【BS時代劇】善人長屋(2)「泥棒簪」[解][字]…のネタバレ解析まとめ

出典:EPGの番組情報

【BS時代劇】善人長屋(2)「泥棒簪」[解][字]

加助が簪を盗まれて困っている女中を連れてきた。お縫にも頼まれ、儀右衛門たち長屋の面々は渋々ながらも人助けを始めることに。盗人の庄治がある女の家へ忍びこむ。

詳細情報
番組内容
加助(溝端淳平)がお貞(藤野涼子)という女中を連れてきた。奉公先のお嬢様にいびられた腹いせに簪を勝手に持ち出したところを、悪い男たちに盗まれ、困っているという。しつこい加助に加えてお縫(中田青渚)にも頼まれ、渋々ながらも儀右衛門(吉田鋼太郎)ら長屋の面々は簪を取り戻そうとする。長屋の住人で盗人の庄治(山崎樹範)が、簪を盗んだ男の情婦・お才(若村麻由美)の家へ忍び込むが、そこで意外な事実が分かり…。
出演者
【出演】中田青渚,溝端淳平,高島礼子,吉田鋼太郎,山田純大,山崎樹範,溝口琢矢,蕨野友也,若村麻由美,藤野涼子,久保田悠来,柳沢慎吾
原作・脚本
【原作】西條奈加,【脚本】森下直
音楽
【音楽】住友紀人

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

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  1. 加助
  2. 泥棒簪
  3. 伝八
  4. 庄治
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  8. 半造
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  12. お縫
  13. 善人
  14. 長屋
  15. 緋鯉
  16. 文吉
  17. お才さん
  18. お前
  19. お貞さん
  20. 赤坂

解析用ソース(見逃した方はネタバレ注意)

   ごあんない

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≪(儀右衛門)ああ~!

うう~…。

お父っつぁん!
お前さん どうしたんだい?

三九の頭から早文が来た。

おっ母さん?

「先に お願いしていた錠前破りが

三州赤坂を抜けるすんでで
お縄になって」って…?

かくまう話は なかったことでと!

お縄に!?

じゃ 加助さんは… どこの誰?

(儀右衛門)ほれ よいしょ…。

おい お俊 気を付けろ。
はいよ。 アイタッ!

加助さん! 加助さんがいたのは

三州赤坂なんですよね?
え? な… 何だい 「やぶから棒」に。

三州赤坂なんて そんなに遠かぁない。

赤坂は赤坂でも 赤坂御門の赤坂だよ。

(2人)御府内?
でも 赤坂で いろいろあったって…。

去年 赤坂で大火事が出たんだ。

あっしは そん時
錠前の師匠の家におりやした。

急を聞いて 駆けつけた時は
町内は火の海。

女房と娘は

長屋もろとも焼けちまって…

骨も残らず。

何で そんな顔で…
そんなことを言うんですか?

あっ また妙な顔になってやしたか。

そん時から どうもね。

涙は いくらでも出るんだが

こらえると こんな顔になっちまって。

赤坂は つらくて出やした。

さまよううちに こちら
善人長屋の評判を聞きやして

もし 空き間があったらと お尋ねしたら

温かく迎えてくだすった。

<錠前破りは こっちの勘違い…>

しかし どうしたもんかねえ。

ここに置いてやることは
できねえっすかね。

あっしらは
差配の旦那のお考えに従いやす。

なっ 文吉。
おうよ 兄貴。

そうだ。 いっそ加助を
悪党の道に引きずり込んで

「同じ穴の狢」にしちまうってのは
どうだ?

旦那 加助は すぐさま
追い出さなきゃいけやせん。

長屋の裏の顔を知ったら
お上に訴え出るかもしれやせん。

大体 何にも知らねえ善人なんぞ
ここに置いたら

これから先 いらぬ用心がいりやす。

半造おじさん…。

行く当てのない人を追い出すなんて
私は嫌。

私たちは悪党でも
そこまで落ちちゃいないと思う。

また始まった。
何が「また」よ 文さん。

≪旦那! 儀右衛門の旦那!

あの声は…。

(お貞)どうしよう…。

[ 心の声 ] こういう場面 つい最近
見た気がするけど まさか…。

実は ついさっき 高橋の欄干で

この娘さんが ただごとでない
様子でいるのを見かけちまって。

安心しな。 ここは善人長屋だ。

どんな困りごとでも
きっと あんたの助けになってくださるよ。

あっ! 忘れてたなあ。
あっしは あの 急ぎの用事が。

安 ちょちょちょ… ええっ?

そういや 文吉 あれは どうなった?
あれ?

あ~ あ~ 忘れてた 兄貴!
おいおい おいおいおい…!

おい!
お~い!

あ… その~ お困りごとというのは?

実は…。

あ… まだ聞いてなかった。 アハッ!

(4人)ええ~!?

<世間様から
善人長屋と呼ばれちゃいますが

うちの店子は そろいもそろって

裏稼業持ちの悪党ばかり>

<差配の一家は
盗品を売りさばく系図買い屋>

<そんな悪党どもが
長屋の新入りに
かき回されて

人助けをするはめになる

不思議な物語でございます>

私は 日本橋室町の
醤油問屋 廣國屋の女中で

貞と申します。

今日 本店に
お届け物があったんですが

私が代役に。

この着物は
女中頭さんが着せてくれました。

私…

この きれいな着物が
うれしくて つい…

それに似合う… お店のお嬢さんの簪を

こっそりつけて お届け物に出たんです。

その帰り道
小名木川の横の路地に入った時に…。

(伝八)な~にしてんだい?

おい。

嫌!
何だよ。 いいじゃねえかよ。

こりゃ 上物だ。
返して!

おい。
(笑い声)

(お貞)罰が当たったんです。

最初は… 意趣返しのつもりだったから。

意趣返し?

まず みんな話してごらんな。

うちのお嬢様は
高価な着物や くし 簪が大好きで…。

(お律)汚い手で触るんじゃない。

お前みたいな田舎者の下働きが
汗水たらして一生働いたってね

この簪の千鳥一つも買えやしないんだよ。

(お貞)それは本当のことなのに

悔しくて 恥ずかしくて 腹が立って。

その簪を 私の髪に
田舎者の下働きの髪に

ほんの一時でいいから
挿してやると。

ちょうど 今日 お嬢様は留守で

それで お部屋に忍び込んで こっそり…。

(お貞)
最初は本当に 一時だけでよかった…。

♬~

(半造)きれいな簪に 魔が差した。

善人の加助さんは知らんだろうが

世間には掃いて捨てるほどある話だな。

半造おじさん。

よし 子細は分かった。

で その簪は どんな姿形をしてるんだい?

探すにも手がかりがいる。
加助さ~ん。

その簪は
名のある飾り職人が作ったそうです。

桜をあしらった金細工作りで。

千鳥や赤珊瑚を
数珠つなぎにした房が かわいくて

見てるだけで 夢見心地に…。

一生懸命 働いてきたのに

盗人になっちまった…。

ごめんなさい…。

[ 心の声 ] 半造おじさんの言うように

きれいな簪に
魔が差しただけの話かもしれない。

でも…。

まだ大丈夫。 悪党の道に
どっぷり はまったわけじゃない。

お縫! お俊 何とか言ってやれ。

そうさ 盗んだんじゃない。

お貞さんは こっそり借りただけさ。
盗んだのは その男たちだ!

(儀右衛門)お俊! それは違うんじゃ…。

おかみさんの言うとおりだ。
加助~!

お父っつぁん! 連中は その簪
きっと質屋で売りさばくわ。

うちで こっそり
買い戻してあげましょうよ。

それは いけねえよ お縫さん。
系図買いなら いざ知らず

堅気の千鳥屋さんが
盗品と知ってて売り買いしたら

手が後ろに回っちまう。

あっ そうだった。

残念ながら 千鳥屋じゃ
この話は ちょいと無理だ。

だが 素人の俺なら…

お叱りぐらいで済むか。
はい? はい?

質屋を当たってみやす! 任せときな。

おい 加助! 加助! か…!

ああ~! ん~…。

まあ 時がたてば

簪が なくなったということに
気付いたとしても

その… お貞さん? お貞さん?

お貞さんが疑われることは
まず ないでしょう。 ここしばらくは…。

いや お嬢様は今
おかみさんのお里に行かれてて

5日後には戻られます。

5日後には バレる…。

い… いけねえ 旦那。

お貞さん かわいそうだが
ここは番屋に行くのが一番だ。

そんなに きれいな簪なら
私も 一目 見てみたいもんだねえ。

おかみさん?
お俊~。 本当よ おっ母さん。

私も 一度 見てみたい。
お縫~。

お父っつぁん!
旦那! ねえ お願い!

お前さ~ん。
旦那! どうするんですか 旦那!

ああ~!

任せとけ~!
(半造)ええっ!?

半造おじさん まだ怒ってる?

いや。 昨日聞いた簪の姿形が どうもな…。

もし 泥棒簪だったら…。

泥棒簪?

あ いや
昔 ちょっと小耳に挟んだくれえで

詳しいことは知らねえんだよ。

ただ 関わるのは どうも気が進まねえ。

泥棒簪…。

あっ 庄おじさん ちょうどよかった!

偉いね 耕坊 お父っつぁんのお手伝い?

下駄じゃねえ こっちだ。

こら 耕治 品がねえぞ。

(笑い声)

お縫ねえちゃん 半造おじさん

おいら お父っつぁんの後を継いで
江戸一番の大泥棒に きっとなるぜ。

そんでさ お父っつぁんと おっ母さんを
楽にしてやるんだ。

ハハハ 立派な心意気だな 耕坊。 ん?

けど その話 加助さんの前じゃ ご法度よ。
分かってらい。

で 何だい?

赤い鯉… 緋鯉の彫り物…。

ああ。 お貞さんの言うには

連中の一人の男の腕に。

で 緋鯉の伝八じゃねえかと
当たりをつけた。

伝八は今 お才って後家と懇ろだ。

その簪 売りさばかずに
お才にやった筋もあるんじゃねえかと。

さすが ネタ売りの半造さんだ。
昨日の今日で 早い調べだねえ。

な~に。 これぐらいは朝飯前だ。

それでね お父っつぁんが言うには
庄おじさんに…。

俺に その後家の家に忍び込んで
ビラビラ簪を盗み返せってんだな?

やるぜ。
えっ?

本当? 一文にもならないし
その上 人助けよ?

白昼堂々 辻強盗の昼稼ぎってのが
気に食わねえ。

盗人は 人目を忍んで こそこそ盗むのが

まっとうな在り方だ。

フフフフフ…
庄治さん 「盗人にも三分の理」かい?

その三分が 人で いられるかどうかの
大事なところなのよ。

(笑い声)

<こういう時のおじさんたちは
本当に楽しそうだ>

これ ものは間違いないよね。
駄目か… ヘヘヘ。

また どうぞ。 ねっ?

<さて その後家のお才さん。

長年 夫婦で
小さな履物屋をしていたけど

去年 ご亭主が亡くなって 店を畳み

本所長岡町のしもた屋に移ったらしい>

簪さんよ~ どこだ~い?

こっちだよ~。

よっ。

こ~こだよっと。

ほう? 年増の簪道楽か。

さ~て…。

庄治さん はい。
おっ 悪いね。

悪いな 庄さん。 首尾は?

それが旦那 昨日は見つかりやせんでした。

じゃあ もう 売りさばいたのかしら?

いや。 あの家ん中にある。

長年の盗人の勘だ。

(戸が開く音)
おっと。

あっ これなんか いいんじゃないか?
えっ これは? お父っつぁん。

いや それは… 地味だろう。
え~?

(儀右衛門)これにしときな。
じゃあ これは?

(儀右衛門)いや~ これがいいな。
どう思う?

(庄治)いや~ あっしには何とも…。
(儀右衛門)ええ? そう。

じゃあ 思いきって これは?

あ… あの~ これなんか あの~…。

毎日 この刻限に湯屋に行くんでさ。

夕方には緋鯉の伝八が来る。
オホッ お盛んなことで。

庄治さん お縫の前で そういう話は…。

お縫?

どうした? お縫坊。

私の勘が騒いだの。

あの人 お才さん…
とんでもない悪党かもしれない。

悪党?

<それに
とんでもなく さみしい匂いがした>

<庄おじさんを
信じないわけじゃないけど

簪は
もう売りさばかれたのかもしれない。

私は 系図買い屋さんたちを
当たることにした>

こんにち…。
桜をあしらった金細工で

夢見心地になる簪でやして…。

ですから そんな立派なものは
うちの店では…。

いらっしゃい お縫ちゃん。
えっ? やあ お縫さん。

加助さん…。
何だ お縫ちゃんの知り合いかい。

いえ あ… はい。
うちの店子の錠前屋の加助さんで。

そうかい。 善人長屋の錠前の…。

あ~ 違うの おじさん!
この人は まっとうな…。

お探しの泥棒簪なら
何年か前に扱いやしたよ。

そうですかい。
また誰かが手を出したか…。

泥棒簪…。
泥棒簪?

そうでやすね…
たから屋さん辺りなら あるいは。

そこも 質屋で?

ハハハハハ…。

表の看板は
普通 そういうもんでやしょう。

ありがとう おじさん!

本人だけが「知らぬが仏」で
系図買い屋へ行っちまっただと!?

あ~…!
(お俊)しかし 驚いたね。

簪は 廣國屋の特注品じゃなくて
そもそも盗品だったなんて。

泥棒簪か…。

決めた。 手を引く。

えっ?
えっ?

善人に裏稼業の周りを
うろうろされたんじゃ

危なくて しかたがねえ。
それに 5日の日切りも目の前だ。

大体 俺たち悪党が人助けしようってのが
大間違いのこんこんちきだ。 くそ!

庄治さんには 俺から話して わびを…。

待って! 要は その…
ビラビラ簪の隠し場所さえ分かれば…。

(儀右衛門)おい お縫…。
私に考えがあるの。

お縫!
力を貸して!

おっ母さん!

私?
えっ? いや お父っつぁんじゃなくて?

それと 新しい手拭いと
質流れの上物の着物も。

うん!
ん… んん~…。

≪ありがとうございます。

2人?

何で加助さんまで?

簪の手がかりが見つかりそうだって
文吉さんから聞いてさ。

俺ぁ 悪人に見えるかな?

見えます…。

文さん! 何で加助さんを巻き込むのよ。

ある後家さんが 簪の手がかりを
知ってるらしいって におわせたらよ

俺も手伝いますって 加助の方から。

嘘。 無理やり引きずり込んだんでしょう。

さすが お縫坊。

いや こうやって
ちょっとずつ あいつを

俺たち悪党の手練手管に
引きずり込めばさ

加助も晴れて
善人長屋にいられるって寸法だ。

イッタ!
ふざけないで!

へえ へえ…。
加助さん。

気が進まなきゃ帰っていいのよ。
これは その… 騙りみたいなもんだし。

な~に
金をだまし取るわけじゃねえんだ。

それに 文吉さんや お縫さんだけに
危ない橋は渡らせられねえ!

けど…。

≪ありがとうございます。

[ 心の声 ] やるっきゃない!

キャ~!
待てよ。 ほら いいじゃねえかよ

きれいな着物の おねえちゃんよ。

酒の相手が そんなに嫌かい?

[ 心の声 ] 驚いた。 加助さん 上手…。

離して!

助けてください!
あの人たちが絡んできて。

あっ さっきの手拭いの…?

よければ どうぞ。

酒の相手だって?

百年早いよ この とうへんぼく!

田舎者が がん首そろえて
きれいな娘に 与太飛ばしてんじゃねえ!

さっさと帰れ トンチキ野郎!

ほら 帰れ! 帰れったら!

ああ~!

覚えてろ! この腐れ年増め!

腐れ年増…?

アイテッ!
おととい来やがれ!

お縫。
もう~ おっ母さん!

おっ母さんが長湯だから 私 待ってる間に
怖い人たちに絡まれたのよ。

え~! まあ 大丈夫だったの?
ええ。

このお方が助けてくれたの。

まあ! どなたか存じませんが
この度は娘の窮地を。

いいの いいの。
さっきの手拭いのお礼さ。

駄目ですよ。 手拭い一本じゃ
こちらの お釣りのもらい過ぎ。

おっ母さん 何かお礼を…。
もちろんよ。

あっ そうだ。 ちょうど あさって

浅草の八百善の座敷を
押さえてるんですが

よろしかったら
是非 一緒に いかがですか?

八百善!? あの江戸一番の料理屋の…?

ぶしつけですけど 是非。
いや けど

これくらいのことで 八百善なんて…。

それがいいわ おっ母さん!

ああ 八百善! 何を着ていこうかしら。

雪うさぎの綸子がいいかしら?
侘助の縮緬がいいかしら?

あっ! あと こないだ買ってもらった
銀の簪も!

簪…。

八百善なら 私も 飛びっ切りの簪
つけていこうかしら…。

うれしい!
承知してくださったわ おっ母さん。

じゃあ あさっての夕刻
小僧を お迎えにやらせます。

あ… 嫌だ 私ったら。 お名前は?

本所長岡町の才で尋ねてくれりゃ
分かりますよ。

じゃ あさって。

加助さん!
加助さん?

えっ? ど… どう…。 あっ!
えっ?

大丈夫か?
ありがとうございます…。

よく頑張った!

加助さん!

あ~ 大丈夫だ。 問題ねえ。
すぐに 俺が引き上げた。

やあ お縫さん…
うまくいったかい?

上首尾よ!
ありがとう 加助さんのおかげよ!

俺は?
文さんも ありがとう。 いや 俺 俺が…。

♬~

八百善だって。

八百善。

雨戸に隠し棚か。

さすがの俺も見逃してたぜ。 ヘヘッ。

(戸の開閉音)
≪(伝八)帰ったぜ。

あら お前さん 早かったね。
ああ。

ん?

何 おめかししてやがる?

一本つけるよ。 待っててね。

ほう~ 八百善たぁ豪儀だ。

どこの大店の親子だ?
知らないよ。

八百善だよ。

一緒に行こうね。

簪か。

はあ…。

お前の亭主は ケチン坊で

簪一本 買っちゃくれねえって
よく愚痴ってたっけな。

あの人の話は よしとくれよ。

俺が買ってやった簪 見つけて

浮気してると お前を ぶった。

お前は泣いて 俺んとこまで逃げてきて…。

お前が亭主を酔い潰させて

俺は顔に ぬれた紙を。
よして! やめ… 離して!

離してよ!

お前が腕を押さえて
俺が足を押さえたっけ。

あいつは どんどん
息ができなくなって…。

やめて! 嫌だよ!

♬~

そうやって 俺たち2人で
お前の亭主 殺したっけ。

やめて~!

♬~

ん… んん… ん…。

はあはあ…!

はあはあ… ふう…。

≪お才…。

才…。
(お才)あんた…。

お才…。

(儀右衛門)
亭主を手にかけていたとはな…。

あっしも 身の毛がよだちましたぜ。

でも 昨日は正直
悪い人には見えなかった。

だから 人は 面白くて怖いのさ。

その時々で違う顔。

特に女は 違う顔全てが
本当の顔ってこともある。

いいんだよ
お前は まだ分からなくても。

(庄治)これが お尋ねの簪でさ。

(儀右衛門)なるほど。

こいつが 泥棒簪か。

まあ 見るのは これが初めてだが

あんまり きれいなんで
次から次へと盗まれる。

女中のお貞 緋鯉の伝八
そして 庄治さん。

5日のうちに 3度も己を盗ませた
恐ろしい簪だ。

簪を そんな乱暴に…。
おっとっとっとっと…。

あんまり見ちゃいけねえよ お縫。
特に女はな。

へえ~ これが泥棒簪。
おいおい お俊。

早く 廣國屋さんに渡した方がいいね。
お縫 加助さんは?

さっき のぞいたら また留守だった。

(儀右衛門)
あ~… 相変わらず質屋巡りか…。

ごめんください。
桜をあしらった金細工で

房は千鳥と赤珊瑚で…。

(店主)残念ですけど うちには…。
(お才)とにかく!

もし そういう簪を誰かが売りに来たら
私が買い戻すから。

必ず押さえといてくれよ。
(笑い声)

どうしたんですか?

どうもこうも!

大事な簪 盗まれたんだよ!

盗まれた?

ねえさん! 詳しい事情は知らねえが
その簪は やめといた方がいい。

何だって?
俺が思うに それは…

泥棒簪ってやつかも…。

とある娘が盗まれちまった簪で!
実は 俺も それを探してるんだが

どうやら それは
次から次に盗まれるのが常みてえだ。

いいや もしかして…
次から次に 自分を誰かに盗ませて…。

え?
人の心の隙間を渡り歩くような

そんな簪じゃねえかと…。
もう関わらねえ方がいい。

何だって 私に…
そんな説教たれるんだい。

だって ねえさんは いい人だから。

いい人?

アハッ! 私が いい人だって?

そうさ。 人の難儀を見過ごせねえ
立派で粋な江戸っ子だよ。

死んだ女房が言ってやした。

きれいなものは 人を変える。

もし 自分が
以前と変わっちまったと思ったら

それは その きれいなものを
手放す時が来たんだよって。

手放しゃ痛い。

けど 見える景色が きっと変わる。

あの簪 手放したら

元の善人に戻れるとでもいうのか!
バカ野郎!

♬~

この簪で間違いない? お貞さん。

はい! 間違いありません!

お嬢様は?
まだ お戻りじゃないです。

おかげさまで 私
なんとか悪党にならずに済みました。

うん よかった。

ねっ? 加助さん。

どうしたの? 加助さん。
ずっと だんまりで。

今日 仲町の質屋で
お才さんに出くわした。

顔を見られちゃった?

お才さんは 俺を覚えちゃいなかった。

声をかけたが それどころじゃない様子で。

声をかけた! 自分から声を!?

その上 偉そうに意見しちまった。
意見!?

俺ぁ 自分のおせっかい焼きに
腹が立って…。

何を意見したの?

へえ~ 加助さんでも あれを
泥棒簪と言ったのか。

そうなのよ。 ったく もう…。

で お才さんは?

泣いて その場から逃げちまったって。
あ~ そうか。

善人は残酷だ。

悪人の痛いところを 「知らぬが仏」で
ズブリと刺しちまう。

差配の旦那!
お父っつぁんが連れてかれた!

連れてかれたって
どういうことだい? 耕坊。

目つきの悪い男たちに囲まれて
おいらを逃がして…。

場所はどこだ? 耕坊。
海辺大工町だ。

後をつけたら お父っつぁん
そこの稲荷に連れ込まれて

簪が どうのこうのって。

よく知らせてくれた! なあ!

さすがは 庄治さんのせがれだ!
ああ 大した度胸だ 耕坊!

え~や 心配すんな!
お父っつぁんは 必ず俺が助けるぜ。

お縫 今 長屋にいる連中 かき集めろ。
はい!

お俊 ありったけの ちょうちんだ。

あいよ!
ああ。

おい 簪 盗んだの てめえだろ。

知らねえよ。
(伝八)嘘つけ。

てめえが お才の家のそばで
商いしてんのを

俺の仲間が見てんだぜ。

兄貴!

(伝八)おい お才。

家のそばで 何日も下駄を売ってた野郎は
こいつか?

あ… ああ…。

でも 何で こんな目に?

こいつは盗人だ。
狙いつけた家 見張って

おめえが留守の隙に忍び込んだに
違えねえ。

そいつは… ぬれぎぬだ…。

うるせえ!

簪 どこだ?

言え!

ああっ! ああ ああ…。

簪と てめえの命 どっちが惜しい?

簪は もういい! もういいよ!

ねえ お前さん お願いだよ!

もう殺さないでよ。
(伝八)うるせえ。 もう殺さないで!

今 面白えところだ。 すっこんでろ!

簪 どこだ?
(殴る音)

(伝八)言え!
(殴る音)

♬~

ああ~!

≪御用だ!
≪御用だ!

≪緋鯉の伝八!
履物屋亭主殺しで召し捕る!

おとなしく 縛につけ!
くそが!

逃げるぞ!
(子分たち)へい!

おい お前もだ。 立て おら!

兄貴 早く!
立て ほら 行くぞ!

庄治さん!
庄治さん 大丈夫か?

しっかりしろ!
庄治さん!

とうとう けが人が出ちまったよ。

それもこれも
加助を長屋に置いてるからだ。

(安太郎)確かにな…。

今は 緋鯉の伝八が どう出るかだぜ
半造おじさん。

まあ そうだがよ。

お父っつぁん 庄おじさんの具合は?

だいぶ 熱も下がったようだ。

おかゆも食べたよ。

さすが 私らとは自力が違うね。

今 文さんが
お才さんの家を見張ってくれてるのよね。

ああ。 もし 庄治さんの身元をたどって
殴り込んでくるようなら

すぐに知らしてくれる手はずだ。

そん時は…。

その時は どうするんですかい? 旦那。

伝八と お才を 亭主殺しの罪で
お上に たれ込む。

いや…。
そいつは いけねえよ!

悪人が悪人を たれ込むなんて
旦那に そんな汚えまねは…!

差配は俺だ。 責めは俺にある。

元はと言やぁ 加助さんを
この長屋に住まわせしまったのも

俺の早とちりだ。

≪(文吉)大変だ!
もう来やがったか!

(足音)

お才が奉行所に 亭主殺しを名乗り出た!
名乗り出た!?

緋鯉の伝八も 役人に召し捕られた!

(佐竹)神妙にしろ!
くそが!

♬~

お才のアマ~!

奉行所の下っ端役人からのネタで

お才は お取り調べで
泥棒簪がどうのこうの言ったようで。

泥棒簪…。

(佐竹)なぜ 自ら名乗り出てきたのだ?

きっかけは…。

泥棒簪でした。
泥棒簪?

ある男に言われたんですよ。

きれいなものは 人を変える。

手放せば 違う景色が見られる…。

亭主を手にかけてから こっち

恐ろしい景色ばかり見てきました。

だから もう…

簪も伝八も 一切合財 手放してやろうって
思ったんですよ。

で その ある男とは?

さあ?

ただ…

絵に描いたような… 善人面でしたねえ。

まさか 加助さんの意見で お才さん…。

善人も侮れねえな。

なっ 半造さん。
へい…。

いや~ けどね
たった簪一本が きっかけで

男を売って名乗り出るなんて。

あっしには お才の心持ちが
全く分かりやせんや。

同感だ。

(お俊)分かる。

よく分かる。

きれいな着物や簪は 女なら誰でも欲しい。

それさえあれば 本当に欲しいものが

手に入った気がするからね。

本当に欲しいもの…?

幸せさ。

♬~

(文吉)おかみさんが そんなことを。

女中のお貞さんが簪に引かれたのは
幸せが欲しかったから。

お才さんも 満たされない心を

たくさんの簪で
埋めようとしてたのさって…。

悲しいね 女ってのは。

おあいにくさま。 男は簪 挿せないでしょ。

何でえ そりゃ。

おはよう! お縫さん 文吉さん。
いい朝だね~。

何だい
しょぼくれ坊主が元気になったか?

ちょっと 文さん…。
いいんだよ。

きっと お才さんも… これで やっと

違う景色が見られたはず…。

ここは 本当にいい長屋だ。

善人長屋だ! うん!

<加助さんを どうするか
答えは出ていない。

だけど この善人は 何だか心地いい。

私は そんなふうに思い始めていた>

女遊びも ほどほどになさらないと
新九郎様。

女殺しで お縄になった!
俺の仕業とでも?

新九郎様は
人を殺すような お人じゃねえ!

そんなに お父っつぁんが心配?

ハッハッハッ!
己が殺されたって

女だけは決して死なせやしないさ。

悪党らしく
往生際は悪くなくっちゃいけません!