【BS時代劇】善人長屋 [終](8)「野州屋の蔵」[解][字]…のネタバレ解析まとめ
出典:EPGの番組情報
【BS時代劇】善人長屋 [終](8)「野州屋の蔵」[解][字]
お縫は、加助の元妻のお多津に会おうと決意し、お俊とともにお多津が働く店へと向かう。一方で加助が悪党一味に捕らえられる。儀右衛門たちは長屋総出で大きな賭けに出る。
詳細情報
番組内容
お縫(中田青渚)は、加助(溝端淳平)の元妻のお多津(小林涼子)に会おうと決意し、お俊(高島礼子)とともにお多津が働く野州屋へと向かう。店主・喜八朗(陣内孝則)に悪党のにおいを感じたお縫は戸惑うが、お多津は自分は夜叉坊主(勝村政信)率いる悪党一味の一人だと認める。一方で加助が夜叉坊主一味に捕らえられる。加助とお多津を助けるため、儀右衛門(吉田鋼太郎)たちは長屋総出で大きな賭けに出るのだった。
出演者
【出演】中田青渚,溝端淳平,高島礼子,吉田鋼太郎,上地雄輔,徳井優,美保純,山田純大,山崎樹範,溝口琢矢,蕨野友也,小林涼子,勝村政信,陣内孝則,柳沢慎吾
原作・脚本
【原作】西條奈加,【脚本】森下直
音楽
【音楽】住友紀人ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
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- お頭
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- お多津
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- 代之吉
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- 承知
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- 一味
- 長屋
- 天龍
- 本当
- 万両
- お前さん
- お滝さん
解析用ソース(見逃した方はネタバレ注意)
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(お縫)<八幡宮の酉の市で 加助さんは
去年 赤坂の大火事で死んだはずの
おかみさん お多津さんを見かけた>
(加助)お多津!
<お多津さんの後ろには
街道筋で悪名高い
夜叉坊主の代之吉という大悪党がいた。
夜叉坊主が狙うのは
太物問屋 野州屋さんの蔵。
お多津さんは
幼い娘を人質に取られているらしく
お滝と名を変え
引き込み役に入っているようだった>
(お俊)あ~ ちょいと すみません。
へい。 何か御用で?
ここの野州屋さんに
お滝さんっていう人 いませんかね?
お滝ですね。 少々 お待ちください。
おっ母さん。 正面から堂々と。
それが一番 手っとり早い。
お滝さん 久しぶり!
達者でよかった!
(お多津)あの…。
おたまちゃんも達者かい?
確か もう3つ!
調子合わせな。 身のためだ。
アッハハ!
お帰りなさいまし! 旦那様!
(喜八朗)ああ ただいま。
お客様かい?
ええ。
お滝さんが前にいた
赤坂の長屋の者でしてね。
去年の大火事で
お互い 焼け出されちまって。
どうしたものかと案じていたら
ここで達者だと お聞きして。
そりゃ うれしい お立ち寄りだ。
お滝 店はいいから
ちょいと昔話に花を咲かせておいで。
いえ 旦那様 まだ お勝手が…。
まあ うれしい!
じゃあ ちょいと
お滝さん お借りしますよ。
どうぞ どうぞ。
ゆっくりしておいで。
本当にねえ
お互い無事で よかった よかった。
[ 心の声 ] 私の勘が騒いだ。
野州屋さんから
かすかに悪党のにおいがする。
お縫。
(お俊)脅すようなまねして悪かった。
加助さんは 今 深川の千七長屋にいる。
私らは その長屋の者でね。
早速ですが お多津さん
加助さんと また一緒に
暮らす気持ちはありますか?
何のことですか?
用心は分かる。
ここは 腹を割って話そう。
実は 私らは あんたと同じ悪党だ。
世間様からは
善人長屋と呼ばれちゃいるが
うちの店子は そろいもそろって
裏稼業持ちの悪党ばかり。
そんな悪党が そろいもそろって
加助さんに やられちまったんだよ。
やられた…?
真っ正直で善人で
どこか抜けてる加助さんが
毎日毎日 飲まず食わず眠らずで
女房 子供を尋ね歩いてる姿にさ
やられちまったんだよ。
裏に 悪名高い
夜叉坊主の代之吉がいると知れば
浅草南の祐念寺に
3つの子が人質になってると知れば
からくり錠の野州屋に のこのこ出向く
おせっかいまで焼いちまう。
からくり錠のことまで ご存じなら
しかたない。
そうですよ。
私が 夜叉のお頭の手下
名は多津。
元は 街道筋のドサ回り
軽業師の一座にいましてね。
どりゃ~!
ああ~!
(お多津)
5年ほど前 夜叉のお頭に誘われて
押し込みの手引きを。
その日の飯にも困る ドサ回りより
夜叉の方がマシだと
勘違いしたのが 運の尽き。
あまりに むごい やりように
何度も逃げて 何度も連れ戻された。
(お多津)3年前 役人に追い回されて
私ら一味は江戸へ逃げた。
けど 江戸は 殺しを嫌う天龍のお頭が
にらみを利かせて 押し込みができない。
それで…。
野州屋の蔵に目をつけた。
何でも ご存じなんですねえ。
夜叉のお頭は まず
野州屋さんを夜道で待ち伏せ
蔵の鍵を渡せと脅した。
野州屋さんを じかに脅した?
でも しくじって
空手で戻ってこられたんですよ。
その後 お頭は
からくり錠を作った錠前職人を探せと。
で その職人が 中風で寝たきりと知れば
その弟子を 一味に引き入れろと。
加助さん… ですね。
そう。
引き込みより たやすいと
侮っていたが…
その弟子は 善人の上に善人で
首尾よく めおとになったものの
つけいる隙がありすぎてね…。
加助さん
私たち めおとになったんだから
他人行儀は よして。
い… いや~…
お多津さんみてえな いい人が
女房になってくれて
俺ぁ まだ 夢見心地で。
(錠前をいじる音)
(お多津)あの人の錠前は
きれいな音がするんですよ。
温かくて 澄んだ… まっすぐな音。
お前さん…?
あ… 面目ねえ。
俺ぁ なんて幸せ者かと 胸が詰まった。
お前の
おっ母さんのおかげでよ
お父っつぁんは この世で一番の幸せ者だ。
ありがとな。
♬~
(お多津)お産の時には
産婆さんに頼み込んで あの人…。
(産婆)息め~!
(2人)は~っ!
(産婆)外で待ってな!
(2人)は~っ!
はあ はあ はあ…。
(産声)
(産婆)おめでとう!
飛びっ切り元気な女の子だ!
でかした! でかした~っ!
(蹴る音)
いつまで待たせやがる お多津。
すいません お頭!
3日後に野州屋に押し込む。
それまでに 錠前屋を
一味に引き込めねえってんなら
そいつを殺して… ガキも殺すぜ。
それだけは! ああっ… あっ!
近頃 てめえ… 乳臭えぞ。
(お多津)そんな時に あの大火事が。
(おたま)母ちゃ~! 父ちゃは~?
錠前屋が焼け死んだだと!?
あの男 この子を私に託した途端
火に のまれたんですよ!
畜生。 やっぱり鍵だ。
お多津 今から野州屋に潜り込め。
からくり錠の鍵を盗め。
承知しました…。
あっ! おたま おたま! おたま…。
それまで ガキは俺が預かる。
鍵と引き換えだ。
(お多津)それから1年。
死に物狂いで鍵を探したが
見つからない。
夜叉のお頭も しびれを切らす頃だ…。
そこで 私の気持ちですが…。
今 お話ししたこと そっくりそのまま
元の亭主に伝えてください。
お前の女房は 押し込みの一味。
からくり錠のために めおとになった。
情は 初めから ひとかけらもなかったと。
嘘だわ! 諦めないで お多津さん!
加助さんと おたまちゃんと
また3人で一緒に…。
そんなこと…!
夢にも思っちゃいませんよ。
もう こうなったら 何としても
お多津さんと夜叉坊主の悪縁を
切らなきゃ。
それじゃ…?
お多津さんは 加助さんを
心の底から 今も大事に思ってる。
ヒリヒリ痛いくらいさ。
そうよ!
それに 野州屋さんも気になる。
さっき 僅かだけど
野州屋さんから悪党のにおいがしたの。
野州屋さんから?
3年前 野州屋さんは
夜叉坊主を追い返した。
まだ 裏に 何枚かありそうだね。
(文吉)おかみさん! お縫坊!
大変だ! 加助さんのおっさんが
消えちまった!
(2人)えっ!?
こんな所で何なんですよ。
お店の人に見られたら…。
お多津 夜叉のお頭が御用だ。
喜びな。
錠前屋の加助は生きてたぜ。
それは人違いだ。
てめえをつけたら 加助がいたぜ。
駄目だ。 加助のおっさんは
一体 どこに消えちまったんだ。
(半造)おい 大変だ! 旦那 大変だよ!
赤坂の空き地で 加助が
坊主といるのを見たって人がおりやして。
(安太郎)まさか夜叉の…。
今 庄治さんが 祐念寺に入ってくれてる。
お父っつぁん。
≪(足音)
あっ 庄おじさん! どうだった?
加助さんの姿は 寺になかったよ…。
(笑い声)
3年か… お多津のアマめ
手間かけさせやがって。
お頭 錠前屋が押し込みを断ったら?
親子3人 血祭りだ。
お多津が 一番 分かってるさ。
(お多津)私は からくり錠のために
めおとになった。
多分 開けられるよ。
(菊松)畜生! あの加助さんが
野州屋の蔵を破っちまうのかい?
(儀右衛門)多分な。
(たたく音)
俺は嫌だ。
加助のおっさんを悪党にはしたくねえ。
お… おっさんのためじゃねえぞ!
俺のためだ!
畜生… うまく言えねえが…。
(唐吉)分かるぜ 文吉。 俺も嫌だ。
俺だって嫌だよ。 …ったくよ
金輪際 願い下げだっていうんだよ。
あいつが もし悪事を働いたら
猫が ねずみに追われるね。
プッ… まさしくだ。
蛙が蛇をのんでしまう。
(笑い声)
お天道さんが東に沈んで
冬になったら 桜 咲いちまうわ。
(笑い声)
[ 心の声 ] みんなの与太は
「それは嫌だ」の裏返し。
加助さんは 悪党ばかりが住む この長屋の
言ってみれば良心だ。
それぞれが昔捨てた良心を
また もう一度 見捨てるのが嫌なんだ。
さあ お立ち会い。
私だって 私だって…!
悪党が善人を守っちまう!
言っちまった!
やぼは お縫坊で決まりだ。
やぼって…。
[ 心の声 ]
江戸っ子と悪党は 時々 めんどくさい。
夜叉坊主が 野州屋を襲うのは
いつだろうな?
それなら 調べはついておりやす。
野州屋は 毎年 大みそかに
旦那の喜八朗さんが
雇い人を引き連れて
下野に湯治に行くのが決まりだそうで
留守番は 1人か2人。
夜叉坊主が押し込むなら
まず間違いなく 大みそかで。
この手は どうだろう?
正気か? 差配殿。
やぼは承知で 命を張るバカ 張らぬバカ。
(一同)張った!
張った。
張るわ お父っつぁん!
皆の命 俺が預かった。
お多津… お多津か?
お多津!
生きてた…。
生きててくれた!
おたまは?
おたまは… 人に預けてる。
よし これから一緒に迎えに行こう!
また 一家3人で暮らせる…!
お前さん 何で こんな目に遭ったか
知りたくないの?
アイタ! そういや 赤坂で… 坊さんが…。
それは…
私の仲間なんだよ。
仲間?
あそこにも 1人いる。
3年前 お前さんと知り合う前
私は 悪党一味に身を置いていた。
そいつらは 野州屋さんの蔵を狙ってる。
お前さんに
からくり錠を開けさせようと
私に お前さんを仲間に引きずり込めと…。
俺を… 仲間に…?
嫌なら… 殺すと。
だから… だから…!
分かった。 仲間になるよ。
押し込みだよ?
錠前 破らされるんだよ!?
そんなの承知するなんて
お前さんらしくない!
いいんだ。
よかない!
♬~
いいんだ。
去年 赤坂の大火事の時
俺ぁ お前と おたまに
何もしてやれなかった。
肝心要の あの時
長屋を 何で留守にしたかと
ずっと 悔やんできたんだよ。
もし… もし 女房と娘を
生きて返してくれるんなら
この命 差し出しますと
毎日 胸の中で ずっと唱え続けてきた。
今が きっと その時だ。
差し出すのは神でも仏でもない。
悪党だ! 盗賊だ!
私は その一味の手下で
おたまは… おたまは…
私が身を置いていた…
一味の頭… 夜叉坊主の子だ。
♬~
分かってた。
俺たちが めおとになった月と
お前の産み月の勘定が合わねえ
ってことぐらい…。
お前は早産だからと言って
俺も早産だからと言った。
けど… ヘヘ…。
俺だって 皆が言うほど
お人よしじゃねえ。
疑ったし… 悩んだ…。
知らねえ男に… やきもちも焼いた。
なのに どうして?
おたまが生まれた時…
おたまを… 初めて抱いた時…。
びっくりするほど小さくて
頼りなくて やわらかくて…
下手すりゃ 壊れちまいそうで…
そしたら 元気に 「おぎゃあ」と泣いた!
ああ この子は生きてる。
親が誰でも 懸命に生きようとしてる。
そしたらよ… はあ…
いとおしくてよ… うれしくてよ…。
何があっても お前と この子を守るって
俺ぁ そん時 誓ったんでえ。
今でも それは変わりねえ。
(泣き声)
逃げて お前さん。
逃げる?
追っ手は私が始末する。
逃げたら そのまま奉行所へ。
そんなことをしたら お前は…。
殺されたって構わない。
おたまは?
こんな女の腹から出た因果だ。
あの世で わびる。
抱きしめてあげる…。
だから 逃げて。
させねえよ。
俺は…
野州屋さんの からくり錠を開ける。
あんた!
あれは師匠の錠前だ。
こんな不幸を呼んじまった錠前を…
俺は 錠前屋として開けなきゃならねえ。
開けたら あんたは悪人になる。
後のことは… ヘッ 後のことだ。
(戸の開閉音)
(儀右衛門)さて どう攻めるか…。
おっ母さんは正面から堂々と行ったわ。
それは だって あいつは お俊だもん。
≪行ってらっしゃいませ。
ああ~っ! こ… こりゃ どうも…。
いやいやいや こちらこそ ご無礼を!
(2人)あ~!
ハハハハハッ!
いや~ 驚いたぜ。 ヘヘヘッ!
(小声で)お父っつぁん
上がり込んじまっていいの?
どうぞ どうぞ。
ああ どうも。
30年ほど前 江戸の裏を
意のままになさっていた七天一家
前に話したろう?
そういえば 一度 七天一家の盗品を
さばかせてもらったことがあったが
その時 会った若衆も
気持ちのいい男だったが…。
その時の若衆が こちらさんだ。
えっ?
[ 心の声 ] それで かすかな
悪党のにおいがしたんだ…。
若い衆か… ハハハ
もう隠居手前のじじいだぜ。
ああ ハハッ。
お互い 白いもんが混じっちまったね。
(笑い声)
ええっと…。
喜八朗でいい。
もう 足を洗って随分たつ。 喜八朗で。
じゃあ 喜八朗さん 早速で何なんだが
聞いてもらいてえことがあるんだ。
うちの店子の加助さんと
ここの女中のお滝さんのことなんだが
お滝さんの本当の名前は お多津さんだ。
そうだったのか… 代之吉が…。
あいつと俺とは 因縁がある。
七天一家は 博打が ご法度だったが
やつめ それを破りやがって
いさめた兄貴分の俺の足を折りやがった。
じゃ… じゃあ その足は夜叉坊主が?
あ… ごめんなさい…。
フッ 構わねえよ。
七天のお頭は 代之吉に仕置きして
俺には手切れ金をくれて
足を洗わせたんだ。
元は人様から奪った金だ。
粗末に使っちゃならねえと
三十数年 まっとうに働いてたら
小さな蔵まで建っちまった。
(笑い声)
けどよ うちの蔵には金はねえ。
からくり錠のせいで
一時は裏渡世の評判を呼んだがな。
天龍の頭が
盗人どもを戒めなすったって話だ。
祟りか?
(儀右衛門)ああ。 ハハハハハッ!
もちろん そりゃ 頭のシャレだがよ
そのシャレが分からねえのが 代之吉だ。
3年前だった。 寄り合いの帰り道で…。
野州屋の主人だな。
命が惜しけりゃ 蔵の鍵を渡しな。
てめえ… 代之吉か。
てめえは… 七天一家の兄貴!
よくも生きてやがったな。
あの蔵 開けたら 祟りがあるぜ?
うるせえやい! 蔵の鍵を出しやがれ。
辻強盗のまね事か? しゃらくせえ。
しゃらくせえのは どっちだい。
野州屋は 昔 天下を騒がした
七天の甚兵衛のイチの子分だったとよ
お上に訴え出てやろうかい。
ああ 訴えるんなら訴えてみやがれ。
いいこと 教えてやろう。
うちの蔵ん中にはな 1万両の小判がある。
1万両!?
てめえが お上に訴えりゃ
小判は お上に お召し上げだ。
だが てめえが 万が一
裏の手練手管で うちの蔵 破ったら
中の1万両
そっくり くれてやってもいいぜ。
お頭!
(喜八朗)俺も少し シャレが過ぎた…。
う~ん…。
それで 夜叉坊主は
加助さんに目をつけて…。
うまく あしらったつもりだったが
そんなところにまで
火の粉を飛ばしてたとはな。
すまねえ!
これから その代之吉の盗人宿
祐念寺って寺に殴り込んで…。
まあ 待ちねえ。
荒っぽいやつに 荒っぽく当たりゃ
血が流れる。
じゃあ…。
(儀右衛門)そこでだ 喜八朗さん
このお店を貸してもらえねえかな?
店を?
あんた方が湯治に出かける大みそか
一晩だけでいい。
お願いします。
ハハハハハッ 何をする気だい?
すみません! 親戚のおじさんが倒れたと
知らせがあって 勝手をしちまいました!
あんたが お多津さんか。
加助さんは 無事かい?
それでいい。 俺たちも何も聞かねえし
あんたも言わない。
それが今は 互いを守るすべだ。
お多津さん。
あとは全て
うちの長屋と野州屋さんが引き受けます。
悪党の始末は 悪党がつける。
<そして 大みそかの夜…>
店の者は?
皆 湯治に。
うっ! ああっ!
あっ!
あっ すまねえ。
何せ 初めてだから…。
あ…。
早くしろい。
♬~
(金具の音)
開いたか?
開かねえ…
こいつは誰にも開けられねえ!
どういう意味だ? 錠前屋。
錠前みたく 細工はしてあるが
こいつは…。
鉄の塊だ!
師匠… 何だって こんなもんを。
ほざいてねえで開けやがれ!
お多津!
中には 小判が1万両だ。
開けろ 錠前屋。
女房の命が惜しくねえのか?
惜しいさ!
けど 開けるのは無理なんだよ!
≪そのとおり!
あんたが加助さんかい。
なるほど からくり錠のからくりを
見抜くとは大した腕だ。
(お多津)旦那様…。
バカ言うない!
1万両もの大金を 開かねえ蔵に
しまってるとでも言うのかい!
ハッハハハハハハッ!
小判なんぞ はなっから ねえ。
その錠前が錠前でねえのと同じ
そもそも そいつは蔵じゃねえ。
蔵じゃねえなら 何だ?
何だ?
てめえの裏切りで
火盗改の御用になられた
七天のお頭の墓だ!
墓…。
墓…。
嘘だ… 頭は…
獄門 さらし首になったはずだ!
その さらされたお首をな
俺が盗んで 蔵を建て
開かねえ錠前をおかけして
お守りしてきたんだよ。
そりゃ 開かねえわ…。
おめえは昔っから
シャレの分からねえ不粋な野郎だ。
1万両だと だまされて
お頭の墓を暴くなんざ 犬畜生…
いや その下の外道の下だ!
上等だ! 死にやがれ!
てめえの相手は この俺だ。
誰だ!?
夜叉坊主よ。 代之吉よ!
俺の戒めを破ったからにゃ
どうなるか分かるよな?
てめえの命
この天龍の丁兵衛がもらい受けるぜ!
て… 天龍の頭!
ち… 違うんだ 頭。
これは… こいつは…。
南無三!
お多津!
(手下たち)お頭! やあ~!
やあ~!
でや~っ!
うりゃ~!
やあっ! ああ~っ!
♬~
うう~… ああ~!
うわっ! うぐっ… うっ!
もう しまいかい。
天龍の頭!
こんな頼みは
言えた義理じゃありやせんが…。
ああ。 ここは七天の頭の墓だ。
殺しを嫌った頭の墓前を
外道の血で汚すのは 俺も忍びねえ。
代之吉! 今回だけは見逃してやるよ。
江戸から うせろ。
だが 次に会った その時は
天龍一家の名にかけて
てめえの息の根を止めるが 承知か!?
しょう… しょう…
承知だ~!
金のねえ蔵に未練はねえ!
承知! 承知だ~!
(手下たち)お頭!
おたまを返して!
心配いらねえよ。
やつらが押し込む頃合いを見計らって
おかみさんたちが おたまちゃんを
寺から助け出す手はずさ。
文吉さん!?
いや… ちっと待ってくれ。
そういや さっきから
あのお頭の声にも聞き覚えが…。
さ… 差配さん!
ハッハッハッハッ…!
見事な棒術だったな 唐吉。
ただの けんか殺法でやす。
安太郎さんも なかなかだ。
拳は けんかに使えねえ。
商売道具だからな。
新九郎様! 唐吉さん! 安太郎さん!
こんばんは 加助さん。
お… お縫さんまで!?
どうだった? お縫坊
俺の立ち姿はよう。
ほれぼれしたわ 庄おじさん!
おいおい こういう趣向はよ
今夜限りにしてくれよ。
二度はないわよ 半造おじさん。
騒動を前に みじんも動かねえってのが
お頭に箔をつけるコツさ。
歌舞伎が手本だ。
(笑い声)
庄治さん… 半造さん… 菊松さん…。
旦那様…。
そうだったんだ。
善人長屋は 本当は天龍の何とかっていう
盗賊だったんだ!
(笑い声)
あのね 加助さん
私たちが そんな盗賊に見える?
い… 今は見えねえが
さっきは本物の悪党に見えた!
(笑い声)
やりすぎちゃったかしら~。
いや~ 加助さん
俺たちは みんな 芝居好きでな。
アハハハハハッ!
お前さんたちが
悪党に絡まれてるらしいと聞いて
さて こいつは
どうやって追っ払ったものか。
そうだ 年に一度 ご近所でも評判の
千七長屋 年忘れ 素人芝居を
イヤサ~!
(拍子木の音)
打ってみたのさ~!
(拍子木の音)
千鳥屋!
千鳥屋!
千鳥屋!
(拍子木の音) よっ!
お後が よろしいようで。
本当に?
本当だよ 加助さん。
千七長屋の皆さんの 年忘れの座興に
私も 一役 買ってしまった。
ハハハハハッ!
あんな恐ろしい連中を相手に…
俺たちのために そこまで…。
善人長屋だ!
さすが 善人長屋の皆さんだ!
♬~
これで 始末がつきました。
お縫さん…。
(おたま)母ちゃ~! 父ちゃ~!
おたま!
おたま…。
♬~
大したお人だ 千鳥屋さん。
野州屋さんも 昔と変わらねえ。
フッフフ。
よかった。 本当に よかった!
長かった夜も明けるね。
はあ~! お前さん 大変だ!
何だよ?
年も明けちまう!
だから 何だい?
餅…? 餅が まだだった~!
♬~
(餅つきの音)
<…ってな訳で
私たちは ほとんど寝る間もなく
長屋総出の餅つきに なだれ込んだ>
<善人も悪人も
肩寄せ合って暮らす この長屋。
前にも増して
にぎやかになったようでございます>