松本清張ドラマ「けものみち」[終](3)民子(名取裕子)が住む鬼頭邸を内偵していた久恒刑事(伊東四朗)が突如…

出典:EPGの番組情報

松本清張ドラマ「けものみち」[終](3)[字][再]

1982年放送松本清張原作ドラマのデジタルリマスター版。全3回。民子(名取裕子)の流転の人生を通して、政財界の裏にうごめく「けもの」のような人間たちを描く。

詳細情報
番組内容
民子(名取裕子)が住む鬼頭邸を内偵していた久恒刑事(伊東四朗)が突如警察を解雇される。激怒した久恒は調べた情報を新聞社に持ち込むが…。一方、民子は小滝(山崎努)と満足に会えず思いを募らせるが、鬼頭(西村晃)は外出を許可しない。ある日、鬼頭が食中毒で倒れる。誰かが毒を盛ったことは疑いなく、食事を用意した女執事の米子(加賀まりこ)に嫌疑がかかる。そのころ、民子の身にも危険が迫っていた…。
出演者
【出演】名取裕子,伊東四朗,加賀まりこ,永井智雄,高森和子,塩見三省,原知佐子,中村伸郎,久米明,西村晃,山崎努
原作・脚本
【原作】松本清張,【脚本】ジェームス三木

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

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  1. 民子
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  17. クビ
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  19. 刑事
  20. 始末

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♬~(テーマ音楽)

♬~

(鬼頭)あ~ さっぱりした…。

(民子)手を出してください。
えっ?

ヘヘヘヘッ…。

嫌だわ 思い出し笑いなんか
しちゃって。

お前は いい。 だんだん
わしの好みに合ってくる。

だんな様。
うん?

明日辺り 外出させていただいても
よろしいでしょうか?

また 浮気したくなったか?

そうじゃありませんけど。

たまには 映画を見たり
買い物をしたり

町へ出ないと時代遅れに
なるんじゃないかと思って。

ウソをつけ。
小滝に会いたいんだろう?

とんでもない。 小滝さんが
相手にしてくれませんわ。

隠さんでいい。

嫌な だんな様。

すまんが 当分の間
わしのそばに いてくれ。

外出は 許さん。

えっ?

久恒とかいったな?

クビになった刑事が
この辺りを かぎ回っている。

♬~

(女将)おや? 先日は どうも…。

(久恒)成沢民子を呼んでくれ!
はあ?

あんたの顔で ここへ
呼び出してくれと言ってるんだ!

お宅に そんな権利があるの?
何!?

念のために 警察手帳を
見せてもらいましょうか?

貴様…。

みよちゃん
塩 まいてちょうだい!

成沢民子は
夫殺しの放火犯ですよ!

あんたは それを
知ってるはずだ。

知ってて アリバイを
偽証したんでしょ。

私は 2人とも しょっぴく事が
できたんだ!

しかし
武士の情けで目をつぶった。

その恩義を忘れて
私を こんな目に遭わせて

これは 一体 何事ですか!?

(小滝)要するに
警察を クビになったわけですな?

ああ。 あの女のせいですよ。
もちろん

あんたも絡んでるはずだ!
言いがかりは やめてください。

私には 何の事だか
さっぱり分かりません。

(久恒)分からんはずはない!
久恒さん。

あんた 何しに来たんですか?
金が欲しいんですか?

それとも 就職の世話をしろと
言うんですか?

駐車場のガードマンぐらいだったら
なんとかなると思います。

バカにするな!
誰がお前なんかの世話になるか!

大きな声 出さんでください。

これでも うちは
客商売なんですから。

(久恒)俺はな 何もかも
分かってるんだ。

公団総裁の愛人殺しの犯人が
鬼頭洪太の屋敷にいる事もな!

その犯行の手引きをしたのは
お前だっていう事もだ!

今に どいつもこいつも
暗い所へ ぶち込んでやるから

そう思え!

まるで 赤ん坊扱いだな。

嫌らしい赤ん坊です。
女の体が おもちゃなんですから。

そこに カーテンを付けたら
どうかと思うんですけど…。

カーテン?

昼間から 雨戸を閉めるのは
気が引けますし

閉めなければ 誰かに
のぞかれてるような気がして…。

のぞかれたって いいじゃないか。
嫌ですわ。

見る方も 興奮するし
見られる方も 興奮する。

極楽は地獄で 地獄は極楽…。

お茶にしますか?
うん。

このごろ 機嫌が悪いな。

そうでしょうか?

欲求不満で イライラしてる。

はい。
うん。

小滝に 抱かれたいか?
また そんな事を…。

何なら ここへ
呼んでやってもいいんだよ。

お前が どんなふうに抱かれ
どんなふうに喜ぶか

じっくり見物するのも一興だ。

いいかげんにしてください。

浮気をしてきた時の
お前も かわいいが

じっと我慢してるのも
何とも言えん。

やっと 仕事がついたね。

大願成就だ。
君は よく我慢したよ。

私達 自由なのね?

そうだ。 君は 僕の物だ。

小滝さん…。

ああ… ああ… ああ…。

♬~

いや~っ!

(中央新聞デスク)大変 恐縮ですが

ここに書いてある事は
全部 真実でしょうね?

(久恒)当たり前です。
私は それを公表するために

警察を辞めたんだ。 つまり
正義のためというわけですか?

まあ そういう事になりますな。

なるほど。
恐縮ですが これ 一日だけ

預からせて
いただけないでしょうか?

預かる?
ええ。 いや

これから すぐに社会部長に
読ませますが

内容が あまりにも重大なので
どう取り扱うか

会議 開く事になると思うんです。

いいでしょう。
明日 出直してきます。

ところで これ
ちょうだいするとして

お礼は いかほど用意すれば
よろしいでしょうか?

それは 上の人に
読んでもらってから

相談する事にしましょう。

私としては 職を賭して
調べ上げた事ですから

正直言って
安売りは したくありません。

どうぞ。 (秦野)すいませんな
こんな時間に。

何か あったか?

面白い物が手に入りました。

閣僚人事か?
(秦野)いいえ。

一種の怪文書ですな。

クビになった刑事が
新聞社に売り込んだ物を

コピーさせました。
何て書いてある?

政財界に対する
先生の影響力についてです。

「公団総裁の二号が
殺されたのは

鬼頭洪太の差し金だ」とも
書いてあります。

ほ~う。

「鬼頭邸には 2人の殺人犯が
かくまわれている」。

一人は 黒谷で
もう一人は… あなただそうだ。

眼鏡を取ってくれ。
はい。

中央新聞社で よかったですよ。

これが 野党の機関紙にでも
渡ってたら大ごとでした。

(中央新聞デスク)どうも
申し訳ない事になりました。

内容が でたらめだと
言うんですか?

いいえ。

職業柄とはいえ
よくここまで調べ上げたと

部長も感嘆しておりました。
しかし 社としては

何と言いますか 新聞の公共性
という立場もありますし

ちょうだいしても すぐ 紙面に
出すわけにはいきませんので…。

「まことに惜しい資料ですが
ひとまず お返しするように」と。

社会部長に会わせてください。

今朝 大阪の方へ
出張いたしました。

あんた達
鬼頭洪太が怖いのか?

ジャーナリストなら 社会の悪を暴き出す
義務があるはずだろ!

警視庁詰めの記者なんか
毎日 デカ部屋に顔を出しては

事件はないか ネタはないかと
しつこく食い下がるじゃないか。

こんな どでかい材料に
飛びつかんなんて

どうかしてるな!

残念だとは思ってます。

それじゃ 他の新聞社に
持ち込んでも いいんだね?

しかたがありません。

「後悔するな」と
部長に言っとけ!

(男)久恒さん…。

誰だ 貴様ら!

うわっ!

だんな様。

なぜ 黙ってらっしゃるのですか?

刑事が書いた
文章の事ですけど

私が どんな女か
お分かりになったでしょ?

興ざめなさったんじゃ
ありませんか?

何かあるとは思っていた。

(鬼頭)お前は 妙に 腹の据わった
ところがあるからな。

虫も殺さぬ顔をして いざとなると
何をやらかすか分からん。

過去は 一切 忘れて
生きるつもりでした。

そうするんだな。

おそばに置いてくださいますか?

それがいい…。 お前にとって
安全な場所は ここしかない。

はい…。

小滝の奴…。 なかなか
味な真似をしたものだ。

何だ?

(米子)秦野先生から
お電話がございまして

久恒の件 始末がついたそうです。

(久恒の妻)
あんた達が 殺したんですよ!

あんなに 一生懸命 働いた
とうちゃんを

クビにするなんて
むごいじゃないの!

とうちゃんね 悔しがって
泣いてたんですよ!

私に 打ち明けられなくて!

誰だって 仕事をもぎ取られたら
死にたくなる!

とうちゃん! とうちゃ~ん!

とうちゃ~ん!

♬~

☎(呼び出し音)

☎(交換手)
ニューロイヤルホテルでございます。

支配人の小滝さんをお願いします。
☎どちら様でしょうか?

成沢と言えば分かります。
☎お待ちください。

☎(交換手)もしもし 小滝支配人は
お辞めになりました。

えっ!? ☎もう こちらには
いらっしゃいません。

そんなバカな! もう一遍
ちゃんと確かめてくださいな。

☎1週間前に
退職なさったそうです。

どうして 辞めたんですか?
今 どこにいるんですか?

☎それは
ちょっと分かりかねます。

(電話が切れる音)

何してるんです?

あなたに関係ありません。

暗闇の中で
こっそり電話するなんて

ただごとじゃありませんね。

自分こそ 泥棒猫みたいに
盗み聞きして…。 「盗み聞き」?

そうよ。 男に相手にされない
もんだから ひねくれちゃって。

人のあら探しばっかり!
私 ちゃんと知ってるわよ!

あんた 時々 だんな様の部屋
のぞきに来てるでしょ?

見たかったら 堂々と
入ってくれば いいのよ!

(顔をたたく音)

何よ!

(顔をたたく音)

あんた いつまで
このうちに いるつもり!?

とっくに御用済みなんだから
出ていきなさいよ!

小滝さん…。

誰だ!

民子さんか。 あっち行ってよ!
どこへ行くんですか?

どこへ行こうと 私の勝手でしょ。
米子さんは 知ってるんですか?

どうして 私が米子さんの許可を
受けなくちゃなんないのよ!

待ってください。
放してよ!

出るなら表からにしてくださいよ。
私を誰だと思ってるのよ!

(黒谷)どうしたんだ!?

あんたを表に出すわけには
いかんのだよ。

おやじさんの命令でな。
私は 囚人じゃありませんよ。

俺には分からんね。

こんな いい暮らし
させてもらってんのに

何で逃げ出そうとすんのか。
逃げ出すわけないでしょ。

私だって たまには
外の空気を吸いたいわよ。

外へ出れば捕まるぞ。 あんたが
大きな顔をしてられるのは

ここだけだ。
偉そうな口 利かないで!

そっちこそ 言葉に気をつけろ!

今日の事が おやじさんの耳に
入ってもいいのかよ?

どうぞ 言いつけてくださいな。
だんな様は 笑うだけですよ。

私のする事なら 何でも
許してくださるんだから。

そう思ってるうちが 花だよ。
何ですって?

あんたは おやじさんの
本当の恐ろしさを知らんのだ。

前にも 調子に乗りすぎて
命を落とした女がいるんだぞ。

あんたが やったんでしょう?

今までに 何人殺したの?
5人? それとも10人?

ベラベラしゃべるな!
主人を刺したのも あんたでしょ?

私 覚えてるわよ
あんたの目つき 嫌らしい唇。

お前 俺に感謝した方がいいな。
「感謝」?

亭主が ああなったんで
運が開けたんじゃないのか?

場末の安キャバレーの女が ここまで
出世できたのは 誰のお陰だ?

冗談言わないでよ! 私は
自分の力で ここまで来たのよ。

だんな様が 私の値打ちを
一番よく知ってるわ!

アッハハハハ…!

淫売が!

(鬼頭)まだまだ…。

あ~ あっ…。

お前… 小滝と
寝てるつもりなんだろう?

2度も 小滝の名前を呼んだぞ。

だんな様の邪推です…。

いいや…。 確かに 聞いた。

小滝さんとだったら
浮気をしても いいんでしょう?

うん?

そう おっしゃったじゃ
ありませんか。

「ここへ呼んでやってもいい」って。

そんなに 小滝に会いたいか?

刺激が欲しいだけですよ。

だんな様の影響を受けて
私も おかしくなったみたい。

このまんまじゃ 蛇の生殺しだわ。
いいだろう。

じゃあ 小滝に会わしてやろう。

本当ですか?
わしが ウソを言った事があるか?

でも…。

でも何だ?

あの人 ニューロイヤルホテルを
辞めたそうですよ?

そんな事は知っている。

まさか 殺されたんじゃ
ないでしょうね?

ちゃ~んと 生きている。

今 どこにいるんですか?
うん?

ご存じなんでしょ?

そんなに知りたいか?

ええ。
よし…。

う~ん じゃあ 教えてやる…。

小滝は なかなか…
目先の利く男だ。

今 赤坂で 骨董屋を開いてる。

「骨董屋」?

一流ホテルの支配人なら

たくさんの名士に顔が利く。

その顔を利用して
どこへでも 出はいりができる…。

政治家や実業家の所へ行けば

義理にでも
1点や2点は 買ってもらえる。

なかなか うまい所へ
目をつけたもんだ。

赤坂の どこですか?

そこまでは知らんが…

秦野が そのうちに
連れてきてくれるだろう…。

♬~

同じとこばかり もむな。

もっと 内側を もめ。

骨が とがってるんですもの…。

骨の周りを もむんだ。

はいはい。

≪(米子)秦野先生が
お見えでございます。

どうぞ。

ご機嫌 いかがですかな?

うん。

(秦野)小滝を連れてきましたよ。

(秦野)入りたまえ 小滝君。

ご無礼いたします。

(鬼頭)もっと近くへ来なさい。
はっ。

(鬼頭)君の事は…
秦野や民子から よ~く聞いてる。

恐れ入ります。

今日は いい物を
見せてくれるそうだな?

お気に召してくだされば
よろしいのですが…。

民子… 起こしてくれ。
はい。

なかなかの代物ですよ 先生。

(秦野)さ… どうぞ 先生。

(鬼頭)眼鏡!
はい。

(鬼頭)ほう…
こりゃ なかなか いいもんだ。

(秦野)相当 古い物ですな。

この面相を見ろ。

ガンダーラの特徴が よ~く出てる。

恐れ入りました。 さすがに
お目が高くていらっしゃいます。

誰が持っていたんだ?

野々村財閥の
旧蔵だそうでございます。

よく手放す気になったな?

野々村財閥も 戦後は すっかり
だめになりましたからね。

(鬼頭)いくらだ?
はあ…。

値段を聞いとるんだよ。

骨董屋仲間では 850万という値が
ついております。

850?
はい。

大きく出たもんだな。

実は アメリカの石油成金が
これに目をつけておりまして…。

君の所は
外人客が出入りしてるのか?

はあ…。
そう多くは ございませんが…。

元ホテルの支配人ですからな。
英語が たんのうです。

700で 引き取ろう。

どうだ 小滝君。 先生は
「700万」と言っておられるんだ。

君の力で なんとかならんのか?

みすみす 国の財産を アメリカさんに
渡すのも いまいましいからな。

承知いたしました。

(秦野)まけるのか?

売り主を 説得してみます。

鬼頭先生が
お買い上げくださるならば

先方も 納得すると思います。

支払いの方法は…
秦野君と相談してくれ。

ありがとうございます。

先生のおそばに
置いていただければ

この石仏も
みょうりかと存じます。

世辞を言うな。 わしは
生き仏の方が好きじゃよ。

はっ?

特に 「民子」という ぼさつをな…。

フフフフフ…
これは まいりましたな…。

(鬼頭)もめ。

すみません。

君には
礼を言わなくちゃいかん。

一番 いい物を
届けてくれたんだからな。

わしは 民子の事
言っとるんだよ。

どんな 高級な美術品でも
民子に比べれば 物の数ではない。

何だか くすぐったくなりますわ。

(秦野)ハハハハ… こりゃ
手放しの のろけですな。

(鬼頭)ところが 世の中は
ままならんもんだ。

民子は 小滝君に恋い焦がれとる。
ご冗談を…。

いや 本当だ。
民子は わしに抱かれながら

「小滝さん 小滝さん」って
声を上げるんだから

たまったもんじゃない。

そんな…。

さっきから
民子は そわそわして

小滝君の方ばっかり見てるな。

体が熱くなって
心臓が どきどきして

肩をもむ手に
ちっとも力が入っとらん。

ほほう 穏やかじゃありませんな。

考えてみれば
民子は かわいそうだ。

この若さで 明けても暮れても
病人の世話ばかりだ。

たまには 君のような いい男と

浮気をしてみたいと思うのは
当然だ。

そこで… どうだ 小滝君。

せめて 民子に
キスをしてやってくれないか?

はっ?

だんな様…。

遠慮する事はない。

お前の望みを
かなえてやろうと
言ってるんだ。

小滝さんが迷惑しますよ。

迷惑な事が あるものか。

男なら キスぐらいは 何でもない。

あっ!

(秦野)ここで やるんですか?

そうだ…。
2人で じっくり見物しよう。

若返りの妙薬だ…。

(鬼頭と秦野の笑い声)

言いだしたら
聞かないんですから…。

(秦野)どうするんだ? 小滝君。

お断りいたします。

何?

どうか ご勘弁ください。

(秦野)座興だよ 座興。

(鬼頭)
鬼頭洪太が頭を下げているんだよ。

私には できません。

フフフフ…。
(鬼頭)民子に恥をかかせる気か?

そんなつもりは毛頭ございません。

ただ 私は 骨董屋でございます。

よそ様の 大切な美術品の値打ちを
下げるような真似は

いたしたくございません。
これは骨董屋の仁義でございます。

平に ご容赦願います。

どうやら 物別れのようですな。

しゃれの分からん男だ。

申し訳ございません。

では 先生 私達は これで…。
いや まだ 話は終わっていない。

その石仏の使いみちを
相談しなきゃならん。

民子。
はい。

小滝君に…
庭でも 見せてやれ。

♬~

赤坂ですって?

ああ。
赤坂の どこなの?

一ツ木通りに出来た
新しいマンションだ。

なぜ 知らせてくれなかったの?
知らせようがないじゃないか。

私の身になってほしいわ。
こんなとこに閉じ込められて

おじいちゃんの おもちゃにされて
気が変になりそう。

もう少しの辛抱だよ。

僕が骨董屋を始めたのも
将来へ向けての布石なんだ。

コネを最大限に生かすためなんだ。

君が自由になったら
2人で大きな店を持とう。

銀座のど真ん中にね。

分かったわ。
いい子だな。

分かったから キスして。
バカな事 言うな。

冷たいのね。
僕らは見られてるんだぞ。

見られたって かまわないわ。

おじいちゃん
興奮したがってるもの。

♬~

なかなかの男だな。

ハハハハ… 万事 そつがありません。

そこが問題だ。

何となく… 気になる。
はあ?

素性は?

信州の生糸問屋の
次男坊なんですがね

アメリカの大学を出てるんですよ。

若いころは
相当 遊んだらしいですな。

呼び屋の手伝いをしたり
駐留軍のキャンプで マネージャーをしたり

結局 外資系のホテルでの
活躍ぶりを認められて

ホテル ニューロイヤルへ
引き抜かれたというわけですな。

まさか CIAじゃないだろうな?
CIA?

わしの勘だ。 念のため
洗い直してみた方がいい。

アハハハ。 いや おっしゃるとおりに
いたしましょう。

う~ん…。 しかし 私には
とても そうは思えませんがね。

♬~

(沢杉)だいぶ
若返られたようですな。

本当かね?

どこにも 異常はありません。
血圧も まあまあです。

この分なら
あと20年は 大丈夫でしょう。

(鬼頭)そんなに
長生きしようとは 思わんよ。

そう おっしゃらずに
ご自愛ください。

先生は 日本の大黒柱ですからね。

「憎まれっ子 世にはばかる」か…。
ハハハ…。

私も あやかりたいものです。

(雷鳴と豪雨)

(テレビの相撲放送)

(テレビ 「ニュース」に切り替わる)

どうぞ。

うん…。
なま返事ばっかり。

(箸が落ちる音)

下げてくれ。

召し上がらないんですか?

胸が むかむかする。

だんな様…。

うっ…。

吐くんですか?

寝かせてくれ。
はい。

どうも 変だ。

熱は ないようですけど…。

医者を呼べ。
はっ?

聞こえんのか! 医者を呼ぶんだ!

はい。

うっ…。

≪だんな様!
しっかりしてください。

だんな様!
しっかりしてください。

(ドアが開く音)

(医師)ご家族の方ですか?
はい。

とりあえず 胃を洗浄して
鎮静剤を打っておきました。

容体 どうなんです?
命には別状ありません。

しかし このまま入院して
検査をした方がいいでしょう。

がんじゃないでしょうね?

いや… 詳しい事は 明日

院長が ご報告します。
一番いい部屋を用意してください。

金は いくらかかっても
かまいません。

病名は何だ?

一種の中毒作用ですな。

中毒?

(沢杉)吐しゃ物を
調べてるんですが

何か いけない物を
召し上がったようですね。

(鬼頭)どういう事だ それは?

(沢杉)突然
吐き気を催されたんですか?

(鬼頭)いや…。

この辺が むかむかしたのは
おとといの晩からだ。

(沢杉)どういうものを
召し上がったのか

覚えておられますか?

(鬼頭)それは
民子が 全部 知っとる。

では それを
紙に書き出してください。

食べ物 飲み物 すべてです。
承知しました。

では 午後
もう一度 お伺いします。

(秦野)先生…。

しいたけ… お刺身… 大根おろし。

何が あたったのかしら?

先生…。
うん?

危ないところでしたよ。

吐いた物から
毒物が検出されました。

毒物?

そうです。
要するに 一服盛られたんですよ。

(秦野)民子さん。 先生の食事を
作ってるのは誰ですか?

米子さんです。
運ぶのは?

それも 米子さんです。

米子さんが運んできた食事を

私が受け取って
先生に差し上げるんです。

信じられん。

(秦野)誰かが 裏で
操ってるんでしょうか?

そんな事は 絶対に ないはずだ。

米子さんは
先生を恨んでました。

えっ?
私ばかり かわいがられるんで

ひどく傷ついたんじゃ
ないでしょうか?

民子さん。 先生を頼みます。

どこへ行く?

お宅です。

米子の身柄を確保して
証拠を捜さなければなりません。

もしもし。 はい… はい…
少々 お待ちください。

だんな様。
高速路面公団の総裁がお見えです。

どこで かぎつけたんだ?
そんな者は 帰ってもらえ!

はい。

もしもし。
大変申し訳ございませんが

先生は
今 お目にかかれませんので。

はい。

♬~

どちらへ?
鬼頭先生のお見舞いです。

どちら様でしょう?

三沢総務会長の代理です。

あいにくですが 面会謝絶
という事になっておりますので…。

どんな ご容体なんでしょうか?

代理の方には申し上げられません。

(ノック)

はい。

資源総合開発公団の
カミムラ総裁が お見えです。

本人か?

はっ 理事の方2人と
ご一緒です。

仰々しい事だ。

う~ん 通してやれ。
はっ。

(組員)親分!

先生。

とんだ事になりました。
何かあったか?

米子が死にました。

自殺か?

いや それが
なかなか口を割らないので

若い者が あせったんでしょうな
つい 痛めつけてしまって…。

衰弱死です。

申し訳ありません。
私の… 手落ちであります。

米子は… 白状したのか?

いえ。 「自分は潔白だ」と
死ぬまで言い続けたそうです。

しかし 米子以外に

毒を入れた者がいるはずは
ありませんからね。

まあ 言ってみれば
自業自得ですよ。

そうかもしれん。
だが そうでないかもしれん。

はあ?

わしは… 民子が怪しいと
にらんでる。

あら 秦野先生…。
いつ お見えになったんですか?

ああ たった今です。
よかったわ。

お見舞いの方が
次々 押しかけるんで

だんな様
機嫌を悪くされたんですよ。

こういう うわさは
たちまち知れ渡るらしいですな。

今 おいしいお茶を
おいれします。

いやいや かまわんでください。
すぐ 出かけます。

米子さん どうなりました?

死んだよ。

(秦野)先生を
裏切る者は

必ず そういう事になるんだ。

♬~

根が お丈夫なんですね。

こんなに早く退院なさるとは
思いませんでしたわ。

米子は さぞ 残念だっただろう。

女の しっとは 怖いんですよ。

私だって だんな様に
冷たく あしらわれたら

何をするか分かりません。

フッフッフッフッ…。

あ… 危ないじゃありませんか。
いけません。

もう… 耳かきは いい。

今度は… わしの番だ。

ああ…。

お前の体は わしの宝だ…。

燃えやすくって… いとおしい。

(秦野)困った事になったよ。

じいさんが 民子の事で
やきもちをやいてる。

君と できてるに違いないって
言うんだ。 フッフッフッ…。

(秦野)あげくの果てに
何を血迷ったのか

「小滝は アメリカのスパイだ。
CIAの工作員だ」と。

CIA? 私がですか?

ハッハッハッハ。 まあ じいさん特有の
こじつけだよ。

しかし 憎まれると損するぞ。
下手に 逆らわない方がいい。

弱りましたな。

どうすれば いいんでしょうか?

疑いを晴らす方法が
一つだけある。

それは… 君の手で
民子を始末する事だ。

「始末」といいますと…?
分かるだろう。 消すんだよ。

何ですって?

(秦野)民子は もともと
君が連れてきた女だ。

不都合があったら
君が責任を取るのが筋じゃないか。

どんな不都合が
あったんでしょうか?

(秦野)じいさんの食べ物に
毒を入れた。

ちょっと待ってください。
あれは 米子という女が…。

米子か 民子か どちらかだ。

こういう場合にはね
両方 処分するのが

一番 安全なんだ。 それが
じいさんのやり方なんだよ。

無実だったら
どうするんですか?

民子の仕業だったらどうするんだ。
私に確かめさせてください。

その必要はない。
どうしてでしょうか?

じいさんが「民子を始末しろ」と
言ってるんだ。

これは 命令なんだよ。

殺し屋は
他に いくらでもいるでしょう?

私は ごめん被ります。

「豆を煮るには
豆殻をもってせよ」。

じいさんは そう言ってる。

これはね
一種の「踏み絵」なんだよ。

情においては
忍びないところもあるだろうが

君にとっては
絶好のチャンスでもある。

じいさんへの忠誠を示して
気に入られたら

君の前途は 洋々たるもんだ。

率直に言ってね 君ほど切れる男は
そう ざらにはいないんだよ。

君は じいさんの絶大な信頼を得て
懐刀になるだろう。

じいさん亡き後は 君自身が

あの王国の支配者に
なれるかもしれんのだぞ。

私は 一介の骨董屋で結構です。

アッハハハハ…!

何を怖がってるんだい?
小滝君。 ええ?

今更 きれい事を言ったって
始まらんだろう。

君の足は たくさんの危ない橋を
渡ってきたはずだぞ。

君の手は たっぷりと
他人の血を吸ってきたはずだぞ。

民子はね もともと 病気の亭主を
焼き殺した女なんだ。

人殺しを殺すのに
何の遠慮がいるものか。 アハハハハ!

もう一度 言っとくぞ。

これは 鬼頭洪太の命令なんだ。

♬~

いつまで見てるんですか?

いつまでも見ていたい。

あの石仏が 700万なら
お前の体は…。

小滝に
値踏みさせてみたいものだ。

だんだん
年を取りますわ。

そうだな。

着物 ください。

♬~

しばらく…。
元気そうだね?

体を持て余してるわ。

入院騒ぎで大変だったろ?
そうでもないの。

あれ以来 おじいちゃんが
妙に優しくなって。 うん…。

小切手 預かってきたわ。
ああ ここじゃ まずい。

ともかく 表へ出よう。
どこ行くの?

僕に任せなさい。

あなたの マンションがいいわ。

どうして
マンションじゃ だめなの?

ほこりだらけで 殺風景だからね。

かまわないわ。
どんなお店か見たいのよ。

誰か いるの? 女の人とか。

そんなものは いないよ。
だったら かまわないじゃない?

何だか変ね。
いつもの小滝さんと違うみたい。

サングラスのせいよ!
ねえ それ 外してよ。

芳扇閣は どうだ?
芳扇閣?

あそこなら
ゆっくりできる。

そうね。 もう 刑事に付け回される
心配はないし…。

今夜は「泊まってきてもいい」って
言われてるの。

好きよ。
死ぬほど好き。

どうして こんなに
好きになったのか分からない。

もっと強く抱いて
骨が折れるくらい…。

聞きたい事がある。
正直に答えてくれ。

鬼頭洪太に
毒を盛ったのは 誰なんだ?

米子じゃないだろう?

じいさんは 本当の犯人を
感づいてるんだよ。

やはり 君なんだね。

バカな事 してくれたな。

何もかも 水の泡じゃないか。

許して…。 まさか 失敗するとは
思わなかったのよ。

食事に混ぜたものは何だ?

除草剤…。

気が気じゃなかったのよ!

おじいちゃんが長生きすれば
私だって年を取るわ!

あなたに見放されるんじゃ
ないかって そればっかり!

離れてれば不安になるのよ。
私の気持ち 分かる?

おじいちゃんに抱かれるのが
どんなに つらいか。

そのくせ 抱かれれば燃えてしまう
自分の体が憎らしくて惨めで…。

見込み違いだった…。

君なら 最後まで けものみちを
歩いてくれると思っていた。

大丈夫よ! 私が うまく
おじいちゃんを言いくるめるわ!

第一 証拠がないんでしょ!
証拠も へったくれもない。

じいさんは 君を殺す気だよ。
現に ある男が命令を受けた。

「ある男」って 黒谷?

僕だよ。

あっ!

君を殺さなければ
僕がやられる!

いや あっ…! あっ あ~っ…!

ああっ! あっ…!

どうしたの?

なぜ 殺さないの?

分からん。

あなたのためなら…
何でも するつもりだったわ。

私の乗った列車は…。

あなたに向かって走ってたの。

本望だわ。

あなたに殺されるなんて
すばらしいと思う。

でも…。

お願いがあるの。

最後に もう一度だけ…。

私を抱いてください…。

民子… 君は逃げろ。

窓から 庭伝いに逃げるんだ。

小滝さんは?

僕の事は 心配せんでいい。

なぜ 殺さないの?

君が好きだからだ…。

僕は君を愛してしまったらしいよ。

その言葉だけで十分よ。

あなたが殺さないなら
自分で死ぬわ。

バカな事 言うんじゃない。
人間は道具じゃないんだ。

あなたから離れたくない…!

じゃあ 一緒に逃げてみるか?

どこへ?

起きなさい。

だめよ! 鬼頭洪太は 全国の
暴力団と つながってるのよ。

警察より すごい組織なのよ!
急いで!

だめ! 小滝さんまで
道連れにしたくない!

言うとおりにするんだ!

♬~

芳扇閣…。

多分 そんな事に
なるんじゃないかと思っていた。

はっ。 しかし 車のナンバーは
分かっておりますから。

バカな奴だ。 せっかく
目をかけてやっていたのに。

☎(秦野)まったくです。
小滝ほどの男が

女に振り回されるとは
思ってもおりませんでした。

売国奴が
しっぽを出したんじゃないのか?

はあ 私としては まったく
面目次第もございません。

はい… はい… 承知いたしました。

♬~

さなえと言ったな?

(さなえ)はい。

どこの生まれだ?

二日市でございます。

太宰府の近くだな?

はい。

♬~

すてきな ドライブね。

いつまでも こうしていたいわ。
君には すまない事をした。

私の方こそ申し訳ないわ。

あなたの計画を
めちゃくちゃにしたんですもの。

うまく逃げきれたら
償いをするよ。

どこへ逃げるの?
日本には いられないだろう。

じゃあ 外国?

誰も知らない所で
ひっそりと暮らすか。

うれしいわ。
あなたとなら どこへでも行く。

僕らは
釣り合ってるのかもしれんな。

結婚式を挙げましょうね 教会で。

どうしたの?
つけられてる。

しっかり つかまってろ!

(車のスピードが上がる音)

♬~

(車の急ブレーキの音)

♬~