[字]ミステリー・セレクション・新・浅見光彦シリーズ2「後鳥羽伝説殺人事件」…のネタバレ解析まとめ

出典:EPGの番組情報

[字]ミステリー・セレクション・新・浅見光彦シリーズ2「後鳥羽伝説殺人事件」

平岡祐太主演の新・浅見光彦シリーズ第2弾!浅見家を襲った哀しい事件の謎に光彦が推理で挑む尾道から出雲への後鳥羽伝説のルートを辿る!!

詳細情報
出演者
【出演】浅見光彦:平岡祐太浅見雪江:竹下景子浅見陽一郎:石丸幹二野上文香:森脇英理子浅見祐子:秋月三佳正法寺美也子:向里憂香桐山道夫:黄川田将也正法寺雅代:高林由紀子阿南照子:河合美智子三村達子:丘みつ子大友勇治:大和田伸也野上哲男:佐藤B作
番組内容
ルポライターの浅見光彦(平岡祐太)は、後鳥羽上皇にまつわる伝説を取材するため、広島県の尾道を訪れていた。尾道は12年前、妹・祐子(秋月三佳)が卒業旅行中に火災事故に巻き込まれ、非業の死を遂げた場所だった。祐子との思い出を懐かしんでいた矢先、祐子の友人・正法寺美也子(向里憂香)と偶然の再会を果たす。懐かしむ光彦をよそに、そっけない態度でその場を立ち去った美也子はその後、後鳥羽院御陵で遺体となって発見
番組内容2
された。そんな折、美也子の事件を追う刑事の野上哲男(佐藤B作)とその娘・文香(森脇英理子)と出会った光彦。野上から美也子の所持品に、美也子が大切そうに持っていた緑色の布表紙の本がなかったと聞いた光彦は疑問を呈する。さらに、美也子が祐子との卒業旅行の記憶を失っていたことや、当時のコースを逆に辿っていたことを知り、事件にただならぬものを感じ、文香と共に美也子の旅を追跡調査することに。
原作・脚本
【原作】内田康夫「後鳥羽伝説殺人事件」(角川文庫)
【脚本】田辺満
監督・演出
鈴木浩介
制作
2018年

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

テキストマイニング結果

ワードクラウド

キーワード出現数ベスト20

  1. 祐子
  2. 美也子
  3. 池田
  4. 浅見
  5. 尾道
  6. 三次
  7. 光彦
  8. 被害者
  9. 野上
  10. 火事
  11. 池田先生
  12. 歴史
  13. 電話
  14. 文香
  15. 後鳥羽伝説
  16. 事件
  17. 先生
  18. 桐山
  19. 後鳥羽法皇
  20. 東京

解析用ソース(見逃した方はネタバレ注意)

   ごあんない

解析用ソースを読めば、番組内容の簡易チェックくらいはできるかもしれませんが…、やはり番組の面白さは映像や音声がなければ味わえません。ためしに、人気のVOD(ビデオオンデマンド)サービスで、見逃し番組を探してみてはいかがでしょうか?

全て無料!民放各局の動画視聴ができるTVer(ティーバー)!まずはココから → 民放公式テレビポータル「TVer(ティーバー)」

他にも、無料お試し期間のあるVODサービスが増えてますので、以下バナーから各社のラインナップを調べてみるのもいいかもしれませんね。





ABEMA



TBS
created by Rinker
¥2,750 (2021/09/17 21:35:33時点 Amazon調べ-詳細)

(光彦)おはようございます

(雪江)あら 光彦
今日は随分 早いのね

今日から取材旅行です

(陽一郎)おっ こんな朝早くから

一体 どこに出かけるんだ?
えっ?

そうか 心機一転 居候を卒業して
独り立ちする気になったか

兄さんにも
ゆうべ 話したじゃないですか

(和子)独り立ちってことは
いい人が見つかったんですね

何で私に教えてくれないの
いや 違いますよ

(須美子)光彦坊ちゃまが選んだ
女性って どんな方なんです?

ちょっと待ってくださいよ

広島のほうは天気がいいそうだぞ

もう
みんな 朝から冗談きついですよ

はい これ お昼にでも食べなさい

奥様が どうしても
自分で お作りになりたいって

えっ お母さんが?
何よ

私だって お弁当くらい作れるのよ

ありがとうございます

光彦
祐子に よろしくね

はい

やっぱり 私も行こうかしら

奥様 今日は
楽しみになさっていた俳句の会が

あっ そうだったわ 残念

では お母さん 行ってまいります

そこまで送りましょう ねっ

(和子)光彦さん 気をつけてね

<瀬戸内海を望む広島県尾道市>

<古くから海上交通の 要衝として栄えた この町から>

<悲しみの軌跡は始まる>

<今回 僕が取材するのは>

<百人一首でも有名な 後鳥羽法皇にまつわる>

<ある伝説だった>

<今から800年ほど前>

<後鳥羽上皇は幕府から政権を 取り返そうとして兵を挙げた>

<世に言う承久の変である>

<しかし>

<この戦いで敗れた後鳥羽上皇は>

<出家して法皇となり>

<京都から隠岐島へ流されたのだ>

<その道筋は 姫路から播磨 備前を通り>

<伯耆を抜けたというのが 史実である>

<しかし これには もう一つ 説がある>

<鎌倉幕府は 後鳥羽法皇が>

<地方の豪族に 奪回されるのを恐れて>

<史実とは別の道筋を通して>

<隠岐島へ送ったというのだ>

<その道筋とは 尾道から北へ向かい>

<三次付近を 通って>

<仁多から 出雲を抜け>

<隠岐島へと 海を>

<渡るものだと いう>

<これが いわゆる後鳥羽伝説である>

<一時は天下を治めながら>

<失意のうちに 生涯を終えた後鳥羽法皇>

<その無念は>

<そして 恨みは>

<いかばかりだったろうか>

<そして 今回の旅には もう一つ>

<ひそかな目的があった>

<それは 浅見家の人達の心に刺さったまま>

<ずっと抜けない トゲのようでもあったのだ>

《(陽一郎)祐子》

《卒業旅行だからって
羽目 外しちゃダメだぞ》

《(祐子)はい 分かりました》

《大丈夫ですよね 祐子ちゃんは
真面目で しっかりしてるから》

《これ お昼にでも食べなさい
あなたの大好物》

《お母さん おいなりさんだけは
得意ですもんね》

《まあ 光彦ったら!》

《お母さん
ありがとうございます》

《気をつけてね》
《はい》

(陽一郎)あれから何年になるかな

はい?

祐子が亡くなってからだよ

ああ…

今年で13回忌ですから

もう12年

そうか

もう12年たつか

結局

一度も
袖を通してもらえなかったわね

<そんな浅見家の人達の思いが>

<思いも寄らない偶然を 呼び寄せたのかもしれない>

えっ?
見て見て…

あれが向島っていうの

へえ~ そう 奥が因島?

《(美也子)おいしい? おいしい?》

あっちも今 すっごい綺麗
ホント?

すっごい有名
嘘 嘘 行きたい 行きたい

美也子さん?

<あれっ あの本は…>

あの~ 失礼ですが

正法寺美也子さんですか?

浅見です 浅見祐子の兄の光彦です

やっぱり 美也子さんですよね

お久しぶりです

こんな所で お会いできるなんて

ご旅行ですか?

え ええ…

帰りの新幹線の時間があるんで

すみません

あの ちょっと待ってください

<そして この偶然が>

<思いも寄らぬ 連続殺人事件とともに>

<僕達家族に過酷なまでの真実を 突きつけることになろうとは>

<このときの僕は まだ知る由もなかった>

(野上)よし

(文香)ヤダ~ もうヤダ その格好

誰が どう見ても
おじいちゃんだよね

うるせえな 孫の顔一つ見せずに

出戻ってきたお前に
じいさん呼ばわりされたくないね

孫なんて生まれてたら 余計に
面倒くさいことになったでしょ

面倒くさいってことはな
生きてるってことなんだよ

偉そうなこと言っちゃって

いいわよね 今月いっぱいで
面倒くさい仕事も辞められて

お前な 誰のおかげで こんなに
デカくなれたと思ってるんだ

俺がだ 靴底 すり減らして…

(携帯着信)

はいはい… 電話電話 鳴ってるよ

(舌打ち)

はい 野上

何 殺し!?

場所は?

行ってらっしゃい
うん

お父ちゃん
もう

せっかく新しいの買ったのに!

ご苦労さん 被害者の身元は?

はい 正法寺美也子 30歳

東京のOLさんです
おう

首を絞められてるな

(落合)ガミさん
おう

(落合)非番なのに すいません
何か分かったか?

近くで道路工事している作業員が

この前に白いワゴン車が
止まってるのを目撃したそうです

その車の運転手は?

青いジャンパーに眼鏡かけてたそうで
車は福山ナンバーのレンタカーです

旅行者の可能性もあるな

よし 福山のレンタカー店を
1軒ずつ潰していくぞ

はいっ

<その頃 僕は 尾道から路線バスを乗り継いで>

<後鳥羽伝説の ルートを北上していた>

<12年前に祐子が 旅したのと同じ道をたどり>

<今夜はここ 三次に宿をとって>

<当時の祐子の気持ちに 寄り添ってみようと思っていた>

三次唐麺焼?

お兄さん 観光の方ですか?

えっ? あっ ああ まあ

ここのお店 おいしいですよ

そうなんですか?
唐麺焼って

三次独特の
お好み焼きみたいなもんなんです

よかったら食べていきません?
えっ?

さあ どうぞ どうぞ
ああ…

おいしそうですね

おいしそうじゃなくて おいしいの
はい

(達子)ごめんなさいね 無理やり
連れてきちゃったみたいで

いえ ちょうど
おなかペコペコでしたから

そう?
お兄さん 東京からでしょ

はい
やっぱり?

えっ?
何か そんな感じする

懲りないね
東京の男で苦労したくせに

えっ?
ちょっと 女将さん

そんな話 しなくても

あっ ほら 焦げちゃうよ
えっ?

まったく
3年ぶりで火がついちゃった

次のニュースです

三次市 後鳥羽院御陵内で

女性の遺体が発見されました…

三次で殺人だって

ハイキングをしている人から
通報を受けました

死亡していたのは 東京都在住の

正法寺美也子さん 30歳…

美也子さん…

この人 知ってるの?

はい

(携帯着信)

はい 野上

えっ 青いジャンパーに眼鏡の男?

よし
任意で引っ張れ 俺もすぐに戻る

申し訳ありませんでした

やつじゃなかったのか

実は 目撃情報の時間が
違ってたそうなんですよ

えっ?
作業員に確認したら

車 目撃したの
朝方だったっていうんですよ

ただの勇み足だったのかよ

(大友)ガミさん

ああ 署長

(大友)
ガミさん もう お年なんだから

帰って休んだら?

おい それ どういうことだよ

だから 昨夜 東京から観光で
来たって男の人が店に来てね

そのお客さんが殺された女の人と
ちょっとした知り合いだった

えっ ちょっと待て
じゃ その東京から来た男は

昨日 三次にいたのか?
だと思うけど

何で そんな大事なこと
俺に知らせないんだよ!

今 そいつは どこにいんだ?
東京 帰っちゃったのか

三次の
ビジネスホテルへ泊まるって聞いたけど

どこのビジネスホテルだ?
そんな

どこのホテルに泊まるかなんて
乙女が聞けるわけないじゃない

バカか お前は
そいつが犯人かもしれないだろ!

ないない 人を殺すような人には
見えなかったから

お前の人を見る目が信用できるか

3年ももたずに
男に捨てられたくせに

今 それ言う? 私はね

捨てられたんじゃなくて
捨ててやったのよ

そういうとこだけは
母さん そっくりだな

フンッ

警察に 何かご用ですか?

ああ ゆうべの殺人事件

どうなったかなって
気になりまして

はあ あの どちら様で?

失礼しました

僕は
ゆうべ亡くなった美也子さんの

ちょっとした知り合いで
ルポライターの浅見と申します

貴様か!
えっ?

ちょっと来い!
あの 話を聞いてください

おう じっくり
聞かせてもらおうじゃないか 来い

桐山警部 こんな田舎まで
ご足労いただきまして

お疲れさまでございます

署長の大友でございます
さあ どうぞ

どうぞ どうぞ

県警のエリート警部のお出ましだ

京大出らしいですね

おまけに
桐山建設社長の娘婿だそうだ

一課の桐山です 早速ですが
被害者に関するデータと

現在の捜査状況について
聞かせてください

あっ はい

まず 被害者は

東京都文京区在住の

正法寺美也子 30歳

音響機器メーカーのOLです

死因は
首を絞められたことによる窒息死

死亡推定時刻は午後3時55分から
4時15分の間の20分間です

随分 短く絞れましたね

はい 被害者を三次駅から
後鳥羽院御陵まで乗せた

タクシーが判明いたしましたので

なるほど それで?

あっ 被害者の母親に
電話で聞いたところによりますと

被害者は 4泊5日の予定で

松江から

尾道に抜ける旅行に

出かけたとのことです

昨日は その最終日で

尾道から福山経由で

東京方面へ
帰る予定だったそうです

尾道から…

じゃ あんたは
妹さんの友達である被害者と

偶然 尾道で会ったというのか?

はい たまたま
偶然 すれ違ったんですよね

何かに吸い寄せられるように

あんた 警察をナメてんのか

いえ ホントなんです そしたら
美也子さん ベンチに座って

バッグから分厚い本を取り出して
開いたんです

いい加減なこと言うんじゃないぞ

被害者の所持品に
本なんて なかった

おかしいなあ
尾道では本を持っていたのに

あんた なぜ被害者が殺された
三次にいたんだ?

彼女の後を
つけてきたんじゃないのか

いえ 違います でも 何で
東京に帰るはずの美也子さんが

三次に いたんでしょうね

あっ もしかして誰かと
待ち合わせていたんでしょうかね

こっちが聞いてるんだ!

すみません…

いずれにしても 初動捜査が
お粗末だったことは否めませんね

大友署長
えっ?

任意同行までかけた男が
シロだったと聞きましたが

いや それはですね 現場の
ちょっとした勇み足といいますか

署長が任意同行を
指示なさったんですか?

いや それはですね…

(ドアが開く)

あっ ガミさん どうだった?

捜査会議中に
何をしてたんです?

東京から来た
被害者の知り合いという男が

三次に おりましたんで

聴取をしておりました

それで どうだったんです?

確かなアリバイがあり シロでした

では 改めて捜査を
一から やり直します

駅 バス停など 外部からの
侵入者を当たるチームと

殺害現場周辺を
当たるチームに分かれ

被害者 もしくは
犯人と思われる人物の

目撃者捜しに
全力を挙げてください 以上

(一同)はいっ

あっ あの…

私は何をすればいいでしょうか?

もうすぐ
被害者の家族が到着するから

その応対をしてください

はい ああ いや
それは警務課の仕事では…

それが終わったら 被害者が
旅行したルートの追跡調査を

はっ
できれば 被害者がなぜ

予定を変更して三次へ来たのかが
分かればいいんですが

まあ そこまでは難しいでしょうね

はっ

ご心痛のところ
遠方より お越しいただいて

ありがとうございました

(雅代)光彦さん!

あんた まだ帰ってなかったのか!

はい

ご家族の方が
おみえになると思ったんで

ご挨拶させていただこうと
思いまして

ありがとうございます

美也子さんは なぜ今回

また こちらを
ご旅行なさってたんでしょうか?

私もね 以前 旅行したコースを

もう一度 たどってみるんだとしか
聞いてないんですよ

そうですか

すみません 以前 旅行した
コースとは どういうことです?

高校の卒業旅行で

お友達と後鳥羽伝説のコースを
たどってみるんだって

後鳥羽伝説?

あの 後鳥羽伝説とはですね
承久の変の…

知ってますよ
これでも歴史には詳しいほうでね

すみません

しかし 後鳥羽伝説では確か

尾道から出発して

三次付近を通って

山陰に抜けるコースですよね

はい

でも今回は 前とは逆のコースを
たどってみるんだと

言っておりました

逆のコースを?

そしたら 昔の自分に
出会えるかもしれないって

昔の自分?
あの それについてはですね…

あんたに聞いてないんだよ!
ほら もう

あっ すいません

あの子

記憶喪失になったんです

記憶喪失?

卒業旅行の最終日に泊まった

仁多町の
民宿が火事になりましてね

《祐子っ 中にいるの!》

《祐子~!》

(雅代)
一命は取り留めたんですけれど

そのときのショックで

生活に必要な知識は

大体 戻ってきてたんですけれど

あの旅行のことや

亡くなったお友達のことだけは

いまだに記憶が戻ってないんです

お友達の方は
亡くなられたんですか?

はい

祐子ちゃんは…

明るくって
気立てのいいお嬢さんでした

きっと

お兄様に似たんですね

えっ そのお友達って…

あっ 今 僕の噂しました?

あんた 妹さんを…

また来てくれたってことは

気に入ってくれたって
解釈していいのよね

どうだかね

あの…
はいはい!

はいは~い!

何でしょう?

あの 奥出雲の
仁多に行きたいんですけど

電車が一番 早いですか?

電車だと4~5時間かかりますよ
本数も少ないし

じゃあ バスかな?

あの 何で仁多町へ?

亡くなった美也子さんは

松江から

仁多を通って

三次を経由して

尾道まで
旅をしていたそうなんです

それで 福山に出て 東京へ
帰るはずだったんですけどね

なのに 何で三次で
殺されちゃったんでしょうかね

それが謎なんです

なぜ美也子さんは

尾道から三次に戻ったか

だから
僕も美也子さんと同じルートを

たどってみようかなと思ってます
そうですか

それに 尾道で持っていた本を

どこで手に入れたのか
確かめたくて

ヤダ~ 私 仁多町

めちゃめちゃ詳しい
えっ?

亡くなった母の実家が仁多町で
よく帰ってたんです

そうなんですか
どうしよう

私 めっちゃめちゃ詳しい

明日 お店休みだしね

もし よかったら 案内して…

もちろん! 喜んで

ごちそうさまでした
明日は よろしくお願いします

はい また明日
はい

お母さんの実家
そんなに よく帰ってたっけ?

帰ってたわよ
夏休みとか お正月とか

へえ~

これで お父ちゃん
安心してくれるね

ヤダ もう
そんなんじゃないってば

素直じゃないね えっ

えっ え~っ

≪正法寺さんなら

お泊まりになられました

昼すぎに お着きになられて

荷物を置いて
すぐに お出かけになられました

どこへ出かけたか分かりますか?

ええ この町に図書館は
ないですかと聞かれました

何やら
本を捜しておられるようでした

本を?

《おかしいなあ
尾道では本を持っていたのに》

どんな本を捜していたか
分かりませんか?

何でも 後鳥羽法皇に関する

歴史の本を捜してると
おっしゃってました

後鳥羽法皇?
ええ

他に何か言ってませんでしたかね

あの~ 12年前のお話は
お聞きにならないんですか?

えっ?

いや あの
さっき来られたお二人は

12年前の火事のことを
お聞きになってたんで

二人?
≪はい

おい!

刑事さん!

困るねえ
娘を勝手に連れ回してもらっちゃ

娘さん?
まあ 一応

一応って何だ 一応って!

こんな山の中まで
お父ちゃん

ここに昔
民宿があったの覚えているよね?

ああ
あの民宿

火事で焼けちゃったんだって

文香 浅見さんはな その火事で

妹さんを亡くしてるんだ

えっ?

浅見さん 昨日は失礼なことばかり
言って申し訳ない

やめてください
刑事さんなら当然のことです

ああ いやいや
あっ そうだ どうです?

お詫びに そばでも
ごちそうさせてもらえませんか?

腹 減ったでしょ?

はい
うん

お待たせいたしました

はあ~ 鬼の顔になってるんですね

いただきます
いただきます

ああっ おいしいです

よかったな
よかった

う~ん

あっ
はい どうぞ

ありがとうございます

おう

ああ…

美也子さんは ここで

後鳥羽法皇に関連した本を
捜していたそうですね

そのようですね

美也子さんは あの本が見つかれば

記憶が戻るかもしれないと
思ったんじゃないでしょうか

あの 記憶を取り戻すって…
文香

浅見さん なぜ そんなに
本に こだわるんです?

あの本 実は
妹の祐子のものだと思うんです

《これ
古本屋さんで見つけちゃった》

《よく こんなもの見つけたなあ》

《でも 何で後鳥羽伝説なんかに
興味があるんだ?》

《どんなに偉い人だって》

《どうにもならない悩みや苦しみを
抱えて生きてるんだって》

《お兄ちゃんが
教えてくれたんでしょ》

《あれ そうだったっけ?》

《そうだよ》
《えっ?》

《もう》

《えっ?》
《ほら》

《ああ~ そうだ》
《承久の変》

あの本は火事で焼けたものだと
思っていたんですが

尾道で あの本を見ていたときの
美也子さんの顔を見ると

あれは 祐子のものに
間違いないんじゃないかと

妹さん 浅見さんから
歴史の面白さを教わったんだ

歴史って 人の営みが積み重なって

今に つながっていることじゃ
ないかと思うんです

人の営み?
つまり

人は生きるために何をしたのか

祐子は
それを感じるために旅に出て

それで…

僕のせいかもしれないんですよね

文香
はい

俺も車に乗せていけ

乗せてけって どこへ?

美也子さんは 仁多で1泊したあと

吉舎 そして
尾道の旅館に泊まっています

彼女が本をどこで手に入れたのか
突き止めに行きましょう

野上さん…
ええ

何だよ

じゃあ
ちょっと その辺 聞いてきます

お願いします

目の前で
大切な友達を亡くすなんて

そりゃ
記憶喪失にも なりますよね

ええ

相当 ショックだったろうな
お兄さんも

妹さんって
どんな人だったんです?

そうですね…

明るくて素直で おいなりさんと
里芋の煮っ転がしが好きでした

アハハッ 私も
えっ?

文香 次 行くぞ 次

はい
野上さん どうでしたか?

美也子さんは ここでも

後鳥羽関連の本を
捜してたそうです

でも 結局は
見つからなかったようで…

そうですか
でも まだまだ諦めませんよ

次は 尾道です

あっ

尾道でもダメだったか…

まだ諦めるのは早い

美也子さんは
旅館をチェックアウトするときに

古本屋をまわってみると
言ってたそうです

古本屋さんか…
ええ

芸備地方風土記…
本を買ったのは

この女性なんですがね

ああ この女性なら確かに
その本を買っていかれました

店へ入ってくるなり 歴史書の棚は
どこかと聞かれましてね

その奥になりますって言ったら…

《あの この本
どこで仕入れたんですか?》

いきなり
仕入れ先を聞いてきたんですか?

その仕入れ先
教えてもらえませんか?

あっ 刑事さん

実は この女性
一昨日 殺されましてね

まあ 捜査の一環として
お聞きしたいんですが

はい ちょっとお待ちください

え~っとですね え~っ

この人です
池田謙二

高校の歴史の先生でね 去年の春に

三次の高校に転任したと
聞いております

三次の…
三次の どこの高校だか

分かりますか?
確か 公立の…

何という高校でしたかな

美也子さんは
三次で池田謙二という男と

待ち合わせていたのかも
しれませんね

そこで何か
トラブルが起きたか…

三次にある公立高校なら
調べれば すぐに分かると思う

あっ ちょっと待て ちょっと待て
えっ?

浅見さん
ここから先は危険も伴います

我々 警察に任せてください
でも 僕も池田…

ああ いやいや
任せてください

どうだい 目撃者は見つかったのか
いや もうそれがさっぱりで

そうか

(桐山)ご苦労さまでした
あっ

何か報告は ありますか?

はい 一つ
気になることがありまして

何ですか?

はい 被害者は
松江から尾道へと抜ける間

ずっと何度も
同じ本を捜しているんです

それで?
犯人は被害者から

その本を盗んだ可能性が
あるんです

それが 事件と
何の関係があるんですか?

その本は 被害者だけでなく

犯人にとっても重要なもの
だったとは考えられませんか?

バカバカしい

野上さんは今月いっぱいで
定年退職だそうですね

ええ あっ それが何か?

警察官としての引き際は
綺麗にしたいものですね

お父ちゃん

調べたら 三次東高校に

池田って先生が
いることが分かったから

電話して 三次の歴史について

ルポライターとして
話を聞かせてくれって頼んだら

明日の3時以降なら
時間をとってくれるそうなんです

浅見さん
私も連れていってください

(池田)三次の歴史をね
しかしまた なぜ私なんです?

尾道書房という本屋さんで
先生のことをお聞きしたんです

先生は「芸備地方風土記の研究」
という本を

あのお店に
お売りになってますよね?

確かに 三次に引っ越すときに
売りましたが

実は私の知り合いの女性が
ずっと その本を捜してて

あの本を 本屋さんで見つけて
購入したようなんです

あなた ホントに
三次の歴史を調べてるんですか?

誰ですか? あなた

あっ 失礼しました

三次中央署の野上と申します

その知り合いの女性

正法寺美也子さんというんですが
ご存じですか?

確か 亡くなられたんですよね
新聞で事件のことを知りました

いや 知ってるのは
それだけじゃないでしょう?

学校のほうに電話をもらいました

それは事件があった日の
ことですよね?

1時頃だったと思います

今 福山にいて
これから三次へ行くので

4時頃 また電話をすると

福山から…

どんな内容の電話ですか?

私に会いたいと

でも 5時になっても
電話は きませんでした

要するに
すっぽかされたんですよ

その間 あなたはずっと学校に?

はい 緊急の
職員会議がありましてね

3時から5時までずっと
会議室でしたからね

その間
一度も外出されませんでした?

僕を疑ってるんですか?

嘘だと思うなら
他の先生に聞いてみてくださいよ

ああ これは失礼しました

美也子さんは
あの本について 先生から何か

聞きたかったんじゃ
ないでしょうか?

何かって何ですか?

例えば…

後鳥羽伝説のことを

さあ 知りませんね そろそろ
学校に戻らないといけないんで

失礼しますよ

じゃあ 池田先生が
めちゃくちゃ怪しいじゃない

でも 人を殺すような人には
見えないんですよね

ねえ 文香ちゃん
それ どこの学校の先生?

三次東高校…

舞子ちゃん
うん

舞子 ちょっと来て

(舞子)何?

あっ こんばんは

こんばんは
舞子ちゃん

三次東高校だったよね?
そうだけど

池田っていう
歴史の先生 知ってる?

知ってるけど

どんな先生ですか?

クソ真面目で 歴史オタク

生徒より勉強してんじゃないかな

でも どっか抜けてるとこ
あるっていうか

抜けてるって?
期末試験のときも

問題用紙が盗まれたって
大騒ぎになったんだけど

結局 池田先生が自分で問題用紙
数え間違えてたっていうのよ

信じらんないでしょ?

自分で間違えた…

どうかした?

いや 事件のあった日
それで緊急の職員会議になって

池田先生のアリバイが
成立してるんですよね

えっ じゃあ わざと間違えて

自分でアリバイを
つくったっていうこと?

池田先生なら いつも ここです

先生 お客さん

ああっ!

ああっ!

ああ ご苦労さん
あっ

こりゃ 自殺ですね
遺書は あったのか?

いえ でも
第一発見者の話によると

室内に
もみ合ったような跡は なく

踏み台に使ったと思われる

このイスが倒れていたそうです

死亡推定時刻は どれぐらいだ?

鑑識の話だと
死後硬直の具合からみて

深夜の2時から
3時くらいだそうです

深夜?
昨夜 池田先生は

当直だったそうです
ほお~っ

浅見さん

何で こんな所 いるんですか?

あっ 第一発見者なんで
まだ帰っちゃいけないそうで

ああ~っ

あっ

じゃあ 自殺かどうかも
怪しくなってくるな

署長 教師の自殺事件なら

三次中央署のほうで
処理してください

本件とは関係ありませんからね

それが 関係ないとは
言い切れなくなりましてね

どういうことです?

正法寺美也子が
殺された日のお昼頃

正法寺と名乗る女性から
死んだ池田謙二宛てに

電話があったそうです
えっ?

(落合)池田宛てに
外部から電話があったのは

これが初めてだったそうです
なるほど

それから 第一発見者の
浅見と名乗るルポライターが

昨日 学校近くの喫茶店で
池田と会っていたっていうんです

浅見?
(落合)ええ それが この男

身元を聞いても
ハッキリ答えないんですよ

桐山警部
何です?

実は 私も昨日

そのルポライターと一緒に
池田から話を聞きました

(大友)何だって?

事情は理解しました
しかし あなたは警察官として

二つの間違いを犯しています

一つは独断で
重要参考人への聴取を行ったこと

そして もう一つは
被害者が所持していた

本に関する報告を怠ったことです

いや 本がなくなってたことは
前にも お話し…

あなたがすべきことは 速やかに
池田謙二に任意出頭を求め

保護することでした
そうすれば 自殺や逃亡も含め

事件が隠蔽されることは
なかったはずです

しばらくの間
自宅謹慎してください

えっ?
期間に関しては

また追って連絡します

あなたは なぜ昨日

池田先生に
会いにいったんですか?

僕は ただ 殺された美也子さんが

なぜ 池田先生に会おうとしたのか

それが知りたかったんです
ほお~っ

それで今朝も学校まで行って

偶然 遺体を発見したという
わけですか

はい
田舎の警察だと思って

ナメてんのか?
えっ いえ そんな…

うちの野上まで巻き込んで
一体 何をたくらんでんだ!?

署長!

ちょっ…

何だ?

彼のお兄さんと
電話がつながりまして

何? 彼のお兄さん?
ええ ええ

ああ もしもし 広島県警

三次中央署の署長 大友だがね

☎あんたが浅見光彦のお兄さん?

はい そうですが 光彦が何か
ご迷惑をおかけしたでしょうか?

あんたの弟はね 殺人事件の
犯人である疑いもあるんだぞ

うん? 何? 間違いだ?

だったら どうして
身元 隠すんだよ

ちょっと待て 何だ お前
こういうのはね

ピシッと言わないとダメなんだ!
離しなさい 離し…

えっ? ヘヘッ

何を 何をバカなこと言ってんだ

刑事局長っていえばな 国会で
警察を代表して答弁するような

ハハッ 偉いお方なんだぞ フフッ

え~っ 確か今は 浅見陽一郎…

浅見?

浅見!?

いやいや…

もしもし もしや あなた様は

浅見陽一郎 刑事局長で
いらっしゃいますか?

私が浅見陽一郎です

これは…
これは大変失礼いたしました

とんでもございません!

(妙子)はい
(桐山)すまないな

なかなか帰れなくて
貴弘は?

(妙子)大丈夫
変わらず元気にしてるわよ

そうか
あっ

それから これも

悪いな じゃあ 気をつけて

うん

あなたは?

浅見光彦です

あれが 浅見光彦…

えっ もう看板ですか?

浅見さん よかった…

えっ?

持ってきてくれよ なっ
(達子)もう やめたら?

もう一本ぐらい

僕も つきあわせてもらって
いいですか? ヤケ酒に

これはね
ヤケ酒じゃありませんよ

定年が2週間ばかり早まった
お祝いの酒だ~!

何 言ってんのよ さんざん

桐山とかいう警部の悪口
言ってたくせに

悪口は言ってないだろ!
あいつも若い頃は なかなか

熱い男だったって話だよ! もう

えっ 若い頃の桐山警部を
知ってるんですか?

ああ ほんのちょっとだけどね

あの 三次中央署管内の交番で

うん 研修してたことが
あるんですよ

へえ~っ
ビールにします?

ウーロン茶にしてください
お酒 飲めないんで

あら そうは見えないけど
よく そう言われるんです

野上さんも昔は
ほとんど飲めなかったんですよ

えっ?
それが いつ頃からか

この店で
酔っぱらうまで飲むようになって

お母ちゃんが死んでからよね
寂しい 寂しいって

そういう話を 今するんじゃない!
でも お父ちゃん

何で その桐山っていう警部に
報告しなかったの?

捜査はチームワークだって
いつも言ってたじゃない

何でだろうね…

最後に爪痕
残したかったのかもな

それが最後の最後に

謹慎までくらうとはね

文香ちゃんが出戻ってきたときと

同じ顔してる
俺が?

ちょっと待ってよ
私 こんな顔してた?

こんな顔って何だ
似たような顔だろ? お前

似てない 似てない
私 もっと品があるから

だったら もっと早いとこ
片づいちまってくれよ

ちょっと今 それ言う?

ああ 今度は
戻ってこないような相手とな

私が出ていったら
誰も足の爪 切ってくれないよ

もう 爪も伸びません!
はあ~っ!

素直じゃない親子で
ごめんなさいね

ああ 失敬 なあ こういう娘だから

ハハッ 気分悪い…
ごちそうさん

もう いいよ
ああ ああ ああ ああ…

もう ほら
大丈夫だよ

せ~の よっと!

ああ ああ ああ ああ
あっ ありがとな

送ってってあげなさい ほら
いいとこあるな お前

ごちそうさん!
ほら 送ってってあげなさいよ

僕に行かせてください

すいません

やっぱり
こっちは 星が綺麗ですね

でも

野上さんは すごいですね

やっぱり すごい

何がです?

だって 刑事みたいな
大変な仕事をしながら

あんなに いい親子関係
築いてるし

女将さんとも
言いたいこと言い合って

うらやましいくらいです

私を励ましに
来てくれたんですか?

あんたのほうが
ずっとつらいのに

なのに どうして
そう いつも明るいんだ

悲しむことは

十分すぎるほど やりましたから

野上さん もし よろしければ

僕を手伝ってもらえませんか?

手伝うって何を?

僕なりに今回の事件を
もう一度 洗い直してみたいんです

ハッキリさせたいこともあるし

ハッキリさせたいことって?

それについては
また今度 話します

だから 明日一日
僕に つきあってください

警察手帳は持ってませんよ

かまいません
野上さんが いてくだされば

また 仁多へ来て
何をしようというんです?

それは また
おいおい お話しします

今回の事件について
僕なりに考えてみたんですが

聞いてもらえますか?
どうぞ

祐子の本を持っていた
美也子さんは

元々の持ち主の池田先生と

三次の後鳥羽院御陵で
会う約束をしていた

しかし 池田先生は職員会議で
そこへは行っていない

はい でも もし池田先生が

その職員会議を
自分で仕組んだとすれば

先生は その時刻に美也子さんが
殺されるかもしれないことを

知っていたんじゃないでしょうか

池田先生は 時間と場所を指定して
そのあと 誰かに連絡をした

池田先生に
共犯者がいたってことか…

《そろそろ
学校に戻らないといけないんで》

そして その共犯者が

美也子さんの本を
持ち去っていった

しかし なぜ その本を持ち去る
必要があったんでしょうか

分からないのが そこなんです

そして 池田先生が亡くなった

警察は自殺の線で
捜査を進めていますが

そうは思えないんですよね

実は 僕もです

えっ?

もし 池田先生が
殺されたのだとすると

犯人は 先生と
親しい人物じゃないでしょうか

どうして そんなふうに?

首つりを装った殺人というのは

相手が気を許して 背中を
見せるような関係じゃないと

難しいですよね
ええ

同じ殺しの動機を持ち

池田先生と親しい人物といえば

共犯者

その共犯者が美也子さんを…

この花は…
一体 誰が

野上さんの奥さんは
こちらの出身でしたよね?

ええ そうですが

火事になった民宿を
経営なさっていた方は

今 どこで
何をされているか分かりますか?

まさか 12年前の火事が

今回の事件と
関係あるっていうんですか?

(菊江)12年前の火事?

はい お話
聞かせてもらえませんか?

あのことは
もう忘れてしまいたいんで

嫌なことは忘れたいですよね

あっ あの こちらはですね

そのときの火事で
亡くなられた女性の

お兄様なんです

浅見です

早速ですが 火事のあった夜

妹達二人の他に お客さんは
いらっしゃいませんでしたか?

そりゃあ おりましたよ

何人ぐらいの方が
いらっしゃいましたか?

確か… 三人だったと

全部 男の方でした

三人
(菊江)はい

おいくつぐらいの方でしたか?

たぶん 三人とも まだ

二十歳そこそこだったんじゃ
ないでしょうかね

あの その三人の特徴を
何か覚えてませんか?

特徴ですか…

あっ お一人は
甲子園に出たとか 出なかったとか

高校野球ですか

妹たちは その三人と
話したりしたんでしょうか?

はい 何や 歴史の話で
盛り上がってらしたようでした

《私は あの 歴史が好きなんです》
《あっ 私も》

歴史…

それは 後鳥羽伝説のことですか?

そうそう

妹さん達が その

何やら伝説のことを調べて
旅してらしたそうでね

珍しい本があるって
部屋のほうへ行かれて

遅くまで話されてました

大丈夫ですか? 浅見さん

浅見さん

あなたは最初っから
今回の事件が

妹さんの死と関係があると
思ってたんですね?

よし! よしよし いけいけ!
いや~っ

よし じゃあ木藤ちゃん
次 代打だ

(木藤)じゃあ一発 いっときますか
よっしゃ いこう

頑張れ!

(チームメイト)甲子園のスターも
落ちぶれたもんだな

≪酒さえ飲まなきゃ
もっと上にいけたのに

そうだ 昨日
光彦から電話があったよ

じゃあ やっぱり美也子さんの
事件に関わってたんですね

ああ 光彦のやつ 最初から
そのつもりだったんだろう

そのつもりって?

取材に かこつけて 祐子のこと
調べるつもりだったんだよ

あれは火事だったんですよね?

えっ? まあ そうなんだが…

(ノック)

失礼しま~す
旦那様 少し早いですが

夕飯になさいますか?
須美ちゃん それより母さんは?

奥様は今朝
お出かけになりましたよ

やっぱり
祐子お嬢様に会いにいきたいって

えっ 母さんが?

そうか…

この先にあるのが 後鳥羽法皇が

ひと冬を越したといわれている
功徳寺です

祐子も美也子さんも
ここに来たんでしょうね

浅見さん
そろそろ話してくれませんか?

はい?

ハッキリさせたいことって
何なんですか?

野上さん

妹の祐子は
他殺だった可能性があるんです

えっ?

祐子の直接の死因は
火事の煙を吸い込んだことによる

一酸化炭素中毒死でした

でも 死亡する前に
後頭部を強く打撲していて

それは当初 火事によるものだと
思われていました

しかし 解剖の結果

血液中から微量の睡眠導入剤の
成分が検出されたんです

祐子も美也子さんも
そんな薬は持っていなかった

つまり 祐子は誰かに
その薬をもらって飲んだか

もしくは 飲まされたんです

しかも 祐子の腕や肩には

強く つかまれたような痕が
いくつも残っていました

もしかすると 祐子は…

それを知っていながら 兄は

こう言ったんです

《いまさら どうにもならんだろう》

結局 民宿は
ほぼ焼けてしまい

他殺だと証明する
手だては なかった

そして 祐子は
もう帰ってこない…

そう言って 兄は それ以上の
捜査を望まなかったんです

《兄さん!》

《もし これが祐子ではなく》

《赤の他人が被害者だったら》

《同じように
捜査 打ち切りましたか?》

《事実を明らかにしないで
ホントに いいんですか?》

《光彦》

《お母さん…》

《光彦》

《このことは
俺達二人だけの秘密だ》

それ以来 浅見家では

祐子が死んだ原因について

深く語ることは
ありませんでした

お母さん!

お母さん?

あっ さっきの話は

あっ はい

お母さん

あら 光彦
遅かったじゃないの?

何で お母さんが
こんな所にいるんですか?

さあ 何ででしょうねえ

あの花も お母さんが?

ちょうど 13回忌ですものね

祐子達は

こんな遠くまで来たのですね

流されていく後鳥羽法皇の恨みや

無念の思いが
染み込んでるような気がします

(雪江)でも 結局

祐子は隠岐島へは
たどりつけなかった

さぞかし無念だったでしょう

まあ おいしそうだこと

(雪江)いただきます

お母様のお口に
合いますでしょうか?

うん とってもおいしい

よかった!

光彦さんにも
気に入っていただいて

毎日のように
通ってくださるんですよ

あら そうなの?
はい

よかったわね 光彦

こんな気さくでかわいらしい
お嬢さんに よくしていただいて

まあ お母様ったら

明るくて よく気がつくって
お客さんに評判いいんですよ

そうなんですか?

いえ 光彦にね

こんないいお嬢さんが
お嫁に来てくれたらって

いつも思ってるんですよ ねえ
ヤダ そんな…

お世辞に決まってるだろ

あの… 光彦が
ご迷惑かけてませんでしょうか?

いえ ご迷惑をおかけしてるのは
こっちのほうで

そんな
いいお嬢さんじゃありませんか

いえいえ 私なんか この子に
何にもしてやれませんでね

どうやったら
お宅の息子さんのように育つのか

お聞きしたいぐらいです

私なんて 何もしていないんですよ

またまた ご謙遜を

毎日 健康で
生きてさえいてくれれば

それで
いいんじゃないでしょうかね

辛い…

人もをし 人も恨めし あぢきなく

世を思ふ故に もの思ふ身は

それは 確か…

ええ 百人一首 第九十九番
後鳥羽院の歌よ

人もをし 人も恨めしって…

どういう意味なんです?

人をいとおしくも思い
人を恨めしくも思う

あの後鳥羽法皇でさえ
世の中がうまくいかないことを

思い悩んでいたのよね

でも 生きてゆくって
そういうことじゃないのかしらね

お母さん…

さてっと…

これで東京に帰れるわ

もう少し
ゆっくりしていったらどうです?

いいのよ あなた
色々とやることがあるんでしょ

仕事以外に
えっ?

祐子

ホントは火事に遭っただけじゃ
ないんでしょ

分かるわよ

もう何年 あなた達の母親を
やってると思うの

じゃあ ずっと
知らないふりをしてたんですか?

私のためを思って
隠してくれていたんでしょ

だったら
そんなこと言い出せないじゃない

お母さん…

光彦

あなたは それで大丈夫なの?

僕は 本当のことが知りたいんです

その覚悟はあるの?

はい

そう

それなら もう何も言わないわ

ありがとうございます

何 母さんが知ってた!?

そうだったか

ああ それで母さんは
変わりないか?

明日には東京に帰るそうですから
ご心配なく

よかった

あっ…
それから 兄さんに一つだけ

お願いがあるんですけど

分かった

じゃあ 気をつけてな

えっ じゃあ
謹慎が解けたのか?

そうか しかし信じられん…

何でも県警のほうへ
警察庁のお偉いさんから

直々に指示があったそうですよ

そうか それで 池田謙二の
身上調査のほうはどうだった?

ああ ちょっと待ってくれ
おい 何か書くもの

ああ そっち…

あっ すいません

はい

ああ

尾道 ああ そうか

じゃあ その木藤という男のことも
調べてくれ

頼んだぞ

浅見さん あなたにまた一つ
借りをつくったようですね

えっ 何のことです?

ありがとう 恩に着ます

いや…
それより 何か分かったんですか?

はい 池田の携帯を解析した結果

履歴が削除されてる箇所が
ありましてね

携帯会社に問い合わせたら
池田が亡くなった前日と当日に

木藤孝一という男に
電話をしていたそうです

その人は今 どちらに?

尾道で小さな居酒屋を
経営してるそうです

尾道か…
浅見さん ご一緒に

はい

木藤孝一さんですね

三次中央署の野上です

亡くなった池田謙二さんのことで
お話を聞かせてもらえませんか

そんなやつ知らねえな

知らないわけがないでしょう
池田さんが亡くなった日

池田さんは あなたの携帯に
電話をしています

間違い電話じゃないんですか

その前日にも
電話をしてるんですがね

だから何なんです
池田は自殺じゃなかったんですか

実はあの… 池田さんは
殺された可能性もありましてね

俺が殺したっていうんですか?

冗談じゃない

《甲子園に出たとか
出なかったとか》

では 少し昔のことを伺います

12年前のちょうど今頃

あなたは仲間と三人で
奥出雲に旅行をしていましたね

そんな昔のことは忘れましたよ

池田さんも
一緒だったと思いますがね

そんなこともあったかな

あなたと池田さんと
もう一人は誰でした?

忘れましたよ
三人だったかどうかも

覚えてませんよ

あなたと池田さんは
どういうご関係なんですか?

帰ってもらっていいですか
店開ける準備があるんで

こんなの営業妨害だ

お邪魔しました

明らかに取り乱していましたね

三人組のうち 二人は
恐らく池田と木藤でしょう

もう一人は 誰なんでしょうね
もう一人ね…

(携帯着信)

はい 野上

それで? そうか

ああ 分かった よくやった
すぐに戻る

池田と木藤の接点が
分かりましたよ

二人とも 尾道にある
聖愛悠園という

児童養護施設の出身でした

児童養護施設?

私が園長の阿南ですが

池田君が亡くなったことは
ニュースで知りました

池田さんのことは
覚えてらっしゃるんですね

はい 人見知りが激しくて

いつも本ばっかり読んでて

私も まだ若かったんで
そんなことじゃダメでしょ なんて

つい叱ったりしちゃって

ここに来る子は みんな

それぞれ複雑な事情を
抱えてるんです

親の顔さえ知らない子も
たくさんいますし

つらいことですよね

親がいないっていうのは

ご存じないですよね

ここを出てからのほうが
もっとつらいんですよ

差別されたり いじめられたり

運よく里親が見つかって
養子縁組できたとしても

結局 親とうまくいかなくなったり

社会に出てからも
普通の何倍も何十倍も

大変な思いをして
生きていかなきゃいけないんです

では 木藤孝一という子を
覚えてらっしゃいませんか?

木藤孝一?

ああ…

池田君 木藤君に
よくいじめられてました

その頃のアルバムがあったら
見せてもらえませんか?

ああ はい それはありますけど
ちょっと待ってください

(阿南)えっと…

あっ ありました これです

右側が池田君で
真ん中が木藤君です

この左側の子は?

吉沢君です
吉沢?

吉沢道夫君

今じゃ すっかり偉くなっちゃって

うちに寄付まで
してくれるんですよ

うわー!

木藤孝一なら

ここへは来ませんよ

現在 三次中央署で
任意の取り調べを続けています

すべてを自供してくれるのも
時間の問題でしょう

桐山警部
いえ 婿養子に入る前の名前は

吉沢道夫さん でしたよね?

正法寺美也子さんを殺害したのは
あなたですね

(ため息をつく)

なぜ私だと分かったんです?

今回の事件の発端は

被害者の美也子さんが
尾道の古本屋で

「芸備地方風土記の研究」という
1冊の本を

見つけたことから始まっています

美也子さんは
12年前の民宿の火事に遭って以来

旅と火事の記憶を
失ってしまいました

警部

あなたは その事実を
知っていたんじゃないんですか?

美也子さんはね

あの本を見れば
記憶を取り戻すかもしれない

そう思って
松江から尾道へと捜し続けて

やっとのことで見つけたんです

そして あの本を見るうちに

おぼろげながら 記憶の断片が

よみがえってきたんじゃ
ないんでしょうか

だから
本を持っていた池田さんに聞けば

きっと詳しいことが
分かるに違いない

そう思って池田さんに連絡をし
会ってくれるように頼んだんです

しかし
指定された場所で待っていると

そこに現れたのは
池田さんではなく

あなただった

あなたは 池田さんから

美也子さんが
記憶が戻りかけていると

聞いていたんでしょう

だから それを確かめようと
したんじゃないですか?

《お待たせしてすみません
池田です》

《僕があなたから借りていた
例の本》

《お持ちですか?》

《(桐山)見せてくれませんか?》

《見たら僕も 当時の記憶を》

《ハッキリと
思い出すかもしれません》

《さあ 早く》

《違う あなたは池田さんじゃない》

《あなたは… あなたは祐子を!》

まったく… あんたって人は

池田さんを殺害するように
木藤に指示したのもあなたですね

なぜそこまで

池田が おじけづいたからです

あんた達に目をつけられ
いずれバレるなら

全部しゃべって楽になりたいって

だから 木藤に言って
やらせたんですよ

大丈夫だ
警察のほうは俺に任せろって

池田にしゃべられたら
すべてが台なしになる

だから仕方がなかった

桐山さん

すべてが台なしになるとは

12年前のことを
言ってるんですよね

12年前 僕の妹の祐子は

美也子さんと一緒に旅に出ました

あの本を持って

後鳥羽伝説を巡って
尾道から松江まで抜けて

後鳥羽法皇が流された隠岐島を
見てくると言って 家を出たんです

そもそも祐子は
歴史なんか興味がなかったんです

そんな祐子に 僕は歴史の面白さを
こう話しました

どんなに偉い人だって

どうにもならない悩みや苦しみを
抱えて生きてるんだって

そんな人の営みが 積み重なって

今につながっているのが
歴史なんじゃないかって

それで祐子達は
後鳥羽伝説のルートを旅しながら

隠岐島に流されていく
後鳥羽法皇の思いを

感じ取ろうとしたんです

《あ~!》

《綺麗》

《(祐子)艮神社だ》

そして3日目に

奥出雲の仁多町にある
民宿に1泊することになり

そこで
三人の若者と知り合ったんです

浅見さん!
その中に歴史好きの若者もいて

当然 祐子達も盛り上がって…

浅見さん もういい!

桐山さん

その若者三人って
あなた達ですよね

あなた達は
妹さん達に睡眠薬まで飲ませて

何をしようとしてたんですか!

あれは ちょっとしたはずみで
起きた事故だったんです

殺意なんて これっぽちもなかった

《あんま飲んだらダメでしょ》
《大丈夫だよ》

《展望台に行きました》
《上った?》

《すごい綺麗だったよね》
《すっごいよかったでしょ》

《私達が好きなのが 後鳥羽上皇
っていう人なんですけど》

《負けてしまって
隠岐島に流されちゃうんです》

《(衝撃音)》

《行くぞ》

《(せきこむ)》

《祐子!》

何てことを…

桐山さん あんたはな

これから立派に
生きていこうとする若者の

命を奪ったんだ

そして その家族を

死ぬほど苦しめた

それに 12年前といったら

あんたはすでに 警察官を
志していたんじゃないんですか

だからですよ

だから あんなことで

新しい人生を壊したくなかった

あんなこと?

あなたには分からないでしょうね

僕が今まで
どれほど苦労してきたか

つらくてみじめな境遇にも
負けずに 戦って戦って

今の地位を手に入れたんですよ

だから あなた達のような

現場の手足になる気は
毛頭なかった

まだまだ上を
目指さなきゃいけないんです

桐山さん

私はね

現場の一刑事で十分に幸せです

あんたもさ

昔はそうじゃなかったのかな

覚えてるか?
あんたが三次の交番にいたとき

迷子になった
観光客の子どもがいただろ

あなたは その子どものために
必死になって

親を捜し回ったことを

《もうすぐ会えるからな》

《大丈夫か? よし》

《いい子だ》

勤務時間が過ぎても交代せず
絶対に見つけてやるんだって

ずっと捜し回ってた

あんときは エリートさんの中にも

あったかい人間はいるもんだって
感心してたんだけどね

痛いほど 分かったんですよね

親を失った子どもの気持ちが

児童養護施設の園長先生から
聞きました

あなたが5歳のときに

施設の前に
捨てられていたんですよね

そのとき 親に持たされていたのは

たった1袋のかりんとうだった

そんなことは もう忘れましたよ

12年前の あのとき

私は過去をすべて捨てたんです

《今日のことは 全部忘れよう》

《うん そうしよう》

《これから俺達は 赤の他人だ
いいな!》

《二度と会わないから》
《よし 急ごう》

あのときから 私は

すべてなかったことにした

あの旅のことも 自分の過去も

全部なかったことにして
新しい人生をつくりあげてきた

そして 思いどおりの人生を
この手につかんだんだ

だから…

だから何があっても

それを捨てることなんて
できなかった

あんたさ!

どこまで勝手なんだ えっ!

なかったことになんて
できませんよ

なかったことにしても

祐子は帰ってきませんから

生きていくことって
なかったことにするんじゃなくて

積み上げていくことじゃ
ないですか?

いいことも 悪いことも
積み上げて

人をいとしく思ったり
恨めしく思ったりしながら

自分の思うようにいかなくても
世の中のせいにしないで

すべてを抱えて

生きていくしかないんです

浅見さん

僕は そうやって

生きていきたい

野上さん

色々 お世話になりました

浅見さん

あんた すごいよ

俺なら あのかりんとう野郎を
ぶっ飛ばしてるけどね

でも
野上さんのほうがすごいですよ

私のどこが?

その靴で たくさんのものを
積み重ねてきたんですよね

地べたを歩き回って

つらい真実にも
ちゃんと向き合って

いっぱいいっぱい
積み重ねてきたんですよね

浅見さん

あんたに 一つだけお願いがある

えっ…

文香 ちょっと来い

うちの娘
もらってくれませんかね?

えっ?
まあ 少々難はありますが

決して悪い女じゃないと
思うんですがね

どうです?
今ならタイムサービス

お父ちゃん もう何言ってんの!
文香

浅見家のお坊ちゃまと
こんな小汚い定年刑事の娘が

釣り合うわけないじゃない
文香 お前 ホントに…

大丈夫 慰めるのは慣れてるから

えっ?

はい これ
浅見家の皆さんでどうぞ

文香さん…

尾道のラーメンでしょ
三次の唐麺焼でしょ

仁多町のお米でしょ それから…

それから 奥出雲でとれた きのこ

後鳥羽伝説 味巡り

文香さん

本当にお世話になりました

お母様によろしくね

はい

では
本当にありがとうございました

お気をつけて
はい

お父ちゃん
うん

生きるって面倒くさいね

文香 お前…

素直じゃないねえ
ハッ…

まったくもう…

これだこれだこれだ! はあ…

ただいま戻りました…

光彦 あなた戻ってきちゃったの?
はい

あの…

お母さんのおかげで

ちゃんと
向き合うことができました

本当のことと

そう

それはよかったわね

(須美子)奥様 お待たせしました

お義母様
この服 地味すぎないですかね?

そうね…

でも いいんじゃない

あの どこかへ出かけるんですか?

隠岐島
えっ?

祐子の無念を みんなで晴らしに
いこうってことになったのよ

島根のほうは
天気がいいそうですよ

兄さんも?
ああ 光彦 帰ってたのか

ホントに
隠岐島まで行くんですか?

警察庁に
休暇届も出しちゃったしな

はあ…
これは何?

うわっ
お前 上がってこい

尾道ラーメン

刑事局に
こんなものが送られてきた

これは…

桐山さんが?

事件のことは
広島県警から報告があった

ご苦労だったな

いえ

祐子…

(雪江)陽一郎がね

どうしても祐子を
連れていってやりたいんですって

兄さん

ほら 二人とも早くしないと

電車の時間に間に合わないわよ

えっ 僕も行くんですか?
当たり前でしょう

あなたが行かなくてどうするの

急いでください