【BS時代劇】大岡越前6「越前の首」[解][字]…のネタバレ解析まとめ

出典:EPGの番組情報

【BS時代劇】大岡越前6「越前の首」[解][字]

殺しの罪で捕まった男・彦兵ヱ(秋野太作)の無実を息子の彦六(伊嵜充則)が忠相(東山紀之)に直訴。他に下手人が出たら忠相の首をもらうと言うと、忠相は何と了承する。

詳細情報
番組内容
旅籠(はたご)で隠居が殺され、忠相(東山紀之)らの探索の結果、小間物屋の彦兵ヱ(秋野太作)が浮上。善良だと評判の男で、本人もはじめは否定をするが、なぜか一転、罪を認めて牢に入る。そんな中、その息子・彦六(伊嵜充則)が、下手人は他にいるはずだと忠相に直訴。下手人を見つけたら忠相の首をもらうと宣言し、忠相も同意して周囲を驚かせる。一方、北町奉行の伊生(高橋光臣)は度重なる辻斬りに頭を悩ませていた。
出演者
【出演】東山紀之,勝村政信,美村里江,近藤芳正,高橋光臣,秋野太作,なべおさみ,伊嵜充則,高橋長英,寺田農,松原智恵子,田村亮,椎名桔平
原作・脚本
【脚本】尾西兼一

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
ドラマ – 時代劇

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  1. 彦兵ヱ
  2. 下手人
  3. 彦六
  4. お奉行様
  5. 権左
  6. 助十
  7. 隠居
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  12. 小間物屋
  13. 忠相
  14. 米屋
  15. 奉行様
  16. 下野
  17. 間違
  18. 源次郎
  19. 大変
  20. 徳兵衛

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(斬る音)
(行商人)あっ うおっ! ああっ!

フフフ… ハハハ…!

(足音)

≪(呼び子)

(大介)例の辻斬りでしょうか。

≪(呼び子)

胴を 一太刀。

袈裟懸けに もう一太刀。
間違いねえ。

(辰三)北の月番だった時の2件と合わせて
これで 3件目です。

北の連中も大変だ。

江戸中 辻斬り騒ぎで
びびりまくってんのに

またぞろじゃなあ。
北に知らせましょう。

辰。
へい。

(子吉)大変だ 大変だ! 旦那 旦那!
どうした!?

ば… 馬喰町の旅籠「米屋」の隠居が

殺されやした!
何!?

どうやら 金目当ての殺しのようだな。

母屋の者の話では
五つ半ごろに悲鳴が聞こえ

来てみたら このありさまだったようです。

これが落ちてました。

こいつが 下手人のものだとしたら…。
(源次郎)めっけもんだな。

江戸の町は 度重なる辻斬りで
おそれおののいておる。

このままでは 公儀の威信に傷がつき
面目丸潰れ。

そうは思わぬか? 越前。

はっ!

お主ならば 今頃 下手人を挙げておると

下々の者たちは思うておるやもしれぬ。

だが それも致し方なし。

いまだ 下手人の手がかりを
つかめぬというのではな。

いかがいたす気じゃ? 下野。

仏の顔も三度まで。

四度 同じことが起こったならば
どう始末をつけるつもりか?

腹をくくっとるのか聞いておる!

そ… それまでには必ず…。

聞いたな 越前。

下野 二言はあるまいぞ。

ははあ。

苦労でござるな。

心配ご無用。

♬~

<その日 隠居殺しの下手人と思われる男が
浮かんだ>

(戸が開く音)

(辰三)小間物屋の彦兵ヱかい?

へ… へい…。

おっ?
どこかに出かけるところだったのか?

え… いえ… ヘヘヘヘ…。

アハハ まあ いい。
ちょっと 番屋まで顔を貸してもらおうか。

え?

(徳兵衛)
ああ 親分 何事ですか? これ。

今に分かるよ。
へい。

(助十)
何事ですか あれ。 家主さん。

いや 彦兵ヱさん
しょっぴかれてったよ。

何で?
何でって おめえ…。

それが分かりゃ 苦労しねえ このバカ!

米屋の ご隠居さんが… 殺された?

おめえ おとといの昼間
訪ねたそうだな。

ああ… はい。

[ 回想 ] あの品物が手に入れば
80両にはなるはずなんですよ。

(隠居)いつもなら お貸しするんだが
これは 寺に納めなきゃならない

大事なお金でね…。

さようですか。

(筧)
これが 死んだ 隠居のそばに落ちてた。

そ… それは…。

おめえのだな?

あ… はい。

ですが それは
町で落としたもんでして…。

では… おとといの夜 どこにいた?

はっ… ああ…。

おめえ こんななりして

江戸から とんずらでも
する気だったんじゃねえのか?

ち ち… 違います。
下総の息子の所に…。

久しぶりに
顔を出すつもりでいただけでございます。

嘘ではございません!

う… 嘘では…。

(忠相)それきり 口をつぐんだままなのか。
(源次郎)はい。

評判は どのような男なのだ?

ここ数年 徳兵衛長屋を根城に

行商の小間物屋を
営んでおるようでして…。

(喬之助)人当たりもよく 正直者で

虫も殺さないと
近所でも評判の男のようです。

まあ そこだけ聞けば 金のために人殺しを
やりそうにもない男なんですが…。

(同心)お奉行!

小間物屋の彦兵ヱが
罪を認めると申しております。

おっ!?
(筧)何!?

私が やりました…。

間違いございません!

いろいろと ご面倒をおかけしまして

申し訳ございません…。

まことなのだな?

へい…。

隠居を殺した時に使った
刃物は どうした?

川に… 捨てました。

どこだったか よくは覚えておりません。

ですが 間違いございません!

私が やりました~!

ううっ…。
(せきこみ)

おい どうした!?
(せきこみ)

彦兵ヱ!
(せきこみ)

どうだ?

胸が やられている。

恐らく そう長くはもたんな。

そうか…。

あの男 何をやったのだ?

人を殺めたと言っておる。

それが まことなら
よほど せっぱ詰まってのことだろう。

(徳兵衛)おやめなさいって!
<その翌日のこと>

(徳兵衛)よしなさいって!
あ~!

おやめなさいって!
いいえ!

私 どうしても お奉行様に訴えなければ
気が済みません。

(求次郎)何事でしょうか。
(お花)さあ…。

ああ~!

(彦六)お奉行様に申し上げます!

(徳兵衛)
ああ ああ… 申し訳もございません!

この男 取り乱しておりまして…。

小間物屋 彦兵ヱのことで お奉行様に
申したいことがあって参りました!

では 米屋の隠居殺しの?

はい 彦兵ヱの息子で
彦六と申します!

言いたいことがあるなら 申してみよ。

はい。 父は 正直だけが取り柄。

何とぞ 父を お解き放ちくださいますよう
お願いに参りました。

それは無理だ。
まだ 裁きが済んでおらぬが

彦兵ヱが自ら
隠居殺しを白状したのでな。

そんな…。
そ それは

まことでございますか? お奉行様。

では… お奉行様に お尋ねします。

もし もし ほかに下手人が出たら
何となさりますか?

何?

あたしが
必ず 下手人を捜してまいります。

その時 お奉行様の首を頂きに参ります。
わ~!

ようございますか!?
首をな。

いいだろう。

まことの下手人を見つけた時は
この首をやろう。

(作左ヱ門)なんということだ!

ほかに下手人が出たら
どうするつもりなのだ? 婿殿は!

(雪絵)父上 落ち着いてくださいませ。
落ち着いてなどおられるか!

こんなことが
町の噂にでもなったら…。

悠長に構えてはおられぬのだ!
のう 妙殿。

た 確かに!

ですが 忠相に限って…。
あ~!

お義母様! お花 お水を!
(お花)はい!

お花ちゃん!
あれ? いねえな。

(足音)

大変 大変!
(勘太)お花ちゃん!

どうかしたのかい? お花ちゃん。

「どうかしたのかい?」ではありません!

お奉行様が?
首を?

(三次)そりゃまた…。
(お秀)けど 下手人は白状したんだし

万に一つも そんなこと…。

あるわきゃねえんだけどさ
町じゃあ もう 噂になっちまってるよ。

子吉 行くぞ! ここ置くよ!
ああ…。

いや~…。

首!? そんなこと言ったのか?
お奉行様が。

あの大岡様が
おっしゃったんだ おめえ。

万に一つもなあ…。

いいえ! 父が 人を殺すわけがない!
うん。

皆さんも
そう おっしゃってたじゃないですか!

必ず 下手人を見つけてきます!
この私が!

彦六さんったら!
彦六!

放してくださいよ!
落ち着きなさい。

放して! 放して!

お待ちよ!

ああ~!
彦六さん!

よしよし よしよし…。
(泣き声)

ほらほら…。
何だよ!

あの話 あの話
ほら ほらほら…。

何だよ!
だから あの話!

あの話?
(泣き声)

いや あれはさ。 でもよ もし あれが
そうだったとしたら?

だって 彦兵ヱさんが白状したって。
(徳兵衛)おうおう!

何を 2人で
こそこそ やってやがんだ!

いやいや 別に どうってこと…。
え? いや おい!

だってさ…。
いや だからさ…。

おめえが!
じれってえな!

言いてえことがあるなら
パッと言ったらどうなんだい! 畜生!

いや それが 実はね…。
実は?

お 俺は知らねえよ!
(権左)おい ちょっと! おい!

助十 ほら!
もう~!

早く!
人殺しがあった あの晩に

あっしら2人
馬喰町の横町を通ったんすよ。

えっ 米屋の ご隠居の住まいのとこか?

(権左)そうなんですよ。

天水桶の前で
着物の袖 洗ってる男がいたんですよ。

えっ?
それで…。

よ~く見ると…。

♬~

なあ 本当なのか!? その話は!

ありゃあ 確かに
包丁じゃねえかなと。

誰なんですか? その男は。
(助十)あ~ ほっかむりしてたから

はっきりとは分からねえんだけど…。
誰なんだ? 顔見知りかい?

治助だよ!
ほら ならず者の 左官屋治助!

何で そんな大事なこと
今まで黙ってたのさ!?

いや だから
今 言ったじゃねえかよ!

何を言ってんだい!
そんなもの早く言ってりゃよ

彦兵ヱさんが ひっぱられるこたあ
なかったんだ! このバカ野郎!

ああ~!
ああ ああ…。

この バカ野郎!
だって 間違えたら

治助に
恨まれることになるじゃないですか。

あいつ おっかないんだからさ~!

おい 何 騒いでんだい!

親分 この お二人が
下主人を見たそうです。

下手人って…。
おい まさか?

その まさかの…
米屋の ご隠居殺しです。

♬~

あの…。
(源次郎)若!

うむ。
実は…。

ほう 隠居殺しに 新たな下手人がな。

いかがいたしましょうか。
いかがも何も いつもどおり調べてくれ。

いや ですが 若
町でも噂になっておりますが…。

首のことか?

まことの下手人が出るなら
こんな首 いつでも くれてやるよ。

(源次郎)あ…
そう おっしゃると思ってました。

噂になれば 何かが起こる。

彦兵ヱの様子から
そこに かけたんですね お奉行。

では 早速…。

どうした?
いえ… 何でもありません。

おかしなやつだな。

(伊織)おい そのままでいい。

(せきこみ)

彦兵ヱ 豊島町の左官屋治助という男を
存じておるか?

あ… はい。

どのような男だ?

乱暴な男でして

因縁をつけられたこともございます。

この印籠
その折に落としたものではないか?

あっ…。

印籠は 米屋のご隠居さんの所で
落としたもの!

お調べの際にも お役人の方に
そう申し上げました!

まことか?
(せきこみ)

まことでございます!
(せきこみ)

彦兵ヱ!

おい。
私です!

私が やったのです!
おい。

これ以上のお調べは ご無用に願います。
ご無用に…。

もういい。 おい! 忠相…。
(せきこみ)

(せきこみ)

あの男 己の命が長くはないことを
知っておるのか?

うすうす 感づいておるようだが
だからといって…。

人殺しを肩代わりするはずもない。

(伊織)
誰かを かばっておるのではないか?

♬~

(治助)どけ~!

危ねっ! この野郎 待て!

ちょっと 話が聞きてえんだがな 治助。

旦那 それならそうと はなっから
そう言ってくれりゃあいいのに。

ヘヘヘヘ…。
ヘヘヘヘ…。

だから 博打で もうけた金だって
言ってんでしょ!

どこの賭場だ?
忘れたね!

何だと!?
(筧)だがな…。

隠居が殺された あの晩

おめえを見たって男が
2人もいるんだ。

血に染まった包丁を
天水桶で ぬぐってるのを見てたんだよ!

どこのどいつだ?

ここに 連れてきやがれ!

血まみれの包丁が
どこから出てきたってんだ?

教えてくれよ!

旦那…。

はあ…。
そうか 吐かぬか。

一応 番屋に留め置いておりますが。

うむ。

解き放つしかあるまい。

解き放つのですか!?

彦兵ヱが 下手人だと白状しておる限り
しかたがない。

お手間をとらせやして
申し訳ございませんでした。

…ぐれえなこと ぬかしたら
どうなんでえ!

ああ? ヘヘッ… ヘヘヘ…。

折り入って 相談したきこと
ござり申してな。 相談?

実は 辻斬りの下手人らしき者が
浮かび申した。

無役ではござるが

旗本五百石 黒井正信が次男
黒井重四郎。

柳生新蔭の使い手なのだが
けんのんな気性が災いし

道場からは追放され
お目付の網にもかかっておる。

ならば…。
されど 証拠がござらぬ。

しかも お目付や町方の目を恐れたのか
近頃は 屋敷に籠もりっきり。

ただし 一つだけ 手がかりがござった。

手がかり?

こたびの辻斬り騒ぎの折
近くで屋台を出しておった そば屋が

血相を変えて逃げていく男を
見たというのです。

恐らく その者 辻斬りを見ていたのでは
ないかと推測しておるのですが…。

なるほど。

その者に問えば
黒井重四郎とやらの仕業だと

分かるという寸法ですな。

で それがしに相談とは?

その者を渡していただきたい。
渡す?

その者とは 小間物屋 彦兵ヱ。

そば屋が申すには
幾たびか 食べに寄ってくれた

彦兵ヱに間違いないと。

彦兵ヱが 辻斬りを?

(伊生)さよう。
いかがにござろう。 大岡殿。

申し訳ないが お断りいたす。

なんと!

いまだ 吟味中にござれば。

ハッハハハ 慮外なことを申される。

事の真相を明らかにしようというに
その逃げ口上

大岡殿らしくもない。
何と申されようと 返答は同じ。

ならば!

(松平左近将監)
越前。 何故 下野の頼みを拒む?

はっ!
聞けば 隠居殺しには

まことの下手人らしい者が
浮かんでおるとのこと。

ならば なおのこと
その彦兵ヱとやらを下野に渡し

まことのこと
明らかにするべきではないのか。

もしや あのことが気がかりか? 越前。

あのこととは? ああ 対馬守殿は
ご存じではなかったか。

ちまたでは
彦兵ヱ まことの下手人にあらざれば

素っ首 渡すと越前が言うたと
噂になっておる。 のう 下野。

はっ。
(讃岐守)越前。

まことか!?

自らの放言から
その身を守るためならば…。

(讃岐守)奉行として ゆゆしき事態じゃ。
どうなのだ? 越前。

いまだ 吟味中にござりますれば…。

まだ言うか!
まあまあ…。

越前には越前なりの考えもあろうが

こたびばかりは 上様も
首肯なさるまいて。

<そして 小間物屋 彦兵ヱは
大番屋へと送られ

裁きを待つ身となった>

<ところが その夜のこと>

<この亡骸は 慣例に従い
身内に引き渡されることなく

ひそかに葬られた>

すまんな。

どうぞ ごゆっくり。

三次。
へい。

(源次郎)若… これを 三次から。

そうか。

三次に
何をお申しつけになったんで?

うむ。

大変です!
何だ 騒々しい。

北の伊生様が 至急 お目にかかりたいと
お見えになりました。

伊生殿が?

お待たせいたした。

早速だが 大番屋において 昨晩

病で 急死した者が出たそうにござるな。

無論 ご存じであろうが。

何があったのでしょうか。
気にすることはねえ。

俺たちは お奉行を信じてりゃいい。
はい。

(戸が開く音)

考え事か。
これは 上様。

左近将監から あらましは聞いた。

「首をやる」と言った町人との
単なる口約束は おそるるに足らぬが…。

小間物屋 彦兵ヱの一件
何か裏でもあるのか?

裏…。

そのようなものは ございませぬ。

実は昨晩 大番屋にて その彦兵ヱが
病で急死したと 知らせが参りました。

何!?
以前より

胸を病んでいたのでございますが

白状したまま死んだとなれば
隠居殺しは つまり 彦兵ヱの仕業。

これにて 一件落着となります。

口さがない町衆は
奉行が己の首を守るため

病の彦兵ヱを死に追いやったと
噂するだろう。

構いませぬ。

死人に口なしとは よう言うたものよ。

見損のうたぞ 忠相。

父上 まことの下手人がいるならば
捜し出すと おっしゃったはずです。

それなのに これで終わりとは…。
求次郎 お控えなさい。

ですが 母上
父上は 己の首 惜しさに…。

あなたは
なんということを言うのですか!

(雪絵)あなた…。

よいのだ。

親分!
あ~ もう うるせえな!

ど~け どけどけ!
(彦六)お待ちください。

お願いでございます。
せめて 亡骸のお引き渡しを!

悪いが できねえ! 囚人の亡骸は
お引き渡しにはならねえ決まりなのよ!

ですが…。
おい 徳兵衛!

へい! てめえ なんとかしろ!
家主だろうが!

そうは おっしゃいますがねえ…。
ああ ああ そうですよ。

(権左)下手人は
彦兵ヱさんじゃないんだって!

だから 勘弁してくれ。
こっちは忙しいんだからよ!

おい どいてくれ! どけ おら!
(彦六)お待ちください!

(泣き声)

神も仏も ねえもんか。
これじゃ 彦六さん… かわいそうだし

彦兵ヱさんも かわいそうだし…。

治助も
お解き放ちになったっていうしよ。

これじゃ 踏んだり蹴ったりだよ。
なあ…。

こんなバカなことがあって
たまりますか!

お父っつぁん… お父っつぁんは
お奉行様に殺されたんだ!

わ~! おい
めったなことは言うもんじゃない!

彦六さん! お父っつぁんは
お奉行様に殺された!

お奉行様に殺されたんだ!

お奉行様に殺された~!

(読売屋)
彦兵ヱが死んだのをいいことに…。

<獄死した彦兵ヱのおかげで
忠相の首が つながったという噂は

瞬く間に 江戸中に広がった>

(黒井)死におったか 彦兵ヱめ。

フフッ… フフフ…。

(刀が ぶつかる音)

北町奉行 伊生正武。

その太刀筋…

江戸市中を騒がす 辻斬りと見た。

黙れ!

ううっ! うっ!

うう うう… ハアハア ひい~!

旗本五百石 黒井家のためにも
見苦しいまねは やめた方がよろしいな。

お目付殿!

(目付)それ!
(配下たち)はっ!

(足音)
くそっ… い~っ!

うう… ああ… うう…。

(権左)俺だって 見たさ!
(助十)見た見た。 あいつだよ やったのは。

治助!
そうだよ 左官屋治助!

≪おい 駕籠屋 やってくれ!
へ~い!

おめえらだよな?
えっ?

俺が 米屋の隠居を殺したと
番屋に言いつけやがったのは。

いや… 知らねえよ。
俺らじゃねえ!

おめえたちは 間違っちゃいねえ。

拾った彦兵ヱの印籠を
隠居のそばに置いたのは この俺だ!

ヘヘヘ… だから 隠居殺しは
彦兵ヱの仕業になったんだ。

こうなりゃ ついでに おめえたちにも
礼をしなきゃと思ってさ。

それには 及ばねえよ。
そ そうそう…。

権左 ずらかれ!
わあ~!

(悲鳴)
助十!

(悲鳴)

あ~!? あっ あっ…。

(悲鳴)

駕籠屋 冥土まで ひとつ頼むぜ。

いやいや いやいや…。
いや… ちょ ちょ… いやいや…。

違う… 違う… ああ…
あ~ あ~ あ~ あ~…!

(子吉)おりゃ~!

♬~

(権左 助十)うわ~!

(堅太郎)神妙にしろ! 左官屋治助!

そこまでだ!
旦那!

血が こびりついてる。
こいつで 米屋の隠居を殺したんだな!

畜生!

あああ…。
怖かった~! ご 権左…。

左官屋治助 その方
企みを持って犯したこと 不届きにつき

引き回しの上 獄門に処す。

引っ立てい!
(同心)はっ!

(権左 助十)うわ~!
あ~!

橋本町 徳兵衛店 権左 同じく 助十。

面を上げい。
ごめんなすって!

こんな… 顔です! ハッハッ ヒヒッ…。

こんちは。 ヘヘヘヘ…。
(助十)ハハッ ハハ…。

両名とも ならず者同然の治助を恐れず

彦六のために よく尽力した。
あっぱれである。

いや あっぱれとか言われても なっ。

こちとら はなっから
治助のこと しゃべってりゃ

彦兵ヱさんだって
あんなことには…。

ごめんよ 彦六さん!

勘弁してくださいまし お奉行様!

勘弁も何も 2人の男気 あったればこそ

まことの下手人 治助を召し捕り

彦兵ヱの汚名も
そそぐことが できたのだ。

越前 礼を申す。

(2人)えっ?

えっ…。 いや もったいねえ!
もったいねえ!

(2人)ははあ。

さて 彦六。

お奉行様に申し上げます!

おい 彦六さん!

あたしは 合点がいきません。

まことの下手人が
ああして いたにもかかわらず

父は 父は…。

お奉行様 あたしが あの折
ああいうことを申し上げたから

父は死んだのでしょうか?

お聞かせください!

あの折の…。 そうであった。

「この首をやる」と言ったのであったな。

お お奉行様!
あれは あの場の成り行きでございます。

どうか それは
お忘れになってくださいませ。

そうだな 彦六さん!

いえ 私は それでも…。

あ… あ~!
おい よせって!

彦六さん…。 あれは もう なし!
なしなんだよ!

うっ… うう…。

ただな お奉行様…。

一つだけ…。

権左!
よい。

何だ。

このままじゃ 親孝行の彦六さんが
ふびんでなりません!

だから だから その…。

彦兵ヱさんの亡骸を
彦六さんに!

そうです。
まだ お弔いもしてねえんですよ。

だから 彦兵ヱさんの亡骸の お引き渡しを
願いとうございます!

(助十 権左)願いとうございます!

お お お前たち…。

お奉行様 このバカたちの願いを
お聞き届けくださいまし!

ううっ…。

皆さん…。

では その願いを かなえよう。

これへ!
(役人たち)はっ!

わっ! えっ えっ えっ!?

お父っつぁん!?

彦六…。

お父っつぁん!
(権左)おおっ…。 (助十)えっ!?

幽霊じゃねえなあ。
どうなってんだい? 家主さん。

わ… 分からねえ…。

でも 彦兵ヱさん 生きてたんだ!
ああ…。

(笑い声)

ですが お奉行様 これは一体…。

全ては お奉行様の おぼし召しだ。

いろいろと ご面倒をおかけしまして
申し訳ございませんでした。

親子ともども 仲よう暮らすがよい。

はい… ありがとう存じます。

本日の白洲 これまで。

(源次郎)彦兵ヱは あの晩
辻斬りを見ちまったんだそうだ。

その時 下手人の顔 見て 驚いた。

昔 世話んなった 黒井家の当主の次男坊
重四郎だったんだからな。

彦兵ヱは 黒井家と
つながりが あったんですか?

そうらしいな。 なあ 三次。

5年前まで 黒井家の中間でしてねえ。

小間物屋として やってこうとした時も

ご当主の正信様が支度金を渡したり
ひいき筋を紹介してくれたりと

何くれとなく面倒を見てもらってた
って話でした。

そうか。
恩ある人の息子だと知って

辻斬りのことは
とても口には出せなかった。

治助に陥れられた隠居殺し

してないと言えば 辻斬りの場所に
居合わせてたことを裏付けてしまう。

その上 彦兵ヱは 病で長くはもたないと
分かってた。 だったら…。

人殺しの罪を かぶったまんまの方が
いいってことですか。

お奉行様は 彦兵ヱさんが
そう 腹を決めたと踏んだんでしょう。

ああ。

(伊生)大岡殿が 小間物屋 彦兵ヱの
引き渡しを拒んだことから

黒井家と彦兵ヱの つながりに
気付き申した。

ちょうど その折に 大番屋で
囚人が一人 急死したことを知り…。

彦兵ヱを その囚人に見立て
死んだことにせぬかと

伊生殿に持ちかけられた
というわけです。

ああ そうか… 下野からのう。

はっ。 彦兵ヱが黒井重四郎の名を
死んでも言わぬというのなら

彦兵ヱを死んだということにして
重四郎を油断させればよいと。

なるほど 罠をかけたわけじゃな。

伊生殿には
改めて 礼を申さねばなりますまい。

あの策あったればこそ
事は落着したのでございますから。

なんの。 それが お役目にござる。

だが…。

はっ?

こたびは 忠相の方が
損な役回りであったのう。

余に 皮肉を言われ
江戸中に 悪名がとどろいた。

「首をやる」などと
大見得を切った それがしの

不徳の致すところでございましょう。

大人よのう 忠相。

それにしても 余まで欺くとは…。

袂を連ねる両町奉行 侮れぬわい!

ハハハ…。

♬~

父上…。

あの晩は 父上の気持ちも考えず

余計なことを言い
申し訳ありませんでした。

本当です。

誰でも 人の心の内は
たやすく分からんものだ。

彦兵ヱも そうであった。

だが あの男の気持ちを推し量ると…。

切なくなりますね。

(権左 助十)
えっほ えっほ えっほ えっほ…!

お帰りなさい!

あれ? ヘヘヘ…。
ヘヘヘ…。

あっちでさあ。

(歓声)

<短い命と知りながら
受けた恩義を忘れぬ 彦兵ヱの生き方に

息子 彦六や 長屋の者たちと共に

精いっぱい生きてほしいと願う
忠相であった>

助かった。 礼を申す。

まだ 友達ってわけじゃ…。
仲よくするこった。

お父上のような負け犬にだけは
ならないでおくれ。

お前は変わった。
お困りのことでも おありなのでは?

悪いやつは 許しちゃおけないよ。
命と引き換えてでも 金子をつくります!

三十両!?
敵をとっていただきたいんで。

それがしを 悪党だと申したか。