ドラマ 今度生まれたら(5)[字]…のネタバレ解析まとめ

出典:EPGの番組情報

ドラマ 今度生まれたら(5)[字]

講演会で夏江(松坂慶子)の反撃にあった弁護士の高梨公子(風吹ジュン)は、夏江の言葉が気にかっていた。一方、夏江の姉・信子夫婦がまさかの事態に直面していた。夫が…

詳細情報
番組内容
講演会で夏江(松坂慶子)の反撃にあった弁護士の高梨公子(風吹ジュン)は、娘の由紀と一緒に、元恋人で由紀の父親・荻野が入院する病院に出かける。荻野は余命いくばくもないという。結婚を選ばなかった自分の選択が間違っていなかった、それを娘の前で荻野に伝える機会でもあった。夏江の言葉が公子にはひっかかっていたのだ。一方、夏江の姉・信子夫婦がまさかの事態に直面していた。あの夫の芳彦が…
出演者
【出演】松坂慶子,風間杜夫,藤田弓子,風吹ジュン,篠原ゆき子,斉木しげる
原作・脚本
【原作】内館牧子

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

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キーワード出現数ベスト20

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解析用ソース(見逃した方はネタバレ注意)

   ごあんない

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(高梨)それでね 今は 緩和ケアを
受けているそうなんだけど。

いわゆる終末期医療ね。

痛みを感じないように
強い麻酔を投与しているみたいだけど

まあね 会いに行ったところで
向こうには 分からないだろうけど…。

どうする? 最後に 会っとく?

(由紀)前に会ったのって いつだっけ?

あなたの高校の卒業式。

25年前か…。 正直 顔もよく覚えてない。

私にとっては
とっくに縁の切れた他人だけど

あなたにとっては 父親だから。

お母さんは どうするの?

う~ん。 由紀が会いたいなら 私も行く。

ずるいよ。
お母さんが どうしたいのか聞いてるの。

私を言い訳にしないで。

うん…。

(夏江)はい どうぞ。
(ミキ)やった~!

律儀に送ってくれるのよ。
お~う。 パパの大好きな

ハムの詰め合わせ。
イクラの人? 久保さんだっけ?

ううん 違う人。 和幸の会社の元同期。

へえ~。
(信子)いいの? こんなに高価なもの。

2人だと持て余しちゃうから
遠慮しないでもらってよ。

ナッツ いつもありがとう。

芳彦 喜ぶわ。 あの人 ハムさえあげとけば
機嫌がいいから。

あの年でハムだから。 ハム彦だから。

ちょっと 言い過ぎ。
フフフフ。

芳彦さん どうしてるの?

ボランティア。
同窓会でね

久しぶりに会ったクラスメートから
手伝ってくれないかって

頼まれたんだってさ。
ほら 老人ホームとかで使う

遊具の消毒したり
簡単な修理したりしてんだって。

まあ ボランティアだから
お金は出ないんだけどね。

へえ~ 芳彦さん
やること出来て よかったじゃない。

フフ。 そのね 同窓会のことで
思い出したんだけどね

バンビが来たんだって。
バンビ?

うん。 あだ名。
あんたに似た したたかな女よ。

人聞き悪いわね~。

クラスの男子がね いつの間にか
バンビ バンビって呼ぶもんだからさ

あ… 確かに バンビだった。

目がクリクリしてね
それで まつげなんか こんな長くて

細くて 甘い声。

もう かわいい かわいい。

あっ… いやん 欠けちゃった。

だけどさ 女に嫌われる女でね

いつでもね これ見よがしに
お弁当 スプーンで食べるんだよ。

それでね「バンビ お箸持てないの~」
って言うの。

それからね バカな男たちがね
寄ってたかって

鉛筆2本で こう 教えるの。
そしたらね

「お箸って 開くの難しい」って甘え声。

(ミキ)フフ。 典型的な ぶりっ子。

あれはね 夏江以上の
猫かぶりだと思うね。

多分ね
化け猫 1, 000匹は かぶってたよ。

その人 今どうしてんの?

何か うまいことやって
金持ちのジイサン捕まえて

セレブ生活してるみたいよ。

バンビみたいに
仕事しなくていい人生って楽しいのかね。

よし これに チーズとトマト合わせて
ツマミにし~よう。

ねえ どうなの? 園芸の仕事って。

うん 思い切って頼んで よかった。

人生 何があるか分からないから
面白いのよね。

(芳彦)ふう~。 はい はい はい はい。
フフフフ…。

いや~ 最近 近くって トイレが。
アッハッハッハ…。

(芳彦)すいません 同じの!
(店員)はい!

(和幸)
ちょっと ペース早いんじゃないすか?

(芳彦)エッヘッヘッヘッヘ いいんだよ!
味わって飲むような酒じゃないから。

それにね 今の時間帯は安いんだ。
ハハハハハ…。

いや~ でも うれしいよ。
久しぶりに 和ちゃんと飲めて。

和ちゃん 下戸だし 誘いにくくって。
アハハ。

あっ そういえば芳彦さん
来年 金婚式ですね。

えっ そうだっけ?
うん。 うちは1年あとだから 再来年。

金婚式って何年だっけ?
50年。 半世紀です。

そうか~ 50年か~。
フフフフ。

不思議な縁だね。
お互いの嫁が姉妹じゃなかったら

俺なんかが 和ちゃんと こんなふうに
飲むことなんて なかったんだろうね。

まあ それを言や 結婚だって同じですよ。
たまたま出会った相手と何十年も。

みんな 当たり前のように
夫婦やってるけど 奇跡だね。

ハハハ。

(店員)お待たせしました~。
あ~ ありがと ありがと。

空いてるグラスお下げします。
はい。

ああ~!

俺さ 酔っ払ってるから言うけど

ずっと気後れしてたんだよね
和ちゃんに。

ええ?
ほら 和ちゃん

俺なんかと違って エリートだしさ

もらった お中元とか お歳暮とか

いつも 夏江ちゃんが
うちに持ってきてくれるじゃない。

ああいうのもさ
えらい高級な食いもんを

いつもニコニコ受け取って
ありがたがってるとか思ってない?

ほら お取り寄せ?
おもてなし? お仕着せ?

お裾分け… かな?
そう それ! ハハハ!

いや ありがたいとは
思ってるんだよ もちろん。

けどさ 俺なんか もらうばっかしで
お返しするもん 何もないからさ。

もらう度に ちょっとずつ
たまっていっちゃうわけよ 心の負債がさ。

あげるばっかりの和ちゃんには
分かんないかもしれないけど。

お返しだなんて そんな他人行儀な。
親戚じゃないですか。

本当に そう思ってる?

ええ。 僕だって 芳彦さんから
いろいろ もらってますよ

有形無形の いろいろと。
持ちつ持たれつじゃないですか。

俺 和ちゃんのためになってる?
必要とされてる?

もちろんです。
例えば?

ああ… ウーロン茶。 ホットで。
(店員)はい。

ほら 剛も建も まだ小さかった頃
よく預かってくれたじゃないですか。

あ~ あったね~!
男の子はいいよね~。

いや 娘もかわいいけどさ ここだけの話
俺 本当は男の子が欲しかったの。

ベタだけど
一緒に野球とかやりたかった。

娘は信子に似て
俺のことを 下に見てるしさ。

そんなことないですよ。
芳彦さんの思い違いです。

そうかなあ~。

いや でも ありがとう。
やっぱり 和ちゃんは人間が出来てる。

そういうとこに
俺また 気後れしちゃうんだよな~。

でも あいつ 信子はさ
俺に興味なくなってんだよね。

実は この間の同窓会で再会した
クラスメートから 仕事っていうか

ちょっと 手伝い頼まれたんだけど
それ誰なのって 聞きもしないんだよ。

信子さんは それだけ芳彦さんを
信用してるんですよ。

俺の何を信用するの?

俺のこと 足軽程度にしか
思ってないと思うよ。

いや 違いますよ。 家族を養って
無難に人生を渡り歩くって

すごいことじゃないですか。

無難ねえ。

波乱万丈じゃないけど

そんな楽な生き方は
してないつもりだけどなあ。

いやいや そういう意味じゃ…。

つまり 安定感があるっていうか。

意外性がないってんでしょ。 ヘヘヘヘ。

分かってるよ 自分のことは。

高く飛べない分 転んでも
すぐ起き上がれるのが 俺の取り柄。

ヘッヘッヘッへ。

すいません 変な言い方しちゃって。

和ちゃんのそういうとこ いいね~。

エリートなのに たまに うかつなとこ!

(2人の笑い声)

あ~ ちょっと トイレ
最近 近くって。

(芳彦)ありがとね 和ちゃん!
また飲もうね! (和幸)はい。

(芳彦)絶対だよ! (和幸)はい。
持ちつ持たれつだから!

アハハハハ。 じゃあ
夏江ちゃんに よろしくね!

うん。

気をつけて。
じゃあ じゃあ!

運転手さん。 はい。
行き先 変えてもいいかな?

どちらへ?
とりあえず まっすぐ行ってくれるかな。

はい。

(長岡)しかし 偉いよな。

俺らの同期じゃ
まだ現役でやってるの 高梨だけだよ。

長岡さんも 弁護士なんですか?

いや 俺は司法試験 受かんなかったから
潔く諦めた。

えっ? 仕事 何だっけ?

え~ ひどいなあ。
市会議員つったろ 東村山の。

もう 引退したけど。

え じゃあ 今 何やってんの?

孫の子守だよ。
孫が相手してくれてるとも言えるけどな。

(由紀)フフフ。

あちっ あちあちあち…。
すいません。

ありがとう。
あちあちあち…。

はいはい…。

お母さんとは
大学の同期なんですよね?
そう。

知り合ったのは 俺ら2人とも18で
大学入って すぐ。

と言っても 学生運動 真っ盛りで
せっかく苦労して 大学入ったのに

授業どころじゃないんだよ。

キャンパスは
バリケードで封鎖されるし

石とか火炎瓶とか
そこら中 飛び交ってて。

荻野さんとは どこで知り合ったの?
ん?

いいでしょ。
根掘り葉掘り聞かせてよ。

今まで ちゃんと
聞かせてくれなかったんだし。

学部の2年上の先輩で
彼は 長岡君と下宿が同じだったの。

それで 知り合ったの。
へえ~。

荻野先輩
バリバリ学生運動やってたけど

俺みたいなノンポリにも
気さくに接してくれてさ。

あっ そういえば 俺 一回だけ 先輩が
演説してるとこ見たことあるよ。

かっこよかったなあ。

こう たけりたった学生を前に
アジるわけよ 理路整然と。

あれには しびれたね。

お母さんも運動してたんだよね。

う~ん 組織には属してないけど
デモがあれば 参加してた。

俺は デモにも行かなかった
政治に興味なかったから。

けど 3人とも仲はよかったんだ。

そうだな~。 うん そうね。
(2人)フフフ…。

それで お母さんと荻野さんは
いつ つきあったの?

つきあうとか そういうんじゃなくて
たまにレポート見てもらったり

ジャズ喫茶に
レコードを聴きに行ったり…。

そのうち荻野が
私の部屋に転がり込んできて。

同棲だ。

彼 仲間に追われてたから。

えっ どういうこと?

仲間割れだよ。
いわゆる 内ゲバってやつだ。

大学にも行けないし
表にも出歩けないから

私が司法試験の勉強している横で
彼 ず~っと 本読んでた。

しんどかったろうな。

「帝国主義を打破せよ!」
一緒に叫んでた連中が

つきものが落ちたみたいに
背広にネクタイ締めて

就職してくんだからな。

まっ 大学卒業してサラリーマンになった
俺が言うのも何だけど。

そんな生活が何年か続いて
私は 大学を卒業して

司法試験に合格したあと

荻野が突然 千葉の田舎に帰って
農業やるって言いだしたの。

頭ごなしに押しつけたって
人の意識は変わらない。

自分が立ってる
足元の土から変えるんだって。

一緒に行こうとは思わなかった?
その時 おなかに私いたんだよね。

うん
来てほしいって誘われたけど 断った。

私は弁護士になりたかったから。

ねえ 荻野の仕事はうまくいってるの?

いや 最初は大変だったらしいよ。

無農薬の有機農法なんて
当時は変人扱いだからさ。

でも 最近じゃ
よその県からも視察に来てたそうだ。

へえ~ 時代を先取りしてたんだね。

高梨。 ん?
分かってると思うけど

奥さんには 大学の友人だって
話してあるから。 頼むな。

うん。
あっ そろそろ。

荻野さんは 大学時代の先輩で
大変お世話になりました。

(武)ああ…。

弁護士になる きっかけを
作っていただいたと思っています。

(真由美)まあ うちの人が…。

いや 昨日 私 高梨先生が
テレビに出てらっしゃるの見てたから

だから もう びっくりしちゃって…
ねえ?

おやじ ひと言も言わないから。

時々 お野菜を送っていただいて

娘もそのおかげで
大きくなったようなもので

だから どうしても
会ってお礼が言いたいって 一緒に。

来ちゃいました。
厚かましくて すみません。

これ よかったら。

ああ…。

いえ あの
わざわざ こんな遠くまで…。

会ってやってください。
うちの人も 喜びます。

バレてんのかな。

私たちだけにしてくれるなんて
変じゃない?

昔の同級生とかと 同席したって
話すことないからじゃないか?

うん そうよ。 勘ぐり過ぎ。

ここかな。

はあ… 本当に
おじいちゃんになっちゃった。

こんな顔だったっけ…。

何で 会いに来たのかな。
高校の卒業式。

何で それっきり
会いに来なかったのかな。

荻野君 私です。 高梨です。

俺 コーヒー飲んでくるわ。

お久しぶり。 長岡君から
連絡をもらって 会いに来ました。

由紀も一緒に。
由紀です。

(高梨)あなたが 最後に会った時

まだ高校生だったこの子が もう40過ぎよ。

どうりで年を取るわけよね。

あなたと別れたあと
この子を意地でも育てようとして

本当 苦労したわ。

後悔したこともあった。

だからね 由紀の高校の卒業式
あの時 あなたを呼んだのは

私が一人で育てたのよって
自慢したかったの。

承諾してくださって
ありがとうございます。

いえ。 この子も 納得してますから。

高梨さんに

気を遣わせたくなかったんですね
長岡さん。

はあ… いや まあ…。

(高梨)成長した この子を見て

私が選んだ道は
間違ってなかったって

あなたにも思ってほしかった。

あれきり 会いに来なかったのは

あなたも同じ気持ちなんだと
私は思ってる。

一人で由紀を産むって決めた 私の意志を
あなたは尊重してくれた。

そのことは 感謝してます。

けどね その分別が あなたの思慮深さが

すご~く 憎らしく思うこともあるの。

でも もう 過ぎたことね。

今 一番 誇らしく思うことは

由紀が あなたのことを
恨まずにいてくれたこと。

父親がいないことを
恨むような生活だけは絶対させないって

私 頑張りました。

荻野君 ありがとう。

これで 本当に お別れね…。

ありがとうございました。

こちらこそ お時間いただいて
ありがとうございました。

あの これ。

おやじと一緒に
種付けした野菜です。

(真由美)こんな見栄えが悪くちゃ
売り物にならないって

最初は農協もスーパーも
どこも相手にしてくれなかったんです。

それが今じゃ 普通の倍の値段でも
売れるようになったんですよ。

本当 人生 山あり谷ありです。

来てくれて ありがとうございました。

意地っ張りで わがままな人でしたけど

人様の役に立ってたんですね。

これで よかったんですね…。

いや~ けど 知らなかったよ
先輩 高梨に野菜 送ってたなんて。

俺んとこには 全然送ってこないのに。

あれ うそです。
えっ?

ああでも言わないと 私を連れて
病室 入れないじゃないですか。

奥さん ひょっとして
知ってたんですかね 私たちのこと。

ええ?

話してたんじゃないのかなあ。
何か そんな気がして。

絶対ないとは言い切れないけど
でも まあ いいんじゃないかな。

お互い何も
後ろめたいことはないんだし。

お母さん どう思う?

ん? ああ… そうね

ちゃんと お別れできて よかった。

フフフ…。

いい? ビールで。
ああ… 俺 車だから。

いいじゃない 代行 呼べば。
ええ~!?

代行って 俺 東村山だよ。
こっから いくらすると思うよ?

そんくらい払わせてよ。
今日のお礼。

運転 お疲れさまでした!
いや… ヘッヘッヘ。

じゃあ お言葉に甘えて。
はい。

はい じゃあ。
あっ いい いい。 私 手酌で。

由紀ちゃんは?
私 飲めないんで お茶で。

じゃあ 乾杯でも献杯でもないけど…。

(長岡 高梨)お疲れさま。
ありがとうございました。

あ~… うまい!
ハハハ。

でも こんなとこ住んでんだな 高梨。

えっ 来たことなかったっけ?

いや~ 初めて。 いや ほら

あの~ 前 住んでた
公団の印象が強いからさ 蒲田の。

あのころに比べると
高梨も 随分 出世したな~と思ってさ。

住んでる所が変わっただけよ。

お母さんさ
もし 今度生まれたら どうする?

えっ 魔界転生?
輪廻転生。

(高梨と長岡の笑い声)

一度きりでいいわよ 人生なんて。

十分よ。
いや もしもの話。

そうね やっぱり同じ道を選ぶかな。

ふ~ん。
今の生き方に満足してるんだ。

何… 含みのある言い方ね。

いや… 言いづらかったんだけどさ

最近のお母さん
テレビ出たり 講演会やったり

本業の弁護士も 企業とか
お金ある人の顧問ばっかりやってて

何か ずれてきてるんじゃないのかなって
思ってたんだよね。

えっ どういう意味?

お母さんが
なりたかった弁護士とは

違うんじゃないかってこと。

うん… 私は 必死に努力して
このキャリアを築いたの。

だから 何にも
恥ずかしいことなんかない。

恥ずかしいなんて
私 ひと言も言ってないよ。

そう思ってるの お母さんじゃない?

俺 ここに いない方がいいかな?

いやいや…。
何でよ いてよ。

はい。

長岡君は どう思うの? 私の生き方。

ん? いや 間違ってはいないと思うよ。

「間違っては」の「は」って何? どっち?

はっきりしてください。

いや… まあ
ちゃんと自分の能力を生かして

それに見合った対価を得てるのは
偉いと思うよ。

まあね この部屋もさ いい部屋だし。
ハハ…。

何 病院で言ったこと気にしてるの?
何か…。

いや… 私は子供いないけど
お母さんが苦労したことは分かるよ。

私のために やりたくない仕事を
受けたこともあると思うし

私のせいで やりたい仕事
断ったこともあると思う。

嫌なことも いっぱい我慢してきたよね
きっと。

育ててもらったことは 感謝してます。

けどさ もういいんじゃないの?
本当にやりたいことやれば。

お父さんみたいにさ。

何か もう 一回結婚してみよっかな~。

えっ!? その気になった?

フフ… 何だかね。

あの…。

こんな時に あれだけど…。

ひとつ提案 というか

高梨に頼みがあって。

知り合いが 困っててさ。

それが ちょっと面倒な案件なんだよ。

金もそんなに出せないし。

でも 2人の話を聞いてて
ピンときたんだよ。

是非 やってもらいたいって。

う~ん 無理よ。 だって半年先まで
スケジュール いっぱいなんだもん。

そこを なんとか。

どうかひとつ 力を貸していただきたい。

♬~

(笑い声)

♬~

こないだの 旅行の話だけどさ。

えっ? ああ~
どこ連れてってくれるのよ。

クルーズ船で 世界一周だ。

フフフフッ。 冗談やめてよ。
そんなお金どこにあるの?

いいのよ 私は 肩もみで十分。 フフフ。

いや 翻訳のバイト代

ちょっとずつ貯金して
投資に回してたんだ。

株とか いろいろ。 そしたらこの間
たまたま いい投資先が見つかって。

だから 金ならなんとかなる。 フフフフ。

新婚旅行 本当は
ハワイに行きたかったって言ってたろ。

俺が あんな事件 起こさなけりゃ

いつかその夢をかなえてやりたいって
ずっと思ってたんだ。 フフッ。

ん。

来年3月から。 横浜港を出港して
神戸 シンガポール ペナン

スエズ運河を渡って
ボストン ニューヨーク。

4月には ハワイにオアフ島だ。
フフ…。

本当に?

罪滅ぼしになるか 分からないけど
どう?

え~ そうね…。

≪(チャイム)

は~い。

あっ お姉ちゃん。

ごめんね 話があるんだけど。

上がって。

あっ どうも。

(芳彦)そのまま 遠慮しないで。

もらった 長野のわさび漬け うまいね。
冷凍きくんだな。

あっ ちょっと驚いたことがあってね。
私たち 旅行 行くかも。

私たち 離婚する。
それだけ言いに来たの。

俺に 好きな人ができたんだよ。

71歳の俺ですが これから残りの人生
やり直せる 最後のチャンスだと思ってね。

今日は 2人に挨拶したくて来たんだ。

今からやり直すって その女性とですか?

うん。
またまた~

どっかの若い女に
遊ばれてるんじゃないんですか?

高い買い物 つきあったんじゃない?
お店の女の子?

俺と一緒の年。 同い年。

古希 過ぎてんのかよ…。

そ… そりゃ
その道で経験を積んだ女性というのは

はたから見たら 底知れない魅力も
おありでしょうがね

芳彦さん 客あしらいっていうの
慣れてないんですよ。

そうね 堅物だから。

あんたたち
チャッチャカ 勝手に 話 進めないでよ。

まっ 私も同じこと考えたけどさ

この人のこと 相手にしてくれるの
お店の人ぐらいしかいないだろうって。

緊張して 喉カラカラ。
あっ お茶いれるね。

タヌキよ。
何のこと?

古ダヌキに化かされてるんだったらさ
バ~ンって一発

頭 冷やしてあげようと
思ったんだけどね。

化け猫 1, 000匹が
相手だっていうんだもん

ハハッ… こっちは もう ダメよね。

お姉ちゃん 化け猫って…。

バンビよ。
バンビって あの!?

同窓会でね 再会したんだ。

(お為ごかし)奈良 行った時のだよ これ。

このあと 地元の高校生に
カツアゲされそうになってさ

こいつ ペコペコ頭下げて
勘弁してくださいって言ってんだよ。

だから あだ名が
コメツキバッタになったんだ。

(コメツキバッタ)言うなよ~。
(笑い声)

ねえねえねえ
バンビ 本当に来るかしらね。

出席簿には
マルしてあったらしいけど。

卒業式以来だもんな。

どうせ金持ちのジイサン捕まえて
お気楽にやってるわよ。

暇つぶしに 下々の人間観察でも
したくなったんじゃないの?

吉野久美かあ。
アイドルスター顔負けだったもんな。

ほかの高校のやつらまで
見に来たりしてよ。

そうそう
俺たちみんなで ガードしたりして。

でも 女子には嫌われてたよな。

だって あの子ね

自分でバンビって あだ名付けるぐらい
ハレンチだったのよ。

バンビが
しわくちゃのバアサンになってたら 俺

ショックだな~。

しわくちゃのジイサンが
何 言ってんのよ。

(笑い声)

あっ。
来た! 来た!

あのころと同じ目だった。

ずっと変わらない…。 その時 分かった

俺はずっと
あの目に吸い込まれたかったんだ。

それで どうしたの?

会場の外で 彼女を誘ったんだ。

えっ どこへ?

久美の目を もう少し見ていたかった。

悪いね 吉野 混ぜてもらって。
(久美)ううん。

今日 島田君に会えてよかった。

そう?
うん。 私のこと 吉野って呼ぶの

島田君だけだもん。 助かったわ。

この年になって バンビはねえ。 フフ。

旦那さんは?
生きてたら 75。

それから25年間 独身街道まっしぐら。

まあ 旦那に
操を立てたわけじゃないけどね。 フフッ。

じゃあ 旦那さん亡くなってから
一人で息子さんを?

そう。 結婚した相手が
お金持ちのおじいさんだったら

その遺産で悠々自適だろうけど

うちのはね
小さい会社の営業だったから

貯金もあんまりなかったしね。

あの時 息子は大学2年かな。

今でも生意気だけど
あのころは もっと生意気でね

中退して働くんだって言うから 私

私が返すから 奨学金を借りてでも
大学へ行けって

そう説得したの。

だけど 簡単に返せる金額じゃないだろ。
生活する金だって要るし。

うん。 同じこと息子にも言われたわ。
就職したら 自分が払うって。

そりゃ言うよ。

でも 押し切った。

親の役目を果たさないと
私が親を卒業できないんだって。

それから ラーメン屋のお運びでしょ
あと お弁当の販売 マンションの清掃

アルバイト3つ 掛け持ちして…
あっ 多い時は4つか。

まあ 時間をかけて
コツコツ返していくしかないしね。

水商売の方が楽に稼げるって
紹介してくれる人もいたけど

何か 意地になっちゃったんだよね。
見かけで判断されたくないって。

フフッ。

ごめん。

何? 何で島田君が謝るの?

俺も吉野のこと
そういう目で見てたから。

苦労もしないで
調子よく 生きてくんだろうなって。

フフッ。
みんな好き勝手なこと言うからね。

でも実際 チヤホヤされたり
得なこともあったし

大体 帳尻は合ってるかも。

強いな。 尊敬するよ 吉野のこと。

名前で呼んでいいよ。

名前で呼んだら…。

んっ?

俺 おかしくなる。

何が?

芳彦君?

吸い込まれたんですか その人の眼に。

魔が差す時は そういうもんです。

でも それは錯覚です。

社会から お払い箱にされて
気持ちが弱ってる時に出会ったから

その女性に必要以上に
好意を感じてるだけです。

渡りに船だったのよ。

どういうこと?

前にも話したでしょ。

クラスメートから頼まれて
老人ホームで使う遊具の修理してるって。

ボランティアの?

あっ バンビって そのクラスメート…?

そこで働いてるバンビからすりゃ
暇で手先の器用なジイサン

タダで利用できるんだから これ幸いよ。

そんな言い方はするもんじゃない。

お前は 俺と久美の関係を
誤解したいだけだ。

芳彦さん あなた 極道になったんですね。

そう言って 差し支えありません。

(芳彦)久美…。
んっ?

(芳彦)俺 離婚するよ。

何言ってるの 離婚しちゃダメ。

今まで築いてきたものを壊すの?

女房にも 家族にも 十分尽くしたよ。

俺は あなたといると 幸せなんだよ。

この年になったからこそ
一緒になれると思った。

同窓会 行っときゃよかった…。

ご迷惑をおかけしました。

また 連絡するからね。

お姉ちゃん
無理して うちに一緒に帰ることない。

今日 うちに泊まって。

あそこの家は 私の家でもあるんだし。

それに私は悪いことしてないし
気兼ねする必要なんかないし。

でも 同じ電車で帰るの嫌だから
1つ後ので帰るわ。

(ドアが閉まる音)

芳彦さん お好み焼き屋のあと
どこ行ったんだろうな?

卒業アルバム 卒業アルバム
どこいった…。

同窓会で火がつく
そんなことあるのか?

(ノック)

はあ~。

予期せぬことが起こるね 人生は。

こないだ 芳彦さんと飲みに行ったろ。

じゃ 知ってたの?
知ってりゃ止めてるよ。

いや そうじゃなくて あの人も いろいろ
抱えてたんだなと思って。

何よ いろいろって。

う~ん 自分が女房に
軽んじられてるとか

稼ぎが少ないことを
責められてるように感じてるとかさ

まあ いや まだまだ働けるのに
隠居扱いされてる男の

被害妄想みたいなもんだよ。

ほら 芳彦さんの両親が持ってた不動産
売った時

これで自分の価値はなくなったって
愚痴ってた時もあっただろ。

俺たちにも引け目を感じてたって
話してくれたよ。

うちに来た お中元とかお歳暮とか
よく お裾分けしてたろ。

え~ 喜んでたじゃない。

内心そうじゃなかったんだ。

それ聞いて 俺 ドキッとしたよ。

正直 あの人を下に見ていた
自分がいたよなって。

だからって何よ!

お姉ちゃんは 生まれ変わっても
芳彦さんと結婚して

同じ人生やりたいって言ってたのよ。

芳彦さんは そうじゃなかったんだな。

みんな 今日は 最後のうたげに
集まってくれて ありがとう。

(シンちゃん)お義父さん
マーボーに ホアジャオ要ります?

(芳彦)ああ… うん。

ミキ ちょっと それ。

(ミキのため息)

引っ越しの時は 僕に任せてください。
土日でも お安くしときます。

ちなみに 移動距離は?
(マナ)パパ!

あ…。

すいません…。

すいませんでした…。

♬~

いいんだ いいんだ
もっとグルグルすればいい。

♬~

「The Covers」 今夜は…