[新]ミステリと言う勿れ #01【主演・菅田将暉!新感覚ミステリーついに開幕】[字][解][デ]…のネタバレ解析まとめ
出典:EPGの番組情報
[新]ミステリと言う勿れ #01【主演・菅田将暉!新感覚ミステリーついに開幕】[字][解][デ]
菅田将暉主演!天然パーマで変わり者の大学生・久能整がただただ喋りまくるうちに事件の謎も人の心も解きほぐす新感覚ミステリー!彼の言葉は屁理屈か、哲学か。
ご案内
【公式HP】
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番組内容
大学生の久能整(菅田将暉)は、朝から自宅アパートでカレーを作っていた。そこにアパートの大家が大隣警察署の刑事、薮鑑造(遠藤憲一)と池本優人(尾上松也)を連れて現れる。昨夜10時の行動を薮に問われた整は1人でカレーを作っていたと答えた。すると薮は付近の公園で寒河江健(藤枝喜輝)の遺体が発見されたことを整に伝え、警察署へ任意同行を求めた。
整は薮、そして青砥成昭(筒井道隆)の聴取を受ける。公園で
番組内容2
殺害された寒河江は整と同じ高校の出身で同じ大学に通っていた上、寒河江が殺害された時刻に整と争っているのを見た目撃者もいるため、整は容疑者となっていたのだ。だが、薮たちの追求に整は淡々と無実を訴える。目撃情報もはっきりと自分だと言えるのかと理屈を並べて返して行く。
夜、刑事の風呂光聖子(伊藤沙莉)に預けていた携帯電話を返してもらいに行った整は、彼女がペットロスであることを知る。また、池本が間もなく
番組内容3
父親になるという話も整の耳に入った。
翌日、整が警察署に行くと、薮から指紋を採るよう命じられた風呂光と池本が取調室にいる。整は風呂光のペットロスを言葉で癒し、池本にも間もなく出産を迎える妻への労りをアドバイスした。薮はそんな整が犯人に違いないと青砥に告げる。
取調べ3日目、整は署内での立ち位置に悩む風呂光に希望を与えた。そこに藪が来て、寒河江を殺害した凶器が見つかり整の指紋が検出されたと伝える。
出演者
菅田将暉
伊藤沙莉
尾上松也門脇麦
白石麻衣
・
鈴木浩介筒井道隆
・
遠藤憲一他
スタッフ
【原作】
『ミステリと言う勿れ』
田村由美(小学館『月刊フラワーズ』連載中)
【脚本】
相沢友子
【プロデュース】
草ヶ谷大輔、熊谷理恵(大映テレビ)
【演出】
松山博昭、品田俊介、相沢秀幸
【制作著作】
フジテレビジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
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- 池本
- 風呂光
- 寒河江
- 青砥
- お前
- 久能
- 真実
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- カレー
- 久能君
- 刑事
- 今日
- 指紋
- 年前
- 美容院
- 父親
- 復讐
解析用ソース(見逃した方はネタバレ注意)
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(パトカーのサイレン)
(ヘリのローター音)
秋は夕暮れ。
まだ朝だけど。
うん カレー日和だ。
よし 煮込み再開。
ジャガイモの形がなくなってる。
これ大事。
タマネギのざく切りを大量追加。
これも大事。
う~ん。
今日はコロッケをのせようか。
それともメンチにするか。
≪(チャイム)
大家さん。
朝から ごめんね。
この人たちが。
大隣署の薮といいます。
警察?
久能 セイさん。 ヒトシさん?
整です。 久能 整。
何その名前。
(薮)おい。
久能さん ゆうべの10時ごろ
どちらにいらっしゃいました?
えっ 家にいましたけど。
カレー作ってたんで。
お一人で?
はい。 1人です。
近所で事件でもあったんですか?
(薮)そこの公園で
ご遺体が見つかってね。
被害者は 寒河江 健さん。
同じ大学だよね。
はい。
ちょっと お話 伺いたいんで
署まで来ていただけますか?
えっ いや でも
全然親しくないんで。
あの 被害者って言いましたよね?
つまり寒河江は殺されていて
僕が犯人だと
疑われてるということですか?
ご同行いただけますよね?
(青砥)昨日 あなたが目撃したのは
この男ですか?
(男性)はい。 この人です。
間違いありません。
(青砥)久能君 寒河江さんとは
高校のときも同じクラスですよね。
はい。 高3のとき。
(薮)なぜ さっき言わなかった?
いや だから別に親しくないんで。
(青砥)彼は あなたから見て
どういう人物でしたか?
金持ちのぼんぼんです。
父親は何かの社長で
親戚に議員さんがいて
小遣い たくさんもらってて
チャラくて派手でモテモテで。
(薮)親しくないわりには
よく知ってるじゃないか。
しかも悪意のある言い方だ。
彼が嫌いだった?
あまり近寄りたくない
タイプでした。
向こうも近寄ってこなかったから
何の接点もないです。
目撃者がいるんだよ。
目撃者?
犯行時刻の夜10時ごろ
ご遺体の見つかった あの公園で
君と寒河江君が
言い争ってるのを見た人がいる。
僕じゃありません。
それは人違いです。
そうか 君のそのもじゃもじゃ頭は
結構 特徴的だが。
もしかして僕の生き別れた
双子のきょうだいかもしれません。
君には生き別れた
双子のきょうだいがいるのか?
いません。
公園って西郷坂公園ですか?
あそこ暗いのに
よくはっきり見えましたね。
その人は何をしてたんですか?
僕は どんな服を着てました?
ていうか 皆さん
その目撃者の人を
よく知ってるんですか?
えっ?
(青砥)そんなわけないだろ。
善意の第三者だよ。
じゃあ 僕と立場は同じですよね。
皆さんが よく知らない人物。
それなのに どうして その人は
本当のことを言っていて
僕の方は嘘をついているって
思えるんですか?
こいつ 何か めんどくせえ。
(青砥)わざわざ名乗り出て
嘘をつくメリットなんて…。
あるかもしれないでしょう。
その人にしか分からない事情とか
お得感があるんですよ。
君は なかなか落ち着いてるな。
殺人の疑いをかけられてるのに。
何もしてない僕を
冤罪に落とし込むほど
警察はバカじゃないと
思ってますから。
それともバカなんですか?
薮さん。
うわっ 薮さんにケンカ売った!
あなたは…。
青砥だ。
青砥さん あなたもです。
もういいですよね。
じゃあ 僕 帰ります。
(薮)久能君。
すまんが取り調べは夜までかかる。
あと あしたも来てくれるかな。
えーっ!
あの 携帯 返してください。
すいません。
何ですか?
もう帰るので 携帯を。
ああ はい。
(風呂光)こちらで
お間違いないですか?
はい。
では こちらに受け取りのサインを
お願いします。
≪(佐橋)風呂光!
資料のコピーはどうした!?
(風呂光)あっ はい 今やります!
(佐橋)遅えんだよ。 とろいな。
(風呂光)すいません。
(佐橋)そういや聞いたぞ。
お前 ペットが死んだぐらいで
遅刻すんじゃねえよ。
(風呂光)はい。
(佐橋)これだから お嬢ちゃんは。
甘えやがって!
(池本)いや~ さっきの大学生
マジ ヤバかったっすよ。
やっぱりゆとりは すごいわ。
池本 お前も同じだよ。
いやいやいや… 俺は違いますよ。
もうすぐ父親になるんだし。
風呂光。
(風呂光)はい。
久能の指紋 採っとけ。
(風呂光)はい。
どうも 池本です。
(風呂光)風呂光です。
(池本)じゃあ まずは
指紋の提出に ご協力ください。
指紋?
す… すいません。
よろしくお願いします。
(風呂光)失礼します。
(エラー音)
(池本)ん?
(エラー音)
(池本)えっ?
(風呂光)すいません。
(池本)おい ちょっと。
大丈夫か?
(風呂光)すいません。
(エラー音)
(池本)おい。 分かってんの?
(池本)おお…。
ありがとうございます。
ペットが亡くなったんですか?
えっ?
(池本)何で知ってんの?
ちょっと小耳に挟んで。
(池本)そうなんすよ。
こいつ ちょっと目を離した隙に
死なれたって落ち込んじゃって。
薮さんなんてな 奥さんと
お子さんの死に目にだって
会ってないんだぞ。
目を離した隙にってことは
猫ですか?
具合が悪くて
ずっと付き添ってたんですか?
はい。
そうですか。
きっと風呂光さんのことが
大好きだったんですね。
はっ?
あなたに死ぬところを
見せたくなかったんです。
猫の習性ってだけじゃなくて
風呂光さんのことが
大好きだったからですよ。
そういうのって
猫に限った話じゃないですけどね。
うちの母方の祖母も 入院中
そばに誰かいつもいたのに
一瞬 人がいなくなったのを
見計らったように亡くなりました。
母は嘆いていたけど
僕は 祖母の意志だと思う。
強くて優しい人だったから
だから死ぬときに
見られたくなかったし
見せたくなかった。
それは 祖母の 猫の
プライドと思いやりです。
(池本)いやいや いやいや…。
そんな 自分で自由に
死ねるわけないっしょ。
たまたまっしょ。
僕は あなたには
捕まりたくないです。
えっ? 何? 何?
やっぱり捕まるようなこと
したの?
≪(薮)風呂光!
(風呂光)はい!
お前 何トロトロやってんだ。
(風呂光)はい。 すいません。
びくびくするな。
そんなんじゃ なめられるぞ。
はい。
(薮)だから 一係に
女はいらねえって言ってんだよ。
さっさとしろ ほら。
はい。
さてと
じゃあ 事情聴取 始めましょうか。
おとといの夜10時
どこにいたんでしたっけ?
答えてください。
何してたんすか?
何か?
奥さん 何カ月ですか?
えっ?
あっ いや 話 そらさないで答えて。
ケンカでもしたんですか?
えっ… ええっ!?
な… 何で分かんの!?
シャツはアイロンかかってないし
靴は汚れてるし
でも 着替えてるから
泊まり込みってわけでは
なさそうだし。
昨日は もっと
ちゃんとしてたんで。
いや でも 俺 確かに忙しくて
付き合いで
全然 家 帰れなかったり
ほったらかしですけどね。
でも 薮さんなんか
平気で何カ月も
家 帰らなかったっていうし。
警察官って そういうもんって
分かってほしいっすよ。
家のことは全部
奥さんに任せきりですか?
あっ でも 俺
ごみ捨てとかはしてるんすよ。
少しは手伝ってくれてるって
感謝してくれてもいいのになぁ。
ごみ捨て… どこからですか?
どこから?
だから うちから ごみ捨て場まで。
お宅に ごみ箱はいくつあります?
ごみ箱?
えっと 2。
いやいやいや… 3?
ごみ捨てって 家じゅうのごみを
集めるところから始まるんですよ。
分別できてなかったらして
袋 取り換えて
生ごみの水切って
ついでに排水口の掃除をして
ごみ袋の在庫があるか
チェックして
そうやって
1つにまとめるんですよ。
そこまでが面倒なんですけど。
いや~ でも…。
俺 できたやつ持ってくだけ…。
それで感謝しろって言われても。
奥さん 妊娠してるんですよ。
体 しんどいじゃないですか。
≪(薮)おい 池本。
(池本)あっ…。
お前 ちょっと聞き込み行ってこい。
(池本)はい。
もう帰っていいですか?
出欠を取る教授の授業があって
1回でも休むと
「優」がもらえなくなるんですよ。
そりゃ残念だったな。
さて もう一度聞くけど
おとといの夜10時ごろ
どこで何をしてた?
だから 家にいました。
君も しぶといな。
こっちのせりふですよ。
いつまでやるんですか これ。
君次第だな。
何度も言ってるじゃないですか。
僕は やってません。
そっか。
なら あしたも来てもらおう。
ハァ…。
(青砥)何を考えているか
読めない男ですね。
(薮)あれは やってる。
(青砥)この段階で
そこまで言うの 珍しいですね。
薮さんの勘ですか?
(薮)ああ。
本庁が出張ってきても
やつは渡さない。 うちが落とすぞ。
(バイブレーターの音)
《猫の習性ってだけじゃなくて
風呂光さんのことが
大好きだったからですよ》
(池本)
えー 被害者の寒河江さんとは
高校のとき クラスメートで…。
≪(風呂光)失礼します。
池本さん 青砥さんが呼んでます。
ハァ… ちょっと待ってて。
では。
風呂光さん。
はい。
しないんですか? 事情聴取。
えっ? いや 私は…。
バカにしてるんですか?
はい?
どうせ私なんか
何もできないと思ってるんでしょ。
そう言われてるんですか?
女だからって
なめないでください!
なめてませんよ。
というか 風呂光さんが
なめられないように
気を付けなければいけないのは
この署のおじさんたちに
だと思います。
えっ?
それこそが
風呂光さんの存在意義だと
思いますけど。
存在意義?
はい。
何ですか? 私の存在意義って。
いじられ役とかマスコットとか
雑用係とか数合わせとか
他に何があるんですか?
あの 僕は偏見の塊で
だいぶ無茶なことを言いますが
おじさんたちって
特に権力サイドにいる人たちって
徒党を組んで悪事を働くんですよ。
都合の悪いことを隠蔽したり
こっそり談合したり
汚いお金を動かしたり。
そこに
女の人が1人交ざっていると
おじさんたちは
やりにくいんですよ。
悪事に加担してくれないから。
鉄の結束が乱れるから。
風呂光さんがいる理由って
それじゃないですか?
おじさんたちを見張る位置。
男のロマン至上主義の人たちに
交ざれないって
困ってるんでしょうけど
至上でも何でもないんで。
あなたは違う生き物なんだから
違う生き物でいてください。
≪(薮)ここは談笑部屋か?
邪魔だ。 どけ 風呂光。
(薮)久能
お前 料理が得意だったな。
「君」が「お前」になりましたね。
いえ 普段はしません。
たまにカレーを作るくらいです。
(薮)果物ナイフは持ってるか?
さやがついたやつだ。
ありますけど
全然使ってないので
台所の引き出しにしまったまま。
(薮)凶器が出た。
お前の指紋が べったりついた
果物ナイフだ。
そこに付着した血液が
被害者のものと一致した。
えっ!?
(薮)何ブロックも離れた
マンションのごみ置き場に捨てたな。
ところが あそこには
うるさいばあさんがいてな。
住民のごみ
チェックしてんだよ。
お前んちの近所のコンビニの袋に
入ってたが
そこにも指紋がついてた。
僕はバカですか?
何?
うちにある
指紋のついたナイフを使って
それを拭いもせず手袋もせず
寒河江を刺して
素手でコンビニの袋に入れて
捨てたんですか?
そういうもんなんだよ。
普通ならしないことしちまう。
たがが外れんだよ。
人を殺そうってときは。
でも この場合
2通り 考えられますよね。
1つは 僕が僕のナイフを使って
寒河江を殺した場合。
もう一つは
誰かが僕のナイフを盗んで
手袋でもして寒河江を殺した場合。
この2つは結果が同じになります。
その違いを
どうやって見分けるんですか?
やかましいんだよ お前。
いつまでもベラベラ
くっちゃべってんじゃねえぞ!
物証 挙がってんだよ!
お前がやったんだろ?
やったんだろ? お前が。
吐け おら!
吐け!
僕は 結構 記憶力がいいんです。
何?
このまま逮捕されて起訴されて
裁判になったとしたら
僕は しゃべります。
薮さんに何を言われて
どう手をかけられたのか
一言一句たがえずに言います。
必ず お前 捕まえてやるよ。
だから やってませんって。
(足音)
≪(青砥)薮さん
令状が下りました。
令状?
(薮)これからお前の家を捜索する。
ええっ!?
ほう。 初めてうろたえたな。
何でそんないきなり
困りますよ!
何が困るんだ。
何って… 色々と!
勝手に入らないでくださいよ!
何だ。
押し入れで
大麻でも栽培してんのか。
ノートパソコンから
ヤバい履歴でも出てくるのか。
楽しみだな。 池本 行くぞ。
(池本)はい。
(薮)風呂光 運転しろ。
(風呂光)はい。
君 池本や風呂光を手なずけようと
してるみたいだけど
無駄だよ。
うちは薮さんが回してる。
仕事の鬼なんですね。
ああ。
ホシを挙げるために
全てを なげうってきた人だ。
まさに刑事の鑑だよ。
奥さんとお子さんの死に目に
会えなかったって
池本さんが言ってました。
あいつ…。
事故か何かですか?
(青砥)3年前の夏
奥さんと11歳の息子さんが
ひき逃げに遭ったんだ。
だが 薮さんは
張り込み中で動けなかった。
犯人は?
まだ捕まってない。
それで 君は やったのかな?
久能君。
あの 帰らせてもらえませんか?
今日 美容院の予約
入れてるんです。
美容院? それパーマなのか?
天パですよ。 すみませんね。
ほっとくと ぼわぼわになって
爆発したみたいになるので
たまに美容院で
抑えてもらうんです。
そういえば 僕 思い出しました。
寒河江を刺したときのことか?
いえ あなたの顔です。
僕が中2のとき 美容院の週刊誌で
見たことがあったんです。
冤罪事件で やり玉に挙がって
たたかれてましたよね。
そのころは
本庁の捜査一課にいましたよね。
飛ばされたんですか?
確か連続幼女殺害事件でしたっけ。
あなたは無実の人を逮捕した。
また冤罪を起こすんですか?
冤罪じゃない。
俺は今でも
あいつが犯人だと思ってる。
だが やつの嘘を暴けなかった。
同じ案件では裁けないが
いつか必ずあいつを挙げてやる。
君が殺しをやってるなら 君もだ。
どんなに虚言を尽くしても
真実は1つなんだからな。
えっ?
え~。
「真実は1つ」なんて
そんなドラマでしか
言わないせりふを
ホントに言う人がいるなんて。
何?
真実は1つなんかじゃないですよ。
何を言ってる。
真実が2つも3つもあったら
おかしいだろうが。
そうですか?
例えば
AとBがいたとしましょう。
あるとき 階段でぶつかって
Bが落ちてケガをした。
Bは 日頃から
Aにいじめられていて
今回も わざと
落とされたのだと主張する。
ところが Aはいじめてる認識など
まったくなく
遊んでいるつもり。
今回も
ただぶつかったと言っている。
どっちも嘘はついてません。
この場合 真実って何ですか?
そりゃ Aは
いじめてないんだから
Bの思い込みだけで
ただぶつかって落ちた事故だろ。
そうですか?
本当に?
いじめていないというのは
Aが思っているだけです。
その点 Bの思い込みと同じです。
人は主観でしかものを見られない。
それが正しいとしか言えない。
そこに一部始終を目撃した
Cがいたとしたら
また さらに
違う印象を持つかもしれない。
神のような第三者がいないと
見極められないんですよ。
だから戦争や紛争で 敵同士で
したこと されたことが食い違う。
どちらも嘘をついていなくても
話を盛っていなくても
必ず食い違う。
AにはAの真実が全てで
BにはBの真実が全てだ。
だからね 青砥さん
真実は1つなんかじゃない。
2つや3つでもない。
真実は人の数だけあるんですよ。
でも 事実は1つです。
この場合 AとBがぶつかって
Bがケガをしたということです。
警察が調べるべきは そこです。
人の真実なんかじゃない。
真実とかいう あやふやなものに
とらわれているから
冤罪事件とか
起こすんじゃないでしょうか。
お前は いったい
何の話をしてるんだ。
僕は やってません。
おい。
これ 見ろ。
あっ…。
(薮)お前のノートパソコンから
借用書のテンプレートが出てきた。
(薮)サインはしてないが
寒河江君に
金を借りるつもりだったんだろ。
それで もめたのか?
(池本)寒河江君の部屋からも
何人かに金を貸したっていう
メモが出てる。
(薮)人をけむに巻くのも
終わりにしろ。
寒河江君は確かに
金があるのを鼻に掛けた
嫌なやつだったんだろ。
世間の評判は悪くないが
お前は高校のときから嫌ってた。
寒河江のことが苦手だったのは
明るくて人気者だったからです。
鼻に掛けた… というよりは
気前が良かった。
貸すって感じじゃ…。
(薮)ねたみがあったのか?
うらやましかったか?
女にもモテてたんだろ?
いつも親に高価なものを
買ってもらってて
高3のときなんか…。
(薮)どうした? 久能。
まあいい。
今日は泊まってけ。
《真実は
人の数だけあるんですよ》
≪(池本)あ~ 疲れた!
(青砥)どうですか? 久能は。
それが黙っちゃって。
(青砥)誰か黙秘権について
話したのか?
(池本)いや まだ任意なんで。
そろそろ精神的に
追い込まれてるはずだ。
無駄口たたく気力も
なくなったんだろ。
吐きますかね?
(薮)吐かせるさ。
まあ自供がなくても
これだけ証拠が揃ってりゃ
逮捕状は出るだろうがな。
ですね。
揃い過ぎてるくらいです。
(池本)いよいよ決まりだな。
やっぱ久能がやってたんだな。
ええ。
(池本)俺さ 今朝 ごみ捨て
一からやってみたんだよ。
はい?
(池本)いや まとめたごみを
捨てるだけじゃ ごみ捨てとは
呼ばないって久能に言われて。
「奥さん 大変なんだ」ってさ。
それで?
(池本)いや~ 知らなかった~。
俺 ホッチキスとめたまま
紙を捨ててたんだわ。
封筒とか小さい箱とか
ああいうのも分けんのね。
うちのごみ箱 何と
瓶缶とかも入れて7つもあったよ。
今まで 全部 嫁が
やってくれてたんだなぁって。
でさ ごみ袋がなくなりそうだから
帰りに買ってくるって言ったら
泣きだしちゃって。
そんなことぐらいで
喜ぶかって感じなんだけど。
でも 何か 嫁が うれしそうだと
俺もうれしいなぁって
そう思ったわけ。
よかったですね。
(池本)まあな。
(池本)おい。 どうした?
私には あの人が
人を殺すようには見えないです。
うん… まあ
俺も信じられないけど。
(池本)ほい カレーそば。
俺のおごり。
嫁さんと仲直りできたからさ
そのお礼。
好きなんだよね? カレー。
僕は 確かにカレーが好きですけど
カレーライスじゃないところに
カレー味があるのは嫌なんです。
めんどくせえな。
好きにしろよ。
あっ あの
風呂光さんを
呼んでもらえますか?
ちょっと確認したいんですけど
家宅捜索のときに
僕のうちの台所の引き出しに
果物ナイフはありましたか?
ありませんでした。 凶器に
使われたということでしょう。
じゃあ 玄関の鍵にピッキングや
こじ開けられた形跡が
ないかどうか。
それと 大家さんが 僕の留守に
誰か人を入れてないかどうか。
大家さんのアリバイも調べてください。
つまり 君の家から
ナイフを盗んだやつが
いないかどうかってこと?
はい。 誰かが僕に罪を着せようと
してるようなので
抵抗します。
力を貸してください。
分かりました。
玄関の鍵も窓も
何も異常ありませんでした。
大家さんが 無断で
人を入れたこともないですし
アリバイも しっかりしてました。
そうですか…。
(風呂光)あの あなたの友達や
彼女が遊びに来たときに
こっそり持って帰った可能性は…。
友達も彼女もいません。
誰も遊びに来たことはないです。
何ですか?
快適に生きてますけど。
残念だけど
ナイフは
誰にも盗まれてないようだね。
あっ。
(池本)何だ?
いえ 例えば 鍵を落としたときに
合鍵を作られたとか?
あっ。
えっ あるの?
1年ちょっと前です。
ただ
すぐに大学の近くの交番に
届いていたので
事なきを得たと思っていましたが。
やっぱり!
(池本)いやいや いやいや…。
たまたま鍵を拾った人が
たまたま寒河江君を
殺したいと思っていた人で
たまたま君に罪を着せた?
しかも1年前に?
ないない ないない…。
そのとおりです。 池本さん。
たまたまじゃなかったんです。
えっ?
(風呂光)どういうことですか?
そんな偶然あるわけがない。
もしかしたら誰かが
わざと持ち去ったとか
あるいは 鍵を
すり取られた可能性もあります。
風呂光さん 調べてください。
僕の鍵を拾ったのは誰なのか。
はい。
≪風呂光さん。
(風呂光)あっ…。
どうでしたか?
驚きました。
久能さんの鍵を拾ったのは…。
やっぱり そうでしたか。
えっ?
風呂光さん もう一つ
お願いしたいことがあります。
(足音)
♬~
♬~
♬~
(菅田)おじゃましま~す!
(松坂)ちょっと待った! まず手を洗おう。
(賀来)だね!
よし!
ちょっと待った! このタオル清潔?
普通に白いけど。
見えない何かがついてるかも。
ちょっと待った!
「アタックZERO」は
汚れを落とすだけじゃない。
3つの機能もついている。
さすが 「アタックZERO」
ちょっと待った!
最高じゃないか~‼
<見えない汚れとニオイに>
<清潔力の
清潔力の 「アタックZERO」>
(雨音)
薮さん
僕 思い出したことがあります。
(薮)寒河江を殺したことか?
金を借りたことか?
いいえ。 寒河江が 高3の春
免許を取ったことです。
免許?
父親に とんでもなく高級な車を
買ってもらったと自慢してました。
ところが 夏休み明け
彼は 友達と話してたんです。
(生徒)《ってか 寒河江
お前 車 どうしたん?》
(寒河江)《いや それがさ
模試の成績が下がったからって
親父に取り上げられちまって》
あれは 3年前の夏でした。
僕の想像です。
その夏 寒河江は 事故を起こした。
でも 表沙汰にはなってない。
学校でも
何の噂にもなってなかった。
誰も知らない事故です。
車は こっそり 処分された。
おそらく 父親の手配で。
何を言ってるんだ。
寒河江は 人をひいた。
(青砥)いいかげんにしろ。
今は 取り調べ中だ。
寒河江が ひき逃げしたのは…
薮さんの奥さんと
子供だったんですね。
(青砥)《3年前の夏
奥さんと11歳の息子さんが
ひき逃げに遭ったんだ》
♬~
最初に違和感を覚えたのは
僕が 目撃者は
皆さんのよく知ってる人かと
聞いたときです。
《皆さん その目撃者の人を
よく知ってるんですか?》
《えっ?》
薮さんは 息をのんだ。
青砥さんの反応とは
明らかに違いました。
僕は ああ 知り合いなんだなと
思いました。
次に ナイフが見つかった
マンションのことを…。
《ところが あそこには
うるさいばあさんがいてな》
「そこ」じゃなく
「あそこ」と言いましたよね。
そのおばあさんのことも
知ってるんだなと思いました。
そして 僕の部屋を
捜索すると言ったとき…。
《押し入れで
大麻でも栽培してんのか》
《ノートパソコンから
ヤバい履歴でも出てくるのか》
どうして 今どき
うちに押し入れとノートパソコンがあると
言いきれるんだろうと思いました。
僕の部屋に入ったことが
あるからなんですね。
(青砥)おかしなこと言うな。
そんなわけないだろう。
鍵を落としたんですよ 1年前に。
僕の鍵を 交番に届けたのは
薮さんです。
そんなバカな。
誰が そんなこと…。
風呂光さんに調べてもらいました。
本当か?
ホントです。
あなたは 合鍵を作り
僕の部屋に侵入して
果物ナイフを盗んだ。
そして それで
寒河江を殺したんですね。
ご家族の復讐のために。
♬~
フフフッ。
やっぱり笑うんですね。
よく ドラマで見るんですよ。
殺人の疑いをかけられたときに
無実の人は 怒って
真犯人は 笑うんです。
そんなことないだろうと
思ってたけど
そういうものなんですね。
寒河江は 認めましたか?
ひき逃げを。
薮さん…。
認めましたか?
ハァ…。
言うな。
あいつは 何と言ったんですか?
言うな。
否定したよ。
(青砥)何も言うな。
薮さん! 何も言うな!
寒河江は 罪を認めなかった。
(薮)それだけじゃない。
あいつは…。
(寒河江)《いいか? これ以上
妙な言い掛かりつけんな》
《俺の身内に頼めば お前なんか
どうとでも消せんだよ》
《どうせ 金が目当てなんだろ。
幾ら 欲しいんだよ?》
《言えよ!
いくらでも くれてやるから!》
《ほら 言えよ!》
(刺す音)
(寒河江)《うっ!》
(刺す音)
(寒河江)《うっ!》
(刺す音)
(寒河江)《ううっ!》
だから 殺した。
(薮)認めて 謝れば 生かして
しょっぴいてくるつもりだった。
ナイフまで用意したのにですか?
お前の鍵を拾わなきゃ
こんなこと考えなかった。
僕のせいだと?
(薮)あいつを見に
大学に行ったとき
お前は やつと会釈してた。
(薮)その後 鍵を落としたんだよ。
(薮)どう使うかは考えてなかったが
一応 型をとった。
(薮)それを見てるうちに
色々 考えちまってな。
(薮)その鍵で お前の部屋に入り
果物ナイフとコンビニ袋を盗んだ。
(薮)そして ノートパソコンに
証拠を入れて 目撃者を用意した。
後悔してない。
妻と息子も 喜んでくれるだろう。
(薮)青砥 すまんな。 後を頼む。
薮さん…。
(薮)ハァ…。
そううまくはいかんもんだな。
楽しかったですか?
復讐は 楽しかったですか?
何だと?
聞くところによると
薮さんは
刑事の仕事に 命を懸けて
家族を顧みず
家には ほとんど帰らなかった。
おそらく 息子さんの行事にも
何一つ 参加してないんでしょう。
ひき逃げに遭ったときも
病院に駆け付けなかった。
張り込み中だったんだ…。
怖かったんですよね
死に目に会うのが。
現実を見るのが 怖かった。
刑事としての薮さんの代わりは
いくらでもいるのに
そこは無視した。
それほど大事だった
刑事という仕事も
復讐のためなら
捨てられるんですね。
復讐のためなら
時間をつくれたんですか?
どうやって 寒河江に
たどりついたか分かりませんが
膨大な時間と努力が
要ったはずです。
しかも それは
仕事とは 別だった。
死に目に駆け付ける時間は
なくても
その時間は 取れたんですね。
なぜなら 仕事と復讐のベクトルは
同じだから。
あなたにとって
やりがいがあることだった。
でも 生きてるときに
家族に関わることは
やりがいを
見いだせなかったんでしょう。
(青砥)久能 やめろ。
薮さん 生涯で お子さんの名前を
何回 呼びましたか?
さっき 奥さんと お子さんが
喜んでくれるって言ってたけど
そうでしょうか?
僕が 子供なら こう思う。
「お父さん 何だか楽しそうだね」
「あんなに忙しい忙しいって
言ってたのに」
「刑事の仕事は 何より大事で
そのために
全てを犠牲にしてきたのに」
「お父さんが
忙しいって言ってたのは
僕らに会いたくなかったからで
僕たちが死んだら
もう忙しくなくなったんだね」って。
久能!!
薮さん!
(薮)お前に 何が分かんだ!?
何が分かんだ!? お前に!
お前もな 寒河江と一緒だよ。
ちゃらちゃらして
生意気で 偉そうで
親のすねかじって
ぼんやり生きてんだろ お前!
命 削って 働いたことあんのか
お前! ああ!?
妻や子を持ったことない
そんなお前に 何が分かんだ!?
何が分かんだ!? そんなお前に…。
分かりませんよ。
薮さんの真実は
薮さんにしか分からないし
僕の真実は
僕にしか分かりません。
僕は 確かに 親のすねかじりで
働いたこともなく
嫁も彼女もなく
ぼーっと生きてます。
ただ 僕は
子供を持ったことはないですが
子供だったことはあります。
親になると忘れてしまうのかも
しれませんが
僕は 今
子供の立場で 物を言ってます。
ハァ…。 ハァ…。
薮さん もう一つ
思い出したことがあります。
その夏休み明けに
寒河江が言っていたことです。
(生徒)《ってか 寒河江
お前 車 どうしたん?》
(寒河江)《いや それがさ
模試の成績が下がったからって
親父に取り上げられちまって》
(生徒)《マジかよ。 最悪じゃん》
《まあ でも
部活の先輩に貸してばっかで
全然 乗ってなかったから
いいんだけどさ》
寒河江が
運転してたんでしょうか?
ひき逃げは ホントに
あいつがしたんでしょうか?
どういうことだ?
寒河江が 金を貸してたって
言ってましたよね。
借用書は 出たんですか?
いや メモです。
イニシャルと金額だけ。
じゃあ 貸してたんじゃなく
脅し取られてたのかも
しれないですね。
えっ?
部活の先輩に 金をせびられ
車を 勝手に乗り回されてた…
かもしれない。
そんな噂があったんですか?
いえ 聞いたことはないです。
寒河江は はたから見れば
金持ちのぼんぼんで
苦労知らずに見えてた。
でも もしかしたら
それは あいつのプライドで
ちゃらちゃらして見せてただけ
なのかもしれない。
僕は 知らない
寒河江が どんな人間か。
あいつの真実は 分からない。
そんな…。
そんなわけあるか…。
久能さん!
何だ? 風呂光。 どこに行ってた?
(風呂光)はい それが…。
見つかったんですか?
はい。
何が見つかったんだ?
実は 久能さんに頼まれて
寒河江さんの部活の先輩
という人たちにあたってきました。
(青砥)部活の?
それで その中で一人
自分が 寒河江さんの車で
人をひいたという人が。
まさか…。
寒河江さんが殺されたので
怖くなって 自首しようかと
考えていたそうです。
3年前の夏
薮さんの奥さんと お子さんを
ひき逃げした人です。
私と一緒に来てます。
今 この署にいます。
すげえ…。
あなたも いつもなら
ここまで調べてたんでしょう。
たがが外れてた
ということでしょうか。
♬~
遅くに生まれた子でな…。
こんなじいさんが
参観日に行ったら
恥ずかしいだろうと思った。
そういうことも話さないと
本人には伝わらないんですよ。
そうだな…。
行きましょう。
薮さん さそり座ですか?
11月生まれですね。
ネクタイピンが トパーズだ。
ネクタイの色も 毎日 えんじで
さそり座の色ですね。
奥さんのプレゼントですか?
服の下に 腹巻きもしてる。
足首にも ウォーマーをしてる。
新しいものじゃない。
奥さんが
用意してくれてたんでしょう。
奥さんは あなたの無事を祈り
体を心配してた。
あなたは それをしてあげたことは
ありましたか?
(すすり泣き)
奥さんの好きな花を
仏壇やお墓に飾ってあげてますか?
お子さんが好きな食べ物を
供えてあげてますか?
そもそも
何が好きか知ってますか?
復讐じゃなく そういうところに
時間を使いましたか?
(すすり泣き)
(すすり泣き)
まず
それをしてみたら どうですか?
今でも見つかるはずです。
家の中に 写真の中に
お二人の好きなもの。
トパーズの語源は 探し始める
という意味があるそうです。
(すすり泣き)
(薮のすすり泣き)
(薮のすすり泣き)
(池本)いや~ 申し訳なかったね。
はい。
(青砥)久能。
お前 いったい 何なんだ?
ただの学生ですよ。
親のすねかじりで
働いたこともない。
盗みをしたことも
人を殺したこともないのに
こんな所に閉じ込められて
尋問されて
美容院も ぶっちして
優も取れない
カレーも ちょっとしか食べてない
ただの学生です。
ごめんね ホントに。
この件を
握りつぶさないでくださいね
青砥さん。
当たり前だ。
お前
性格 悪いって言われないか?
冤罪をつくりまくる人たちに
言われても。
マスコミに
お前の情報は 流してない。
最初から お前がやったとは
思えなかったからな。
(青砥)とにかく 二度と来るな!
(池本)青砥さん
こっちから呼んどいて
それは おかしくないですか。
(青砥)ああ 一応 言っておく。
昔の冤罪事件のことだが
俺は 何か 大きな間違いを
しているのかもしれない。
えっ?
(青砥)お前の言うとおり
全員が 嘘を言ってなくても
食い違うことがある。
もう一度 視点を変えて
全てを見直してみる。
僕には関係ないです。
頑張ってください。
風呂光さん。
は… はい。
どうも ありがとうございました。
あっ…。
僕は もし 何か 罪を犯したら
あなたに捕まえてもらいます。
はい。
それじゃ。
あいつ… 自分の父親への恨みを
話してるようだったな。
久能よ
お前も おじさんになるんだぞ。
♬~
♬~
♬~
♬~
あ~ 美容院 連絡しなきゃ。
あっ 授業。
あ~。
カレーの残り 生きてるかなぁ。
(パトカーのサイレン)
≪三上さん いらっしゃいました。
≪ご苦労さんです。
≪お疲れさまです。
これで 4体目か…。
♬「タマネギを炒めて 炒めて」
♬「ジャガイモは
消えてなくなるように」
今日は 久しぶりに
牛バラブロック!
カレー粉をまぶして。
♬「もみもみ~ もみもみ~」
♬「交ぜて 交ぜて~」
よし 完成。
≪(チャイム)
≪(池本)久能君!
大隣署の池本で~す!
はい。
その節は ごめんね。
殺人犯かと疑っちゃったりしてさ。
失礼しま~す。
えっ…。
いや ちょっと
聞きたいことがあってさ。
僕 これから出掛けるんで
手短に お願いします。
うん。 あの後 子供が生まれてさ
もう 大変で。
そういえば そうでしたね。
おめでとうございます。
でさぁ 嫁が 毎日 ぴりぴりしてて
いっつも 俺に当たってくんのよ。
女は 子供を産むと
変わるっていうじゃない。
あれだよ あれ。
でもね 俺だって なるべく 育児に
参加しようと思ってるんだよ。
おむつだって 替えるしね。
大なら 替えないけど。
あっ あと 君に言われたとおり
ごみ捨てもやってる。
色々 手伝ってるつもりなんだけど
全然 分かってくれないっていうか。
ねえ どうしたら
嫁と うまくいくと思う?
何で 僕に聞くんですか?
僕は 学生で
嫁も子供もいませんけど。
いや でも
何か言ってくれそうだから。
お願いします。
お願いします。
僕は たまに メジャーリーグの
中継を見るんですけど…。
おお~ それそれ その感じ!
それで?
メジャーリーガーや監督は
試合を 時々 休むんですよ。
奥さんの出産は もちろん
お子さんの入学式や卒業式
家族のイベントで休むんです。
へえ~。
彼らは 立ち会いたいんです。
行かずにはいられるかって感じで
行きたくて行くんです。
でも その試合の中継を見ている
日本の解説者が
それについて
何て言うかっていうと
「ああ
奥さんが怖いんでしょうねぇ」
彼らには メジャーリーガーが
行きたくて行ってることが
理解できない。 なぜなら 自分は
そう思ったことがないから。
無理やり行かされてると考える。
大切な仕事を休んでまでと。
メジャーリーガーは
子供の成長に立ち会うことを
父親の権利だと思い
日本の解説者たちは
義務だと思っている。
そこには
天と地ほどの差があるんですよ。
池本さんは どっちですか?
えっ…。
ぎ… 義務… かな。
子供を産んだら
女性は変わると言いましたよね。
当たり前です。
ちょっと目を離したら死んでしまう
生き物を育てるんです。
問題なのは あなたが
一緒に変わってないことです。
でも それは
強制されることではないので
池本さんの好きにしたらいいと
思います。
したこともしなかったことも
いずれ
自分にかえってくるだけですから。
池本さん。
子供が お父さんに構ってほしくて
ぐれましたなんて
ドラマの中だけのことですよ。
実際は ただただ
無関心になっていくだけです。
そういうことで お帰りください。
≪(チャイム)
どうも。
どうも。
お久しぶりです。 その節は
大変 ご迷惑をおかけしました。
あの… 池本さんは?
池本さん
何度も 電話かけたんですよ。
あっ 悪い。 俺 携帯
忘れちゃってさ。 どうした?
すぐに 署に戻るようにと
青砥さんが。
(池本)えっ?
4体目のご遺体が発見されました。
マジか…。
何ですか?
(池本)いや 実は 最近
嫌な連続殺人事件が起こってて。
まだ
報道にはあげてないんだけど。
僕じゃないですよ 犯人。
いや それはそうだろうけどさ
ちょっと 意見が聞きたくて。
そっちが 本題なんだ。
何で 僕に聞くんですか…。
いやいや… ほら 違う視点で
見てくれるような予感?
俺に 手柄くれよ~。
僕は ただの学生で 探偵でも
その助手でもないんですよ。
えっ うん…。
刑事でも検事でもないし
検視官でも科捜研でもないし
弁護士でも作家でも大学教授でも
陰陽師でも家政婦さんでも
塀の中の有名な殺人鬼でも
ないんです。
だから 帰ってください。
僕 もう出掛けるんで。
あっ… ねえねえ…
じゃあさ じゃあさ
興味が湧いたら 後で 電話して。
これから
『印象派展』に行くんです。
ちょっ… 整君の番号も教えてよ。
書いたら 帰ってくれますか?
今日 最終日なんですよ。
OK OK!
はい。
これ 俺の番号ね。 はい。
3時に入りたいから
2時35分のバスに乗らないと。
おお 行こう行こう…。
はいはいはい…。
ハァ ハァ…。
あれ!? もう バス来てる!
待って! 待って!
あっ! あっ… おっと! あっ!
すいません!
危ないですよ。
すいません…。
すいません…。
そんなに見なくてもいいのに。
じゃあ 私は ここで。
(池本)えっ 署に戻らねえの?
(風呂光)ついでに お茶菓子
買ってこいと言われたので。
(池本)お茶菓子?
(風呂光)今日は 本庁の方々が
いらっしゃいますから。
(池本)ああ そうか。
あれ?
これって…。
久能君が
落としてったんじゃない?
私 届けます!
(池本)じゃあ… これ持ってけ。
(風呂光)あれ?
これって…。
久能君が
落としてったんじゃない?
私 届けます!
(池本)じゃあ… これ持ってけ。
《3時には入りたいから
2時35分のバスに乗らないと》
(バイブレーターの音)
(風呂光)「風呂光です。
チケットが落ちていました」
「通り道なので
次のバスで持っていきます」
「美術館前で待っていてください」
落とした!?
しまった…。
(リラ)何か おかしくない?
ここ どこ? いつもと 道が違う。
あれ? そういえば…。
ねえ 変だよね。
あっ あの… 運転手さん
すみません。
このバスって
大隣美術館方面に…。
≪座れ。
座れって言ってんだろ!
お前も 後ろに座れ 早く!
おい 運転手!
余計なまねすんじゃねえぞ!
(運転手)はい!
おい! スマホに触るな!
おい お前。
スマホやら パソコンやら
通信できるもん 全部 集めて
これに入れろ。
早くしろ!
これは つまり バスジャック…。
ああ。
今から
このバスを乗っ取らせてもらう。
あの…。
3時までには終わりますか?
終わるわけねえだろ!
じゃあ せめて 3時半…。
「バスジャック?
ただのいたずらだろ」
「久能 整です。 整理整頓の『整』に
送り仮名は なしです」
「あなたの名前と
バスジャックの目的を教えてください」
「一刻も早く
久能さんを助けに行かないと!」
「最近 市内で
連続殺人事件が 起こってるの」
「へえ~」
「この家に監禁して
一人ずつ 埋めるつもりなのかも」
「まさか
ホントに死ぬとは思わなかった」
「どうして
人 殺しちゃいけねえんだ!」
「いけないってことは
ないんですよ」
「別に 法律で
決まってることでもないですから」
「嘘つけ。 捕まるじゃねえか」
「罰則はありますけど
人を殺しちゃいけないっていう
法律は ないです」
「ここで発生する全ての問題は
あなたのせいで起こるんです」
「全部 あなたのせいです。
あなただけが 悪いんです」
「責任転嫁しないでくださいね」
「君 面白い人だよね」
「面白くないです」
「それ 地毛ですか?
いいですね 直毛で」
「そこ 気になるとこ? 今」
「夢に見る髪ですよ」