浅見光彦シリーズ22「首の女」殺人事件 福島と島根で起こった二つの殺人事件。ルポライターの浅見光彦(中村俊介)と…

出典:EPGの番組情報

[字]<BSフジサスペンス劇場>『浅見光彦シリーズ22 「首の女」殺人事件』

福島と島根で起こった二つの殺人事件。事件の真相に光彦が迫る!

詳細情報
番組内容
福島と島根で起こった二つの殺人事件。ルポライターの浅見光彦(中村俊介)と幼なじみの野沢光子(紫吹淳)は、事件の解決のため、高村光太郎の妻・智恵子が生まれた福島県岳温泉に向かう。
 光子とお見合いをした劇団作家・宮田治夫(冨家規政)の死の謎は?宮田が戯曲「首の女」に託したメッセージとは?浅見光彦が事件の真相にせまる!!
出演者
<出演者>
中村俊介
紫吹淳
姿晴香
菅原大吉
冨家規政
中谷彰宏
伊藤洋三郎
新藤栄作
榎木孝明
野際陽子
ほか
制作
<スタッフ>
原作:内田康夫
脚本:吉川直宏
企画:荒井昭博、保原賢一郎

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

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キーワード出現数ベスト20

  1. 宮田
  2. 光太郎
  3. 富沢
  4. 智恵子
  5. 伸子
  6. 事件
  7. 根付
  8. 橋田
  9. 光子
  10. 大沢
  11. 電話
  12. 久永
  13. 福島
  14. 贋作
  15. 柴山
  16. 高村光太郎
  17. 島根
  18. 登山帽
  19. 野沢
  20. 浅見君

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(フロント係)いらっしゃいませ。

(伸子)
あの 滝野川小学校の同窓会は?

あちら シキの間です。
(伸子)ありがとう。

(宮田)野沢さん!

(伸子)宮田さん。

(宮田)あっ そうか。
もう野沢さんじゃないんだ。

確か… 真杉さんでしたよね。

ごぶさたしてます。

本当に 久しぶりだね。

まだ 誰も来てないよ。
ちょっと お茶でもどう?

幸せそうで よかった。

もしかして 気にしてる?
昔のこと。

ううん 別に。

20年になるんだね。
君にふられて。

ふられたなんて。

いいんだよ
もう 大昔のことなんだから。

あのとき びっくりしたわ。

大学を出たら

結婚してくれないかって
宮田さんに言われて。

宮田さん 東大でしょ?

同級生の中でも
遠い存在だって思ってたから。

ホント びっくりした。

今じゃ
ちっぽけな劇団の作家だ。

収入も安定しないし
結婚もできないよ。

(伸子)でも すてきよ
お芝居に情熱を持つって。

妹も昔 宮田さんのお芝居を見て
感動したって言ってたわ。

ミコちゃんが?
(伸子)うん。

あの子も
なかなか お嫁に行かないの。

33にもなるのよ。

(チャイム)

(光子)あら。

(浅見)あの すいませんが
少々お待ちください。

(光子)ねえ!
はい?

(光子)分からない?

あっ 野沢さん?

(光子)お久しぶり! 浅見君。

浅見君 忘れちゃったのかと思った
わたしのこと。

あっ いや 久しぶりに会ったから
見違えちゃって。

(雪江)光子さんのお宅と
ウチとではね

とっても ご縁があるのよ。
ほら 二人が同級生でしょ。

それから
光子さんのお母さまと

私の 生け花の先生が
おんなじなの。

光子さんのお母さまは
お里が静岡だから

光子さん こうやって 毎年
新茶 届けてくださるのよ。

ありがとうございます。

いや 全然 知りませんでした。

(須美子)光子さん 坊ちゃまと
仲が良かったんですか?

どうだったかな。

みんなからは
光彦君のミツと 光子のミツで

ミツミツコンビって
言われてましたけど。

ミツミツコンビ?
まあ なんだか甘そうねえ。

なんか いい感じですね。

あっ いや そうかなあ。

あっ 去年 伺ったとき

まだ お独りって
おっしゃってましたけど 今は?

相変わらずです。 ピアノの講師をして
なんとか生きてます。

あっ そうなの。
でも決まった方 いらっしゃるの?

えっ ちょっと お母さん。
いらっしゃるの? 決まった方。

あっ いえ そういう人は…。

まあ そうなの。
いや ホントに何でしょうね。

こんな すてきな方をね
ほっておくなんて。

世の中の男性は
一体 何やってるんでしょうねえ。

ちょっと失礼します。
(雪江)あっ どうぞ。

何? 姉さん…。

(伸子)ねえ わたしの同級生の
宮田さん 覚えてる?

宮田さん?
ああ 昔 一緒に遊んだ。

そうそう! 今 宮田さんと
一緒にいるんだけど。

今度
宮田さんとお見合いしてみない?

(光子)えっ! お見合いなんて
マジで言ってんの?

(男)マジでか!?

ごめん また あとで かける…。

(男)ええ。
じゃあ それでお願いしますよ。

ねえ 今
お見合いって言ってなかった?

言ってましたね。

「言ってましたね」じゃ
ないでしょう。

あなたも少しは焦りなさいよ。

はあ。

そろそろ時間だわ。
(宮田)僕は ひと足 遅れていくよ。

そう。 じゃ あとで。

(宮田)ああ。 先日は
どうもありがとうございました。

(男)久しぶり。
(宮田)あっ どうも どうも…。

(宮田)ミコちゃん?

あっ はい 光子です。

宮田さん?
ああ。

お久しぶりです。

(宮田)きれいになったね。

伸子さんは?
わたしだけですけど…。

そっか…。

行こうか。

(男)違う!

何が違うのかしら?

(雷鳴)

(男)あっ!

この人…。

「蝉」の人!?

この記事です。

「蝉」の人?
ほら あの記念館で。

高村光太郎の「蝉」を見て

「違う!」って叫んでた…。

それが… 何か?

何かって
あの人が殺されたんですよ!

岳温泉といえば 安達太良山の
ふもとじゃないですか。

宮田さん 言いましたよね。

智恵子は 安達太良山のふもとの
安達町で生まれたって。

光太郎の作品を見に来た人が
岳温泉で殺されるなんて。

ひょっとしたら
光太郎と 何か関係が…。

何もないよ!

偶然だよ そんなこと。

おじゃましました。

(宮田)ミコちゃん。
えっ?

お姉さんのご主人
啓徳大学 助教授の…。

ああ… 民秋さん?

近いうち 教授に
なるかもしれない…。 民秋さん。

<そのとき 僕は

高村光太郎と智恵子の愛をたどる
旅のルポルタージュを頼まれていた>

<高村光太郎は父 高村光雲と同じ
彫刻家の道を歩み

優れた作品を数多く残した>

<詩集 「智恵子抄」

光太郎は その詩集の中で
妻 智恵子への愛をうたった>

<光太郎の愛は とても激しい。
智恵子に縁談があったとき

光太郎は
「人に」という詩を書いた>

(光太郎)「いやなんです
あなたのいつてしまふのが

小鳥のやうに おくびょうで
大風のやうに わがままな

あなたが お嫁にゆくなんて
いやなんです

あなたのいつてしまふのが」

(光太郎)「あれが安達太良山
あの光るのが阿武隈川

ここは
あなたの生まれた ふるさと」

<光太郎は 智恵子の故郷
福島県 安達町も詩に書いている>

<しかし 光太郎の愛の激しさが
智恵子の心を壊し

智恵子は 自殺を図る。

それでも光太郎は 入院生活を送る
智恵子を愛し続けた。

「智恵子抄」は 生涯を かけて
一人の女性を愛した男の

魂の詩集である>

ああ~っ。

うわっ。

(宮田)ああ~っ!

(サイレン)

(秋本)警部。
(橋田)おう 身元は?

(秋本)それがまだ…。 ガイ者の
所持品を調べたんですが

身元を確認できるものは
ありませんでした。

死後 2~3日といったとこかな。
おい 第一発見者は?

市の職員です。
江川の増水を見に来て 死体を。

(橋田)額を見ろ。 殴られた跡だ。

<お見合い相手が殺されたと

同級生の野沢光子から
連絡を受け

母が彼女のアリバイを
証言することになった>

(チャイム)

おおっ。
はい!

あの 島根県警の…。

お待ちしてました!
どうぞ! どうぞ。

間違いございません。

あの 新茶を頂きましたので
その日は 私 お返しに

ようかんを持って 野沢さんの
お宅に伺いましたから。

5日の夕方ですか?
事件が起こったのは。

まあね。

事件に巻き込まれて
野沢さん ショックでしょうね。

(雪江)ねえ。

なんだ
知ってるのか? 野沢光子を。

もちろんです 同級生ですから。

いやあ 彼女は 美少女でしてねえ。
随分 モテてました。

というと
あなたも野沢光子のことを?

あっ いや 僕なんか。

あの
ひょっとして僕 疑われてます?

殺された宮田治夫は 野沢光子の
お見合い相手でしたからねえ。

まあ
三角関係のもつれってこともな。

まあ 失礼な! ウチの光彦が
三角関係のもつれで…。

なんてこと おっしゃるんですか
あなたは!

(陽一郎)おはようございます。
(雪江)あっ 陽一郎さん。

兄さん。
(陽一郎)これは失礼。

いや いいんですよ別に
お客さんじゃありませんから。

(陽一郎)えっ?

(橋田)
あの あんた ここのご主人?

ええ まあ。

じゃあね ちょっとそこ座って。

あっ ちょっと いや あの…。

兄には 聞かないほうが
いいんじゃないでしょうかねえ。

なんだ? 聞かれて
まずいことでもあるのか?

あっ いや
そういうことじゃなくて…。

まあいいじゃありませんか。

こちらも お仕事で
いらしてるんですから

どうぞ 何でもお好きに
お聞きになってください。

でも お母さん。

おい 逆らう気か? こら おい!

ちょっと…。
(橋田)公務執行妨害で逮捕するぞ。

君たちは いつも こういう
取り調べをしているのかね?

なんだと?

偉そうな口を利くんじゃない!

…ったく! ほら 座れ!
ちょっと座れ! ったく。

いいか。
2~3 質問させてもらうから。

申し訳ないが これから
国会の答弁があるんでね。

しゃら~っとしやがって ホントに。

国会だろうが 何だろうがな
捜査に協力してもらわないと…。

えっ 国会?

あっ 警部! ちょっと ちょっと。
こちらは 浅見さんのお宅…。

分かってるよ そんなことは。

違いますよ! ほら
けっ 刑事 きょっ…。

「きょっ…」って お前 何 あん?

あっ ああっ… 浅見刑事局長!

大変 申し訳ありませんでした。
(秋本)申し訳ありませんでした。

(橋田・秋本)失礼しました。
(陽一郎)遠いところ ご苦労さま。

いえ いえ…。

お前 知ってたな?
知ってたな? お前 この野郎。

あの…。
(橋田)あっ… あっ!

ちょっと お伺いしてもいいですか
事件のこと。

ど… どうぞ!
(秋本)どうぞ。

(橋田)あの…
被害者は 宮田治夫 38歳。

「轍」という劇団の劇作家です。

今月の3日 宮田は 東京の自宅を
出ているんですが

家族には 福島に行ってくる
と言っていたそうです。

福島へ?
ええ。

でも 実際は
島根に行ってるんです。

あの… 3日の行動が
あの… まだ分かってないんだな。

でも 4日の夜 宮田は 有福温泉の
旅館「樋口」に泊まってます。

3日から4日の夜にかけて

空白の一日が
あるというわけですね。

<そして 5日の夕方

宮田さんは 生きたまま
川に突き落とされて 溺死した。

額に殴られた跡があり 警察は
殺人事件として捜査していた>

(フロント係)お待たせいたしました。

<宮田さんは 有福温泉で
偽名を使っていた。

宿泊カードには
文京区 駒込林町 25番地と

ありもしない住所を
書いていたという>

(雪江)光彦。 どこ行ってたの?
光子さん いらしてるのよ。

ああ いらっしゃい。

浅見君。 ごめんなさい
いろいろと ご迷惑をおかけして。

あっ いや 迷惑だなんて…。
ねえ ホントに ひどい話よね。

こんな立派な お嬢さんを
容疑者扱いするなんて。

あなたも そう思うでしょ。
はい もちろんです。

だったら 光子さんのこと
助けてさしあげなさい。

はい。

野沢さん 詳しく話を聞かせて。
ええ。

まず 宮田さんのことだけど。

宮田さんは 姉さんの同級生で
小さいころ よく一緒に遊んだの。

お見合いは
姉さんに 強引に セッティングされて

高村光太郎の記念館に行って
お食事しただけ。

あら そう。 光太郎さんの記念館に
いらしたの。

光太郎さんっていうと
なんか お隣さんみたいですね。

ウフフ。 まあ お隣さんみたいな
もんですよ。

えっ?

光太郎の家は
この辺だったんですか?

そうよ。 お墓だって
ウチと おんなじ染井にあるし。

もう この辺はね ホントに戦争で…。
あの… あの!

そのときの 光太郎の家は
どこだったんですか?

だから 駒込ですよ。

ひょっとして
文京区 駒込林町じゃ?

うん そうね。

そのころはね 文京区じゃなくて
本郷区っていったの。

本郷区 駒込林町 25番地って

もう 光太郎さんのファンなら
誰だって知ってますよ。

へえ~ そうですか。

宮田さんが
高村光太郎の住所を?

うん。 島根の有福温泉で
光太郎の住所を書いてるんだ。

宮田さん かなり
好きだったんじゃないかな

高村光太郎のこと。

「いやなんです
あなたのいつてしまふのが」

あっ それ 「智恵子抄」の。

教えてもらったの 宮田さんから。

宮田さん そういえば言ってた。

「智恵子抄」を テーマにした お芝居を
やりたいって。

ああ。 もっと覚えてないかな?
宮田さんのこと。

う~ん。

そうだ。 女の首。

首? 女の!?

あっ 光太郎の作品よ。

「智恵子の首」という
タイトルなんだけど

宮田さん じっと見てた。

恋人を見るような 優しい目で。

そうだ。 まだ言ってなかったよね
福島の事件。

福島の事件?

うん。 記念館で
高村光太郎の 「蝉」を見て

「違う!」って叫んでた人がいたの。

その人が 岳温泉で殺されて。

岳温泉といえば
安達太良山のふもとの…。

つまり 高村光太郎記念館に
来ていた人が

智恵子の故郷で殺された。

おかしいでしょ。

わたし すぐに 宮田さんに
その話をしたんだけど

宮田さん ただの偶然だって。

ただの偶然?

お待たせ。
あっ。

(陽一郎)頼まれていた資料だ。
ありがとうございます。

兄さんには
決して 迷惑かけません。

(陽一郎)被害者は 広島市に
住んでいた 富沢宏行 49歳。

業界誌のライターで
美術品の仲介もしていた。

福島へは
根付の研究で行っている。

根付?

ああ。 水戸黄門の印籠に付いてる
丸い玉のようなものですよね?

印籠や煙草入れを 着物の帯に
付けるときの滑り止めの工芸品だ。

そのほとんどは
象牙で出来ている。

武士や商人の
おしゃれとして流行し

江戸時代には
美術品として発展したんだ。

今では かなり高価なものもある。

<富沢さんは 後ろから
鈍器のようなもので殴られ

頭蓋骨骨折で死亡した>

<その日の夕方 富沢さんは
現場近くの道で目撃されている。

登山帽を目深にかぶった男と
一緒だったという>

<福島県警は その登山帽の男を
容疑者として 捜査していた>

(ため息)

福島で起きた殺人事件と

島根の宮田さん殺しは
何か関連があるのか?

殺された二人の被害者は

同じ日に
高村光太郎記念館に来ていた。

富沢さんは
智恵子の故郷 福島で殺された。

宮田さんは 光太郎のファンだった。

キーワードは 高村光太郎か。

(男)「岩手の山の
原始の息吹に包まれて

今 6月の
草木の中の ここに至る。

ゼンマイの綿帽子が もう取れて…」

あの すいません。

お約束してました
浅見といいますが 風間さんは?

(女)はい あそこです。 風間さん。

(風間)ちょっと休憩。
(一同)はい。

「首の女」…。
これが 宮田さんの戯曲ですか?

(風間)ええ。

なんか気味悪い 「首の女」って…。

高村光太郎の作品を イメージして
宮田さんは このタイトルを?

(風間)光太郎に
心酔してましたからね 宮田さん。

見てください。
全部 研究書です。 高村光太郎の。

あの これ
貸していただけませんか?

(風間)どうぞ。

誰だったんだろう?
宮田さんの 首の女って…。

えっ?

宮田さんの台本には 愛する人への
思いがあふれていた。

きっと 宮田さんにも いたんだよ
愛していた人が。

高村光太郎が
智恵子を愛したみたいに。

それが 事件と関係あるの?

たぶん。 「首の女」って
宮田さんが残した

重要なメッセージのような
気がするんだ。

わたし このまま
容疑者にされたくない。

事件を解決したいの。
野沢さん…。

まずは
第一の事件があった 福島ね。

ああ 福島か…。

行ってみましょう 福島へ。

変わってないなあ 昔と。

♬~

♬~

ここか
「智恵子抄」で うたわれてた家は。

うん。

「ここが
あなたの生まれた ふるさと

あの小さな点々が
あなたのうちの酒蔵」

智恵子が いたころは
大きな造り酒屋だったのよね。

智恵子は
新しい女と呼ばれていたんだ。

東京の大学へ行って

当時の女性としては珍しく
油絵を描いたりしてね。

晩年は 入院生活を送りながら
美しい紙絵を創作した。

智恵子も
すばらしい芸術家だったんだ。

光太郎と出会っていなかったら

きっと 智恵子の作品も
変わってたんでしょうね。

(男)お待たせしました。

わざわざ すいません。
お伺いしたいことがありまして。

(男)はい どうぞ。

智恵子と ゆかりが
ある方というのは この辺では?

(男)いや… もういないですよ
昔のことですから。

あの 光太郎の作品

例えば 根付のようなものは
ここには ありませんか?

根付?
さあ 聞いたことありませんねえ。

あっ そういえば
あなたと同じように

根付を探していた人が
いましたよ。

えっ? ああ。 もしかして
この方じゃありませんか?

(男)ああ この人です。

宮田さん
家族に言い残してたとおり

福島へ来ていたんだ。

3日から4日にかけて
宮田さんは 安達町にいて

4日の夜 島根へ。

でも どうして島根へ?

つながりなんてないはずよ
光太郎と島根は。

さあ…。 でも 1つだけ分かった。
えっ?

岳温泉で殺された 富沢さんも

宮田さんと同じように
根付を調べていたんだ。

それじゃ…。

つながったんだ。
2つの事件が 根付で。

(伸子)はい 真杉です。

(男)奥さんですよね。
(伸子)はい。

(男)宮田さん 知ってますよね。
(伸子)あの… どちらさまですか?

(男)宮田さんから預かったもの
渡してもらいたいんですがねえ。

何かの お間違いじゃありません?
宮田さんからは 何も…。

とぼけるんじゃない!

2つの事件をつないでいるのは
光太郎の根付なんだ。

それが 安達町に?

分からない。

僕が気になってるのは 富沢さんが
言った 「違う!」って言葉なんだ。

富沢さんは 光太郎の 「蝉」を見て
違うって言ったんだよね?

うん。 信じられないような
目つきだった。

「違う 違う…」
一体 何が違うっていうんだろう。

姉から。

何?

あなた 宮田さんから
何か… 何か預かってない?

別に何もないけど どうしたの?

☎(伸子)わたし 脅迫されてるの。
脅迫!?

(伸子)男の人から
何度も何度も 電話が…。

本当に聞き覚えないの? その声。

それで
電話の男の要求というのは?

それが 宮田さんから
預かってるものを渡せって。

何か預かってるんですか?
いいえ そんなものありません。

勘違いしてるんですかね
電話の男。

警察へは?

相手は お金を
要求しているわけじゃないし…。

それに今 大事なときだから。
えっ?

主人の教授昇進が
かかってるときだから

あんまり大事にしたくないんです。
なるほど。

そうだ。
そういえば 宮田さん言ってた。

義兄さんが近いうち
啓徳大の教授になるって…。

えっ? 宮田さんが。
どうして そんなこと…。

分かんない。
ほかに 何も言わなかったから。

とにかく 会ってみますか
電話の男に。

お義兄さんは?
(伸子)大学。

このごろ いつも遅いの。
教授昇進の論文が 大変なの。

わたし 出ようか。

はい。
(男)おかえりなさい 奥さん。

尾行してたの?
(男)フフフッ。

そろそろ 渡してもらえませんか
宮田さんからの預かりもの。

♬~

♬~

来た。

あれが 電話の男?

♬~

違う。 電話の男じゃない。

えっ?

襟元に ワイヤレスマイクを仕込んでる。

電話の男が どこかで
二人のやり取りを聞いてるんだ。

どこだ?

浅見君。

(男)持ってきたか?
宮田から 預かったもの。

何も預かっていません。

どこだ?

どこだ?

あっ すいません。

(伸子)ただ… 頂いたものなら。

(男)それは 何だ?
(伸子)彫刻です。

(男)フッ…。

ああ… あいつだ。

何?
(光子)浅見君。 男が…。

えっ?

♬~

危険だ。

♬~

ちょっと 待ちなさい!

野沢さん 待って!

待ちなさい。
離せ!

きゃ~っ!

浅見君。 早く!
離せ!

ああ~! 俺は 関係ない!

雇われただけだよ。

歌舞伎町 歩いてたら
変な男に 声かけられて…。

野沢さん 大丈夫?
わたしは 平気。

あっ!
ハ~ッハハハ!

もういいよ。

この男です。
見覚えありませんか?

この人が 電話の?
たぶん。

(伸子)ああ この人…。
知ってるの?

同窓会の日 ホテルで。

えっ! お見合いなんて
マジで言ってんの?

(男)

この人 「マジでか!?」って
電話の相手に言ってました。

ちょうど 光子が 「マジで」って
言ったときだったんで

びっくりして
この人の顔 見たんです。

この年代の人が 「マジ」なんて
若者の言葉 使うかな?

でも 確かに 言ったわよ。

どんな話に対して
「本当か」って言ったんだろう。

もしかしたら この人 宮田さんの
知り合いかもしれません。

えっ?

わたしが
ホテルの喫茶室から出るとき…。

(宮田)

(男)
(宮田)

(伸子)宮田さん
この人と話していたんです。

電話の男と 宮田さんが。

そうですか 電話がありましたか。

はい。
電話の人 10日以内に渡せって。

ああ…。 10日ですか。

浅見さんの指示どおり
言いましたけど

あれで よかったんでしょうか?
わたし 彫刻なんて知りません。

男の反応からすれば
彫刻で 間違いないでしょう。

もしかしたら
根付かもしれません。

根付?

とにかく
何かあったら連絡してください。

☎(伸子)はい。
はい。

(雪江)光彦。
あなた 根付に興味があるの?

ええ まあ。

へえ~。 根付だったら
わたしも いくつか持ってるわよ。

ホントですか?
うん。 こっち ほら。

(雪江)ああ そうそう これ。
これとか… これね。

へえ~ きれいですね。
うん。

骨董的価値のあるものはね

4, 000万以上するものも
あるんですって。

4, 000万円も!?
うん。

根付ってね これ
ガマグチに こうやって付けたり

このまんまね こうやって

帯に差しても
ほら 華やかになるでしょ。 ねっ。

その 骨董的価値のあるもの
っていうのは

どういったものなんですか?

う~ん。 残念ながら
私は 持ってないんだけど。

あっ 詳しいこと知りたかったら
いい本 あるわ。 ちょっと待って。

え~っとね。

あっ そうそう。

ほら。

これ。

似てる。 光太郎の 「蝉」と。

石見。

石見といえば 今の島根県。

そうか。 宮田さんは
石見根付を見るために島根へ…。

<島根県の日本海に面し

江川の河口に位置する 江津市は

赤茶色した石州瓦の産地である。

迫力ある石見神楽の伝統を
しっかりと守る 歴史のある町だ>

♬~

(橋田)なんですって!?
2つの事件が つながってる?

福島県の岳温泉で起きた
殺人事件と

宮田さんの事件は
同一犯かもしれません。

岳温泉で殺された 富沢さん

ひょっとしたら 宮田さんと
何か関係があるのかも。

すぐに 調べてみます。

おい。
(秋本)はい。

おい。
(秋本)あっ!

すぐ行くんだよ お前は。
すいませんね のんびり屋で。

それから 宮田さんの
空白の一日も分かりましたが。

東京を出た 3日から4日まで
宮田さんは

福島県の安達町にいたんです。
高村光太郎の根付を探して。

光太郎の根付?

島根にも
石見根付があるんですよね?

ああ。 いや それは 昔の話ですよ。

もう 今じゃね
職人も いなくなって フフッ。

あっ その根付が
事件に 何か関係あるんですか?

たぶん。

2つの事件の犯人が 同じなら
わたし もう関係ないですよね。

だって わたしには
富沢さんを殺す理由ないですから。

あっ いや もちろんです。

いや~ ホントに その節は
申し訳ございませんでした。

いや ねえ…。 もう 浅見さんのね
ホント 大切な方に

もう とんでもない疑いを
かけちゃって…。

あっ わたし
そんなんじゃありませんから。

ああ あの…。
僕と野沢さんとは…。

あれ? 違うんですか?
ええ…。

いや… こりゃまた 失礼しました。
どうもすいません。 ハハハハッ!

♬~

♬~

野沢さん…。

宮田さん 悪い人じゃなかったけど
結婚なんて考えてなかった。

姉さんに言われて
お見合いしただけ。

でも 小さいときから
知ってる人だったから…。

♬~

連絡 あったんだな。
(秋本)ありました。

お待たせしました。

(橋田)これから どうします?
宮田の目撃情報があるんですが。

ああ…。

なんでも
こっから少し離れた 仁摩町で

宮田が 登山帽の男の車に
乗るところを見たって。

登山帽の男!?

(男)
(宮田)

登山帽の男は 福島の事件でも
目撃されてるんです。

(橋田)えっ!
その目撃者に会えますか?

ええ… 馬路の海岸だったよな?
現場。 (秋本)はい。

あの 今 何て?
(橋田)えっ?

確か 「マジ」って。
うん。

マジ!?
えっ? ああ ああ。

馬路の海岸のことですか?

「マジ」っていう 地名が?

(橋田)浅見さん。

目撃した老人は
今日も 琴ヶ浜で釣りを。

行きましょう。
(橋田)はい。

目撃した登山帽の男というのは
この人じゃありませんか?

(男)登山帽を 深く
かぶっていたから 顔までは…。

そうですか。
ありがとうございました。

(橋田)あの この男は?

わたしの姉を 脅迫してる男です。

宮田さんから預かったものを
渡せって。

宮田から預かったもの?
何ですか? それは。

さあ… 何でしょうかねえ。

♬~

(民秋)何やってんだ?

ああ… ただ お掃除。 すみません。

(民秋)伸子。

どこにも行くんじゃないよ。
どこにも。

いつまでも
僕のところに いるんだよ。

♬~

(従業員)こちらでございますね。

いい雰囲気ね。
うん。

野沢さん?

なんでもない。

はい。 ああ どうも。

(橋田)浅見さんの言うとおり

宮田は 福島で殺された 富沢と
知り合いでした。

宮田のケータイに 富沢の自宅の番号が
登録してあったんです。

やっぱり そうですか。

それと 富沢は 美術品ブローカーとして
よく 島根に来ていたそうです。

最近では 先月の21日から
22日にかけて この江津市に。

ホントですか!

おいしい。

そうだ。
それで さっきの話なんだけど…。

ああ 姉さんの同窓会でしょ。

確か
先月の22日だったと思うけど。

やっぱり…。
えっ?

電話の男が 「マジでか!?」って
言っていた その日

第一の被害者の富沢さんが
この馬路にいたんだ。

それじゃ
富沢さんが この馬路で何かを?

うん。
その何かが 問題なんだけど…。

うん…。

あっ ねえ 浅見君。
ネクタイとかってする?

うん。 たまに。

よかった。

これ プレゼント。
あっ…。

わたしの容疑を晴らしてくれた
お礼。

ありがとう。

木彫りか…。
さっき 売店で買ったの。

同じデザインものしかなかったけど
気に入ってくれるかな?

同じデザイン…。

どうしたの?

そうか 似たものがあるんだ。

あるわよ お土産だもん。

いや 光太郎の 「蝉」だよ。
えっ?

光太郎の 「蝉」の
贋作があるんだよ。

贋作?

富沢さんは 以前

光太郎の 「蝉」と呼ばれるものを
見せられていたんだ。

でも 記念館で
光太郎の作品を見て

以前 見たものが贋作だと分かって
「違う!」って言ったんだよ。

富沢さんは この馬路で

光太郎の贋作づくりを
調べていたんじゃないかな。

それじゃ この馬路で
贋作を作っている所が?

石見根付の技術があれば

光太郎に似せて
作ることができるかもしれない。

<野沢さんを宿に残し

僕たちは 富沢さんと交流のあった
美術品コレクターの家を回った>

空振りでしたな。

あと1軒ですか。
(橋田)ええ。

ちょっと失礼。

はい。

(光子)ひどいじゃない。
知らないうちに出てくなんて。

なんで ひと言
言ってくれなかったの?

これ以上は 危険だよ。

いつ 電話の男が
現れるか分からないし。

君は 突っ走ると
ブレーキ 利かないとこあるし。

(不通音)

あっ 行きましょうか。
行きますか。

♬~

ああ…。

いや… この大沢家は
昔からの大地主なんですよ。

(大沢)
お待たせしました。 大沢です。

江津署の橋田です。
浅見といいます。

(大沢)まっ どうぞ。

…で 話というのは
富沢さんのことでしたか?

はい。 先月
こちらに みえられてますよね?

どうでしたかねえ…。 いや
はっきり覚えてないんですよ。

あの…。

この方を
ご存じではありませんか?

ご存じですね。

あの… この人が 何か?

富沢さんの事件と

島根で起きた殺人事件に
関係している人物です。

この人が? いや 知りませんな。

(ため息)

今の人 何か知ってますね。
(橋田)そのようですね。

今の大沢啓次は 婿入りして
大沢家の財産を手に入れたんです。

まあ 恵まれた一家ですよ。

義理の弟さんは
東京の偉い先生だっていうし。

偉い先生?
その義理の弟さんというのは。

ああ…。

柴山亮吾というらしいです。
啓徳大学 文学部助教授。

啓徳大学?

真杉民秋さんと同じ大学だ。

あの… 何か?

柴山亮吾。 その名前 どこかで
聞いたことあるんですよね。

どこだったかな?

(ノック)
≪はい。

ああ…。 さっきは ごめんね。

浅見君。

君のこと 心配して。
それに 疲れてるだろうと思って。

いいのよ もう。

それより 浅見君。
分かったの 電話の男。

えっ?
載ってたの 借りてた本に。

そうだ。 この本で見たんだ
柴山亮吾の名前を。

♬~

1年を計る砂時計か。 すごいなあ。

琴ヶ浜の鳴き砂をモチーフに
造られたんだって。

時間は あの砂みたいに
止まることなく過ぎていくのね。

時は 永遠に続くのに
人の一生は あっという間。

生まれて 愛して 死んでく。

ねえ 浅見君。 結婚しないの?

えっ? ああ いや…。
僕は その… あの…。

光子さんは?

わたしは 結婚しないかも。

えっ?

誰かに愛されて 振り回されるより
自分らしく生きたいの。

あっという間でも 夢をみて
生きてることを実感したい。

わたしに できなかったから

せめて 生徒のために
世界に通用する音楽家に。

うらやましいなあ 夢があって。

夢なんてもんじゃないわよ。
本当は…。

運命の人に会えないから。

だから 夢みてるの。

2つの殺人事件は 光太郎の贋作を
巡って起きたんだ。

その中心に いたのが

啓徳大学 助教授の
柴山亮吾なんじゃないかな。

光太郎の作品なら
4, 000万以上はする。

柴山は 光太郎の贋作で

金もうけする
つもりだったのかもしれない。

富沢さんと宮田さんは
それを邪魔して殺されたの?

たぶん。

それじゃ 二人を殺した
登山帽の男とは 柴山亮吾?

いや まだ分からない。

(橋田)浅見さん。

浅見さんの言うとおりでした。

いましたよ 馬路に。
大沢の息のかかった木彫り師が。

久永って男です。

やっぱり いましたか。

(木を彫る音)

あの… もう一度 お伺いします。
富沢宏行さんを知りませんか?

大沢さんと つきあいのある
富沢さんです。

あの!

ちょっと 聞いてるの!?

それじゃあ 宮田治夫さんは
どうですか ご存じありませんか?

久永さん 答えてもらえませんか?
二人とも殺されてるんですよ。

なんか苦しそう あの人。

まだ 良心があるんだ。
えっ?

これ 高村光太郎の。

ひょっとしたら 贋作は
「蝉」だけじゃないのかもしれない。

ほかにも作られたとしたら…。

あの 「首」にも 贋作が?

はあ…。 それより
お姉さんのほうは どうなってる?

柴山からの脅迫電話は?

ウフ…。 まるっきりないって。

おかしいなあ。
もうすぐ約束の期限だし

しつこく
電話が かかってるはずなのに。

浅見君も 「お姉さん お姉さん」って
宮田さんと おんなじ。

えっ?

宮田さんも 姉さんのこととなると
夢中になって 話してた。

もう とっくの昔に
ふられてるのに。

宮田さんは
伸子さんのこと 好きだったの?

昔のこと。
もう20年ぐらいも前の話よ。

はい。

(柴山)奥さんか?

俺だ。 例の件だが…。

はい。

はい 分かりました。

ただいま戻りました。

おかえりなさい 光彦。
ご苦労さま。

これ 島根のお土産です。
江津名物 敬川饅頭。

へえ~ ありがとう。

ああ。

あら ループタイなんて 珍しいわね。
ちょっと…。

あっ これ 野沢さんから。

あっ 頂いたの。
へえ~ いいじゃない。

あれ?

随分きれいな人ですねえ。

あっ… そう?

もしかして…?

フフフフ。 わたし。

あっ なんだ。

「なんだ」ってことないでしょ。

これね 昔
亡くなったお父さまから頂いたの。

お父さまがね 知り合いの画家に
描いてもらったんですって。

芸術っていうのはね
人の心が宿るのよ。

だから この絵 見るたんびに
わたし お父さまの愛情 感じるの。

贈り物…。

どうしたの?

そうか 贈り物だったんだ。

(雪江)何が?
はっ…!

ちょっと 光彦。

もう ホントに
今 帰ったばっかりなのに

せわしない人ね。

♬~

姉さん それ何?

会うつもりなのね? 電話の男と。

姉さん。

姉さんに そっくり。

芸術には 人の心が宿ります。

宮田さんは
この作品に 思いを込めて

伸子さんへ贈ったんです。

浅見君 すごい。

あっ いや。 母の受け売りだけど。

それじゃ 宮田さんは
今でも 姉さんを?

これは 馬路から送られてる。

恐らく 宮田さんが 殺される前に
送ったんだ。

馬路から?

これは 高村光太郎の贋作。

作ったのは
恐らく 久永さんだろう。

あの人が これを?

この首…
主人が 隠して持ってたんです。

義兄さんが?

主人が 事件に関係しているんじゃ
ないかって 怖くて

電話の男に 早く渡してしまおう
って思ったんです。

ご主人も 同じだったんですよ。

えっ?

民秋さんも あなたが事件に
関係してるんじゃないかと思って

隠してたんですよ。

よければ
この首 僕が持ってきますよ。

♬~

(柴山)ルポライターの浅見光彦。

忙しいので 手短に頼むよ。

…で 聞きたいことというのは?

光太郎の本質についてです。

先生は 著書の中で

光太郎は 西洋的になろうとして
失敗した男だと書いてましたが。

ああ ハハハ。 そのとおりだ。

光太郎は 智恵子を愛し
その深い愛を芸術へ反映させた。

だが一方で 愛情を押しつけて
智恵子を がんじがらめにした。

とても 西洋的とはいえない
狂った愛だ。

そうでしょうか?

僕は 光太郎の愛は
すばらしいと思うんですけど。

ハハハハ…。

実は 僕の知り合いで

何年にも わたって ある女性を
思い続けた男がいたんです。

ほう。

でも かわいそうに その人

事件に巻き込まれて
殺されたんです。

島根県で。

あっ そうそう。
これ その人から もらったんです。

宮田さんというんですが…。

そうだ 先生も ご存じですよね。

宮田さんと先生が
一緒にいるところを

見た人がいるんです。

馬路の海岸で。

確か 先生 そのとき 登山帽を…。

フッ… ハハハハ。

ハハハハハ!

さっきから 何を言ってんだ
バカバカしい。

帰りたまえ。 さっさと帰れ!

お客さまの お帰りだ。

福島と島根。 2つの事件に
登山帽の男が絡んでいる。

その男が 柴山なのか?

いや 偶然すぎる。

2つの現場に
登山帽の男というのは

何かの意図があるんじゃ…。

(ノック)
どうぞ。

調べたぞ。

助教授の柴山亮吾だがな

富沢が殺された
26日のアリバイはないが

宮田が殺された5日
柴山は 東京の講演会に出ている。

会場を抜け出して
島根に行くのは不可能だなあ。

やはり そうですか。

やはり? なんだ 分かってたのか。

柴山には 完ぺきなアリバイがある。
登山帽の男には なれんな。

いえ
僕は そうは思いませんけど。

えっ?

必要なのは証拠。
じゃなければ 確かな証言です。

(久永)また あんたか。

この前は 失礼しました。

今日は ぜひ
見てほしいものがあるんです。

あんた これ どこで?

柴山亮吾さんが オークションに
出そうとしてるものなんです。

高村光太郎の作品だそうです。

この前 光太郎の 「蝉」の根付が
高く売れたんで

今回も いけるんじゃないかって
柴山さん。

♬~

♬~

やはり 動きだしましたね。

久永のヤツ 一体 どこへ?

♬~

久永さん!

同じ夜行だったんですね。

これから どちらへ?
柴山さんのところですか?

ええ。

それでしたら これ お願いします。

江津名物 敬川饅頭。
柴山さん 喜びますよ。

さあ 鬼が出るか 蛇が出るか。

≪(久永)返せ! 首返せ!

今すぐ 返せ!
首だよ 首! 木彫りの首だ!

何を言ってるんだ。

俺は あの首を 金もうけのために
作ったんじゃない。

あれは 死んだ俺の女房なんだ。
だから 心を込めて作った。

それが どうした?

なに…!?

いいか。 首は ここには ない。

お前の工房を 見学に来てた
宮田に 奪われて

首は 宅配便で
真杉伸子という女に送られたんだ。

宮田のポケットから
宅配便の送り状が出てきた。

それじゃ やっぱ
あんたが殺したのか? 宮田。

フッ…。 まさか。
やったのは 大沢だ。

(柴山)大沢啓次だよ。

大沢の だんなさんは
そんなことする人じゃない。

あんな おとなしい人が…。
(柴山)ハハハハ…。 見かけだけだ。

大沢は 出雲の愛人に入れあげて
借金をつくって

大沢家の骨董品を
全部 売っ払ってしまったんだ。

それじゃ そのために
俺に 贋作 作らしたのか?

助教授のわたしが 鑑定して
その贋作に 価値を つけた。

お前の名前じゃ 売れないんだよ。
ハハハハハ…。

♬~

何のまねだ?

あの首には 女房への思い
詰まってんだ。

この世に 1個しかないんだよ。

それを
金もうけのために使いやがって。

返せ… 女房の首 返せ!

それで 刺すのか? この俺を。
お前に できるのか!

ふっ!

やめろ!
(久永)うわっ!

ああ~!
(橋田)久永 やめろ!

(久永)うわ~!

(久永)離せ!

女房 返せ~!

はあ はあ…。

大丈夫ですか? 間一髪でしたね。

(柴山)久永には いくつかの
木彫りの作品を作ってもらった。

その値段のことで もめただけだ。

(橋田)それだけじゃないだろ!

(橋田)島根と福島の事件は
どうなんだ?

事件? ハハハ…。
一体 何のことです? 事件とは。

先生は お忘れのようですね。

僕と警察が乗り込んで
先生を お助けしたことを。

感謝しろとでも言うのか。 ハハハ…。

いえ。

どうして 僕たちが 先生の危機を
察知したのか 気になりませんか?

これ 先生への お土産だと

久永さんに
渡したものなんですけど。

はっ…。

うっかりして ワイヤレスマイクを
入れたままだったんです。

おかげで 宮田さんの事件の
全ぼうも聞けたし

あなたを 助けることもできた。

こんな…
こんな捜査が 許されるのか!

何 言ってるんですか?

ワイヤレスマイクは あなたが先でしょ。
新宿のカフェテラスで。

あなたと大沢さんは 久永さんに
「蝉」の根付を作らせた。

そして あなたは
出来上がった作品を

光太郎の根付として 富沢さんに
仲介を頼み 金もうけした。

でも あとになって 富沢さんは

久永さんという
木彫り師の存在を知り

光太郎の 「蝉」に 疑惑を持った。

大沢さんは 富沢さんの
その不穏な動きに気づいて

あなたに報告した。

(大沢)富沢が 島根で
いろいろ調べている

俺は 昨日
富沢を 馬路で見かけた

富沢さんが 贋作づくりに
気づいたのではないかと思って

あなたは かなり焦った。

その後 富沢さんは 記念館で
光太郎の 「蝉」を見て

仲介した 「蝉」の根付が
贋作だと確信した。

あなたは 問い詰められて

富沢さんを 智恵子の故郷
安達町へ連れていった。

たぶん あなたは

「蝉」の根付が本物だという証拠を
見せると 誘ったんでしょう。

そして あなたは

富沢さんの すきを見て
犯行に及んだ。

(富沢)

(富沢)

ふっ! ふっ!

はあ はあ…

だけど これで 終わらなかった。
宮田さんの存在です。

宮田さんは 富沢さんと
面識があった。

宮田さんは 富沢さんを問い詰め

あなたと大沢さんの
贋作づくりの話を聞いた。

富沢さんが 殺されたとき
宮田さんは ピンときた。

あなたと大沢さんの犯行だと。

宮田さんは まず 福島へ行き

光太郎の根付など ないことを
確認した。

光太郎は
生涯 根付は作らなかった。

それに 光太郎は 象牙が嫌いで

光雲以後の木彫を
生涯 守り通した。

宮田さんは
久永さんの工房を訪れて

愛する伸子さんに贈ろうと
木彫りの首を奪って逃げた。

久永さんから連絡を受けた
大沢さんは

馬路周辺を捜し回り
宮田さんを見つけた。

(宮田)

わたし 大沢だけど。 ちょっと
話したいことがあるんだ。

ちょっと 車に乗ってよ ねっ

でも そのとき すでに 首は
伸子さんのもとへ送られていた。

それから 大沢さんは
贋作づくりの発覚を恐れて

宮田さんを殺害した。

(大沢)
(宮田)

あなたは 大沢さんに 犯行時
登山帽を かぶるようにと言った。

万が一 警察が 2つの事件の
つながりに 気づいても

ダブルキャストで演じた 登山帽の男の
存在で 捜査を かく乱できる。

そう考えた。 そうですね。

(秋本)警部。 ありました。

浅見さん。

鑑定すれば
この血が 誰のものなのか

すぐ分かるんです。

もう逃げられません。

(柴山)
わたしには 金が必要だった。

(柴山)大学で金をばらまいたんだ。
教授になるために。

惨めだよ 権力のない人間は。

わたしの親は 町工場の経営に
失敗して 借金まみれだった。

親が 逃げ回って
わたしの小学校まで借金取りが…。

わたしは 親を強く憎んだ。

みんなにバカにされて…。

これが 権力のない人間の
惨めさだと 強く思った。

権力が欲しかった!

宮田と富沢は わたしの
その望みを 邪魔しようとした。

二人を殺してでも どうしても
手に入れたかったんだ。

教授の椅子を!

(柴山)浅見さん。

真杉に伝えてください。
わたしのようになるなと。

分かりました。

よし 行こうか。

宮田さんの台本にあった
「首の女」とは

伸子さんのことだったんです。

宮田さんは ずっと
伸子さんを愛していたんです。

何年も会わなくても

宮田さんの思いは
変わらなかった。

宮田さんは 深い情念を込めて
その首を送ったんです。

♬~

♬~

宮田さん…。

ごめんなさい。
これは 受け取れません。

わたし…。

(民秋)伸子。

怖い。
えっ?

人を激しく愛するって

本人だけじゃなく 周りの人まで
傷つけてしまうものなのね。

それでも 人を愛する気持ちは
止められない。

それは 光太郎も同じだよ。
光太郎の智恵子への愛と。

光太郎になったのね。

えっ?

宮田さん… 光太郎に。

♬~

≪(雪江)はい 分かりました。

じゃあ 気をつけてね はい。

(雪江)光彦ね
今 福島に着いたそうですよ。

今夜は 遅くなるんですって。

なんかねえ 私 今度は

うまく いくような
気がするんだけどなあ。

そう思いませんねえ。

(雪江)あら!? そのループタイ

光子さんから
光彦が もらったもんでしょ。

タイは しないからって
光彦が くれたんです。

まあ あの子ったら まったく。

大体 女心が分かってないんです
あいつは。

それに 光子さんとは 20年以上の
おつきあいが ありますからねえ。

永すぎた春ってこと?

いや。 春も迎えてないでしょう
あの二人は。

20年間 何もなかったのに

今日一日で
関係が変わるなんて…。

(雪江)はあ…。
ということは 今回も やっぱり。

ええ。 誠に遺憾ですが。

「遺憾ですが」って 国会の
答弁じゃないんですから もう…。

ハハハハハ。

「智恵子は
東京に 空が無いといふ

安達太良山の
山の上に出ている空が

智恵子の ほんとの空だといふ」

もう一度 見たかった。
智恵子の空。

ねえ 幸せだったのかな?

えっ?

光太郎と結婚して
智恵子は 幸せだったのかな?

さあ どうかな。

智恵子は 幸せだったって
わたし 信じたい。

わたしも…
智恵子のようになりたい。

智恵子や姉さんみたいに

誰かに深く愛されたい。

誰かに…。

ねえ 浅見君。

うん?

もしさ…。

もし わたしが 結婚しそうに
なったら 言ってくれない?

「いやなんです
あなたのいつてしまふのが」って。

あっ…。

ハハハハハ。

♬~

これで 安達太良山とも お別れね。

ああ。

さようなら… 安達太良山。

さようなら。

♬~

♬~

♬~

♬~

♬~