田村正和さん追悼特別番組古畑任三郎ファイナル~ラスト・ダンス~[字]…のネタバレ解析まとめ

出典:EPGの番組情報

田村正和さん追悼特別番組古畑任三郎ファイナル~ラスト・ダンス~[字]

一緒に踊って頂けますか?最後の殺人者は、特に美しく特に哀しい女性…。先月お亡くなりになられた田村正和さんを偲び、古畑シリーズ屈指の完結篇をお届けします

番組内容
テレビ局。颯爽と廊下を歩く加賀美京子こと大野かえで(松嶋菜々子)。すれ違うスタッフは皆一様に売れっ子の作家であるかえでに挨拶する。かえでが手がけた連続ドラマの完成披露試写が行われ、作品の出来に満足の様子である。
打ち上げ会場。大勢の関係者の中、壇上でスピーチするかえで。派手目なメイク、女優を思わせるような衣装。社交的な彼女はいつも華やかなスポットライトを浴びている。
高級マンションの一室。
番組内容2
パソコンの前でキーボードを叩くもみじ(松嶋=2役)。化粧もせず、地味な装いの彼女はかえでの双子の姉であり、もう一人の加賀美京子。外出も滅多にせず不器用で、妹のかえでとは大違い。
カフェテラス。ダンスの教本を手に座っている男。ご存知・古畑任三郎(田村正和)。車が止まり、駆け寄るかえで。古畑は、かえでが手がけた連続ドラマの監修として以前からかえでと面識があり、次回作の打ち合わせに来ていたのだった。
番組内容3
古畑はかえでの魅力にすっかり虜になっているようだ。実は、打ち上げの日、2人はダンスホールへと抜け駆けしていたのだ。チークダンスを踊る2人、華麗に踊るかえで、慣れないステップの古畑、つい足を踏んでしまう…。バランスを崩すかえで。そして抱き合ったままの2人―。
急に姉・もみじに呼び出され、早々に店を去るかえで。戻りを待つ古畑だったが、このときすでに彼女の計画は実行されていたのだった…。
出演者
田村正和 
松嶋菜々子 
西村まさ彦 
小日向文世 
石井正則 
松金よね子 
ほか
スタッフ
【脚本】
三谷幸喜 
【企画】
石原隆 
【プロデューサー】
関口静夫 
柳川由起子 
【演出】
河野圭太 
【音楽】
本間勇輔

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

テキストマイニング結果

ワードクラウド

キーワード出現数ベスト20

  1. 古畑
  2. 杉浦
  3. 先生
  4. 自分
  5. 西園寺
  6. 彼女
  7. お姉さん
  8. 刑事
  9. 今泉
  10. 加賀美
  11. ピンキー
  12. 仕事
  13. 電話
  14. ビンゴ
  15. 海老沢
  16. 京子
  17. 殿山
  18. 無理
  19. ドラマ
  20. 失礼

解析用ソース(見逃した方はネタバレ注意)

   ごあんない

解析用ソースを読めば、番組内容の簡易チェックくらいはできるかもしれませんが…、やはり番組の面白さは映像や音声がなければ味わえません。ためしに、人気のVOD(ビデオオンデマンド)サービスで、見逃し番組を探してみてはいかがでしょうか?

全て無料!民放各局の動画視聴ができるTVer(ティーバー)!まずはココから → 民放公式テレビポータル「TVer(ティーバー)」

他にも、無料お試し期間のあるVODサービスが増えてますので、以下バナーから各社のラインナップを調べてみるのもいいかもしれませんね。





ABEMA



created by Rinker
ポニーキャニオン
¥2,750 (2021/09/24 22:15:52時点 Amazon調べ-詳細)

(ブルガリ)「あなた たった今 ここで
わたしの目の前で

遺言状 隠しましたね?

それも 絶対に
捜査の手が 届かない場所に。

いくら わたしが探しても 普通は
絶対に 気づかない場所に。

それは
わたしの 背中です!」

「あなたを 逮捕します」

(殿山)傑作ですね。
(かえで)演出 よかったね 意外に。

フフッ。 意外にっていう
言い方も どうかと思うけど。

小手川 聞いたら もう
泣いて 喜ぶと思いますよ。

(小手川)えー。 ラストの テロップは
もう ちょっと

出を遅らせますんでね ブルガリの顔に
かかっちゃってね。 ダメだな。

先生から お褒めの言葉を
いただきましたよ。

(小手川)うおー 珍しい!
傑作だって。

そこまで 言ってない。
力作?

(殿山)それじゃあ 6時に
よろしく お願いします。

(福井)お願いします。
(小手川)お願いします。

(社員)おはようございます。
(かえで)おはようございます。

(社員たち)おはようございます。

えっ? 意味 よく分かんない。
どういうこと?

(東)ホント お恥ずかしい。
わたしの 力不足です。

ちょっと待って。
台本に 文句 言ってきたわけ?

(海老沢)本人が 第1回と
第2回の 台本を読んで

自信が
なくなっちゃったらしいんですよ。

(ため息)
(海老沢)ホンが あまりに

完成されてるんで 自分が
足 引っ張っちゃうんじゃないかって

心配に なったみたいですね。

(東)ホンが
すばらしすぎたんです。

そういうのは いいから。
でも それはさ

説得しなきゃ ダメなんじゃない?
直すのは いいのよ。

でも ホンとしては どんどん
つまらなくなっていくわけでしょ?

(東)うーん。
完成度は 下がっちゃう。

いいの? それでも。
(海老沢)いや。 それは 困ります。

若干 3話目から 彼女の出番を
減らすという

方向には いかないでしょうか?
だって 主人公は彼女じゃないの?

(ため息)

やはり 事務所に言って 何とか
してもらうしか ないでしょう。

星野 夢子は 主役なんだから

出番を 減らすわけには
いかないでしょう。

甘やかしすぎなのよ。

今 会議中。
(もみじ)電話しろって。

(かえで)ああ そうだ。
今夜の打ち上げ

あなたにも 来てほしいって
殿山さん 言ってたわよ。

(もみじ)わたしは いいわ。
今夜は ちょっと 調子悪いの。

何だか 熱っぽいの。
そう 無理しないで。

一応ね 頼まれたから
伝えただけだから。 じゃあね。

待って。
あの話 考えてくれた?

はあー。 その件は あした 行って
話す。 じゃあね。

これから 「ブルガリ三四郎」の
打ち上げなの。

ああ。 収録は もう
終わったんですか?

先週ね。
(東)「ブルガリ三四郎」

相変わらず 面白いですね。 先生。
最終回の犯人 誰でしたっけ?

だったら こうする?
第3回は 彼女の少女時代の話。

夢子ちゃんには 頭と
終わりだけ 出てもらって

後は 子役が演じるの。
なるほど。 その手があったか。

(東)先生は 天才ですね。

どっちみち 主人公の バックボーンは
描くつもりだったから

今 書いてるのを 後に回して
先に そっちを持ってくれば

全体の構成は そんなに
変えずに 済むから。

はあー。
なるほどー!

すぐに 子役の オーディションを。
分かりました。

はあー。 本当に いつも いつも
申し訳ございません。

いいのよ。
それも含めて 仕事なんだから。

何?
(杉浦)かえで先生から

お電話です。
はい。

もしもし。
(かえで)「ポタージュ」ね

今 書いてるのは 第4回に回して
先に 回想 やることにしたから。

(もみじ)回想は
早いんじゃないかしら?

いろいろ あるのよ。
7回で やろうと思ってた

少女時代の話
あれ 持ってこよう。

いいけど 間に合うかな。
今夜 締め切りよ。

ちょっとぐらい
遅れたって 平気よ。

無理 言ってるのは
プロデューサーのほうなんだから。

そっちは わたしに任せて。
いつまでなら 書ける?

(もみじ)あしたの朝かな。
じゃあ

あしたの夜までにしてもらうから。
ゆっくり考えて。 よろしくね。

杉浦さん。 今日は もう いいわ。
遅くなりそうだから

先に帰って。 戸締まりは
わたしが やっとくから。

(杉浦)あっ すいません。
あっ あの。

今日 お泊まりですか?
(もみじ)かもね。

何か 夜食 買ってきましょうか?
いいわ 自分でやるから。

お疲れ。

(受付)照明の セキさん 来ました。
(かえで)えー さっき

殿山プロデューサーが ぜひ 続編を
やりたいと 言ってましたけど

大抵の プロデューサーは
そういうこと言うので

うのみに しないように。 でも
これだけは 嘘ではありません。

わたしも この世界 長いですけど
こんなにも キャストとスタッフの思いが

一つになって 作り上げた作品を
ほかには 知りません。

だから 殿山さん。
口だけじゃなく 続編 やろうね。

お疲れさま。
(一同)お疲れさまでした。

(殿山)脚本家の
加賀美 京子さんでした。

えー 続きましては
演出家の 小手川ディレクター。

どうぞ 前のほうに。
(拍手)

(店員)どうも
ありがとうございました。

いらっしゃいませ。
こんばんは。

(受付)料理 持ってきたよ。
(受付たち)ありがとうございます。

(受付)あっ。
(古畑)何か?

あっ。
あの。 こちら

「鬼警部 ブルガリ三四郎」の
打ち上げ パーティー会場ですよね?

あっ はい。 関係者の方ですか?
関係者? あっ。 一応 はい。

あの。 私 古畑と申します。
どういった関係の?

どういった関係?
何と言ったら いいんでしょうか。

んー 微妙なところでして。
招待状を お持ちですか?

招待状 見せるんですか?
はい。

ちょっと 待ってください。
えーと どこにあったかな?

すいません。 置いてきました。
脚本家の 加賀美先生

呼んでいただけますか?
失礼ですが もう一度 お名前を。

もう1回 言うんですか?
何べん 言わせんですか?

古畑ですよ。
古畑 任三郎ですよ。

古畑さん!
ああー。

来てくれたんですね!
ご迷惑じゃなかったですか?

(かえで)そんなこと
ありませんよ。 どうぞ。

(受付)あっ あの。
こちら 本職の刑事さん。

台本に いろいろ
アドバイス もらったの。

そうですよ。 わたしが
アドバイスしたんです このドラマの。

古畑でした。
(かえで)どうぞ。

誉さんが ビンゴ!
おめでとうございます。

(誉)ビンゴ ビンゴ ビンゴ!

お疲れさまでした。 アハハ。

あー おいしい。 フフフ。
わたしね 正直な話

今回のドラマで いちばんの収穫は
古畑さんに 出会えたこと。

うーん。 ご期待に沿えたかどうか。
何 言ってるんですか。

古畑さんのアドバイス
すごく 助かったんですよ。

刑事ドラマなんか
書いたこと なかったのに

ここまで やれたのは
古畑さんのお陰。

そうですか。
そう言っていただけると

うれしいな。 光栄です。
ありがとうございました。

ああ とんでもないです。

あっ そうだ。 プロデューサーの方から
伺ったんですけども

加賀美 京子さんって
二人 いらっしゃるって ホント?

(かえで)ええ。
へえー。 それって 有名な話ですか。

別に 隠してるわけじゃないから。
加賀美 京子っていうのは

わたしと もう一人の 合同ペンネーム。
もう一人というのは?

もみじ。 姉です。
お姉さんですか。

双子のね。 変わり者だから
人前に 出たがらないの。

ということは
お二人で 台本を?

じゃあね 古畑さん。
いいこと 教えてあげる。

脚本っていうのは
ストーリーを組み立てる 才能と

セリフを書く 才能は
全く 別なんです。

ストーリーは 面白いのに
セリフが ダメな作家もいれば

いいセリフは 書けるのに 構成が
めちゃくちゃな作家もいる。

だから わたしたちは
二人で始めたの。

うん。 つまり…。
プロットを立てて

もみじさんが それを セリフにする。

どっちが 大事
ということではなく

どちらも 大切なんです。
うーん。

ビンゴは出るか。
さあ 続いては Lの34!

ビンゴ!
(殿山)えっ?

ビンゴ!
(殿山)ビンゴ?

ビンゴ。 ねっ?
(殿山)ビンゴ 出ました。

ビンゴ!
(殿山)おめでとう。

どうぞ 前のほうへ。
どうぞ 前のほうへ。 どうぞ。

じゃあ 行ってきます。
(殿山)おめでとうございます。

リーチの後 いきなり ビンゴですからね。
おめでとうございます。

さあ はい。 あっ 当たってますね。
どうも。

(殿山)まずは 自己紹介のほう
お願いします。

自己紹介ですか。
えーっと こんばんは。

私 古畑 任三郎です。
えー 今日は お招きいただいて

どうも どうも どうも
ありがとうございました。

えー 古畑さんはですね
今回の 警察の捜査について

監修をしていただきました。
なんと 現職の刑事さんです!

あのー。 この件は
内密に お願いします。

クビが 飛んでしまいますんで。
(殿山)おめでとうございます。

景品は ブルガリ三四郎が 実際に
ドラマの中で着た コートでございます。

これ いただけるんですか?
好きな色です。

あっ 黄色ですか。
はい。

あっ そうですか。 それは よかった。
おめでとうございます。

じゃあ あしたから
これ着て 現場 通います。

古畑 任三郎さんでした!
どうも ありがとうございました。

あっ 袋。 どうも。
(拍手)

つまり そっちが
本物の つぼだったんです。

やられました。
完ぺきに やられました。

ごめんなさい。
全然 聞こえなかった。

えー。 あー 音が。 かまいません。
大した話じゃありません。

また 今度。 フフフフ。
もっと 飲まれます?

えーっと まだ ありますから。
うーん。 あのー。

先生は 何ですか。
先生は やめて。

何か バカにされてるみたい。
いやいや そんなつもりじゃあ。

何と お呼びすれば?
加賀美さん?

それは 姉との共同の名前だから。
わたし 本名 かえでっていうの。

大野 かえで。
かえでさん。

で お姉さん もみじさん?
(二人の笑い声)

安易でしょ?
親も 能がないっていうか。

あっ いやいや。
そんなこと ありませんけども。

うーん そうですか。 じゃあ
かえでさんと お呼びします。

かえでさんは ここ
よく いらっしゃるんですか?

ここってね たくさん 人はいるけど
みんな 自分の世界に入ってるから。

だから 逆に わたしも
人を 気にせず

安心して 自分 一人になれるの。
考え事するときは 最適?

あー なるほどね。

(かえで)実はね 古畑さん。
はい。

(かえで)今 新しい ドラマの
企画を 練ってるんですよ。

刑事が 主人公だけど
事件ものじゃないの。

刑事が 主人公の ラブストーリー。
タイトルは 「ラブポリス」って言うんだけど。

「ラブポリス」 フフフ。
面白そうですね。

それで 古畑さんに
力を貸してほしいの。

えっ?
もっと いろいろ 聞かせて。

特に 刑事の プライベートな部分をね。

刑事が どんな恋愛してるか
知りたいの。

うーん。 わたしの場合
参考に なりませんねえ。

古畑さんのことじゃ
なくて いいの。

一般的に 職場結婚は
あるのかとか。

容疑者を 好きになっちゃうことは
あるのかとか。

もちろん 話せる範囲で
かまわないんだけど。

そっちの分野は
詳しくないもんで。 ヘヘヘ。

ほかに 刑事さんの知り合い
いないの。 お願い。

わたしを助けて。
ああー。 ハハッ。

わたしで よければ
お手伝いしますけども。 フフフフ。

助かる。

あっ。 はっ?
踊ろう?

あっ いや。 あの。

ハハッ。 わたし
踊ったことないもんで。

教えてあげる。
はい。

(かえで)左から 横へ。
左? あっ。

(かえで)1 2。 前へ。 3 4。
失礼しました。 左足ですね?

(かえで)はい。 左から 横へ。
はい。

(かえで)1 2。 前へ。 3 4。
右から 横へ。 1 2。

後ろへ。 3 4。

(かえで)早速ですけど 古畑さん。
はい。

(かえで)あしたって 空いてる?
あしたですか?

あしたは あの ちょっと。
できれば 午後いちあたりだと

とっても ありがたいんですけど。
空いてます 完ぺきに。

フフフフ。 喜んで。

古畑さんって どうして
結婚しないんですか?

結婚。 どうしてでしょうかね?
結婚したことは?

えー どうだったかな。
忘れました。

女性が 苦手だったりする?
いやいや そんな事ありませんよ。

むしろ 女性のほうが わたしを
苦手とする傾向にあるみたいです。

(かえで)そんなこと ないでしょ。

あの。 わたしですね
犯人を 相手にすると

いろいろ しゃべれるんですけど
犯罪を 犯してない人とは

どうも 会話が進まないんですね。
そう 思ってるだけじゃないですか。

フフッ。 どうなんでしょうかね。

わたし 古畑さん 好きよ。
ああ。

(かえで)恋に 臆病に
なってないですか? 古畑さん。

あっ! ごめんなさい。
すいません。

大丈夫ですか?
ごめんなさい。

ああー。 どうも。
戻りましょうか?

失礼しました。
練習しておきます。

古畑さん!
どうも。

ゆうべは 楽しかったです。
1時でしたよね?

ちょっと 早いんですけど
来てしまいました。

あー ごめんなさい。
わたし この前に 仕事が

1件 入ってるんですよ。
いやいや。 わたしが

早く来たのが いけないんです。
お待ちしてます。

姉のオフィス すぐ そこなんです。
何だか 話があるって

呼び出されちゃって。
そうですか。 ごゆっくり。

1時には 戻ります。 古畑さん。
例のコート 着てないじゃないですか。

あー。
やっぱり 勇気がいります。 フフフ。

持ってきたんだったら 着なくちゃ。
はい。

じゃあ 後で。
行ってらっしゃい。

(チャイム)

(杉浦)はい。
(かえで)かえでです。

(杉浦)おはようございます。
どうぞ。

(かえで)おはよう。
(杉浦)おはようございます。

お待ちですよ。
昨日は 徹夜されたみたいです。

はあー。 ひどい顔。
とりあえず 書いてみたわ。

早いわね。
(もみじ)まだ 直しは必要だけど。

うまく つながった?
多分。

無理 言って ごめんね。
あなたのせいじゃないわ。

まあ 早めに 回想 入れとくのも
一つの手かもしれないかなって。

(もみじ)わたしは 早すぎると
思うけど。

今は よくても
後が きつくならないかしら?

まあ そんときは
そんときで 考えるわ。

ありがとう。
すぐ 読んじゃうね。

ねえ?
あの話 考えてくれた?

ねえ? いつから こんな趣味?
ファンの人が 送ってくれたの。

(かえで)年を考えなさい。
(もみじ)ねえ? あの話。

(かえで)心配しないで。
あれから ずーっと考えてるわ。

わたしの気持ちは
変わらないから。

はあー。 いいんじゃない?
わたしたちの 共同作業は

「ラブポリス」で おしまい。
もみじちゃんが どうしても

そうしたいって言うなら
反対はしないわ。

コンビ解消。 一人で
やりたければ やってみれば?

あなたの才能は わたしが
いちばん よく分かってる。

やめよう。
(もみじ)いつも よく そんな話

思いつくなって 感心してるの。

でも わたしには わたしの
書きたい 世界があるの。

いいんじゃない?
自分の 思うとおりにすれば。

ごめんね。

だけど 打ち合わせとかできる?
ああ 多分。

(かえで)プロデューサーと会って
自分の意見 ちゃんと言える?

自分の 作品のためだもん。
やれると思うわ。

マネジメントは?
企画 持ち込んだり

たまには 俳優さんと会って
直接交渉したりも するんだよ。

制作発表で 記者が
食いついてくれそうな コメント

あなた 発表できる?
誰かさんみたいに

上手じゃないけど わたしだって
人前で 話せないわけじゃないから。

大きく出たわね。
じゃあ 妹から

一つだけ アドバイスを。
人前に出るなら もっと

身だしなみには
気を付けたほうがいいわね。

今は 徹夜明けだから。
お化粧も 勉強しなさい。

してるわ。
洋服さ もっと いいもの買えば?

お金 持ってるんだから。
これは 仕事着だから。

わたしだって きれいにして
出かけることぐらい あるわよ。

想像できないわ。

いいもの 見せてあげる。

これ 自分で買ったの?
ええ。

まさか これ着て
出歩いてんじゃないでしょうね?

ねえ? やめて。
顔が同じなんだから

わたしだと 思われるじゃない。

悪いこと 言わないから
スタイリスト つけたほうがいいって。

今どき そんな服
着てる人 いないよ。

はあー。 いいんじゃない?
好きなように やれば。

わたし 応援してあげるから。

(もみじ)わたしって わがまま?
(かえで)かなりね。

でも 気にすることないわよ。
人間は もともと

わがままな 動物なんだから。
じゃあ この話は これで おしまい。

(かえで)古畑と 話したわ。
(もみじ)どうだった?

あの人 警部補なんだね。
警部じゃないんだって。

(もみじ)そうなんだ。
「ラブポリス」の件はね

全面的に 協力してくれるって
言ってた。

(もみじ)へえー。 よかったね。

今度 警察の中も
案内してくれるって 言ってた。

すごい。
まあ わたしが 本気 出せば

こんなもんね。
どんな手 使ったの?

打ち上げの後 クラブに誘って
チークタイムで 1回 踊ったの。

それだけで わたしに 夢中?

打ち合わせは?
1時に 「ラ・ボエム」

さっき 店の前を通ったら
もう いたわ。 フフッ。

相当な せっかちさんみたい。
はあー。

じゃあ 時間が もったいないわ。
始めようか?

悪いけど タバコ
買ってきてくれない?

あっ いいですよ。
何でしたっけ?

バージニア スリム。 ごめんね。
自分の 事務所じゃないのに。

とんでもないです。

大成功。
これっぽっちも 疑ってないわ。

(もみじ)それにしても
不思議な人ね あなたって。

(かえで)何で?
時々 急に おかしなこと考える。

昔から そうだった。
(かえで)そう?

ほら。 小学校のとき
校庭で飼ってた 鶏

みんな 逃がしちゃったことが
あったじゃない。

鶏にも 自由を与えるべきだとか。
小学生のくせに 偉そうに。

あのときは 驚いたわ。

でも それで いいのよ。
あなたは そうやって

人と違うことを
したほうがいいの。

小さく 収まったら
つまらないわ。

(もみじ)で 次は?
(銃声)

(作動音)

わざわざ ごめんね。
いえ。

はい これ お釣りです。
はい。

お帰りですか?
うん これから 打ち合わせ。

大先生は しばらく
仕事に 集中したいから

中には入るなって。
はい。

電話も 取り次がないようにって
言ってた。

分かりました。

(かえで)じゃあね。
お疲れさまでした!

もみじちゃん 最近 疲れてる?
何か 気になりました?

何か 元気なかったから。

いや わたしは 特には
気になりませんでしたけど。

ただ あまり
食欲はないみたいです。

ストレス たまってるんじゃない?

あの人も もっと
外に出ればいいのよ。

外に出て 人に会えば
気分転換にもなるし。

あれじゃ 引きこもりだもんね。
アハハハハハ!

今度 三人で
おいしいもの 食べに行こう。

はい!
お疲れ。

(杉浦)お疲れさまでした!

(管理人)あっ お疲れさまです!

「鬼警部 ブルガリ三四郎」
毎週 見てますよ。

ありがとう。
(管理人)行ってらっしゃい。

かえで もう帰った?
ええ。 お帰りになりました。

しばらく 一人になりたいから
よろしく。

(杉浦)はい 伺っております。

杉浦さんって
うちに来て 何年だっけ?

(杉浦)もう 2年半になりますね。
そんなに なるんだ。

今まで わがまま言って ごめんね。
そんな。

ありがとう。

ハハハ。 どうも。

お待たせしました。

時間 ぴったりですね。
ええ。

(店員)いらっしゃいませ。

姉が よろしくって言ってました。
ああ。

お姉さんとは あの 何ですか
よく似てらっしゃるんですか?

周りは よく そう言いますね。
わたしは そうは思わないけど。

洋服の趣味も 全く違うし
男の趣味もね。

すいません!
すいません!

古畑さん。 わたし
お昼 食べてないんですよ。

ああ どうぞ 食べてください。

サーモンと クリームチーズのクレープと コーヒー。
コーヒー 先に持ってきて。

はい かしこまりました。
古畑さんも 何か食べれば?

ここのクレープ
最高においしいんですよ。

そうですか?
じゃあ いただこうかな。

ええと 何にしようかな。
クレープが おいしいんですか?

ええと…。
あれ? これは?

この ベリーベリーと ベリーベリーベリーって
どう違うんですか?

はい。 ベリーベリーは ストロベリーのソースと
ストロベリーの アイスクリームのクレープで

そして そこに ブルーベリーのソースを
トッピングしたものが ベリーベリーベリーです。

ごめんなさい。

ああー 両方とも おいしそうだね。
はい。

じゃあ わたしはね…。
何? どういうこと!?

オレンジジュース。
(店員)オレンジジュース?

はい。 よろしく。
ふざけないで。

今 古畑さんと一緒。 そうよ。

お姉ちゃん いいかげんにして。
切るよ。

ごめんなさい。
すぐ戻ります。

はい。

あっ お疲れさまです。
どうされました?

(かえで)もみじちゃんは?
(杉浦)仕事場ですけど。

何か 今
変な電話 もらったんだけど。

(古畑)ワン ツー。
ワン ツー。

ワン ツー。

(杉浦)あの ドアに
鍵が かかっていて

中に入れないんです。
呼んでも 返事しないし。

(ノック)
お姉さん!

さっきの電話 何!?
何で 黙ってるの!?

(ノック)
いいから ここ 開けなさい!

聞こえてる!?

あのう 電話では 何と?

本気じゃないと思うけど
もう終わりだとか 死ぬとか。

仕事場の鍵は?

(杉浦)ここに あったはずなのに!

(ノック)

(かえで)お姉さん!
お願いだから ここ 開けて!

(ノック)
(かえで)お姉さん!

(ノック)
(かえで)お姉さん!

(破裂音)

鍵は?
(杉浦)見つからないんです!

捜して!

これは!?
それです!

ああ…!

救急車!
はい!

(西園寺)亡くなったのは
加賀美 京子さん。

(今泉)聞いたことあるな。
テレビドラマの 脚本家です。

(今泉)テレビドラマ? 「白い巨塔」?
いえ。

それは 井上 由美子さんです。
最近では 「鬼警部 ブルガリ三四郎」

「ブルガリ」!?
あの くっだらない刑事ものだろ?

1回くらい 見たことある。
結構 僕はファンですが。

つまんないから
5分で 替えちゃったよ。

あんなにさ 簡単に
犯人が 自白するわけないんだよ。

ドラマですから。
それにさ

あれに出てくる 鶴田刑事だっけ。
マジで嫌い。

あんなバカな刑事
実際には いないって。

こないだなんかさ
公衆トイレに 閉じ込められてやんの。

あんまり バカバカしいんで
笑っちゃったよ。

結構 見てるじゃないですか。

そうか。
あれ 書いてたんだ。

ほかにも たくさん
書いてますけどね。

売れっ子ですよ。

そんなに売れっ子なのに
何で 自殺するの?

(西園寺)遺書の様子だと やはり
創作上の悩みのようですね。

あんな くだらないドラマ 悩みながら
書いてる感じ しないけどな。

簡単そうに見えて 結構 いろいろ
大変なんじゃないですか?

僕だったら 一晩で
書けちゃうけどな。

そういう レベルだと思うよ。
まっ 「白い巨塔」は 無理だけどさ。

(今泉)ねえ 古畑さん
まだ 連絡 取れないの?

弱りましたね。
何 やってんだろうな あの人は。

(西園寺)お呼びしてください。

今泉さん。
うん?

加賀美 京子さんが
お会いになりたいそうです。

うん?
気分が よくなられたそうで

お話がしたいと。
ちょっと待ってよ。

呼んできます。

加賀美 京子?
ええ。

さっき 死んでたじゃん。
今泉さん。

生き返ったの? だけど
頭 打ち抜いてんだろ? 頭。

(西園寺)あっ 加賀美さん。
こちらへ。

おい。

ああー。

随分 失礼な方ね。
今泉さん。

こちら 加賀美 京子さん。
妹さんのほうです。

妹?
あれ?

二人いるって
言ってませんでしたっけ?

わたしたち 双子なんです。
亡くなったのは 姉のほう。

姉妹で 同じ名前なんですか?
ややこしくないですか?

加賀美 京子というのは
お二人の合同のペンネームで

ご本名は 大野 かえでさんです。

取り乱して 失礼しました。

何か お話し
したいことがあるそうですね。

ええ。 多分 姉と最後に話したのは
わたしだと思うんです。

(今泉)ほう。
携帯に 電話がかかってきまして

そのときの様子が
おかしかったんで

急いで ここに来てみたら…。

(西園寺)ちなみに
その電話があったのは

何時ごろですか?
着信が残ってます。

(かえで)1時3分です。
そのとき あなたは どちらに?

すぐ そこのカフェで
打ち合わせをしてました。

今度 ドラマで
刑事の話をやるので

本職の刑事さんと
お会いしてました。

刑事?

もしかしたら 皆さんも
ご存じの人かもしれません。

ちなみに?
古畑さん。

古畑 任三郎さんです。

ここだ。

古畑さん!

(今泉)何で 逃げんですか!?

(今泉)情けないですよ。

古畑さんが
そういう人だとは思わなかった。

わたしは 何も
悪いことはしてません。

聞いた!? 開き直ってるよ。

古畑さん 残念です。
残念って 何が残念…。

ちょっと待ちなさいよ。
大体ね 外部の人間に

警察の内情を リークするなんて
犯罪ですよ。

リークなんかしてない リークなんか。

アドバイスだって
何度も言ってるでしょ。

同じことじゃないですか!
同じじゃないでしょ。 いいかい?

実際の捜査では
どんなことをするのか

そういった質問を 作家がして
それに わたしが

答えていただけだよ。
いくら もらったんですか?

もらった!? もう
話す気にもならないな これは。

相当 もらってるよ これは。
もらってないよ もらってないよ

もらってないよ。 打ち合わせの
コーヒー代 自分で出したよ。

そんなわけないじゃないですか!
出したよ コーヒー代ぐらい。

ちょっと こいつ
連れてってくれ どっかへ。

分からないんですが
どうして 古畑さんが

ドラマの監修を
することになったんですか?

あのね プロデューサーのほうからね
広報課に電話があって

たまたま わたしのところに
話が回ってきたんだよ。

教えてくれたって
いいじゃないですか!

表立って 協力できないから
くれぐれも 内密にって

言われたんだよ!
何で そういう面白いことを

独り占めするんですか!?

あーあ。

(かえで)いい?

こういうときは あなたが
しっかりしないと いけないのよ。

杉浦さん。
お通夜と 密葬の段取りは

全部 あなたに任せます。
姉も それを 望んでるはずだから。

わたしには分かるの。

新聞発表はしません。
スキャンダルにしたくないから。

喪が明けた段階で発表。

聞いてる?
聞いてます。

自殺であることは 伏せます。
病名は心臓病。

3年前に 一度 入院してるから
都合がいいわ。

マスコミにも それで通します。

カルテが必要なら
わたしが何とかする。

分かりました。

お願いね。
(泣き声)

いい?
泣いてる場合じゃないわよ。

やることは 山ほどあるはずよ。
(杉浦)はい。

(西園寺)状況から見て
自殺と考えて間違いなさそうです。

西園寺君。
はい。

加賀美先生は?
どちらの?

どちら? 生きてるほうに
決まってるじゃないか。

隣の部屋に。
こちら?

(ノック)
(古畑)古畑です。

どうぞ。

失礼します。

びっくり。
お察しします。

ナイーブな人だったけど
まさか こんなことするなんて。

いろいろと
お悩みもあったんでしょう。

悲しいっていうか 悔しいわね。
涙も出やしない。

あのとき 無理にでも
部屋に飛び込んでいれば

こんなことには…。
それは考えないことです。

ご自分を責めてはいけません。
ねっ。

あのう ところで

お姉さんは なぜ 銃を
お持ちだったんでしょうか?

こんなときに
申し訳ございません。

ただ わたしとしても
こっちが 本業なもので

一応 聞いておかないと。

かまいません。
すいません。

あのう 拳銃の入手先
ご存じありませんか?

知ってます。
何年か前に

暴力団幹部の 一家を描いた
ドラマを書いたんです。

過激すぎて
お蔵になっちゃったけど

取材で 実際に
幹部の人に会って 話を聞いたの。

そしたら 気に入られちゃって
それで いただきました。

いただいちゃったんですか?
いらないって 言ったんですけど

最近は 世の中も
物騒になってるから。

で 拳銃のことは 警察には?
言ってません。

あまり
褒められたことじゃありませんね。

考えてみたら わたしも犯罪者ね。
いいわよ 逮捕しても。

その件に関しては
また 日を改めて。

で あの 銃は どこに
保管してあったか ご存じですか?

確か 金庫の中です。

こちら?
ちょっと 失礼します。

よく 双子は 以心伝心

相手の気持ちが
分かるっていうじゃない。

わたしたちは
そんなことなかった。

見た目は 似てたかもしれないけど
性格は正反対。

姉は 小さいころから
引っ込み思案で 人間嫌い。

わたしは 人と会うのが大好き。

姉の気持ちなんか
全然 分からない。

少なくとも わたしは
神様から もらった命を

自分から
手放そうとは思わないわ。

わたしも
そちらの意見に賛成です。

杉浦さん いる?
(杉浦)はい。

申し訳ないんだけど
車 呼んでくれる?

(杉浦)分かりました。

お出かけですか?
これから 仕事なんです。

あっ お仕事?
予定がびっしり。

姉が あんなことになったからって
仕事 休むわけにいかないでしょ?

マスコミには まだ発表してないし。
知れたら 大騒ぎですね。

しばらくは
心筋梗塞で通します。

うーん。
あの 今 車を?

ええ タクシーを。
古畑さんも 乗っていきますか?

わたし まだ 仕事ありますから。

あの お見えになるとき
車 運転されてきましたよね?

強そうに見えても
わたしも 普通の人間です。

姉があんなことになって 平常心で
車を運転する 自信がないのよ。

ですよね。 お察しします。

あの これから 大変ですけど
頑張ってください。

ありがとう 古畑さん。
はい。

じゃあ お見送りをします。

あっと。 ちょっと すいません。
どうかされました?

ええーと。
ちょっと これ お借りします。

ええー。 あれ? あっ。
これ どうやって使うんですか?

どうぞ。
あっ。 どうも すいません。

ええと 誰かいるかな?
古畑だけども。 誰かいない?

(西園寺)はい 西園寺です。
ああ 君か。

あの この部屋は
手 つけてないんだよね?

(西園寺)はい。
そのままの状態にしてあります。

間違いないね?
(西園寺)間違いありません。

はい ありがとう。
すいませんでした。

何か 気になりますか?
あの 最後に

お姉さんと お話になったのは
あなただそうですね?

ええ 電話で。
携帯電話から かかってきた?

そうです。
着信も残ってます。

ふーん。 あの 本当に
お姉さんの声でしたか?

間違えようもありませんわ。
そうですか。

古畑さん 気を持たせすぎよ。
ちょっと失礼。

お姉さんは あなたに電話をして
さようならを言ってから

亡くなった。
ええ。

はい。 この原稿は お姉さんが
倒れた拍子に 床に落ちた。

ええ。
はい。 表紙と 1ページ目。

2ページ目は ここにありますね。
みたいね。

はい そして
3枚目からは そちらに。

ええー。
わたし 頭 悪いのかしら。

何が 気になってるのか
さっぱりなんですけど。

携帯電話は
ここに置いてありました。

3ページ目の上です。
ということは

そのときは すでに
表紙と 1ページと 2ページは

床に
落ちていたということになります。

ええー お姉さんが
亡くなった後で

携帯電話を ここに置いた
人物がいた 可能性がありますね。

そうとは 言い切れないわ。
はい?

もっと前から 落ちてた
可能性もあるんじゃないかしら?

電話してる間に 3枚だけ
風で飛んだのかもしれないし。

風で飛んだ?
なるほど。

古畑さんって 面白いわね。
はい?

姉が自殺したのは
明白な 事実なのに。

遺書もあって
わたしは 声も聞いてる。

フッフフフフ。
そうでしたね。

いつも こんな感じなんですか?
うーん 性格なんでしょうか。

つじつまの合わないことがあると
どうしても 考えてしまうんです。

刑事の習性ね。
次のホンで 使わせてもらうわ。

恐れ入ります。
はい 行ってらっしゃい。

(西園寺)古畑さん。

そこは 炊事場になっていて
その向こうは 非常階段です。

下りれば そのまま
表に出られますね。

入ってくることもできるの?

外から ロックされていて
開きませんが

内側から あらかじめ 鍵を
開けておけば 可能と思われます。

うーん。

古畑さんは
自殺ではないと お考えですか?

えっ?
さあ。

(西園寺)あと かえでさんが
最後に取った 電話ですが

確かに もみじさんの携帯には

その時間に ダイヤルした
形跡が 残っていました。

しかし 彼女以外の人物がかけた
可能性は 十分にあります。

そのときは
亡くなったのは

それよりも もっと
前ということになります。

そうなるね。
しかし かえでさんが

お姉さんの声を
聞き間違えるはずがありません。

そこが分からないんです。

かえでさん自身が
事件に 何らかの形で

かかわっている可能性も
あるということでしょうか?

まだ 決めつけるのは早いよ。
申し訳ありませんでした。

ただ 遺書の筆跡鑑定
やっておいてくれる?

分かりました。

よろしいですか?
あの 先生の住所録を。

どうぞ。

大きな水槽ですね これ。
はい。

先生は 熱帯魚が趣味だったの?
ええ。 最近ですけど。

このところ 先生は
仕事に詰まると ここに座って

お魚を見てらっしゃいました。
ああ どうも。

あの かえでさんなんですけども
ここへは よく来るの?

いえ。 めったに
お見えにはなりません。

かえで先生も
ご自分のオフィスを お持ちですから。

今日は 何で?
先生が…。

もみじさんが呼んだみたいです。
二人で 何か 相談事を。

うーん。 あの 杉浦さんだっけ?
はい。

あの 先生は 何で
亡くなったんだと思いますか?

わたしには…。

そうですか。
どうも失礼しました。

仕事に煮詰まっていた
というようなことは?

(杉浦)分かりません!

最近 何か変わったところは?

どんな ささいなことでも
かまいませんから。

最近 化粧品を
お買いになってました よく。

(西園寺)化粧品?
(杉浦)ふだん

お化粧されない方なんで
不思議だなと思ってたんです。

おめかしして どこか
出かけたりしていたの?

それは分かりません。
実際に お化粧したところも

見たことはないんです。
でも この引き出しの中に…。

あれ?
どうしました?

(杉浦)ここにあった化粧品が
なくなってます。

先生 お買いになった
口紅とか コンパクトとか ここに

しまってらっしゃったんです。
それは 間違いないですか?

昨日 わたし
しまってるところ 見ましたから。

(西園寺)
どういうことでしょうか?

あのー。 ほかに
何か なくなってるものは?

化粧品だけだと 思いますけど。

そうですか。
どうも ありがとうございました。

あああ…。

あのう それは?

ファンの方からの 贈り物です。

いつもは その上に?
はい。

いつ落ちたの?

さあ。 今朝 お掃除したときは
ちゃんと ここに ありましたけど。

そうですか。
どうも ありがとうございました。

(杉浦)失礼します。

(今泉)どうします?
みんな もう帰してもいいですか?

どうぞ。
(西園寺)結構です。

今日は 解散しましょう。

それから 言っておきますけど
古畑さん。

僕は あいつほど
バカじゃありませんからね。

何の話?
「ブルガリ三四郎」ですよ!

何が 鶴田刑事だよ。
冗談じゃないですよ!

(ドアの閉まる音)

(作動音)

(ノック)

(スタッフ)加賀美先生
そろそろ お願いします。

はい。

先生!

先生 ああ…。
古畑さん!

こんなところで
何してるんですか?

やっと つかまりましたよ。

先生のご意見 伺いたくて
捜してたんです。

事務所に聞いたら こちらだと。
(かえで)ごめんなさい。

歩きながらで いいですか?
どうぞ どうぞ。

ちょっとですね
見ていただきたいものが

あるんですけども。
これから 何が始まるんですか?

「ノンルトゥール」っていう映画のね
試写会。

先生が お書きになった?
ご冗談を。 フランス映画よ。

わたしは トークのゲストに呼ばれたの。
働く女が テーマの映画だから。

それで 先生が。
ええ。

わたしも 聞いていこうかな。
興味ないくせに。

いやいや…。

(スタッフ)先生 こちらです。

(拍手)

(司会者)今日は皆さま お忙しい中
ようこそ いらっしゃいました。

このフランス映画 「ノンルトゥール」は…。

しかし 先生
多忙でいらっしゃいますね。

本業の かたわら こんな仕事まで。

嫌いじゃないからね。
古畑さん。 そんなに 時間ないの。

あっ そうですね。 あれ?
やっぱり 後にしましょうか。

何 言ってるのよ。
せっかく お見えになったんだもん。

今 聞かせて。
よろしいですか?

手短にね。
分かりました。

えっと 見ていただきたいのは
これなんですけども。

ちょっと 台が欲しいなぁ。
あっ これにしましょう。

わっ 重いです これ。
よいっしょ!

はい。
えー これなんですけども。

見覚えございますか?
お姉さんの仕事場に

飾ってあったものなんですけども。
あるわ。

そうですか。 何か ファンの方から
もらったものらしいんですね。

あと 5分ほどで 出番です。
ありがとう。 続けて。

3分で終わりますから
よろしいですか?

そう言ってる時間が
もったいないと思いません?

そうですね。
えーっと この人形ですね

ピエロの ピンキーという
名前らしいんです。

中に センサーが付いてて
音に反応するんですよ。

ご存じでしたか?
ええ。

はい ちょっと やってみますね。

ピンキー!

はい このとおりです。
(スタッフ)困ります。

ああ ごめんなさい。
すいません。

アハッ。 怒られちゃいました。

客席まで聞こえたかも。
そのようですね。

やっぱり 後にしましょう。
で ピンキーが どうしたの?

大丈夫ですか? 続けますか?
はい じゃあ あの。

事務所のですね
杉浦さんの話によりますと

今朝 掃除をしたときは
ピンキーは 棚の上に ちゃんと

置いてあったって言うんです。
ところがですね

えー お姉さんの遺体が
発見されたときは

床に落ちていた。
覚えてらっしゃいますか?

覚えてるような覚えてないような。
そうですか。 落ちていたんです。

はい。 これで
分かんなくなっちゃいまして。

問題は 一体 いつ ピンキーは
床に落ちたのか? うーん。

そんなの簡単だわ。
と言いますと?

姉の撃った
ピストルの音に反応したのよ。

声で動くんだったら 銃声にだって
反応するんじゃない?

はい。 最初 わたしも
そう思いました。

ところがですね…。

ピンキー!

ごめんなさい。
すいません ご迷惑をかけて。

えー はい。 ねっ?
確かに 音には 反応するんです。

しかし ずーっと
動いているわけじゃないんです。

計ってみました。 きっちりと
5秒で止まってしまいます。

そして 棚の幅
約20センチ ありました。

これぐらいです。
はい 置いてみます。

ねっ? これでは
まず 棚から落ちることはない。

ところがですね ここからが
面白いところなんですが。

ピンキー!

すいません 何べんも。
もう1回だけ。

ピンキー!
あんたね…。

もう大きな声 出しません。
もう終わりました。

ふざけてるでしょ?
ホントに ごめんなさい。

すいませんでした。

(スタッフ)ふざけてるよね?
すいませんでした。

(かえで)ごめんなさい
変わった人なの。

かかわらないほうが いいわ。

どうも。

ねっ? お分かりになりました?

ピンキーが 棚から落ちるには
少なくとも 2回は

音に反応しなければなりません。
そうみたいね。

はい。 しかしながら
弾は 1発しか発射されてない。

えー ということはですね
銃声のほかに もう一つ

あの部屋で 大きな音が
したということになります。

えー 杉浦さんが掃除に入ってから
お姉さんが

亡くなるまでの間にです。
ところがですね 杉浦さんは

何も聞いてないと
おっしゃってるんですよ。

彼女は ずっと
隣の部屋にいたんです。

仕事場で 大きな音がしたら
聞こえたはずなんです。

ところが
聞いてないと おっしゃる。

では もう一つの音は
一体 いつ 鳴ったのか?

えー 実はですね 杉浦さん
一度だけ 席を外してるんです。

先生に言われて
タバコを買いに行ったときです。

ですから 音が鳴ったとしたら
そのときしか ないんです。

お姉さんと あなたが
二人っきりになったときです。

先生。 何か心当たり
ございませんか?

ないわ。

そろそろ スタンバイ お願いします。
(かえで)今 行きます。

よーく 思い出してください。

お姉さんと 二人っきりのとき
何か 大きな音が

しませんでしたでしょうか?

残念だけど
そんな音は しなかったわ。

うーん。 しかし それでは
ピンキー 落ちていた

説明がつきません。

先生。

ごめんなさい。
もう 行かなきゃ。

そうですか。
はい 分かりました。

頑張ってください 舞台。

ありがとうございました。

思い出した。

古畑さん 謎は解けました。

はい?

私 これ 触ったのよ。
えー どういうことでしょうか?

姉と話してるときに 何となく。
ピンキーを?

そのとき ちゃんと
棚の奥に戻さなかったのねえ。

多分 手前に置いたのよ。

ピンキー!

これが 真相。

なるほど。
これで 謎が解けました。

ごめんなさいね
大した真相じゃなくて。

とんでもない とんでもない。
真実とは えてして

そんなものです。
もう よろしいですか?

行ってらっしゃいませ。

(今泉)古畑さんには 悪いけど
僕は 犯人は

あの女だと思いますね。
どうして そう思うの?

(今泉)怪しいからですよ。

どうやって 殺したの?

多分 トリックを使ったんです。
トリック?

複雑なトリック。

(西園寺)恐らく 彼女と杉浦さんが
聞いた 銃声というのは

発火装置の付いた 爆竹のような
ものだったのではないでしょうか。

実際に 銃が発射されたのは
もっと以前。

杉浦さんが
席を離れていた間です。

そのとき
もみじさんと一緒にいたのは

かえでさんだけです。
動機は?

もし 長年のパートナーであった
もみじさんが 突然

独立したいと言いだしたとしたら
どうでしょうか?

だとしても 殺す必要あるかい?

死ぬのも 独立するのも
パートナーがいなくなるのは 一緒だよ。

悔しかったんですよ。
もみじさんは 一人でも

作家として やっていけるけど
かえでさんは 無理だから。

誰が そんなこと言ったの?

だって あの人は
マネジャーみたいなもんでしょ。

そういう簡単なものじゃ
ないんだよ。

分かったもんじゃないですよ。
知ったような口 たたくな。

かえでさんを かばう気持ちは
分かりますが

ピンキーの件にしても
彼女の言い分には

まるで 説得力がありません。

それを いちばん ご存じなのは
古畑さんのはずです。

あの人が やったんですよ。
間違いないですって。

あれは どう説明する?
事務所の おばさんの証言は。

はい。 確かに かえでさんが
帰った後

もみじさんは まだ生きていたと
事務所の杉浦さんは言っています。

西園寺君。 それは どうなの?

僕の推理です。

仕事場から顔を出したのは
もみじさんではなく

かえでさんだったのでは
ないでしょうか。

玄関を出るのは
管理人さんが見ています。

その後 彼女は
裏口を使って 再び入り

非常階段で仕事場に戻った。

そして
もみじさんの服に着替えて

彼女が まだ生きているかのように
見せかけた。

西園寺君 成長したな。
(西園寺)ありがとうございます。

(今泉)それに間違いないですよ
古畑さん。

あんたが ぞっこんの美人脚本家は
相当なワルだ こりゃ。

ただし 時間の問題があります。
玄関を出たのが 12時50分。

これは 管理人さんが
証言しています。

そして 古畑さんの前に現れたのが
1時 ジャスト。

わずか 10分の間に
それだけのことが

果たして 可能か。

やっちゃったんじゃないの?

わたしは 難しいように
思うのですが。

何 言ってんだよ。
弱気になって どうすんだよ。

西園寺君。
(西園寺)はい。

実験してみて。

(西園寺)分かりました。

裏のドアは すべて内側から
ロックを解除してあります。

最短距離を描いておきましたので
ここを通って

犯行現場まで来てください。
はい。

それじゃ いきます。

用意 スタート。

はあ はあ はあ…。

(西園寺)これに着替えて。

急いで。

(今泉)何か 僕ばっかり
大変な気がする。

着替えたら あのドアを開けて
顔を出す。

はい。
早く。

はい。

はっ!
どうも。

早く着替えて。

ああ 急いで。
はい!

着替えたら
非常階段を通って 下へ。

そのまま さっきのカフェまで
走ってください。 急いで!

どうだった?

20分です。
とても 10分では無理ですね。

ということは?

あのとき
仕事場から顔を出したのは

もみじさん本人
ということになりますね。

そんなわけないだろ。

非常階段を使わずに
表から入って エレベーターに乗れば

もっと早く オフィスに到着できます。

しかし 戻る姿を
管理人さんが見ていない。

こっそり 人目を盗んで
入ったってことは?

だとすると
セキュリティーシステムの 問題があります。

あそこのは 最新設備で
手の静脈を センサーに当てることで

本人かどうかを 確かめるんです。
つまり いくら双子でも

機械を ごまかすことは
不可能なんです。

分かんないよ。
あんだけ 顔が似てたんだから

血管だって 同じじゃないの?
静脈は 指紋と一緒で

誰ひとり 同じものはないんです。
そんな バカなわけあるかい。

はい。

となると かえでさんの線も
疑わしくなってきましたね。

(西園寺)古畑さんの
おっしゃるとおり

彼女は シロなのかもしれません。
いいえ。

わたしは シロだとは言ってない。
えっ?

はい ありがとう。

クソ。
何でした?

いや 何でもない。
教えてくださいよ。

教えたくない。
どうして隠すんですか?

今泉君。
どこからの 電話だったんですか?

鑑識から。
鑑識が何と?

現場にあった遺書
もみじさんの字に間違いないって。

(西園寺)本当ですか?
(今泉)現場にあった手紙と

照らし合わせたら
同じだったって。

そうか。

(今泉)おかしいよ
そんなわけないのに。

古畑さん。 わたしたちの
勇み足だったのかもしれません。

これは やっぱり
自殺なんでしょうか。

違う。
えっ?

これで はっきりした。
これは 殺人事件だ。

しかし 彼女は…。
彼女は

クロだ。

えー 今回の事件は
わたしにとって

非常に つらい結果に
終わりそうです。

この事件の犯人は
自分の実の姉妹を殺して

自殺に見せかけました。

彼女は 殺人を犯した後
いったん 外へ出て

また ここへ戻ってきました。
そして 被害者が

まだ生きているかのように
見せかけた。

問題は それを どうやって
10分で やったのか。

今泉君は
20分かかったというのに。

その方法が分かったとき

わたしは 事件の真相に
たどりつきました。

ヒントは この水槽。

そして 彼女は
なぜ 車に乗らなかったのか。

そして グラスの口紅。

古畑 任三郎でした。

♬~
(真矢)びっくりじゃない?お肌だけじゃなく

歯ぐきもコラーゲンで出来てるんですって!

(主婦A, B)えっ!?
《歯ぐきのおとろえが気になる

その前に「ハグキプラス」》

守るわよ!歯ぐきのコラーゲン

<歯ぐきの60%はコラーゲン>

<コラーゲンの分解を抑え さらに

組織修復成分ダブル配合で歯周病を防ぎます>

歯ぐきに元気を (全員)プラス!

♬~「ハグキプラス」
キャンペーン実施中

(海老沢)というわけで
恋愛ドラマの 新しいスタイルになると

確信しております。 どうか 皆さん
よろしく お願いいたします。

(拍手)

(司会者)はい
ありがとうございます。

さあ そして 「ポタージュ」の
脚本を担当するのは

「鬼警部 ブルガリ三四郎」で おなじみ
テレビドラマの世界に

常に 新風を巻き起こす
この人です。

今回は 一体 どんな風を
吹かせてくれるのでしょうか。

加賀美 京子さん。

(拍手)

加賀美 京子です。
この 「ポタージュ」は

わたしにとって
全く 新しい挑戦になります。

言っておきますが
殺人シーンは ありません。

(笑い声)

でも 今まで以上に スリリングで
そして

感動的な ドラマになると思います。
お楽しみに。

(拍手)

(カメラマン)こちらも お願いします。
はい。

何だか いつもと 様子が違うなあ。
こんなに はしゃいでる彼女は

初めてだよ。
ええ。

(記者)今回のドラマは
音楽に例えると 何ですか?

えっ?
(記者)前回のときは 制作発表で

「音楽に例えると
椎名 林檎さんの過激さと

平井 堅さんの優しさを
ブレンドしたみたいな感じ」って

確か
おっしゃったと思うんですが。

ごめんなさい
ちょっと浮かばない。

(記者)主演の星野さんとは
もう お話しになりましたか?

(かえで)ええ。
いつも 加賀美さんは

主演女優に アドバイスをされるとき
こんなふうにやってもらいたいと

ハリウッドスターの名前を挙げますよね。
今回は 誰のイメージと

おっしゃったんですか?

やだ 何か 頭 ボーッとしちゃった。

実をいうとね ゆうべ寝てないの。
ごめんなさい。

えー では この辺で 終わらせて
いただきたいと思います。

(東)どうも
ありがとうございました。

(海老沢)新番組 「ポタージュ」
毎週水曜9時 オンエアです。

皆さん よろしく お願いします。
(東)よろしく お願いします。

(かえで)それでは
「ポタージュ」の成功を祈って

乾杯!
(一同)乾杯!

(拍手)

(かえで)いい制作発表だったね。

(海老沢)いやー
盛り上がりましたね。

(東)あれだけ記者から
質問が出るのも 珍しいですよ。

(海老沢)それだけ
期待されてるってことでしょ。

それより ほら あの つまんない
質問ばっかりしてたのは

どこの記者だ? あれ。
(海老沢)かえでさんのメークのこと

言ってたヤツでしょ。
いつもより濃いとか言って。

(東)そんなふうには
感じないけどなぁ。

光線の具合だと思いますよ。

全く ほかに聞くことは
ないのかって話ですよ。

後で どこの記者か
調べておいてください。

(東)すぐに。

(海老沢)とにかく
あしたの新聞が 楽しみですね。

後は 大きな事件が起きないのを
祈るだけだ。

(東)君! お料理のほう
どんどん持ってきて。

(店員)はい。

ねえ? みんなに 今のうちに
話しておきたいことがあるの。

(海老沢)何でしょう?

(かえで)今日 最後のほう
ごめんなさい。

ちょっと 頭が混乱しちゃって。
そうでしたっけ?

うん?
いや いい会見だったと思いますよ。

(かえで)一瞬 頭が
真っ白になっちゃったの。

でも 言い訳させて。

ホント言うと 記者会見とか
やってる場合じゃなかったの。

実は 大変なことが起きちゃって。

何が あったんですか?

まだ 正式には
発表になってないんですけど

今朝 姉が他界しました。

えっ!
本当ですか?

心筋梗塞でした。

驚いたなぁ。

(かえで)落ち着いたら みんなにも
話そうと思ってたんだけど。

(海老沢)そんな 大変なときに
申し訳ございませんでした。

(かえで)そんなこと言わないで。
仕事は 仕事だから。

まいったなあ。
告別式の手配は?

告別式は やりません。

派手なことが
嫌いな人だったから

できるだけ
静かに送ってあげたいの。

わたしたちに できることがあれば
何でも言ってください。

ありがとう。 でも 大丈夫。
一切は こっちで やりますから。

(かえで)そんなわけで これからは
加賀美 京子は

わたし一人だけど 今まで以上に
いいホン 書きますから

心配しないで。

(海老沢)ありがとうございます。

「ポタージュ」は
きっと いい作品になると思う。

今日 俳優さんたちと話して
すごく イメージ わいてきたし。

(店員)失礼いたします。
加賀美先生に お客さまが。

わたしに?
はい。

古畑さんと おっしゃる方です。

よく ここが分かったわね。
スタッフの方に 伺いました。

今度は 何?
先生に 見ていただきたいものが

あるのです。
また?

先生のご意見が
伺えればと 思いまして。

ねえ?
姉は 自殺したんじゃないの?

わたしは そうではないと
踏んでいます。

言うわね。 いいわよ。
早く見せてちょうだい。

ここには ありません。
お姉さんの オフィスまで

おつきあい いただけませんか?
お願いします。

立派な水槽ですね。
これ レンタルらしいんです。

毎月 業者の方が
魚を 替えてくれるらしいんです。

ご存じでしたか?
ええ。

手入れも 全部
やってくれるらしいんです。

便利な世の中に なったものです。

えー わたしが気になったのは
加賀美 京子という人物です。

つまり あなたと お姉さん。

実際に ホンを書いていたのが
もみじさんで

妹のほうは
マネジャーに すぎなかったなんて

単純な間柄では なかった。
それは 分かっています。

あなたご自身 いつか
おっしゃってましたね。

おおまかに言えば わたしが
話を考えて 姉が書いていた。

でも 姉だって
話を作るときもあれば

わたしが書くときも ありました。
はい。

つまり ホントの意味での
共同作業だった。

理想的な関係です。
ええ。

でも お二人が書きたいものは
微妙に違っていた。

「鬼警部 ブルガリ三四郎」と
今回の 「ポタージュ」では

描かれる内容が
まるで違います。

恐らくですね 「ブルガリ」のほうは
あなたが主導権を取り

「ポタージュ」は
お姉さんが中心だった。

いかがですか?
そのとおりです。

しかし お二人の方向性の違いは
年々 大きくなっていった。

そして ついに お姉さんは
独立を考えるようになった。

もう いいわ。

あなたは それで わたしが
姉を殺したって言いたいんでしょ。

それぐらい 分かるわよ。
すべては 推測でしょ。

姉が 独立したがってたなんて
どうして分かるの?

どこに そんな証拠が
あるっていうの?

あなたが お姉さんを殺したなんて
わたしは 思っていません。

それは ありえない。
じゃあ…。

今まで 表に出ることのなかった
お姉さんが

最近 意識的に 出るように
なったのは ご存じでしたね。

買い物とかは
行ってたみたいね。

昔は それも嫌がってたから
大した進歩だわ。

それだけでは ありません。
化粧道具を そろえて

流行の服も 買うようになった。

嘘よ。
杉浦さんが 証言されています。

姉が おめかしして
出かける姿なんか 想像できない。

彼女は
変わろうと していたんですよ。

ひょっとしたら これからは
あなたに頼らずに

マネジメントも 自分で やろうと
していたのかもしれない。

推測でしょ。
もみじさんは そんな話を

一度も しませんでしたか?
一度も。

姉が変わろうとしてた
具体的な証拠があるの?

実は 不思議なことに

この部屋にあった 衣類や化粧道具
すべて なくなってるんです。

ほら。
誰かが持ち去ったんです。

もみじさんの変化を
隠そうとしている誰かが。

古畑さん。
話が どんどん飛躍してる。

しかし その人物にも 一つだけ

持ち去ることが
できなかったものがあった。

鏡です。
鏡?

もみじさんは 1か月前
大きな鏡を 購入しました。

自分を映す 等身大の姿見。

以前の彼女なら
考えられない買い物です。

衣装を 持ち去った人物も

それだけは 持っていくことが
できなかった。

最初に見たときから
気になっていました。

水槽の大きさのわりに
魚が少なすぎる。

こちらへ。

恐らく もみじさんは
この前で 化粧をし

買ってきた ドレスを身につけて
眺めていたんでしょう。

鏡を買えば
絶対 妹に何か言われる。

そう思って 彼女は
こんな方法を。

これを じっと見ていると
つい考えてしまうんです。

この水槽の前に 一人

ガラスに映った 自分の姿を
眺めていた もみじさんのことを。

彼女は どんな思いで
いたんでしょうか?

華やかな世界で スポットライトを
浴びてきた 妹さんのすぐそばで

常に 日陰の存在だった彼女。

自分も 一度は 妹のように
脚光を浴びたい。

脚本家の才能は
むしろ 自分のほうが上なのに

注目を集めるのは いつも 妹。
見た目も ほとんど変わらない妹。

自分も あの子のようになりたい。
しかし それが できない 悔しさ。

超えることの できない
永遠のライバル。

場所を変えましょう。

はっ?
もう1か所

つきあってもらいたいところが
あるのです。

ホントは 今夜 お休みだったんですが
特別に 開けてもらいました。

捜査の一環という名目で。
結構 強引なのね。

刑事の特権を
利用させてもらいました。

実は あれから ダンスの教則本を
手に入れましてね

今日も 暇さえあれば
ステップの練習を。

言い訳に
聞こえるかも しれませんが

わたし 昔は踊れたんです。
ただ ゆうべは久々だったもので

どうにも 恥ずかしいところを
お見せしてしまって。

『ラストダンスは わたしに』

本を読んだら 思い出しました。

そんなわけで ゆうべの汚名を
返上させてください。

シャル ウイ ダンス?

もういいわ。

あなたは もみじさんですね?
(もみじ)ええ。

見た目は
どんなに ごまかせても

踊りの ステップだけは
やったことのない人には無理です。

どこで分かったの?

決め手になったのは 時間です。
時間?

マンションを出てから
いったん 部屋に戻り

それから わたしに
会いに来るまでの時間。

部下が 調べてくれたんです。

非常階段を使っては
絶対に 無理でした。

10分で すべてのことを やるには
正面玄関を通るしかない。

しかし あそこには 静脈のセンサーが。
かえでさんには 無理です。

それが できたのは
もみじさんだけ。

それに考えてみれば

かえでさんには お姉さんを
殺害する動機が なかった。

しかし もみじさんにはあった。
妹さんに いてほしくない理由が。

自分と 全く同じ姿の姉妹が
いること 想像してみてください。

当然 周りは比較する。
子供のころから ずっと。

あの子は 明るい性格だったし
頭もよくて

大人たちに 気に入られるすべを
知ってた。

わたしは 不器用で
引っ込み思案で

社交的な妹を 見てると
余計 暗くなっていった。

あの子は太陽で わたしは月。

あの子の光で かろうじて
輝くことができた。

今まで ずっと。

でも わたしだって 自分の力で
輝きたいと思うのは いけない事?

かえでさんは
反対されたんですか?

全然。 むしろ 応援してくれたわ。
あの子には 自信があったのよ。

いくら わたしが頑張ったって
自分を超えることはできないって。

だから 余計 妹が憎かった。

どんなに わたしが変わっても
結局は あの子と比べられる。

あの子が この世にいる限り

わたしは
いつまでも 陰でしかない。

もっと早くに 気づくべきでした。

例えば あなたは お姉さんの
事務所の 旧式のインターホンを

普通に 使いこなしていました。
うん?

妹さんは たまにしか
あそこに来ないのに。

それに 車の問題。

かえでさん 来るとき
車を 運転してきたのに

なぜ 出ていくときは
タクシーを呼んだのか?

あなたは 免許を
お持ちではなかった。

まだ あります。

わたしは 妹さんに言われて
あの黄色いコートを 着たのに

二度目に会ったときは まるで
その事には触れてはくれなかった。

あれ 妹が 着るように
言ったんですか?

そうでなければ
あの色は着ません。 フフフ。

それに グラスの口紅。
口紅?

あなたが使った グラスには

口紅の跡が
はっきりと ついていました。

お化粧に慣れていない人は
よく そうなります。

どうすれば よかったの?

妹さんは いつも飲んだ後
さり気なく ふいていました。

はぁ。 そういうところで
お里が知れるのね。

あなたは かえでさんを
オフィスに呼んで

互いの衣服を交換し
その後で 殺害した。

彼女には 何と言って
話を持ちかけたんですか?

それは 聞かないほうが
いいかもしれない。

ぜひ伺いたいです。

本職の刑事さんに
どれだけ 注意力があるか

実験してみたいって 言ったの。
妹が まず 刑事さんに会って

それから わたしが妹の格好をして
会ってみようって。

妹は すぐに ばれると言った。
わたしは ばれない自信があった。

でも 今にして思えば 古畑さんが
すぐに気づかなくて よかったわ。

お陰で 今日 1日は

夢のような時間を
過ごすことが できました。

ありがとうございました。
フフフ…。

でもね 妹になってみて
分かったことがあるの。

やっぱり わたしには無理ね。

人には 向き不向きというものが
あります。

おかしなものね。
何だか 肩の荷が下りたみたい。

こういう結果に ならなくても

きっと わたし
自首してたと思うし。

随分 昔になりますが

あなたに とても よく似た女性と
会ったことが あります。

わたしに?

やはり ものを書く仕事を
していました。

作家さん?
漫画家です。

才能に満ちあふれていて 若くして
地位も名誉も 手に入れた。

しかし 彼女自身は とても
控えめで そして 孤独でした。

その人も 誰か殺したの?
自分を捨てた恋人を

別荘の地下に 閉じ込めて
殺害しました。

古畑さんが 逮捕したんですか?
はい。

彼女は 今 どうしてるんですか?
いろいろ ありましたが

アメリカに渡って 幸せな結婚生活を
送っています。

意外ね。
わたしが言いたかったのは

人は 生まれ変われると
いうことです。

行きましょう。
その前に。

1曲 踊っていただけませんか?

無理よ。 わたし 踊れないもの。

実を言いますと
わたしもなんです。 フフフ。

さっきは あなたに
自白してもらいたくて

嘘をつきました。

あなたが踊れたら
どうしようかと 思ってました。

フフフ。
悪い人。

でも いいんじゃないですか。
踊れない者同士というのも。

『ラストダンスは わたしに』

シャル ウイ ダンス?

(すすり泣く声)

[何だか いつもと…]