[新]科捜研の女 2022 初回2時間SP #1[解][字]…のネタバレ解析まとめ

出典:EPGの番組情報

[新]科捜研の女 2022 初回2時間SP #1[解][字]

沢口靖子主演、科学捜査ミステリーの最高峰が大胆に生まれ変わる!新たに小池徹平が加わった科捜研の前に、最強の敵・石黒賢が立ちはだかる…人体自然発火の衝撃真相とは!?

◇番組内容
公園で起きた人体自然発火事件…被害者は、新たに科捜研に配属された君嶋直樹(小池徹平)の元上司・奥崎であることが判明。奥崎の研究室に在籍していた天才物理学者の古久沢(石黒賢)は、電磁波による自然発火の研究をしていた。やがて古久沢と奥崎の間に研究をめぐる確執があったことを知ったマリコ(沢口靖子)と土門(内藤剛志)は、古久沢に任意の事情聴取を申し出る。その矢先、マリコの目の前で新たな事件が起きて…!?
◇出演者
沢口靖子、内藤剛志、小池徹平、若村麻由美、風間トオル、金田明夫、斉藤暁、西田健、山本ひかる、石井一彰
【ゲスト】石黒賢、正名僕蔵、高田里穂、水橋研二、小宮孝泰 ほか
◇脚本
櫻井武晴
◇監督
兼﨑涼介
◇音楽
川井憲次
◇主題歌
坂口有望『サイレント』(ソニー・ミュージックレーベルズ)
◇スタッフ
【ゼネラルプロデューサー】関拓也(テレビ朝日)
【プロデューサー】藤崎絵三(テレビ朝日)、中尾亜由子(東映)、谷中寿成(東映)
◇おしらせ
☆番組HP
 https://www.tv-asahi.co.jp/kasouken2022/
☆Twitter
 https://twitter.com/kasouken_women
☆TikTok
 https://www.tiktok.com/@kasouken.tvasahi

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)

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  1. 君嶋
  2. 才川先生
  3. 亜美
  4. 奥崎
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  6. 蒲原
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  18. 先生
  19. 古久沢先生
  20. 日野

解析用ソース(見逃した方はネタバレ注意)

   ごあんない

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すごい分析力!
いや もう すごいんです…。

♬~

♬~

(人々の悲鳴)

♬~

♬~

広々として
鑑定が はかどりそうですね。

新しいソフトも
入れてもらえたし

最高です!

(榊 マリコ)引っ越しも
あと少しで終われそうですね。

(宇佐見)そうですね。

(亜美)こっちも
あと もう少しです。

(宇佐見)あっ!
これ… 呂太くんのだ。

ああ…!

呂太くん
今頃は 文科省で研修ですね。

(宇佐見)いえ。

もう どこかの小中学校に
派遣されてるはずですよ。

確か 文科省の科学教育官。
そう。

全国の小中学校に派遣される
科学者。

教師と一緒に
魅力ある科学の授業を作る仕事よ。

子供の理科離れを防ぐための
制度ですね。

でも まさか あの呂太くんが
学校の先生になるなんて…。

うん。 小学校時代の恩師に
推薦されたって言ってたけど…。

でも なんか
呂太くんに合ってる気がする。

(ドアの開く音)
(蒲原勇樹)失礼します。

市内の守栖野中央公園で
焼死体です。

焼死体って
焼け死んだって事?

えっ? あの公園に
燃えるようなもの あったかな?

周りに 火器や火の気は
全くなかったそうです。

火の気のない公園で 焼死体…。

♬~

(蒲原)お疲れさまです。
お疲れさまです。

(蒲原)こちらです。

(カメラのシャッター音)

♬~

(土門 薫)わかりました。
引き続きお願いします。

♬~

電話をしたあと あのベンチに座り
突然 燃えだした。

それが 多くの目撃証言だ。

♬~

ホトケさんが電話してたものだ。
火が出たかどうか 調べてくれ。

でも このスマホ
ほとんど損傷ないですよ。

だとすると 多分 火元は
このスマホじゃないですね。

そうか。
だが 電源が入らなかった。

持ち主を知りたい。

じゃあ ご遺体の身元は?

わからん。
所持品が燃えちまってる。

じゃあ これは 今日
うちに新しく来る物理研究員に

鑑定してもらいます。

マリコさん ご遺体の検視を…。

皮膚の断裂 水疱 かさぶたの形成。

焼死体特有の所見ね。

だけど ほとんど
こすれた様子がないって事は

この男性 あまり動いてない。

目撃者によると
座ったまま燃えたらしい。

(亜美)えっ? 普通
体に火がついたら暴れません?

それが 微動だにせず
燃え続けたらしい。

(亜美)そんな事って あります?

なのに ご遺体が ベンチから
落ちてるのは どうして?

駆けつけた人が
火を消そうとしたからだ。

そう…。

洛北医大へ搬送して。
私も解剖に立ち会う。

わかった。

とにかく
遺体の身元を割り出すのが先決だ。

♬~

(君嶋直樹)奥崎センター長…!?

ご遺体が誰か
知ってるんですか?

(君嶋)奥崎センター長です
京都環生研の…。

京都環生研って
京都環境生態研究センター?

あの…
部外者は立ち入り禁止です。

(君嶋)あっ でも…

これを見せたら 入れました。

あっ うちの身分証!

本日付で 京都環生研から
京都府警科捜研に採用になった

君嶋直樹です。

♬~

(蒲原)遺体が こちらの奥崎さんと
わかったため

彼のスマホの記録を
通信事業者に照会しました。

結果 彼が死亡前 通話していた
最後の記録が

この電話でした。

よって ここから採取した指紋と
皆さんの指紋を

照合させてもらいます。

えーっと…。

由井先生の専門は 生物学。

(蒲原)古久沢先生は 物理学。

(蒲原)才川先生が…。
(才川隆文)機械工学。

(蒲原)で 設楽先生が…。
(設楽 勉)はい。

(蒲原)電子工学。
(設楽)はい。

(蒲原)
この研究室に出入りできるのは

4人だけですか?
(由井沙織)今はね。

でも 先月までは

パートタイマーの研究者が
いっぱいいたのよ。

(才川)みんな 奥崎センター長に
クビにされたよ。

この研究室
閉鎖になるそうですね。

それを決めたのも奥崎センター長。

人事と財務 握って
相当ワンマンだったからねえ。

つまり 皆さんは
奥崎さんと確執があった。

文句は言ったわ。

だって せっかくの研究が
中断されちゃう。

っていうか
なかった事にされちゃう。

で 我々は一気に失業者です。
(舌を鳴らす音)

才川先生はいいじゃないですか
母校の研究室に戻れるんだから。

あんな大学…。

設楽先生こそ
企業に就職 決めましたよね。

それも 奥崎センター長の紹介で。

(設楽)
勝手に決められたんですよ!

行きたかったところじゃ
ありません。

古久沢先生はいいですよね~
海外の有名大学に呼ばれて。

(古久沢 明)で 君嶋先生は
京都府警の科捜研に採用された。

(蒲原)ええ。

じゃあ マジの失業者は 私だけ?

(古久沢)
そのようですね 由井先生。

刑事さん あなた方の仲間になった
君嶋先生の

指紋も採ったらどうかな?

えっ?

彼が まだ
ここの鍵を持っていたら

我々と同様
自由に出入りできたはずだ。

その鍵なら とっくに返したと
君嶋くんは言ってます。

とにかく 君嶋研究員には
鑑定を外れてもらう。

(藤倉の声)死亡者の関係者に
鑑定させるわけにはいかない。

(佐伯志信)そんな…。

科捜研に入ったばかりで
干す事はないだろう!

あの… 事件が発生した時間

君嶋くんは 私と一緒に
昼ご飯を食べてました。

(藤倉)ええ。
それも 事件現場の近くで。

(日野)これが殺人事件なら
君嶋くんに犯行は不可能です!

それは 捜査や鑑定で
証明すべき事であり

今 ここで断言できる事じゃない。

(佐伯)よーし! じゃあね…

捜査や鑑定で

君嶋くんに犯行は無理だと
証明されたら

オーケーにしよう。

うん! これがいい。
わかったな?

(風丘早月)
では 開いてみましょうね。

気管や気管支に
すすがありませんね。

(早月)つまり
火がついて短時間で死亡した。

熱傷によるショック死の
可能性が高い。

だから 火がついたのに
微動だにしなかった…。

うーん…。

(日野)問題は
なぜ 火がついたかだけど…。

時限式や通信式の発火物とか
出なかった?

いえ。 解剖では
その手の異物は出ませんでした。

奥崎さんのスマホにも
その手の仕掛けはなかったです。

スマホデータは
全部消えちゃってましたけど。

現場からも その手の発火物は
見つかってないかな?

なかったですけど… なんですか?
時限式とか通信式とか。

(ため息)

君嶋くんには犯行は無理って
証明しないと。

(亜美)そういえば
君嶋さん まだ来てませんね。

もう 科捜研初日に
監察官聴取なんて…。

あっ そういう事。

あっ 燃えた人の着衣からは
なんか出た?

えー… 特には。

あっ 奥崎さんが着ていた

スーツもワイシャツもネクタイも

比較的燃えやすい化繊でしたが
火がついた原因ではありません。

火がつくような物質も
出なかった?

(蒲原)火がつく物質?

例えば 服に塗っとけば
時間差で火がつくような薬品とか。

いえ 出ていません。

みんな 今のとこまで
鑑定書にしといて。

藤倉刑事部長のとこに行って
君嶋くんの身柄を返してもらう。

大変だな…。

奥崎さんが焼死した公園に
防犯カメラは?

(亜美)いくつかありましたが

燃えた場所を映したカメラは
ありませんでした。

ただ…。

(操作音)
(キーを打つ音)

「(人々の悲鳴)」

(蒲原)これは?

近くにいた人が撮った映像だよ。

SNSに流れました。
すぐに削除されましたが…。

どうやったら
こんなふうに人間が燃えるの?

(君嶋)そうですね…。

俗に言う
人体自然発火現象のように

見えます。

例えば 1964年 アメリカ。

ある女性が自宅で突然発火し

ひざから下を残して炭化しました。

燃えたのは彼女だけで
周囲は燃えなかった。

きっと こんなふうに…。

出火原因は不明。

よって 人体自然発火現象と
いわれています。

(宇佐見)あの どなたで…?

(キーを打つ音)

これまで 世界中で
何例か報告されている現象ですね。

世界中で200例以上は…。

そのほとんどが
火のついた原因が不明です。

で えっと…
法医研究員の方は?

はい。 榊マリコです。
榊先生。

奥崎センター長の血液は
調べました?

はい。 なぜです?

人体自然発火現象と
呼ばれるものの多くは

燃えた人が 燃えながらも
動かなかったという

証言が多いんです。
今回もそうでした。

過去の例では

被害者が アルコールや睡眠薬や
体の障がいによって

動けなかった場合が
多いんですが…。

いえ。 彼の血中から
アルコールや薬物は出てません。

解剖の結果
身体的な異常もありませんでした。

(宇佐見)あっ マリコさん
部外者に鑑定結果を教えるのは…。

あっ 申し遅れました!
物理研究員の君嶋直樹です。

そっか! 宇佐見さん 初対面。

今日から よろしくお願いします
宇佐見さん。

よろしく。 化学担当の宇佐見です。

あれ? でも
今 鑑定できないはずじゃ…?

ええ。

でも 新しい職場を見るくらいは
いいって言われて…。

へえ~ 科捜研って
こんな感じなんですね。

(操作音)

おおっ!
あっ ありがとうございます。

人体自然発火現象?

それじゃ
捜査本部は立たないよね。

とりあえず 今は 所轄捜査員が

奥崎さんにクビにされた
パートタイマー研究員から

捜査をしている。

本部で捜査してるのは
今 機動捜査隊と捜査一課?

うん。 一課からは
俺と蒲原だけだがな。

で… 今から 彼に聴取しに行く。

「古久沢明」 物理学者…。

奥崎さんと最後に通話した
京都環生研の電話に

彼の指紋があった。

それ 私も一緒に行っていい?

えっ? …言うと思った。

(古久沢)ここにいたら
この電話を使う事もある。

採取されたのは
あなたの指紋だけでした。

清掃員が
毎日 拭いてるだろうからね。

つまり あなたは
今日 その電話を使った。

使ってない。

じゃあ
なぜ 指紋があったんです?

使わなくても
触れてしまう事ぐらいある。

想像力がないのか?

この電話の通信記録を
調べました。

結果 奥崎さんのスマホに
電話していました。

(古久沢)私は してない。

私が そんな犯罪をするなら
手袋ぐらいしてから 電話を使う。

犯罪…。

科捜研の榊です。

今回の事件が犯罪だとしたら

手を触れずに
人体を発火させる事は

可能でしょうか?
(古久沢)手を触れずに発火?

例えば 古久沢先生のご専門である
物理学で…。

科捜研に行った君嶋先生にでも
聞いたらどうかな?

彼も物理学者だ。

はい 聞いてみます。
で 先生のご意見は?

物理学を使って発火…。

まあ できるだろうねえ。

興味深いですね。
具体的に どんな方法で…?

(古久沢)その方法を見つけるのは
君ら科捜研の仕事だろう。

見つけてから 聞きに来なさい。

その方法が可能かどうかの
検証なら

付き合ってやってもいい。

ただし
私は まもなく海外に行く予定だ。

私の力が必要なら
急いだほうがいい。

先生… この研究室は
奥崎さんが潰したとか。

最近は なかなか
研究成果が出なかったからね。

目先の成果を欲しがる あの男には
我慢ならなかったんだろう。

つまり ここの人間は
彼と確執があった。

いや 怨恨があったと
言ってもいい。

怨恨? ちょっと違うな。

私にとっては軽蔑だ。

軽蔑?

我々は 未来の人類のために
研究をしている。

その理論でいえば

奥崎センター長は
未来の人類にとって害悪だった。

排除されて当然の人間だ。

排除されて当然?

そうだ。

人類の明るい未来のためにね。

♬~

軽蔑…。

そう言ってました。

僕も軽蔑していたかもしれません
奥崎さんを。

その軽蔑は 殺意になりますか?

わかりません。

でも それが知りたくて

僕は 科捜研に来たんだと
思います。

えっ?

人の心の闇を
科学で解明したくて…。

(君嶋)…って 本当は

研究室の閉鎖が決まって
無職になりそうだったから

たまたま募集があった科捜研に
飛びついただけなんですけどね。

(日野)あっ いたいた。 君嶋くん!

君嶋くん オーケーだって。

科捜研の仕事していいって!

アッハッハッハッハッ…!

あっ…。

あっ まいど!

解剖鑑定書を
持ってきてくださいました。

(日野)いつもいつも すみません。
ありがとうございます。

(亜美)アンド
おやつも持ってきてくれました。

(宇佐見)
ああ じゃあ お茶入れますね。

(君嶋)あっ いつも
鑑定書とおやつを持ってくる人。

はあ?
(君嶋)という事は

いつも率先して
鑑定を手伝ってくれるという

洛北医大の風丘先生ですね。
榊さんに聞いてます。

マリコさん
勝手に 先走った紹介しないでよ。

はじめまして。
物理研究員の君嶋です。

ああ あなたが じゃあ
今日から科捜研に来たという…。

そんな事より 風丘先生…。
「そんな事より」って!

ここに 呼吸筋および心臓麻痺の
可能性が指摘されてますけど…。

うん。

熱傷によるショック死だったら
矛盾のない所見だと思うけど?

熱傷によるショック死…。
(早月)だから 火がついたのに

ベンチから動かなかったんじゃ
ないかなと思って。

火がついた原因は…。

(宇佐見)ああ…
まだわかっていません。

風丘先生 PATMの可能性は?

(日野)PATM?

確か 皮膚から
特定の物質が分泌される症例。

それで 周囲の人が
アレルギー反応を起こして

発覚するケースが多いみたい。
(亜美)そんなのがあるんだ。

確か トルエン エチルベンゼン
キシレンといった

石油化学物質を分泌する事が
多いみたいだ。

トルエン エチルベンゼン
キシレン…。

全て揮発性があり
引火しやすい物質。

(君嶋)僕は PATMも

もしかしたら 人体自然発火現象に
関係してるかもしれないと

思っています。

例えば… 2013年 インド。

生後3カ月の子供が

人体自然発火現象を
4回も起こしました。

検査の結果

皮膚の毛穴から 可燃性のガスが
放出されていました。

その赤ちゃんがPATMだったか
どうかは不明ですが

奥崎センター長も
同じような体質だったとしたら…。

だとしたら 風丘先生…。
嫌な予感。

ご遺体がPATMだったかどうか
調べられませんか?

やっぱり…。

鑑定するとしたら
毛髪鑑定と尿検査かな。

わかりました。
毛髪鑑定は 私がやります。

尿検査は?

私がやるのか…。

あと 奥崎さんの
洗濯していない肌着などがあれば。

そうですね。 皮膚からの分泌物が
採取できるかも。

じゃあ 私は
焼死した時の映像を分析して

どこから火がついたか
調べてみます。

じゃあ みんな
それぞれの鑑定をお願いします。

(宇佐見・亜美)はい。
(早月)はいはい~。

先生 こちらです。
はいはい~。

はいはい~ はい はいはいはい~。

すごい チームワークいいですね
この研究所。

(日野)そうだよ。

みんな 勝手に鑑定してるんだよ。

捜査員から頼まれもしないのに…。

早月先生まで巻き込んで
勝手に予算を使って…。

ああ いい加減にしてほしい!

マリコくん これ 忘れ物!

(舌打ち)

(ため息)

♬~

♬~

♬~

(亜美)
彼が燃えている映像はあっても

燃え始めた映像がなくって…。

どこから火がついたかは
わかりませんでした。

ああ 彼のご家族から
洗濯前のシャツを預かり

調べましたが…

可燃性の物質は出ませんでした。

彼の毛髪も尿も異常なしでした。

(宇佐見)だとすると

彼がPATMの可能性は
ないですね。

すみません。 僕が勝手な可能性を
でっち上げたせいで。

いいさ。 可能性を出し合うのも
僕らの仕事だ。

でも だとすると
どうして火がついたんだろう?

目撃証言では 奥崎センター長は

電話したあと ベンチに座って
燃えたんですよね?

その間 奥崎さんに近づいた人は
いなかったそうです。

この人体発火に
もし 犯人がいたとしたら…。

じゃあ 近づかずに 手も触れずに
火をつけたって事ですか?

まさか。
エスパーじゃあるまいし。

(君嶋)パイロキネシス。
(蒲原)パイロキネシス?

火を発生させる超能力です。

(亜美)まさか
犯人はエスパーだとでも?

例えば 1886年 アメリカ。

カリフォルニア州に住む少年が

見つめたものが
なんでも自然発火するとして

新聞に載った事があります。

(日野)ちょちょ… ちょっと。

科捜研で超能力の話 始めたら
おしまいだよ。 ねっ?

エスパーか…。

っていうか 君嶋さん

人体自然発火現象に
詳しいですよね。

いろんな実例 知ってて。

ああ 全部
由井先生の受け売りです。

私はね 信じてるのよ
人体自然発火現象。

(由井)科学的に
まだ解明されてないからこそ

それに関するDNAが
見つかったら

素晴らしいと思わない?

先生のご研究で
そういったDNAが

人体から見つかった例は
あるんでしょうか?

ううん。 だから これ。

由井先生は いつも

集じん装置を改造して作った
この機械で

空気を採取しているんです。
環境DNAを集めてるの。

環境DNAって
水や土や空気に存在するDNA。

そう。 それを調べれば

その環境に どんな生物がいるか
わかるのよ。

(君嶋)由井先生のご専門ですね。

生物学の環境DNA
物理学のネットワーク科学

機械工学の探査システムを使い

自然界における
生物の多様性を探る。

それが 僕たちのいた研究室の
メインテーマでした。

榊さん?

由井先生!

(由井)この世の生物は
常にDNAを放出してる。

だから たとえ
人体から見つからなくても

この無限に広がる空の下なら
見つかるかもしれないじゃない?

そうですよね…。

人体から そんなDNA
見つかってないですよね…。

やだ。
ワクワクする話 してるのに

そんな顔しないの。

ワクワクはいいですけど 由井先生
再就職 決まったんですか?

ワクワクしてて考えてなかった。
相変わらずですね。

由井先生は DNAで

人体自然発火現象は起きると
お考えなんですよね?

ワクワクする
可能性の一つとしてね。

その可能性を
本人ではない第三者が

意図的に起こす事は
できると思いますか?

うーん…
野外での自然発火を考えるなら

真っ先に検証すべきは
きっと 雷ね。

雷?

現に 山火事の原因にも
なってるでしょ?

雷で山火事…。

(由井)あっ そうだ。

その手の事なら
古久沢先生に聞いたらどうかしら。

だって 去年
確か そんな研究してたはず。

ああ… 電磁波による
自然発火の研究ですか?

電磁波による自然発火?
ええ。

実際に そういう火災が起きて

それで 古久沢先生が
消防に頼まれて

原因を究明したんです。

(蒲原)該当する
火災事故がありました。

大阪府泉佐野市の工場で起きた
火災です。

火の気のない
地下の工場で出火したため

消防が古久沢先生に
原因の解明を依頼したようです。

結果 工場内の防音壁が

機材や電線が発生させた電磁波を
乱反射させ

それが偶然重なり合ったポイントに
高熱が発生し

発火した事が判明しました。

ええ。 つまり 電子レンジみたいに
なってたんです。

そう。 その古久沢さんの
調査結果によって

この泉佐野市の工場は
閉鎖されました。

その調査過程で 先生は

電磁波を照射する装置を
作ったそうですね。

(古久沢)
電磁波発火の実証のためにね。

つまり あなたは

電磁波で発火させる装置を
持っている。

まさか 君らは 私が…。

(鑑識員)土門刑事
裏の倉庫にありました。

これが
電磁波を物体に照射する装置…。

(古久沢)まさか 君らは

私が それを使って
奥崎センター長を燃やしたと?

…かどうか 鑑定させてください。
それは強制かな?

任意ですよ。
任意ですが 断れば

断らなければならなかった
理由があったと

警察は見なします。

まるで脅迫だな。

まあ もう使っていない装置だ。
勝手に持っていくといい。

ご協力感謝します。
任意提出書を あとで渡します。

頭が悪いのか?

そんな高圧作業用の手袋
いらんだろ。

電源に繋いでるわけじゃ
ないんだから。

(鑑識員)一応 念のためです。

♬~

古久沢さん あの装置と一緒に

京都府警まで来てもらえますか?
は?

あの装置の事で
聞きたい事もありますし。

任意なら断る。

先生。
今度は断る理由がある。

渡米するまで時間がないんだ。
準備に忙しい。

お時間は取らせません。

科捜研の先生だったかな?
はい 科捜研の榊です。

今の時期は季節柄
野外の湿度が高い。

はい。

奥崎センター長が焼け死んだ時は
雨上がりだったから

特に湿度が高かったはずだ。
そう思います。

(古久沢)そんな自然環境下で
人体を燃やすためには

私の装置には どの程度の
エネルギーが必要かな?

それは 当日の状況を
計算してからでないと。

(古久沢)なんだ
まだしてなかったのか。

それをしてから

装置を鑑定するかどうかを
決めるべきだろう。

すみません。

捜査の手順は
警察に任せてください。

その手順では
時間がかかりそうな事がわかった。

よって 任意による
長時間の取り調べは お断りだ。

では また来ます。

山火事。

由井先生に そんな話を聞いて

電磁波で発火なんて仮説を
思いついたとか言ったね。

はい。

だが 山火事は本来

健全な森林を作るための
リセットボタンだ。

は?

山火事のおかげで
新たな植物が成長し

健全な森林を作っていく。

もしかしたら 奥崎の焼死も

健全な未来を作るための
山火事だったのかもしれないね。

何?

山火事は 長時間 燃え続けて
森林にすむ生物を焼き尽くし

森林も 生物の未来も
破滅させるものです。

山火事が
長時間 燃えるようになったのは

気候変動で草木が乾燥し
土壌の保水力が落ちたせいだ。

だが それさえも きっと
科学の力で乗り越えられる。

その気候変動を起こしたのも
きっと 科学の力です。

♬~

どう?
ああ…。

当日の現場の湿度
および その他の気象状況です。

(日野)同じものを
君嶋くんにも渡してある。

この湿度だと

強い電磁波をピンポイントで
長時間 当てない限り

燃やすのは不可能ですね。

つまり 可能かどうかは
君嶋さんの鑑定次第。

♬~

(藤倉の声)君嶋研究員の鑑定を
許可した?

(佐伯)ああ しましたよ。

だって 彼に殺害は無理だって
科捜研が証明してくれたんだから。

君も読んだでしょ その鑑定書。

それは 私も確認しました。

しかし 今回は 事件関係者が

最近まで
彼の同僚だった人物ばかりです。

よって そういう人間に有利な
鑑定になってしまう事もあります。

だからこそ 関係者による鑑定は
避けるべきです。

ああ…。

ああ そういうの やめようよ
仲間を疑うのは。

私 嫌いなんだ そういうの。

(ため息)

えっ…。 つまり これで
人体を発火させる事は不可能。

はい できません。

宇佐見さんが計算してくれた
この条件で人体を発火させるには

あの装置では
電圧も電流も足りません。

その電磁波をピンポイントで
人体に照射し

時間をかけても不可能ですか?

それは あり得んな。

彼は 電話をしながら歩いていて

あのベンチに座った途端に
燃え上がったんだ。

それが多くの目撃証言だ。

じゃあ ベンチに座ってから

あの装置で
電磁波を照射する時間はなかった。

むしろ 歩いてる時に照射した
可能性はないか?

無理だと思う。
動いている人間を

ピンポイントで狙えるような
装置じゃない。

だが あの大きさなら
車に載せられるはずだが。

車に載せても
歩く人を狙い続けるのは無理よ。

…ああ。

事件があった時に
現場近くで 不審なワゴン車が

目撃されていた事が
わかったんだが…。

あの装置は 車のバッテリーに
繋いだぐらいじゃ

電力が足りなくて使えないはず。

そんなに電気を食う機械なのか。

そうね…。

あれ?
えっ?

じゃあ 古久沢先生は
あの装置を使う時

電力は どうしてたんだろう?

あの装置を使う時は
蓄電池を繋ぐ。

蓄電池?

リチウムイオン電池程度の
重量エネルギー密度では

あの装置は動かせないはずです。

ガソリン並みの
重量エネルギー密度を持つ電池だ。

そんな電池 あり得ません。
それが あり得るんですよ。

えっ?

私たちが開発した蓄電池です。

(マウスのクリック音)

まさか…。

(設楽)まだ性能は不安定ですが
もう少し開発を続ければ

エネルギー界に
革命を起こせるかもしれません。

(古久沢)…というわけだ。
話が終わったら帰ってくれ。

あの… その電池は
どれぐらいの大きさですか?

私の装置と変わらない。
すごい技術だ。

ほう… だったら
あなたの装置と一緒に車に載せて

事件があった公園まで運べますね。

疲れるな…。
あの装置 鑑定したんだろ?

はい。
(古久沢)なら わかったはずだ。

当日の自然環境下で

人体発火を起こす事は
可能だったか?

不可能という結果が出ました。

だが ピンポイントで
長時間 狙い続ければ あるいは。

あの装置で
それができると思うか?

例えば 車に載せれば
できるかもしれない…。

榊さん!

私は 科学者としての
あなたの意見を聞いている。

あの装置で 歩く人物を
ピンポイントで狙い続けるのは

不可能だと思います。

つまり 君は

科学的裏付けを何一つ持たずに
ここに来たという事になる。

私に科学ではなく
くだらない会話をぶつけ

私が 何か ボロを出すのを
狙っていたのかね?

榊さん あなたは醜い。

科学者として醜悪だ。

(由井)古久沢先生
そこまで言わなくても。

科捜研の実力が この程度とは。

君嶋先生も くだらない組織に
入ってしまったものだ。

♬~

京都環生研が所有してる車は
これで全部ですか?

(事務員)…と思います。

ちょっと待ってくださいね。
確認します。

何する気?

ここの車は もちろん
古久沢個人の車も調べる。

調べるって 何を?

車に
あの装置を積んだ痕跡があれば

そこから
古久沢を落とせるかもしれない。

古久沢先生を疑ってるのね。

わかってる。

まだ殺人事件と
断定されたわけじゃない。

事故の可能性のほうが高い。

だが俺は 殺人捜査をしている。

つまり それほど
古久沢先生が引っかかる。

奥崎さんと最後に通話した
京都環生研の あの電話。

あれに 古久沢の指紋があった。

さらに 古久沢は
奥崎さんに怨恨がある。

どうしても気になる。 当然だろ。

あの…

この1台以外は
全てありました。

これは…。
どうしたの?

奥崎さんが死亡した公園で
目撃された車。

この車両 今 どこにありますか?
えっ? あっ えっと…

借りたのは…

才川先生ですね。
才川…。

私たちが開発した蓄電池です。

えっ!?

才川先生の携帯は?
繋がりません。

運転中だからかもしれませんが。
Nシステムは?

(亜美)京都環生研からの道を
複数調べたけど

一つもヒットしない。
こんなの あり得ない。

Nシステムをよけて走ってる
って事だね。

亜美ちゃん
車体認証システムを使って。

はい。

(キーボードを打つ音)

♬~

君嶋さん どこ行ってたんです?
(君嶋)ええ ちょっと。

悪いね
来たばかりで残業になって。

そう思って
妻に連絡しときました。

奥さん いるんですか?

いますけど。

結婚してないみたいな顔
してたのに。

そんな顔してました?

亜美ちゃん いいから 早く。
あっ… はい。

♬~

古久沢は 自宅に戻ってきました。

つまり 今
ワゴン車を運転しているのは

古久沢じゃありません。

で あの電磁波の装置は?

科捜研にある。
たとえ凶器だとしても

今は これを使った犯罪は
起こせない。

とにかく 車を捜さないと。

車を調べれば この装置を

載せていたかどうかが
わかるはず。

じゃ ワゴン車を見つけたら
また電話する。

(携帯電話の着信音)

どうかした?

ああ いえ 妻からです。
子供が寝たって。

(亜美)えっ!?

子供いるんですか?

(君嶋)ええ。 娘が。

子供いないみたいな顔してたのに。
(君嶋)そんな顔してました?

亜美ちゃん いいから 早く。
あっ… はい。

(携帯電話の着信音)
また奥さん?

あっ いえ… 由井先生です。

今 京都府警の受付にいるって。

由井先生!

(由井)どうしよう!

才川先生が
おかしくなっちゃった!

(君嶋)えっ?
才川先生がどうしたんです?

ああ… どっから説明すればいい?

才川先生
うちの研究室が閉鎖されて

母校に戻る事になったでしょ?

(君嶋)ええ
二条院大学の研究室に戻るって。

でも 先生は その研究室が嫌で
うちに来たのよ。

ああ そうでしたね。

だから 大学戻るの
嫌だったみたい。

まあ…
でも どっかに就職しないと。

うちの研究室 急に閉鎖されたから
就職先が見つかっただけでも…。

そう! だから
急に研究室の閉鎖を決めた

奥崎センター長と
もう すっごくもめてたでしょ。

でも うちの研究室の人間は

僕を含めて全員が
奥崎センター長と もめましたよ。

あの… 才川先生が
変になったというのは?

そう それ。
あなたたちが帰ったあと…。

私と土門刑事が 古久沢先生と
話したあとって事ですか?

そう! それから もう
様子が変になっちゃって。

様子が変って
具体的に才川先生は どう…?

もう 異様だったわ。

もしかしたら 死んじゃうかも!
死んじゃう?

(君嶋)由井先生は 結構
突拍子もない言い方をする人で。

何言ってるの 君嶋先生。
生物は みんな

細胞由来の遺伝物質を
放出しながら生きてるのよ。

ええ それが環境DNA。

私はね それを研究するうちに

人が発するDNAが
見えるようになったの。

は!?

こういう非科学的な言い方を
する人なんです。

きっと それが オーラとか
言われるものじゃないかって

私は思うんだけど…。

榊先生は どう思う?

由井先生
今日は どうして こちらに?

っていうか 才川先生は
今 どこにいるんです?

だから さっきから

警察の力で才川先生を捜してって
言ってるじゃない!

先生 それ言ったの
今 初めてで…。

すっごいオーラだったのよ
才川先生。

もう すっごく嫌なオーラ!

先生 死んじゃうかもしれない…。

よくわかりませんけど

とにかく 警察は 今
才川先生を捜してます。

安心してください。

(君嶋)才川先生のスマホの
位置情報を調べます。

あっ GPS。
ええ。

まさか 一緒に研究していた同僚を
追う事になるとは

思いませんでしたが…。

♬~

(蒲原)いえ。
古久沢は家を出てません。

♬~

才川先生のスマホの位置が
わかりました。

現在 この範囲にいます。

(亜美)いました!
あのワゴン車です!

(キーを打つ音)

運転手は見えませんが
ナンバーが確認できました。

30分ほど前ね。 どこのカメラ?

塩小路通です。

(キーを打つ音)

塩小路通 ここだ。

蒲原さん 才川先生は 今
塩小路周辺にいる可能性が高い。

うん 私も今から行く。

えっ?
なんで マリコくんが行くの?

現場でワゴン車を見つけたら
すぐに微物を採取しないと。

引き続き 近くのカメラで
車体認証します。

お願い。

君嶋さん
スマホの位置情報が動いたら

すぐに連絡ください。
わかりました。

♬~

土門さん!
才川も車も見つからん。

もう
移動してるんじゃないですか?

いいえ。 才川先生のスマホは まだ
この辺にある。

だとすると…。
こういったビルの中…。

よし。
この時間に入れるビルを捜して

全フロアあたるぞ! 行こう!
(捜査員たち)はい!

君嶋さん!
才川先生のスマホの高度

つまり スマホが 今
どのぐらいの高さにあるか

わかりませんか?
(君嶋)スマホ搭載の

GPSの高度を測るアプリが
あります。

ええ。 それを使えば

スマホの位置情報だけじゃなく
スマホの高度情報も…。

(携帯電話の振動音)
土門だ。

土門さん
君嶋さんから連絡が来た。

才川先生のスマホは 今

地上から20メートル以上の
高さにある。

誤差はあるけど
ビルでいえば7階以上。

わかった。 その高さにあって

今 出入りできるビルは
限られるはずだ。

各捜査員に伝える。

お願い。 私も今から捜す。

♬~

♬~

才川!

才川!

♬~

才川先生!

(呼び出し音)
土門さん 早く出て…。

土門だ。

(風の音)

才川先生!

ああっ…!

榊? どうした? 榊!

「榊!」

ああ~っ!

燃えてる! 才川先生が燃えてる!

♬~

目の前のビル! 屋上!
誰か 早く!

榊 何があった!? 答えろ!

♬~

(蒲原)あの車…!

今 現場の非常階段です。

問題のワゴン車に似た車が
走り去りました!

Nシステムと車体認証で
追ってください!

才川先生!

♬~

まだ 息がある! 救急車!

土門だ。 救急車を頼む。

塩小路通
フランセットビル 屋上だ!

急げ!

(救急隊員)せーの…。

お願いします。

非常階段に
防犯カメラはありません。

入り口が閉まっていたから

俺たちも
非常階段で ここまで来た。

恐らく 才川も…。

じゃあ 才川を映した防犯カメラは
ない…。

いいえ。
私がいた あのビルの屋上

広範囲を映せる広角カメラが
あったと思う。 調べて。

わかった。 行こう。
(蒲原)はい。

亜美くん!

現場から走り去ったワゴン車は?

駄目です。 きっと また
Nシステムを避けて走ってます。

車体認証は?

それも 今のところ まだ…。

あっ…。

(亜美)才川先生のそばに落ちてた

このスマホ。

才川先生のでした。

倒れた時に壊れたのか

データは
全部 消えちゃってましたけど。

そう…。

で 宇佐見くんは?

(亜美)マリコさんが採取した
才川先生の微物を鑑定しています。

じゃあ 君嶋くんは?

(君嶋)榊さん!

ここに運ばれた才川先生を
調べると聞いて…。

はい。 生前検視をします。

生前検視?

ご遺体に対する検視と同様の
体表観察をします。

僕も立ち会わせてください。

(亜美)あった! ありました!

それも 30分前の映像です!

(宇佐見)これじゃ
運転手は わからないね。

でも 運転してるのは
才川さんじゃ あり得ないよね?

ええ…。
でも だとすると 一体 誰が…?

でも ナンバーは わかります。

(キーボードを打つ音)

(亜美)あの車に間違いありません。

このカメラ 場所は?

瀬田山にあるカメラです。

あのカメラだな。

(蒲原)引き続き
車体認証で追ってもらってます。

よし。 車の目撃者および
周辺の民間カメラの捜索。

蒲原 上行こう。
(蒲原)はい。

♬~

熱傷の範囲は
奥崎さんよりは狭い。

♬~

熱傷の深度も奥崎さんより低い。

(君嶋)一体 どうして…。

これって 事件なんですか?

わからない。
でも ただの事故じゃないはず。

問題は 奥崎さんも才川先生も
同じような自然発火でありながら

奥崎さんは死亡し
彼は一命を取り留めた。

そのボーダーラインが
どこにあったのか。 それが…。

(君嶋)僕は

研究室を潰した奥崎センター長を
憎んでました。

だから 罰が当たったんですかね。

奥崎さんは あんな事になり

才川先生まで
こんな事に巻き込んで…。

揚げ句に
古久沢先生まで疑われて…。

君嶋さん それは
あなたのせいではありません。

でも 僕が警察の…

科捜研の仕事を始めてすぐに
こんな事に…。

しかも…。

それまで一緒に働いていた
仲間が…

次々に被害者になって…!

(すすり泣き)

君嶋さん。

今すぐ出ていってください。

ここは無菌室です。

涙で 被験者の体を
汚染させるわけにはいかない。

私は まだ 才川先生の体から

聞かなきゃならない事が
あるんです。

出ていきなさい。

あったぞ! こっちだ!

(蒲原)この車で間違いありません。

生前検視 終了しました。

才川先生は
燃える直前 私に言ったんです。

(風の音)

あれは なんて言ったのか…。

聞けなかった言葉を科学で聞く。

それが
私たちの責任だと思っています。

♬~

強いんですね 榊さんは。

♬~

君嶋さんは 私に言いましたね。

人の心の闇を
科学で解明したくて…。

今が その時ですよ 君嶋さん。

♬~

(日野)おお~!
あっ…!

すごい! 向かいのビルの屋上が
ちゃんと映ってる!

あっ これ あの屋上…。

(君嶋)小さいな…。
広角レンズの映像ですか。

でも 画素数の多い
高性能カメラだったから…。

(亜美)やっぱり! こんなに
きれいに拡大鮮明化できた!

(キーを打つ音)

♬~

(亜美)あっ!

恐ろしい映像ですね。

燃える前から もう一度。

えっ? はい…。

(キーボードを打つ音)

♬~

なんか言ってる。
なんて言ったの?

聞こえませんでした。

私に言ってるんだと
思ってましたが…。

でも 彼の この視線
少し違う気がする。

違うとは?

このビル 私がいたビルより
少し低かったんです。

つまり 私のほうが
才川先生より高い位置にいたはず。

でも 彼の視線
下を向いてませんか?

うーん 微妙だな。 微妙すぎる。

(電話)

(日野)はい 科捜研。

じゃあ 映像分析による
視線解析をしてみますか。

お願い。
彼が何を言ったのかも知りたい。

じゃあ そっちは 読唇術ソフトを
使って解析してみます。

(日野)わかりました。

問題のワゴン車が
こっちに届いた。

今 鑑識が
指紋とゲソ痕を採取してる。

私たちは 微物を採取しましょう。

ええ。
はい!

♬~

♬~

♬~

♬~

車の運転席から採取した微物を
鑑定した結果

鹿革の断片でした。

何に使われていたものかは
不明です。

同じく運転席から
人の毛髪が採取されました。

AB型の男性のものでしたが
DNAに前歴はなく

才川先生のDNAでも
ありませんでした。

じゃあ あの車を運転してたのは
誰なんだ…?

あの… 環生研では 車を借りる時

事務所でサインをしてから
キーを持っていくはずです。

その手の書類に
才川先生のサインがありました。

じゃあ
車を借りたのは才川先生ですね。

でも 一応
サインの筆跡鑑定 お願いします。

わかった。
(君嶋)で その車なんですが

後ろの収納スペースに

重さのある何かを
載せた痕跡がありました。

鑑定の結果
重さは約550キログラムです。

電磁波照射装置
そのぐらいですよね。

ええ。
でも このへこみの形から見て

違うと思います。

そうですか…。

所長 車から採取されたゲソ痕は?
うん。

(日野)え~ 鑑定の結果

量産品の靴ばかりで
ここからは追えないね。

同じ靴があれば 靴底の傷とかで
照合できるけども…。

ただ

ハンドルからは
こんな指紋が採取された。

複数の人の指紋が重なった
重複指紋。

鑑定の結果
一番上の指紋は この人。

(君嶋)古久沢先生!

じゃあ あの車を
最後に運転したのは古久沢?

断言はできない。
でも 可能性はある。

古久沢先生は AB型ですか?

えっと… わかりません。

でも 昨日 古久沢さんは
見張られてたはずですよね?

(蒲原)それが 見張ってる最中に
あの車の追跡が始まって

古久沢は運転してないって
わかった段階で

見張りは解きました。

捜査本部が立ってないんで
人員が足りなくて…。

じゃあ 昨夜 途中からなら
古久沢さんが運転できる。

昨日の夜は ずっと家にいた。

それ 証明できますか?

証明も何も 君ら警察が
ずっと見張ってたろう。

よく知ってますね。

なら 君らが証明できるはずだ。

残念ですが 昨夜は ずっと
見張っていたわけじゃない。

なんだ それは。

それは 君らが

ちゃんと 自分たちの仕事を
してないって事だろ。

それで よく
私に証明しろなんて言えたな。

ハハハ…。

先生は AB型ですか?

そうだが… なんだ?

DNAを
任意提出してもらえませんか?

任意なら断る。

♬~

(亜美)鑑定の結果

「なんで お前が そこにいる」と
言っています。

(日野)向かいのビルにいる
マリコくんに

言ったんじゃないの?

私に言うなら さすがに
「お前」はないと思います。

(亜美)
彼の視線を解析してみました。

(キーボードを打つ音)

(亜美)このとおり
視線は下を向いています。

私は この視線の上にいたはず。

つまり マリコさんがいた屋上の
下の階に誰かがいた。

(宇佐見)それも
才川さんが「お前」と呼ぶ人物。

待って。
私が あのビルに上がった時…

全ての階を調べたけど

各フロアに続くドアは
全て閉まってた。

つまり 誰もいなかったはず。

でも これを見てください。
(キーボードを打つ音)

(亜美)才川さんが燃えたビルの
窓です。

これって どこの防犯カメラ映像?

マリコさんがいたビルの8階。

8階に 向かいのビルを映すような
防犯カメラがあったって事?

珍しいね
窓に向けたカメラなんて。

(亜美)そのフロアが
大学の研究室だったからです。

そっか。 窓の外から
盗撮されるのを警戒するカメラ。

ええ。 よく ドローンとかで
盗撮されるみたいで。

ああ 産業スパイとかを
気にする企業によくあるね。

大学の研究室にも多いですよ
この手の窓向けカメラ。

待って。 これは
才川先生がいたビルの窓に

私がいたビルが映ってる
って事よね。

だとすると 私がいたビルに

明かりがついてるフロアが
あるけど…。

(亜美)ええ。 その8階フロアが
二条院大の研究室です。

(蒲原)二条院大?

(亜美)二条院大学の
物理工学研究室。

(君嶋)才川先生が
行く事になってた研究室です。

亜美ちゃん ここを拡大鮮明化。

(亜美)あっ はい!
(キーボードを打つ音)

誰かいる。

でも
8階フロアも閉まっていたはず。

亜美ちゃん この人の顔が
わかるまで 拡大鮮明化!

♬~

…は さすがに無理よね。

さすがに
窓に反射した窓の映像ですから…。

(宇佐見)でも 才川さんは
きっと この人に

「なんで お前が そこにいる」って
言ったんでしょうね。

しかも
才川先生がよく知ってる人物。

あっ… 環生研で
あの車を借りた才川のサインは?

ああ それね…。

ちょっと失礼。

才川さんの筆跡を借りて鑑定した。

結果

才川さんのサインじゃなかった。
(宇佐見)つまり

誰かが才川さんの名をかたって
車を借りた。

確かに 事務所に人がいなくても

サインして キーを持っていくのが
習慣になっていました。

事務所に人がいて
見てる場合もありますか?

大抵は
その場合が多いんですけど…。

じゃあ 一応
土門さんに調べてもらいます。

今 環生研にいるはずなんで。

君嶋さん 私たちは
ここに行ってみましょう。

(君嶋)はい。
(日野)ちょっと…。

事情聴取は
刑事さんに任せようよ。

捜査員は 今 人手不足です。

それに
専門的な話をするかもしれません。

何かを採取するかもしれません。

でも 微物採取なら
君嶋さんではなく

私が行ったほうが…。

そうですね お願いします。
(宇佐見)ええ。

もう~… 刑事さんから
何も頼まれてないのに…。

あれ? 所長 まだ鑑定する事
残ってましたっけ?

ちょっと気になる事があってね。
引き続き鑑定する。

誰にも頼まれてないのに?

(研究員)ええ。 ここの研究員は
私たちで全員です。

(研究員)もうすぐ 才川先生も
ここへ来る予定だったんですが…。

昨夜10時過ぎ 才川さんが
このビルに出入りする映像が

防犯カメラで確認されました。

そんな時間に?

先生は もう
ここのID持ってますからね。

昨夜10時頃 皆さんは
ここには来てませんか?

(2人)ええ…。
(研究員)来てませんよね。

(研究員)来てません。
(蒲原)ええ。

防犯カメラに
皆さんは映ってませんでした。

でも その時間 ここに
人がいたのは確かなんです。

つまり このビルの防犯カメラに
映らずに

ここに入った人物がいた。
え~?

いやいや そんなの無理ですよ。
ねえ?

あっ マリコさん
ちょっといいですか?

♬~

(宇佐見)これなんですけど…。

(研究員)ああ それは
貨物用エレベーターです。

機材や大きな資料を運ぶのに
使います。

このビルには いろんな大学や
企業が入ってるんで

危険な試料や機材は
これで直接運び入れるんです。

耐荷重150キロ。

人が乗れますね。

ええ。
いやいや!

人が乗るのは禁止されてます。
でも 理論的には乗れる。

じゃあ これに乗れば
誰でも この研究室に入れる?

無理です。 外から
このエレベーターを操作するには

この鍵が必要なんです。

いいですか?
はい。

(蒲原)こんな鍵 才川さんの
所持品や自宅になかった…。

つまり
誰かが才川先生の鍵を盗み

このエレベーターで
昨夜 ここに忍び込んだ…。

♬~

あれ?

あれって 由井先生?

だから 空気を
採取したいだけなんだって!

(警察官)出ていってくださいよ!
立ち入り禁止なんですから!

(由井)ちょっと! 屋外の空気は
誰のものでもないはずよ!

(警察官)
出ていってくださいって!

由井先生!

すみません 科捜研です。
あっ ご苦労さまです。

榊先生!
先生からも ちょっと言ってよ!

あっ じゃあ
この人も科捜研の人?

全然違います。
完全なる部外者です。

由井先生 何してるんです?

(由井)だって 才川先生
ここで燃えたんでしょ?

それなら ここに 才川先生の
DNAが残ってるかもしれない!

あっ 先生ご専門の環境DNA。

それを調べれば

才川先生 なぜ燃えたかが
わかるかもしれないじゃない?

なるほど…。
「なるほど…」じゃないですよ!

由井先生 ここは 警察関係者以外
立ち入り禁止です。

さあ もう 出ていって。

(由井)ちょっと!
待って 私の大切な装置!

(蒲原)あとで運びますよ。

確かに 現場の空気からわかる事も
あるかもしれない…。

♬~

♬~

♬~

(日野)みんな 君と一緒だ。

科学を使って
人の心の闇を知ろうとしてる。

♬~

(キーボードを打つ音)

結局 人だって事しか
わかりませんでした。

その研究室の空気を採取し
鑑定した結果…。

こんな成分の粉体が出ました。

(日野)粉体…。 つまり 粉?

はい。 タルクと呼ばれる
工業用粉体です。

顔料や塗料に使われる粉です。

潤滑性があるため

集じん装置や空気清浄機の
性能試験にも使われます。

じゃあ あの研究室で使われている
タルク。

いいえ。

あの研究室で使われている
タルクの粉も採取されましたが

それとは成分の割合が違いました。

(亜美)じゃあ
誰かが外から持ち込んだタルク。

可能性は高いと思う。
例えば…。

この人が持ち込んだ。

だとすると 何に使われた
タルクなんでしょうね…。

所長 気になる事があるって
何か調べてましたよね?

ああ。 あのワゴン車から
採取された指紋だけどね

複数の指紋に欠損があってね
それが気になった。

これは 拭き取られた跡?

いや 多分 指紋の上から

手袋が触って
欠けた可能性が高い。

そう思って 手袋痕を捜したら
あったよ。

(日野)この形は革の手袋だ。

それも 鹿革。

鹿革って… 宇佐見さん。
ああ。

運転席から
鹿革の断片を採取しましたよ。

(日野)あのワゴン車を
最後に運転したのは

鹿革の手袋をした
人物かもしれない。

鹿革の手袋とタルク…。

もしかして…。

なんです? 君嶋さん。

昨夜 あの研究室にいた人間は

高電圧手袋をしていたのかも
しれません。

高電圧作業用の手袋ですか?

そうか。 そういった手袋は

タルクで保護されている製品が
多い。

しかも 革手袋とセットで使う。

しかも その革は
鹿革がメジャーです。

亜美ちゃん
奥崎さんが燃えた時の映像見せて。

えっ? あっ… はい。

♬~

(キーを打つ音)

(日野)何度見ても ひどいね。
やっぱり。

亜美ちゃん
才川先生が燃えた時の映像。

はい。
(キーボードを打つ音)

やっぱり。

マリコさん
何が やっぱりなんです?

どうして
もっと早く気づかなかったの?

何に!?

だとすると…。

(マリコの声)気管や気管支に
すすがありませんね。

(早月)つまり
火がついて短時間で死亡した。

(マリコの声)だから 火がついたのに
微動だにしなかった…。

ここに 呼吸筋および心臓麻痺の
可能性が指摘されてますけど…。

(早月の声)
熱傷によるショック死だったら

矛盾のない所見…。

(土門の声)ホトケさんが
電話してたものだ。

火が出たかどうか 調べてくれ。

でも このスマホ
ほとんど損傷ないですよ。

だとすると 多分 火元は
このスマホじゃないですね。

だが 電源が入らなかった。

(亜美の声)奥崎さんのスマホにも
その手の仕掛けはなかったです。

スマホデータは
全部消えちゃってましたけど。

(古久沢の声)今の時期は季節柄
野外の湿度が高い。

奥崎センター長が焼け死んだ時は
雨上がりだったから

特に湿度が高かったはずだ。
(マリコの声)第三者が

意図的に起こす事は
できると思いますか?

(由井の声)
野外での自然発火を考えるなら

真っ先に検証すべきは
きっと 雷ね。

(土門の声)
それが 多くの目撃証言だ。

(マリコの声)じゃあ
ベンチに座ってから

あの装置で
電磁波を照射する時間はなかった。

(土門の声)むしろ 歩いてる時に
照射した可能性はないか?

(マリコの声)じゃあ 古久沢先生は
あの装置を使う時

電力は どうしてたんだろう。

(古久沢)あの装置を使う時は
蓄電池を繋ぐ。

(マリコの声)蓄電池?

(君嶋の声)これって
事件なんですか?

(マリコの声)わからない。
でも ただの事故じゃないはず。

(マリコの声)問題は
奥崎さんも才川先生も

同じような自然発火でありながら

奥崎さんは死亡し
彼は一命を取り留めた。

そのボーダーラインが
どこにあったのか。

♬~

もう一度 現場に行ってきます。

えっ!? どっちの現場?

奥崎さんですか?
(宇佐見)それとも 才川先生?

両方です。

行きますよ 君嶋さん。

えっ!? 僕も?

いってきます。

(赤楚)
<脂肪を分解するとか 吸収を抑えるとか>

…の その先へ!

<新時代の脂肪対策>
始まる。

<明治 脂肪対策ヨーグルト>
ご一緒に!

目撃証言では 奥崎さんは

ベンチに座った途端
燃えたそうです。

才川先生は 屋上の手すりに
触れた途端に燃えました。

公園のベンチも屋上の手すりも
鉄製でした。

(古久沢)何が言いたい?

例えば 2020年 タイ。

トラックを降りた運転手が
突然 燃え上がりました。

荷台に載せた建築資材が
高圧電線に接触し

トラックが感電状態になったため

降りる際に
ドアに触れた運転手が感電し

人体発火したんです。

ドアに触れたのは一瞬だったため

発火した運転手は
一命を取り留めました。

今回の才川先生と同じです。

だから 一命を取り留めた。

でも 奥崎さんは
ベンチに座っていたため

感電し続け 死亡してしまった。

つまり 今回の人体発火は
感電による発火です。

だとすると かなりの電力だ。

ええ。 犯人は
そんな高電圧を扱うため…。

高電圧手袋と革手袋をしていたと
思われます。

この研究所で使っているものです。

このタルクを鑑定した結果

犯人が昨夜いた

二条院大の研究室から採取された
タルクと合致しました。

その手袋を使っていたのは
私だけじゃない。

問題は この手袋にかぶせて使う
この鹿革の手袋。

昨夜 犯人が運転していた車から
採取された

鹿革片と一致する手袋が

ここから押収した中に
ありませんでした。

きっと まだ
犯人が持っているんです。

それを持ってる奴こそ
2人を殺傷した犯人だ。

犯人は 今 その革手袋と
凶器を持って逃げています。

凶器…。

2人を感電させた凶器とは
なんだ?

古久沢先生なら
もう 気づいているはずです。

これを使っていた あなたなら。

なんの事かな。

これに繋いで使っていたという
蓄電池です。

その電池を
犯人は あの車の後ろに載せ

2つの事件現場まで運んだ。

その2つの現場で

感電という手口を
念頭に置いて調べた結果

どちらの現場からも

大きなクリップで挟み

それを引っ張って外したような
痕跡が見つかりました。

照合した結果
同じ凶器による傷とわかりました。

きっと 電池に繋ぐ
電流コードのクリップです。

この手口に気づいてましたよね?
古久沢先生。

一連の犯行をしたのが
設楽先生である事も。

(設楽)はい。

(才川)私たちが開発した
蓄電池です。

設楽の家を捜索したら

犯人が乗っていた
ワゴン車にあった

ゲソ痕と合致する靴があった。

その靴から採取したDNAが

犯人のものと思われる
毛髪のDNAと合致しました。

でも 設楽の家に
彼の車はありませんでした。

きっと ワゴン車から
凶器の電池を載せ換え

逃げたんです。

その車を今
Nシステムで捜しています。

だが きっと あんたは

2人を殺傷した手口と犯人に
気づいていた。

あんたなら
設楽の行き先を知ってるはずだ。

それが聞きたくて
私たちは ここに来たんです。

(古久沢)設楽先生は
優秀な科学者だ。

その設楽先生は 今 どこですか!?

リチウムイオン電池の重量エネルギー密度の
理論的限界値は

ガソリンの20分の1程度。

だが 設楽の開発した電池は

そのガソリンエネルギーに
匹敵する。

それは前に聞いた。
設楽は 今 どこだ?

一応 才川との
共同開発になっているが

才川は小型化が担当

エネルギーに関しては
全て設楽の技術だ。

古久沢先生!
(古久沢)設楽の技術さえあれば

近い将来 それ以上の
電気エネルギーを貯蔵できる

電池の開発が可能なんだ。
先生 いい加減にしてください!

だが そうなれば
ノーベル賞は確実だが

そんな事より
それほどの電池が開発されたら

再生可能エネルギーの開発も進む。

原発はもちろん

CO2を排出する化石燃料に
頼らない未来を

人類に提供できるんだ!

古久沢。 設楽は 今 どこだ?

設楽は
この研究室の閉鎖が決まった時

海外の企業に
応募しようとしていた。

だが そんな設楽に奥崎は…。

(奥崎 譲)蓄電池の開発なら
ここですればいい。

紹介するよ。

この会社
蓄電池の開発もしてるんですか?

(奥崎)もちろんだよ。

(古久沢の声)しかし その企業は
そんな研究はしていなかった。

設楽が それを知ったのは
応募しようとしていた

海外の研究所の募集が
終わったあとだった。

京都環生研に
寄付をしている企業だったため

奥崎は その会社の求めるまま
設楽をだまして斡旋したんだ。

それが 殺害の動機…。

私は 彼に逃げてでも
研究を続けてほしい。

その可能性が
わずかでもあるなら…。

ふざけるな!

あんた どうかしてるぞ!

ハハハハッ…。

私には 設楽の研究を
止めようとする奥崎や

君たち警察のほうが

よっぽど
どうかしてるように見えるがね。

(携帯電話の振動音)

(古久沢)彼の頭脳は貴重だ。

人類の未来のために貴重だ。

マリコくん 設楽の車を
亜美ちゃんが見つけた。

大阪府泉佐野市泉陽南の
Nシステムです。

所長 わかりました!

設楽先生の
スマホのGPSを調べた結果

泉佐野市泉陽南の
半径300メートルに絞れました。

その範囲の地図を
マリコさんのスマホに送りました。

さらに GPSの高度を調べた結果
地下です。

泉佐野市泉陽南の地下。

泉佐野市の工場…。

電磁波で火災が起きた工場か。

(蒲原)あの工場 地下です。

住所も合います。

なるほど。

現在 閉鎖中で
蓄電池を隠すには もってこいだ。

で 高飛びできる関空も近い。

あんたには
取り調べを受けてもらう。

蒲原。
(蒲原)はい。

今度こそ
任意同行 お願いします。

行こう。

(ドアの開閉音)

♬~

分かれよう!
(警察官たち)はい!

♬~

設楽先生!
設楽! ここ 開けろ!

才川先生
命は助かったようですね。

認めるんだな。

奥崎を殺し
才川を殺そうとした事!

奥崎は そうされて当然の人間だ!

紹介してもらった会社には
行きません。

(奥崎)「はっ?
今さら 何を言ってる」

僕を だましましたよね?

「先生 会って話そう。
今 環生研か?」

(設楽の声)だから
あの公園に呼び出し…。

(携帯電話の着信音)

はい。

(奥崎)「ああ。 今 着いた」

鉄製のベンチで待っててください。

鉄製のベンチ?

あった。 待ってる。

♬~

(人々の悲鳴)

♬~

それに
才川先生は気づいてしまった。

あの科捜研の女性は

古久沢先生の電磁波照射装置では
人体は発火しないと言っていた。

だが 我々が作った
この蓄電池なら可能じゃないか?

調べたら
最近 使用した跡があった。

あれを扱えるのは
私とお前しかいない。

警察に話す前に
お前の弁明を聞きたい。

♬~

(設楽)ひと晩…
ひと晩 待ってください。

断る。

あの蓄電池のエネルギー論を
まとめるには

最低 ひと晩かかるんです。

僕が自首したあと
この開発を引き継いでほしい。

(才川)わかった。

できたら持って行きます。
今夜 どこにいますか?

二条院大の研究室だ。
だが メールでいい。

論文に質疑応答は必要でしょう。

わかった。 待ってる。

♬~

(作動音)

♬~

(設楽)今 ビルの前です。

わかった。 迎えに行く。
研究室で話そう。

(設楽)いや きっと
このビルは防犯カメラだらけだ。

「あなたが僕と会っていた証拠が
残ってしまう」

向かいのビルの屋上にいます。

非常階段を使えば
カメラに映らずに会える。

「そこなら 人も来ない」

わかった。 すぐ行く。

♬~

♬~

屋上に着いた。
お前 どこにいる?

(設楽)そこから
あなたの研究室が見えるはずだ。

なんで お前が そこにいる!?

♬~

設楽 ここ 開けろ! 設楽!

(作動音)

やめて。 設楽先生 やめて!

やめて!
榊…!

やめて! 設楽先生!

やめろ!

設楽先生! やめて!

♬~

ああーっ…!!

先生!

設楽先生! 先生!

設楽先生!

♬~

設楽!

たった今
設楽の死亡が確認されました。

そうか…。

感電して燃えても
クリップを握り続けたのか。

ええ。

設楽の手口と逃亡先に

古久沢は
気づいていた可能性があります。

いや きっと
積極的に逃がそうとした。

取り調べでは
そのどちらも否認したらしい。

古久沢は 俺が取り調べます。

土門。

たとえ 知っていて
供述しなかったとしても

令状もない中
犯人隠避に問う事すら難しいぞ。

(電話)

刑事部長 藤倉。

わかった。

才川先生の意識が戻った。

そうですか。 それはよかった。

ただ 研究者としては もう…。

(腕時計のガラスが割れる音)

♬~

取り調べ 早く終わったんですね。

何もしてない割に時間がかかった。

このまま
アメリカに行くんですか?

延期する。
えっ?

設楽先生の蓄電池の開発を
引き継げる研究者を探す。

じゃあ しばらくは日本国内に…。

だが 私も専門家だ。

あの開発を継げる研究者など
いないだろう事もわかる。

残念だ。

君ら警察は

この国から優秀な科学者を
一人 葬った。

あなたが 彼の行き先を
すぐに話してたら

自殺する時間なんて与えずに
済んだんです!

そうか。 死んだか。

よかった。

「よかった」?
何がよかったんです!?

彼にとって
研究ができなくなる事は

死と同じだ。

もし 捕まれば無期か死刑。
やはり 同じだ。

そんな
現在のくだらない法律や利権で

未来の科学を妨害する人間は…
害悪だ。

先生の言う 未来の科学。

その科学にとって
私が害悪だとしたら?

だとしたら 榊さん

あなたは排除されるべき人間だ。

(兵働耕春)シアン化系ガスが
この国中にばらまかれる。

兵働耕春は すでに亡くなっていて
私が話しているのは… AI。

(兵働)AIにも復讐は可能だ。

(蒲原)死んでます…。
殺人が起きました。

(兵働)残念だが 毒をまく時間だ。
駄目です! やめて!