ドラマ 今度生まれたら(2)[字] …のネタバレ解析まとめ

出典:EPGの番組情報

ドラマ 今度生まれたら(2)[字]

佐川夏江は、人気弁護士・高梨公子の講演会で、迷いなく老後の生き方を語る高梨に、大勢の前で反論してしまう。仕事がしたいと、昔フッた後輩・山賀に会いに行くが…

詳細情報
番組内容
夏江(松坂慶子)は、姉の信子と一緒に人気弁護士・高梨公子(風吹ジュン)の講演会に出かける。同年代ながら迷いなく「老後の生き方」を語る高梨に、大勢の観客の前で思わず反論してしまう。そして悩んだ末出世した後輩の山賀に会いに行く。自分にも仕事ができないかと相談しようと思ったのだ。しかし、山賀の妻・佐保子とも出会い、第一線で活躍する彼女を目の当たりにして、自分の平凡さを思い知らされる。その帰り道…
出演者
【出演】松坂慶子,風間杜夫,藤田弓子,平田満,須藤理彩,小倉一郎,風吹ジュン,余貴美子
原作・脚本
【原作】内館牧子,【脚本】真辺克彦,小嶋健作,大島まり菜

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

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キーワード出現数ベスト20

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  3. 趣味
  4. 山賀
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  13. 結婚
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  20. 質問

解析用ソース(見逃した方はネタバレ注意)

   ごあんない

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(テレビ・司会者)
山賀さん また生まれ変わっても

この人生を送りたいとお思いですか?

(テレビ・山賀)
はい。 何度でも 永遠に。 フフフ…。

(信子)ああ~ 見た見た その番組。

世界的な造園家とか何とかって。

(夏江)あの人 実は和幸とつきあう前

私のこと好きだった人なの。

え… あっ!?

じゃ 造園家が失恋した相手って
あんただったの!?

結婚して名字が変わってたから

すぐには分かんなかったんだけど。

じゃあ その人が勤めてた会社って…。

そう 同じ会社。

はあ… 夏江 すごいの振ったもんだね。

うん…。
結構相手としては 条件悪かったから

迷うことなく 和幸を選んだんだけど。

それで正解よ。 それとも後悔してんの?

そりゃあ あの時 和ちゃんが
あんなこと しでかさなきゃさ。

今頃 あんたも
おほほ~ なんていう感じで

重役夫人になってたろうけどさ。

あれくらいの事故で済んで
もうけもんだよ。

それより 私が腹立ったのはね
和ちゃんが 会社辞めたことだよ。

我慢すりゃ
定年まで いい給料もらえんのにさ

一流企業のサラリーマンの
プライドだか何だか分かんないけど

辞めて翻訳のバイトって
何考えてんだって話じゃない。

分かったから。
もうその話は蒸し返さないでよ。

そもそも 私がその人とつきあってたら

彼は 北海道に帰らなかったわけだし

造園家としてだって
成功なんかしてないわよ。

サラリーマンじゃ
出世するタイプじゃないから

もし 結婚してたら

借家で つつましげな老後を
送ってたんじゃないかな 私。

つつましげ。 何かトゲのある言い方ね。

別に お姉ちゃんとこの話
してんじゃないわよ…。

あれも 人生の
ターニングポイントだったのかしら。

やっぱり未練があったんじゃないの。
心残りプンプンよ。

そうじゃなくって

私も 千葉大行ってたら…
まあ 世界的な造園家は無理としても

都市とか 公園とかの
緑地デザイナーとか

植物の専門家になってたかもなって…
思ったりして。

それが 未練だっていうの。

≪(ドアが開く音)
(ミキ)はい はい はい。

ああ~ ナッツ来てたんだ。
ピザ買ってきたから一緒に食べよ。

私はいい。 胃もたれする。
ええ~。 私も。

そう? じゃあ
一人で2つ食べちゃお~。
フフフ…。

え~ 何で2枚?
1枚買えばいいんじゃん。

テイクアウトにすると
もう一枚タダでついてくんの。

余ったら冷凍しとけばいいし
お得じゃん?

ミキ 週に何回ここに来てんの?

隙あらば来てるよ。 フフフ…。

2人して何の話してたの~?
深刻な顔して~。

フフフ。 夏江のね 昔の男の話。

え~!? 聞きたい 聞きたい!

変な言い方しないでよ。
そんなんじゃないから。

もしかして この間 言ってた

今度生まれたら 和幸おじさんとは
結婚しないって あの話の続き?

うん そうよ。 フフ…。

選ばなかった人生の影を
ず~っと引きずってんの この人。

いいじゃない別に。
言うだけはタダなんだから。

あっ! じゃあさ…

これ 行ってくれば?
ん?

ああ この人 テレビで見たことある。

高梨公子って弁護士でしょ?

何年か前から コメンテーターで
よくテレビ出てるよね。

そう。 私 この人の言ってること
結構 好きなんだよね。

教育とか女の生き方とか。

で この講演会の
女性50組無料ご招待っていうのに

ダメもとで 応募してみたの。
え… 当たったの?

うん! でもさ~ 私 その日
どうしても仕事で行けなくって。

だから ママとナッツ
2人で行っておいでよ 来週の土曜。

いいわよ 私は。

せっかくだし 無料だし
行ってみようよ。

この高梨って人と私じゃ
生きてる世界が違いすぎる。

話聞いても参考にならないと思う。

高梨公子って 確かナッツと同い年だよ。

えっ!
えっ!? 70!

見えないわね~。
しかも 山高出身!

え… 山高って あの山高!?

私よりバカじゃん。

ありえない!
山高出て 弁護士になるって

スーパーのレジ打ちから
ノーベル賞もらったのと同じだよ。

きっと死ぬほど努力したんだよ~。

ねっ ねっ ねっ 夏江。 行こうよ。

成功する人には
成功する理由があるんだから。

たまには こういう人の
ありがたいお話聞いて

謙虚にならなきゃ。

そうしたら あんただって
少しは楽になれるって。

う~ん 行けたら行くわ。
まだ パートのシフト決まってないし。

何読んでるの?

(和幸)ありんこ仲間に勧められて
図書館で借りてきた。

高梨公子 意外と苦労人なんだなあ。

なかなか いいこと書いてあるよ。

(せきばらい)

「本当の不幸とは
可能性がないことではありません。

親から与えられた可能性を試すことなく
殺してしまうことです。

自分の進むべき道に自分でふたをして
あとから振り返ったとき

取り返しがつかないという思いに
囚われることです」。

やっぱり 男社会を生き抜いてきた人は
言葉に重みがあるな。 美人だし。

ふ~ん。

どっかで見たような 常とう句ばっかり。

こういうのが 万人受けするのかもね。

年寄りのガス抜きでしょ これ。

素直じゃないな お前は。

あっ これもモラハラか。

今更 変われないのよ 私たち。

そりゃ違うと思うな。

70という数字に
うろたえてる暇があったら

こういうのを読んで ちょっとは
この人を 見習ったら?

山登りして若返ったつもり?

私はいいの 平凡で。
可もなく 不可もなく 平穏に暮らせたら。

うそつけ。 口ではそう言ってても

平凡をバカにしてるんだよ
お前は。 夏江は。

あなただって バカにしてたじゃない。

この20年で あなたも
すっかり なじんだけどね。

可能性なんてもんは
どっかいっちゃってさ。

私が園芸のバイトしたいって
言った時だって

あなた反対したでしょ?

あの時は 剛が中学生で
健は小学生だったんだぞ。

30年も前のこと 持ち出すなよ。
私にだって可能性があったってこと。

何の?

(ドアの開閉音)

♬~

(司会者)
女性弁護士が まだ少なかった時代に

ジェンダー差別 不当労働や生活保護など
弱者の立場に寄り添って

人権の回復にご尽力されました。

現在は コメンテーターとして
数々のテレビ番組にご出演。

活躍の幅を広げていらっしゃいます。

それでは 拍手でお迎えください。
高梨公子先生です。

(拍手)

(拍手と どよめき)

(高梨)高梨公子です。 今日は

わざわざ お越しくださいまして
ありがとうございます。

こういうところに立ちますと
毎回 緊張してしまいます。

今日は どうぞ
お手柔らかに よろしくお願いします。

(拍手)

質疑応答の時 マイク渡して。
分かりました。

つまり 人生百年時代の今
前期高齢者の65歳なら

残り35年もある若さです。

後期高齢者の75歳なら 残り25年。

25年といえば
生まれたばかりの赤ん坊が

親になっていても
不思議ではない年月ですよね。

35年ともなれば
ピ~ピ~泣いていた赤ん坊が

課長になって 部下に指示していますよ。

人生を振り返って
ああでもない こうでもないと

文句言っていても
しかたないと思うんです。

今日から 具体的に考え 動きましょう。

何かを成しえる時間が 皆さんには まだ
残されているんです。

(小声で)山高出身とは 思えないわね。

(高梨)
エンディングノートや 断捨離中心では

あまりにも もったいない。

(拍手)

先生 ありがとうございました。

人生百年の時代を どう生き抜くか

皆さんの参考になる
お話だったと思います。

少しでも お役に立てれば
うれしいですね。

(司会者)次に 質問のお時間に
移らせていただきます。

先生にご質問のある方
どうぞ 挙手をお願いします。

では 一番初めに手を挙げられた方。

どうぞ ご起立ください。

(信子)ちょっと 何言うのよ…。

佐川夏江 70歳。 専業主婦をしております。

今日は先生の生の声を聞けて
とてもよかったです。

ですが 率直に申しますと 内容は
いささか 期待外れでした。

今日おっしゃったことは こちらの
先生の著書に全て書いてあります。

それだけじゃないお話を
伺うために来たのに 残念です。

え~…。 「年齢は関係ない」
「まずは始めてみること」

「何かを始めようと思った時が一番若い」。

新聞の折り込みチラシなんかにも
書いてあるような

こういった 先生の教え文句に
勇気づけられる高齢者は

大変多いと思います。

ですが 口当たりのよい言葉ほど
具体性に乏しいんですね。

今日挙げた 4つの例は その第一歩として
とても大切なことですよ。

学校に行け ボランティアをしろ
趣味を持て 資格を取れ。

それは そのとおりですが
使い古された言い回しといいますか

はっきり言って 耳タコです。
(笑い声)

佐川さん でしたね?

メディアにしても 講演会にしても
不特定多数を前に語る場合

一人一人に「油絵を始めたら?」
「どこ大学へ入ったら?」などと

具体的に提案することは
できませんよね?

ですから できるだけ多くの方の

背中を押せそうな言葉を
よりすぐって お伝えしているんです。

それは お分かりになりますよね?

はい。

つまり 具体的な生き方は
個人個人が自分の状況を考え

自分で決めることです。

私の言葉によって 皆さんが
今の現状から飛び出すか 否かは

最終的には 個人の考えであり 決断であり
行動だと思っています。

具体を示してほしいって
言ってるんじゃないんです。

高齢者は ボランティアや趣味や
カルチャーに通う以外

残りの人生の役立て方は
ないのでしょうか?

私たち おばあさんやおじいさんに
対しての世間は

いいから趣味をやらせとけ
趣味がないやつには 持たせろ

みたいな風潮になってる気がして
ならないっていうことを

申し上げたいんです。

うん… 世間の見方を勝手に決めつけては
いけませんよ。

趣味にしても 毎日の暮らしを
大変 豊かにしてくれますし

自己の肯定感を高める
きっかけにも なるんですから。

それを先生は むなしいと
お感じになりませんか?

この先 世の中の役に立つか
どうかも分からない

資格を目指したり
趣味をしたりしても

自分で自分のお守りを
してやってるようで

むなしいと感じる私は
間違っているのでしょうか?

余生を 余裕を持って楽しめるのは
それまでに 先生のように

充実した仕事を存分にされ
社会的地位を獲得した方の

特権だと思います。

私たちのように
大した刺激や満足を

うることのない
人生を送ってきた人間には

縁遠い話です。

お言葉ですが 先生は 私たちのことが
分かってらっしゃらないのでは?

あの そろそろ…
質問時間も切れますし…。

先ほどから聞いていますと
佐川さんは

今の自分 暮らし 世の中に
絶望しているんじゃないかしら?

絶望 ですか?

70歳の今の同じ暮らしが

死ぬまでずっと続くと
決めつけてらっしゃる。

それ 生きることへの絶望ですよね。

だから 高齢者への世間の目も
勝手に絶望的に決めつけてしまうんです。

そりゃあ むなしさに襲われて
誰だって生きるのが嫌になりますよ。

人生は 先が分からないから いいんです。

そりゃ悪いことも起こるでしょう。

でも そこを考え絶望していることこそ
人生の無駄です。

とにかく 楽しんで生きるためには
自分から動く 何かを始める

そこに年齢は関係ありません。

耳にタコでも これ一つなんです。

人生は 先が見えないから面白いと
おっしゃいますが

じゃあ 先生がこの先 弁護士を辞めて
別の仕事に就いたり

講演やコメンテーターをやめたり
されるでしょうか?

きっとこれからも
悠々自適にお金を稼いで

今の生き方の延長を
されるだけのような気がします。

人は容易に変わらないし
ましてこの年で

先が見えない生き方は
選択しないのではないでしょうか?

え~… 先生もお時間がございますので
今日はこの辺で…。

私はいいのよ。

こんなふうにおっしゃる方に 会えて
私もうれしいですから。

もう少し やり取りしましょうか。

ありがとうございます。

うん。 私だって この年になれば

先が見えない生き方はしないのではないか
というご質問ですよね。

いいえ。 今までの私の経験から
そうお答えします。

ああ…。

昔話になりますが 26歳の時に
仕事か結婚かの2択を迫られました。

いろいろな事情が重なって
その人と結婚すれば

駆け出しだった弁護士の仕事を
諦めなきゃいけなかったんです。

彼との子を妊娠していましたが
一人で育てていくことを決め

キャリアを優先しました。

両親が子育てのサポートを
してくれたおかげで

仕事と育児をこなせましたが
娘から父親を奪ったことには

変わりありません。 その責任を
仕事で果たしていこうと

あのころは がむしゃらに働きました。

つまり 言いたかったことは
困難を伴った道だったとしても 私は

自分自身が納得のいく選択を
してきたつもりです。

ですから これからも
今よりもっと充実できる 何かがあれば

そちらを選択するでしょう。

よ~く分かりました。
先生は ご自分の人生を

ご自身の意志と努力で
切り開いてこられた。

私のように
後悔まみれの年寄りの気持ちを

分かっていただこうとしていたことが
間違ってました。

あ… 私にだってありますよ
後悔していることは。

例えば?

でも そんなこと うじうじ悩んでも
しかたないでしょ。

残りの人生 後悔に費やすより
目の前のできることをやるんです。

分かってます。 分かってるから
苦しいんじゃないですか。

最後に 一つだけ
教えていただけますでしょうか?

どうぞ。

先生は
社会から たくさんの仕事を求められ

お忙しい毎日です。

しかし もし それらがすっかりなくなり
どこからもお声がかからなくなった時

趣味や読書だけで
満たされるものでしょうか?

お話ししてきたとおりです。
私は満たされますね。

うん。 今からそんな毎日が
楽しみだけどな。

長時間 おつきあいくださいまして
ありがとうございました。

こちらこそ。

それでは これで
締めさせていただきたいと思います。

(信子)あの~…。

あ… すいません。

先生 それでなくとも
お時間が延びてしまっておりますのに

大変 申し訳ございません。

先生のお話で 会場の皆様も
気づかれたと思うんです。

お礼を込めて
これだけは言わせてください。

これまでの人生を どうしても
誰かのせいにしてしまうってこと

あると思うんです。 例えば
お金のせいに 夫のせいに 子供のせいに。

もちろん
その影響もあるとは思うんですが

でも やっぱり
自分のせいが一番なんだって

気づかさせてくれました。

そんな暮らしだったとしても
工夫して

自分なりの一歩が
踏み出せたはずなんです。

でも そうしなかった。

だから それでね あの…
あっ 何言いたかったんだか…。

(笑い声)

あっ そうそう。 あの 最近ね 私

趣味で編み物を始めたんです。

それで なかなか自分でも
よく出来たって思った チョッキを

夫にプレゼントしたんですけどね
お尻に敷いて

ああ 座り心地がいいなあ~ なんて。

形が ちょっとヘンテコでね。
座布団だと思ったらしくて。

(笑い声)

そんな 私なりの一歩ですけれど
趣味にまい進して これから頑張ります。

ありがとうございました。

(拍手)
ありがとう。

信じられない…。
大先生にケンカ売って。

あれでも だいぶ 猫かぶって
かなり遠回しに言ったんだけど。

今日 よ~く分かったよ。

あんたは 千葉大に行けたのに
行けなかったってこと

それを 70になって
火が出るほど悔やんでいる。

和ちゃんの反対を押し切って
園芸のバイトでもすればよかったって

今でも悔やんでる。
だから今日だって かみついたんだ。

悔やんでる限り 絶望の毎日だよ。

同感。
じゃあ 趣味を持ちなさい。

耳タコだろうけどね
それしかないの。

お姉ちゃんも見たでしょ?

私が最後の質問をした時
大先生の顔色が変わったの。

気づかなかった?
特には。

あの高梨公子でさえ
仕事がなくなることを恐れてるの。

いや むしろ 今でも現役だからこそ
用済みになって ただの年寄りになる

イコール 絶望の毎日ってことなのよ。

ってことはさ やっぱり 仕事なんだって!

あのね うちの旦那だって
年のせいだけで リストラされたんだよ。

あんたみたいな専業主婦に
そんな仕事なんか あるわけないじゃない。

私には
山賀敏男っていう 絶好のコネがある。

それって あんたが振った?
有名人の?

私も少しは園芸ができるし
動くしかない。

夏江… 少し冷静になろう。
あんたが 彼と会ったのは何年前?

ほぼ半世紀前。

だよね~。
昔振られた ピチピチの20代の女が

しわくちゃの70女になって 突然現れたら
相手はどう思う?

それで 更に仕事が欲しいって
ねだってきたら

まともな人間なんか
あんたのこと相手にしないよね?

でも 彼にとって私は
憧れの今井先輩であり

手ひどく振られた年上の女なの。

つまり アドバンテージは
かなりこっちにあるわけ。

聞いてた? 私の話。

私は かっこいい今井さん
でなきゃいけないの。

若い時より深みを感じさせ
しゃれて あか抜けてなきゃいけない。

だから ああ 今井さんは
こうなっちゃったんだって

幻滅だけはさせちゃいけないの。

そうだよ。 だから 絶対やめた方がいい。

だけど もう前に出るしかないの。

みんなが老後だと思ってる70でも

私は趣味なんかに生きたくない。

彼に会う。 彼に会って仕事を頼む。

もう決めたの。

私の人生は誰のものでもない
私のものだから。

そっか…。

あんたって本当に強情だね。

芳彦の友達にね 中学出て
プロのボクサーになった人がいるのよ。

私 ボクシングのことは
全然分からないけどね

彼は ジムの会長に
いつも言われてたんだって。

相手からパンチを受けないように
よけてると 間違いなく

相手からのパンチは当たらないから
え~と ダメージは ない。

だけど よけるってことは…。

前に出ないから
自分のパンチも相手に当たらない。

そのとおり。 だから 勝てない。

彼と会う時 この言葉胸に刻まなきゃ。

ありがと お姉ちゃん。

ゴリ押ししちゃダメだよ。

ちゃんと 場の空気読んで
無理だと思ったら引き下がるんだよ。

私は 大丈夫…。

私は 大丈夫…。

私は 間違ってない!

私は 正しい!

あっ! ハア ハア…。

(荒い息遣い)

≪(ドアの開閉音)

(由紀)今日 講演会だったよね?

あ~ ごめん 急に呼び出したりして。
お仕事だったんでしょ?

うん。 近くの出版社に 原画届けてきたの。

夕方までに 印刷所 出さないと
来月号に間に合わなくって。

ご所望のたこ焼き
買ってきましたよ のんき屋の。

何があったの?
うん?

質疑応答でさ 久しぶりに
パンチ繰り出してきた人がいてさ。

はあ~。
で…? それで

同い年の専業主婦なのよ。
おお~。

私の言ってることが きれい事だとか
世間一般の意見が分かってないだとか

いちいち突っかかってくるのよ~。
あれは 相当屈折してるね。

結果は?
ドローよ。

私はチャンピオンだから
タイトルは移動しない。

まあ でも お母さんに挑んでくるなんて
大したもんなんじゃない?

男にぶら下がって暮らしてきたの
棚に上げて

今更 社会から求められようなんて
虫がいいって。

いや~ あんな妻が家庭にいたら
夫は息抜きできないな。

やめなよ そういうの。
名誉男性っぽいよ。

うう~ん
それだけ厳しい道をやってきたの。

まあ 自覚あるわけだ。

頭がね 追いつかなくなってきたら
私も潔く引退するつもりだけど

今の仕事がなくなったとしても
私は怖くない。 自信ある うん。

そこ 突いてきたわけだ。

趣味に読書にって 自分で自分のお守り
するようになったら

私も同じむなしさを感じるはずだって
そう言うのよ。

うん
共感してほしかったんでしょうけどね。

(由紀)まあ でも その人の言うことも
一理あるよね。

みんなそれぞれ一理あるの。

フフフ…。
ねえ。

はいはい~。
はい~。

よいしょ。
あっ いいね。

ねえ。
うん? いい人いないの?

え? もう何かね
この年になると

出会い頭とかじゃないと
無理かも。

あ~? 家に籠もって
イラスト描いてたんじゃ

出会いはないわね~。

ん~!
アハハッ!

あっ それいいな! いいな!

いい?
ウフフフ…。

(マナ)これママのために買ったんだよね?
うん。

かわいいね。
でしょ?

悪いわね~
それ途中で放り出しちゃったのよ。

小学生の時に うちのクラスで
リリヤン はやって

女子同士で 見せ合ってたの。
それから編み物 ちょっとやってて。

へえ~ 古風なことしてんのね。

もうね マナやっといてよ
やっぱり私に向いてない。 フフフ…。

ふ~ん 高梨公子相手に
ナッツがねえ。 講演会でねえ。

そこまでやらかした…。

それでさ 高梨先生も
仕事なくなるのビビってたって

意気込んじゃって。

昔 振った男がね
超有名造園家になってるからって

仕事頼みに行くって言うんだよ。

もう どんどんやれやれって
お尻たたいちゃった。

ナッツも大概だけど
なげやりになるのもよくないよ。

妹ながら 相手にするの
面倒くさくなってきた。

年取るごとに
やっかいになってきてるよ~ あの子。

♬~

<パンチを当てるには 前に出なきゃ>

私 山賀社長の古い友人ですが

社長にお会いしたくて
お電話いたしました。

平新電器でご一緒だった
今井夏江と申します。

旧姓ですが はい。

またジョギング?

今度登る山は 割と勾配がきつくてね。

少しでも体力つけるためには
日々のトレーニングが欠かせないんだよ。

夜道 危ないんだから
転んだらどうすんのよ。

分かってないなあ~。
昼間は人通りが多くて 走れっこないだろ。

何?

あなた 帰ってきても
汗一つかいてないじゃない。

年のせいかな。
昔より汗かかなくなったよね。

怪しい。 女が出来たら言ってよ
私 隠し事嫌いだから。

ハハハハ! バカバカしい
そんな年じゃないだろう。

年は関係ないわよ。

浮気相手の家で
シャワーでも浴びてんじゃないかしら。

何 妄想してんだ。

行ってくるよ。

おい 電話。

(ドアの開閉音)

もしもし 佐川でございます。

(山賀)小野です。 今井さんですか?

ええ 随分と 久しぶり。

(山賀)お電話頂いたそうで
びっくりしました。

こうやって話してても
何だか信じられなくて。

私も。 元気?

(山賀)ええ 年は取りましたけど。
今井さんも お元気そうですね。

たまたまテレビを見てて
あっ 小野君が出てる… って。

(山賀)見てくださったんですか!

おかげで 何十年ぶりで
連絡 頂くんですから

テレビって出るものですね。
本当ね。

いつまで? 東京。

(山賀)しばらくは 東京です。
あら 結構ゆっくりね。

(山賀)ええ。 会議とか
展示会の相談はありますけど

それほど時間に追われてないというか…。

小野君 よかったら
ご飯でも食べましょうか。

(山賀)いいんですか!?
もちろん。

(山賀)じゃあ 僕が
東京に来る度に行く店でどうですか?

デザインを任された店なんです。
お任せするわ。

(山賀)今出てるのが僕の番号です。

例えば 6日とか7日
えっと 時間は…。

あっ ちょっと待って。

あっ…。

どうぞ。

うん…。

じゃ 楽しみにしてるわね。
それじゃあ。

いらっしゃいませ。
いらっしゃいませ。

佐川です。
お待ちしておりました。 どうぞ。

ああ…。 小野君?

(山賀)あ…。
また会えて うれしいわ。

感無量です。
よくいらしてくれました。

ああ…。

フフ…。

座っていい?
あっ すいません…。

高ぶっちゃって…。

いいお店ねえ。 ああ… すてき。

メンバー制ですから
混雑しなくて ゆっくり話せます。

これをデザインされたのねえ。
ええ。

んん~ もう この世のものとは
思えないほど おいしいわ~。

ハハ…。 変わらないなあ。

昔から何でもおいしいって 社食の
たま丼まで 褒めてました。

たま丼って 卵と ねぎと
紅白かまぼこだけの

しょぼくれた 激安メニューでしょ。
60円の。

アハハハ。
いいな~と思って 見てました 僕。

いや~ね~ フフフ…。

ご主人 お元気ですか?
うん。 元気 元気。

早期退職して 前からやりたがってた
翻訳の仕事が忙しそう。

学生時代から 英語が得意で
ずっと憧れてたみたい。

そうでしたか。 自分を引き合いに
出すわけじゃないですけど

やりたい仕事がやれるのは
幸せなことですよ。

小野君 昔の会社の人とは
おつきあいないの?

ないんです全然。 ロンドンが長くて
あとは札幌ですから。

今井さんが初めてです。
今井さんは? 私も全然。

ウフフッ…。 何だか不思議。
何がですか?

今井さんって呼ばれること
もう何十年もないから

ああ そういえば 私は
今井だったんだなあって。

名前 取り戻したような気分。

僕もです。 結婚して
山賀って名字が なじんじゃったのに

あなたに 小野と呼ばれると
むしろ しっくりきてます。

じゃあ 小野君に質問。
はい。

仕事が忙しいだろうけど
趣味ってある?

趣味の園芸が仕事になっちゃって
境界線が曖昧なんですけども

趣味って聞かれたら 園芸しかないんです。

私もよ。

夏江さんは
緑の指を持ってるんですもんね。

うちの会社にも そんな人がいたらなあ~。

よしてよ~ 下の名前で呼ぶなんて。
フフ…。

あ… ごめんなさい。
少し酔ったのかな。

でも 夏江さんみたいな人が

うちにいてくれたらっていうのは
本心です。

(せきばらい)

まあ 私も そんなふうに言われると
うれしいな~。

お待ちしておりました。
(佐保子)ありがと。

あちらでございます。

今井さんですよね?
山賀の家内です。

あっ…。
あっ そのままで。

そうだ。 君 仕事が早く終わったら
来たいって言ってたもんね。

これだもの。 何回も言ったわよ。

主人は お会いすることに舞い上がって
人の話なんか 全然聞いてないんですよ。

ああ…。 はじめまして。

今井でございますが 今は佐川と申します。

奥様にまで お会いできて
本当にうれしいです。

私もです。 主人が若い頃に

お世話をおかけいたしました。

ああ…。

奥様のお名前 もしかして

佐保姫から
お取りになったんじゃありませんか?

うれしい! 主人が言ったとおりですわ。

そうなんです。
私 春に生まれたものですから

父が佐保姫から取って。

造園業をされてますので
由来は 春の野山を創造する神

佐保姫じゃないかしらって
あてずっぽうですけど。

あなたが
どれだけ 園芸に造詣が深くて

特別な人なんだということを
妻には言い含めてたんで。

私も同じものを。
かしこまりました。

奥様すごいですね。 樹木医なんて。

どんなお仕事なさってるんですか? 今。

いくつかの公園や
街路樹の桜に関係してますけど

若い樹木医たちとチームを組んでますので
私はそれほどのことは してないんです。

僕の仕事のバックアップもサポートも
これまで随分やってもらったんで

これから もっと
樹木医の仕事がしたいなんて

近頃は ぼやかれてます。 へへへ。

あ… ごめんなさい
夫が早めに帰ってきたらしくて

そろそろ 失礼します。

奥様 中座して申し訳ありません。

久しぶりに会えて 楽しかったわ。

僕もです。
是非また お会いしましょう。

あの お勘定を。

再会を祝して ここは僕が出しますので。
お気遣いなく。

でも 私が誘ったんだし…。

主人に かっこつけさせて
やってください。

あ… 分かりました。
じゃあ 次は 私のおごりで。

では 失礼いたします。

<私の無謀なチャレンジは
パンチを出す前に終わった>

<完敗だった。 高梨公子と同じように

年老いても充実した仕事を持つ
山賀夫妻と

何も持たない自分との差を
圧倒的に見せつけられ

自分は どこにでもいる
ありきたりな一般バアサンなのだと

認めざるをえなかった>

♬~

運転手さん 次の信号ね
右に曲がってください。

あっ はい。

♬~

う… 運転手さん ちょっと 止まって。
あっ はい。

ハハハ…。
うちに帰るのが怖いんだって。

怖い?
おろそかにしてきたのかなあ

知らないうちに。
本当にそれでいいの?

私は お義母さんみたいには
なりたくないです。

♬~