お役目があるからな。

捕り物か?
吉原で。

吉原?
はい。

それがですね ご老中様が
松葉屋の櫻木太夫のところへ

お上がりになるらしく…。
(筧)おい。

(伊織)老中が?
与ノ介 余計なこと言ってねえで働け!

では 先生。 子吉。
(子吉)頑張れよ。

老中が…。

櫻木太夫 お練り~!

よっ! 櫻木太夫!
(ざわめき)

日の本一!

よっ 日の本一!
櫻木太夫!

よっ!
日の本一!

櫻木太夫!

日の本一!

よっ!
日の本一!

櫻木太夫!

よっ 待ってました!

よっ 日の本一!
櫻木太夫!

♬~

太夫はもう 松葉屋を出た頃合いかと。

♬~

♬「春雨に しっぽり」

ああっ!
どうした。

太夫… ハア ハア…。

太夫… ハア…。
(せきこみ)

♬~

ご老中様。

これなるが
大籬松葉屋の櫻木太夫にございます。

世にも まれなる美しさじゃ。

(どよめき)
旦那!

♬~

(悲鳴)

♬~

お手をお離しを!
お離しください!

あっ…。

この女が里井の一人娘 光恵か。
はっ。

何たることを! 成敗いたす!
待て!

越前。

この女は こちらで吟味いたす。 よいな。

めっそうもない。
この吉原は 町奉行の預かるところ。

櫻木太夫は 我らにてお裁き申す。
何?

左近将監様 自ら裁き下す相手は
黒崎監物殿。

黒崎殿こそ 獅子心中の虫。

里井主膳をたばかり
切腹に追い込んだ張本人。

何を言われる!

もう一つ 黒崎殿と大和屋との
入れ札を巡っての悪だくみ

既に北で調べはついておる。

左近将監様
大和屋が全て白状しております。

これが その証拠。

黒崎。

めっそうもないことでございます。
それがし…。

あっ あっ…。

越前 あとは頼む。

光恵とやら 主膳のこと 相済まぬ。

(伊生)連れていけ。
はっ!

父上~!

♬~

(泣き声)

♬~

(太鼓の音)

大岡越前守様 ご出座~!

(太鼓の音)

面を上げよ。

吉原 松葉屋の遊女 櫻木こと

松平家元筆頭家老 里井主膳の娘
光恵であるな。

はい。

ここに お前の父の遺書がある。

これには 木津川決壊の責めを負わされた
無念が書き連ねてある。

「お家に味方一人もこれなく
人の世は苦界と まさに察し候。

なれど 何人をも恨むなかれ。
父は破れ…」。

(里井)「父は破れ 死ぬれども
こはひとえに おのが弱さによるのみ。

誰をも決して恨むことなかれ」。

♬~

父は
死ぬまで武士であろうといたしました。

私は女ですが
父の子として どうしても許せなく…。

遊女に身を落としてまで
仇を討とうとしたか。

残された母のため
ちりぢりになる郎党のため

遊女として身を売りはしましたが

武家の娘であることを
忘れたことはございません。

どこで生きようとも 人の道は 苦界。

ですが その苦界の中で…。

月嶋左内と出会ったか。

左内様は 私の気持ちを分かってくれた
ただ一人のお方です。

あの方は 私に成り代わり
仇を討ってくれたのでございます。

ですから あの方に罪はございません!
控えよ。

ここは 白洲である。

光恵
その方 月嶋左内を看取る気はないか。

えっ?

月嶋左内は 3人あやめておる。

その罪は 裁かなくてはならぬが
今は余命いくばくもない労咳の身の上。

自らの死によって 左内は
その罪を遠くない時期に償うことになる。

事の善悪ではなく 罪人であるかどうかを
裁くのが この白洲。

それが奉行の務め。

よって左内は 罪人ではあるが
養生所に とどめおくこととする。

その左内を看取ることが お前の罰となる。

ですが… 私は ご老中様を…!

懐剣を手にしただけでは
罪にはならんのだよ。

お奉行様…。

ありがとうございます。

(すすり泣き)

♬~

<この後 光恵は 左内を最後まで看取ったという>

越前。 こたびのこと 大儀であった。

黒崎監物 切腹申しつけられた由。

では。

そうかい。 勘当を許されたのか。
よかったじゃないか。

それが それどころじゃねえんですよ。
え~?

何だ 何かあるのか?

実は この若旦那はな
松葉屋の小紫を身請けして…。

祝言挙げることになったんですよ。

(一同)え~!
本当ですかい 若旦那。

へへへへへへッ おしん。

(一同)お~!

しんでごぜえます。
よろしくお願えします。

こいつは驚いた。
本当だぜ。

めったにないぜ そんなこと。

あ~あ おいらも
お花ちゃんと そのうち…。

おめえ 俺を差し置いて
何言ってんでえ。

とにもかくにも
これも皆さんのおかげですから。

祝言の時には 是非!
豪勢にいこうじゃねえか 若旦那。

よっ ご両人!
頼むよ。

(与ノ介)お任せください。
(一同)お~!

さあさあ さあさあ ご両人が通るよ
はい どいた どいた。

(拍手と歓声)

ふがいなき己を始末すると
あの男は言ったのだ。

ふがいなき己と。

人として生きる時
誰しも そんな思いに駆られる時がある。

ふがいなき己に じだんだ踏み
忸怩たる思いで酒を食らい

そんな己に折り合いをつけて
人は生きていく。

この 私もな。

はい。

だが… あの男は

私と うり二つ 合わせ鏡のようであった
あの左内という男は…。

さだめとはいえ
人の生涯とは さまざまなもの。

人の一生 夢まぼろし…。

ふと 思い浮かびました。

だからこそ 今を懸命に生きねば。

なっ。
はい。

あら。 フフッ。

(お花)若様 こっちです こっちです。
フフフッ 早く。

鬼さん こちら。
手の鳴る方へ。

(笑い声)
(お花)花を捕まえてください。

♬~

(笑い声)

<人の世とは苦界であり
その一生は 夢まぼろし。

たとえ そうであったとしても

今この時に 集う大岡家の人たちの
笑顔いとおしい忠相であった>

♬~