慶次郎縁側日記(2)「傷」[字]…のネタバレ解析まとめ

出典:EPGの番組情報

慶次郎縁側日記(2)「傷」[字]

酒問屋の別荘の寮番・慶次郎は、元南町奉行所の定町廻り同心。娘を失う不幸な事件が元で隠居した「仏の慶次郎」が、江戸庶民の悩みやもめ事をひもとく、一話完結の日記帳。

番組内容
娘の三千代(岡本綾)の自害から1年半。慶次郎(高橋英樹)は晃之助(比留間由哲)を養子に迎え、定町回りの見習いとして教育する。料理屋のおかみ・お登世(かたせ梨乃)の相談事を晃之助が引き受けると、かえって問題を大きくし自己嫌悪する。ある夜、晃之助は皐月(安達祐実)と運命的に出会う。そのころ、札差の番頭・七五郎(勝村政信)が女(遠藤久美子)絡みで事件を起こす。晃之助は事件に誠実に取り組むのだった。
出演者
【出演】高橋英樹,安達祐実,比留間由哲,遠藤憲一,遠藤久美子,勝村政信,近藤結宥花,阿南健治,奥田瑛二,江原真二郎,かたせ梨乃
原作・脚本
【原作】北原亞以子,【脚本】宮村優子
音楽
【音楽】川崎真弘

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
ドラマ – 時代劇

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キーワード出現数ベスト20

  1. 旦那
  2. 七五郎
  3. 鎌倉屋
  4. お直
  5. 伝左
  6. お前
  7. 晃之助
  8. 身内
  9. 義父上
  10. 晃之助様
  11. 三千代
  12. 気持
  13. 札差
  14. 女将
  15. 番頭
  16. 吉次
  17. 二度
  18. お役目
  19. お話
  20. 安右衛門

解析用ソース(見逃した方はネタバレ注意)

   ごあんない

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♬~

(皐月)<祝言まで あと10日。

森口家の嫁となる
皐月でございます。

私の舅殿 森口慶次郎様は

一人娘の三千代様を
不幸な事件で 亡くされました>

自害か!?
(慶次郎)三千代…!

<慶次郎様は
お心の傷を分かち合おうと

三千代様の許婚

晃之助様を 養子に
迎えられたのです>

<それから 1年と半。

定町廻り同心の見習いとなられた
晃之助様は

慶次郎様について
お役目に 励んでおられます>

♬~

<上野池之端 不忍池を臨む料理屋
「花ごろも」>

<女将のお登世さんは
旦那さんを亡くされたあと

嫁ぎ先を
後見人の叔父 安右衛門に追われ

身ひとつで
この店を 始められました>

(お登世)ぬるいの お好きだから。
板さん それから…。

(お秋)女将さん!
来ました。 鎌倉屋の旦那。

もう お待ちだからね。
へい。

(おかつ)お待ち下さいませ!

(安右衛門)打ち水が
敷居まで跳ねてたぞ。 帳面は!?

すいません。
こちらには…。

安右衛門さん。
今日は 何のご用で?

後見が 商いの様子を見るのに
ご用もあるまい。 さあ 帳面を。

あんたが 鎌倉屋の?

どういう事だね。 お役人様の前で
ってのは… 何なんだい。

私が 立ち会いを
お願いいたしました。

南町奉行所の森口様と
ご養子の晃之助様でございます。

この際 双方の言い分を
聞いて頂こうと思いまして。

了見違いも甚だしい。
そもそもが 身内の話じゃないか。

あら お忘れですか。
幼なじみの晃之助は

身内同然でございますよ。

私はね 後家となったお前が
よそで恥をかかぬよう

案じているだけだ。
いわば 親心ではないか。

(晃之助)しかし
ねえさんが この店を始める時

鎌倉屋は 1文の
助けもしなかったと。

当然でございましょう。
手前味噌になりますが

鎌倉屋と申せば 唐物の逸品を扱う
老舗でございます。

その嫁が 料理屋を出すなど
もってのほかでございます。

でしたら その意地
お通し下さいまし。
何だと?

こちらは あちこち頭を下げて
お金を かき集めて

やっとの思いで
ここまで来たんです。

それを その借金が
半分になった途端に

親心だの 身内だのって

ちょっと おかしな話じゃ
ありませんか?

いい眺めだねえ。

蓮の花が咲くころは
さぞかし 見事だろうなあ。

あんたの気持ち
分からんじゃねえが

俺だって こんな店見たら
さもしくなるさなあ。

さもしいとは?

さもしいさ!
人のものを欲しがるのは。

また来る!

(お登世)
みつきほど前からですかねえ。

やたらと顔を出すように
なったんですよ。

勝手に後見人を名乗って
帳場に上がり込んだり

座敷のしつらえに 口を出したり。
なるほど。

どうした?

思い出したんです 昔の事。
お登世ねえさん 苦労して…。

父が御家人くずれの
博打にのめり込むような人でね。

よくある話。

奉公に行った料理屋で
見初められて

唐物問屋の女将さんになった
って聞いた時は

心底よかった。
そう思ってたのに…。

まあ 飲め。

義父上 この一件
私に任せていただけませんか?

晃之助さんが?

ねえさんには 世話になったから。
恩返しがしたいんだ。

晃之助さん。

(足音)

旦那。 八丁堀から お使いの方が。

<その夜 もう一つ 事件が
起きていました>

(辰吉)弓町で 太兵衛が
引っ立てましたが。

(太兵衛)どう考えても
揉めてたに違いねえんだが

聞いても 何にも言いやしねえ。

そしたら あっちの男がね

森口の旦那 呼んでくれと。

あんた 七五郎さんか。

ちょっと 転びまして。

蔵前の越後屋って 札差の番頭だ。

転んだにしちゃ 派手な傷だが。

(賢吾)伝左 お前また 何か
悪さしたんじゃねえだろうな?

(伝左)旦那。 何を 人聞きの悪い。

蛙の伝左っていってね
ゆすり たかりの 鼻つまみでさ。

そうなのか?
(七五郎)違います。

転んだはずみで
私の巻き添えに なったんです。

早く帰して頂きたくて

仏の旦那のお名前を
出してしまいました。

ほら。 ねっ でしょう?
ねえ 旦那。

手前は 一人で 裏の駕籠屋から。

これは 頂いて参ります。

駕籠か…。

蔵前の番頭が 何で
京橋の駕籠屋を 知ってるんだ。

女ですかね。

女で ゆすられた?
真面目一方の番頭だが。

調べてみましょう。
そうだな。

あの七五郎って男は

評判どおりで 仕事一筋
大番頭に なっておりやした。

女房は 主人の姪です。

札差 越後屋は
大番頭の七五郎で もつってか。

<札差とは 旗本 御家人が

扶持として受け取る米手形を
お金に換えるのを

生業としております。

手形を担保に 武家への金貸しも
営んでおります>

このように 7年先の俸禄まで
お貸ししております。

旦那は 七五郎と
いつ お知り合いに?

もう10年ほど前
まだ 手代だったころだ。

無理な借金を迫った 侍がいてね。

(兵太郎)金を貸さぬなら 斬る!

(笑い声)

七五郎にとっちゃ
若気の至りって事だろうが。

毎度 ありがとうございました。

そんなに荒っぽい
男だったんでやんすか。

<お登世さんの嫁ぎ先 唐物問屋の
鎌倉屋さんでございます>

お待たせいたしました こちらへ。

<唐物とは 異国の地から
渡ってきた品物でございます>

単刀直入に言う。 この後
お登世の店に関わるのは やめろ。

ハハハ 困りましたな どうも。

あの店は 女将が

仕入れから 奉公人の差配
座敷の置物から 料理の塩梅

帳面までを
すべて一人で こなしておる。

気の赴くまま いきなり訪れ

傍若無人に振る舞うては

狼藉と とられても
しかたなかろう。

大げさですな。 たかが
身内の揉め事でございます。

女将は その方を
身内とは思っておらぬ。

お客様 お帰りだ。

安右衛門殿。
では…。

安右衛門殿!

二度と 花ごろもに出向くのは
やめていただきたい。

このとおり。
おやめ下さい。

このとおり!

<その日 鎌倉屋さんは
晃之助様の頼みに

しぶしぶ うなずかれたそうで
ございます>

<ところが
それから しばらくたって…>

≪旦那! 旦那。 旦那!

花ごろもの…。
どうしたい 慌てて。

(おちえ)鎌倉屋が 公事師を立てて
「売り上げを よこせ」と。

身内だと思うからこそ

後見のつもりで
あれこれ口を出したが

そうでないと言い張るのなら
二度と商いに口を挟まぬ。

そのかわり
売り上げの三分一を よこせと。

そんな…。

訴えられると
まずい事でもあるのかい?

やましい事なんざ ありません。
ただ この店を 始める時に

先代から いざという時のために
頂いた 蓄えを つぎ込みました。

それを 鎌倉屋の金だと
とられると…。

鎌倉屋の分け店に
されてしまうのか。

はい。

≪お待ちどおさま。

ごめんよ。
どうも。

(おきわ)旦那。 兄が また何か?
いや。 上かい?

(吉次)ああ いや
出かけるとこで。

悪いが 込み入った話なら
またにしておくんなさい。

手間は とらせねえ。

晃之助さんでしたっけね?
ご養子の。

いや~
なかなか よくやってらっしゃる。

やっては いるが…

あれは まずいや。 いくら お役に
熱くなったからといって

二本差しに 店の中で
両手を つかれたんじゃ

つかれた方が たまんねえや。

詳しいんだな。

あれじゃ
鎌倉屋も 収まりがつかねえ。

だが おかげで
おいしい匂いがしてきやがった。

何で それほど 出てった
嫁の店に こだわるのかってね。

出るかい 埃が。
さあてね…。

お前の仕事には 手は出さねえ。

♬~

ああ いや…
ちょっと あの あれ…。

せっかく 大根河岸まで
いらしたんだ。

似たようなゴミの話でも
ひとつ…。

ゴミは 部屋だけでたくさんだ。

伝左っていうのが おりやしてね。
そいつが 近頃 羽振りがいい。

札差の番頭の弱みを
握ったとかで。

いや つまんない弱みですよ。

南鍛冶町に お直っていう女を
囲ってるっていうだけの…。

ああ すまねえ。 この辺りに
お直って子いない?

兵さんとこのですか?
尻餅の。 アハハハ。 尻餅?

あだ名です。 昔 札差の店で
いざこざ起こしてね。

あげく 奉公人に ほら
尻餅くらわされたって。

お直が…。 あの侍の。

あれで すっかり 笑い者。

お侍仲間や 親戚にも
見放されましてね

病で 床に ついたまんま
お直ちゃんと 2人暮らし。

あっ… お直ちゃん!
ちょっと ちょっと。

(お直)こんにちは。

ちょっと 尋ねてえんだが。

俺は 南の定町廻りで
森口ってもんだ。

待ってくれ。

力になろうと思って 来た。
お前さん…。

伝左って男に
つきまとわれてねえか?

いや お前さんだけじゃない。
お父っつぁんや

ここにやってくる 七五郎も。

おい! お直!

≪帰って下さい。

話だけでも 聞いてくれねえか。
≪知りません。

帰って下さい。

じゃあ 帰るが。 いいかい。
何か 困った事があったら

俺を 思い出すんだぜ。
南の慶次郎だ。

(せきこみ)

≪(吉次)昼間から いいご身分で。

何だ お前は?

いえね。 この家に
ちょいといい女が

住まってるって 聞いてね。

女か。
言いふらしたいなら するがいい。

こっちは 痛くもかゆくもねえ。

いや それが ただの女じゃねえ。

あちこちのお屋敷から
なくなった品物

こっそり商ってるって噂が
あってね。

老舗の唐物屋のご主人が通うには
ちいと聞こえの悪い家ですがね。

お前…。
蝮。

その名で 捜しておくんなさい。
口は 堅い方でね。

どうぞ いつでも。

<盗んだ品物を商う 陰物買い。
お上に訴えられれば

鎌倉屋さんは 江戸払いの
お咎めを 受ける事になります>

何だ。 言いたい事があるなら
申せ。 いえ。

男2人の飯なんざ
しんきくさくて いけねえや。

義父上。 帰りしなに
お登世ねえさんの店を訪ねました。

かえって 迷惑をかけたと
謝りに 寄ったのです。

すると 鎌倉屋からの訴えは
取り下げられたと 聞きました。

そうかい。

ほんの数日で
なぜ そのように なるのです?

気が変わったんだろう。

吉次を お使いになりましたね?

もちろん ああした十手持ちを
扱うのも

町廻りの器量だと
分かっております。

分かってはおりますが
あれでは何の決着にも ならない。

ならぬか?
なりません。

今度は 吉次が 鎌倉屋に
しつこく取りつくでしょう。

煮え湯を飲まされた鎌倉屋は

仕返しとばかりに また

ねえさんの店に
現れるかもしれない。

まあ 当分は
おとなしくしてるだろうが。

当分ですか? それでは
何もならないでは ありませんか。

元は 何も糾されない。

糾す?
はい。

「元を糾し 人を正す」か。

いけませんか? 糾すと思わずして
何のお役目ですか。

義父上も そうではないのですか?

罪人を捕らえるだけが
お役目じゃない。

罪を犯させぬのも
お役目のうちと

常々 おっしゃっていたでは
ありませんか。

それは 人を正す事では
ないのですか?

罪は 犯させねえ。
だが それは人を正す事じゃねえ。

正すなどと 思い上がった事を
考えちゃいけねえ。

では 何のためです?
罪に厳しく当たらぬのは

ただ 仏と呼ばれ 情け深い人と
ありがたがられるためだけの

方便ですか!

申し訳ございません。
いや…。

ありがとうございました。

この度は
ありがとうございました。

鎌倉屋も なかなか商いが
難しいようで…。

うちに来ていたのも
嫌がらせというよりは

憂さ晴らしだったのかも
しれませんね。

けれど おかげさまで それも…。

そうか。 あっ いや こっちこそ。
旦那…。

晃之助が…。

早く 一人前にしてやりたいと
思って 任せたんだが…。

どうにも曲がらねえ男で
かえって 大ごとにしちまった。

いえ そんな。

だが あいつが お前さんと
この店のためを思った気持ちに

うそはねえ。
それだけは 汲んでやってほしい。

いえね。 こういう身内も
いるんだなって。

うまくやってる人間
妬むだけではなくて

いたわり合う身内もね。

いや 謝りてえのは
それだけじゃねえ。

厄介なのは…
どういうんだか

どっか頼もしく思う心がある事で。

曲がらねえ
役立たずの見習い野郎を…。

すまねえ。

<その曲がらない
ご気性のお人は

その後 ひどく 我と我が身に
腹を立てておられました。

そのお腹立ちが

私と 晃之助様の
福の神になるのでございますが…>

危ないではないか!
申し訳ありません。

花を…。
花?

<私は お稽古先で
お話がはずみ

とうに暗くなっていた
帰り道のことでした>

乗り出しては 川へ落ちる。

ありがとうございます。

こんな花
どこにでもあるだろうに。

水辺に咲いた花は
色のもちが よいのです。

かといって
無理に手を伸ばさずとも。

ご迷惑をおかけしました。

ありがとうございました。

おい。

1人歩きか?
なれております。

送ろう。

下心で言うのではない。
夜道は 危ない。

取り返しのつかぬ事にでも
なったら どうなさる!

あ… いや…。

差し上げます。
え?

手の届かない花を見ているうち

どうしても 我が手で
摘んでみたくなったのです。

少し無理をしてでも…。

それだけです。

手を貸したのは 迷惑だったか?

いえ。

楽しゅうございました。

迎えの者と
そこで 行き合います故。

危ない。

何だ? これは。

見てのとおり 紫陽花ですよ。

ふ~ん。

義父上。 ゆうべは どこか
お出かけでしたか?

いや… とりたてて
どこという事では…。

ああ そろそろ
梅雨も明けそうだな…。

<その夕方 七五郎が
ついに動きます>

伝左の奴 賭場の払いが
かさんでおりやす。

今日中には 必ず
つなぎを つけてきます。

♬~

あいつ…。

お直…。

なぜ ここに?
あの男に会うのですね。

ご安心なさい。
悪いようには致しませんから。

でも また お金を
せびりにくるのでしょう。

それは もう
今日限りにさせますから。

なぜです?
え…。

なぜ 私を責めないのですか?

あの男が付きまとうのは

あんな事をした 私のせいじゃ
ありませんか。 なのに なぜ?

今日は もう お帰りなさい。

父上も お待ちだ。

旦那も罪作りだよな。 え?
あの女 旦那に夢中じゃねえか。

伝左…。

いくら いるんだ?

始末しやしょう 女。 ね。

旦那だって
持て余してたんでしょうが。

旦那の内儀さんは 主人の姪だ。

娘さんは 近々 旗本のお屋敷に
行儀見習が決まってる。

旦那も来年には 日本橋に
米屋の店をお出しになる。

あっしも そろそろ
楽したいんでさ。 旦那。

危ねえ!

お直!

島送りには なりたかねえよな。

二度と汚ねえ面 出すんじゃねえ。
うせろ!

お直!

(七五郎)お直は
私を かばったのでございます。

お直との仲を かぎつけられ
あの男には そりゃもう…。

何度も金をゆすられ続けました。
それに気づいた お直が

あの夜 突然 私と会っている
伝左の前に現れて…。

おやめください!

七五郎様!

お直にしてみれば 私を
助けるつもりだったのでしょう。

…が ゆすりのタネを
増やしただけで。

お直は お前が
店で恥をかかせた侍の娘だな?

(七五郎)おととし
ものごい同然になったお侍に

たまたま再会いたしました。

奥様は 病に倒れ

お嬢さんは 身売りの話が
決まっておりました。

私は… 突然 我が身が
恐ろしくなりました。

人を殺めたりする事とは 無縁だと
私は思っておりました。

その私が 人の一生を壊している。

その事が怖くて 恐ろしくて…。

世話をするように なったんだな?

…で お直の事は?

しばらく 後の事でございます。

お直の方が…

私を好いてくれました。
拒めませんでした。

私が不幸せにした女です。
償わねば…。

その気持ちが ずるずると…。

償いか…。

よせ!
離して!

お直!

(すすり泣き)

泣くな。 泣くでない。

(泣き声)

泣くな…。 泣くな…。

(泣き声)

七五郎は
お前を許してくれと言っている。

お前が 罪を犯そうとしたのは
自分を守るためだったってな。

七五郎さんが…?
ああ。

違います。

お前は 七五郎のために 伝左を
殺そうとしたのではないのかい?

私は…
傷を残そうとしただけです。

傷…?

七五郎にか?

あの人なんか 駄目になればいい。
そう思っていました。

馬鹿な囲い女が
人殺しをしたせいで

何もかも世間に知られて

番頭の座も 新しく出す店の話も
何もかも駄目になって

一生を棒に振ればいい。

お前は…。
憎かった。 あの男が。

私の父を 母を…。

私を こんな目に遭わせたのは
あの男です。

許すものか… 許すものか!
なのに…。

好いてしまったんだな。

憎む気持ちが いつか…
あの人に 私を思わせたいと…。

そういう願いに
変わっていました。

でも あの人は 償いたい一心で
私を拒めなかっただけ。

伝左を殺せば
好いてくれると思ったのか?

分からない。

分からない…。

そうして残りたかったのか。
七五郎の心に。

そんな…。
そのために 罪を犯すなど。

なら 旦那。

私は… 私は どうしたら
よかったんです?

あの人が…
愛おしくて憎いんです。

憎くて 愛おしい…。

そんな私は 一体!
思い切れ。

義父上。
生きて 思い切れ。

二度と 伝左が
七五郎を脅す事はなかろう。

騒ぎはなかった。

傷は 誰にも残らなかったのだ。
お前は お咎めなしだ。

傷は 誰にも…。

傷は…。
傷は 必ず つけた方にも残る。

♬~

罪を犯さずにすんで よかったな。

旦那…。

♬~

この辺りは 雨上がりには
よい風が 入ってまいります。

ああ いい風だ。 いい月だ。

亡くなった亭主は
妙に 耳が よござんしてね。

生きていた時分は
「蛙が鳴いている 明日は雨だ。

鐘の音が近い 明日は晴れる」と

日和を当てんのが
好きでございました。

当たるのかい?
それが さっぱり。

すいません。
亡くなった人の話なんか。

いや…。 俺にも娘がいた。

1年と半前に 亡くした。
晃之助は その許婚だった。

ええ。

俺も晃之助も
いまだに 三千代を思う。

あんな事があったと
笑う事もある。

こんな事をしてやりたかったと
悔いを引きずる時もある。

うらやましいわ。

私なんか
消えたら それで おしまいです。

そこまで思ってくれる人が
いるなんて。

お嬢さん
生きてらっしゃるんですね。

♬~

お話とは 何でしょう。
そこに座れ。

この度の事 よくやった。

お直の気持ちを よく受け止めた。

あの娘が 出直そうと
思い切ったのは お前のおかげだ。

義父上…。

一人前になりたいと言ったな?

申しました。
この家に入る時でございます。

ならば 妻を娶れ。

すぐにではない。
見習いの修行を積み

しかるべき時がきたら
妻帯し 子をつくれ。

できませぬ。
なぜだ?

私の妻は 三千代殿だけです。

三千代殿が
あのような最期を迎え

生き残った私が 妻を娶るなど
できますか!

あのような最期だからだ。
分かりませぬ。

分からぬか。
分かりませぬ!

それでは 三千代が…。

三千代が 不憫すぎます。

死んだ者を 不憫だなどと
軽々しく言うな!

三千代は 生きている。

お前は お前を生きてやれ。
それが 供養だ。

妻を娶れ。

♬~

命の強い花だ。
うまく根づけばいいんだが。

♬~

<私が 晃之助様に嫁ぐのは

それから更に
1年と半の後でございます>

<その祝言を前に 舅殿は

根岸の寮番になられる決意を
されるのですが

そのお話は また
次の折に致しとうございます>

三千代…。
晃之助に 嫁が決まった。

怖いのです。

私は 3人の家に
嫁ぐのでございます。

加えて
4人にして頂くのでございます。

<どうぞ お楽しみに>

♬~