『宮部みゆきスペシャル 魔術はささやく』それは突然起きた。1人目は赤信号で車道に飛び出し、2人目は誘われるように…
出典:EPGの番組情報
[字]『宮部みゆきスペシャル 魔術はささやく』
宮部みゆきの傑作サスペンスを、木村佳乃ら豪華キャストでドラマ化。ヒロイン・和子(木村佳乃)が過去に犯した大罪とは?人間を自由に操り、死をもたらす魔術師の正体とは
詳細情報
番組内容
それは突然起きた。1人目は赤信号で車道に飛び出し、2人目は誘われるように地下鉄に飛び込み、そして3人目は結婚式当日に飛び降り自殺。偶然にも、3人ともかつて”ある大罪”を共に犯してしまった、高木和子(木村佳乃)の仲間たちだった。しかも、最初の事件は、和子にとって命よりも大切な弟・守(中村蒼)や、その里親たちも巻き込んでいる。そして、死の魔術は、ついに第4の女・和子の耳元にささやかれようとしていた。
出演者
<出演者>
木村佳乃
中村 蒼
小池栄子
谷村美月
眞島秀和
草村礼子
里田まい
六角精児
大杉 漣
松重 豊
加藤治子
原田美枝子
奥田瑛二ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
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解析用ソース(見逃した方はネタバレ注意)
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♬~
(和子)《笑っている。
私の たった一人の弟が
家族と共に 温かい食卓を囲んで
笑っている》
《弟が幸せなら 私も幸せだ》
《守は 私の存在を知らない》
《15年前 物心付く前の 守を
私は捨てた》
《私たちの父は
勤めていた市役所の金を横領》
《そのまま 家族を捨てて
失踪した》
≪(男性)おーい!
(男性)何 食ってんすかね。
いたいた いたいた。
まあ かわいそうに。
(男性)ビビってやんの。
税金泥棒。 金 返して。
(男性)俺にも くれよ。
犯罪者がよー!
(男性)後で 火 付けに来るからな。
(男性)横領した金で
飯 食ってんじゃねえぞー!
(母)守。
大丈夫だからね。
《心労が たたった母も
体を壊して死んだ》
《私と守は
それぞれ 別の施設に入った》
(和子)野菜も お肉も
いっぱい食べてね。
(守)はい。
(和子)お魚も。
はい。
(和子)たくさん寝てね。
たくさん笑って。
(守)はい。
(前田)お姉さん そろそろ。
じゃあね。
(守)じゃあね。
バイバイ。
バイバイ。
♬~
《15年たって
守と里親の家を見つけた》
《私は 近くに住み
この窓を見詰め続けている》
《それ以上 近づくことは
決してない》
《守を捨てたという思いが
私に取りついて離れないからだ》
《いつもどおりの毎日を
過ごしていた ある日に
事件は起きた》
(ブレーキ音)
(隊員)脈拍停止 呼吸停止
瞳孔散大。 自発運動なし。
♬~
《その顔には 見覚えがあった》
《昔の仲間 加藤 理恵だった》
(和子)理恵…。
(守)父さん。 父さん!
《そして何より 彼女をひいたのが
守の育ての父だった》
《タクシー運転手の
浅野 大造さん》
(救急車のサイレン)
≪(警察官)いいよ おいで。
(大造)守…。
(守)父さん…。
守…。
はい。
(ボイスチェンジャー)昔の仲間と
生き別れの弟。
こんな偶然が あるわけないだろ。
浅野 守が苦しんでいるのは
お前の弟だからだ。
これは お前への復讐だ。
幕は上がった。
ハハハ…。
《浅野さんが繰り返していたのは
一つ》
《女が突然 飛び出してきた》
《信号は 青だった》
(理恵)《キャー!》
(大造)《あー!》
《あっ!》
《あっ…》
《すいません…。 すいません!》
《私への復讐》
《それが いたずらではなく
明確な悪意だと分かったのは
その夜
メールを開いたときだった》
敦子?
(敦子)「もしもし?」
(敦子)「キャー!」
あっ!
《理恵。 そして 敦子》
《2人とも かつて ある罪を
共に犯してしまった仲間だ》
《次は 私?》
(雪美)雪です。
今日は天気がいいので
ここで オリエンテーリング
したいと思います。
子供たちは元気よく そして
おじいちゃん おばあちゃんは
足元 気を付けてくださいね。
みんなで 雪を楽しみましょう!
はい! さあ どうぞ!
《タクシーにひかれた
加藤 理恵》
《地下鉄に飛び込んだ
三田 敦子》
《もう一人 菅野 雪美と 私は
老人介護の仕事をしていた》
《そのオリエンテーリングで
私たちは出会った》
(橋本)すいません 両端の方
もう少し 中にお願いします はい。
(橋本)いきますよ!
10秒でシャッター下りますんで。
はい 今 押しました。
《あの日から
私たちの人生は変わった》
(橋本)いきますよ!
はい チーズ!
(シャッター音)
(橋本)はい。 もう一枚 いきます。
来た来た。 このワインね
私のお気に入りなの。
楽しみにしてて。
じゃあ あらためまして。
(一同)乾杯!
うわー おいしい!
(雪美)でしょ? よかった。
本題に移ります。
実は今ね 厚生労働省の
政策の一環で
要訪問介護老人の
実態調査してんの。
ふ~ん… 実態調査。
(雪美)国勢調査を さらに細分化
したようなものなんだけど
今後の年金とか 介護保険とか
そういった基準を決めるときに
役立つデータが必要なのよ。
ほら! あなたたちはさ
地域老人の情報を
入手できる立場にあるでしょ。
データ集めに
協力してもらえないかな?
厚労省の政策ならね。
(理恵)うん。
お年寄りのお役に立てるなら。
そうだよね。
ありがとう! 言ってみるもんだな
安心しちゃった。
あのね このシートを
埋めるだけでいいんだ。
報酬は 国から かなり出るらしい。
ホントに?
(雪美)見て見て 簡単でしょ?
ここ埋めるだけでいいの。
なるほど。 へえ~。
《その必要なデータには
お年寄りたちの経済状況や
資産なども含まれていた》
えっ? 相続税って
そんなに掛かるの?
そうでんねん。 もう大変ですわ。
知らなかったね。
(理恵)うん。
大変ね~。
ねえ 私たちでよかったら
話 聞くぐらいはできるからね。
よろしゅう お願いしまっさ。
ねえ ホントに親切にしてもろて
助かりまっさ。
何 言ってんですか!
何でも甘えてくださいよ。
今は 銀行も つぶれる時代なの。
(女性)ああ そう。
銀行に預けんのが
一番危険なのよ。
(女性)そうなんですか。
今 一番安心なのはね レアメタル。
(女性)レアメタル? へえ~。
ねっ。
(女性)レアメタル。 そうですか。
レアメタル。
(雪美)はい。
え~っと
キャッシュカードでしょ…。
印鑑。
(男性)ああ はいはい。
おっちょこちょいなんだから!
(男性)ハハハッ…。
はい。
ホントは こういうこと
禁止されてるのよ。
でも おじいちゃんだから
特別に 私が預かってあげる。
絶対 内緒よ。 特別なんだからね。
(男性)はい。
《それは 紛れもない
老人介護詐欺だった》
《主犯の雪美だけが
実名で報道され 実刑を受けた》
《理恵と敦子と私は
刑事上は 無罪》
《法律で裁かれることは
なかった》
(生徒)完成! もういいでしょ。
まだ やるのかよ?
(生徒)おい やめろよ!
落ちるよ!
(生徒)ヤベえ! やめろって お前。
おい! おいおい…。
(カヨ)あんたたち 守のお友達?
おう。 すんげえ仲いいよ。
(生徒たちの笑い声)
僕たち 守君のお父さんが
人を殺したっていうんで
心配して 来てみたんです。
せ~の…。 殺人タクシー!
(生徒たち)殺人タクシー!
殺人タクシー! 殺人タクシー!
ちょっと!
あなたたち 何やってるの!
警察 呼ぶわよ!
何だ? あいつ。
(生徒たち)殺人タクシー!
やめなさい やめなさい!
何だよ 女だよ。
(生徒)奇麗じゃん!
やめてもいいけど
やめてもいいけど…。
キャッ!
(生徒たち)フゥー フゥー!
やめなさい!
大丈夫ですか?
ちょっと待っててください。
≪入りまーす!
≪(ドアの開閉音)
大丈夫ですか?
大丈夫ですか? 立てますか?
せ~の… よいしょ。
大丈夫ですよ ゆっくりで。
ゆっくりで大丈夫ですからね。
はい 座ります。
ばあちゃん!
おばあさん
ちょっと 具合 悪くされて。
そうですか… あいつらが。
ホントに ひどかった。
おばあさん すっかり
おびえてしまって。
あっ…。 大丈夫ですか?
寝る。
おやすみなさい。
おやすみ。
普段は おばあさんのこと
どうしてるの?
週に何回か デイサービス受けて
それ以外は 僕と父さんで
面倒 見てます。
(ガラスの割れる音)
キャー!
おーい 殺人殺人!
こっちだよ こっち!
やだ! あの子たち!
いいんです。
無視するのが 一番ですから。
また来るからな! 覚えとけよ!
また来んの? お前。
(生徒)また来るよ。
勝手に お前だけ来てろよ。
おなか すいた人!
(生徒)取りあえず またねー。
面白がってんですよ。
自分たちと違うところがある
人間なら 誰でもいいんです。
バイトも首です。
同じ理由で。
あっ 手 気を付けてね。
(守)はい。
うちの父さん
タクシー運転手なんですけど
事故を起こして
人が1人 亡くなったんです。
免許も取り上げられて。
父さんが言うには
相手の女性が信号を無視して
突然 飛び出してきたって
言ってるんですけど。
目撃者がいないから
留置場から出てこれないんですよ。
☎
(守)またか。
☎
☎
はい。
(ボイスチェンジャー)ありがとう。
えっ?
☎あの女を
殺してくれて ありがとう。
☎(通話の切れる音)
☎(不通音)
また いたずら電話でした。
何か 「あの女を殺してくれて
ありがとう」って。
雪美…。
この田沢 智恵さんっていうのは
一人暮らし?
ちょっと 聞こえるよ。
大丈夫よ 「難聴気味」って
書いてあるじゃない。
福岡に勤務している息子さんが
時々 帰ってくる。
持ち家?
うん。
使えるねえ あんた。
ホントに和子には感心するわ。
しっかし
じいさん ばあさんはさ
「特別」 「安心」
「この先 何かあったら」
この言葉には弱いねえ。
三種の神器だなあ。
アハハ。
皆さん 楽しんでますか?
(一同)は~い。
はい。
座って。 座って。
はい 報酬。
お疲れさま。
ねえ もう これっきりにさせて。
はあ?
報酬だけ受け取ったら
もう関係ないって?
あー!
(雪美)ふざけんじゃないよ。
お前ら 私のこと裏切ったら
殺すから。
地獄の底まで
追い掛けてやるからな。
いまさら抜けようなんて
思わない方がいいよ。
ほら。
最初から そうやって
素直に もらっときゃいいんだよ。
安い給料で
ぎりぎりの生活してんでしょ?
ねっ?
ほら 笑って。
ねっ 笑ってよ。 ほら。
(雪美)ねっ?
《知らないうちに
加担させられていた罪》
《それを公にして償う勇気が
私たちには なかった》
♬~
(男性)もう少し横向いてみようか。
(雪美)これぐらい?
(男性)うんうん 奇麗だよ。
いいね。
もう分かったって。
(男性)いいよ。
(雪美)ねえねえ 先に行ってて。
後で行くから。
(男性)もう終わり?
後で。 じゃあね。
(男性)奇麗だな 僕の嫁さん。
ごゆっくり。
あの男 私のこと
処女だと思ってんのよ。
なわけないじゃんね。
座ったら?
あんたには
招待状 出してないんだけど。
あのね 雪美…。
その顔見てると
つまんないことばっか思い出す。
ねえ… あれから
理恵や敦子と会ってる?
その優等生ぶった言い方
相変わらず ムカつくね あんた。
私だと思ってんだ。
橋本に聞けば?
橋本?
オリエンテーリングのときに
ボランティアで来てたカメラマンだよ。
理恵も敦子も
脅されてたらしいじゃない。
脅迫されてたってこと?
私んとこにも来たよ。
あのことバラされたくなかったら
金払えってさ。
それで どうしたの?
やらせてやったら
おとなしくなった。
はい。
♬~
雪美?
どうしたの?
雪美?
雪美? 雪美?
(雪美)キャー!
(悲鳴)
雪美!
≪(ざわめき)
《何が起きてるの?》
≪(鈴子)和子さん。
あっ 原沢先生。
注文されてた本 届いてます。
(鈴子)ありがとう。
こんにちは。
物思い?
あっ いえ。
ちょっと ぼんやりしちゃって。
少々 お待ちください。
1, 470円になります。
(生徒たち)アハハハ…。
(生徒)いくね いくね。
(生徒)いいでしょ 最高でしょ。
(生徒)お前
これでも何も言わねえの?
(生徒)何だよ 面白くねえな。
ネットに載っけちゃお
ネットに。
(生徒)いいな それな。
(シャッター音)
(生徒)お前 脱がせろ。
(生徒)脱がせろ ほら。
おい!
(生徒)動くな。
(シャッター音)
(生徒)撮っちゃえ 撮っちゃえ。
ちょっと! あなたたち
いいかげんにしなさいよ!
ホントに警察 呼ぶわよ!
(生徒)また来たぞ。
警察来るまで どんぐらい?
(生徒)お姉さん ストーカー?
しめようぜ。 動くなよ。
やめ…。
(生徒)やっちゃおう。
やめなさい。 よしなさい!
やめて やめなさい!
(守の叫び声)
(守の叫び声)
(生徒の叫び声)
(生徒)おい!
(生徒)うるせえんだよ。
(守の叫び声)
(生徒)おい 早く やっちゃえ。
やっちゃえ。
(守の叫び声)
(生徒)行こうぜ。
放しなさい!
(守の叫び声)
(守の叫び声)
ハァ ハァ ハァ…。
《このとき 守に触れて確信した》
《私は この子を守りたい》
《私は この子を 愛している》
《見詰めているだけでなく
何か できないだろうか》
大丈夫。 大丈夫よ。
カヨさんの お箸
どれですか?
(カヨ)私の お箸は この赤いの。
はい じゃあ 置いときますね。
ありがとう。
おいしそうね。
ウフフフ。
あっ。
あの… ありがとうございます。
風呂入って 少し落ち着きました。
お台所 勝手に借りちゃった。
はい。
お友達 帰ったの?
(守)うん。
ねえ 仲良くしてる?
してるよ。
はい ばあちゃん。
あっ ちょっと待って。
はい カヨさん どうぞ。
はい。
召し上がれ。
(カヨ)はい。 いただきます。
なるべく スプーンじゃなくて
お箸を
使わせてあげるようにしてね。
はい。
はい。
ねえ それから
カヨさんは お水 飲む?
あっ いや なかなか
飲んでくれないんですよ。
お年寄りはね 喉の渇きに
鈍くなってることが多いの。
だから 必ず
お水や お茶を飲み終えてから
ごちそうさまするようにしてね。
へえ~。
もしかして
介護の仕事 されてるんですか?
あ… うん。 昔ね。
もう 辞めちゃったんですか?
うん 合わなくて。
はい。
あ… あ…。
外れ… ない。
えっ?
えっ?
痛い。
あー もう だから
小指に着けてって言ったじゃん。
じゃ もう 外すからね。
(カヨ)うん。
痛いよ! 痛い 痛い。
あー ちょっと…。
ちょっと 待ってて。
痛い 痛い 痛い…。
カヨさん ちょっと
指 貸してくださいね。
はい。
抜きますよ。
はい。
1 2の 3!
はい 抜けた。 フフフ。
あ~ら あら…。
不思議だ。 不思議だ。
指 拭きますね。
せっけんより 中性洗剤が お勧め。
表面活性剤が あるからだ。
ええ?
難しい言葉 よく知ってるのね。
僕 科学 好きなんですよ。
ふ~ん。
ちょうど 雑誌で読んで。
これです。
うわー 難しそう。
私 苦手。
小指 はまっちゃった。
アハハハ…。
奇麗ですね。
ハハハ… フフ…。
はい 奇麗でしょ?
ばあちゃん 指輪とか
買ってもらったことないみたいで。
それ 死んだ母の指輪なんです。
(母)《大丈夫だから》
(母)《和子》
《「T to K」》
《TからKへ》
はい 大切なもの。
さあ 召し上がれ。
いただきます。
おいしいです。
よかった。
昼ご飯 すごく おいしかったです。
普段は?
お父さんが ご飯作るの?
はい 僕と交代で。
父さんの料理も なかなかですよ。
そうなんだ。
父さん ずっと独身で
ばあちゃんも あんなんだから
何か 自然と
料理 うまくなったみたいで。
父さん 里親なんですよ。
ホントの父は
15年前 地方の市役所の お金を
横領して 失踪したんです。
母さんも その後
すぐ 亡くなって。
さっきの指輪
たった一つの形見なんです。
いい ご家族?
はい。 すごく いい家族です。
でも ホントの父が どうして
家族 壊すようなことしたのか…。
会ったら 聞いてみたいなって
思ってます。
すいません 何か 余計なこと。
ううん。
何で こんな話
しちゃったんだろう。
ねえ 守君。
はい。
あの よかったら
うちでバイトしない?
えっ?
本屋さんなんだけど。
♬~
♬~
(柏木)つかないすか?
(牧野)来ないねえ。
(柏木)これで 映りました?
(牧野)あっ 映った 映った。
(柏木)牧野さん 抜けてますよ。
(牧野)えー…。
(柏木)これ 普通っすね。
(牧野)ヒーリング効果で 万引が
減少するなんて 言ってたけど
ホントですかね?
(多香子)本社が流せっていうから
そうなんじゃないですか?
こんなことに
金 掛けるぐらいだったら
もうちょっと
給料上げてくれって話ですよね。
(多香子)ハハハ… そうですね。
(柏木)店長 どうしたんですか?
(守)店長?
(牧野)大丈夫ですか?
目まいっすか?
(鈴子)和子さん?
和子さん 大丈夫?
あ… 先生。
(鈴子)少し うちに来て 休む?
(牧野)あっ こっちは
大丈夫ですよ。
ごめんね。
(鈴子)立てる?
すいません。
(鈴子)じゃあ。
(牧野)はい。
どうぞ。
あ… ありがとうございます。
最近 眠れてる?
あんまり。
そう。
何か 仕事で悩みがあるの?
ええ。
店長だもんね。
和子さん 責任感が強いから。
ちょっと 頑張り過ぎかもよ。
心置きなく 話せる相手が
そばにいると いいんだけど。
弟さんは?
どうしてるの?
あっ さっきの
あの アルバイトの男の子。
あの子 私の 弟なんです。
そうなの?
じゃあ
あなたが お姉さんだってこと…。
ああ… いえ。
弟は 姉の私の存在も 知りません。
一歩でも前に
進んだ方が いいと思うな。
ご両親が 亡くなったとき
あなた自身も 施設に入る
年ごろだったのよね。
弟さんを 育てられるはずが
なかったわけだし。
話せば きっと
分かってくれるわよ。
そんな資格…。
それよりも 私には
やらなければならないことが。
弟は 私が
守らなくちゃいけないんです。
橋本 信彦。
《次は 私だ》
橋本さんですか?
私は どうなっても構いません。
守にだけは
手を出さないでください!
あなたなんでしょ?
俺は 全部 知ってる。
2, 000万。
えっ?
2, 000万。
そんなお金 ありません。
えっ!? キャー!!
嫌ー!
助けてくれ。
はい。
≪(橋本)うわー!
もしもし?
(ボイスチェンジャー)橋本は 死んだよ。
いよいよ お前の番だ。
誰なの?
(通話の切れる音)
♬~
(アナウンス)「品揃え 地域最大級
ブックファースト ブックファースト」
いらっしゃいませ。
ハァ… ハァ…。
うわー!!
キャー! 嫌ー!
キャー!
お客さま どうなさいましたか?
キャー!
(多香子)店長。
お客さま?
キャー!
(牧野)お客さま!
キャー!
キャー!
ああー!
お客さま?
ハァ… ハァ…。
この間 店長が
お休みだった日にも
ちょうど同じ場所で
男の人が 暴れだしたんです。
ええっ?
♬~
♬~
別に 普通よね。
(多香子)うん。
(守)ちょっと コマ送り
してみてもらって いいですか?
あっ。 えー…。
あっ ちょっと貸してください。
ああ ありがとう。
うわっ。
何? やだ これ。
(多香子)うわ…。
やだ 何? これ。
(守)これ サブリミナルだ。
えっ サブリミナル?
アメリカの映画館で 映画の中に
短くドリンクの商品映像入れたら
売店に お客さんが
殺到したなんて話があります。
もちろん 禁止されてますけど。
網膜に焼き付いた映像は
意識に残らなければ
残らないほど
情報として潜伏する。
そう雑誌に 書いてありました。
これって 万引防止の映像ですよね。
うん。
(守)この目の映像は
「お前を見てるぞ」っていう
メッセージじゃないんですかね。
それが 暗示になって
万引をしなくなるとか。
でも 叫んだり
暴れたりしちゃうのは
何で?
(守)さっきの女子高生って
万引の 常習犯でしたよね。
うん。
罪の意識があると
過剰に反応しちゃうとか?
暗示をかけて 思いも寄らない
行動を起こさせる。
(敦子)《もしもし?》
《はい》
《助けてくれ》
ねえ 電話で
サブリミナルみたいに
暗示をかけることって
できると思う?
えー… あっ できると思いますよ。
映像だけじゃなくて
音声の サブリミナルも
実証されてますから。
♬~
携帯電話。
あの すいません。
あの…。
あっ あの…
ちょっ ちょっと待ってください。
(守)あの
昨日の男の人なんですけど。
昨日の?
(守)前にも
どこかで会ったことが
あるような気がするんですよね。
もし ホントの父が
どこかで生きてたら
あんな 雰囲気なのかなとか。
あんぐらいの年
なのかなって思って。
(守)あっ すいません。
出ちゃ駄目!
何なんですか!
浅野 守に 何の用ですか?
浅野さんの家の前で
いっつも 何してるんですか?
どこに 電話かけてるんですか?
答えてください。
(吉武)ああ いや…
誤解させてしまって
申し訳ありません。
立川北署の吉武と申します。
浅野 守君だね。
ちょっと 出られるかな?
お父さんのことで。
はい?
いいですか?
私も 一緒に行きます。
父さん。
父さん! 父さん!
≪(大造)守!
守。
(守)父さん。
父さん 出られたんだよ。
アハハ…。
よかった。
(大造)吉武さん すいません。
(大造)おい あちらの方は?
あっ バイト先の店長の
高木 和子さん。
すごい よくしてもらってんだ。
(大造)ああ…。
(大造)上がってもらえよ。
どうぞ。
(吉武)ああ
車 止めてきますから。
(大造)この先 ありますから。
(守)じゃあ。
(大造)どうぞ。
守。 吉武さんは
刑事さんなんだけど
父さんの事故の 目撃者なんだよ。
名乗り出ていただいたおかげで
父さん こうやって出れたんだ。
(吉武)いや… 実は。
(せきばらい)
実は あのとき
お恥ずかしい話ですが
付き合っている女性のマンションに
向かう途中でした。
ですが 私には 妻子がおりまして。
(吉武)事故の直前
加藤 理恵さんは
気分が悪そうで 電信柱の陰に
うずくまっておりました。
気になったんで
声を掛けたんです。
そしたら
「何でもありません」と。
で 突然 逃げだすように
駆けだしていったんです。
(吉武)信号を無視して…。
(大造)《あっ…》
浅野さんのタクシーの前に
飛び出したんです。
懲罰を覚悟で
名乗り出ていただいて
ホントに ありがとうございます。
(吉武)あっ いえ。
いえ… あの 私の方こそ
もっと早く 名乗り出ていれば
こんなにも長い間
勾留されずに済んだはずです。
ホントに
申し訳ありませんでした。
ああ… やめてください そんな。
これで また仕事 戻れるね。
父さん。
守 父さんな もうハンドル握るの
やめようかと思って。
怖いんだよ。
この会社の面接を
受けてみようかと思ってる。
ああ それ 私の先輩が
役員をしている警備会社。
もう 話は 通してありますから。
就職先まで
お世話していただいて
ホントに 何と言って
お礼を言っていいか。
ガードマン。
どう思う?
(守)いや カッコイイけど
父さんにできんの?
(大造)できるよ。
ほら ヘルメットかぶって。
(守)頑張って。
(大造)こうか? ハハハハ…。
<突然 錯乱し 死を選ぶ>
<人間を自由に操る魔の手が
書店員 和子に迫る>
<悪意ある復讐は
愛する弟 守にも及ぶ>
<和子は 彼を守れるだろうか?>
まだ ポップあります?
ああ じゃあ これ お願い。
(守)ありがとうございます。
あっ… 昨日 また
変な電話かかってきたんですよ。
(守)8時 ちょうどでした。
(時報)
☎
《はい》
(ボイスチェンジャー)《私は 人を
自由に操ることができる》
《あの いたずらでしたら…》
《今 すぐに証明する》
《えっ?》
《私は 人を
自由に操ることができる》
《言ったとおりだろ?》
《君に
いいことを教えてあげるよ》
《この先
どうしても許せない 殺したい》
《そう思う誰かに出会ったら
こう言うんだ》
《「東京は 今夜も霧ですね」》
霧?
霧。
(田沢)《あの…》
《何?》
(田沢)
《霧の都って言うじゃない》
《ああ… ロンドン》
賢一さん…。
えっ?
守君。
(守)はい。
アルバイト 辞めてもらえるかな?
(守)えっ?
他の仕事 探すから。
無理なら私が辞める。
(守)何でですか?
私と関わらない方がいい。
(守)和子さん。
二度と 私と関わらないで!
≪(チャイム)
(平田)どうされました?
あの すいません。
田沢さん 知りませんか?
(平田)田沢さん?
はい。 智恵さんと賢一さんです。
(平田)あー…。
(平田)おばあさんは
認知症が ひどくなって
施設に入られたようですよ。
認知症?
息子さんの件が よっぽど
ショックだったんでしょうね。
賢一さん どうかされたんですか?
(平田)自殺されたんですよ。
何でも
好きな女性に裏切られて。
ひどい目に遭ったとか。
♬~
全部 私のせいなの。
私は とんでもないこと
してきたの。
お年寄りをだまして。
頑張って働いて
こつこつ ためてきた
おじいちゃんや おばあちゃんの
大切な お金や おうちを奪って
地獄に突き落としたの。
それだけじゃないのよ。
もっと ひどいことを 私…。
《紅茶 入れてきたんです》
《蜂蜜とショウガが入ってるから
温まりますよ》
(智恵)《ショウガ》
《どうぞ》
《おいしい!》
《ああ よかった》
《ありがとう 和子さん》
《どういたしまして》
《あら》
《あ~》
《賢一が来たわ》
《こんにちは》
《こんにちは》
《滑りますよ》
《ハァ… 間に合った》
《何が 間に合ったの?》
《えっ? いや 何がって…》
(田沢)《あの…》
《何?》
《霧の都っていうじゃない》
《ああ… ロンドン》
《そう》
《ミルクみたいに重みがあって
何でか 落ち着くんだよね》
《ああ あと 町も好き。
みんな のんびりしてるし》
(せきばらい)
《いつか 一緒に行こうよ》
(田沢)《なんて…》
《あっ これは 私が。 フフフ…》
(田沢)《お願いします》
≪《ごめんください。
智恵さーん》
《あら 和子さん》
《近くまで来たので
寄ってみました》
《桜餅 買ってきました》
《わ~ ありがとう》
《あれ? お客さまですか?》
《あなたの お友達が来てるのよ》
《えっ?》
≪(雪美)《ありました ありました
智恵さん》
《端じゃなくて
真ん中の引き出しでしたよ》
《あら 本当》
《和子》
(智恵)《雪美さんね
私の後見人になって
家の権利証も
預かってくださるって》
《権利証?》
《安心してくださいね》
《でも 絶対 内緒ですよ。
特別なんですから》
《はい。 お世話になります》
《いえいえ》
《じゃあ 確かに
ちゃんと預かりました》
《お願いします》
(智恵)《桜餅 一緒に頂きましょ》
《ちょっと…》
《返して これだけは…》
《何すんだよ!》
《ばばあが 私に託したんだよ。
放せよ 放せよ!》
《返して!》
《やだ! 放して!》
《嫌!》
《放せよ!》
《返して!》
《うっとうしいんだよ!》
♬~
♬~
しばらくして
お年寄りの一人が亡くなり
雪美が 現金を引き出してたことが
発覚して
全てが 公になり
智恵さんも そのことを知った。
《智恵さん これ…》
《ありがとう》
《でも これは
あなたが預かっといて》
《でも これは…》
《私は あなたを信じてるわ》
《誰が 何と言おうと
あなたを信じてるわ》
《ホントに…
ホントに ごめんなさい》
《これ お預かりしてた
家の権利証》
《残念だったね》
《これを 何とかする前に
発覚してしまって》
《初めから
だますつもりだったんだよね?》
《母のことも 僕も》
《違う そうじゃない!》
《君が
そういう人間だったなんて…》
《僕は… 僕はね》
《いまだに これは何かの
間違いだって思いたがってる》
《そんな自分自身も 許せない》
《出会わなければ よかった》
♬~
賢一さんは
もう この世にはいない。
私 どう償えばいいか分からない。
和子さんは ばあちゃんに
優しくしてくれました。
僕のことを助けてくれました。
だから…。
今度は 僕が 和子さんを助けたい。
♬~
(吉武)こんにちは。
いらっしゃいませ。
ちょっと
近所まで来たもんですから。
ああ。
あー。
いやー 彼は いい子ですね。
ちょっと 私が体調が悪いもので
仕事 代わってもらってるんです。
(吉武)ああ。
まあ まだ 新米ですけどね。
ハハハ。
吉武さん。
(吉武)いやー。
(守)今日は何ですか?
(吉武)えっ 何ですかって
いや 本 買いに来たんだよ。
(守)あっ。
あれ? 刑事は
本を読まないと思ってるのか?
まあ。
(吉武)それが読むんだな。
SFだろ。 純文。 なっ。
あっ じゃあ
店内 案内しましょうか。
何だよ。 俺を試すのか?
本好きか どうか。
いや 違いますよ。
いいですか?
ご案内。
あっ。 ご案内します。
ああ。
(守)あっ ちょっと待っててください。
ごゆっくり どうぞ。
ああ。
さてとか。
(吉武)ひっ! ひっ! ひっ!
ひっ! ひっ!
うっ! うわー!
吉武さん?
吉武さん どうなさいましたか?
あー!
吉武さん 大丈夫ですか?
ちょっと 誰 スイッチ入れたの!
吉武さん! 吉武さん!
(吉武)あー!
吉武さん!
(吉武)あー!
(守)吉武さん!
吉武さん! 大丈夫ですか?
あー!
(守)吉武さん!
吉武さん!
吉武さん?
吉武さん 吉武…。
あー 吉武さん!
ちょっと 早く 救急車!
(牧野)どうなってんの?
これ ちょっと!
救急車 救急車!
(牧野)取りあえず バックヤード。
吉武さん!
(守)脚 持ってください。
(牧野)脚 持って。
(牧野・守)せーの。
吉武さん 大丈夫ですか?
(守・和子)吉武さん!
(バイブレーターの音)
《吉武さんまで どうして?》
(バイブレーターの音)
はい。
(ボイスチェンジャー)
ビデオは 気に入ったかい?
お前の弟の命を守りたければ
今すぐに 公園通りまで来い。
♬~
♬~
(バイブレーターの音)
(バイブレーターの音)
はい。
(ボイスチェンジャー)
逃げろ。 捕まるぞ。
逃げろ。 捕まるぞ。
逃げろ。 捕まるぞ。
逃げろ。 捕まるぞ。
≪(クラクション)
(男性)危ないよ。
≪(クラクション)
(郷田)大丈夫?
(入江)大丈夫ですか?
ここ 危ないですよ。
(郷田)連れていこう。
(郷田・入江)はい。
(入江)ちょっと すいません。
(鈴子)すいません。
ちょっと すいません。
あっ 和子さん。
和子さん!
あなた 何てことを!
死にたいの!
先生。
(鈴子)和子さん! 和子さん!
すいません。 ちょっと
手を貸していただけませんか。
(郷田)さあ。
さあ ほら 行こう。
(鈴子)しっかり。
≪(戸の開く音)
≪(羽原)失礼します。
こちら 着ていた お洋服と
荷物です。
ありがとうございます。
(守)「K to T」
KからTへ。
父さん?
♬~
ああ。
よかった。
原沢先生。
さっきのこと 覚えてる?
私 どうして あんなことを。
先生 助けてくださったんですか。
後催眠状態だったのかも
しれないわね。
後催眠状態ですか?
自覚はなくても
脳は知ってる トランス状態。
その状態になると
言葉 音 行動。
一定のキーワードを きっかけに
事前に与えたとおりの命令を
実行させることができるの。
あなたも
その状態だったみたいね。
えっ? どうして そんな。
例えば 規則正しく 一定の間隔で。
(指を鳴らす音)
(指を鳴らす音)
(鈴子)指を鳴らすだけで
被験者を 浅い催眠状態に
導くことができるの。
ネガティブな精神状態の人ほど
かかりやすいと いわれているわ。
ストレス コンプレックス。
罪悪感。
催眠術で誘導されると
判断力が低下しているから
暗示を そのまま
受け入れやすくなってしまうの。
ああ ありがとう。
ハハッ。 恥ずかしいところを
見せちゃったな。
いやー 悪かった。
君たちに ケガはなかったか?
ああ。
いやー よく覚えてないんだよな。
何で 暴れちゃったのか。
(守)これ。
僕たちに どうして
あんなに親切にしてくれるのか
やっと分かりました。
お父さんなんですね?
(守)あなたが
僕の お父さんなんですね。
あなたの周りには
罪を犯した人たちが
たくさんいたわね。
暗示には
かかりやすかったでしょうね。
みんな 後催眠状態から
携帯電話が きっかけで
死んでいった。
どうして そんな。
《もしもし?》
(鈴子)加藤 理恵は車に向かって。
(理恵)《キャー!》
《もしもし?》
(鈴子)
三田 敦子は 駅のホームから。
(敦子)《キャー!》
(鈴子)菅野 雪美は…。
《はい》
(鈴子)窓から逃げるように
飛び降りたでしょ。
(雪美)《キャー!》
真相に気付いて
私を脅してきた 橋本 信彦には
暗示を与えて
ガス栓をひねらせ…。
(鈴子)
電話でキーワードをささやいて
たばこに火を付けさせた。
(橋本)《うわー!》
サブリミナルと同じよ。
罪の意識に
さいなまれている人間は
「逃げろ」とか 「走れ」とか
そういう言葉には
容易に反応してしまうの。
《はい》
(ボイスチェンジャー)
《逃げろ。 捕まるぞ》
いつ 私に。
フッ。
いくらでも
機会はあったじゃない。
ここに来ているときだって。
賢一さん。
アメリカにいた 私に
弟から電話がかかってきた。
「姉さん 助けて」
「人が信じられなくなった」
「もう 誰も信じられない」
「生きていたくない」
それが 最後だった。
人が人を信じることは
とても尊いことよね。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
どうか 守だけは。
あなたの大切な弟だものね。
でも 賢一も
私にとって たった一人の
大切な弟だったのよ。
あなたの弟さんのことで
面白いこと教えてあげるわ。
掛けて。
守君のことよ。
吉武 浩一。
彼は 浅野 大造の事故現場なんか
見ていない。
あの事故の直前に
タクシーに乗っていた
最後の客は 私なの。
浅野 大造のタクシーを
あそこまで誘導して
降りてから 後催眠状態だった
加藤 理恵に電話をかけて
暗示を与えた。
《もしもし?》
(ボイスチェンジャー)
《逃げろ。 捕まるぞ》
そこで彼女は
吉武に話し掛けられたとしても
あの状態では
受け答えなどできたはずがない。
じゃあ。
捏造よ。
吉武 浩一は 偽の目撃者。
社会的地位や名誉を
なげうってまで
なぜ 浅野家を守ったのか。
私は それが知りたくて
吉武に近づいた。
彼は 催眠誘導で 全てを語った。
(吉武)
私は 守君の 父親じゃない。
私は 君の…。
父親じゃない。
15年前の あの日。
明け方 4時。
雨が降っていた。
豪雨注意報が出ていた。
私は 疲れ果てていた。
(吉武)
慌てて ブレーキを踏んだら…。
(ブレーキ音)
(衝突音)
(男性)《うっ!》
(吉武)罪を犯した その人は
出頭のため そこにいた。
横領罪で逃亡中の その人が…。
君の…。
君の 父親だ。
私は 自分を守ったんだ。
それで…。
それで?
君のお父さんを近くの山へ…。
埋めた。
♬~
♬~
(吉武)身の回りの物は
全部 処分した。
(吉武)指輪だけは できなくて。
(吉武)《ああっ》
私は 君のお父さんを殺して
失踪人にしたまま…。
自分だけ15年もの間 のうのうと
平穏無事に生きてきた。
ひきょうな男だ。
最低の人間だ。
許してくれ。
ホントに… 許してくれ。
許して… 許してください。
この男が あなたたちの
お父さんの存在を
この世から抹殺したのよ。
だから私は
守君には教えてあげたの。
誰かを殺したくなったら
こう言いなさいって。
「東京は 今夜も霧ですね」って。
あなたは何もできない。
何もする資格がない!
お願い! お願い
私は どうなっても構わない。
駄目よ!
私は死んでも構わない!
でも 守にだけは
罪を犯させたくない!
弟だけは どうしても
守りたいんです! お願いします!
分かるでしょ? 私の気持ちが。
弟を守りたくて 守れなかった
私の気持ちが!
分かるでしょ!
♬~
行きなさい。
もう 間に合わないわ。
あなたの弟は これからずっと
罪を背負って生きていくの。
それが一番 つらいことでしょ。
あなたなら分かるでしょ。
♬~
何でも言ってくれ。
君が望むことなら
何でも する。
東京は…。
今夜も…。
霧ですね。
♬~
♬~
(吉武)うわー!
♬~
(吉武)あー!
吉武さん! 駄目!
吉武さん!
やめてください!
あっ 嫌っ!
吉武さん!
《ハハハ》
♬~
♬~
(吉武)《これ 僕のか?》
《うん》
《いくぞ。 ほい。
ハッハッハッ…》
《そこで何やってんだ》
(守)《秘密基地》
《ほお~ 秘密基地か》
(守)《入る?》
《うん?》
《入れば?》
《いいのか?》
(守)《いいよ》
《じゃあ》
(吉武)《狭いな よいしょ》
《ああ 狭い狭い 狭い!
うんうん… ハハハ》
(吉武)あー!
吉武さん! 吉武さん 吉武さん!
吉武さん 吉武さん!
がー! うわっ…!
(守)吉武さん 吉武さん!
吉武さん。
吉武さん 大丈夫ですか?
吉武さん。
吉武さん。
守君 大丈夫?
(守)はい。
吉武さん。
吉武さん 吉武さん!
吉武さん!?
(吉武)ううう…。
吉武さん!
和子さん 和子さん。
和子さん。
(吉武)ひいい…!
吉武さん!
吉武さん!
吉武さん!
吉武さん…。
吉武さん 大丈夫。
大丈夫。
(守)大丈夫 大丈夫。
大丈夫 大丈夫。
ハァ ハァ…。
守君?
(守)僕は…。
僕は あなたが憎いです。
でも 無理なんです
分かんないんですよ!
あー! あー!
守… 大丈夫。
守 大丈夫。
守 大丈夫だから。
大丈夫。
大丈夫。
あなた 高木…。
和子さん?
(吉武)守君の…。
♬~
《吉武 浩一は自首をし
かつての罪を告白した》
《原沢 鈴子は
自ら命を絶つことで
罪を償った》
♬~
♬~
(柏木・多香子)せーの。
大丈夫?
(多香子)はい 大丈夫です。
1回 置く?
(多香子)大丈夫です。
よし 頑張ってね。
(多香子)はい。
♬~
♬~
♬~
♬~
和子さん
店 辞めちゃうんですよね?
副店長に聞きました。
うん。
辞めないでください。
♬~
いつか ホントに
償うことができたら
そのときは…。
そのときは?
何でもない。
そのとき言う。
(守)はい。
じゃあ ここで。
和子さん。
出会えて よかったです。
また。
《守と過ごした日々が
終わった》
《いつか… いつか
一歩を踏み出すときまで
私は 守の幸せを祈り続けていく》
《そのつもりだ》
♬~
♬~