ザ・ミステリー『今野敏サスペンス ビート 警視庁強行犯・樋口顕』[字]…のネタバレ解析まとめ
出典:EPGの番組情報
ザ・ミステリー『今野敏サスペンス ビート 警視庁強行犯・樋口顕』[字]
本格警察小説の名手・今野敏「樋口顕」シリーズ!樋口(内藤剛志)は、銀行員殺人事件で島崎(柄本明)と組むことに。しかし島崎の不審な動きに疑念を抱き始め…。
詳細情報
番組内容
粉飾決算疑惑で家宅捜索が入った日和銀行の社員・富岡(比留間由哲)が自宅で殺され、強行犯係の樋口(内藤剛志)は現場へ向かう。自宅には女性といた痕跡が。家の前で若い男(浅香航大)と争っていた目撃情報も。すると富岡の先輩で二課の島崎(柄本明)が捜査本部に加入することに。しかし不可解な行動を見せる島崎。捜査を進めるうち、日和銀行のガサ入れには情報漏れの疑いが浮上し、二つの事件には意外な事実が隠されていた!?
出演者
樋口顕…内藤剛志
氏家譲…佐野史郎
エージ…浅香航大
樋口照美…逢沢りな(逢は一点しんにょう)
タエ…西内ひろ
児島美智代…矢吹春奈
島崎丈太郎…小柳心
天童隆一…榎木孝明
安斉大悟…冨家規政
山本尚史…おかやまはじめ
出演者つづき
富岡和夫…比留間由哲
谷川茂樹…斉藤慶太
島崎好子…宮田早苗
根岸民雄…斎藤歩
樋口恵子…川上麻衣子
島崎洋平…柄本明
原作脚本
【原作】今野敏「ビート 警視庁強行犯係・樋口顕」(新潮文庫刊)
【脚本】窪田信介
監督・演出
【監督】松原信吾ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
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これより
金融商品取引法違反の容疑で
家宅捜索を行います。
皆さん 動かないで。
手は机の上に。
シャットダウンして。
はい。
余分なことしちゃダメだよ。
はい。
おい!
てめえ…
ふざけた真似しやがって。
何のことだ。
わかってんだろうが。
ねえ 富岡さん 大丈夫?
大丈夫。 先入ってて。
なんだ この野郎!
てめえ…。
おい!
変わったな。
キミも柔道を続けていれば
もっと マシな人間に
なれたろうにな。
殺してやる…。
(ドアの開閉音)
ただいま~。
おかえり。
せめて 始発で帰ってきなさい。
留守電 入れたけど?
最低限のルールでしょう。
なんか食べる?
いい 寝る。
照美。
今日 授業はないのか… 大学は?
そんなこと
お父さんに言われなくても行くよ。
夕方の ひとコマなんですって。
だからって 朝帰りはどうなんだ。
あの子も もう二十歳なのよ。
子供扱いしちゃ ダメよ。
(バイブ音)
はい 樋口。
うん そうか… わかった。
直接 向かう。
ちょっと失礼します。
本庁です。
お疲れさまです。
ご苦労さん。
あとで連絡する。
どうも 東大崎署の山本です。
捜査一課の樋口です。
谷川です。
ホトケは この家の主で
富岡和夫 38歳。
日和銀行の本店勤務です。
日和銀行?
ええ。
運用計画課の課長代理。
第一発見者は 同僚の営業マンです。
出勤してこなかったので
見にきたそうです。
まずは現場を。
ええ。
こちらです。
お疲れさまです。
ご苦労さまです。
絞殺でしょうか。
近くに ネクタイが落ちてた。
後頭部からも出血してますね。
おそらく… これです。
血液と頭髪が付着していました。
指紋も採れています。
背後から殴られて
首を絞められた…。
家族は?
あっ…。
奥さんがいますが
別居中のようです。
ほう… だとすると
これは どうなる?
ええ。
争った形跡もないし
誰かと2人で 酒を飲んでいた。
相手はおそらく 女性だ。
女性?
うん。
かすかだが
グラスに口紅がついてる。
ああ。 その茶髪の若いのが
一方的に
突っかかっていったんだが
返り討ちにあった。
ほう…。
富岡さんは
柔道の有段者だったそうです。
いったん 署に戻って…。
それは何時頃の話ですか?
う~ん…
夜の10時過ぎだったかなぁ。
殺してやる…
そう言っていたんですね?
ああ 穏やかじゃなかったな。
ほう…。
死亡推定時刻は
午前1時から3時です。
なお マルガイの妻
奈緒子32歳は
半年前から別居中で 現在は
実家のある
前橋に住んでるそうです。
わかった。
群馬県警に
アリバイ確認の協力を仰ごう。
現時点で洗うべきは
その 別居中の妻。
一緒に酒を飲んでいた女性…。
これは 男性である
可能性もありますが…。
そして 目撃情報にあった
マルガイと もめていた茶髪の若い男
ということになります。
ところで…
みんなも気づいていると思うが
マルガイは 日和銀行の行員だ。
日和といえば 粉飾決算疑惑で
東京地検と捜査二課が
先日 ガサ入れしたばかりだ。
2つの事案に
何か 関連がないともかぎらん。
そこで 二課から
島崎警部を捜査本部に招いた。
ふだんは知能犯相手だが
こう見えて 柔道三段だ。
ご紹介のとおり
私は昔 柔道をやってました。
実は それで
被害者とは
つながりがあるんです。
同じ大学の 柔道部出身で
私が 彼の先輩にあたります。
もっとも最近は まったく
つきあいはありませんでした。
そういう間柄ですので
こちらへの出向は
辞退したんですが…。
そのことについては
河本二課長と話し合って
問題ないだろうという
結論になった。
むしろ 強みになるだろう。
ヒグっちゃん。
はい。
島崎さんには
特別班として動いてもらう。
頼むぞ。
よろしくお願いします。
お願いします。
よろしく。
いろいろと教えていただけ。
はい。
二課とは
勝手が違うかもしれませんが
なんでも
私に おっしゃってください。
お願いします。
ちょっと失礼します。
逆に 私は
金融がらみには疎くて…。
日和銀行の件 詳しく
教えていただけませんか。
まあ… 簡単にいえば 粉飾決算だ。
日和は
ずいぶん前から怪しくてね。
東京地検と捜査二課で
内偵を続けていたんだが…。
で 例のガサ入れですが…。
うん…。
大山鳴動して 鼠一匹。
大失敗だったよ。
我々は 半年あまりかけて
地道な捜査を積み上げてきた。
よし みんな!
来週頭には ガサを入れるぞ…
その結果 立件できるめどが立ち
ガサ入れに踏み切った。
飛ばしと呼ばれる手口でね。
飛ばし?
うん。
実体のない ペーパーカンパニーに
不良債権を買い取らせて
本体の損失を
見えなくしてしまう手口だ。
だが…。
見つからなかったんだ。
飛ばしの証拠が 何ひとつ…。
もちろん まだ諦めちゃいない…
だが 痛い失敗だった。
情報もれがあったんでしょうか。
その可能性も考えたが
今となっては藪の中だ。
そうですか…
やはり 二課の捜査は大変ですね。
そうだなぁ。
こう言っちゃあなんだが
殺しは ある意味 単純だ。
そうでしょうか。
今度のヤマだって 女にしろ
茶髪の若いのにしろ
痴情か怨恨だろう?
わかりやすい話じゃねえか。
捜査は 始まったばかりです。
ですが 今日はもう
新しい情報も
入ってきそうもないので
解散しましょうか。
そうか… そいつは ありがたいな。
明日は 息子の試合でね。
気合いを入れてやろうと
思ってたんだ。
柔道ですか?
ああ。
親の背中を見て 育ったんですね。
うん これは実感なんだが
子供と一緒に汗を流す。
これが いちばん有効な
コミュニケーションだと思うよ 私は。
で 息子さん今…。
大学3年だ。
私と同じ大学に入ってね。
うちは一人娘で 大学2年です。
うちはもう一人 二十歳を過ぎて
フラフラしているのがいるがね。
2人だと 大変でしょうね。
まあ 私が教えてやれるのは
柔道だけだったな。
動かない鳥で知られる
ハシビロコウです。
これは ハシビロコウが魚を捕らえる
貴重な瞬間です。
おかえりなさい。
早かったのね。
食事は?
いや いい。
そう。
丈太郎はいるか?
ええ 自分の部屋に。
体が大きいハシビロコウですが
その長い脚は…。
(ノック)
はい。
入るぞ。
なに?
どうだ? 丈太郎 調子は。
いいわけないだろ。
明日は 試合なんだ
集中しないと。
(ため息)
柔道 やめようかと思って。
富岡は死んだんだ。
何も心配しなくていいんだ。
つまり 富岡の女房には
アリバイがあると。
はい 前橋の実家にいたそうです。
ウラも取れてます。
となると マルガイと酒を飲んでいた
女性というのは…。
銀行の同僚あるいは
部下の可能性があります。
第一発見者の営業マンが
家の近くで
連れ立って歩いているのを
見たことがあるそうです。
どこかで見た顔だから たぶん
日和の行員だと思うと
話していました。
ずばり愛人
ってことじゃないですか。
よし それは本店で確かめよう。
似顔絵が出来ました。
例の茶髪の若者です。
殺してやると
叫んでたらしいですね。
そんな相手 家に上げますかね?
しかも マルガイは後ろから
殴られてます。
共犯者がいたとしたらどうだ?
たとえば 一緒に酒を飲んでた女。
女が手引きして その隙に…。
そうです!
現時点では あらゆる可能性が
考えられる 予断は禁物だ。
(一同)はい!
行こう。
はい。
島崎さんにも行ってもらうか。
本店の事情にも詳しい。
あぁ 私はガサ入れにも参加していて
面が割れています。
妙に勘ぐられる可能性も…。
そうだな。
根岸という
総務の男が出てくると思う。
それが窓口だ。
わかりました。
入行 何年目?
3年目です。
やっぱり 行内で
恋愛とかあったりすんの?
どうも お待たせしました。
根岸さんですね。
はい。 いらっしゃるときは
事前にご連絡をと
お願いしてあったはずですが。
二課ではなく 一課です。
あ…。
運用計画課にお願いします。
わかりました こちらへどうぞ。
課長の安斉です。
こちら 警視庁の…。
樋口です。
谷川です。
安斉です。
どうぞ。
富岡のことなら
昨日いらした所轄の方に
お話ししましたがね。
必要とあらば
何度でも話していただきます。
犯人の目星 ついたんですか?
申し上げられません。
まあ 自殺のようなものかも
しれませんしね。
自殺?
どういうことでしょうか?
警察の執拗な捜査で
相当まいってましたから。
自殺を示すような証拠は
何も見つかっていませんが…。
医者からは 精神安定剤を
処方されていたようですよ。
そうですか。
で 富岡さんには
銀行内に愛人がいたそうですね。
あっ いや…。
業務上のことでしたら
なんでもお話ししますが
私は 部下のプライバシーまで
把握しておりません。
お役に立てず 申し訳ありません。
慇懃無礼を絵に描いたような
男でしたね。
同じ課の人間から
話を聞き出すのは難しそうだな。
あの ちょっといいですか?
富岡さんの女性関係の噂って
聞いたことありますよね?
さあ…。
あの富岡さんが親しくしてた
行員の方って たしか えっと…。
児島さん?
あぁ 児島さんです。
もう辞めましたけど。
あっ そうなんですか。
で その児島さんについて
もう少し詳しくお話
聞かせていただけませんか?
いやぁ うまくいきましたね。
うん なんとかな。
はい。
樋口。
おぉ 氏家。 どうしてここに?
天童さんから
呼び出しをくらった ハッ。
今度は 何やらかした?
人聞き悪いよな。
少年事案だろう。
生安の協力が必要なんだとさ。
うん。
谷川です。
おっ よろしく 氏家です。
行こうか。
お願いします。
マルガイの不倫相手ですが
名前は 児島美智代 27歳。
日和銀行 総務課に
昨年の3月まで在籍していました。
証言した行員も
最近は疎遠だったということで
残っていた履歴に 試しに
電話をかけてもらいましたが
電源は切れていました。
自宅マンションに行ってみましたが
不在でした。
メールボックスに
郵便物が残っていたので
数日帰っていない
可能性もあります。
あ~ プンプンにおいますね。
高飛びしてるかも。
よし ガサ令状を取る
朝一番で乗り込もう。
(一同)はい!
すまんな 氏家 頼んだぞ。
おっ。
はい 粉骨砕身の覚悟で。
そこまでしなくていい。
え?
あ そうですか…。
あぁ これ被害者は
街で不良グループに絡まれた。
ところが 相手にせず
それで頭にきたのか
たまたま近くに住んでることを
知った そのグループの中の1人が
親父狩りのつもりで
ちょっかいを出した。
ところが 相手は柔道の有段者。
返り討ちに遭って
殺意にまで発展したと
そんな筋書きかな?
まあ 可能性の1つだがな。
おっ それよりどうだい?
これから 1杯。
あんたのおごりで。
相変わらずだな お前。
いいじゃないか 討ち入りだ!
あぁ…。
行ってもいいが 条件がある。
ん?
島崎さん。
はい。
どうですか?
あぁ アハハッ。
そういや
例の茶髪の若者だけどな
まあ 一応うちの資料と
つきあわせてみるけど
あんまり期待しないでくれよ。
この辺りには
タチの悪い若いのが多いし
どれもみんな
似たような格好してるからな。
うん。
お待たせしました。
おっ。
島崎さん… 先輩。
あぁ すみません。
まあ お互い外様の身ですから
せいぜい
樋口の筋読みが外れないよう
祈りましょうや。
(笑い声)
島崎さんがいてくださると
心強いです。
いやぁ 私はオブザーバーだよ。
いや 教えていただきたいことは
たくさんあります。
たいしてないよ
話せることなんて。
いやいやいや…。
島崎さんのところも
うちと同じで
お子さんが大学生なんだ。
あっ そうなんですか?
そういや 照美ちゃん
どうなんだよ 最近。
ん~ 二十歳になったら
もう 大人気取りだ。
何でもできるつもりでいる。
子供の心配をしないで済む
俺は幸せだ。
ああ そろそろ失礼するよ。
あっ そうですか。
あ~ 大丈夫ですって 樋口が。
はい。
ああ そう… それじゃあ。
あっ 大丈夫ですか?
ちょっと島崎さん。
大丈夫ですか?
いやぁ
たいして飲んでもないのに。
歳だね。
あっ 樋口君。
はい。
明日は 私 一人で回るから。
柔道関係 当たってみる。
天童さんによろしく。
ありがとうございました!
島崎さん 大丈夫かな。
ん? ああ。
(サイレン)
児島さん!
樋口さん。
うん…。
ちょっと。
慌てて出てったのは
間違いなさそうですね。
うん。
ちょっと見てください。
これ。 旅行中のようですね。
ネットで予約してます。
沖縄か。
事件の翌日です。 那覇マリンホテルに。
見づらいな かけてくれ。
はい?
あっ はい。
どうぞ。
(呼び出し音)
那覇マリンホテルです。
あっ もしもし?
お泊まりの
児島美智代さんなんですが。
児島様ですか?
児島様でしたら
先ほど お発ちになりましたが。
そうですか。
あの どちらに行かれたかは…。
ありがとうございます。
ちょっとお待ちください。
チェックアウトしてる 行き先は不明だ。
もしもし…。
(ため息)
どういうことなのよ。
なんで私の部屋が
家宅捜査されんのよ。
えっ? いいわよ 電話で
話しててもしようがないから
今から行くわ。 うん じゃあね。
事件現場で マルガイと飲んでいたのは
やはり児島美智代でした。
指紋が一致しました。
そうか。
それと もう一つ
児島美智代の部屋から
別人の指紋が採取されましたが
それがゴルフクラブの指紋と
一致しました。
マルガイの指紋じゃないのか?
違います。
どういうことだ。
はい 失礼します。
第3の人物がいたということです。
事件当日 児島美智代は
マルガイの部屋にいた。
しかし ゴルフクラブで殴ったのは
別の人物です。
そして この第3の人物は
児島美智代の部屋にも
出入りしていました。
児島美智代との共謀か。
その第3の人物とは誰だ?
やはり 例の茶髪の若者が。
銀行関係者かもしれません。
銀行か。
なんですか さっきから。
聞きたいことがある。
何?
エージのことだ。
エージ?
やはり 銀行はガードが固いですね。
銀行というより安斉課長だ。
固すぎるよ。
あっ 島崎さん!
鑑取りのほう どうですか?
うん… 収穫なしだ。
島崎さん。 二課で押収した資料
閲覧できますか?
なぜだ?
こっちの事案とは関係ないだろ!
すみません 説明不足でした。
日和の安斉課長に
指紋採取を拒否されました。
指紋なら
もうお渡ししてますよね?
は?
書類に手帳 フラッシュメモリー。
ゴミ箱に捨てた付箋。
二課が持ち出した資料から
いくらでも採れるでしょう。
あ それと
富岡のゴルフクラブですが
私が譲ったものでね。
ほう そうなんですか。
ええ だから
私の指紋なら
ついているはずです
自分から予防線を張ったんですよ。
何かあると思われても
しかたないですよね。
そういうことか。
だったら資料の件は
河本課長にかけ合ってみよう。
谷川君 一緒に来てくれ。
あっ はい。
キミたち ここで何してんのかな?
誰か待ってんの?
ちょっとおい
通行の邪魔になるからさ
向こう行こうよ ねっ。
やめろよ。
この子 知らない?
知らねえ。
知らない?
目障りなんだよ てめえら。
おめえらの場所じゃねえだろ。
こっちだって
遊びでやってんじゃねえんだよ!
よせよ エージ こいつらやばいって。
おい てめえ!
ゴチャゴチャうるせえんだよ コラ!
てめえもだよ。
おいお前たち 何してる!
やべえ マッポだ!
おい 逃げろ!
ちょっと 待て! おい!
大丈夫か? ん?
ちょっと待ちなさいって!
あ~ もう あんなやつらとは
関わらないほうがいいぞ?
だって絡んでくるんだから
しようがないだろ。
よそで遊べよ よそで。
そういうわけにはいかないんだよ。
なんでだよ ここで何してんだよ。
ダンスだよ!
ダンス?
皆さん まだまだラストまで
盛り上がっていこうぜ。
よろしく~!
(一同)フゥ~!
~
さあさあ皆さん まだまだ
元気出るんじゃないかい?
どうだい?
(一同)イェーイ!
~
さあ それでは
登場してもらいましょう。
スーパースター タエちゃん。 レッツ ゴー!
(歓声)
~
(2人)乾杯。
あ~ おいしい!
タエさん ほんとすごい。
ありがと。 大事なのはね ビートよ。
それを体全体で感じること。
ビートかぁ。
そう。
ねえ 今日はエージ 来てないの?
あ~ そうみたいね。
あっ 会いに来たんだ。
いや そうじゃないけど。
ねえ あのおじさん
さっきからこっち見てる。
えっ? どうしたの!?
また会ったわね。
知らねえよ。
あなたが誰なのか知って
ビックリした。
あなたがやったんでしょ?
父さん?
丈太郎。
やっぱり隠しておけないよ。
元はといえば俺が…。
お前は 利用されただけだ!
何もしてない!
断れなかったんだ。
大先輩だから。
わかってる。
お前 このこと誰かに話したか?
まさか。
でも 俺と父さんが話してるの
聞かれてたみたいだ。
(バイブ音)
もしもし。
島崎警部?
私 児島美智代。
えぇ?
話がしたいの。
話って何だ?
わかるでしょ?
私 しゃべるわよ 全部。
何をだ。
とぼけるつもり?
あなた
自分の立場わかってないのね。
富岡に聞いたのか?
島崎先輩。
やっぱり先輩だ。
富岡です。
先輩 どうしてこんなところに?
あぁ アハハ。
あ~ そうか アハハハハ。
いらっしゃいませ。
島崎様でいらっしゃいますか?
あぁ はい。
お待ち申し上げておりました。
どうも先輩。
わざわざありがとうございます。
どうぞ。
あぁ…。
上がってください。
困るよ富岡 警察官 安月給なんだ。
ご心配なく。
これでも交際費枠は
結構 持ってるんですよ。
うん…。
この前 丈太郎君に
ばったり会いましたよ。
うん。
もう就活なんですね。
早いもんだ。
なんでも
金融業界に興味があるとか。
う うん。 ヘヘ。
先輩 お願いします。
家宅捜索の日取りを
教えてください。
お願いします!
ふざけんな!
そんな話なら 俺は帰る!
丈太郎君は教えてくれましたよ。
父親が
日和銀行の内偵をしていると。
彼のことを警察に知らせることも
できるんですよ。
貴様…。
まあ先輩 お座りください
富岡は就職をちらつかせて
息子に取り入った。
先輩には絶対逆らえない。
柔道部のしきたりを利用したんだ。
こんな大金
勝手に振り込みやがって。
買収しようたってそうはいかん。
日和から200万の振込があり
先輩は それを引き出した。
その記録は残っています。
私だって
こんなことはしたくありません。
でも日和は 私のすべてなんです。
丈太郎君の就職は
なんとでもします。
お願いです 先輩。
家宅捜索の日取りを…
ひどい人ね 富岡も。
死んで当然だ。
何がおかしい。
富岡を殺したのは私じゃない。
あなたは それを知ってる。
私も知ってる。
犯人に会ったもの。
会った?
私 お金が欲しいのよ。
用立ててくれないかしら。
何をバカな…。
取り引きよ。
私は これから警察に行って
全部話す。
でも 真犯人のことは話さない。
これが条件。
冗談じゃない。
犯人が捕まって
困るのは あなたでしょ。
ほらね もうすぐ ご飯だから。
免許証で身元が確認されました。
児島美智代です。
首を絞められた際に
相当 抵抗したようで
爪の中に皮膚組織の一部が
残っているそうです。
科捜研に回して
解析してもらってます。
所持品の中に携帯電話は?
見つかってません。
バッグに本人以外の指紋が
付着してましたから
持ち去ったか 川に捨てたか。
あぁ 望み薄ということだな。
電話会社に
通信記録の開示を依頼してます。
指紋のほうは
こちらのデータと照合中です。
すぐに結果が出ると思います。
島崎さん。
ちょっと よろしいですか?
児島美智代の死に
何か思い当たることが
あるんですか?
なんのことだ。
電話会社に彼女の
発信履歴の開示を求めています。
彼女が
誰と連絡を取っていたのかは
すぐにわかりますよ。
何が言いたいんだ!
島崎さん!
何か隠していることがあるなら
話していただけませんか。
俺が児島美智代をやった。
そう思ってるのか?
そうは思っていません。
ですが 疑われるのは損です。
もちろん 答えはノーだ。
それ以上 何も話すことはない。
島崎さん 私を信じてください。
今なら まだ間に合います。
まいったな
確かに あんたの言うとおりだ。
隠しても事態が悪くなるだけだ。
失礼します。
児島美智代の番号ですね。
あぁ。
会ったんですか? 彼女と。
うん。 だが…。
天童さんと 3人で話しましょう。
会って 何を話したんだ?
助けてほしいと言われました。
「自分は富岡を殺していない。
信じてほしい」と。
それで?
とにかく
警察に出頭しようと説得して
承知させました。 しかし…。
油断しました。
どうして 黙っていたんだ?
島崎さん。
功を焦りました。
児島美智代から
真相を聞き出して
出頭させることができたら
外様の私には 大手柄です。
再来年には私… 退官なんです。
何か 勲章が欲しかった。
申し訳ありませんでした。
迷惑かけて すまなかったね
樋口君。
いえ また飲みに行きましょう。
児島美智代のバッグから
検出された指紋は
やはり 第3の人物のものでした。
一致したのか?
はい。
富岡さん殺しの第一容疑者だった
児島美智代が殺された。
この2つの殺害現場 そして
児島美智代の部屋から
採取された指紋は いずれも一致。
つまり 第3の人物が
この2人を殺害した可能性は
かなり高いでしょう。
これらの指紋
そして 児島美智代の爪に
付着していた 皮膚の組織
その人物を割り出せれば…。
やはり この
茶髪の若者が最有力か…。
富岡さんに返り討ちにあって
恨みを抱いてた。
児島美智代との関係で考えると
銀行関係者も有力です。
特に その安斉課長だな。
富岡のゴルフクラブですが
私が譲ったものでね。
ほう そうなんですか。
えぇ。 だから 私の指紋なら
ついているはずです
問題は動機だな。
今のところ構図が見えてこない。
動機と証拠 両方揃わないかぎり
手出しはできんぞ。
うん。
そうだな。
よし! 銀行周辺は
ヒグっちゃんに引き続き
当たってもらうとして
茶髪の身柄確保に全力をあげよう。
わかりました。
だが 銀行関係者から
指紋取れませんかね。
ああ 問題は そこだ。
島崎さんは これを見てから
単独捜査するようになったり
行動が おかしくなった。
そういえば
ちょっと様子が変だったな。
気づいていたのか。
ゆうべ そいつと似たやつを
見かけたんだがな 逃げられた。
本当か? どこで?
知ってどうすんだよ。
いずれ網にかかる。
その前に俺が会いたい。
どうした?
島崎さんが そいつを
かばい立てしてるから。
そういうことか?
何か話せないことがあって
苦しんでるのは確かだ。
だから あんたが説得して
そいつを自首させる。
それじゃあ
島崎さんと同じ発想じゃないか。
捜査としては邪道だな。
まぁ あんたらしいけどな。
ただし…。
ん?
(ラジカセから流れる音楽)
~
お父さん。
ちょっといいかな。
おい!
おい!
おい!
どういう つきあいなんだ?
友達に誘われて
クラブのダンスイベントに行ったの。
そこで
ダンサーの人に紹介してもらって…。
いつも あそこで
練習してるって聞いたから
それから時々。
ダンスか… 興味があるのか?
そうよ。 いけない?
ダンスが悪いというわけじゃない。
そうは聞こえないけど。
実際 危ない目に遭ったことも
あるんだろ?
氏家さんから聞いたのね?
うん。
でも 助けてくれたのは 彼なのよ。
おう 姉ちゃん
ちょっと飲み行こうぜ。
やめてください!
やめろ! 離せよ!
目障りなんだよ てめえら。
さっさと
どきゃいいんだよ この野郎!
氏家さん!
あぁ 照美ちゃん どうした?
お願いです 助けてください。
え?
こっちです。
てめえもだよ。
おい お前たち 何してる!
やべえ マッポだ。 おい 逃げろ!
待て! おい!
お前が知ってるのは
彼の一面だけだろう。
でも お父さんより私のほうが
エージのこと知ってる。
エージ? それが名前か。 苗字は?
知らない。 ただのエージよ。
みんな そう呼んでる。
島崎じゃないのか?
だから 知らないって!
何? 取り調べ?
いや そういうつもりじゃない。
ただ 彼は重要参考人だ。
じゃあ いいわ。
ちゃんと取り調べて。 答えるから。
お前が心配なだけだ。
私は いつまでも
お父さんの価値観に合わせて
生きてるわけじゃないよ。
大人として扱ってくれって
ことなんじゃないのかしら。
俺は 父親で刑事だ。
それは変えられん。
そうね。 でも今回は
あの子の言い分のほうが正しいと
私は思う。
こんにちは。
ごめんね。 警察なんだけど
この子 知らないかな?
知らない。
知らない?
知らないっすよ。
何だって? 児島美智代と?
えぇ。
それらしい若者が会っていた
という目撃情報が取れました。
確かなのか?
えぇ。
何か もめていたようだったと。
つながったな。
はい。
2人は共謀して富岡を殺し
その後 仲間割れして
茶髪が児島を殺した。
断定はできんが…。
谷川 銀行のほうはどうだ。
動機のありそうな人間を
洗ってますが なかなか…。
そうか。
ところで ヒグっちゃん どうした?
今日は1人で動くと
言ってましたね。
1人で?
えぇ。
何 調べてんだ?
さぁ。
柔道をやっていた?
彼がですか?
あぁ。 思い出したんだ。
あの時
富岡さんが言ってたんだよ。
変わったな。
キミも柔道を続けていれば もっと
マシな人間になれたろうにな
なるほど。 そうだったんですか。
どうも ありがとうございました。
ワン アンド ツー スリー フォー。
ファイブ アンド シックス セブン エイト。
ワン ツー スリー フォー。
ファイブ シックス セブン エイト。
ワン ツー スリー フォー ファイブ シックス…。
ちょっと待って それ やめようか
つまんないんだよね。
ワン ツーでかぶさって
一緒にやってみない?
せ~の ワン ツー。
ワン ツー スリー。
で その時 ここ持ってもらって…。
(2人)ワン ツー。
で スリー フォーで…。 フォー。
で ファイブでエージが前に。
ファイブ…。
そうそうそう。
ワン。
ツー せ~の。
ワン ツー スリー フォー ファイブ。
ごめん。
え?
今日 やめるわ。
え? 調子悪いの?
いや そういうわけじゃ
ないんだけどさ…。
乗んねえんだわ。
えっ?
あ… ちょ… ちょっと待ってよ。
ねえ エージ… ねえ! ちょっと…。
最近 変だよ エージ。
家で何かあった?
何もねえよ。
どうせ 家じゃ
俺は透明人間だからな。
ねぇ 話して。 隠されるのは嫌。
タエに迷惑かけたくねえんだよ。
あんたはダンスを
逃げ場所にしてるよ。
そうだな。
俺は タエと違って
ニューヨーク行って プロ目指すなんて
夢の夢だよ。
エージ 私 知ってるんだよ。
警察の人が来たの。 正直に話して。
大事なことなんじゃないの?
そうか。 で…
天童さんの読みはどうなんだ。
だいぶ 茶髪の犯行という線に
傾いているようですね。
児島美智代との接点が
見つかったわけですから。
ああ。
とにかく
早く戻ったほうがいいですよ。
風当たり強くなってます。
もう少し 1人で動きたいんだ。
指紋の照合はまだか?
二課から預かった資料は膨大で…。
結果が出たら連絡します。
はい。 わかりました。
ええ。 富岡さんの昔の教え子でね。
お兄さんと違って中学に入って
柔道はやめてしまったようですが。
お兄さんの名前は
島崎丈太郎君ですね?
ええ そうです。
彼… 弟さんの名前は?
島崎…。
英次君だったかな。
島崎英次君…。
そうですか。 やっぱり…。
おい英次 どこ行くんだよ。
関係ねえだろ 兄貴には。
ひでえ格好だな。
変わったよな お前も。
笑えるね。
一緒だな 富岡の言いぐさと。
富岡さん?
(丈太郎)まさか… 会ったのか?
おい 英次!
兄貴も親父も富岡も
みんな同じだよ。
先輩だ後輩だって くだらねえ理屈
振り回しやがって。
そんなんだから富岡の野郎に
はめられたんだろ!
やっぱり… 聞いてたんだな。
親父と部屋で
ギャーギャー騒いでたじゃねえかよ。
筒抜けなんだよ。
まったく マヌケな話だよな。
いいように ゆすられて
手も足も出ねえなんてよ。
バカじゃねえの。
だから 俺が行ったんだよ!
丈太郎!
おうおうおう… 暴力か?
柔道やってる人間が
そういうことでいいんだっけ。
丈太郎!
お前なのか…。
は?
なんだよ どけよ。
お前がやったのか!
うるせえんだよ!
英次!
あ すみません ちょっと
うかがってもいいですか?
はい。
あの~ 富岡さんの…。
もう いいかげんに
してもらえませんか。
帰っていいよ。
それとも 上に直接
お話ししたほうがいいですかね。
~
ほら英次 ほら笑って笑って
ほら もっと兄ちゃんとこ寄って。
お父さん早く!
はいはい わかった! ハハハ…。
おめでとうな。
(タイマーの音)
英次 お前も頑張れよ。
うん。
よし 来るぞ 写真
(タイマーの音)
(シャッター音)
~
(ドアが開く音)
お父さん待って 話があるの。
何だ。
エージが疑われてるのって
銀行の人が殺された事件でしょ?
そうだ。 彼は重要参考人だ。
エージじゃないわ。 彼は無実よ。
彼をかばいたい気持は
わかるが…。
違うの 聞いて。
私 一緒だったの 彼とその晩。
え?
その事件って 私が
朝帰りした日のことでしょう?
それなら間違いないわ。
あの日 ひと晩中…。
朝までずっと彼と2人でいたの。
なんだって…。
だから 彼は無実なの
アリバイがあるのよ。
私 警察に行って証言する。
まずは 本人から話を聞く。
だから その必要はないって…。
お前が決めることじゃない。
信じてあげたらどうです?
あなたの娘なんですよ。
信じてるさ。 誰も疑ってなんか…。
照美は
もう一人前の大人なんですよ。
~
一度で済まないもんかね。
こう何度も来られたら迷惑だよ。
すみません。
例の茶髪の若者なんですが…。
この男では?
ああ… そうだね。
髪の色は違うけど
確かにこの男だよ。
間違いありませんか?
はい。
~
(歓声)
~
終わるまで待ってやれよ。
話してくれないか?
エージ。
大丈夫だから
ほら行って 行って。
ほら いいから。
キミの口から
本当のことが聞きたい。
キミのお父さんのためにも。
笑えるね。
私を信じてくれ。
私もキミの言うことを信じる。
約束する。
どこ行くんだ。
ションベン。
例の茶髪。
島崎さんの息子って本当ですか?
ああ。
本人に直接 話聞いたほうが
早いんじゃないんですか?
まあ 待て。
天童だ。 何かしゃべったか?
いや まだ時間かかりそうですね。
それなら ちゃんと
任意で署に呼ぶべきだろう。
慎重にやってくれ。
管理官。
ちょっと待って。
児島美智代について
ひとつ わかったことが。
こっちから かけ直すよ。
児島美智代には
もう一人 男がいたとさ。
富岡さんの他に。
二股ってことか。
しかも同じ日和銀行らしい。
誰かまでは わからんが。
動機を持った人間が もう一人
銀行にいたということか。
うん。 谷川が引き続き動いてる。
おおっ。
なんだよ
帰ったのかと思ったよ。
もうやめよう 今日は。
私は 自分の聞きたいことしか
聞こうとしなかったからな。
ああ それから
娘のこと
助けてくれてありがとう。
引き止めて悪かったな。 氏家。
タエは信じてくれたよ。
ん?
俺の話。
俺たちには ビートがあるからな。
乗れてなきゃ
一発で バレんだよ。
ウソは通じねえ。 必要もねえ。
じゃあ
事件のあったその夜
富岡さんの家の前までは
行ったんだな。
何時頃だ?
知らねえよ。
時計なんて持ってねえから。
だいたいで いいんだよ。
10時くらいだと思う。
なんで行ったんだ?
ダンスの練習してるところに
野郎が通りかかってよ
笑ったんだよ。
くだらねえものに
染まったなとか言いやがって。
それで因縁をつけに行ったと。
ああ そうだよ。
でも やられちまった。
殺してやろうと思ったよ。
思っただけじゃなくて
本当にやったんじゃないのか?
氏家。
できなかったんだよ。
女がいたし。
それは この女性か?
たぶんな。
お前
この女性と会ってたらしいな。
わけわかんねえこと言って
絡んできたけど
会ったのは その2回だけだよ。
話を戻そう。
富岡さんの家に
この女性がいたんだな。
でも
しばらくしたら帰ってった。
そしたらすぐに 今度は
サラリーマン風のおっさんが来たんだよ。
おやすみ。
おやすみ
この男か?
顔は よくわかんなかった。
そうか。
とにかく
俺は 日付が変わる前に帰ったよ。
証明できるのか?
アリバイってことか。
ああ。
朝まで1人で
ダンスの練習してたからな。
いいんですか?
島崎英次には アリバイがありません。
だが 犯人だという証拠もない。
拘束する理由も
逃亡する恐れもないだろう。
警察官の息子だからですか。
何かあったら身内に甘いと
マスコミに叩かれますよ。
指紋とDNAの鑑定結果が出れば
はっきりしますよ。
1人つけたほうがいいですよ。
何かあってからでは遅い。
英次君。
いいんだ 樋口君。
容疑は晴れてないようだな。
いや
そういうことではありません。
ただ 全部 話してくれたわけでは
ないようです。
知っていたんだな
私の息子だって。
島崎さんが苦しんでいる理由は
何かと考えていました。
苦しいんじゃない。
怖いんだ 私は。
怖い?
あいつのことが… 怖い。
何を考えているのかわからない。
いつの間にか
そうなってしまった。
キミには 礼を言わなくちゃならん。
ありがとう。
島崎さん。
私が 富岡に情報を洩らした。
全部そこから始まったんだ。
樋口さん。
おお。
二課の資料から採取した指紋
照合が終わりました。
一致したものがあります。
おそらく 児島美智代の
もう一人の愛人は…。
笑えるね。
こちらの刑事さんには
申し上げたんですが。
これを最後にしてほしいですね
樋口警部。
ええ そうなると思いますよ。
失礼。
あっ エージ。
話がしたい。
私をつけてたの?
エージ この人 警察…。
親父だよ。
えっ?
息子と話がしたいんだ。
悪いが帰ってくれ。
事件当夜 犯人は
児島美智代さんが
立ち去ったあとを見計らって
富岡さんの家を訪ね
犯行に及んだ。
そして 児島さんに
沖縄に行くように促した。
彼女を犯人に見せかけるためです。
なぜ そんなことができたか?
犯人が
彼女の愛人だったからです。
教えていただいたとおり
凶器のゴルフクラブからは
安斉課長
あなたの指紋が検出されました。
当たり前じゃないですか。
私が譲ったものなんですから。
それとは別の
新しい指紋も検出されました。
そうですか。
ここが お前の見つけた
世界ってことだな。
簡単に言うなよ。
あんたに ダンスの何がわかんだよ?
ああ わからん。
さっぱり わからん。
話って何だよ?
話か…。
いろいろあったんだが もういい。
久しぶりに お前と まともに
言葉を交わすことができた。
それで十分だ。
俺は やってない。
この期に及んで シラ切るな!
お前は 罪を犯したんだ。
それは あんただろ。
でも安心しな。
俺は 警察には言ってない。
犯人の計画が狂ったのは
自分に容疑がかかってると
知った児島さんが
東京に舞い戻って
きてしまったことだった。
本当は 沖縄に追いかけていって
殺害するつもりだったんでしょう。
罪の意識に耐えられず
逃亡のすえ
自殺したと見せかけてね。
おもしろい推理ですね。
犯人は 児島さんが
警察に出頭すると主張したため
口封じに殺害した。
想定外の事態だったので
手口も荒かった。
児島さんの爪の間には
首を絞められた際
抵抗して 犯人の体を
かきむしったときに付着した
皮膚組織があった。
DNA鑑定で 持ち主がわかれば
決定的な証拠になります。
そうですか。
でも 私じゃない。
ええ。
根岸さん あなた
富岡さんが殺害された日
彼の家に行っていますね?
いえ… 私は…。
ゴルフクラブから検出された
最近の指紋は
根岸さん
あなたのものでしたよ。
違う。
あなた 児島さんとも
プライベートでは
ごく親しい関係ですよね。
おい 暴れるな!
(バイブ音)
天童さん こちらは
無事 終わりました。
そっちに
島崎さんが行ってないか?
島崎さん? いえ。
河本二課長から
電話があったんだ。
一課の応援を頼まれたと言って
島崎さんが 拳銃を
携行していったらしいんだ。
拳銃?
奥さん 落ち着いてください。
で なんて書いてあるんですか?
「いろいろ苦労をかけて
申し訳なかった」と。
それだけ…。
ケータイも家に置いたままで
連絡がつかないんです。
とにかく
落ち着いて待っていてください。
おい 樋口! 島崎さんがな。
島崎さんが… あっ。
タエって ダンサーの子から
連絡があった。
島崎さんが
英次君を連れ出してる。
場所は?
あの例の あの ほら…。
いい!
責任逃れをするつもりはない。
けじめはつける。
けじめ?
育て方が悪かったんだ。
お前を人殺しにしたのは 俺だ。
あんた 耳ついてんのか?
俺は やってねえって
何度も言ってんじゃねえか!
信じろというのか?
信じねえのかよ?
今は もう無理だ。 英次…。
英次 お前も頑張れよ!
うん!
なぁ よし ほら!
やってらんねえよ。
もう終わりだな。
英次…。
なんでだよ?
なんでだよ!
な… なんで
信じてくんねえんだよ!
(サイレン)
座れ。
お前を殺して 俺も死ぬ!
島崎さん 銃を下ろしましょう!
すまん!
私にはもう こうするしかない!
近づくな!
島崎さん!
犯人は 根岸です。
もう逮捕しました。
英次君じゃない!
ウソをついても無駄だ!
英次君には アリバイがあります!
アリバイ?
それを証明する人間もいます。
誰だ!?
樋口照美… 私の娘です。
娘は 事件当夜
午前0時から朝まで
英次君と ずっと一緒にいたと
証言しています。
英次君ではありえない。
英次君は 娘と私を気遣って
黙っていてくれたんです。
本当なのか?
誰の言うことだったら
信じんだよ!
だったら なんで
富岡のところへ行ったんだ!
あいつのことが許せなかった。
透明人間の俺なら
何をやったって…。
そうなのか?
あいつのせいで
親父と兄貴が苦しんでるのを
見てるだけなんて たまんねえよ!
そうなんだな。
すまなかった…。
英次 すまなかった。
すまなかった… すまなかった…。
(泣き声)
よかった… よかった。
元はといえば 日和の飛ばしの
手口を隠ぺいするために
富岡を使ったんだな?
富岡のやつ ビビったんだ。
これ以上 捜査情報を聞き出すのは
嫌だとぬかした。
それなら 私がやるから
お前が落とした刑事の名前を
教えろと言ったら
それはできない
警察にすべてを暴露するか
銀行を辞めると言い出した。
柔道何段だか知らないが
肝っ玉は小さかったよ。
それで 口封じのために
殺したんだな?
もうやめましょうよ
こんなこと。
いずれ 査察が入ります。
そうだな そろそろ潮時かもな。
やっ!
うわっ!
~
児島美智代については?
もともとは 私の愛人だった。
それが 富岡にも誘われたんだ。
根岸さんには内緒でつきあおう
と言われたらしい。
なるほど
それでどちらの部屋にも
つきあってる痕跡が
残らないようにしたんだな。
だが 美智代はドライな女でね。
富岡のことも 逐一
私に報告してくれた。
それで 知らぬは富岡ばかり
という状況になった。
ああ わかった
でも じゃあ待って
お金どうするの?
うん わかった お願い
美智代には 富岡が逆上して
キミを殺すと騒ぎ出したから
しばらく姿を隠していろと
言っておいた。
だが…。
どうすんの?
私ほんとに 警察行くわよ。
まあ待てよ。 俺がまとまったもの
用意するからさ。
それで 海外にでも
飛んでてくれよ。
100万や200万のはした金じゃ嫌よ。
ねぇ わかってんでしょうね?
ああ もちろんだよ。
俺とお前の仲じゃないか
ウソなんかつかないよ
騙していると知られたのが
ちょっと早すぎた。
刑事に会ったと聞いて 慌てたよ。
このままだと 私がやったと
知られてしまう… そう思った。
美智代には
かわいそうなことをした。
だが しかたがなかった。
しかたがない?
すべては会社のためだ。
あんたたち警察だって
組織が大事だろう。
銀行だって同じなんだ。
そういうのをな
組織ぐるみの犯罪っていうんだ。
だが あんたがやったことは
組織のためなんかじゃない。
ただの自己保身だ!
~
いつも来てるのか?
彼が出てるイベントには。
まあね。
終わってから飲みに行って
また盛り上がったり。
気がついたら朝なんてことも
しょっちゅう。
そうか…。
やましいことはしてないよ。
そんなこと言わなくてもいい。
お前も もう大人なんだ。
~
照美 先行ってる。
あれ? どうしてここにいるんだ?
久しぶりに
焼き肉でも食べに行きましょう。
うん 照美呼んでくる。
あ… あなたと2人で行きたいの。
うん。
~
捜査情報の漏洩
絶対 許されない行為だ。
児島美智代に会ったのも
彼女がそれをネタに
ゆすってきたからだ。
富岡も 児島美智代も
あなたの親心に
付け入ろうとしたんです。
これから 二課に出頭して
全部話す。
その前に キミたちにと思って。
何の話でしょうか?
えっ?
二課の事案は
解決に向かっています。
今さら そのことが公になって
いったい 誰が得をするんですか?
誰も いやしない。
黙ってろというのか?
いや… 警察官として
それはできない!
それでは
取り引きをしましょうか。
取り引き?
ええ。
私は ある殺人未遂事件について
報告をあげていません。
それに目をつむって
もらえるなら
そちらの捜査情報を洩らした件も
忘れることにしましょう。
殺人未遂って?
私の知り合いに
気の短い男がいましてね。
早とちりして 自分の息子に
銃を突きつけたんです。
まあ その一方で
娘かわいさのあまり
重要証言を
上に報告しなかった
やわな捜査員もいますが。
な? 氏家。
えっ? 俺には子供がいないから
よくわかんねえや。
島崎さん あなたは このことを
一生忘れないでしょう。
私もです。
それが 我々にできることじゃ
ないでしょうか。
~
英次君 ニューヨークに行くと
言ってるそうだ。
ああ ダンスだって
立派な生き方だ。
俺たちには なかなか
理解しがたい世界ではあるがな。
うん あんな轟音の中にいたら
難聴になってしまう。
それに あの重低音か
腹にこたえてしかたない。
ドンツク ドンツク… ビートだな。
ビートだ。
なあ樋口 ビートってのはな
もともと 心臓の鼓動
ハートビートからきてんだ。
ほう。
人間は一生のうち 約23億回の
ハートビートを打つといわれてる。
じゃ俺たちはもう
3分の2くらいきてるから
あと 7~8億回かな。
そうか じゃあその残りの
7~8億回 お前何に使う?
うん そりゃまあ 家族だろ。
お前は?
まあ 俺はやっぱり
いつまでもきれいな姉ちゃんと
ドキドキしてたいもんだね。
お前なんか
もうドキドキすることないだろ。
するさ 家族にだってドキドキするよ。
嫁にも娘にもドキドキする。
でもまあ いちばんドキドキしてるのは
照美ちゃんだろうけどな。
ん? どういうことだ?
えっ だって
あの夜 英次君と2人っきりで
朝まで何を。
わかった…。
もういいよ その話はいいよ氏家。
わかった じゃあドキドキに乾杯!
ビートに乾杯!
はい 乾杯。
はい。