【BS時代劇】善人長屋(3)「抜けずの刀」[解][字]…のネタバレ解析まとめ

出典:EPGの番組情報

【BS時代劇】善人長屋(3)「抜けずの刀」[解][字]

長屋の住人で色男の新九郎がある日、女殺しの疑いで捕まる。お縫や加助たちは彼を助けようと必死になるが、なぜか新九郎自身は諦めた様子。やがてその理由が見えてくる。

詳細情報
番組内容
長屋の住人の一人で、贋作づくりが裏稼業の梶新九郎(上地雄輔)は色男で、女が絶えることがない。ある日その新九郎が逢引き相手のおみち(川島鈴遥)殺しの疑いで捕まってしまう。お縫(中田青渚)や加助(溝端淳平)たち長屋の面々は新九郎を助けようと必死になるが、当の新九郎は何もかも諦めた様子。やがて、元は武士の新九郎の過去や、郷里で因縁のあった男・仙場和氏(玉置玲央)が事件に関係していることが明らかになる。
出演者
【出演】中田青渚,溝端淳平,高島礼子,吉田鋼太郎,上地雄輔,溝口琢矢,蕨野友也,玉置玲央,川島鈴遥,山中聡,おかやまはじめ,柳沢慎吾
原作・脚本
【原作】西條奈加,【脚本】森下直
音楽
【音楽】住友紀人

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

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キーワード出現数ベスト20

  1. 新九郎様
  2. 下手人
  3. 加助
  4. 新九郎
  5. 仙場
  6. 佐吉
  7. 志乃
  8. 悪党
  9. お父っつぁん
  10. 番屋
  11. 今日
  12. 長屋
  13. 半造
  14. お縫
  15. 一人
  16. 御用
  17. 親分
  18. 千七長屋
  19. 善人長屋
  20. 本当

解析用ソース(見逃した方はネタバレ注意)

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(加助)大したもんだ。

大したもんだ!
(新九郎)どうした 加助?

何てえか… そよ風が。

そよ風?
へい。

そよ風みたいな字でやす 新九郎様。

あっしは商売柄 赤坂で
大店や大名屋敷にも出入りしやしたが

こんな きれいな字を書く お人は
いやせんでした。

字は心を表す。

さすが 善人長屋の お人だ。

いや ただの代筆屋だ。

これは挨拶代わり。 お代はいらぬ。

いけやせん! この立派な看板が
これから あっしの道しるべだ。

僅かばかりではございやすが どうか…。

どうか お受け取りください!

なら もらおう。

(お縫)何 食べたい?
おまんじゅう。

あっ 新九郎様!

やあ お縫。 今 帰りか?

はい。 今日は お針のお稽古だったので。

それより お出かけですか?

ああ やぼ用だ。

朝帰りされた日に?

文をもらっていたのでな。

また 付け文を?

新九郎様
女遊びも ほどほどになさらないと

そのうち 刃傷沙汰になっちゃいますよ。

では ほどほどに行ってまいるよ。

♬~

(3人)キャ~!
こんな間近で 新九郎様を見ちゃった!

目が合ったわ! なんて きれいなお声!

<千七長屋の住人 梶 新九郎様。

表稼業は代筆屋だけど
裏稼業は贋作づくりの悪党だ。

その上に女たらしで
つかみどころのない優しい人>

(新九郎)おい! おい!

♬~

<世間様から
善人長屋と呼ばれちゃいますが

うちの店子は そろいもそろって

裏稼業持ちの悪党ばかり>

<差配の一家は
盗品を売りさばく系図買い屋>

<そんな悪党どもが
一人の善人に
かき回されて

人助けを
するはめになる

不思議な物語でございます>

あ~ 後で…。
分かりやした。

≪御免!
は~い。

ああっ!
すまぬが 筵を頼む。

(佐吉)どういうこったい?

寺町外れのお堂の横で見つけた。

名は おみち。

先日 文を じかに渡され

今日が最初の あいびきだった。

佐吉 どんな具合だ?

(佐吉)袈裟懸けに バッサリでやす。

武家の仕業か。

ほかに刺し傷が いくつも。

お手前 名は?

梶 新九郎。

どちらのご家来衆か?

浪人でござる。

居所は?

深川山本町 浄心寺裏 千七長屋。

ああ な~んだ 善人長屋の住人かい。

刀を拝見したい。

俺の仕業とでも?

なら 見ればよい。

佐吉 縄を打て!

けど の旦那
善人長屋の住人が そんな…。

佐吉!

(佐吉)へい…。

やはり 聞く耳は持たぬか。

今 何と言った?

よい。

ん~ そうか。
友達のお目当ては 新九郎様だったのかい。

そうなの。
けどな お縫

素人の娘さんを なるたけ
新九郎様には近づけない方がいい。

新九郎様は 元は上野のお侍で

女でしくじって 国元を離れたそうな。

それが 悪党に落ちた始まりだとも
おっしゃってた。

お国元でも やっぱり 女の人といろいろ?

やぼなこと聞くんじゃねえよ。

あっ そう。

男って そういうとこ
かばい合うんだから。

(半造)大変だ!

新九郎様が 女殺しで お縄になった!

(お俊)えっ 女殺し!?

お俊。
うん。 半造さん。

へい。

お父っつぁん…。
何かの間違いに違いない。

俺が 直接 番屋に行って
事情を聞いてくる。

おい! もたもたすんな!

お改めが来るぞ! 急げ おい!
これ お願い。 へい。

どうした? お縫坊。 手が止まってんぞ。

心配すんな。 新九郎様に限って ねえよ。

私のせいだ。
何が?

「女遊びも ほどほどにしないと
そのうち 刃傷沙汰になる」。

あんなこと 言わなきゃよかった!

お縫… お前 新九郎様が人を殺したって
本当に思ってるのかい?

だって 女よ。 きっと心中を迫られて
断り切れずに相手を殺して…。

アッハハハッ!
おっ母さん!

夢見がちにも程がある。

あのお人は たとえ 己が殺されたって
女だけは 決して死なせやしないさ。

女を 本当に大事になさる。

あのお人の袖が
いつも付け文で膨らんでるのは

見目形のせいばかりじゃない。
そうだろ?

そうだった。
江戸一番の女たらしだった。

(儀右衛門)
まことに申し訳ございません!

この度は 佐吉親分のお手を煩わせ
まことに まことに申し訳なく!

千鳥屋さん もう 頭 上げてくんねえ!

あ~ おみちさん…
あ~ なんまんだぶ なんまんだぶ…。

の旦那はよ
下手人だと決めつけてるが

場所は寺町外れだ。

町奉行所と寺社奉行所で
手柄の取り合い 小競り合い。

まあ しばらく ここに留め置きだろうよ。

あ~ そう… あの親分は
何で 新九郎様に お縄を?

梶 新九郎は
日頃から女の出入りが激しいらしい。

男女の仲がこじれたあげくの殺しだ。

おみちとは
前から深い仲だったに違いねえ。

なぜなら 仏を抱いて わざわざ ここまで
連れてきたってえのが怪しすぎる。

(佐吉)ま 確かによ
本当に今日が初めてのあいびきなら

普通は そこまでしねえわな。

いくら 善人長屋の善人でもよ。

その上 当の本人が
申し開きしねえんだから…。

はあ!? 申し開きをしてねえ!?

知らねえよ!

銭を使わせ すまんな 差配殿。

何で申し開きをなさらねえんで?
殺してねえんでしょ?

どれほど申し開きをしたところで
しかたあるまい。

さすがは 千鳥屋儀右衛門の目だ。

今 己が
ヒビの入った茶わんの心持ちがした。

もう見てくれるな。
新九郎様!

何で申し開きをなさらねえんで!

したところで…!

どうにもならぬ。

新九郎様が そんなことを。

「柳に風」と受け流すお人だとは
思ってはいたが

ありゃあ 柳どころか
草一本 生えちゃいねえ。

荒れ野だ。

心の奥の深~いところで
何かを諦めちまってる…。

ねえ お父っつぁん

今度は私が
番屋に様子を見に行ってもいい?

ならねえ。 番屋なんぞ
年頃の娘が行く所じゃねえよ。

でも…。
≪千鳥屋!

お~ これは 佐吉親分のところの。
何か御用で?

この千七長屋の店子で
錠前屋の加助ってのは

間違いなく お前んとこの店子だな?

ええ。 え~ 今度は加助さんが 何か?

梶 新九郎は潔白だと 番屋で大騒ぎだ。

あげくに居座って てこでも動かねえ。

ただいま… ただいま すぐに!

お父っつぁん 私が行ってくる!
おい お縫! お縫!

[ 心の声 ] だって 新九郎様の様子を
一目見ないと…。

新九郎様は
人を殺すようなお人じゃねえ!

どうか この縄だけでも
解いてあげておくんさい!

だから 何度も言ってんじゃねえか。

番屋に牢はねえ。
つないどくしかねえんだよ。

だったら あっしも
一緒に ひっくくってくだせえ!

おい おめえら
いいかげん こいつ つまみ出せ!

千七長屋の差配の娘 縫と申します。

加助さん
ここは ひとまず帰ろう。 ねっ?

いやっ! あっしは帰らねえ!

(佐吉)お前ら なんとかしろ!
へい。

おっ!
てめえはガキか! 離れろ この野郎!

新九郎様を お解き放ちくだせえ!

それまで あっしは ここを離れねえ!

新九郎様 大丈夫ですか?

早く加助を連れて帰れ。

無理です。
人のために必死になってる加助さんは

お相撲さんだって動かせません。

そうか。
これが噂の善人加助のおせっかいか。

骨身にしむが。

それより 娘さんの骸を見つけた時
何か気にかかったこと なかったですか?

くしが落ちていた。 娘のものだ。

開いた目で
じ~っと くしを見ている様が哀れでな

髪に戻しておいた。
ほかには?

袈裟懸けが逆だった。
逆?

刀は普通 右肩に担ぐ。

そのまま下ろせば
相手の左首から… 刀が入る。

だが 娘の骸は 右首から入り
袈裟懸けに斬り下ろされていた。

下手人は 左利きかもしれぬ。

左利き…。

すまんな。
何がです?

長屋の衆に余計な火の粉がかからぬよう

さっさと 咎を受けて
しまいにするつもりだよ。

[ 心の声 ] これが お父っつぁんの言ってた
心の中の荒れ野…。

深いところで 何かを諦めちまってる…。

うちの長屋を
甘く見てもらっちゃ困ります。
ん?

必ず下手人を捕まえて
この縄 解いてさしあげます。

諦めちゃ終わりです!

うちの長屋の悪党なら悪党らしく
往生際は悪くなくっちゃいけません。

フフ… ハハハハハ…。

ハハハハハハハハハハッ!

何事だ?
ハハハハハッ!

いえ 何でも。

うう~!

なら 少し 望みをつないでみようかな。

<私たちは手分けして
おみちさんと関わりのある人を探した。

下手人は 相当な憎しみを持っていると
お父っつぁんは にらんだ。

そして…>

いや~ びっくりたまげたね。

あの殺された おみちって娘

男出入りの激しさは
新九郎様と いい勝負だ。

本当?
(唐吉)町人は無論

お旗本から 行きずりの男まで
取っ替え引っ替えの ありさまで。

全くな。 桂井といや そこそこの料理屋。

そこの箱入り娘が とんだ…。

親泣かせでやす。
箱入り娘が

何で そんなことに
なっちまったんだろうね?

いや~ しかし 参ったなあ。

そんなに男が多いんじゃ
絞り込むにも時がかかるし

その間に伝馬町送りになっちまったら
もう助けるすべがねえ。

旦那 その伝馬町送り
もうしばらく かかるそうで。

(儀右衛門)
えっ どういうことよ? 半造さん。

あの善人野郎が
番屋の外に響く大きな声で

「下手人の確たる証しは どこにもねえ」
って騒ぎ立てるもんだから

同心の様も 頭を抱えてるようで。

(唐吉)うまい具合に
時を稼いでくれてるってわけか。

「知らぬが仏」だ。 あの善人野郎め!

じゃあ うまくいけば お解き放ちに?

いや 下手人の確たる証しはねえが
潔白のそれもねえ。

本人が申し開きをしねえ限り
いずれは伝馬町送りだ。

お父っつぁん おみちさんのお通夜は?

あ… 仏さんが うちに戻ったのが
ついさっきだから

明日が通夜で
葬式は その2~3日先だろう。

お父っつぁん!

質流れのくしを頂戴。
それも 極上のくし!

くしを?
私に考えがあるの。

(新九郎)おい! おい!

♬~

<私は 文さんをお供にして
おみちさんの通夜に行った。

前からの友達と名乗って…。
ごめんね おみちさん>

よく来てくれました。

おみちに こんな かわいい友達が
まだ いたなんて…。

男出入りが多くなってから こっち

友達に嫌われちまってね。

これを おみっちゃんと一緒に
埋めてあげてください。

友達のしるしに。

それで… よければ…

そのくし おみっちゃんの形見に
頂けませんか?

しかし 下手人が
わざわざ通夜に来るかねえ。

来るわよ。 きっと来る。

私が下手人だったら
やっぱり気になるもの。

殺した娘のことがか?

それもだけど…

新九郎様が ずっと番屋に
留め置きになってるでしょ?

なぜだろうって気になるもの。

いろいろ探りたくなるのが
人情ってもんよ。

ふ~ん。

このくしは下手人を知ってる。

下手人も このくしを知ってる。

ささ。

あ~。

すまんな。
いえ。

加助。 なぜ それほど 俺の世話を焼く?

新九郎様を 一人で
ほっぽっとくわけにゃいきやせん。

あっしは去年 赤坂の大火事で
女房と娘を亡くしやした。

火が出た時
下谷の錠前の師匠の家におりやして

てめえ一人 生き残っちまって。

もし そん時… そん時ね…

女房と娘のそばにいりゃ
助けられたかもしれねえ…。

だから 決めたんでやす。

ここが肝心と思う時は

大事な人のそばにいて
てこでも動かねえって。

今がね… 今が その時と思うだけで。
それだけでやす。

♬~

俺は…

上野の小藩の
国家老のせがれとして生まれた。

お国家老様の…?
なに 三男坊さ。

当時は おなごに ようモテて

色男めと
朋輩どもに よく からかわれた。

今より おモテに? へえ~。

それが… 災いしたのだろうか。

友のいいなずけが自害した。

友は 俺が そのいいなずけに
無体を働いたためだと

目付に訴えた。

もちろん 俺は そんなことはしておらん。
だが…。

父上 申し開きを! せめて申し開きを!

切腹は明朝。 よいな?

父上!
父上は私を信じてはくれぬのですか!

己の日頃の行いが…!

(新九郎)
俺は つくづく武家が嫌になった。

同情してくれた者もあり
力を借りて出奔した。

国元では切腹したとされ
墓まであるそうな。

生きて汚名をそそげず 亡霊となった。

武家は無慈悲で冷たい。

しかし…

町人は温かいな。

加助。

お縫も お前も 長屋の皆も

申し開きをせぬ俺の潔白を信じ
怒り 叱り 世話をする。

俺は… 皆が好きだよ。

新九郎様…

あっしも 新九郎様が好きでやす。

新九郎様は
あっしに 立派な看板を書いてくださった。

あの字を見た時
あっしの中に そよ風が吹きやした。

どんなに つらくても 悲しくても

「さあ 前を向いて お稼ぎよ!」って…

女房の…

声が… 聞こえた気がしたんでさ。

あっしは… あっしは…。

泣くな 加助。

女の涙なら 乾かしようもあるが

男の涙は… どうしてよいか分からぬ。

♬~

もう来ねえって。
諦めて帰ろうや お縫坊。

店にも迷惑だ。

来るわ。 きっと来る。
けどよ…。

文さん。

♬~

(文吉)左利きだ…。

[ 心の声 ] 私の勘が騒いでる。

悪党のにおいが… すごく強い。

♬~

[ 心の声 ] こいつだ。

あら やだ。

お縫坊。

お願い。

(下っ引きたち)おお~!

こいつは豪勢だ!

おひとつ どうぞ。
そいつは いけねえ。

それだけは いけねえよ。

いつも うちの店子が
お世話になってるんですから せめてもの。

男前の親分さん。

よせやい。 おっととと…!

うめえ!
(笑い声)

新九郎様。
ん?

仙場和氏という浪人者に
心当たりはありませんか?

仙場?
ご存じなんですね。

お縫さん 誰だい? その仙場ってのは。

ゆうべ 文さんが 後をつけてくれたの。

何で? どこで?

お縫。 仙場和氏が 江戸にいるのか?

はい。 元は上野のお侍だそうですが。

上野? 新九郎様と同じお国の。

半造おじさんが聞き込んでくれました。

国で何やら しくじりを重ねて
お役を解かれて

5年前に江戸に来たと。
へえ~。

髪結は よろず早耳だが

そんなことまで聞こえてくるってのは
すげえな。

そうよ! 半造おじさんは すごいの!

(佐吉)えっ 何が すごいんだ?

ささ 親分 親分!
何が すごいんだ?

お縫。

仙場と おみちは どういう関わりなのだ?

少し前まで つきあってたみたいです。

その おみちさんって人が
新九郎様にも文を…。

それで仙場が嫉妬して

たまたま 新九郎様とのあいびきの場所で
殺したんじゃないかって お父っつぁんが。

あの むごい刺し傷は…

嫉妬ではなく憎しみだ。

仙場が憎しみをぶつけた相手は
おみちではなく…。

俺だ。

そうか。 そのまま黙っちまわれたか…。

あ~! 分かんない!

よし!
お父っつぁん どこに?

八丁堀だ。
八丁堀って… まさか同心の!?

このまま 新九郎様を
見殺しにするわけにはいかねえだろ。

けど!
あれ?

何だ お縫 そんなに
お父っつぁんが心配? はあ?

それより 何する気?

新九郎様が黙っちまったなら
しゃべってもらうのは 一人しかいねえ。

一人って?
ああ。

お父っつぁんの出番だ。

さあさあ さあさあ 大変だ! 大変だ!

本所緑町 桂井の娘 おみち殺しの下手人が
よもやよもやのお解き放ちだ~!

千七長屋の代筆屋で 当代きっての色男が
身の証しを立てちまった。

まことの下手人は 果たして いずこ!

手がかりは ありや なしや!

さあ! さあさあ さあさあ!
買った 買った 買った~!

♬~

(仙場)
解き放たれたとは まことであったか。

おみちを手にかけたのは お主なのか。

ああ。

なぜだ?

なぜ?

俺は お前に いいなずけの志乃を奪われ
全てを失ったのだ。

違う!

お主は
俺が志乃殿に無体を働いたと訴えたが

俺は断じて…
断じて そのようなことはしておらん!

ハッハッハッ! アハハハハハハッ!

そうとも。
お前は志乃に 指一本 触れてはおらぬ。

思いを寄せたのは志乃の方だ。

あの女 お前を好きになったと俺に言った。

俺との縁談を… なかったことにすると。

仙場 まさか お主が…。

♬~

(仙場)
俺は 志乃を心底かわいく思っていた。

なのに お前が… 俺から志乃を奪った!

仙場…。

俺の訴えで お前は
腹を切らされるはずだった。

しかし お前は 行方をくらませた。

おみちを殺したのは なぜだ?

ああ…。

(おみち)私ね 好きな人ができちゃったの。
誰だ?

(おみち)梶 新九郎様といって…

そりゃあ 男前なの。
梶…。

明日 あいびきなの。

だから 私たちは 今日でおしまいよ
仙場様。

(仙場)やはり お前は生きていた。

同じ この江戸にいると 俺は悟った。

これは 志乃が俺に…
いいなずけの この俺に…

敵討ちをせよと命じたのだと!

なぜ おみちを殺したのだ!

俺ではなく おみちを!

志乃を自害に追いやった その咎を
のうのうと逃れた男に 今度こそ

女殺しで罰を受けさせたいではないか。

新九郎様。

おみち。

あ… あ… あ… あ…。

新九郎!
(刺す音)

梶 新九郎!
(刺す音)

うう~! うう~! うう~!
(刺す音)

おみち…。
(仙場)その顔だ。

なぜ 己を捨て置き 女を哀れむ。

ああ~ もう我慢できん!
この手で たたっ斬ってやる!

御用だ!
御用だ!

御用だ!
御用だ!

離せ! おい やめろ! 離せ!

離せ! 離せ~!

仙場和氏! お主の 今 申したこと
全て この耳で聞いた。

おみち殺しの咎で召し捕る!

神妙にせい!

千鳥屋!

下手人を おびき出すだと?

様が お乗りくださらないなら

寺社方に話を持ちかけます。

フッフッフッ… ハハハハハハッ!

長屋に返すのは3日のみ。

逃亡されては かなわぬゆえ 縄は解かぬ。

それでいいか?

新九郎様!

新九郎様!
今 解きやすぜ!

畜生! 何日も つないだままにしてたから
固くて解けねえ!

よかった! 本当に よかった!

うお~!

死ね~!
新九郎様!

お縫!

なぜ抜けぬ!? なぜだ!

うわ~!
加助!

この野郎!
ああ~!

ああ~! うう…!

(佐吉)行くぞ。 立て!

立て~!

新九郎~! 梶 新九郎~!

貴様! 許さんぞ! 志乃を返せ!

(佐吉)行くぞ!
(仙場)志乃~! 志乃~!

ふんっ! ふんっ!

♬~

(儀右衛門)おみちさんの血だ。

あの野郎 殺したあと 血を拭わずに
鞘に納めてやがったんだ。

<それは 乾いた血で固まった

抜けずの刀だった>

♬~

あの時は 死ぬかと思った…。

あれから
半造さんに調べてもらったんだがね

おみちさん
文字どおりの箱入り娘だったが

3年ほど前に お稽古事の帰りに
荒くれ者たちに さらわれて

無体を受けたって噂があったそうだ。
え…。

それから 男遊びが始まった。

まるで 自分を罰するかのように

次から次に 男に身を任せて…。

けど 本気で ほれ合った男は
いなかったようだ。

ほれる ほれないは… 心だからね。

(お俊)新九郎様は そんな おみちさんに

くしを髪に戻してあげて
番屋に連れてってあげた。

ひどい目に遭ってから ずっと
自分を大事にできなかった娘が

死んで初めて大事にされた。

だから 自分の血で新九郎様を守った。

それが 抜けずの刀。

私にはね そう思えてならないんだよ。

(足音)

(新九郎)おはよう。

おはようございます。
おはようございます。

今日は一段と いい男っぷりだ。

ひょっとして また女ですか?

新九郎様 懲りてないんですか?
そう言うな。

そうだ 礼を言わねばな。

えっ 私 何かしましたっけ?

ああ。 悪党は悪党らしく…。

往生際は悪くなくっちゃいけません。

つまらぬ俺を叱ってくれた。

ありがとう。

では。

ちっとも懲りてないみたい。

寺町のお堂に
線香を手向けに行かれるんだよ。

今日は おみちさんの初七日だ。

おはよう!

おはよう 加助さん。 早いのね。

もうじき 錠前稼業も開店だね。
しっかり お稼ぎよ。

へい! 行ってきやす!

(2人)行ってらっしゃい。

行ってらっしゃい!

8両も 余計に ふんだくるなんて
騙りだわ。

けど うちの長屋にだって
騙りの玄人がいる。

ただより高いものはない!

(笑い声)

とぼけるない!
騙りの親分を相手にすりゃあ

これまでみたいな やけどじゃ済まねえ。

それじゃ 人でいるのをやめるのと同じよ。