世直し公務員ザ・公証人9 ワイナリーオーナーが不審の死!発酵室に転がる死体…相続を巡る兄と妹に泥沼の争いが!鍵は…

出典:EPGの番組情報

[字]ミステリー・セレクション・世直し公務員ザ・公証人9

ワイナリーオーナーが不審の死!発酵室に転がる死体…相続を巡る兄と妹に泥沼の争いが!鍵はコンクール受賞ワイン?今復讐の時!

詳細情報
出演者
渡瀬恒彦、蟹江敬三、安達祐実、国生さゆり、布川敏和ほか
番組内容
公証人の真山壱成(渡瀬恒彦)は、山梨県甲府市の公証役場に着任する。役場の書記は元気のよい米倉環(安達祐実)。公証人から弁護士に転じた天野正直(蟹江敬三)に連れられて、真山は役場近くのワイナリーを訪ねる。ちょうど経営者の星峰志津加(国生さゆり)を囲み、作られたワインの国際コンクール初入賞を祝っていた。
番組内容2
ところが、ワイナリーのオーナーである志津加の兄、和也(池田政典)が現われ、ワイナリーを売却すると騒ぎ出したため、和やかな雰囲気が一転する。
監督・演出
【監督】増田天平
原作・脚本
【脚本】金谷祐子
制作
2011年

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

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  5. ワイン
  6. ワイナリー
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  13. 翔太君
  14. 警察
  15. お前
  16. 境界線
  17. 自分
  18. 美保子
  19. アンタ
  20. ホント

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(鳥のさえずり)

≪(環)それでしたら
対処しかねるんですけど

ええ はい…
ですから 税金のことでしたら

市役所の税務課か
税務署の方に お尋ねください

ウチは 役場といっても
公証役場…

はい そうです 公の「公」に
証明書の「証」と書いて 公証役…

えッ? だからそれは 役場違い…

そんなに怒らなくても…
(天野)さては

「役場じゃないなら 役場なんて
言うな!」とか 言われたな?

そうなんですよ 「紛らわしい」って
どなられちゃって

あッ もしかして
新しい公証人ですか?

ああ よかった…

前の公証人の痛風が悪化して
急にリタイアすることになって

私も ついにハローワークかって
覚悟はしてたんですが

でも 引き続き雇っていただける
そうで ありがとうございます

あッ どうぞ こちらです

ほら 名刺も作っておきました

私ね 人違い
それにしてもアイツ 何やってんだ?

とっくに着いてて
いいはずなんだけどね

(森田)へえ~ じゃあ
東京から ここまで 自転車で?

はあ~ 大したもんだ

(森田)ああ ここだ

(真山)すぐに直ります?
ああ 直るよ

けど 電動にしたら どうだい?

安くしとくから

どこまで行くんだか 知らないけど

この辺 ほら 坂が多いからね

山道 坂道 スイスイだよ

考えます
で ここ近いですかね?

ここ 行きたいんですけど
どれ? ああ 分かった

この通りをね ずーっと下ってって
跨線橋を渡って 右へ行くと…

公証役場…

アンタ 役場の人?
ええ

今日から この町で お世話に
なります 公証人の真山壱成です

公証人?

〈(環)公証人とは 法務大臣に
任命された 法律の専門家で〉

〈現在 国内に
およそ500名の公証人がいます〉

〈れっきとした公務員であると
同時に 独立した個人事業主で〉

〈全国各地に約300ヵ所ある
公証役場では〉

〈個人や法人の依頼を受けて
公正証書の作成や認証など〉

〈法律に関する業務を
行っています〉

はい どうぞ
ああ ありがとう

じゃあ 天野さんは
裁判官をされた後

真山さんと同じ公証役場で
公証人をされて

現在は 弁護士事務所を開かれた
うん

そろそろ公証人を卒業しようかと
思ってたところへ

真山が ここに移ることになってね
それで お互い いい機会かなと

ところで おたくは?

書記の米倉環です
はじめまして

環さん いい名前だねえ

独身?
あッ まあ…

努力は してるんですけどね
あのね…

真山には用心した方がいいよ

アイツは 昔 検察にいたせいか
いまだに悪い癖が抜けなくて

悪い癖って何ですか?
女癖が悪いとか…

あッ もしかして 酒癖ですか?

ああ 来た来た 待ってたんだよ
天野 何やってんの?

お前こそ 何してたんだよ?

お前の新天地を祝おうと
わざわざやってきたのに

いいから 行こう 時間がない
来たばっかりだよ

分かってるよ
この人 借りるからね

この人は…
書記の環さん

米倉です 今後とも
よろしくお願いします… あれ?

行った 行った

あッ ちょっと 公証人! これ…

これこれ!

公証人
名刺 作っておきましたー!

(司会)それでは皆様 「星峰ワイナリー」
国際ワインコンクール 初入賞を祝って

乾杯
(一同)乾杯!

(志津加)ありがとうございます

私達の造りました星峰ワインが

世界で 少しだけ

認めてもらえました

これも
皆様のおかげだと思っています

ありがとうございました

(拍手)

(未玖)ママー

ママ おめでとう
ありがとう 未玖

じゃあ 皆様にペコリしよう
せーの

ペコリ

(聡子)入賞したワイン
たくさん召し上がってください

どうぞ

うんッ 国際コンクール入賞だけあって
さすがにうまい

だろ? 急いで来た甲斐が
あったってもんだよ

お前が わざわざ俺に会いに来る
って 妙だと思ったんだ

メインは これか? 俺が ついでか?

いいじゃないか そんなことは
まずは 「ビオディナミ」に乾杯だ

このビオディナミって

有機農法の一つ?

俺も詳しいことは あれなんだけど
つまり その…

(新田)おっしゃるとおり
有機農法の一つですよ

化学肥料や農薬は一切使わずに
ブドウを栽培するのは もちろん

ビオディナミの場合 月の満ち欠けや
星座の位置が及ぼす影響を考慮し

ここのワイナリーでは 天体の運行に
合わせた育て方をするのが

特徴なんです
それで 天体カレンダーが ここに…

僕も 受け売りですが… 地元で
情報誌を作ってるもんですから

ワインについても
色々詳しくなって

飲むと分かりますが ここの土地の
特有のミネラル分を感じるんです

うんッ
さて 酔っ払う前に仕事しなきゃ

じゃあ 失礼します
ありがとう 勉強になりました

どうだ? 分かるか? ミネラル

いや まだまだ 分かるためには
あと何杯か 飲まないと

言えてる

お前さ 彼女と どういう関係?

ああ 志津加さんか

彼女とは ウチのかみさんの実家が
この近くという縁で

親しくなったんだ

この星峰ワイナリーは彼女の親父さんが
ここまでにしたんだが

5年ほど前に亡くなって
今じゃ…

彼女が 実質的な経営者なんだよ

実質的な経営者?
うん ちょっと その辺はね

事情があってね

それより ほら

ミネラルだ ミネラル

情報誌を作ってる新田です
ちょっと取材させてください

(従業員)お帰りなさいませ

では最後に
次の目標を聞かせてください

それは もちろん
今回の賞を励みにして

もっと上を目指すことです

ワイナリーの仲間達と心を一つにして
頑張っていきますので

これからも
応援よろしくお願いします

(客A)よし いいぞ!
(B)頑張って

(和也)聞いてないぞ 俺は

聡子おばちゃんのとこ 行ってて

これは 皆さん 大勢で

今日は一体 何の集まりですか?

「国際ワインコンクール 初入賞」

聞いてないなあ

兄さんには何度も連絡したのよ

そしたら 友達と
クルージングに出てるっていうから

ああ 仲間と ひと月ばかりな
遭難しなくて残念だったな

兄さんッ
しかし まあ

ウチのワインが世界に認められたのは
結構なことだ

記者さん
せいぜい いい記事 頼みますよ

はあ
どうぞ 皆さん

今日は思いっきり
楽しんでってください

何なら ワイナリー中を空っぽにして
くださっても結構 私のおごりです

ほら 翔太 何 ボケッとしてる
グラスが空じゃないか

いいよ 俺がやる

さあ どうぞ
(客)ありがとう

あれが お前が言う
「色んな事情」?

まッ そういうことだ

(志津加)ここを売る!?

売るって どういうこと?
ある大手の酒造メーカーが

畑も何もかも 一切合財まとめて
買いたいってさ

うまい具合に
コンクールにも入賞したし

おかげで 少しは高く売れる
何言ってんの? 冗談でしょ?

そんな大事なこと
私達に何の相談もなく決めて

相談?

ここのオーナーは この俺だぞ
死んだ親父から 俺が相続したんだ

俺のものをどうしようと
とやかく言われる筋合い ない

でも お父さんの代から
勤めてる人もいるのよ

その人のことも考えなきゃ

どうせ儲かっちゃいねえんだろ?

これ以上 借金がかさまないうちに
早いとこ手放した方が 利口だよ

兄さん!

心配しなくても
お前は たった一人の妹だ

何なら 引き続き雇ってもらえる
よう メーカーに頼んどいてやるさ

ハッハハハ…
話が まだ終わってない

久しぶりで
跡取りが姿を見せたと思ったら

ここを売るだって? アンタ
そんなこと 本気で考えてんの?

ああ 本気だよ

実は俺 結婚するんだ

結婚?
誰と?

彼女も俺と同じで ワイン造りには
まるで興味がなくってね

そういうわけで売ることにした
バカ言ってんじゃないよ!

ここはね ここのブドウ畑はね

アンタ達のじいさんが苗を植え付けて
ようやく ここまでしてきたんだ

それを 畑仕事も ろくに
手伝ったことのないようなアンタが

「売る」だなんて そんな
罰当たりなこと 誰が許すもんか

許す 許さないの
問題じゃないんだよ 叔母さん

ここは れっきとした
俺の所有物でね

法律だって ちゃーんと認めてる
悪いね

お待ち
分かってるだろうけどね

南の斜面にあるブドウ畑
あれ 半分は 私のもんだからね

私が嫁に行くとき
アンタのじいさんが 私にくれたんだ

法律だって ちゃんと認めている

嘘だと思うなら 役所でも
どこでも行って 調べてみるといい

私は 自分の持ち分については
石ころ一つ 売る気はないから

よく覚えておくんだね
ああ 覚えとくよ

南の畑だな?
兄さん

まったく…

これじゃ
死んだ兄さんが浮かばれないわ

何で あんなやつに
相続させたんだろ?

(志津加)兄さんッ

何やってんの?
これ どういうこと?

(和也)見てのとおり 境界線だ

境界線?
ああ

こっちから下が 俺の畑で
こっちが 叔母さん

心配しなくても 叔母さんの畑には
指一本 触れやしないって

お袋さんに よく言っとくんだな
(翔太)ちょっと待ってよ

こっから向こうって そんなはず
ないよ 母さんに聞いた話じゃ

境界線は もっと向こう
昔 石垣があった所だって

石垣?

そんなの どこにある?
いや どこって…

ブドウ畑 広げるんで
ずいぶん前に 壊したそうだけど

構わないから やってくれ
(作業員達)はい

兄さん!

文句があるなら
確かな証拠でも持ってくるんだな

なあ 翔太

お前も まだ若いんだから
思い切って都会に出てみろよ

いとこのよしみで
俺が面倒見てやっから

いいよ 俺は
遠慮すんなって

ハハハハ…

ハッハッハッハ…

(環・未玖)ジャンケン ポイ

あっち向いて ホイ
やったー! 全勝

もう 未玖ちゃん 弱いなあ

あれ?

じゃあ もう一回やる?
うん!

よし じゃあ 半分 未玖ちゃんの
どうぞ

畑の境界線が分からない?

はい

問題の畑は ウチの祖父の代からの
所有しているもので

畑の一部は 父の妹

つまり私にとっては 叔母にあたる
人の名義になっています

ウチは そこを叔母から借りる形で
ブドウを育てて

叔母も いずれは そこを
息子の翔太さんに譲るつもりで

それで何の問題もないはず
だったんです でも 急に…

お兄さんが ワイナリーを
畑ごと売るとおっしゃった

はい 叔母は もちろん反対して

自分名義の畑は
絶対に売らないと言っています

でも 肝心の境界線が分からなくて
それで困ってしまって

法務局が管理してる公図
調べてみました?

それと 土地の登記申請書には
実測図面が添付されてるはずです

そう思って 調べてみました
でも もう30年以上も前で

この境界線が なくなってしまって
正確な距離や面積が分かりません

それで 弁護士の天野さんに
相談したところ

こちらを紹介していただきました

真山に相談すれば
きっと いい方法が見つかるって

天野が…

何とか 境界線をはっきりさせる
いい方法はないでしょうか?

法務局に相談するのが一番ですが
とりあえず

事実実験 やってみます?
事実実験?

はい 学生の頃 理科の実験
したことあるでしょう?

はい
あれと同じように

今 問題になってる事案について
公証人が

あらゆる角度から
直接 検証するんです

そして
事実だと思われる事柄だけを

事実実験公正証書として
文書にまとめるんです

公正証書?
文字どおり

公証人が公正に作成した
公文書ということです

今回の場合でいうと 昔 石垣が
あったという境界線が どうなのか

実際に公証人が 現地で検分して

公正だと判断した結果を
文書に まとめるんです

まあ 裁判所の検証調書…

みたいなもんですかね

では 兄がどんなにデタラメを言っても
文書に書かれていることの方が

事実だと そう証明してくれる
ってことですか?

そういうことです
真山さん ありがとうございます!

叔母に早速 電話してみます

〈こうして 真山公証人は〉

〈志津加さんの叔母さんである
平山聡子さんの依頼を受けて〉

〈実際に 現地を
調べてみることにしました〉

先代の荷物の中にも
やっぱり ありませんね

あッ そうだ 公証人

今は携帯にも 地図がわりの機能が
ついててですね

ほら! こうやって分かるように
なってるんです

ああ そうなんだ
公証人が使いこなせないようなら

私が ご一緒しましょうか?
あった あった

ずいぶん年季が入った磁石ですね
やっぱり私が お供した方が

いいんじゃないかな
タマちゃん ダメ

お供しちゃいけない理由でも
あるんですか?

タマちゃんは お客さん来たときの
お留守番しなきゃ

じゃ タマちゃん 行ってきます
ちょっと…

まったく タマちゃん タマちゃんって
私は猫じゃないっつーの

ここは元々 ブドウ栽培には あまり
適さない土地だったんですが

ビオディナミ農法を取り入れてからは

以前より ずっといいブドウが
とれるようになりました

コンクールに入賞したのも ここから?
はい この畑でとれたブドウです

ビオディナミって
一切 化学肥料や農薬 使わないで

天体の運行に沿って栽培するって
ホントですか?

よく ご存じですね
地元で情報誌 出してる人に

教えてもらいました

新田さんですね きっと

あの人 ワインが大好きなんです

海外のビオディナミの情報も
いつも集めてきてくれて

コンクールに応募するように
勧めてくれたのも 新田さんです

今回の入賞は 半分以上は
新田さんのおかげなんです

(新田)志津加さーん!

新田さん
よかった 会えて

どうしたんですか? こんな所まで

実は この前 翔太君から
境界線の話を聞いて

それで 何か できることないかと
来てみたんだ

何なら ウチの情報誌で
当時のことを知ってる人に

呼びかけてみるのも
どうかなと思って

ありがとうございます

先日は どうも

僕 情報誌の編集をしている
新田圭介といいます

改めて よろしくお願いします
公証人の真山です

志津加さん

これが 昔ここにあった
石垣の名残ですかね

そうです

この石だけ どういうわけか
やたらに大きかったので

掘り出すのを諦めて
そのまま埋め戻したと聞きました

これ もしかしたら
境界石かもしれませんね

何ですか? 境界石っていうのは

今 どの土地でも 境界を示す
これぐらいの標識 あるでしょ

見たことあります?
ああ

昔は そういう標識や杭のかわりに

こういう大きい石を埋めたことが
あるそうです

(写真を撮る)

この石の周り 掘ってみると

何か出てくるかもしれませんね

それで その石が
昔の石垣の名残だとして

どっちに延びてたんですか? これ

えーっと

確かね こっちの方だった…
すいません お願いします

あッ ちょっと待ってください

もっと北の方だったかしらねえ…

≪(和也)そこで何やってる?

(志津加)兄さん
人の畑で一体 何のまねだ?

叔母さんの依頼で 石垣の確認を

アンタは?

公証人の真山です

星峰和也さん 会えてよかった

当事者のあなたから
お話 伺いたいと思ってたんです

悪いが ここは今
売りに出してる最中でね

ゴチャゴチャおかしなこと言われると
迷惑なんだ 帰ってもらおうか

何が迷惑だよ 人の畑に
手 出してんのは そっちだろ

何なら今すぐ 警察 呼ぼうか
呼ぶなら いつでも呼んで…

ちょっと待ってください

売りに出してるなら なおのこと
境界線 はっきりさせた方がいい

こういうことって
すぐ噂になります

買う方も もめごとのついた土地は
買う気になりませんよ

俺を脅かしてんのか? アンタ
とんでもありません

公正証書には 予測されるトラブルを
未然に防止するという役割もある

気が変わったら
いつでも役場にいらしてください

ちなみに 相談だけだったら
お金 いりません

志津加さん 俺 代わるよ
ありがとう 翔太君

重いよ

どうだった? 畑
うん 絶好調

全部?
うん 全部

クソッ

どいつも こいつも

よいしょ

志津加さん
ああ 新田さん

こんにちは この前のインタビューの
ゲラが あがったんで

見てもらおうと思って
すぐ終わるので

離れで待っててください
はい

お待たせしました
すいません 忙しいのに

いいえ
はい

こんなふうにしてみたんですけど

でも
このワイナリーを売ることになったら

この原稿も 無駄になるんですよね

ダメダメ 無駄だとか無理だとか
そういうの 言いっこなしですよ

それよりほら 写真もバッチリでしょ?
ちゃーんと修整しといたから

ひどーい

あッ 新田さんに どうしても
飲んでほしいワインがあるんです

今年のコンクールで 銀賞とったワイン
待っててください

銀賞?
≪(翔太)何で こんなことするんだ

何だろう?

大事に育ててきたの
知ってるだろう!

アンタだよ! 何で?

ねえ どうしたの?
毒薬! 毒薬だよ

毒薬!?
誰かが ゆうべ 南の畑に

毒薬をまいた
だから 知らないと言ってんだろ

嘘をつくなッ!
(新田)翔太君

許さないからな 絶対に許さない!

あんなやつ 死ねばいい

殺してやる!

アンタ 最低だよ!

毒薬をまいたのは 兄さんなの?
だったらひどい

あのブドウは無農薬で作ってること
兄さんも よく知ってるでしょ

実際は使ってないのに
使ったと噂がたったら

ワイナリーの信用は どうなるのよ!

もうッ

兄さんッ!

絶対に許さないから

はい これ
この辺りの詳しい地形図です

うわあ すごいね これ

ネットで検索したんです

公証役場も これからは ますます
デジタル化が進みますからね

これぐらいは
頼もしいねえ タマちゃん

真山さん 大変です!
聞きましたか?

亡くなったんですよ
星峰ワイナリーの和也さんが

今朝 遺体で発見されたんです
和也さんが?

僕も 今 聞いたばかりですが
ワインを発酵させるタンクのそばで

死んでいたそうで 近くに
薬の噴霧器があったとか

薬?
死亡時刻は

昨夜の11時前後

おそらく 夜のうちに
タンクに薬を混入するつもりが

過って 自分が吸引したのではと
もっぱらの噂です

それじゃ 事故なんですか?
いや まだ その辺は…

警察も一応 事故と事件 二つの
線で 捜査をしているようですし

何のために タンクに薬を?

嫌がらせに決まってますよ

実は 亡くなる日の昼間
畑に薬をまいたって

大騒ぎだったんですから
それは おかしいよ

おかしいって?
だって 彼は

ワイナリーを
売りに出そうとしてたんだよ

《売りに出してる最中でね ゴチャゴチャ
おかしなこと言われると迷惑だ》

毒薬騒ぎが起きたら
値上がりするどころか

売却話そのものが
なくなってしまう

損するのは 彼自身だよ
ああ 言われてみれば…

確かにそうですね

じゃあ
得するのは 誰なんですかね?

和也さんが死んで 得する人って

一体 だあれ?

(刑事)平山翔太さんですね?

日下部署の者ですが

ちょっと署の方で
お話 伺えませんか?

翔太… 刑事さん これ一体
どういうことですか?

息子に何の用ですか?
息子 一体…

母さん
大丈夫だから 心配しないで

翔太

翔太

翔太!

あッ 天野 よかった よかった

お前が 志津加さんの頼みで
弁護人 引き受けたと聞いて

翔太君 逮捕状 出たの?
ノーコメント

ちょっと
ということは やっぱり警察は

和也さんの死 他殺と見てるわけか
「やっぱり」? 何か知ってんのか?

いや だけど 和也さん
タンクに薬 入れたりしないよ

だけど 遺体のそばに
薬があったってことは 誰かが

農薬 置いたってことだよな?
分かってるだろうが お前はもう

検察官じゃない 公証人だ
事件は警察に任しときゃいい

俺も今は弁護士だ 守秘義務が
あるのは知ってるだろ じゃあな

天野!

ああ 真山さん

亡くなった和也さんのつめの間に
ごく少量ですが

人間の皮膚が付着していたそうで

ホントですか? それ
ええ 確かな筋から聞いたんです

調べた結果
翔太君のものだと分かったんで

急きょ 逮捕したみたいです

彼は もちろん
無実を主張していますが

何しろ 動機が…

ワイナリーの売却に
反対してるだけではなく

畑に毒薬がまかれたときも
そりゃ すごいけんまくでしたから

《あんなやつ 死ねばいい!
殺してやる!》

《アンタ 最低だよ!》

それだけじゃないんです

どうやら 彼は その…

いとこの志津加さんに
特別な好意を持っていたようで

《どうだった? 畑》
《うん 絶好調》

《ホント よかったね》

志津加さんに?
つまり 和也さんが亡くなれば

あのワイナリーの相続は 当然 妹の
志津加さんということになります

だから いずれ彼女と結婚して

ワイナリーともども
自分のものにしようとした

警察は そう考えてるようで

一応 筋 通ってますね
それにしても よく調べましたね

こんな田舎で しがないライターを
してる割には ってことですか?

実は以前 東洋の記者をしていて
東洋新聞?

ええ あいにく 体 壊して
辞めたんですが 気になるんですよ

特ダネ 追ってた頃の
虫が騒ぐというか

じっとしていられないというか
ホントは何があったのか

事件の真相が やたら気になって
よく分かります 私 全く同じです

だから 友達に しょっちゅう
口やかましく言われるんですよ

えッ?

(くしゃみ)

失礼 風邪ひいたかな

ウチの息子も
風邪なんか ひいてなきゃいいけど

大丈夫
彼は元気そうでしたよ

自分は何もやってないから
安心して待っててほしいと

そう 言づかってきました
ねえ 先生

あの子は 人なんか
殺せるような子じゃないんです

畑の虫だって そっと逃がして
やるような 優しい子なんですよ

それなのに警察は
息子が志津加にほれて

それで 和也を殺したなんて
冗談じゃ…

だったら 息子より先に 志津加を
疑うのが 筋じゃないんですか?

こう言っちゃ何ですけど
和也が死んで 一番 得をするのは

志津加なんですから

ああ もう 弁護士さん

どうなっちゃうんでしょうね
これから

(自転車が止まる)

はい チーンって

出たね

いいよ もう

さあ レッツ ゴー

実は私 父に勘当されてたんです

勘当?

学生の頃 好きな人ができて

でも 父は
どうしても許してくれなくて

親子の縁を切るとまで
言われました

それで私は 家を飛び出して

その好きな人と 一緒に暮らして…

次に父に会ったのは 5年前です

≪(志津加)父が危篤だという
知らせがあって…

≪(志津加)そのとき 私は

一緒に暮らしていた相手とも
別れたばかりで

父への
罪ほろぼしの意味もあって

実家のワイナリーを
手伝うようになったんです

他には
どこへも行くあてもなかったし

それに 未玖を妊娠していることも
分かって…

今 思えば 私

母が早くに
亡くなったせいもあって

父には
ずいぶん かわいがられました

なのに私は

親不孝ばっかりで

だから ワイナリーのほとんどを

兄に相続させるという
父の遺言を知ったときも

反対は しませんでした

土地を分散させないためにも

当然のことだと思いましたし

なのに…

兄が
こんなことになってしまうなんて

人生って

ホントに分からないもんですね

私にとっては

たった一人の兄です

やっぱり つらいです

ママ どうしたの?

何でもない おいで

(お茶を噴き出す)

あ~あ… 何だって?

それじゃ 志津加さんのためにも
事件の真相を探ろうってのか?

このままだと 志津加さんだけじゃ
なくて ワイナリーそのものが

成り立たなくなってしまう
そんなことさ…

お前 望んでないだろ?
まあ そりゃな

うまいワインが消えてなくなるのは
地球全体の損失だ

それに志津加さんは 相続人だ

身の潔白が証明されないかぎり
相続だって もめるだろ

境界線の問題もある
引き受けた以上 黙ってらんないよ

しかし なんべんも言ってるとおり
お前はもう…

もう 検察官じゃない

だから 弁護士のお前に
頼みがある

言うこと聞いてくれるよな?
聞いてくれるよな?

聞いてくれるよな?

何? あの二人
あッ まさか…

悪い癖って そっち?

ホントに ここで
間違いないんだろうね?

ああ 警察の人間に確かめたんだ
間違いない

うんッ…

おいおい 無理すると血管切れるよ

俺に無理させてんのは
お前じゃないか~

(スタッフ)あちらの方が
みえられましたよ

彼女かもしれない

うん?

(レイ子)どうも お待たせしました
私が三崎ですけど

電話をくれた弁護士さん あなた?
いえ…

弁護士の天野です
先日は どうも

彼はですね…
公証人の真山です はじめまして

亡くなった星峰和也さんと
結婚の約束 なさってたそうで

お悔やみ申し上げます
それは どうも

で その後 何か分かりました?
彼が なぜ死んだのか

警察に聞いても
何も教えてくれなくて

今はまだ 捜査中ですから
でも 私 婚約者なのよ

少しぐらい教えてくれたって

彼とは 長かったんですか?

そうね 長いってこともないけど

知り合ったのは 5年ぐらい前

彼がここへ リハビリへ来てた頃だから
彼 どっか悪かったんですか?

ええ ヨットの事故で
足を痛めたんですって

だから 初めて会った頃は
少し片足を引きずってたの

ヨット?
うん

ここで トレーニングするうちに
すっかり よくなったけど

これでも私
なかなか優秀なトレーナーなのよ

鍛えてあげましょうか?
いや どうも

すいません ものすごく聞きにくい
質問なんですけど

誰か 彼を恨んでる人って
いますかね?

恨んでる人?

そうね 彼を恨んでる女なら
大勢いるかもね

大勢?

だって 実家のワイナリーには
めったに帰りもしないで

いっつも こっちで
女の子ばっかり追いかけて…

ねえ 弁護士さん

婚約者には 相続権ってないの?
彼 言ってたのよ

実家のワイナリーを売って そのお金で
二人でスポーツショップを始めようって

だから私も
結婚する気になったのに ねえねえ

と言われてもね…
遺言書でもあれば 別ですが

遺言書があるかどうか
どうすれば分かるの?

公正証書遺言なら 相続人が
公証役場に問い合わせれば

すぐ分かるんですが…

(携帯着信)

ちょっと失礼

はい 天野です

ヨットか…

(水島)お待たせしました
どうも 水島です

(水島)和也さんは
まだ学生だった頃から

ウチのクラブの会員でしてね

一人乗りのヨットの他に

友人と一緒に購入した
大型ヨットも持ってます

それは 値をはるでしょう
まあ 安くはないですね

で ヨット仲間と
トラブったことはありますか?

さあ 和也さんは ヨットの腕もいいし
気前もいい

だいたい 海の男はみんな
仲がいいんですよ

じゃあ 彼を恨んでるような人は
いない?

そうね 海の上では

どういうことですか?

和也さんには
妙な こだわりがあって

海に出るときは 男だけ

女と名のつくものは
たとえ犬でも乗せない

「男の世界だ」って
徹底してまして

その反動かどうか
陸に上がったときは もう…

自分が運転する車の助手席には
いつも違う女の子が乗ってました

だから 彼を恨んでる女も
多かったんじゃないですか?

あくまでも 想像ですが

ところで 5年ほど前 ヨットで
足を痛めたって聞いたんですが

ヨットで?
ええ で しばらく…

リハビリに通ってたって

あッ…

いえ 記憶にないですね

えッ?

(客)やあ 支配人
いらっしゃい

どうしたの?
久しぶりだね 元気にしてた?

(バイブレーター着信)

はい
俺だ そっちは どんな具合だ?

俺の目がないと思って
あんまり突っ走るなよ

ああ こっちは心配ない
たった今 証拠不十分で

翔太君が釈放された
ああ 元気だ じゃあな

帰ろうか

≪(環)ほッ… フーッ

アイテテテッ

(息を吸い込む)

フーッ…

(時計の鐘)

あら もう1時か…

まったく
真山公証人は どこ行ったんだか

早く帰ってきてもらわないと

お弁当 作ったから お昼までには
帰ってきてくださいって

言ってあったのに

これがあれば もうちょっと役場に
寄りつくと思ったんだけどなあ

はあッ もう待てない

おなかすいたー

よいしょ

いただきまーす

2時間もかけて作ったのに

おいしい

事件があった夜 翔太君は
あそこに軽トラをとめて

寝ずの番をしてたそうだ

寝ずの番?

昔 使ってたものも
そこには保管してるんです

あッ いいですか?

それで また和也さんが
取りに来るんじゃないかと思って

それで 証拠つかもうと思って…

そしたら 案の定…

≪(翔太)でも どういうわけか
納屋じゃなくて

醸造場の方に向かったんです

《そこで何してる?》

《何だ 翔太か
お前こそ 何してる?》

《今度は このタンクに
薬を入れる気だ》

《はッ?》

《ハハハハハ…》

《しかし お前もなんだって
こんなとこ しがみついてんだか》

《それとも お前が
しがみついてんのは志津加か?》

《ほれてんだろ アイツに?》

《やめろよ!》

《和也さん?》

《大丈夫?》

《ハッハッハッハッ…》

その日 まっすぐ自宅に帰った?
はい

こっからだと 彼の足なら
5分とかからない

和也さんの死亡推定時刻である
午後11時前後には

もう自宅に戻ってた そうだったね
そうです

翌朝 このタンクのそばで和也さんが
死んでるのが見つかった

発見したのは古くから働いている
従業員だ

はい もうこれでいいね? 行こう

最後にもう一つだけ

自宅に帰るまで
いつもと違うこと何かなかった?

ささいなことでもいいんだ

例えば 知らない人に会ったとか

さあ この辺
夜になると真っ暗なんですよ

それに あの日は新月だったし

あッ そういえば
途中で転んだんだ

転んだ?

ちょうど この辺りかな

醸造場から ウチに帰るには
ここが一番近道なんで

そしたら…

≪(翔太)ドンてぶつかった
スクーターに

スクーター?

まさか こんなとこに
とめてあるなんて思わないから

普段 誰も
ここにとめたりしないの?

しません

というか このワイナリーで
スクーター乗る人なんて…

いた 一人だけ

(智子)私いつも これで家から
通ってますけど それが何か?

随分かわいいんですね

ウチの子供達がくれたの

走るとジャラジャラ音がして
うるさいんだけど

せっかくくれたもの
外すわけにもね

私も嫌いじゃないし

(ストラップを触る)

どうだ あのスクーターか?

違うようだ

あれなら 倒れたときに音しそう

翔太君が倒したのを 犯人が
乗ってきたスクーターじゃないかという

お前の推論はもっともだ しかし
まだそうと決まったわけじゃない

さッ 帰るぞ

智子さん

今の人達 どうしたの?

何だか知らないけど
私のスクーター見せてほしいって

スクーター?

こんにちは

ああ あんときの

その節は どうも

ちょうどよかった いいところへ

ねえ ちょっと
これ見てってよ

さっき届いたばっかり
ニューカラーだよ

これだったら
お宅にピッタリだよ

安くしとくから

なんつったってね 電動だよ

何だ坂 こんな坂
スーイスイってなもんだよ

あれは?

あれはダメ 今 修理終わったとこ
売りもんじゃないから

修理って どっか
壊れてたんですか?

修理っていうかね ミラーが
壊れたから取り替えただけ

ミラー?

おおかた
転んだか何かしたんだろう

転んだ?

《まさか こんなとこに
とめてあるなんて思わないから》

ブレーキレバーも 少し

≪(新田)こんちは!

いらっしゃい
できてるよ スクーター

真山さん どうしたんすか
こんな所で?

いいえ

何だよ 二人とも知り合いか

今ね こちらさんが
このスクーターほしいって言うから

ダメだって言ってたとこ
ちょっと待ってね

真山さん バイク乗るんですか?

そうじゃないけど これ君の?

ええ 取材するには
車より何かと便利なもんで

あまりにも酷使したもんだから
あちこちガタがきちゃって

会社の人も これに乗る?

さあ デスクワークんときには
事務所に乗ってって

鍵は差しっぱなしが多いから

乗ろうと思えば
誰でも乗れますけどね

そうだ 真山さん

これできたばかりなんです どうぞ

おじさん これまた
ここにも置かしてね!

≪(森田)はいよ~

そういえば聞きましたか?
翔太君 証拠不十分で帰されたって

ええ そうみたいですね

てことは和也さんの死は やっぱり
ただの事故だったんですかね?

はい お待ちどお
はい

これね 修理の明細

ありがとね
早く直してくれて

アイツがないとさ
仕事になんなくて

≪(森田)合計でね 8650円

お邪魔します

(ドアが開く)

いいですか?
どうぞ

その記事見ました

いいインタビューですよね

あの人が うまくまとめてくれて
新田さんのおかげです

彼 東洋新聞の記者だった
そうですが その頃から ここへ?

いいえ 3年ぐらい前に

情報誌の取材で
初めてここに見えて

それから
ブドウの収獲とか 試飲会とか

何かとワイナリーの記事を
書いてくれてます

取材のときは
いつもスクーターですか?

そうですけど

新田さんのこと
疑ってらっしゃるんですか?

えッ?
翔太君から聞きました

兄がタンク室で亡くなった夜

近くにスクーターを
とめてた人がいたって

そのスクーターをとめた人が
兄を殺した犯人だって

でも違います

新田さんじゃありません

あの人を疑うなんて
どうかしてます

僕も そう思います

偶然なんですかね

彼 最近 スクーター
修理に出してんですよ

ミラーが壊れて

それがもし 翔太君が
ぶつかったときに

壊れたもんだとしたら
あの事件があった夜

置いてあった
スクーターの持ち主は

新田さんていうことに
なりますよね?

それ 私のせいです

えッ?

私が そこに とめておくように
言ったんです 新田さんに

あなたが!?
そうです

この前の新月の日
昼間にいつものように

新田さんがスクーターで見えて

それで…

《こんにちは この前のインタビューの
ゲラが上がったんで 見てください》

≪(志津加)そのうち
表が騒がしくなって…

《≪(翔太)何で
こんなことするんだよ!》

《大事に育ててきたの
知ってるだろ!》

《アンタだよ 何で!?》

《どうしたの!》

《毒薬だよ!》
《毒薬!?》

《誰かが ゆうべ
畑に毒薬をまいた》

《(和也)だから知らねえよ》

《嘘をつくな!》
《翔太君!》

そんなこともあって
お詫びの意味もあって

私 新田さんにワインを勧めました
ワイン?

仕事も残ってるし
スクーターで来てるからって

新田さんは
何度も遠慮されました

《≪(新田)志津加さん ダメダメ》

《今日 僕 スクーターで
来ちゃってるから》

《仕事もまだ残ってるし》

≪(志津加)どうしても
飲んでほしいワインがあって…

《でもせっかく銀賞を取った
ワインですから》

これです 今年のコンクールで
銀賞を取ったワインです

やはり ビオディナミで育てた
ブドウが使ってあります

ウチのワインと比べて
どう違うのか

ぜひ新田さんに感想が聞きたくて

それで新田さん スクーターを
置いて帰ることになったんです

銀行に行く用があったので
私が送っていきました

だから兄の死んだ夜

新田さんのスクーターが
ウチにあっても

ちっとも不思議じゃないんです

まさかそのせいで 新田さんが
疑われることになるなんて

すいません

いえ 僕の方こそ早とちりで
すいませんでした

よかったら 真山さんも
飲んでみてください

ぜひ 感想を聞かせてほしいんです

えッ 志津加さんが
そんなことを?

ええ

そうですか

けど ひどいな
僕を疑ってたなんて

すいません 全て疑ってかかんの
検事時代からの悪い癖でね

いいですけどね
仕事中に飲んだ僕も悪かったし

けど コンクールで 銀賞を取った
ワインなんて言われちゃあね

それで スクーター
置いて帰ったんです

まさか昼間から
飲酒運転するわけ いきませんから

今度 彼女も一緒にお願いします

えッ 私?

この際 公証役場が
どんな所なのか

町じゅうの人にアピールしなきゃ
いいですよね 真山さん?

もちろん

やだ そんな

だったら もっと
オシャレしてくるんだった

今のままで十分ですよ

だって
町じゅうの人が見るわけでしょ

こんなチャンス
めったにないもの

あッ ちょっと待っててくださいよ

ちょっと手直ししてきます

そうだ
和也さんのことなんですけど

気になる情報を耳にしたんです

どうやら ワイナリーを買うはずだった
メーカーの担当者と もめていたようで

何でも向こうの言い値が
想像以上に安かったらしいんです

ひょっとして今回の件は
売買条件を巡ってもめたあげく

ということはないですかね?
ありえますね それ

ちょっと探ってみましょうか

お待たせしました

どっか変わった?

いいです どうせ
代わり映えしない顔ですから

お前ね 事件に
夢中になるのもいいが

もう少し 女心ってものを
理解しなきゃ

たとえ毎日
代わり映えしなくてもだな

顔を合わせたら
「あッ 化粧変えた?」

「今日もきれいだね」
これぐらい言わなきゃ

それが礼儀ってもんだよ
そりゃセクハラだろ

男には 何を言ってもセクハラになる
タイプと そうじゃないタイプがいるんだ

お前は どっち?
えッ 俺は…

けどさ すごいいいマンションだね

和也さん ここに住んでた?

ああ 時々 彼女が来てたらしいよ

彼女だ

こんにちは
どうも

すいませんね わざわざ どうぞ

だけど失礼しちゃうわよね

和也が死んだとたん
この部屋の鍵を返せだなんて

すいませんね 遺族から
遺産の管理を頼まれまして

このマンションも
相続の対象になってるもんで

私が何か盗んだりしないように
見張ってろってことでしょ?

とんでもない 盗むなんて

いいわよ 私もあとで
言いがかりつけられたくないし

あッ その写真…

それって和也の
お気に入りだったのよ

よく撮れてると思わない?

写ってるご本人が
素敵だからですよ

ウフフ ありがとう

お世辞でも嬉しい

思えば この頃は最高だった

二人で いつも
仲よくドライブして

和也ったら
ヨットの操縦はうまいくせに

車の運転となると
免許も持ってなかったんだから

おかしな話よね

ねえ これ 和也のもんだけど
私もらっていい?

えっと いいですよ
どうぞお持ちください

ありがとう
今の話なんだけど

和也さん 車の免許証
持ってないってホント?

そうよ 私が知るかぎり

あの人がハンドルを握ったことは
ただの一度もないわ

この車だって
私が買ったんだもの

どうかした?
ううん

《和也さんは 学生だった頃から
うちのクラブの会員でしてね》

《一人乗りのヨットの他に》

《友人と一緒に購入した
大型ヨットも持ってます》

《和也さんには
妙なこだわりがあって》

《海に出るときは男だけ》

《女と名のつくものは
たとえ犬でも乗せない》

《男の世界だって
徹底してまして》

《その反動かどうか》

《陸に上がったときは もう…》

《自分が運転する車の助手席には》

《いつも違う女の子が
乗ってました》

《5年ほど前 ヨットで
足を痛めたって聞いたんですが》

《ああッ…》

《いえ 記憶にないですね》

ねえ 今度ジム来てよ
一緒にトレーニングしましょうよ

どうも いや でも…

俺 先帰る
おい!

5年前 和也さんが
足を痛めたホントの理由

話してもらえませんか?

和也さんが
車を運転しなくなったのも

それと
関係してるんじゃないですか?

もしかして
今回の和也さんの死とも

つながってるのかもしれない

お願いします 話してください

ぶつかったんです

深夜の路上で

彼の運転してた車が

飛び出してきた猫を
避けようとして

ガードレールに

助けを呼ぼうにも 深夜のことで

辺りに人影はないし

あいにく携帯電話も
ぶつかった衝撃で壊れてしまって

仕方なく 和也さん

痛めた足をひきずって
歩きだしたそうです

そのうち コンビニが見つかって

通報を受けた警官が
駆けつけてみると

壊れた車の近くに
女性ものの靴があったそうです

慌てて近くを捜してみると

道路脇の暗がりに

女の人が倒れてたそうで

どうやら 車が
ガードレールにぶつかったとき

巻き込まれたらしくて

病院に搬送される途中で

亡くなったと聞きました

結局 和也さんは
業務上過失致死で処分を受けて

女性の遺族には
相応の賠償金を払って

示談にしたそうです

それ以来 彼は
車を運転しなくなった

それから 間もなくして
彼の親父さんが急死して

恐らく事故の心労が原因だろって

みんなで噂したもんです

あくまでも噂ですが

もう いいですか?

ええ 兄の交通事故のことは
私も聞いてます

でも ほとんど ていうか

あまり私知らないんです

兄も話したがりませんでしたし

当時 私は父に勘当されていて

家にいなかったこと
お話ししませんでしたっけ?

被害者 どういう方かも
ご存じないんですか?

すいません 知りません

あの~ もういいでしょうか?

私 娘を保育園に
迎えにいかなきゃいけないんです

叔母さん 私 未玖のところに
行ってきます

後のこと お願いします

はい 行ってらっしゃい

気をつけてね!

あの~

和也の事故のことが
どうかしたんですか?

聞いてたんですか?

聞いてたんじゃありませんよ
聞こえたんです

ホントにね
あのときは 兄さんも 私も

どんなに驚いたことか

しかも
死んだ人まで出たって聞いて

かわいそうに 兄さん

持病の発作起こして
寝込んじゃった

あれからだわ

和也は 昔から ウチには
居つかない子だったけど

あれ以来
ますます寄り付かなくなって

それで あの東京のマンションに?

たぶん 事故のことを
知っている人間が

大勢いるところには
いたくなかったんでしょうけど

私 お線香あげに行きました

兄に頼まれて 世田谷まで

世田谷?

真山

どうだった?
ダメだな 近所の人の話じゃ

今 ご主人が入院中で

奥さんも夜にならないと
帰ってこないらしい

そっか

何でも 娘さんが
事故で亡くなってから

二人とも がっくり
気落ちしてたらしい

無理もないがな

自慢の娘さんだったようだ

新聞記者だった
お父さんに憧れて

自分も新聞社入って

そんときは 結婚も決まって
喜んでたって話だよ

新聞社?
なのに 事故に遭って

命落とすなんてさ

神様ってやつも よっぽど
幸せな人間が嫌いと見えるわ

新聞社…

《一応 筋通ってますね
その人 よく調べましたね》

《こんな田舎でしがないライターを
してるわりにはってことですか》

《実は以前 僕
東洋の記者をやってまして》

《東洋新聞?》
《体壊して辞めたんですが》

《気になるんですよ 特ダネ
追ってた頃の虫が騒ぐというか》

《じっとしていられないというか》

《本当は何があったのか》

《事件の真相が
やたら気になるんです》

もしかして
その新聞社 東洋新聞?

よく分かったな そうだよ

お前に頼みたいことある

何だ またか 俺は知らん!

ケチ 自分で調べるよ ケチ!

俺だって 忙しいんだからさ!

ケーチ
何だよ 調べって?

ケーチ
公証人ていうのはさ 暇だろ

弁護士は忙しいんだよ

何か忙しいな…

それじゃ お前
和也さんを殺した犯人は

誰か分かったっていうのか?

畑に薬を散布した人間と
同じ人物だよ

誰だ そりゃ
分かってんだろ?

問題は 証拠だ
証拠どうやってつかむか

それは 男か それとも…

ワイン…

ワイン?

そうか これも一つの事実実験か

おい おい!

たく やっぱりジムに通うか

はい あと1個と

はい どうじょ

ママ 絵本読んで

あとでね

こんばんは

志津加さん

待ってて

こんばんは

いらっしゃい

すいません 勝手に入ったりして

いえ こちらこそ
急に呼び出したりして すいません

これですか
珍しいワインていうのは?

そうです たまたま手に入ったので
よかったらと思って

先 テイスティングしてください

いいんですか? じゃ 遠慮なく

結構 複雑な香りですね

よく熟した
ベリーの香りがするかと思えば

ダージリンティーのような
香りもあって

うん 酸味が豊かで コクがある

そのくせ 飲み口がまろやかで
バランスが取れてますね

これは何杯でも
いけちゃいますね

今まで飲んだことあります?
いえ 初めてです

ホントですか
ええ

これだけのワインなら
一度飲んだら忘れませんよ

しかし どこで
手に入れたんです?

こんな おいしいワイン

あなたが よくご存知の場所ですよ

覚えてないですか?
スクーター ワイナリーに置いて

飲んだときの あのワイン

ほら これですよ

国際コンクール銀賞
ビオディナミワイン

もちろん いいワインほど

時間がたつにつれて
味が変わるっていいますから

飲んで分かんなかったとしても
無理ないですけどね

それは そうと

畑に薬を散布した犯人
見つかりそうですよ

どうやら犯人 ワイナリーの
納屋に管理してあった

古い薬を使ったらしくて

実は今日 翔太君
作業道具取りに納屋に入って

畑に残されたのと
同じ靴跡を見つけたんです

明日の朝一番で
警察の鑑識が来るそうです

それまで立ち入り禁止だって

もし髪の毛一本でも落ちてたら

DNA鑑定で 犯人が誰か
すぐ分かるでしょうね

その人物が誰か分かれば

和也さんを殺害した犯人と
同一人物っていう可能性もある

捜査に弾みがつくでしょうね

それは朗報ですね

じゃ 事件が解決すること願って
乾杯しましょう

(二人)乾杯

「今度は うずらちゃんが隠れます」

「もういいかい?」

「ま~だだよ」

「もういいかい?」

《足跡?》

《納屋の奥で見つけたんだ》

《明日の朝一番で
鑑識の人達が来るって》

《だから それまで
誰も入らないように鍵預かってて》

真山さん!

そうやって
誰かかばうつもりですか?

あなた 前にも嘘ついて
誰かかばいましたよね?

《兄がタンク室で亡くなった夜》

《近くにスクーターを
とめてた人がいたって》

《そのスクーターをとめた人が
兄を殺した犯人だって》

《でも 違います
新田さんじゃありません》

《あの人を疑うなんて
どうかしてます》

《この前の新月の日》

《私 新田さんに
ワインを勧めたんです》

《ダメダメ 今日僕
スクーターで来ちゃってるから》

《仕事も まだ残ってるし》

《だから 兄の死んだ夜》

《新田さんのスクーターが
ウチにあっても》

《ちっとも不思議じゃないんです》

しかし 彼 まだそのワイン

一度も飲んだことは
ないようでした

そりゃそうでしょう

あの日 彼はスクーターに乗って
まっすぐ自宅に帰り

夜になって
再びスクーターに乗って

ワイナリーを訪れ

ここにとめたんです

恐らく 和也さんと
会う約束でもあったんでしょう

それとも あなた

彼と共謀して和也さんを?

だから そうやって
証拠を消そうとしてるんですか?

≪(新田)それは違う!

新田さん!

彼女は何も知りません

全て僕一人でやったことです

畑に薬を散布したのも
あなたですか?

そのことを和也さんに悟られて

そうです

《許さないからな
絶対に許さない!》

《あんなやつ死ねばいい
殺してやる!》

《アンタ最低だよ!》

《おい》

《やったのアンタだろ?》

《見たんだよ 俺は》

《後で話がある》

《痛えな!》

《そこで何してる!?》

《何だ 翔太か
お前こそ何してる?》

《今度は このタンクに
薬を入れる気だ》

《はあ?》

《ハハッ ハハハハハッ…》

《しかし お前も何だって
こんなとこしがみついてんだか》

《それとも お前が
しがみついてんのは志津加か?》

《ほれてんだろ アイツに?》

《やめろよ!》

《和也さん?》

《大丈夫?》

《ハッハッハッハッ…》

《ハッハッハッ…》

《何だ いたのか》

《手貸せ》

《苦しいだろ!》

《美保子も そうやって
苦しみながら死んでいったんだ》

《お前のせいだ!》

あのとき あなたは
すぐに引き返すべきだった

引き返して
すぐに救急車呼んでれば

和也さん
死なずに済んだかもしれない

あなたも人殺しにならずに済んだ

でしょうね

美保子も きっと
すぐに救急車さえ呼んでいれば

助かったと思います

美保子さん

長谷川美保子さん

あなたの婚約者だった

5年前 和也さんが
引き起こした事故に

巻き込まれて亡くなった

やはり何もかも ご存じなんですね

そうです あの日 美保子は
この地方を取材中で

夜になって電話があったんです

《(携帯着信)》

《もしもし 美保子?》

《☎(美保子)今 取材が終わって
宿に戻るところ》

《ちょっと聞きたいことがあるの
宿についたら また電話する》

《11時までには 着くと思うから》

《ああ 何時でも待ってますよ》

《じゃあ 気をつけてね》

≪(新田)しかし いくら待っても
それっきり電話はなく

《(電話をかける)》

《(携帯着信)》

《(留守番電話)》

《(携帯着信)》

≪(新田)明け方近くに
ようやく連絡がありました

《もしもし 美保子?》

《警察?》

《事故!?》

警察の話では 運転手の証言と

警察に通報があった時刻から
逆算して

事故が起きたのは
深夜2時過ぎということでした

しかし 夜11時には
宿についてるはずの美保子が

深夜2時過ぎに 路上で
事故に巻き込まれたというのは

どう考えても おかしい!

何か裏があるに違いない

僕は自分が新聞記者だ
という立場を利用して

徹底的に真相を追いかけました

そして ようやく突き止めたんです

事故が起きたのは
深夜2時過ぎではなく もっと前

午後11時前後だったこと

加害者の星峰和也は その日

友達と一緒に 夜10時過ぎまで
酒を飲んでたことを

そして

せめてあと1時間早く
病院に搬送されていれば

美保子は死なずに済んだことを

≪(新田)要するに あの男は

自分の飲酒運転が
バレるのを恐れて

酔いをさますため
通報する時間を遅らせた

自分の罪が軽くなるよう

助かるはずの美保子を
みすみす見殺しにした!

あなた 新聞社を辞め
ワイナリーに近づき

そして和也さんを…
いけませんか!?

僕は賭けたんです

アイツの命を奪えるかどうか

そして 僕は勝った!

あんなやつ 生きてたって
誰も喜ばない

現に このワイナリーも
アイツを必要としていない

アイツなんか死んで当然なんだ
違いますか 真山さん

許せなかった 美保子から

夢や 希望や
人生の全てを奪っておきながら

自分だけ結婚して
幸せになろうとしてたアイツが

どうしても許せなかった!

あなた言いましたよね
ホントに何が起きたのか

事件の真相を知りたいって
私も同じ気持ちです

ですが 真相を探ることと
人を裁くことは まるで違う

あなたは 裁くのではなくて

つかんだ真相を
すぐに世間に公表すべきでした

そうすれば 世間は公正な裁きを
彼に要求したでしょう

それが新聞記者として
なすべき正義でしょう

それなのに あなた
せっかくつかんだ真相を

自分一人のものにした

理由は どうあれ
正義のペンを持つべき その手を

凶器に変えたんです

美保子さんは
新聞記者だった お父さんに憧れ

新聞社に入り あなたと出会い
愛し合うようになった

あなたの中に
真相を追い続ける

新聞記者の
まっすぐな魂を見たからだと

私 そう思います

警察はまだ
君のやったことは何も知らない

今ならまだ 自首が成立する

俺でよければ 同行しよう

新田さん!

どうか 兄のしたことを
許してください

どうか…

志津加さん…

言っておきますが

彼女は今回の件について
何の関係もありません

スクーターのことで嘘をついたのも
僕が頼んで…

違いますッ 私が勝手に…
志津加さん

いや 心配しなくてもね 彼女は
君が犯人とは知らなかったし

ただ勘違いしてただけなんだから
犯人隠匿罪にはあたらないよ

それにどうやら 証拠の足跡を
消そうとしたみたいだけども

なあ 真山 そんなものはじめから
ありゃしなかったんだろ?

翔太君に頼んで
俺がでっち上げた

そんなこったろうと思ったよ

コイツはね 真相を探るためなら
手段を選ばないところがある

悪い癖でね

真山さん…

じゃ 行こうか

お兄さんに手をかけて

僕の方こそ
申し訳ありませんでした

ええ ですから
年金のことでしたら

日本年金機構の方に
お尋ねください

ウチは役場といいましても
公証役場…

(時計の鐘)

たく~ 真山公証人は
どこ行ったんだか

あッ まだ星峰ワイナリーの
ブドウ畑の中だ

帰ってきそうもないな

いただきます

おいしい

(志津加)兄のしたことは 決して
許されることではないけれど

きっと後悔していたと思います

ワイナリーを売ろうとしたのも

飲酒が原因で 事故を起こした

罪の意識から
逃げたかったのかもしれません

でも私は

逃げません

どんなにつらくても
ここでワインを造り続けます

そして 一人でも多くの方に
幸せを味わってもらいます

楽しみにしてます

ありがとうございました

ママ!

は~い!

(志津加)美玖!

何してたの?
(聡子)お掃除

(志津加)お掃除してたの 偉いね

しかし まあ

畑の境界線も はっきりしたし

おかげで相続の手続きも
順調に進んでるよ

それにしてもお前

彼女がスクーターのことで
嘘ついてるって よく分かったな

最近分かんだよ

女心