夏樹静子サスペンス 検事・霞夕子6~不能犯~ 事件の報告を受けた検事・霞夕子(沢口靖子)は、家族との約束を返上して…

出典:EPGの番組情報

[字][解]<BSフジサスペンス劇場>『夏樹静子サスペンス 検事・霞夕子6~不能犯~』

沢口靖子主演、検事霞夕子の第6弾。不可解な点が多い殺人事件なのだが次々と事件解決の手がかりをつかみ始める。それだけに慎重に、丹念に夕子は捜査を行うのだった。

詳細情報
番組内容
事件の報告を受けた検事・霞夕子(沢口靖子)は、家族との約束を返上して現場にかけつける。被害者・黒田光彦(高濱正朋)の死体には心臓と腹部に刺し傷があり、ナイフが刺さったまま。その後の調べで、心臓と腹部を刺したナイフが同一のものではないことが発覚した。しかも腹部の傷は死後つけられたものだとわかる。夕子は黒田についてさらに調べを続ける。
番組内容2
黒田は2年前、バイクでひき逃げ事故を起こし8歳の女の子の命を奪っていた。黒田は脱法ハーブを使用していた疑いもあったが、服役後、被害者の遺族たちが住む場所からほど近いアパートに再び戻って生活していたのだった。
 夕子、桜木(西村和彦)は事故で命を落とした少女の母親、三吉和佳子(須藤理彩)に会いに行く。三吉夫婦の家には、黒田は一度も謝りに来ることはなかったという。
番組内容3
そんなとき、黒田の向かいの家に住む占部明日香警部(神保悟志)の甥(おい)、勝男(藤山扇治郎)から、怪しい人間を深夜に目撃したと聞き出した夕子。そんな中、事件現場にほど近いパチンコ店の防犯映像に、ある初老の男性、重倉覚(三浦浩一)とぶつかり、彼を殴り飛ばす黒田の姿が映っていた。重倉は黒田に向かって「殺してやる」とつぶやいていたという証言も得る。事件の犯人は一体誰なのか。
番組内容4
そして何が人々を狂わせたのだろうか…。
出演者
<出演者>
沢口靖子
西村和彦
神保悟志

ダンカン
松原智恵子
鍋本凪々美

石丸謙二郎
清水伸

仁科亜季子
須藤理彩
三浦浩一
飯田基祐
ほか
制作
<スタッフ>
原作:夏樹静子(「深夜の偶然」より)
脚本:吉本昌弘
編成企画:水野綾子(フジテレビ)
プロデューサー:岩崎文(ユニオン映画)
監督:赤羽博

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

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♬~

♬~

(夕子)<犯人は 必ず
この中にいる>

♬~

(勝男)うーん。

♬~

(バイブレーターの音)

♬~

♬~

♬~

(刺す音)
(黒田)ああっ。 ううっ。

♬~

♬~

(トイレの水を流す音)

(勝男)びっくりした。

(陽子)ちゃんと 勉強してた?
(勝男)当たり前だろ。

(陽子)ねえ? 目覚まし
ちゃんと かけなさいよ。

起こしたって
すぐに 起きないんだから。

(勝男)ああ。
(陽子)うん。

♬~

♬~

(夕子)さあ。

(夕子)
じゃあ お母さん。 お願いね。

(彩子)はい。
夕子と お休みが 重なるなんて

めったに あることじゃ
ありませんからね。

楽しんでらっしゃい。

(友行)しかし こうして
3人で 映画なんて

何年ぶりだろうなぁ?
(夏子)浸ってないで。

忘れ物 ない?
(友行)えっ? うん。 たぶん。

(夏子)たぶんって。
お財布は? 眼鏡も。

(友行)眼鏡? 眼鏡 掛けたら
3Dの映画 見られないだろ?

(夏子)あのね。 眼鏡の上から
3D眼鏡は 掛けるんだよ。

(友行)眼鏡の上から 眼鏡?
4Dになっちゃうぞ。

なっちゃんったら。

夕子と 出掛けられるのが
うれしくて しかたがないのね。

何か あったら
すぐに 連絡して。

(彩子)大丈夫。
心配なのは 夕子の方。

こういうときに限って。
いってきます。

(彩子)いってらっしゃい。

もしもし?

ええ。 すぐに。
(友行)まさか 仕事かい?

ごめんね。 なっちゃん。

(彩子)仕事だから
仕方ないわね。

(友行)そうだ。 映画は
お父さんと 行こう。 なっ?

なっちゃん。
夏子。

大丈夫よ。
ハァー。

(彩子)夕子と 出掛けられるって
楽しみにしてた分

ちょっと すねてるだけ。
ああ。 それより

早く 支度しなさい。
ああ。

♬~

(占部)じゃあ 梅ちゃん。 頼む。
(梅野)分かりました。

♬~

♬~

(占部)ご苦労さまです。

被害者は
この部屋の住人の 黒田 光彦さん。

(占部)あっ。 犯人のものと
思われる 足跡です。

(占部)致命傷は 心臓への
一突きのようですが。

ご覧のように 凶器のナイフは
刺さったままでした。

死後 10時間程度は
経過しているもようです。

(桜木)第一発見者は 表の?
(占部)ああ。 被害者の母親だ。

昼すぎに 訪ねてきたときには

部屋の鍵は
掛かっていなかったらしい。

被害者に 抵抗した
痕跡が ないことから

泥酔して 眠っているところを
襲われたとみて

間違いないでしょうな。

(桜木)荒れた部屋の 感じからして
被害者は 普段から

鍵を掛ける 習慣が
なかったのかもしれませんね。

(桜木)あの方ですか?
(梅野)はい。

被害者の 第一発見者でして。

(敏江)いつか こんな日が来ると
思ってました。

なぜ そのように?

(敏江)だって 毎日 遊んできちゃ
借金しまくって 踏み倒して。

恨んでた人も
多かったはずです。

今日だって 私に
金 持ってこいって。

でも 私は 殺してなんか
いませんから。 検事さん。

(占部)検事。
詳しい話は 署の方で。

あの。 お母さまは
今 どちらに 住まわれて?

(敏江)調布の 娘のところです。

(敏江)毎日 ろくでもない
仲間が 遊びに来て

光彦とは とても 一緒には
住んでいられませんでした。

そうですか。
(占部)失礼。

おう。 梅ちゃん。 頼む。
(梅野)はい。

(桜木)金品を盗まれた 形跡が
ありませんでしたから

母親が言うように 怨恨の線が
濃厚かもしれません。

≪(陽子)あら!
あっ。 ああ。 あら。 まあ。

もう ちょっと びっくりしちゃって。
まさか 殺人事件だなんて。

明日香ちゃんが 担当してんの?
この事件。

(桜木)明日香ちゃん?
(占部)いや。 何だ。 あの。

偶然にもな 兄貴の家が
あそこでさ。 姉さん。 あの。

(占部)こちら 東京地検の 霞検事。
(陽子)検事さん?

日ごろ 明日香が
お世話になっております。

こちらこそ。 ゆうべは
何時ごろ お休みになられました?

(陽子)これって 聞き込み?
(占部)いいから 答えて。

正直にね。
(陽子)はい。 えーっと。

あの。 主人が
今 胆石で 入院してまして。

もう 病院に 朝一番で
こう 着替えやら 何やら

持っていかないと
いけないもんですから

10時すぎには 寝ました。

明日香ちゃんと 違って
うちのは もう 体が弱くて。

余計なことは
言わなくていいから。

それでは 夜中に 悲鳴や 物音を
聞いたようなことも?

はい。 残念ながら。
(占部)一言 多いっていうの。

ウフッ。
(陽子)フフッ。

♬~

(梅野)それで 現場に残っていた
足跡ですが。

(岩瀬)ちょっと 待て。
また 出しゃばって。 チッ。

続けろ。
(梅野)はい。

えー。 足跡ですが
サイズ 26の

スニーカーの 類いのものと
判明しました。

あくまで 平均ですが
身長 170cmから 180cmの

人間だと 思われます。
(岩瀬)男か。 指紋は どうだ?

(梅野)それが 多数の人間のものが
検出されておりまして

犯人の特定は 困難かと。

(占部)遊び仲間の たまり場に
なっていたってことか?

(梅野)アパート周辺の
聞き込みでも 男女 数名が

頻繁に 出入りしていた
情報を 得ています。

ただし この1カ月の間のことでは
ありますが。

そりゃ どういう意味だ?
(梅野)被害者は

2年前に バイクによる
死亡事故を 起こしておりまして

約 1年の刑期を終え 3カ月前に
出所したばかりでした。

(岩瀬)バイクの事故で 服役?
ああ。 ちょっと 待て。 えー。

アパートには 被害者の
バイクが あったという

報告がある。
(梅野)バイクの名義は

被害者のものでは
ありませんでした。

おそらく 遊び仲間のものを
被害者が。

(岩瀬)出所後 反省もなく
無免許で

バイク
乗り回してたっていうのか?

≪(山岸)失礼します。

(山岸)霞検事からの指示で
報告に 上がりました。

また 勝手に。

こう見えても
懐は 深いつもりです。

一言 伝えていただければ。
霞検事。

留意します。
で 何 調べたんだ?

(山岸)凶器です。

致命傷である 心臓に達した
ナイフと

腹部に 3カ所の傷を残した
ナイフは

同一のものでは
ありませんでした。

違う凶器なのか?
(山岸)微量ですが

あばら骨に残った
刃物の金属片を 調べたところ

犯人が残していった
ナイフのものではないと

判明しました。

それから 検視報告と
重複するかもしれませんが

腹部の 3カ所の
刺し傷には 生活反応がなく

死後 つけられたものだと
付け加えておきます。

(桜木)犯人は 刺殺した後

別のナイフで 被害者を傷つけ
逃走した。

(山岸)報告は 以上です。

ご苦労さまでした。

なぜ 犯人は 致命傷を与えた
ナイフを 持ち去り

別のナイフを 残していったのかと
検事は お考えのようですな?

はい。
(岩瀬)簡単なことです。

持ち去った ナイフは 持ち手の
柄の部分などが 特徴的だった。

例えば 象牙で 特殊な模様を
彫り込んであったとか。

足のつく 可能性の
あるものですな。

最初から 犯人は

ナイフを 2本 用意していたと
いうことでしょうか?

(岩瀬)そういうことです。

ナイフが 折れた場合を
想定していたに 違いない。

つまり 犯人には
強い殺意があった。

死んでからも
死体に 傷を残したとなれば

相当な恨みを 被害者に
抱いていた者の 犯行に違いない。

被害者の周辺を 徹底的に洗え!
(一同)はい。

≪(ノック)
(桜木)はい。

ああ。

お忙しいところ
ありがとうございます。

(並木)桜木君の コーヒーに
誘われてね。

彼が入れた コーヒーは 絶品だろ?
(桜木)恐れ入ります。

それでは 早速。
(並木)うん。

話は 黒田 光彦のことですね?
はい。

2年前 黒田さんが 起こした
死亡事故の 捜査主任が

並木検事だったと
伺ったものですから。

(並木)うん。
痛ましい 事故だったな。

亡くなったのは
まだ 8歳の 女の子だった。

忘れもしない 2年前の
6月20日のことだ。

黒田は 遊び仲間の 女のところへ
バイクで 向かった。

♬~

(並木)バイクが
転倒した 痕跡はなく

タイヤ痕や 遺留品も
確認できなかった。

そして もし すぐに
救急車を 呼んでいたら

助かったかもしれない
三吉 紗月ちゃんを 残して

逃走した。

(並木)だが 1週間後
黒田は 自首をしてきた。

1週間後に?

(並木)女のところに
身を隠してたんだが

女から 自首をするよう
説得を受けたと 言ってね。

しかし 私には
信用できなかった。

目撃者などが いたという

もしもの場合を 想定しての
出頭だと にらんでね。

なぜ そう?

黒田には 事故当日 脱法ハーブを
使用した 疑いがあったからだよ。

脱法ハーブの成分を
抜くための 1週間。

刑を軽くする 目的だろうな。
結果 黒田の体内からは

証拠となるほどの
成分は 検出されず

自首によって
裁判の心証も よくなった。

何もかも 計算ずくさ。
黒田は ずる賢い男だ。

何とかして 薬物使用の
事実を 証明したかったんだが

残念ながら
立証には 至らなかったよ。

私の 力量不足だ。

(並木)いい香りだ。

(並木)うん。 さすがだな。
(桜木)光栄です。

(並木)犯人の目星は?

どうせ 金と 女が
絡んだ末のことなんだろうが。

(桜木)それが 上北沢の
アパートの自室で

刺殺されたという 事実以外は
まだ。

(並木)上北沢の アパート?
(桜木)はい。

(並木)出所しても 事故当時と

同じところに
住んでたっていうのか?

(桜木)被害者に 命じられて
服役中も

母親が ずっと
家賃を 払い続けていました。

何て 男だ。

あそこからは 亡くなった
三吉 紗月ちゃんの家は

目と鼻の先だぞ。
そんな場所で のうのうと。

残された 家族の気持ちなんか
考えてなかったのか。

♬~

(桜木)事故現場からは
500mほどでしょうか。

(和佳子)あの男が 殺されたのは
ニュースを見て 知りました。

黒田さんが 2年前と
同じ場所に 住んでいたことも

ご存じでしたか?
(和佳子)はい。

お会いになったことは?
ありません。

一度も?
(和佳子)はい。

黒田さんが おみえになったことも
なかったですか?

ありません。

あの男は 紗月を亡くした
私たち 家族のことを

面白がっていたのかも
しれません。

なぜ そう思われるんですか?
(和佳子)そうじゃなきゃ

紗月を殺したときに
住んでいた アパートに 今も。

あり得ないじゃないですか。

そのアパート あけぼの荘ですが。
行かれたことは?

いいえ。
行く理由が ありますか?

あんな男に 会いたいと
思ったことなんて

一度も ありません。
関わりたくもないんです。

今は 娘の。
紗月の冥福を 祈りたい。

ただ それだけです。

♬~

お嬢さんのものは もう?

主人が 嫌がるんです。

主人も 紗月が
死んでしまったことを

受け入れられずにいます。
どうぞ。

♬~

♬~

(和佳子)紗月のものは
全部 ここに。

♬~

♬~

(和佳子)主人と 私の母です。
部屋は

紗月が 生きていたころのままに
してあります。

お母さまの お気持ちは
痛いほど 分かります。

あなたにも お子さんが?

ありがとうございました。
警察の方も

話を聞きに 伺うでしょうが
ご協力 よろしく お願いします。

(和佳子)お尋ねに
ならないんですね?

どうして 今も
ここに 住んでいるのか。

娘が死んだ場所の 近くなのに。

紗月ちゃんのためですか?

ええ。 紗月を
一人にしたくないからです。

(和佳子)おかえりなさい。

主人です。
今日は 代休を頂いていて。

検事さんが
お話を 聞きたいって。

(範夫)検事さん?

東京地検の 霞と申します。
(範夫)黒田の事件のことで?

はい。
代休というと 週末は お仕事を?

(範夫)出張で
大阪に 行ってました。

(桜木)黒田さんが 殺された夜も
大阪に?

(範夫)ええ。 会社に
確認してもらえば 分かりますよ。

(範夫)今 名刺を お渡しします。
かばんの中に。

恐れ入ります。

(範夫)今夜は 妻と 2人

黒田が 殺されたことを
娘に報告しようと 思ってます。

天国にいる娘と 黒田が
会うことは ないでしょうからね。

(梅野)三吉 範夫の
勤務先に 確かめたところ

大阪の出張は
間違いありませんでした。

宿泊先の ホテルを
チェックアウトしたのが

事件の翌朝の 9時です。

それから 検事の ご指示で
靴のサイズを 調べた結果

現場付近に 残されていた
足跡と同じ 26cmでした。

(占部)しかし アリバイがある。
(梅野)はい。

奥さんの
三吉 和佳子さんの方は?

(梅野)はい。 犯行時間の
午前 1時半から 2時半の間

自宅で 就寝しており アリバイを
証明する人間は おりません。

まあ ただ 深夜のことですから
当然といえば 当然かと。

ただですね 小学校の
ママ友が 気になることを。

(女性)《2年前の 事故の後

和佳子さん 人が変わったみたいに
沈みこんでしまって》

(女性)《犯人を
殺してやりたいって》

(占部)無理もない話なんですが。
それに加えて 流産の話も。

流産?
結婚して すぐの話なんですが。

大阪で 三吉 和佳子は 流産を。
医者からは

子供は 諦めるようにと
言われたそうです。

ところが 東京の本社に
転勤後

幸運にも
紗月ちゃんが 生まれた。

ですから 余計に 黒田のことを
恨んでいたのかもしれません。

(桜木)三吉 和佳子には 明確な
動機があるように 思われます。

カワイイ わが子を
殺した男が

目と鼻の先で
のうのうと 暮らしている。

黒田さんが 出所してからの
3カ月 行動を つぶさに 観察し

夫が 出張のときを 狙って
犯行に及んだ。

(占部)あり得ないことじゃない。

黒田 本人からは
謝罪や 損害賠償のことは

一切 出ていないと
弁護士の話もある。

(黒田)《あの事故で
自賠責保険ってのが

下りたんじゃないの?
弁護士さん》

《なのに 何で いまさら 俺が
金を 払わなきゃいけないわけ?》

(占部)ああ。
報告が 遅れましたが。

検視の結果 黒田の体内からは
脱法ハーブの成分が

検出されました。
常用していたようで。

人身事故を 起こした
反省の気持ちなんか

黒田は 一切
持ち合わせちゃいなかった。

(桜木)並木検事の話と
重なります。

(梅野)でも 三吉 和佳子に
絞りこむのは

時期尚早かもしれませんよ?
(桜木)なぜです?

(梅野)黒田を 恨んでいた人間は
山のように いたからです。

黒田は 脅迫 すれすれで
借金を 繰り返していました。

加えて 黒田に貢がされた 女性も
20人は 下らない。

(占部)黒田の携帯に
登録されていた

女性のリストです。
彼女たちは

黒田に 金を せびりとられていた
被害者かもしれない。

黒田って男は ずる賢い男で

法に触れない ぎりぎりのところで
人を だまして

もてあそんでいた節がある。
そういう意味で いうと

黒田の母親の 黒田 敏江や
姉の 栗林 朋子も

黒田には 手を焼いていた。
無視できない 存在です。

♬~

(陽子)どうぞ。
あの子 まだ 予備校で。

もう やだわ。
散らかって もう。 ちょっ。

≪(勝男)うわっ!
何してんの?

ってか 何で
俺のジャージー 着てんだよ?

(占部)霞検事が お前の部屋を
ご覧になりたいって

おっしゃったんでな。
ああ。 おいの 勝男です。

東都大学の 法学部を
狙ってまして。

将来は 弁護士になるのが
夢なんですよ。 なあ? 勝男。

霞です。

将来は 法廷で
会えるかもしれませんね。

(勝男)アハハ。
いや。 そんななぁ。

(占部)ところで 勝男。
事件のことは 知ってるな?

(勝男)当たり前だろ。
大騒ぎで 勉強どころじゃないよ。

(占部)事件のあった夜

何か 物音とか 悲鳴とか
聞かなかったか?

別に。

(占部)どんなことでも
いいんだぞ。 勝男。

(陽子)そうよ。 勝男。
何か 覚えてることない?

(勝男)ないよ。

(桜木)機嫌を 損ねましたね。
(占部)うん? 名前だよ。

名前?
(占部)俺が 明日香で

兄貴が 円香。 女みたいな名前を
兄貴が 嫌ってな

自分の子供には
男らしい名前をっつうんで

付けた名前が 勝男。 それが
気に入らないみたいなんだよ。

法律に携わる人間は
嘘を見抜く能力も 必要です。

でも 弁護士が
嘘をついてはいけない。

見ました。
あの夜 あそこに 入っていく人。

(占部)おい。 勝男!
(勝男)友達と

メールしてたんだよ。 だから。
(陽子)勉強してなかったのね?

それで 嘘を?
(占部)お前な!

(桜木)ちょっ。
時間は 覚えていますか?

夜中の 1時40分ごろです。

ちょうど メールが来たので
間違いないです。

(桜木)その人間の顔は?
(勝男)顔は 暗くって。

けど 黒っぽい
コートを 着てました。

(占部)で 靴は?
靴は 何 履いてた?

(勝男)靴!?
(占部)うん。

(勝男)そんなの 分かんないよ。

その人間が 出ていくところは
見てはいませんか?

見ました。 2時
ちょっと前だったと 思います。

それから トイレに 行ったんです。
(陽子)あのとき?

あっ あの。 私も
そのとき トイレに行って

勝男に 会ってます。
嘘 ついてません。 勝男。

(桜木)トイレから 戻った後は?
(勝男)眠くなって。

けど 2人目の人を 見ました。
(占部)2人目? ホントか? 勝男。

白い 野球のキャップを
かぶった 男の人だったよ。

そういえば 靴も 白かった。

犯人は 2人。
片方は 白い靴の男です。

(梅野)えー。 あけぼの荘では
現在

70代の女性と 男子大学生が
住んでいますが。

女性は 車椅子のため
2階の 黒田の部屋には 行けず

大学生は 夜 9時から
コンビニの バイトで

帰宅したのは
朝の 6時すぎでした。

ですから 占部 勝男君が 目撃した
人物には 該当いたしません。

犯行時刻と
照らし合わせてみても

目撃された 2人は
犯人ということだな。

それも 片方は 間違いなく
白い靴を履いた 男だった。

さすが 占部警部の おいっ子。
立派な 目撃者だよ。

はい。
(岩瀬)霞検事。

複数犯と 断定できたわけですから
疑問に 思われていた

2本の ナイフのことも
問題ありませんね?

(岩瀬)黒田が引き起こした 事故で
娘を失った 三吉 和佳子も含め

黒田に 恨みを抱いていた者は
多数 いた。

何としても そん中から
2人に 絞りこめ! いいな?

(一同)はい。

(智子)結婚したいって
言われたんです。

(智子)そのことを 黒田に言うと
結婚しようとは 言ってない…。

(男性)最低な男だよ。
おふくろが 病気で

金がいるとか
事故って 賠償金がいるとか…。

(敏江)娘も 私も 光彦に お金を
むしり取られるためだけに

パートを 掛け持ちして…。

(朋子)弟が殺されたのに
正直 ほっとしています。

(朋子)光彦がいたことで
主人から 離婚の話が出て…。

♬~

♬~

≪(陽子)ハァー。
何やってんのかしら?

勝男は。 もう。

♬~

≪(ドアの開く音)
≪(範夫)ただいま。

(範夫)先に 風呂で いいか?

(和佳子)ああ。
じゃあ 温め直しとくね。

(範夫)和佳子。
引っ越さないか?

えっ?

黒田は いない。
この町にいる意味は なくなった。

考えといてくれ。

(中村)黒田の事件は ナイフで
刺した人物が 2人と分かり

容疑者が 徐々に
絞りこまれているそうだな?

ですが まだ 2人と断定する
根拠がないのが 現状です。

(中村)しかし 目撃者が
いるそうじゃないか。

事件に関与した
証拠は ありません。

目撃されたのは 2人でも
実際は 3人か 4人の可能性も。

(中村)いいかね? 霞検事。
捜査本部という システムは

警察主導で
捜査が 行われるべきだ。

異論があっても
現場は 警察に任せて

君は 指揮を
執っていればいいんだ。

(桜木)梅野刑事が
検事に 報告があると。

お一人で?
(梅野)ええ。

まずは 検事の ご意見を
伺ってから

警部には
報告するつもりで 来ました。

あっ。

(梅野)あのう。 検事。

三吉 和佳子は
本当に 犯人のうちの

一人なんでしょうか?
それは まだ 分かりません。

梅野刑事は
違うと 思うんですか?

えっ? ああ。 いやいや。 あの。
自分も 怪しいとは思います。

子供が 黒田のような男に
殺されたら

親ならば 復讐したいって
思うだろうと。

でも 何か こう
しっくり こないっていうか。

で その理由が
自分でも うまく…。

三吉 和佳子が 犯人だと

認めたくないと
いうことでしょうか?

親なら 復讐するだろうと
決め付けたくはない。

(梅野)ええ。
そうです。 そうです。

お父さんに なられたんですよね。
以前の 梅野刑事なら

そうは 考えなかったんじゃ
ありませんか?

ああ。 あっ。 はい。
そうかもしれません。

ところで 報告というのは?

(梅野)えっ? ああ。 そうだ。
えっと。 あの。

えー。 まずは これを。

(梅野)今日 入手した
防犯カメラの 映像です。

事件の 前の日のものが
収まってます。

現場に 程近い 上北沢駅前の
パチンコ店です。

黒田が 映ってます。

(梅野)ご覧いただいたとおり
肩が ぶつかったことでの

いざこざです。 しかし この男は
立ち去る 黒田に向かって

「殺してやる」と 言っていたことが
分かりました。

殺してやる?

(梅野)この後の この男についても
聞き込みをしました。

その結果 男は あけぼの荘に
姿を現していました。

あけぼの荘に?

♬~

♬~

(梅野)見ていた 主婦に
確かめたところ

この男で
間違いないとのことです。

彼の身元は?

(梅野)はい。 調べは ついてます。
重倉 覚。

黒田の住所を 確かめた後
駅前の商店街に戻った 重倉は

黒田に殴られた際に

破損した レンズを
眼鏡店で 交換していました。

その際 クレジットカードで
支払いをし 身元が。

どう思われますか? 検事。

詳しく 調べる必要が
あるかもしれませんね。

(梅野)分かりました。
早速 占部警部に 報告を。

(重倉)いやー。
お恥ずかしいです。

あのときは つい かっとなって。
しかし このとおり

ケガの方は 大したことないので
訴えるつもり ありません。

あんなことで 地検の 検事さんが
出向いてこられて

そっちの方が 驚きです。
でも 傷害には 違いありません。

(重倉)ああ。 そうでしょうが。

訴えれば こっちの恥を
さらすようなもんですからね。

でも あの日の あなたは
とても お怒りになられていた。

(重倉)そりゃ そうでしょう。
いきなり 殴られたんですからね。

その あなたを 殴った男は
殺されました。

あの男が?
(桜木)上北沢で起きた

殺人事件のことを
ご存じありませんか?

ああ。 知ってますけど。

えっ? あの事件の 被害者が
あの男なんですか?

おかしいですね。
名前を ご存じのはずですが。

あなたは あけぼの荘で
あなたを殴った男が 何者か

確かめて
いらっしゃいませんでしたか?

5月18日の 深夜は
何を なさっていましたか?

家で 寝てましたよ。
目黒の マンションですね?

(重倉)もう 調べてるんでしょうが
私の妻は すでに 他界しています。

ですから 一人暮らしで
アリバイの証明の しようがない。

違いますか?

状況にもよります。
状況?

そりゃ どういう意味だ!?

私が あの男を
殺したとでも いうんですか!?

(桜木)重倉さん。
落ち着いてください。

(重倉)これが
落ち着いていられるか?

人殺しだって いわれてんだぞ!
バカバカしい。 仕事がある。

これ以上 話すことはない。
帰ってくれ!

わざと 怒らせた
検事の 狙いどおりでしたね。

重倉という男は 激高しやすい
性格だと 分かりました。

靴のサイズを 調べるよう
占部警部に。

分かりました。

あっ。 占部警部です。
桜木です。

そうですか。
分かりました。

三吉 和佳子が 任意での
聴取に 応じるとのことです。

捜査本部に。
すぐに そちらに 向かいます。

(梅野)どうぞ。

(梅野)こちらへ。

(岩瀬)三吉 和佳子は
一番 犯人に 近い。

何か 引き出せれば
一気に 畳み掛けますよ。

(和佳子)最初に

お話しさせてもらっても
いいですか?

(占部)ええ。 どうぞ。

(和佳子)犯人が
黒田を 殺さなくても

私が 殺していたかもしれません。

(和佳子)犯人には
よくやってくれたと

感謝すら しています。

(桜木)こちらが 何も
物証を つかんでいないのを

まるで
知っているかのようですね。

(岩瀬)だが この女には
アリバイがない。

必ず ぼろを出すはずだ。

(占部)黒田 光彦さんが
殺された夜のことなんですが。

一歩も 家から
お出になってないんでしたよね?

(和佳子)お話しすることは
何も ありません。

(占部)何度も 同じことを
聞かれて

うんざりなさってんのは
よく 分かりますが

答えてほしいんですよ。

(和佳子)答えても 答えなくても
同じです。

(占部)どういう意味ですか?

だって 私は
黒田を 殺してないんですから。

心ん中で 殺したいと 思うことが
罪になるのであれば

私は 数えきれないぐらい
黒田を 殺しました。

何度も 何度も。
何度も 何度も。

(和佳子)でも
実際には 殺していません。

私が 黒田を殺したと
疑ってらっしゃるんだったら

証拠を
見せてくださいませんか?

証拠なんて
あるはずが ありませんね。

だって 私
殺してはいないんですから。

(岩瀬)くそ。
動機や アリバイの面じゃ

この女が 2人の犯人のうちの
1人に 違いないんだが。

ですが 印象論です。

三吉 和佳子が 言うとおり
物証が ありません。

(占部)犯人が 残したものは
ナイフと スニーカーの足跡だけ。

どちらも 量販品で。 ナイフが
全国で 7, 000本 出回り

スニーカーは 1万足を 下らない。
しかも どちらも

どこで 販売されたのか
特定できずにいる。

(梅野)あのう。
もしも 三吉 和佳子と

この中の 誰かが 犯人だという
指紋などの 証拠があった場合

殺人罪で
起訴は できるものですか?

無理です。
どちらが 先に 手を下し

殺害したかが 特定できないと
起訴には 持ち込めません。

容疑の罪名が
決められませんから。

やっぱり。
そうですよねぇ。

これだけ 黒田に 恨みを
持っていた人間が いたにしても

5月18日 同じ日の 同じ晩に。

それも たった 1時間のうちに
2人が

入れ替わり
黒田の部屋へ 向かった。

こんな偶然って
あるもんなんですかね?

不能犯。

まさか 犯人は
不能犯を 狙ってると?

(岩瀬)お… おいおい。
どういうことだ?

黒田の 腹部の傷には
生活反応が ありませんでした。

つまり 死体に ナイフを
突きたてたことになります。

すでに 死体なんですから
殺人には 当てはまりません。

殺人未遂での 起訴もできません。
不能犯が 成立します。

交通事故に 例えるんなら
先に ひき殺された人を

後から来た車が ひいたとしても
すでに 死亡しているわけだから

殺人罪には 当たらないっていう
あれか。

はい。 先ほど
検事が 説明されたように

2人のうち どちらが
心臓への 致命傷を

負わせたかどうか
特定できないかぎり

2人とも
殺人については 不能犯で

おそらく 死体損壊の罪にしか
問えないかと。

殺人については
起訴できないのか!?

死体損壊じゃ
懲役 3年以下だ。

ただ 2人の犯人が
無罪を狙って 共謀し

不能犯を 利用したというのなら
話は 別なんですが。

つまり 近しい人間同士だと
怪しまれる。

一見 無関係に 見える者同士が
犯人ってことか。

この中で それに 当たるのは。

事件の前の日 重倉 覚は
黒田さんに 殴られ

殺してやると 言った。

そして 彼は 黒田さんを尾行し
あけぼの荘を 突き止めた。

(桜木)あの激高ぶりから すれば

感情に任せて 行動する
人間のように 思えます。

強い殺意に 突き動かされたのかも
しれませんね。

でも 目立ち過ぎる。

殺そうと思い 後をつけたのなら
もっと 慎重になるはずよ。

わざと 目立つ行動を取った。
(桜木)確かに。

自宅は 目黒であるにもかかわらず
飛び込みの 眼鏡店で

レンズを 交換したという点も
不自然といえば 不自然かも。

計算ずくで
怪しい人間に 成り済ました。

この中の 誰かと
つながっていたとしても

事件前日の出来事で 共謀する
時間はなかったと 主張もできる。

(岩瀬)容疑を 掛けられたとしても
はなっから 不能犯として

無罪を狙い 罪に問われたとしても
せいぜい 死体損壊か。

もし そうなら
われわれ 警察に

挑戦状を
たたきつけたようなもんだ。

その可能性が ないとも
いえません。

(占部)ちょっと 待ってください。
ということは

おいの勝男が 目撃したのも
計算のうちだったってことですか?

(岩瀬)そうだ。 君の
優秀な おいは

目撃者に
仕立て上げられたんだ。

いいか? この重倉と この中の
誰かを結ぶ線を 当たるんだ。

特に この三吉 和佳子は
怪しい。

いや。 和佳子の夫
三吉 範夫も 視野に入れろ。

アリバイが あったとしても

重倉と 密な関係に
あったのかもしれない。

梅ちゃん。
すぐに 全員に 招集をかけろ。

(梅野)はい。
(岩瀬)ハァー。

(桜木)もし 犯人が
不能犯を利用し

黒田を 殺害したとしたら
強敵です。

立件は 困難ですし
公判維持も 難しいです。

(夏子)あっ。 おばあちゃん。
(彩子)ウフフ。

うーん。 何年ぶり。 ううん。
何十年ぶりかしら? ブランコ。

(夏子)ちょっと。 危ないよ。

(彩子)バカにするんじゃないわよ。
こう見えたってね。

あっ あっ。 うわー!
ああー! ハァ ハァ。 ハァー。

怖かった。 フフフ。
情けないわね。

昔はね 夕子を 膝に乗せて
よく こいだものよ。

(夏子)お母さんを?
(彩子)うん。

夕子ね
ブランコ 大好きだったの。

空を 飛んでるみたいだって
言ってね。 ウフッ。

雲や 木の枝が 近づいてくるのが
楽しかったみたい。

どうかしたの?

(夏子)お母さんは 覚えてるかな?
(彩子)うん?

私が 好きだったもの。

うーん。 仕事 忙しいから
忘れちゃってるよね?

そんなこと ないわよ。

母親はね 子供のことは
何だって 覚えてるの。

万が一 忘れたとしても
うっかり 忘れちゃってるだけ。

ねっ? 安心なさい。

ウフッ。 さあ 帰ろう。
(夏子)うん。

♬~

(占部)いやー。 うまいな。
(桜木)検事。 どうぞ。

(占部)捜査が
行き詰まってるときに 飲むと

余計に ほっとする。

(桜木)三吉 和佳子と
重倉 覚を 結ぶものは 何も?

(占部)ないね。 会った
形跡は おろか 接点もない。

このままじゃ 捜査方針を
見直さなきゃならんだろうな。

犯人が 不能犯を
狙ったというのは

われわれの
勇み足だったかもしれませんね。

三吉 範夫は どうでしたか?
(占部)同じです。

重倉の影すら。
あっ。 ただ つい 先日

三吉 範夫を あけぼの荘の前で
見たという話は 拾いました。

あけぼの荘の前で?

(占部)黒田の部屋を 黙って
見上げていたそうです。

それを見たのは
兄貴の 嫁さんなんですけどね。

勝男君といい 親子 揃って
好奇心が お強いんですね。

目撃者に
なりやすいのかもしれません。

まったくだ。
でも 三吉 範夫は 事件の前にも

何度か あけぼの荘の前で
姿を見られています。

黒田に 娘を殺されたんですから
気になってたんでしょう。

しかし 三吉 範夫は
犯人には なり得ません。

事件当日 大阪に
出張していたという

明確な アリバイが
ありますから。

≪(ノック)
(桜木)はい。

(桜木)中村刑事部長。

警視庁の 占部警部です。

事件の報告に みえました。
(中村)ご苦労。

(占部)あっ。
とんでもございません。

(中村)犯人が 不能犯を
利用している 可能性があると

岩瀬管理官から 聞いた。

一言 君に
言っておきたいことがあってな。

(中村)法を
つかさどる者として

どんなことがあっても
犯人を 検挙しろ。

法を悪用する者は 絶対に 許すな。
いいな?

はい。
以上だ。

(占部)かっ。
ハァ ハァ ハァ。

(範夫)えー? いいなぁ。
(紗月)ママ 大好き。

(範夫)アハハ。
(和佳子)うれしい。

うれしい。
(範夫)おっ。 届いた。

俺のほっぺ。 俺のほっぺ。
俺のほっぺ。

(和佳子)いいな パパ。
(範夫)ヒュー。 俺のほっぺ。

(和佳子)ママにも タッチ。
はい。

パパ 追い付いてないよ。
(範夫)えー? もう。 速いな。

(和佳子)ピンク
大好きだもんね。

(紗月)大好き。
(範夫)ハハハ。

(和佳子)今日 洋服も
靴も ピンクでしょ。

(紗月)パパ。 届かない。 抱っこ。
(範夫)何だよ?

いくぞ? せーの。

≪(範夫・和佳子)うわー。 ああ。
≪(範夫)もうちょい もうちょい。

≪(範夫)もう1回 もう1回
もう1回 もう1回。

≪(範夫・和佳子)せーの。
≪(範夫)よいしょ。

≪(範夫)ああー。
届いた? 届いた?

(紗月)ありがとう。
(和佳子)はい。

(範夫)あっ。 どう? おいしい?
(紗月)うん。

(範夫)紗月。 紗月。
パパにも ちょうだい。

パパにも ちょうだい。
紗月。 パパにも。 ちょっと…。

(泣き声)

♬~

(桜木)三吉 和佳子は
長野県 富士見町に 生まれ

高校を 卒業するまで
一歩も 県外は 出ていません。

一方 重倉 覚は その間
ヨーロッパや アメリカなど

世界中を 飛び回っていました。

東京に
設計事務所を 構えたのは

三吉 和佳子が
大阪の大学に 入学した年です。

出身地も 年齢も違う 2人に
やはり 接点は 見当たりませんね。

重倉の妻 真理子さんが 病気で
亡くなった 2年後の 4月15日。

三吉 紗月ちゃんは
生まれています。

和佳子は 大阪で
夫の 三吉 範夫と出会い 結婚。

その直後 流産をして
一度は 子供を諦めた。

はい。 本社勤務になった
三吉 範夫と共に 東京に来た後

失意の中で
ようやく 宿したのが

紗月ちゃんってことに
なります。

何か?

紗月ちゃんは 本当に
三吉夫婦の 娘なのかしら?

まさか 検事は 三吉 和佳子と
重倉の間の 不倫の子だと?

しかし 2人に 接点は。

東京で 接点はなくても
大阪では。 いや。

実家のある 富士見町に
帰省したときに

重倉と 出会わなかったとは
言い切れません。

設計士なら 全国で 仕事を。

三吉 和佳子の母親は 和佳子を
産んだ 1年後に 離婚し

東京から 生まれ故郷の
富士見町へ 戻っています。

以来 今でも 富士見町に。

和佳子と 重倉のことを
何か 知っているかもしれません。

桜木君。
すぐに 車を。

占部警部には
重倉が設計した 仕事を

全て 洗い直してもらうように
伝えます。

♬~

≪(チャイム)

そうですか。
お父さまの ご遺志を継いで

郷土の歴史に関する お仕事を。

(緑)でも 父ほどのことは
何も できてないんですよ。

まるで 時間が
止まったようですね。

(緑)ええ。
とても 気に入ってます。

見せていただいても?
ああ。 どうぞ。

木々の ぬくもりを 感じます。
(緑)ありがとうございます。

今日は 和佳子さんのことを
お尋ねしたくて 来ました。

お母さまの 緑さんにとって

とても 失礼な質問を
しなければならないことを

おわびしておきます。

あっ。
お気遣いなく。

この年になりますと
驚くことは なくなりましたから。

重倉 覚という 男性に
お心当たりは ありませんか?

重倉さん?

申し訳ありませんが。
その方と 娘が 何か?

和佳子さんが お付き合いを
なさっていたかどうか

ご存じではないかと
思いまして。

あっ。 和佳子が 不倫を?
いえ。 娘から 何も。

そうですか。

失礼な お尋ねをして
誠に 申し訳ありません。

その重倉という方は
あの黒田の事件と 何か 関係が?

捜査上のことですので
お話しすることは。

でも わざわざ
お越しになったのは

娘も 事件と 関係があると

思われてのことでは
ありませんか?

はい。

(緑)はっきり 申し上げます。

和佳子は 不倫をするような子では
ありません。

範夫さんを愛し 紗月のことも
心から 愛しておりました。

まして 人を殺すなんて。

たとえ
黒田のような男であっても

和佳子は
人を殺したりはしません。

ああ。 こちらで 結構です。

あのう。 一つだけ。

よく 紗月ちゃんには
会いに行かれたんでしょうか?

何かと 忙しいものですから。

1年に 一度程度でしたが
会いに行っておりました。

私の 唯一の
楽しみでもありました。

それが
4月8日だったんですね?

紗月ちゃんの部屋に 飾られた

お母さまと 紗月ちゃんの
写真の日付。

4月8日のものが 多かったと
記憶していたものですから。

そうですか。 桜の時季ですから
たまたまかもしれませんね。

そうでしたか。

♬~

年齢の割には
お若い方でしたね。

霞です。
ああ。 占部です。

岩瀬管理官が 三吉 和佳子と
重倉 覚を 面通しさせて

本当に 面識がないかどうか

確かめると
言いだしたもんですから。

♬~

♬~

♬~

(桜木)私が見ても

あの2人に 面識があるようには
見えませんでした。

(岩瀬)君の意見など
聞いちゃいない。

三吉 和佳子と 重倉 覚に
こだわる 必要はない。

被害者の周辺で
共謀関係に なり得る人間に

的を絞り 洗い直せ。

どんな ささいなことも
拾い上げるんだ!

(占部)参ってますね 管理官も。
あっ そうだ。

ご命令どおり 重倉の仕事の資料
揃えておきました。

おい。 梅ちゃん。
(梅野)はい。

(梅野)重倉が 設計で関わった
建造物は 全て 入ってるはずです。

ありがとうございます。
いえ。

(桜木)多くは 箱物と
呼ばれるものですね。

地方の公共施設や 美術館を
数多く 手掛けています。

桜木君。 山梨県の地図を。
はい。

山梨県が 何か?
この博物館が。

出ました。 山梨県です。
長野県との県境を 拡大して。

県境を挟んで 北杜市と
富士見町は 隣同士?

ええ。
富士見町は

三吉 和佳子の 出生地です。

(和佳子)はい。 もしもし?

☎(緑)私。
(和佳子)お母さん?

今日 東京から
検事さんが いらしたわ。

そう。 黒田のことで?
(緑)あなた 疑われてるの?

大丈夫よ。 心配いらない。
☎(緑)でも…。

ホントに 心配しないで。

何か あったら
私に すぐ 言うのよ。

☎(緑)聞いてるの? 和佳子。

☎(和佳子)ありがとう。
(緑)和佳子。

大丈夫。
紗月が 守ってくれるから。

ホントに 大丈夫だから。

(松井)ええ。
確かに 重倉 覚さんに

設計を 依頼しました。

ネットが普及した 昨今ですが
市民の方々からも 好評で。

ここができる 10年前より
かなり 利用者 増えています。

建設がされているとき
重倉さんは よく こちらに?

(松井)はい。
細かい指示を お出しになって

お忙しいのに 熱心な方だと
感心した 覚えがあります。

(桜木)当時 重倉さんを
訪ねてみえていた

女性は いませんでしたか?
お知り合いとか。

(松井)女性ですか。
どうだったかなぁ?

あっ。 重倉さんが おみえのときに
宿泊などの

手配をしていた者が おりますから
聞いてみましょう。

お手数 おかけします。
(松井)ええ。

(松井)そう。 しょうがないね。

あっ。 あいにくですが 担当の者が
風邪で 休んでまして。

後ほど 確かめて 連絡を。
お役に立てず すいません。

いえ。 こちらこそ。

お忙しいところを
申し訳ありませんでした。

(桜木)ありがとうございました。
(松井)あっ。 いえいえ。

≪(職員)館長。
(松井)はい。 あっ。 どうも。

(桜木)ここと
三吉 和佳子の 郷里が

偶然
近かっただけかもしれませんね。

♬~

検事。

占部警部に 連絡を。
(桜木)はい。

了解しました。
おい。 梅ちゃん。 行くぞ。

(梅野)ほい。

(占部)おおっと。
(岩瀬)おいおい。 どこ 行くんだ?

(占部)ああ。 あの。
霞検事の要請で

三吉 紗月の 生まれた
病院を 調べてくれと。

三吉 紗月? 2年前に 亡くなった
三吉 和佳子の 娘じゃないか。

その子が生まれた 病院と
この事件と 何の関係があるんだ?

あっ。 さあ。
(岩瀬)あの検事は 捜査本部の

捜査員を 何だと思ってる!?
(占部)あっ。

とにかく 行ってきますよ。
これで 捜査が進めば

管理官も おこぼれを
頂戴できるじゃありませんか。

(岩瀬)まあ 確かにな。
そりゃ。 あっ!

♬~

≪(足音)

お食事中 申し訳ありません。

(理恵子)いえいえ。
もう この仕事をしているとね

もう ゆっくり 食事するってのは
数えるほどしか ないんだから。

あっ。 どうぞ。 どうぞ
お掛けになって。 ハハッ。

えーと。 確か
10年前に ここで 生まれた

女の赤ちゃんのことだったわね。

えーと。 お名前
何て おっしゃるの?

(桜木)紗月ちゃんです。
(理恵子)あっ はい。

紗月ちゃんね。 はい。
ちょっと お待ちください。

(理恵子)ああ。
はいはい。 ありました。

確かに 私が 取り上げました。
はい。

(理恵子)2, 980g。 それは
元気な 女の赤ちゃんでしたよ。

母子 共に 極めて 健康。
えー。 2004年の 4月の 8日。

ああ。 あの日は 大雨。
よく 覚えてる。

4月15日ではなく
1週間前の 4月8日ですか?

(理恵子)そうよ。 まあ
その前の川が 氾濫しちゃって

ざーっと きたんだもん。
びっくりしちゃった。

よく 覚えてるわ。
もう 10年も たつのね。

それ 間違いありませんね?

(梅野)そのようですね。

(占部)はい。 占部。
どうだった?

何か めぼしいものが?
えっ? 大阪の?

はい。 検事が どうしてもと。
お願いします。

♬~

♬~

≪(チャイム)

お休みの日に すいません。

(緑)はい。
長沢でございます。

(占部)ああ。
警視庁の 占部と申しますが。

長沢 緑さんですね?

はい。
(占部)実は

お嬢さまの 三吉 和佳子さんの
容疑について

手続きを 進めるに当たり
お母さまに お伺いしたいことが。

あっ。 手続きって 和佳子を
逮捕するということですか?

あっ いや。 ともかく
黒田 光彦さん 殺害事件の

容疑について お話を。

今 和佳子さんを連れて 北杜市の
博物館に 来てるんですが。

こちらまで
ご足労 願えないでしょうか?

そちらで 詳しい お話を。

♬~

どうして 和佳子が?
証拠は あるんですか?

詳しい話は
あちらで ゆっくりと。

お母さん!?
(緑)和佳子。

(占部)では
お話は 霞検事の方から。

どうぞ。

こちらの 博物館で
見つけました。

この博物館が 完成したときの
記念写真です。

ここに 写っているのは
あなたに 間違いありませんね?

そして 和佳子さんの娘
紗月ちゃんの 本当の お母さんは

長沢 緑さん。
あなただった。

(桜木)向井産婦人科から
お借りしたものの コピーです。

ここには 紗月ちゃんを
出産したのは

あなただと 明記してあります。

今から 10年前の 4月8日。

あなたは
紗月ちゃんを 産みました。

世田谷区役所の 出生届には

4月15日生まれと なっていますが
実際に 紗月ちゃんが

生まれたのは
1週間前の 4月8日です。

紗月ちゃんの 父親は
重倉 覚さんですね?

この博物館の設計を
重倉さんが 準備しているとき

周辺の歴史に お詳しい
あなたに 意見を求めた。

館長の 松井さんが
間に入って

重倉さんを あなたに
紹介なさっていました。

それが あなたと
重倉さんとの 出会いだった。

違います。
重倉さんは 関係ありません。

嘘をつく 必要なんて
ないじゃないですか。

当時 重倉さんは
奥さまを 亡くされて

独身だったんですから。
現に お二人が

車で 出掛けるところを
目撃されてる方もいる。

この博物館の 職員の方で
裏は 取れてるんです。

紗月ちゃんの部屋は
生前のままです。

紗月ちゃんの 髪の毛があれば
DNA鑑定をして

両親が 誰か
すぐに 分かります。

(占部)それに 結婚して 間もなく
あなたは 大阪で 流産をなさり

子宮摘出の手術を
なさってますよね。

手術の後 その大阪から
夫の範夫さんが

東京へ 転勤になって
間もないころですね。

あなたが お母さんの妊娠を
知ったのは。

(和佳子)《お母さん
妊娠してるの?》

(和佳子)《いいのよ
隠さなくって。 フッ》

《分かるの。 女同士だもん》

《ホントのこと 教えて》

《相手は こないだ 電話で
言ってた 設計士の人?》

《ねえ? お母さん》

《お母さん。
まさか その子のこと》

《そんなの 駄目よ。
絶対に 駄目!》

(緑)《だったら
どうすればいいの?》

《どうしようも ないじゃない》

《産んで》
(緑)《えっ?》

《その子 私が育てる》
(緑)《和佳子》

(和佳子)《フッ。 私の子は
生まれてくることが

できなかったけど
その子 生きてる》

《だから お願い。 お母さん。
産んで》

《その子と 私のために》

♬~

♬~

(範夫)《お前の 妹なんだよな》

(範夫)《お母さんの
子なんだから》

《育てよう。
俺たちの 子供として》

《あなた》

(範夫)
《生まれてくるはずだった子の

生まれ変わりかもしれない。
いや。 きっと そうだよ》

《だから 俺たちで
育てなきゃならないんだよ》

(和佳子)《うん。
ありがとう》

(和佳子)《じゃあ 星は
ここら辺かな?》

《ハートを。
これ いいんじゃない?》

(紗月)《ママ センス ないなぁ》
(和佳子)《えっ? どうして?》

(紗月)《こういう感じが
いいと思うよ》

(和佳子)《そう? じゃあ お花
ここら辺に 入れとこっか?》

《ねえ》
(範夫)《ほら》

《おい。 早く 並んで》
(和佳子)《はーい》

《じゃあ 持ってきて》
(緑)《和佳子。 早く》

(和佳子)《よっ。 よいしょ》

(緑)《うわー。 かわいく できた》
(和佳子)《カワイイ》

(紗月)《おばあちゃんの
隣がいい》

(緑)《ああ。 うれしい》
(紗月)《おばあちゃん》

《クッキー ありがとう》
(緑)《うん》

(範夫)《よーし。 じゃあ いくぞ》
(和佳子)《はーい》

(範夫)《よし。
いくよ いくよ いくよ》

(和佳子)《きた きた》
(範夫)《きたきた きたきた》

《きた。 きた》
(シャッター音)

紗月ちゃんは 和佳子さんと
範夫さんの愛情を 一身に受け

幸せだったと 思います。
そして あなたも すくすくと

成長する 紗月ちゃんを
見ているだけで 幸せだった。

でも その幸せは
一瞬のうちに 奪われてしまった。

黒田 光彦という男は

罪の意識を みじんも
感じることなく 生き続けていた。

あなたは
それが 許せなかった。

待ってください。

母が 黒田を
殺したって いうんですか?

はい。

証拠は?
証拠は あるんですか!?

(範夫)落ち着け。 和佳子。

(和佳子)母が 黒田を
殺したって いうんですか?

はい。

証拠は?
証拠は あるんですか!?

(範夫)落ち着け。 和佳子。

あなたなら どうですか?

あなたなら どうですか!

黒田という男を
許すことが できますか?

私は どうしても
許せなかった。

私には あの男を。

《和佳子》

(和佳子)《また 聞かれた》

《「どうして
引っ越さないのか?」って》

《紗月の家なのに》

《紗月と暮らした
私たちの家なのに》

《黒田は 当たり前のように また
アパートに 帰ってくるのに

「人権がある。
どこに住むのも 自由だ」って》

《どう考えたって おかしいのに。
どうして? どうして 私たちが

おかしいみたいな言い方
されなきゃならないのよ!》

《もう 変になりそう》

♬~

≪(黒田)《うるせえな。
開いてるよ》

(黒田)《ハァー。 セールスなら
帰ってよね。 おばちゃん》

(緑)《三吉 紗月の祖母です》

(黒田)《ああ。 何の用?》

(緑)《あなたは
紗月の家族のことを

考えたことが あるんですか?》

《たぶん
考えてんじゃないかな?》

《ムショ 行って
ちゃんと 責任 果たしてきたし》

《だったら せめて 和佳子の目が
届かないところに 行きなさい!》

《紗月が いなくなって

和佳子が どんなに つらい思いを
してると 思ってるの!》

(黒田)《知らねえよ》

《あのさ。 がきなんて
また つくればいいじゃん》

《そうだ。 何なら 俺
手伝ってやっても いいっすよ》

《アハハ! アハハ!》

不能犯のことは
お調べになったんですか?

娘を守るためでした。

黒田が殺されれば

和佳子が 疑われるのは
目に見えてましたから。

不能犯を 利用すれば たとえ
疑われても 起訴はできない。

でも 娘に
万が一のことがあれば

そのときは
名乗り出るつもりで おりました。

今日も 和佳子が
逮捕されると聞いて

自首するつもりで 来たんです。

≪(足音)

不能犯を装うには
一人では 無理です。

だから 重倉 覚さんに 協力を。

僕も 自首を 覚悟で来た。

紗月を 和佳子たちに
託した後

もう 重倉さんとは
会わないと 決めていました。

でも 重倉さん以外に
頼めませんでした。

《緑さん》

《黒田を 殺すっていうのか?》

《和佳子も 私も
もう 限界なんです》

《私が やらなければ
いつか 和佳子が》

《力を貸してください》

(重倉)彼女の言うとおりです。

不能犯を装うため
私は 彼女に 協力しました。

黒田が住む アパートの
向かいの家にいる 受験生

目撃者にしようって
言ったのも

犯人が 確実に 2人 いると
思わせるための

2種類のナイフも
私が 用意しました。

父親らしいことは 何一つ
紗月には してやれませんでした。

そのことが ずっと

私のような人間にも
重く のしかかってたんです。

紗月のために。

そして 紗月を育ててくれた
和佳子さんや 範夫さんのために

私が やれることは
これしかないと そう信じて。

そして 黒田に接触した?

(重倉)《気を付けろ!》
《すいません》

《ケガしなかったですか?》

(殴る音)

《殺してやる!》

♬~

♬~

♬~

(緑)最初のナイフは
紗月のために。

(刺す音)
(黒田)《ああっ。 ううっ》

♬~

(緑)二度目のナイフは

紗月を愛してくれた
範夫さんのために。

(刺す音)

(緑)三度目は
紗月の 本当の父親である

重倉さんのために。
(刺す音)

(緑)そして 最後に
私の大切な娘 和佳子のために。

(刺す音)

♬~

♬~

(緑)《ああ》

≪(ノック)

《どうして?》

《心配だったからに
決まってるだろ》

♬~

《大丈夫か?》
《ええ》

《紗月に 一度でいいから
会いたかった》

《ハァー。
父親として

何一つ してやれなかったのが
心残りだった》

《だけど これで 少しは
楽になれるかもしれないな》

(緑)範夫さんを
巻き込まないために

彼の出張している夜を
選びました。

2人とも 紗月のことを

ホントに よく 育ててくれて
ありがとう。

和佳子と 範夫さんには
計画のこと 話してません。

ですから 娘たちには
何の関係も…。

(和佳子)知ってたわ。

お母さんが 黒田を。

範夫さんも 私も。

お母さんのそばに 引っ越す準備を
してるところでした。

お母さんのそばに
いてあげることしか

俺たちには できませんから。

失ったものは 計り知れません。

でも 復讐は 何も生みはしない。

皆さんが 大切に思い
愛してやまなかった 紗月ちゃんは

二度と 帰ってはこないんです。

(緑)だけど あなたたちは
私たちに 何をしてくれましたか?

黒田は たった 1年の
服役で済んだ。

私たちの苦しみは
一生 続くというのに

たったの 1年です。
それが あなたたち

警察や 検察の 私たちへの
答えじゃありませんか。

黒田が 死刑であったのなら

緑さんの気持ちは
晴れたのですか?

黒田が 死んだ今

緑さんの気持ちは
晴れていますか?

(占部)ご同行 願えますか?

ちょっと 待ってください。

お願いがあります。
最後に 行きたいところが。

♬~

♬~

♬~

♬~

物証は 出るでしょうか?

凶器のナイフは 見つかります。
彼女は 捨てずに?

和佳子さんに
容疑が掛かった場合のために

彼女が 一番 好きな場所に。

♬~

(山岸)発見された ナイフの
金属片を 照合した結果

凶器のナイフに
間違いありませんでした。

ありがとうございます。

(岩瀬)またぞろ
あの 出しゃばり検事が。

いいか? 占部君。 私のような
心の広い人間がいるから

ああした検事が
大手を 振っていられるんだ。

そこんとこ 勘違いするな。

この 岩瀬 厚一郎あっての
霞 夕子だっていうことをな。

(占部)おっしゃるとおりで…。

(占部)あっ。 電話 鳴ってますよ。

何だ?

あっ。 これは 1課長。

ご苦労などと そんな
もったいない。 いえいえ。

あの いつもの 小うるさい
女検事の横やりを 払いのけ

無事 逮捕に
持ち込んだしだいです。

ああ。 はいはい。

(夏子)ただいま。
(友行)シーッ。

(彩子)急に お休みが もらえたの。
だから。

(友行)それに なっちゃんへ
お土産が。

(彩子)なっちゃんが 帰ってくるの
待ってたんだけどね

疲れてて
我慢できなかったのね。

(友行)何だか 子供みたいだな。
(夏子・彩子)フフッ。

(彩子)あっ。

開けてごらんなさい。

♬~

(友行)絵本?
もう そんな子供じゃないのにな。

(夏子)私が ちっちゃいころ
一番 好きだった本だよ。

何度も読んで
ぼろぼろになって

もう いらないって思って
捨てちゃったけど

もう一度 読みたいって
思ってた本。

夕子。 覚えてたのね。
なっちゃんが 一番 好きなもの。

♬~

♬~

♬~

♬~