浅見光彦シリーズ26「津和野殺人事件」封印された母娘の絆が招く哀しき連続殺人…山陰の小京都、萩・津和野に光彦の名推理…

出典:EPGの番組情報

[字]ミステリー・セレクション・浅見光彦シリーズ26「津和野殺人事件」

封印された母娘の絆が招く哀しき連続殺人…山陰の小京都、萩・津和野に光彦の名推理が冴える!

詳細情報
出演者
沢村一樹、岡田茉莉子、村田雄浩、加藤夏希、加藤治子、渋江譲二、いしのようこ、村井国夫、金田明夫、洞口依子、大高洋夫、深水三章、山本龍二、河西健司、山本郁子、白石マミ、石田太郎ほか
番組内容
今回の舞台は「山陰の小京都」と言われる島根県津和野。その津和野の旧家・朱鷺家の一人が殺害され、偶然その第1発見者が光彦(沢村)の母・雪江(加藤)だったことから、この事件と関わることになる光彦。旅の途中で出会った久美が何度も夢で見ていた「赤いトンネル」とは?そして家督問題で揺れる朱鷺家当主・紀江(岡田)の視線が意味することとは…。親子愛と旧家の家督問題が絡み合い事態は哀しい連続殺人へと向かっていく。
原作・脚本
【原作】内田康夫「津和野殺人事件」(徳間文庫刊)
【脚本】石原武龍、小澤俊介
監督・演出
【演出】村上牧人
制作
2008年

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

テキストマイニング結果

ワードクラウド

キーワード出現数ベスト20

  1. 朱鷺家
  2. 友義
  3. 津和野
  4. 慶四郎
  5. 浅見
  6. お母さん
  7. 宮本
  8. 依子
  9. 寛一
  10. 啓子
  11. 朱鷺勝蔵
  12. 当主
  13. お墓
  14. 光彦
  15. 勝蔵
  16. ロザリオ
  17. 紀江
  18. 実加代
  19. 事件
  20. 神津洋二

解析用ソース(見逃した方はネタバレ注意)

   ごあんない

解析用ソースを読めば、番組内容の簡易チェックくらいはできるかもしれませんが…、やはり番組の面白さは映像や音声がなければ味わえません。ためしに、人気のVOD(ビデオオンデマンド)サービスで、見逃し番組を探してみてはいかがでしょうか?

全て無料!民放各局の動画視聴ができるTVer(ティーバー)!まずはココから → 民放公式テレビポータル「TVer(ティーバー)」

他にも、無料お試し期間のあるVODサービスが増えてますので、以下バナーから各社のラインナップを調べてみるのもいいかもしれませんね。





ABEMA



TBS
created by Rinker
¥2,750 (2021/10/23 21:16:43時点 Amazon調べ-詳細)

≪(啓子)大奥様 お入りになります

ご一同 本日は次期
朱鷺家十八代当主について

大奥様のお考えを皆様に
お披露目させていただきます

本来ならば私
十七代当主 慶四郎の子が

十八代当主におさまるべきところ

私には子ができぬまま
妻は亡くなりました

大奥様は朱鷺家の存続を
懸念なされております

(勝蔵)失礼ながら大奥様

私のせがれは父親に似ず
優秀なヤツでして

東大を卒業後は
文部科学省に入省し…

(寛一)分をわきまえぬか お前の
せがれがどれほど優秀であろうと

岡の朱鷺家のせがれは
本家の当主になれる血筋ではない

しかし寛一さん 今は
そのようなこと言ってる場合では

お前が騒がんでも
我が下の朱鷺家は

本家の末子が津和野藩主の血筋と
縁組して生まれた本家に次ぐ名家

そやけど 寛一さんは事業を
失敗して借金があるのと違うか?

しかも返済も
滞ってるそうですが

それとこれとは…
(慶四郎)一同ご静粛に願います

大奥様は御身に
万が一のことがあったとき

このように分家の皆様が
本家の当主を巡って

醜い争いになることを
危ぐしていらっしゃいます

そこで…

慶四郎を継ぐ第十八代
朱鷺家当主には

本家筋の血縁から
選ぶことに決めた

本家筋?

しかし大奥様のお子達は
すでにお亡くなりになり…

しかも いずれも
お子をなしておらん

長男 友義には娘がいた

友義さんの!?

≪(紀江)その娘が いずれかに嫁ぎ
子をなしていたとすれば

その子こそ
朱鷺家の当主にふさわしい

しかし大奥様 その子が今
どこにいるか ご存じですか?

勝蔵さん その方を
すぐに捜し出して

この津和野に
連れてきていただきたいのです

かしこまりました

〈(光彦)朱鷺一族 かつて
天領の笹ヶ谷銅山を支配し〉

〈近隣の大名の干渉を
受けることなく〉

〈自由な交易や金融業を営み〉

〈日本で三指に入る長者であった〉

〈そして今もなお
その勢力を堅持し〉

〈山陰の雄として知られている〉

〈その朱鷺家を守るべく
女帝 朱鷺紀江が発した一言は〉

〈朱鷺一族のみならず
人々をしんかんさせ〉

〈そして それは〉

〈恐るべき連続殺人事件の
引き金となるのだった〉

(光彦)おはようございます
(須美子)おはようございます

(陽一郎)ああ 光彦
いいタイミングだ

何ですか 兄さん?

母さんが これから巣鴨の高岩寺に
お焚き上げに行くそうだから

車で送ってもらえるか
巣鴨?

ああ とげぬき地蔵ですか
分かりました

(和子)光彦さん 今までお仕事
していたんじゃないですか

ええ でも原稿あがったので
大丈夫です

じゃあ徹夜か そりゃまずいな

(雪江)そうね 居眠り運転でも
されたら 陽一郎さんに

大変迷惑かけますものね
そうですね

僕のせいで兄さんが
警察庁刑事局長のイスを

追いやられることになったら
僕も立場がありませんしね

何だお前は 自分の心配が先か

すいません そういう意味じゃ

とにかく今日はいい

(和子)お義母さん今日は
タクシーと電車で大丈夫ですか?

うん いいお天気だし
ねえ 須美ちゃん

はい 絶好の散歩日和ですから

いいな 行きたかったな

お母さん あれ何でしたっけ?
煙を頭にかけると頭がよくなる…

巣鴨は体の悪いところを
洗えば治るっていう

洗い観音で知られてるのよ
それです それ

ものを書くって仕事をしてる人が
そんなことでいいんですかね?

すいません 勉強しなおします

でもお母さん その洗い観音で
あちこち洗ってきてくださいね

お母さんには いつまでも
健康でいてもらわないと

はい ありがとう

本当に いいお天気で
よかったですね

そうね
お焚き上げが終わったら

お地蔵さんの人形焼きと
塩大福 買って帰りませんか?

いいわね 光彦が一番喜びそうね

えッ?

須美ちゃん あれ
人の足じゃないかしら?

人の足?

やだ!?

お母さん!

遺体を発見したって本当ですか!?
ええ そうなの

それが聞いてくださいよ 坊ちゃま

あの刑事さん 私達を
怪しい人みたいに扱うんですよ

怪しい人!?

(宮本)刑事課の宮本です
あんた この人の息子さん?

ええ そうです
名前は?

浅見光彦といいます
浅見さん…

何か?
あなたの お母さん

息子に電話させろって言う以外
名前も住所も

何もしゃべらんのですよ
なるほど

まあ母にもいろいろ 人には
言えない事情があるのでは…

事情というと どんな?
ですから

人には言えない事情です
知ってると思いますが

事件が起きたら第一発見者を
疑うのは捜査の基本ですから

それって母を疑って
いるということですか?

犯人とは言いませんが
事件の関係者という可能性もある

今 ガイシャの写真を
見てもらってます

被害者の身元は
分かってるんでしょうか?

≪(宮本)う~ん 名前は
朱鷺勝蔵さん

トキ?
トキ?

変わった お名前ですね
あの鳥と同じ?

(宮本)そう 朱色の朱に鷺

住所は島根県の津和野町

島根県津和野町?

≪(雪江)光彦 ちょっと
はい

何か?
この写真 違うの

違う?
何が違うんですか?

手の位置が
手の位置?

右手 こんな感じですか?

もっと上です
もっと?

じゃあ これぐらい?
はい そんな感じでした

しかし これじゃ
被害者の朱鷺勝蔵は

手を上げたまま
死んでいたことになる

須美ちゃん その朱鷺さんの
遺体を発見して

それからどうしたの?

大奥様と一緒に
管理室へ知らせに行きました

そのあとは?
怖かったので

警察の人が来るまで
ずっと管理室にいました

ということは お母さんと
須美ちゃんが この現場を離れて

警察が来るまでの その間に

誰かが遺体を
動かしたのかもしれませんね

右手だけをですか?
ええ

あれ?
どうしました?

引きずったような
跡がありますね

あッ ホントだ

あれ? この石蓋かな

ちょっと
動かしてみてもいいですか?

ああ どうぞ

宮本さん さっきのポーズ
もう一度やってみてもらえます?

ええ

あッ
石蓋に右手がのっていたんですね

しかし何で石蓋が
開いていたんだろう?

我々が来たときには
ちゃんと閉まってたんだ

朱鷺勝蔵さんの
死因は何だったんでしょう?

頭部を鈍器で殴られたことによる
脳挫傷です

凶器は見つかってるんですか?
いえ まだ

ちょっと すいません

≪(宮本)えッ これがですか!?
まさか

あッ 宮本さん ほら
ありましたよ血痕

≪(宮本)あッ ホントだ

でも朱鷺勝蔵さんを
殺害するために

石蓋を開けたとは思えませんよね
そうですよ こんな重いもの

とすると犯人か被害者の
朱鷺勝蔵さんが

先に この石蓋を開けて
いたのかもしれませんね

これをですか? 中は骨壷ですよ

この中に副葬品が入っていた
可能性はありませんか?

副葬品?
はい

今どき副葬品荒らしだなんて…
そうなんですよ

つまり犯人は無作為にお墓を
狙っていたのではなくて

このお墓の副葬品を狙っていた
可能性が高いと思うんです

この墓を?
はい

神津家累代乃墓

このお墓の縁者の方に
事情聴取はしたんでしょうか?

いえ まだ すぐに調べて
聞きに行きます

じゃあ僕も一緒に行きます
はあ?

だって母が怪しい人物だと
思われてるわけですから

息子としては母の疑いを
晴らすのは当然です ねッ

はい
は はあ…

ここですね

神津企画さん

神津さん?

留守ですか

≪(神津)ああ いいよそれで

分かったよ じゃあな

何? うちに用

神津洋二さんですか?
あんた誰?

巣鴨北署の者ですが巣鴨霊園の
神津家のお墓の名義人ですよね?

そうだけど… 何で
警察が墓のことなんか?

実は今日 神津さんのお墓の前で
殺人事件が起こったんです

殺人事件!?

被害者は津和野の朱鷺勝蔵さんと
おっしゃる方なんですが

津和野の?

ご存じですか?
いや 知らないけど

だけど何で その男が
うちの墓の前で?

今それを捜査中なんですが
神津さんのお墓の中には

何か副葬品のようなものは
入ってませんでしたか?

副葬品?
お骨と一緒にお墓に入れる

例えばメガネだったりとか
あるいは生前

故人が愛用していた
ものだったりとか

何で?
≪(宮本)犯人は どうやら

お宅のお墓の副葬品が
目当てだったようなんです

うちの? ふ~ん

何か入ってませんでしたか?

知らないな もういいかな?
急いでるんだけど

また何か伺うことがあるかも
しれませんので そのときは

ご協力お願いします
ああ

神津さん あの様子だと
何か知ってますね

えッ?
よく調べた方がいいでしょうね

何か分かりましたら すぐに
こちらへ連絡ください

必ずですよ
はあ

≪(須美子)坊ちゃま お客様です
は~い

あれ 宮本さん!
おはようございます

すごいお宅ですね

何か分かったんですか?

それが あの神津洋二ですが…

≪(宮本)津和野の池で遺体で
発見されたそうなんです

何ですって!?
やはり浅見さんの言うとおり

彼は何かを知っていた 事件の
関係者だったのかもしれません

遺体というと事故?
あるいは他殺だったりとか…

司法解剖の結果 シアン化カリウム

いわゆる青酸カリによる
急性中毒死だったようです

毒殺ですか!?

とすると やっぱり朱鷺勝蔵さんの
事件と無関係とは思えませんね

いらっしゃいませ
光彦の兄の陽一郎です

どうも お邪魔してます

私 巣鴨北…
あッ 宮本さん

あの 宮本さんです
(陽一郎)巣鴨?

いや どうぞ
いってらっしゃいませ

ああ 宮本さん どうぞ

お兄さん どこかでお会いした
ような気がするんですが?

それは気のせいじゃ
ないでしょうか

そうですか?

いらっしゃいませ

先日は ご協力
ありがとうございました

いいえ 今日は何か?

僕に ちょっと
聞きたいことがあったそうで

あッ
えッ?

お兄さん 陽一郎さんと
おっしゃいましたよね?

ええ
ということは… 浅見さん

お兄さんは浅見陽一郎さん
そういうことになりますね

えッ 浅見陽一郎! あの!?
≪(雪江)光彦

はい
私 明日から萩へ行きますからね

萩?
萩焼のお湯のみが ほしくなったの

あなた お仕事が一段落してるなら
付き添いで来てくださる?

萩ですか いいですね

ええ すぐお隣は津和野ですしね

津和野!?

どう光彦 忙しいの?

いえ 萩 津和野 ぜひ
お供させてください

蒸気機関車っていいわね

ええ 旅情気分満喫で
最高ですね

懐かしいわ
これで冷凍ミカンがあったら

完全に昭和の旅ですよね
そうね

長旅のときは不思議と
冷凍ミカンがあったわね

えッ?

お母さん 冷凍ミカンですよ
あら!?

(実加代)すみません
ごめんなさい 落しちゃって

(久美)申し訳ありません
いえ

でも いいですね冷凍ミカンだなんて

母がSLに乗るなら どうしても
冷凍ミカンだって言うので

だって昔の人は
みんな そうだったのよ

そうですよね 今もこちらで
その話をしてたんですよ

そうなんですか
じゃあ これどうぞ

はい

どうもありがとうございます
ありがとうございます

〈山口県萩市は明治維新の
志士達の足跡が多く残り〉

〈江戸時代の町割が
今も各所に残る〉

〈温泉や新鮮な魚介類もあり
とても豊な町である〉

何だか この町は昔にタイムスリップした
ような気分にさせてくれますね

そうね 古い文化を
そのまま残しておこうっていう

気持が感じられて素敵な町ね
ええ

あれ?

こんにちは!

こんにちは

(車夫)こちらが桂小五郎さんの
生まれた家ですね

名前が桂から木戸に変わって
いきますけど

二十歳まで住んでた家ですね

二人 楽しそうですね
ええ おかげさまで

母がようやく笑顔を見せて
くれたのでホッとしています

何かあったんですか?

三年前に父が亡くなってから
母はふさぎ込むことが多くなって

それで どこか旅行へでも
行こうよって誘ったんです

そうだったんですか
そしたら母が

津和野 行ってみたいって言うんで
それなら萩・津和野ツアーにしようと

それは いい選択しましたね
ここ気分が落ち着きますもんね

あッ そうだ まだ
お名前聞いてませんでしたね

浅見です 浅見光彦です
母は雪江っていいます

樋口実加代です 母は久美です
どうぞよろしく

こちらこそ

何か?

(宣子)い いいえ

浅見さん 人力車
行っちゃいますよ

ああ ホントだ

「親思う 心に勝る親心
今日の音ずれ何ときくらん」

吉田松陰が処刑される直前に
よんだ辞世の歌ですか

分かりますか 光彦?

自分がどんなに親を思っても

親は それ以上に
子供を思うっていう歌ですよ

はい そりゃもう お母さんの
愛情は いつも感じています

ありがとうございます

素直な いい息子さんですね

素直?

お母さん
そんなに笑わなくても ねえ

何か?
失礼しました

松蔭先生の歌碑の前で ご家族が
楽しそうにされてるのを拝見して

松蔭先生を尊敬する私としては
とても楽しくなりましてね

(雪江)松蔭先生と
お呼びになられるんですか?

ええ 私は津和野なんですが
萩の方は皆さん

愛着を込めて松蔭先生と
呼んでらっしゃいます

津和野の方なんですか?
(慶四郎)ええ

この萩焼の高台に切れ目が
あるのは なぜかご存じですか?

あッ 本当だ どうしてですか?

いい萩焼は殿様に献上しなければ
ならないので 切れ目を入れて

これは不良品だから殿様には
献上できないという

庶民の知恵なんです
へえ そうだったんですか

勉強になりました
ありがとうございます

皆様 どちらから?
東京からです

私達も東京です
それは遠路はるばる

申し遅れましたが
浅見と申します

息子の光彦です

朱鷺慶四郎と申します
朱鷺?

津和野の朱鷺家の方で
いらっしゃいますか?

朱鷺家をご存じですか?
もちろんです

朱鷺家といえば かつては
津和野から京都まで

他人の土地を踏まずに
行けるほどの豪商でしたものね

すご~い

でも それは昔の話です

実は私が本家の当主を務めさせて
いただいてるんですが

今は分家に土地が分散されて
それほどでは…

あら あなたが朱鷺家の
ご当主なんですか!?

ええ
(雪江)それはそれは

今でも そういう分家とか
本家ってあるんですか?

何か時代劇みたいですね
実加代!

いいんです 今どき 家父長制度に
こだわる方が珍しいですからね

あッ すいません 親子水入らずの
ところ長居してしまって

では 私は失礼いたします

慶四郎さん
ちょっと よろしいですか?

何か?
ちょっと

朱鷺勝蔵
ええ ご存じですか?

もちろんです 朱鷺家は本家と
八つの分家があるんですが

勝蔵さんは岡の分家の
当主でした

当主なんですか?

その勝蔵さんが
お亡くなりになったことは…

もちろん知ってますが
どうして浅見さんがそれを?

実は東京で勝蔵さんの遺体を
発見したのは僕の母なんです

あの お母様が!?
はい

そうだったんですか
それはまた妙な縁ですね

それと神津洋二さんという方は
ご存じじゃないでしょうか?

こうづようじさん?
存じあげませんが その方が何か

勝蔵さんは その神津さんの
先祖代々のお墓の前で

亡くなっていたんです
そうですか…

(啓子)慶四郎さんは こんな
ところにおりてきてはダメですよ

ここへ来たときぐらい
普通の男にしてくれよ

ダメです どんなとこにいても

慶四郎さんは朱鷺家十七代の
当主なんですから

今 神津洋二のことを聞かれたよ
えッ?

≪(慶四郎)東京から来た青年に

うわあ 瀬つき鯵ですよ
おいしそうですね

いただきましょう
光彦

食べることとなると
とたんに元気が出るんですよ

私 そういう人好きです
あら

いえ そういう意味じゃなくて…

とにかく いただきましょう
いただきます

うん おいしい おいしいですね
ホント おいしい

浅見さん 明日は?

私は帰りますけど 光彦
あなた津和野へ行くんでしょ?

はい
明日は私達も津和野なんです ね~

ねえ 実加代 明日
津和野に行くのよしましょうか

どうして? お母さんが津和野に
行きたいって言ったんでしょ

そうよね ごめんね

〈山あいの城下町〉

〈山陰の小京都といわれる
この町には〉

〈武家屋敷や白壁が立ち並ぶ
風情のある町並みが残されている〉

うわあ すごい
鯉がたくさんいる

さあ上りますか
えッ

行きますよ

お母さんも行こう

すごいですね
どこまで続いてるんだろう

お母さん ゆっくりでいいからね

どうしたの お母さん?

赤いトンネル

赤いトンネル?

お母さん!

ここよ ここに間違いない

私 ここで…
お母さん!

子供の頃から何度も
夢に出てきて

それがなぜか怖くて
うなされてたの あの赤いトンネル

でもお母さん 津和野には
一度も行ったことないって

だから一度行ってみたいって…

これ…

この太鼓谷稲成ですね

美容院で この写真を見たとき

これだ この赤いトンネルだって
思ったんです

そしたら とたんに
胸が苦しくなって

それで津和野に
行ってみたいって言ったの?

でも おじいちゃん

お母さんは津和野に行ったこと
ないって言ってたよね?

そうね だから不思議で

これが一体何の記憶なのか
確かめたくて

どうして こんなに怖いのか
知りたくて…

(歌声が聞こえる)

お母さん
どうしたんですか?

(太鼓の音が聞こえる)

聞こえる この音

(お囃子)

すいません ごめんなさい
すいません

実加代さん

慶四郎さん?

≪(遠山)ちょっと どいて

ちょっと ちょっとごめんなさい

遅刻だよ まずいよ

奥様 今日は遅くなりまして
申し訳ございませんです

あの人は?

すいません あの中央に座って
らっしゃる女性はどなたですか?

今は亡き朱鷺家十五代当主の妻
朱鷺紀江さんです

宮本さん!

私も ひと足早く
津和野に乗り込みました

そうだったんですか

(足音)

何か?

頼みがある

朱鷺勝蔵さんと神津洋二さんの
関係 何か分かりましたか?

それがですね 朱鷺家の話となると

こっちが刑事だって分かったら
誰もしゃべってくれんのですよ

町中が朱鷺家には
お世話になってるんでしょうね

ええ やっかいな事件です

あッ そこです その枯れ枝辺りに
神津洋二は浮いていたようです

司法解剖の結果とか現場写真とか

津和野南署の方へ行って
見てみますか

えッ 僕が見ていいんですか?
またまた ご謙そんを

どういうことでしょう?
隠したってダメですよ

これでも私 刑事ですから
もう全部 知ってますから

知ってる?
お兄様のこととかですね

兄さん!?
それから

浅見さんが名探偵だという噂も
バッチリ調べがついてますから

よろしくお願いします
さあ行きましょう

はい…

神津洋二の死亡推定時刻は
4日前の19時から22時の間です

サイフなど金品は奪われておらず
外傷もありませんでした

人と争ったような跡は?
それも なかったようなんです

いやあ いつもながら
大奥様の前に出ると緊張するね

さすが朱鷺家の女帝だけあって
オーラがすごい オーラがね

これは 宮本さん ご苦労さん

あなたも東京から?
ええ

巣鴨北署も大盤振る舞いですな
刑事さんを二人もよこすなんて

一刻も早い事件の
解決 お願いしますよ

僕は刑事ではないんです
はいッ?

あなた今「はい」って言ったでしょ
あれ どういう?

東京から来たのかとおっしゃった
ので「はい」と答えただけで

じゃあ どちらさん?
朱鷺勝蔵さんの遺体の

第一発見者の…
第一発見者!? あなた

の 息子さんなんです
息子がどうして?

現場で凶器を発見してくれたり

今度の神津洋二さんのことで
いろいろアドバイスをしてくれたり…

アドバイス? そりゃ
聞き捨てならないな

あなた素人だから知らないと
思うけど事件関係者っていうのは

意外に事件にかかわりたがってね
結局墓穴を掘るもんなんだよ

署長 実はこの方は…
第一発見者の息子でしょ

それが怪しいって言ってるんだよ
大体 君みたいな さわやかな

好青年は今どき
一番危ないんだよ

仕事 何やってる 君は
ちゃんと働いてるか?

署長!

やっぱり容疑者なのか 余計なこと
言わない方がよかったか?

いえ そうじゃなくて あの方は

警察庁刑事局長の弟さんなんです
またまた

いや 自分実際
そのお兄さんにお会いしてます

そうなの?

本物?
本物です

(遠山)ホントに
しかもですね

数々の難事件を解決した
名探偵でも有名な方でして

名探偵…

いや さすがは浅見刑事局長の
弟君だけあって さわやかな

そして聡明な
好青年でいらっしゃる

東京にお戻りの節は お兄様に
よろしくお伝えくださいませ

私 津和野南署 署長の

遠山と申しますでございます

署長さん 朱鷺家のことを
伺いたいんですが

朱鷺家でございますか?

朱鷺家といえば津和野
津和野といえば朱鷺家

歴史をさかのぼりますれば
朱鷺家あっての津和野

津和野あっての朱鷺家であります
朱鷺家が…

あの署長さん
朱鷺勝蔵さんが亡くなって

朱鷺家に何か
動きはないんでしょうか?

もちろん 家督争い ぼっ発です

家督争い?
ええ

朱鷺家は本家と
八つの分家に分かれておりまして

本家当主の慶四郎さんの他は

下の朱鷺家の寛一さん

岡の朱鷺家の勝蔵さん

それから上の朱鷺家の
喜一郎さんと

その三つの分家が力を持っていて
十八代目の座を争っていますが

勝蔵さんが亡くなったことで
下の分家の寛一さんが

何やら怪しい動きをしている
らしいとの噂も流れておりまして

寛一さん
でも実はね 勝蔵さんが亡くなる前

朱鷺家に事件があったんですよ

事件というと?
実際に朱鷺家をまとめていて

女帝と呼ばれてる紀江さんが
一族を集めて宣言したんです

《慶四郎を継ぐ第十八代
朱鷺家当主には》

《本家筋の血縁から
選ぶことに決めた》

本家筋の血縁? 慶四郎さんの
お子さんということですか

いいえ 慶四郎さんは紀江さんの
娘婿ですから血縁ではないんです

娘婿ですか
その妻である紀江さんの

長女が亡くなってしまって
慶四郎さんが これから

再婚して子供ができても朱鷺家
には他人のようなもんですからね

その子に十八代は継がせない
ということなんでしょうな

なるほど あるんですね
まだ そんな話が

紀江さんには友義さんという
ご長男がいらしたんです

その友義さんの血縁に
継がせるということですね

長男の友義さん?
だから一族大騒ぎだったんです

まさに朱鷺家十七代 四百年の
歴史始まって以来の騒動ですな

その長男の友義さんの お子さんは
どこにいらっしゃるんですか?

いや~ それが
よく分からんのです

でも そのお子さんに家督を
譲ると発表したんですよね?

そう とにかく捜してこいと
どっかにいるんじゃないかと

どうして いるかどうかも
分からないんですか?

さあ それはもう…

私も よく知らないんです

ご覧ください あれが朱鷺家の
格式高く由緒正しい正門です

すごいですね これだけの
正門の次期当主となれば

誰の心にも魔が差すと
いうことはあるでしょうね

えッ?

朱鷺勝蔵さんと神津洋二さんの
二つの事件は

この朱鷺家の家督争いが原因と
いうことも考えられるわけですね

待った 待った 浅見先生
そんな めっそうもないこと

朱鷺家に限って そんなこと…

(ノック)

お母さん どうですか?

今 眠っています
そうですか

浅見さん ちょっといいですか?

はい

朱鷺紀江さんでしたっけ
朱鷺家で一番偉い人

ええ そうです
鷺舞のとき

私達のこと すごい
怖い目で見てましたよね

あれ 何だったんですかね?
そうですね

誰かと勘違いしてたのかな?

そういえばシスターも
私のこと見てましたよね

ちょっと こっち行きましょうか
えッ!?

僕達に何か ご用ですか?

どなたかの指示ですか?

慶四郎さん!?

私が命じました

どうしてこんなことを?

ご無礼しました
事情を ご説明いたしますので

当家まで お越し願えますか?

朱鷺家に!?

どうぞ

どうぞ お座りくださいませ

失礼します

ようこそ おいでくださいました

私 十五代目当主の妻
朱鷺紀江でございます

浅見光彦と申します

樋口実加代です

樋口実加代さん
はい

お住まいは どちらに?

東京の世田谷です
ご家族は?

祖父と母の三人です

お母様の お名前は?

久美です

ご尊父様の お名前は?

あの

どうして そのような身元調べの
ような質問されるんでしょうか?

鷺舞で ずっとこちらの方を
見てらっしゃいましたが

もしかして私か母のことを
ご存じなんですか?

母は津和野に来たこともないのに

太鼓谷稲成の
赤い鳥居のトンネルへ行ったとき

昔 ここに来たことがあると
言ってるんです

お母様が
そう おっしゃったんですか?

はい

質問に
答えていただけないでしょうか

あなたのお母様が勝蔵の遺体を
発見してくださったそうですね

ありがとうございます

いえ

では そのことなんですが

朱鷺勝蔵さんは あるお墓に
もたれかかるようにして

亡くなっていたんですが
そのお墓の持ち主で

神津洋二さんという方が つい先日

津和野の貯水池で
殺害されたんです

その神津洋二さんという方
ご存じではありませんか?

いいえ 存じあげません

でも神津さんは僕らから
朱鷺勝蔵さんの話を聞くと

すぐに この津和野へやって来て
殺害されたんです

とすると
この津和野に何かがあると

察したんだと思うんですが

慶四郎 宿までお送りなさい
はい

啓子 実加代さんのお母様に
果物でも お届けして

かしこまりました

どうして 母のことを?
鷺舞は いかがでしたか?

昔は
もっと立派だったんですけどね

どうぞ 津和野をゆっくり
お楽しみくださいね

慶四郎さん
何でしょうか?

勝蔵さんが何で殺害されたのか
ご存じなんですか?

あなたが知る必要のないことです

ということは つまり
ご存じだということですよね

これ以上探ると

第三の犠牲者が
出ることになりますよ

ただいま お母さん どう?

お母さん?

お母さん…?

実加代さん
赤いトンネルかもしれませんよ

お母さん!

聞こえるの
何が?

ここで誰かが
私を抱きしめて言ったの

《(女)ごめんなさいね…》

ごめんなさいね…?

誰が?

分からない 誰か分からない

でも その人が私をどこかへ…

お母さん

ごめん 分からない

無理しなくていいよ

ゆっくり思い出せばいいよ ねッ

浅見さん!

どうかしましたか?
いえ 何か分かりましたか?

浅見さんに言われたこと
調べてきました

朱鷺紀江の長男の友義という人は
非常に優秀で人柄も良く

東大を主席で卒業 紀江さん
自慢の息子だったようです

ところが これ見てください

十五代目に嫁入りした紀江さんは
長男の友義をはじめ 男 男 女

と三人の子供をもうけたのですが
十六代目には長男の友義ではなく

なぜか次男の友徳がなったんです

その友徳が若くして亡くなり
長女が慶四郎さんと結婚して

十七代目の当主になったんです

これ 長男の友義さんって
廃嫡になってたんですね

廃嫡…?

家と縁を切ったということですね
勘当ということですか?

何かが あったんでしょうね

署長さんに聞いてみましょうか
えッ?

あの人何かを知ってるのに
隠してるようでしたから

いえ それだけは ご勘弁を…
浅見先生

どうしてですか?
どうしてと言われましても あの…

友義さんのことは朱鷺家四百年
最大のタブーとされておりますんで

タブー? それは興味深いですね

どんなタブーなんですか?
あッ いや ですからそれは…

友義さんが
廃嫡されたことですか?

いや… いや あの私 知りません
全然 私知りません!

署長!

署長 署長
これは殺人事件の捜査なんですよ

署長自ら証言を拒否して事件を
解決できると思ってるんですか?

浅見さん…
あなたの署の管内で

起きた事件なんです まさか
このまま解決しないで

迷宮入りすればいいと
思ってるんじゃないでしょうね

このままだと第三の殺人事件が
起きる可能性もあるんですよ

第三の殺人事件?
ええ もしそうなった場合

僕はあなたの怠慢を県警に
報告するつもりでいますから

それは… 浅見先生
友義さんは どうして十六代目の

当主に ならなかったんですか?
どうして廃嫡されたんですか?

いや ですからそれは…

友義さんが朱鷺家を
お捨てになったからです

朱鷺家を捨てた? どうして?
いや それは分かりません

私 ホントに知りません!

朱鷺家の長男だったのに

本家のお墓に入れてもらえず

こんな 小さなお墓…

あの 浅見さん

私 考えてみたんですけど
はい

お母さんが
あの鳥居で思い出したこととか

朱鷺家の紀江さんが私達をジッと
見つめて呼び出したこととか

そこで身元調べみたいなこと
聞いてきたりとか…

それから 朱鷺家の友義さんの
子供がどっかにいるとか

そういうことを
全部考え合わせると…

(宮本)浅見さん!

宮本さん どうかしたんですか?

朱鷺家の家督相続争いなんですが
下の分家の寛一さんが

友義さんの娘と孫娘を見つけて
連れてきたそうなんです

友義さんの?

(寛一)ご紹介いたします
第十五代目当主の長男

友義さんの忘れ形見

一場時子でございます
娘の貴子でございます

寛一さん このお二人が友義さんの
お嬢様と お孫さんであるという

証拠は あるんですか?

もちろん

証拠もなしに大奥様の前に
連れてくることはありませんよ

慶四郎さん
どんな証拠や?

見せてもらおうか

(寛一)お孫さんの貴子さんの
胸にあるロザリオを ご覧ください

どうした?

いいんですか これで?

どうするんです?

寛一さんが
あんな人達を連れてきて

構わんさ
そうは いきません!

私の望みは
あなたが当主の座にとどまり

名実共に
朱鷺家に君臨することです

啓子…

あーあ 残念!

もしかしたら大金持ちの
跡取りになれるかと思ったのに

ヤダ あなた本当に
そんなこと思ってたの?

だってさあ
ああいう 旧家の跡取りになんか

なってごらんなさい
がんじがらめで大変なんだから

そうですよ
それも そうね

(竹内)楽しそうだな
おじいちゃん!

お父さん どうしたの?
暇だから遊びに来たよ

ここは温泉あるのか?
あるよ だったら最初から

一緒に来れば良かったのにね

どちら様?
初めまして 浅見といいます

実加代さんと お母さんとは
萩で知り合いになりまして

お母様とご一緒で
親しくさせていただいたの

そうだ聞いてよ おじいちゃん
私ね朱鷺家っていう大富豪の

ご当主に
なれるかもしれなかったの

えッ?
跡継ぎの人に顔が似てるらしくて

顔が?
でも違ったの さっき跡継ぎ

本物が現れちゃってさ
本物? そうか なんだ…

あーあ 十八代目になってたら
おじいちゃんに好きな物 何でも

買ってあげられたのにね
今更 欲しい物なんて何もないさ

孫の笑顔があれば?
うん

(サイレン)

あッ 浅見さん どうぞ

(宮本)
朱鷺家の使用人の日隈啓子です

ええ

か ん い ち?

これが
心臓に突き刺さっていたんですが

調べた結果
朱鷺寛一の物だと分かりました

朱鷺寛一さん というと

友義さんの娘さんとお孫さんを
連れてらした方ですよね

こうなると やはり
朱鷺家の跡取り問題が原因と

考えるほかありませんね

何か?

いえ…

たわけが!
このわしが あの女を殺す理由が

どこにあるって言うんだ!
言ってみろッ

署長呼べ 署長を 遠山呼べ!

ああ 寛一さん
申し訳ございません

こんな むさ苦しい…
どういうつもりなんだ えッ?

このわしを人殺し扱いか?
いやいや とんでもございません…

誤解のないように 一応確認のため
何を確認するんだッ?

啓子さん どうしてこんなことに
なってしまったんでしょう

寛一さんが友義さんの娘さんと
お孫さんをお連れになったことが

原因なんでしょうか

ただ 僕の印象では

慶四郎さんは
朱鷺家の当主の座を争うことより

啓子さんとの新しい生活を

望んでらしたように
思えたんですが

啓子にとっては

朱鷺家に君臨する当主としての
私でなければいけなかったのです

そういう私であってこそ

啓子は 私を…

さぞ
ごう慢な女とお思いでしょうか?

朱鷺家に嫁ぐということは

朱鷺家を守るために
命を捧げよということなんです

慶四郎と啓子のことは
知っていました

今の方には お分かりに
ならないかもしれないけれど

家を守るためには
たとえ我が子でも

縁を切らなければ
ならないことがあるのです

それほど 私どもにとって

家は大切なのです

ただ 私は母です

子を産んだ母です

それは 友義さんのことですか?

友義さんは廃嫡されていますよね

かつて友義さんとの間で

縁を切った以上のことが
おありになった

そう考えても
よろしいでしょうか?

友義さんの
忘れ形見が見つかったそうですね

でも その方々は 本当に
友義さんの血縁なんでしょうか?

だとしたら どうして あなたが
実加代さんを わざわざ

お宅まで呼び出したのか…

寛一が連れてきた親子には

証拠が あるんです

証拠?

ロザリオです

ロザリオ?

(宣子)さようなら 気をつけてね

あの ひょっとして以前 彼女に
お会いしたことがあるんですか?

私のことを ご存じなんですか?
それとも 母を…?

どうぞ お入りください

(宣子)この写真をご覧ください

もう40年も前の写真ですけれど

ウリ二つなんです

ご覧のように あなたと
この女性は?

杉森依子さんです
杉森依子さん

隣の男性が…
朱鷺友義さん ですね?

≪(宣子)そうです とても優しく

情熱的な方でした

朱鷺家を捨てても

依子さんと一緒になられるような
方でしたから

依子さんとのことが原因で
友義さんは廃嫡になったんですか

そうなんです

≪(宣子)友義さんは十五代当主が
決められた方との結婚を断り

依子さんを お選びになりました

それが十五代当主

つまり友義さんのお父上の
げきりんに触れて

廃嫡になったのです

≪(宣子)友義さんはその
ささやかな生活を支えるために

必死で働きました

《(友義)ただいま》

≪(宣子)お子さんも生まれ
貧しいながらも

楽しい暮らしだったと思います

《(依子)今日はどうでした?》
《やっと慣れてきたよ》

≪(宣子)
ところが それから間もなく

友義さんは無理がたたって倒れ
亡くなってしまわれたのです

その後 女手一つで娘さんを
育てていた依子さんも病に倒れて

日に日に衰弱していったんです

その女の子の お名前は?

ごめんなさい
それが まったく思い出せなくて

依子さんが病気になってからは

いつも太鼓谷稲成の石段で
一人で遊んでいました

≪(宣子)
とってもカワイイ子だった

いつも言ってたんです
「赤いトンネル 赤いトンネル」 って

お母さん!

赤い トンネル…?

やっぱりあなたが
依子さんの娘さんなんですか?

でも私は東京で生まれ育って

津和野には一度も来たことが
ないんです 父も言ってました

じゃあ どうして
太鼓谷稲成の記憶があるの?

どうして依子さん私にソックリなの?
私のおばあちゃんだからじゃない

おじいちゃんが
嘘を言ったって言うの?

そう おじいちゃんは何か知ってる
だから津和野行きも反対したのよ

ただ寛一さんが連れてきた親子は
依子さんの娘だという

証拠の品を持っていたそうです
ロザリオですね

ええ
これと同じものです

おそろいのロザリオを私が
結婚のお祝いにプレゼントしたんです

依子さんは そのロザリオを
肌身離さず持っていてくれました

肌身離さず?

ええ

依子さんは
その後どうされたんですか?

それが… ある日突然 親子で
どこかへ行ってしまったんです

ご病気のままで ですか?
ええ

急に やせられたものですから

誰かに毒を
盛られていたんじゃないかなんて

悪い噂を
なさる方もいらっしゃいました

毒を!?
いいえ

そういう噂も
あったということです

お母さん…
大丈夫よ

きっと 雑誌か何かの写真見て

自分の記憶と勘違いしたんでしょ

でも その依子さん
本当に毒殺されたんだとしたら

怖い話ですね
ええ

お父さん…

お父さん
おお

ねえ おじいちゃん
ウチにロザリオない?

ロザリオ 何だい それ?
十字架の首飾り

銀製の十字架で
ウチにあるんじゃない?

そんなの見たことないな
じゃあ もう一つ聞くけど

お母さんは ホントに今まで
一度も津和野に来たことないの?

ないって言ってるだろ さあ
そんなバカなこと言ってないで

何か食べ行こう コイ見てたら
おなかが すいたよ

ちょっと おじいちゃん

宮本さん 杉森依子さんが
どこで亡くなったのか

調べてもらえませんか?
いや でも朱鷺家直系の子の件は

寛一さんが連れてきた親子で
もう片がついたんでは…?

朱鷺勝蔵さんはロザリオの争奪のため
殺害されたとは考えられませんか

あの 例の副葬品ですか?
ええ そうです

神津さんのお墓の中に
ロザリオが入っていたとしたら

全て つじつまが合うんです
えッ?

神津家のお墓の中に

依子さんの
遺骨があったのかもしれません

いい町ですね

竹内さんは
本当に ご家族思いなんですね

わざわざ旅行先まで
追いかけてらっしゃるなんて

それとも

何か心配事でも
おありになったんですか?

津和野は
本当に初めてなんでしょうか?

浅見さん

親が子を思い

孫を思う思いに 限りはありません

私にとって あの子達は

宝なんです

どんな邪魔が入ろうと

身をていし命がけで守りたい

それが 親父であり

じいさんなんですよ

竹内…

ごぶさた いたしております

本当 久しぶりですね

40年ぶりでございます

紀江様も お元気そうで

何よりでございます

40年ぶりですか

達者にしていましたか?
はい お陰さまで

それは何より

本日は
おわびを申し上げに参りました

わびを?

40年前に
お預かりした お宝物ですが…

宝物…

そう…

あれは お前のところに
行っていたのですか

はい

しかし 私
お返しするのが惜しくなりまして

申し訳ございません どうしても

久美と実加代は…

≪(紀江)竹内 もういい

あの宝物は
あなたに差し上げたものです

あなたの親心も分からずに

返してくれと言った私

間違っておりました
紀江様…

≪(宮本)杉森依子は若い頃

神津家で行儀見習いをしていた
関係で 病に倒れた依子を

神津家が引き取り
そして最期をみとり

神津家の墓に
埋葬してあげたそうです

そうだったんですか
埋葬には朱鷺家からは

勝蔵さんが来ていたようで
つまり殺された朱鷺勝蔵さんは

依子さんの
お墓を知っていたんですね

そして そこにロザリオが副葬品として
埋葬されていることも

これから寛一さんに会って
ロザリオの入手経路を追及してきます

お願いします

竹内さん

あなたが

朱鷺勝蔵さんを
殺してしまったんですね?

《困ります
久美も実加代も私の大事な…》

《朱鷺家の使用人が
何を生意気な!》

《友義さんの娘と孫だろうが!》
《今は私の娘と孫です》

《ああ そうかい それならいい
一人でやる!》

《勝蔵さん!》

《これさえあれば》

《朱鷺家は俺のもんだ》

勝蔵さんから奪った そのロザリオを
寛一さんに送りつけたんですね

竹内さん

浅見さん

私なりのケジメを
つけさせていただきます

杉森依子さんのこと

調べさせてもらいました

私は あの女が憎かった

許せなかった

私から
友義を奪っていった あの女を

《(友義)僕は依子さん以外の女性と
結婚する気は ありません》

《あなたは朱鷺家に君臨し守って
いかなければならないのです》

《その使命を受けて
生まれてきたのです》

《お母さん
僕は僕の人生を生きます》

《それで廃嫡となるなら本望です》

《友義ッ》

《友義!》

(紀江)あの子は いつかは
戻ってくると思っていました

貧しい暮らしに音を上げて…

けれど あの子は
どんな重い病気にかかっても

私を頼ることは しませんでした

≪(紀江)
朱鷺家の ひごを受けるより

死を選んだのです

主人は そのことに傷つき
怒りました

朱鷺家十五代当主の私の主人は

依子と その子供を
しかるべく処分するように

使用人に命じたのです

≪(紀江)命令を受けた使用人は
依子さんに毒を…

依子さんは
日に日に衰弱していきました

ひどい…

どうして
止めることができなかったのか

ごめんなさい

あのとき私を抱きしめたのは

あなただったんですね?

《ごめんなさいね…》

もしかして あなたは

依子さんと久美さんを

逃がしてあげたんじゃ
ありませんか?

勝蔵さんに連れられて
依子さんが頼った先が

東京の神津家だったんですね?

依子さんは
やがて神津の家で亡くなり

そして一人残った久美さんを
引き取って育てたのが

竹内さんだった

浅見さん おじいちゃんと
連絡が取れないんです

実加代さん

竹内さんは ご自分で
ケジメをつけたいとおっしゃって

ケジメ?
どういうことですか 浅見さん?

自らの罪は 自ら戒めたい

そういうことじゃないでしょうか

浅見さん

まさか…

竹内さんは

あなた方お二人を

最愛の娘さんと
お孫さんを守るために

朱鷺勝蔵さんを…

父が

私達のために…?

おじいちゃん…
実加代!

おじいちゃんはね

あなたが思ってる以上に

私と実加代を愛してくれてたの

だから おじいちゃん信じて
一緒に待とう

お母さん…

(紀江)竹内…

浅見さん すぐに慶四郎を
探していただけませんか?

もう これ以上

これ以上

悲しい結末は見たくありません

慶四郎さん!

それが 啓子さんが命をかけて
あなたに示した

愛への答えですか?

慶四郎さん 神津洋二殺害
及び遺体遺棄の容疑で

あなたに逮捕状が出ました

貯水池であなたの車のタイヤ痕が
発見されたんです

宮本さん
その車を運転していたのは

慶四郎さんではなくて
啓子さんだったのかもしれません

啓子さん!?

そうですよね? 慶四郎さん

きっと 神津洋二さんは
朱鷺勝蔵さんが殺害され

墓を荒らされたことで

朱鷺家の家督争いを知り

そして 当主である慶四郎さんを

脅迫しに来たんです

《(神津)あんたが
朱鷺家の当主でいるために》

《勝蔵を殺したんでしょ?》

《ロザリオが あの人の手に渡れば》

《その座を失いますからね》

《とりあえず
1千万用意してもらえますか?》

《よろしかったら
コーヒーいかがですか?》

《えッ?》
《どうぞ》

恐らく啓子さんは

あなたが朱鷺勝蔵さんを
殺害したと思ったんでしょう

だから神津さんを殺害してでも

あなたを守らなければ
ならないと思ったんです

だったら
日隈啓子を殺害したのは?

啓子さんは
殺害されたのではありません

自ら命を絶ったんです

自ら…?
偽装だったって言うんですか?

いや しかし浅見さん…
あの猿ぐつわは

啓子さんが声を出さないよう
自分で縛ったものです

もし犯人がしたのなら
猿ぐつわだけではなく

手足も縛ったはずです

≪(宮本)だったら なぜ寛一と?

寛一さんが連れてきた
親子が認められれば

慶四郎さんは
当主の座を追われてしまう

啓子さんは どうしても
それが許せなかったんでしょう

慶四郎さん

全て あなたを守るために
したことなんです

啓子は

私と添い遂げることを
願ったのではなく

自分の命をかけても

私を当主でいさせようとした

それが

啓子さんの

あなたへの

ひたむきな愛だったんですね

《≪(啓子)慶四郎さん》

《あなたは私のことなど》

《お忘れになって》

《朱鷺の家にふさわしい》

《奥様を おもらいになり》

《お幸せに お暮らしくださいませ》

《ありがとうございました》

《さようなら…》

啓子…

浅見さん あなたご家族は?

母と 兄夫婦です

ご結婚は?

まだです
早く なさるといいわ

そして お子さまも

はい

慶四郎には

本当に申し訳ないことを
したと思っています

あとは私が

この命

朱鷺家に捧げます

全て

私が…

親思う

心にまさる 親心

今日の音ずれ

何と聞くらん

≪(陽一郎)ただいま
≪(雪江)お帰りなさい

お帰りなさい 兄さん
今度は随分 長かったじゃないか

津和野は随分
居心地が良かったみたいですよ

ねッ 光彦さん

ええ まあ

それで? 向こうで懇意になった
女性がいたそうじゃないか

えッ?
とっても いいお嬢さんでしたよ

そうですか じゃあ今度こそは
どうなんだ? 光彦

いや それは… 兄さんこれ
瀬つきアジですよ

おいしいんですから どうぞ
何だ光彦 その様子じゃ

またダメだったのか?
津和野では ずっと一緒だったって

聞いてますよ
古の町で二人で愛を学んでるって

大奥様が
あら 私そんなこと…

聞いたような聞いてないような…
須美さん ちょっと

作らないでもらえるかな
それじゃ 瀬つきアジを頂くかな

それがいいですね 頂きましょう
ホントに いつになることやら

そうですねえ
さあ 頂きましょう!