【土曜時代ドラマ】小吉の女房2 [終](7)「麟太郎、妻をめとる」[解][字]…のネタバレ解析まとめ

出典:EPGの番組情報

【土曜時代ドラマ】小吉の女房2 [終](7)「麟太郎、妻をめとる」[解][字]

お民(大西礼芳)が芸者をやめ家業の炭屋の手伝いになり、そして麟太郎(稲葉友)との恋を諦めて嫁に行くと言う。本当は身分違いの恋に悩んだ末の苦渋の決断だったのだ…。

番組内容
お民(大西礼芳)が芸者をやめ家業の炭屋の手伝いになり、そして麟太郎(稲葉友)との恋を諦めて嫁に行くと言う。本当は身分違いの恋に悩んだ末の苦渋の決断だった。だが麟太郎は、お民の真意をつかみかねて悩んでしまう。そんな頃、伝馬町の牢が火事になり弾圧を受け牢に入れられていた蘭学者・高野長英(山口馬木也)が勝家を訪ねてくる。お信(沢口靖子)と小吉(古田新太)は、おとがめを受ける危険を冒して長英をもてなすが…
出演者
【出演】沢口靖子,古田新太,高橋和也,稲葉友,稲垣来泉,大西礼芳,市川右團次,松原智恵子,風間杜夫,山口馬木也,中村靖日,高橋ひとみ,橋爪淳,【語り】春風亭昇太
原作・脚本
【作】山本むつみ

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
ドラマ – 時代劇

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  1. 麟太郎
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  13. ビイル
  14. 奥様
  15. 気持
  16. 蕎麦
  17. 出世
  18. 鳥居
  19. 都甲殿
  20. 約束

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(お信)縁談ですか?

麟太郎も 22歳。

そろそろ身を固めてもよい頃です。

もう そんな年か…。

嫁のことなんて考えてなかったな。
ええ まだ先のことかと。

あきれた。

麟太郎は 勝家の跡取りですよ。

親が嫁の心配をしなくて
どうするんです!

おばば様も あの世で
さぞ 気をもんでいることでしょう。

お相手は 御子納戸衆
永井左近様のご息女 佐江殿。

まあ そんな立派な家の方を?

永井様は
亡くなった旦那様の学問の弟子で

麟太郎が文武に秀でていることを
よく聞かされていたそうです。

では 麟太郎の気持ちを聞いて…。

甘いっ!
嫁の実家の後押しがあれば

出世の道も ひらけるというもの。

この縁談 進めますよ。
いいですね!

(2人)はい…。

<降って湧いた 麟太郎の嫁取り話…。

これは ひと騒動ありそうな気配です>

♬~

(麟太郎)その話 断ってください。

いまだ 修行中の身です。
嫁をもらうのは早すぎます。

早かねえさ。
俺が所帯を持ったのは18ん時だい。

私は 16でした。

しかし まだお役目にもつけないのに…。

御番入り待ってちゃ
いつまでたっても 嫁はもらえねえ。

まず 嫁を取れ。
御番入りは それからだ。

よいご縁なら
早く進めるに越したことはありません。

旦那様と許嫁の仲になったのは
私が5つの時でしたが

めおとになる日が
それは待ち遠しかったものです。

へえ~ そうかい。

そうですよ。 なのに 旦那様ときたら
家出したきりお戻りにならなくて。

めおと約束は どうなるものかと
気をもんだんですから。

勝家の当主になっても また家出。

あの時は 勝家も これで終わりかと…。

何の話をしてんだよ。

母上 話が脇にそれました。

いけない…。

ともかく この話は もう…。

夕飯まで 薪を割ってきます。

ろくに話も聞かねえで…。

うちで くすぶってるより
よそに所帯 構えた方が

まだ見込みがあるかもしれねえのにな。
ええ。

一度は お城に上がって
若君のお相手を務めた身だ。

このまま埋もれちまっちゃ
可哀想だぜ。

お嫁様をもらったら
またお城に上がれるのですか?

さあ…。
折を見て また話してみましょう。

そうだな…。

親子二代 無役のままじゃ

おばば様にも 死んだ兄貴にも
顔向けできねえや。

旦那様…。

ひょっとして…
あいつ 好きな女でもいるのかな。

何かあったのか…?

(お福)文吉と 約束なすったんですか?

約束というわけではないのだが…。

ああ そういえば 毎月みそかの前の日には
外で会っておいででしたね。

すまぬ。 座敷に呼ぶ金がないので…。

急な病かと
気になって来てみたんだが…。

勝様 ご存じなかったんですね。

文吉 いえ お民さん 日本橋の魚宗さんに
お嫁に行くことが決まったんですよ。

若旦那が 文吉にぞっこんでね。

1年前から口説かれてまして
ようやく話がまとまって。

そんな…。
お民さんはどこだ? 話を聞いてくる。

あいにく もう柳橋にはいません。
えっ?

魚宗さんの親戚の家で
商いのイロハを教わってるんですよ。

何しろ 大店のご新造さんに
なるんですから。

勝様 悪いことは言いません。

文吉のことは もう お忘れになった方が
ようござんすよ。

(半鐘の音)

<その日 夜更けを過ぎて…>

(騒ぎ声)

(石出)お上のお慈悲をもって
その方どもを切り放つ。

立ち退き場所は 本所回向院。

3日以内に 必ず回向院に立ち戻れ!

(囚人たち)へい。

(石出)決まりを守って戻った者は
罪一等を減ずる。

万が一 逃げ去る者がおれば
草の根分けても捜し出し

その身は死罪。

身内の者どもも重罪に処す。

よいな きっと立ち戻れ!

<当時 牢や その近くで火災があると

3日間の日切りつきで囚人を解き放つ
牢払いが行われました。

天保15年6月30日の未明
江戸の町に散った囚人は63人。

その中の一人が
蛮社の獄で終身刑を言い渡された

あの 高野長英でした>

(鳥居)愚か者!
なぜ 長英を逃がした!

たとえ焼け死のうと
あの者は解き放ってはならんのだ。

やつは 必ず逃げる。

早々に見つけ出して 牢に連れ戻せ!

はっ…。

<5年前 「夢物語」を書いて
幕政を批判した長英は

鳥居にとって
決して許すことのできない政治犯でした>

蚊帳~。

萌黄の蚊帳~。

文吉が 魚宗の嫁に?

それは まことか。

ええ。 芸者はやめて
柳橋から いなくなっていました。

解せぬな。

文吉は お前にほれておる。
金に転ぶような女ではない。

魚宗に口説き落とされるとは
思えぬがの。

でも もう魚宗の親戚のところに
身を寄せているそうです。

お前は それを聞いて
しおしおと引き下がったのか。

この意気地なしめが。

ええ 意気地なしです。

私が いつまでも煮えきらないから
愛想を尽かされたんですよ。

文吉と一緒になる気はないのか?

それは…。

身分が違うなどとは
あんまり古風だぞ。

当節は 武家の養女にでもすれば
どうとも格好がつくものを。

分かっています。
でも そうまでして一緒になる相手が

無役の貧乏勝では
苦労させるだけですから。

お民さんなら 大店の切り盛りも
きっとうまくやる。

魚宗に嫁いだ方が
ずっと幸せなんですよ。

文吉の気持ちは 確かめたのか?

この話は もうよしましょう。
続きをお願いします。

≪(物音)

気のせいか…。

どなたか おいでになる約束でも?

いや… あの男が
訪ねてくるような気がしてな。

あの男…。

今朝方 伝馬町から火が出て
囚人の切り放ちがあったと聞きました。

長英先生が その中に?

いや 分からぬ。

だが もしかしたらと…。

♬~

≪(戸をたたく音)

誰かしら 今時分。

どなたですか?

≪都甲殿の知り合いの者です。

もしや あなたは 牢払いの…。

高野長英です。

どうして ここに?

都甲殿を訪ねたのですが
家の周りに岡っ引きがいて…。

勝手ながら
あなたの後をつけてきました。

何としてでも
都甲殿にお目にかかりたく

このような姿で
ご迷惑でもあろうが

少しの間
休ませてはいただけませぬか。

都甲先生の友達なら
上がってもらいな。

でも…。
3日以内に牢に戻れば

罪に問われねえのがご定法だ。

さあ お上がんなさい。

かたじけない。
どうぞ お入りください。

危ない!

今 すすぎをお持ちします。

情けない。
すっかり足がなえて…。

<長英が5年を過ごした伝馬町の牢は

風も光も入らず 不衛生な環境の中

病死者が数多く出る 過酷なところでした>

(腹が鳴る音)

おなかがすいたのですか?

ゆうべから 何も食べておらぬので…。

すぐ おじやでも こしらえましょう。

はあ… うまい。

こんなうまい飯は初めてだ。
生き返るようです。

残りもんだが
あるだけ食って力つけてくれ。

はい。

都甲先生のところは
どうしましょう?

今日は もう遅いから
明日の朝にしな。

牢に戻るまでは まだ
明日も あさってもあるんだ。

着物 ざっと洗って干しておきました。

朝までには乾きますよ。

何から何まで… 世話をかけます。

いいえ これぐらいのこと。

長英先生 長崎の話を
聞かせていただけませんか?

シーボルト先生のところで
蘭学修業をなさったのですよね。

長崎か… 遠い昔の夢のようだ。

≪(戸をたたく音)

≪(都甲)都甲だ 夜分にすまん。

ちょっと 気にかかることがあってな…。

長英! やはり ここに来ていたか。

都甲殿…。

夜が明けたら
知らせに行こうと思っていました。

なぜ ここだと分かったのです?

うちの様子をうかがってる者が
おってな。

長英が来ても あれでは近づけまい。

ひょっとして お主を弟子と見込んで
頼りに行きはしまいかと…。

ご明察だよ。
先生 まずは 中へ入ってくんな。

うむ。

これを提げてきた甲斐があったわ。

ビイルだよ。

苦っ 何だ こりゃ。

そうか?
なかなかいける。 なあ 長英。

長崎で飲んだオランダのビイルに比べると
幾分 味は落ちますがね。

早蕎麦で作った代用品だ。
まあ しかたあるまい。

ああ お信
この酒 蕎麦で出来てんだとよ。

では 蕎麦湯のようなものですか?

うっ んん…。
(笑い声)

お主が 「救荒二物考」で書いたとおりに
作ったのだがなあ。

救荒二物…?

凶作に備えて 蕎麦と馬鈴薯の栽培を
勧めた本ですよ。

蕎麦は 荒れ地でも よく育ちますからね。

ビイルは 蕎麦の料理法として
紹介したのですが…

はやらなかったな。

わざわざ作って飲んでいるのは
日本中で わし一人。

ぬはははは…!

しかし ビイルには
蘭学で飢えた人々を救いたいという

お主の願いがこもっている。
(長英)はい…。

長英… なぜ ひげをそって
着物を着替えた?

私がお勧めしたのです。
いけませんでしたか?

その姿なら 囚人には見えぬ。

お主 このまま逃げるつもりなのか?

えっ。

逃げても 地の果てまで追ってくる。
捕まれば死罪だ。

むちゃは よせ。

牢には 戻りません。

私は…
逃げられるだけ逃げるつもりです。

なぜです?

3日のうちに牢に戻れば
罪が軽くなると聞いています。

永牢の処分が解ければ…。

鳥居は 死ぬまで私を牢から出さぬ気だ。

蘭学仲間の家は
どこも 岡っ引きが見張っていた。

3日の猶予などはないのです。

見つかれば 私は牢に連れ戻され

二度と再び 外に出ることはできない。

そんな…。

牢の中で 生きながら
朽ち果てていくのはたまらない。

それよりは たとえ半月
いや 10日でもいい。

私は やり残した学問を続けたい。

どこへ逃げるというのだ?

故郷の 奥州水沢か?

水沢か 遠いな…。

蘭学を究めたいばかりに

藩医の家も
士分さえも捨ててしまった…。

士分を捨てて…。

ここで倒れては
そうまでして蘭学を志した甲斐がない。

私には まだやるべきことがある。

このままでは 死んでも死にきれぬ。

そういうことかい。

都甲先生 もう帰った方がいいぜ。

長く家を空けてると
見張りが怪しむ。

なれど 長英を残しては…。

父上… しばらくの間 うちで
お匿いすることはできないでしょうか?

それはできねえよ。 しかし…。
バカ。

お前は 勝家を潰す気か!?

でも 牢に戻れば二度と…。

何か手立てはないのでしょうか?

匿ってやることも
逃がしてやることも

俺たちにはできねえよ。

けどな 仮にだぜ。

夜中 眠ってる時に出ていっちまったら
俺はきっと 目が覚めねえだろうな。

えっ…?

名も知らねえ囚人が
古着1枚持ってったって

騒ぐほどのことじゃねえや。

町方は江戸中に網を張っているだろうが
幸い 今夜は月がねえ。

闇に紛れて 江戸を抜け出しちまえば

案外 奉行所の裏を
かけるかもしれねえぜ。

勝殿…。

お心遣い ありがたく…。

恩に着る。

<その夜 遅く…>

≪(戸の開閉音)

必ず生き延びて いつの日かまた…。

はい。

(風鈴の音)

♬~

<高野長英は その後
名を変え 所を変えて逃げ続けました>

風鈴~。

<長英の突然の来訪から数日が過ぎ

お信は 久しぶりに
本所の男谷家に向かっていました>

(お民)ご苦労さん
そこに降ろしてくださいな。

へい。

文吉さん?

やっぱり。
どうして ここに…?

奥様…。

(藤兵衛)お民 お客さんかい?

麟太郎は あなたが 魚宗の親戚の家で

嫁入りの支度をしていると
話していましたが…。

嫁ぐという話は
作りごとなのですね?

どうして そんなうそを?

嫌になったんですよ。

お客さんに言われて 目が覚めたんです。

身の丈に合わない
バカなことをしてるって。

(石川)そなた 勝のせがれと
いい仲だそうだな。

連れだって歩いてるのを
見た者がおるぞ。

足があるのに
歩いちゃいけないんですか?

フン。 まさか
女房に納まるつもりではあるまいな。

えっ…?

貧乏人でも 勝はご直参だぞ。

芸者上がりが奥様では いい笑い者だ。

それより わしの世話になれ。
家を借りてやろう。

3日に一度は通っていくぞ。
いや 毎日でもよい…。

芸で身を立てているつもりでも

人から見れば 所詮
芸者は売り物 買い物なんです。

麟太郎は
そんなふうに思っていませんよ。

(お民)けど…
信じなすったじゃありませんか。

私が魚宗に嫁ぐって。

もう いいんです…。

婿でも取って
炭屋を継ごうって決めたんですから。

芸者の文吉は もうこの世にはおりません。

お目にかかったことは
どうぞ 奥様の胸にお納めくださいまし。

これっきりでいいの?
お民さん!

♬~

ふ~ん
麟太郎が文吉とねえ。

何で黙ってたんだよ。

気付いた時には
もう別れたあとだと言うので…。

そういうことは 親には言いにくいか。

私 お民さんの言葉が本心とは
どうしても思えないんです。

ひょっとして 麟太郎のために
身を引くつもりで芸者をやめて

柳橋から姿を消したんじゃないかって。

そうか 読めたぞ… 石川だな。

あいつが
余計なことを吹き込んだに違いねえ。

目付の職を笠に着て
出世の邪魔をしてやるとか なんとか…。

貧乏勝め 親父同様
一生 うだつが上がらぬぞ。

万が一 御番入りの話があっても
握り潰すくらい 造作もないわ。

フフフフ…。

<さすがは小吉
天敵 石川のやることはお見通しです>

魚宗に嫁ぐと うそをついたのも

麟太郎が負い目に思わないようにという
心遣いじゃないでしょうか。

なるほどな…。

麟のやつ いい娘に
ほれられたじゃねえか。 はい。

お民さんが 本所の炭屋に?

はい。

それじゃ… 私をだましたのか。

だまされるお前が悪いんだよ。

麟太郎 このままでよいのですか?

あなたの気持ちは どうなのです?

お民さんって 三味線を弾いてた人?
ええ そうですよ。

あの人が 兄上のお嫁様になるのですか?

さあな。 麟に聞いてみろよ。

よいのですか?
勝家の嫁が 炭屋の娘でも。

こんな貧乏所帯に来てくれるなら

炭屋だろうが芸者だろうが
構うもんか なあ。

はい。
なに ご支配の方には

大身旗本の娘と縁組みすると
届け出りゃいい話だ。

大身旗本…?
ああ! 本所の岡野様!

四十一俵取りの微禄者が

千五百石の家から嫁をもらえれば
大手柄だ。

暮らしのことを案じているのなら
なんとかなりますよ。

昔から言うではありませんか。

一人口は食えなくとも
二人口は食えるって。

勘定が合いませんけど…。

でも うちは
そうして やってきたのですよ。

あとは お前らの気持ち一つだ。

麟太郎が選ぶ人ならば
間違いはありませんからね。

(お園)まあ 勝様の坊ちゃまで…?

こんな所に わざわざ
お越しくださるなんて。

いえ とんでもない。

お待たせいたしまして
申し訳ございません。

お話というのは
何でございましょう?

こういう話は
人を立てて進めるものですが

一刻も早くと 気がせいて。

砥目屋さん 私は
お民さんを妻に迎えたいと思っています。

許しを頂きに来ました。

め… めっそうもない。

うちは ご覧のとおり
しがない炭屋でございますよ。

お旗本に嫁ぐなど とんでもない…。

家のことは 何とでもなります。

表向き 形が調えばよいのですから…。

父も母も 是非 お民さんを
嫁に迎えたいと申しております。

お民…。

お立場をお考えください。

勝様には もっと ふさわしい方が…。

私が妻に迎えたいのは お民さんだけだ!

親子二代の無役で 暮らしは貧しい。

蘭学に打ち込んではいるが

世の役に立つ日が来るのか
今は分からない。

一生貧しくて 苦労をかけるかもしれない。

それでも 私は
お民さんに妻になってもらいたい。

一緒に生きていきたい。

私… 年上ですよ 2歳も。

それが何だ。

芸者上がりを嫁にしては
ご出世に障ります。

見くびってもらっては困る。

そんなことにひるむほど
俺は弱い男じゃない。

浅草で 初めて会った時から

俺は お民さんに ほれているんだ。

勝様…。

1年… お待ちくださいまし。

1年?

色里の水が
まだ身に染みこんでいるうちは

取り繕っても
いずれ 化けの皮が剥がれます。

1年 汗を流して働いて

まっさらな体になれたら…。

その時 もしもまだ
勝様のお心が変わらなければ…。

分かった。
1年たったら 嫁に来てくれ。

はい…。

<その年の9月

鳥居耀蔵は 突如
町奉行を解任されました>

おのれ… してやられた…。

くそ… くそ~っ!

<政敵を追い落とし
妖怪と恐れられた鳥居が

一転 追い落とされる側に回ったのです>

おしまいだ…。

(お律)何ですか
情けない声を出して。

鳥居様が失脚しては
もう 出世の目はない…。

フン よいではありませんか。
あなたも年なのですから

息子に家督を譲って
隠居なさってはいかがですか?

ふふっ あ~ん。

はあ…。

ほら あなたも召し上がって。
んん。

<師走になって 年号が
天保から弘化に改まりました>

<そして よくとし 結婚の申し込みから
1年が過ぎた 弘化2年9月>

(孫一郎)岡野孫一郎だ。
忙しい中 皆には世話になる。

新門辰五郎と申します。

本日は お日柄もよく
まことに おめでとう存じやす。

うん。

僭越ながら 門出のお祝いを
務めさせていただきやす。

よろしく頼む。
へい。

≪花嫁御寮 ご出立~!

では。

♬~(木遣り)

殿様 奥様
この度は おめでとうございます。

ありがとうよ。
市の者たちも

そりゃあもう みんな喜んで
今日は朝から 祝い酒でございますよ。

そうかい。
みんなに よろしく伝えてくんな。
はい。

(銀次)旦那!

じき 花嫁さんのご到着ですぜ!

もう ついそこまで来てます。

大変 迎えに出なければ。

あら 末広がない。
どうしたのかしら。

何やってんだよ。
さっき 俺のも預けたろ。

えっ そうでしたっけ?
おいおいおい。

扇子がないと 格好がつかないぞ。

仏壇にありました。
お二人とも 落ち着いてください。

嬢様には かないやせんね。

ははっ!

(都甲)♬「高砂や」

♬「この浦舟に帆を上げて」

♬「月もろともに出潮の」

♬「波の淡路の島影や」

♬「遠く鳴尾の沖過ぎて」

麟太郎様 お民のこと
何とぞ よろしくお願いいたします。

お願いいたします。

縁談を断ってきた時は
勝家はどうなることかと案じたのですよ。

申し訳ありません。

(お遊)でも よく似合っていること。

岡野家 千五百石のご息女だ。

あの世の兄貴も 文句は言いますまい。

ええ。 上出来だと褒めていますよ。

おばあ様?
どうなさったのです。

うれしいのですよ。

生きてるうちに
ひ孫の祝言が見られるなんて…。

大げさな。 ひ孫といっても
形だけではありませんか。

孫一郎 飲み過ぎですよ。

仮にもそなたは 花嫁の父なのですから

酒の上の失敗は 許されませんよ。

はい…。

(虎之助)似合いのめおとですね。

そなたも
そろそろ身を固めてはどうだ?

いや… 私には 相手もいませんから。

手ごろなところを見繕ってやるぞ。

「馬には乗ってみよ
人には添うてみよ」だ。

はあ…。

見繕っていただけますか?

どうぞ お燗がつきましたよ。

はい どうぞ。
おっ ありがとよ。 おお~。

おう 坊ちゃん
赤坂に所帯を構えるんだってな。

ああ。 嬢様
お寂しいんじゃねえですかい?

ちっとも。
赤坂なんて つい目と鼻の先ですから。

♬~

幾久しゅう。

幾久しゅう。

勝家も なんとかなりそうだな。

おばば様も これで許してくれるだろう。

ええ そうですね…。

(登勢)麟太郎を
立派な跡継ぎに育ててくれて…。

ありがとう。

喜んでいますよ。

きっと 誰よりも…。

<祝言から数日が過ぎて…。

麟太郎とお民は 赤坂田町の新居に
移ることとなりました>

では 行ってまいります。

おう。

麟太郎をよろしく頼みます。

はい。

父上 母上…。
あ~ 挨拶なんざいい。

まっ しっかりやんな。

はい。

お民と二人で
父上と母上のような めおとになります。

バカ言え。
俺たちなんぞ 手本になるか。

もっと立派な めおとになれ。
なあ。

はい。

では…。
行こうか。

はい。
兄上!

お順 家のこと 頼んだぞ。

はい。 行ってらっしゃい。

うん。

これからが大変だぞ。
あいつら やっていけるかねえ。

まあ なんとかなりますよ。

旦那様と私も
ここまで やってきたじゃありませんか。

そうだな。
まっ なんとかなるな。

はい。

<黒船の来航まで あと8年。

幕末は すぐそこに迫っています。

やがて来る 激動の時代に
日本の未来を切り開いていく

麟太郎こと 勝 海舟…。

幕末のヒーローを育んだのは
名もなく 貧しく

けれど いつも朗らかで
一本筋の通った生き方を貫いた

勝家の人々でした>