罪火 中学校校長の傍ら犯罪被害者の支援活動もする町村理絵(名取裕子)。娘が殺害され、理絵自身が被害者に。容疑者が…
出典:EPGの番組情報
ザ・ミステリー『罪火』[字]
中学校校長の傍ら犯罪被害者の支援活動もする町村理絵(名取裕子)。娘が殺害され、理絵自身が被害者に。容疑者が殺害を否認していると聞いた理絵は、自ら真相を追うが…。
詳細情報
番組内容
町村理絵(名取裕子)は中学校の校長を務める傍ら、犯罪被害者を支援する活動に携わっていた。理絵の娘・花歩(美山加恋)も母の活動に関心を持ち、理絵の元教え子で中学生の時に人を殺めてしまった若宮忍(駿河太郎)のことを気にかけていた。若宮は被害者家族との対話を望むが叶わずにいた。そんな中、花歩は若宮にある告白をする。後日、花火大会で若い男と話す花歩を目撃した若宮は、裏切られたと思い、花歩を切りつけてしまう。
出演者
町村理絵…名取裕子
若宮忍…駿河太郎
原口ゆかり…黒川芽以
折橋完…大杉漣
八木沼忠志…山崎一
警察署長…不破万作
森岡雅博…斎藤歩
中村富雄…伊藤洋三郎
佐久間良二…清水優
町村花歩…美山加恋
原作脚本
【原作】大門剛明「罪火」(角川文庫・刊)
【脚本】吉田康弘
監督・演出
【監督】黒沢直輔ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
テキストマイニング結果
ワードクラウド

キーワード出現数ベスト20
- 花歩
- 若宮
- 若宮君
- 町村
- 佐久間
- 先生
- お母さん
- 加害者
- 修復的司法
- 犯人
- 謝罪
- 絶対
- 中村
- 本当
- 智人
- 被害者
- お願い
- 証拠
- 折橋
- 日記
解析用ソース(見逃した方はネタバレ注意)
解析用ソースを読めば、番組内容の簡易チェックくらいはできるかもしれませんが…、やはり番組の面白さは映像や音声がなければ味わえません。ためしに、人気の配信サービスで見逃し番組を探してみてはいかがでしょうか?
全て無料!民放各局の動画視聴ができるTVer(ティーバー)!まずはココから →
民放公式テレビポータル「TVer(ティーバー)」
他にも、無料お試し期間のある配信サービスがありますので、以下バナーなどからラインナップを調べてみるのもいいかもしれませんね。
(サイレン)
危ないですよ!
下がってください!
母さん! 放せ!
母さん! 母さん!
何やってるんだよ!!
放せよ!!
危ないぞ!
人が まだ中にいるんだよ!
放せって!
無理だよ! もう無理だって!
原口先生 大丈夫?
無理なら言って。
いえ… やります 町村先生。
< これから 犯罪の被害者と
加害者が話し合うことで
問題の解決を図る
修復的司法の一つ
VOMと呼ばれる試みが行われる>
お待たせしました。
(八木沼)どうも ご苦労さまです。
立ち会い弁護士の八木沼です。
さあ ここへ。
<彼女は もともと
私の中学校の教え子で
今は教師仲間でもある。
彼女のお父さんは 1年前
若者の無謀運転に巻き込まれて
亡くなった>
(ノック)
どうぞ。
<加害者の松本勇輝は
スピード違反で
警察に追われているときに
ゆかりの父親が運転する
牛乳配達のバイクに衝突した>
え… それでは これより
VOMを始めます。
まずは 被害者側の
原口ゆかりさんに…。
牛乳配達って 朝
何時に起きるか 知ってますか?
知ってますか?
4時… くらい?
2時半です。
父はいつも 私たちが寝てる間に
1人で出かけていきました。
私たちが起きるといけないから
そっと玄関の扉を閉めて。
父は 中学までしか出ていません。
特に趣味もなく 家族だけが
生きがいのような人でした。
私を私立の高校にやり
大学まで行かせてくれました。
そんな父を
あなたは… あなたは殺した。
不注意の事故だったなんて
絶対に認めない。
あなたがやったことは
殺人でしかない。
私は… 私は絶対に
あなたを許さないから!
ゆかりちゃん。
俺を殺してください!!
原口さんの気が
少しでも楽になるんだったら
俺を殺してください!
俺は… 取り返しの
つかないことをしてしまい…。
<被害者にとって
とんでもない悪人。
あるいは 化け物のように
思い込んでいた加害者も
実際 会ってみると
普通の人間だと理解できる。
VOMには そういう効果がある>
今から帰る。 何か買って帰るわ。
お寿司でいい?
はい… はい じゃあね。
お疲れさまでした。
私… よくわかんないです。
あの子を絶対に
許しちゃダメっていう気持ちと
許してもいいんじゃないか
っていう気持ちが 両方あって…。
うまく言えないけど
今は それでいいと思う。
もちろんね 対話が
成功したかどうかなんて
すぐに わかるもんじゃないの。
何年か経って…。
ひょっとしたら 10年 経って
初めて
わかることなのかもしれない。
VOMは特効薬じゃない… でしょ?
うん。 でも 少なくとも
ゆかりちゃんにとって
彼は化け物では
なくなったと思うの。
お母さんの苦労も報われたね。
うん。
でもさ 相手の謝罪が
本気だったかどうか
誰にもわかんないだろ?
演技だったら どうすんの?
アンタ 心が ひねくれてんのよ。
心が貧しいから
そんなふうに思うの。
ああ そうですか。
ねぇ お母さん。
うん?
若宮さんも うまくいくかな?
若宮君? う~ん…
彼の場合は立場が逆だから。
被害者家族の中村さん もう一度
説得してくれないかな?
若宮さんに会ってもらえるように。
うん… 少し 時間がかかるわね。
お願い。 もう一度だけ説得して。
そうね。
(智人)そりゃ無理だって。
20年以上前の殺人を
今さら許してくれって言われても。
だったら 犯罪加害者は一生
許されちゃいけないっていうの?
そんなこと言ってねえだろ ブス。
何よ ガキ!
はいはい もういいから。
食べなさい。 ほら 花歩。
全部 食べられちゃうわよ。
ハハハ。
<若宮忍は
今から20年前の中学時代に
ケンカで人を殺めた過去がある。
その頃 中学校で
教員をしていた私のクラスへ
少年院を出たばかりの彼が
やって来た>
若宮君?
担任の町村です。 よろしく
<内気な性格で 本当に
この子が そんなことを? と
不思議に思ったのを覚えている。
父親を亡くしており
母親も体を悪くしていたので
何かと目をかけ
花歩や智人とも
よく遊んでもらった>
(花歩)お母さん
ちょっといいかな。
どうぞ。
学校の読書感想文でね
修復的司法のこと書いたんだ。
そう。
市長賞に選ばれて
今度 冊子になるんだって。
へ~っ!
すごいじゃない。 楽しみね。
うん。
お母さん…。
うん?
若宮さんは
絶対 悪い人じゃないよ。
わかってる。
明日も早いんでしょ?
もう寝なさい。
うん おやすみ。
おやすみ。
1 2 3 4。
5 6 手足の運動。
1 2 3 4。
5 6 7 8。
1 2 3…。
若宮君 手が空いたらまわりの
フォローにまわってくれって
前に言ったよね?
わかりましたよ 工場長。
それと これも前から
言おうと思ってたんだけど
若宮君 朝
いつもギリギリに来るでしょ。
みんなで ラジオ体操やってるの
知ってるよね?
ラジオ体操は
自由参加のはずですけど。
大事なのは 積極性です。
積極的にお願いします。
このままじゃ
また殺人をするかもしれません。
(水元)また?
少し前に 自暴自棄になった男が
無差別殺人やったでしょ。
ええ ありましたね。
犯人の気持ちがわかるんです。
俺の中にも同じ思いがある。
もうどうなってもいい
ムチャクチャにしたい みたいな。
それこそ 今日
人の群れに 帰り
車で突っ込んでやろうかって。
そんな気持ちになるのは やはり
お母さんのことが原因ですか?
保険金で車いじれたんで
いいですけど。
なかなか 立ち直るのは
つらいと思いますが
とにかく 薬を変えてみましょう。
(ノック)
はい。
少し いいですか?
どうぞ。
何か?
加害者側と
書面で約束を交わしました。
そう。
毎月のお給料から 少しずつ
損害賠償金を支払ってもらって
定期的に事故現場にお花を
供えてもらうことになりました。
うん。
VOMをやって
よかったのかな って。
そう思ってます。
ありがとう。
花歩。
ごめんなさい。
これ 返そうと思って。
この本 すごくよかったです。
いつでもよかったのに。
それじゃ これで。
あのさ 今から ホタル見に行かね?
もう いないんじゃないかな…。
あ… あそこ!
見ちゃった。
(花歩)若宮さん…。
私 若宮さんに
言っておきたいことがあるんです。
ん 何?
私 若宮さんの…。
ただいま。
(智人)おかえり。
遅かったわね。
どこか行ってたの?
(花歩)図書館へ寄ってた ごめん。
ふ~ん ならいいけど。
(泣き声)
若宮 色物は 昇温40で止めろって
何度も言ったよね。
すみません 工場長に言われて
別の仕事してたもんですから。
あのさ
優先事項って言葉 わかるよね。
前にも言ったでしょ。
ちょっとは進歩してくれないと。
頼むよ ホント。
あれあれあれ 返事は?
どうしちゃった?
ん?
おい やめろ やめろ…。
何するんだ! 熱… ちょっと。
おい ちょ… やめろ!
死ね!
岸本さん 大丈夫ですか?
大丈夫ですか?
あ~ クソッ!
うわぁ~!
はい よし。
私より似合うわ。
袖もピッタリ。
うん。
あ~ 大人になったわね。
泣かないでよ。
バカ。
帰り あんまり遅くならないでね。
絶対混むから はい。
お母さん。
ん?
ううん なんでもない。
いってきます。
はい いってらっしゃい。
ありがとう。
ごめんなさい。
(泣き声)
ウフフフッ…。
(佐久間)かき氷食うか?
(花歩)はい。
(佐久間)買って来るから
ちょっと待ってて。
何やってんだよ。
若宮さん。
アイツ 誰だよ。
違うんです。
ちょっと来い。
なんでだよ 俺を裏切ったのかよ!
誤解です。 裏切るだなんて。
蛍狩りの日に お前が
言ったことは 何だったんだ!
私… 行きますね。
待てっつってんだろ!
うわぁ~!
(読経)
(読経)
花歩… 何してるの?
ねぇ 起きて… 起きなさい。
起きて~! 起きて 起きてよ!
花歩 起きてよ!
母さん…。
理絵さん!
起きて!
放して 放して…。
そばに そばにいさせて 放して!
何すんだよ。
どうしたんですか?
コイツは 週刊誌の記者だよ。
すみません。
あっ。
先生方
もうご存じとは思いますが
花火大会の日に 私の娘が
何者かに殺されました。
娘の花歩は 産まれたときは
870グラムしかない未熟児で
両手で持ち上げると
手の平に隠れるくらい小さくて
それでも よく成長してくれて
お祭りの日は
私の浴衣を着せたのですが
よく似合って… 優しくて
思いやりのある子でした。
かけがえのない娘でした。
犯人は まだ捕まっていません。
まだ このあたりに
潜んでいるかもしれません。
不審者の情報など
必ず 報告してください。
そして 絶対に 我が校の
生徒たちを守ってください。
お願いします。
署長が不在で 申し訳ありません。
本件担当の森岡と申します。
警察は 何か掴んでるんですか?
どうぞ。
まあ この件の犯人逮捕は
そう時間はかからないと思います。
どうして?
すでにマークしてるヤツがおりまして
証拠も
たくさん残されているんです。
証拠?
体液です。
体液…。
男の汗や 唾液
あと精液も検出されました。
それって…。
これは 少し言いにくいんですが
花歩さんは
乱暴されていたようです。
来た!
(クラクション)
町村さん!
町村さん!
ちょっとお願いします。
町村さん!
ひと言お願いします。
町村さん!
町村さん。
町村さんは 以前から修復的司法に
携わっておられますが
このような状況になっても
被害者と加害者はわかりあえる
そうお考えですか?
町村さん ひと言お願いします。
町村さん お答えください。
修復的司法は手段の一つです。
正解も 不正解もないと思います。
町村さん自身は
どうされるんですか?
娘さんの死を
どう受け止められますか?
町村さん!
町村花歩さんの死は…。
< それは 『二人のために』という
ノンフィクションを読んだ感想文だった。
著者の 折橋完は
十数年前に 2人の我が子を
通り魔に殺された
被害者家族だった。
犯人に死刑判決が下ったが
折橋は 死刑を望まなかった。
折橋は 慈悲深い聖人君子なのか?
そうではない 最初は法廷で
絶対 俺が殺してやると喚いて
退廷させられていた。
そんな 普通の人だった折橋が
犯人の更生していく姿を見て
ゆっくりと
罪を許していく様子に
花歩は 深い感銘を受けていた>
(花歩)「死刑を受け入れた犯人が
涙で声を詰まらせながら
謝罪するシーンが
頭に焼きついて離れません。
私の母は 犯罪被害者と
加害者が直接会って
解決の道を探す 修復的司法の
ボランティアをしていますが
折橋さんがされたのは まさに
修復的司法だったと思います。
被害者と加害者がわかりあえる日。
それは 遠い日かもしれません。
だけど いつか必ず訪れる
私は そう信じています」。
こんな優しい子… どうして…。
(泣き声)
(玄関チャイム)
町村花歩さんのお葬式で
このハンカチを。
あのときは
ありがとうございました。
あっ いいえ。
あの 私 町村先生と同じ学校で
教員をしてるんですが
若宮さんのこと伺いまして。
はぁ…。
若宮さんも
教員免許を持っていて
教師を目指してるって聞きました。
あの… もしよかったら
この塾で講師やってみませんか?
私が
去年まで働いてた塾なんです。
いつか 必ず訪れる
私は そう信じています。
ただいま。
読書感想文に
そう記した 町村花歩さん…。
彼女の読書感想文と
この死は…。
ご飯にしよう! 今日は唐揚げ。
ハンバーグにする? どっちもできるの。
うぜぇんだよ!
無理に 明るく振る舞うな!
泣くなよ ずるいぞ。
ごめんね ごめんね ごめんね。
母さん 支えてあげられなくて
ごめん。
いってきます。
はい いってらっしゃい。
おっ 智人 どっか行くのか?
うん。
気をつけてね。 どうぞ。
心療内科に薬もらいに。
自律神経をやられたみたいで…。
どうぞ 上がって。
市長賞も納得ですね。
よく書けてます。
ありがとう。
「作品に寄せて」に
書かれてるとおり
花歩の行動力と 考える力が
よく伝わってくる文章です。
佐久間先生 担任の先生よ。
どうぞ。
本当に なんて言ったらいいか…。
今まで 修復的司法だのなんだの
っていって 活動してきたけど
いざ 当事者になると
全然 違うの。
私は 許すことなんてできない。
もし 犯人が目の前にいたら
殺してやりたい。
今すぐ この手で殺してやりたい。
ごめん
若宮君に言う話じゃないわね。
そんなことないです。
お気持ち よくわかります。
聞いてもらって すっきりした。
しっかりしなきゃ。
いつまでも
みんなに甘えてられないし。
トイレ借りてもいいですか?
どうぞ。
~
(花歩)「若宮さんに
蛍狩りに誘われた。
突然のことでビックリしたけど
思い切って 行ってよかった。
季節外れの蛍を見て
私は決心した。
ずっと言えなかった思いを
打ち明けよう」。
(花歩)「明日は いよいよ花火大会。
お母さんの浴衣を
着せてもらって出かけよう。
本当は みんなと楽しみたいけど
私の中にあるのは
若宮さんへの思いだけ。
私の思いが本当だと証明したい。
若宮さん 待っててね」。
嘘だろ…。
俺を裏切ったのか?
誤解です! 裏切るだなんて!
~
(高橋)最後に実力テストです。
とは言っても簡単な筆記試験です。
合否に関しましては
後日 電話で連絡します。
よろしくお願いします。
あっ…。
あ…。
塾長から電話あって。
いい人紹介してくれて
ありがとうって。
嬉しくなって 来ちゃいました。
きっと採用ですよ。
原口さんのおかげです。
いえ 私は別に…。
そうだ 今度お礼に
ご飯でもごちそうさせてください。
ホントですか?
あ でも
給料日の後だと助かります。
(エンジン音)
若宮忍さんだね?
そうですけど。
警察だ。
花火大会の晩に
殺人があったのは知ってるね?
はい。
少し 話聞きたいんだけど。
いいですよ。
本日 午後1時頃 町村花歩さんを
殺害した犯人が捕まりました。
逮捕されました。
犯人は まもなく
こちらの警察署に
身柄を移される予定です。
あ 来ました! たった今
犯人を乗せた車が入ってきました。
何か遺族に
言いたいことはありませんか?
答えてください!
まさに 世界一有名な
感想文になりました。
感想文のあとに書かれた
「作品に寄せて」。
これを書いた花歩さんの担任
佐久間良二こそ
事件の犯人だったのです。
生徒を守り
導くべき担任教師が…。
(玄関チャイム)
物証がいくつも残っていたので
もっと あっさりいくと
思っていたんですが
ここまで時間が
かかってしまいました。
あの日 花歩さんは 多くの人に
目撃されておりましたが
一緒にいた若い男というのに
二通りの証言がありまして…。
赤い服を着た男だった
というのと
黒い服を着た男だった
という証言です。
おそらく後者は
佐久間だと思われます。
前者の 赤い服を着たほうの
男のほうは
重要参考人として
取り調べたんですが
結局 決定的な
証拠が出てきまして。
決定的な証拠?
ご遺体に残されていた
唾液や精液が
佐久間のものと
完全に一致したんです。
こんなことは 慰めには
ならないと思うんですが
花歩さんは 亡くなってから
姦淫されていることが
わかりました。
そうですか…。
コスモス… どうしてこんなところに。
ああ ここは ご遺体が
発見された場所ですね。
では 我々はこれで。
母さん 佐久間を殺せよ。
いや 俺が殺してやる。
智人 あなた…。
冗談だよ。
そうか この公式を
使えばいいんだ!
お前の得意な歴史と一緒だよ。
数学だって暗記なんだ。
パターンを覚えりゃ怖くない。
先生 質問です。
はい! 先生。
(一同)先生!
塾長 言ってましたよ。
若宮さんの授業
すっごい評判だって。
個性に合わせた指導っつっても
成績が上がんなきゃ
生徒も親もついてこないからさ。
まぁ 大手には負けない
って気持ちでやってるよ。
向いてるんですね 教えることが。
ホントに キミには感謝してる。
そんな… いいんです 私なんか。
また 会ってもらえますか?
佐久間が殺害を否認した…
嘘でしょ? だって証拠が!
いや 否認しているのは
殺人の部分だけです。
姦淫したことは
しっかりと認めています。
どういうことですか?
あの日 佐久間は
花歩さんと一緒にいたが
途中で はぐれてしまい
神社で発見したときには
すでに亡くなっていた。
驚いたことに
佐久間は遺体を見て
強烈な情欲を催し
姦淫してしまった。
殺した人間は
別にいるっていうんですか?
まぁ 佐久間の主張だと
そうなりますね。
そんなの苦し紛れの言い訳に
決まってるでしょ!
いや 私もそう思うんです。
そう思うんですが…。
ただ 警察が徹底的に
探したにもかかわらず
凶器は いまだに
発見されていません。
あっ 野村君 ちょっとお茶。
もう この話は
もう よしましょう。
今日 お呼び立てしたのは
若宮忍さんの件なんです。
若宮君の?
えぇ。
彼は以前から
VOMを希望していましたよね?
えぇ。
だけど 被害者の中村さんが
取り合ってくれずに…。
えぇ。 実は先週 私も中村さんに
もう一度
考え直してもらえないかと
手紙を出したんですよ。
そうなんですか。
あっ 勝手なことして すみません。
実は 花歩さんと約束しまして。
花歩と約束?
はい。
もう一度 中村さんを
説得してみてくださいって
強く頼まれました。
どうして?
お母さんは もう諦めてる
みたいだからって。
私もね わかりましたって
言っておきながら
ずっと放っといたんで
花歩さんに悪いと思いまして
ようやく先週 筆をとりました。
返事は?
まだ見てません。
どうぞ。
正直 ホッとしました。
私は今 修復的司法に
疑問をもってます。
被害者と加害者がわかり合うのに
どんな意味があるのか。
少なくとも私は
犯人を許すなんてできない。
絶対にできない。
花歩は どうして そんなに
こだわったのかしら。
いや そこなんですよ。
確かに花歩さんは
修復的司法に一生懸命でした。
でも あれくらいの年の子が
社会的正義心だけで
ああも熱心になりますかね。
どういうことでしょう?
別の理由が
あったんじゃないかと…。
別の理由?
たとえば 愛情です。
好きな人のために一生懸命やる。
これなら よくわかるんですよ。
まさか…。
若宮さんは
絶対に悪い人じゃないよ
<花歩は小学校5年の頃から
日記をつけていた>
今年の分だけがない。
<折橋完 『二人のために』の著者>
(折橋)「拝復 お手紙ありがとう。
君からの手紙を読んで
すごく驚いています」。
<花歩は手紙で 折橋に
1人の犯罪加害者をどうやって
救えばいいか相談したらしい。
折橋は誠実に
自分の意見をのべていたが
当然 答えのない問いだった。
犯罪加害者とは
若宮忍のことに違いない>
あっ 町村さん… 森岡です。
お忙しいところ すみません。
どうしても一点だけ
お伺いしたいことがあって。
なんでしょう?
容疑者は2人いるって
言ってましたよね?
1人は当然
佐久間なんですけど
もう一人は誰だったんでしょう?
それは ちょっと…。
お願いします。
絶対 口外しませんから。
いや そう言われましてもね…。
だったら こうしてください。
今から私が名前を言いますから
合ってたら
電話を切ってください。
いや 困りましたね…。
言いますよ。 若宮忍。
(通話が切れる音)
《若宮君 あなたが花歩を?》
まずい?
こんなうまい肉じゃが初めてだよ。
よかった。
どうかしました?
幸せすぎて怖いんだ。
俺 ゆかりに話さなきゃ
いけないことがある。
何?
俺 人殺しなんだ。
知ってます。
町村先生から聞きました。
中学時代に 人を
死なせてしまったんですよね。
いや そうじゃなくて…。
忍さん。
私は
父を少年に殺されてるんです。
ずっと その少年を
憎んできました。
だから 少し前に
忍さんと会ってたら
偏見の目を
向けてたかもしれません。
でも VOMで少年の本音を聞いて
人は変われるのかもしれない
って思ったんです。
何が言いたいのかって
言いますと
私は 忍さんの更生を信じてるし
過去の過ちも全部踏まえて
忍さんと一緒にいたい
ってことです。
ゆかり…。
私 忍さんのこと好きです。
若宮君。
どうして そんなところに花を?
前に来たときに
ここに花が置いてあったのを見て。
みんな 上に置いていくわよ。
そうなんですか。
月命日には毎月来てくれてたの?
いや
そういうわけじゃないですけど。
月日が経つのは早いわね。
私 今年度かぎりで
教師の職を辞めることにしたの。
えっ?
春からは 相談員という仕事を
始めるつもりよ。
結構 自由がきくから
やりたいことやろうと思って。
何をされるおつもりですか?
花歩の事件の再調査よ。
若宮君… 真犯人は いると思う?
先生。
佐久間の言うことを信じて?
わからないわ。
でも もし真犯人が別にいたら
絶対に許さない。
この命
燃え尽きるまで追い詰めて
必ず捕まえてやる。
そのつもりよ。
さよなら。
さよなら。
はじめまして 折橋完といいます。
町村です。
お忙しいなか
お時間作っていただいて
ありがとうございます。
あ いえ。
どうぞ。
いつか
お渡ししようと思ったんですが
機会がなくて申し訳ない。
花歩さんからのお手紙です。
あとで 読ませてもらいます。
僕は構いませんよ。
今読むと 立てなくなりそうで。
お待たせいたしました。
こんなことを聞くのは
失礼ですが
修復的司法について
今も有効だと
信じておられますか?
被害者が生きていたり
加害者に
殺意がなかった場合には
可能性のひとつとして
有効かもしれません。
でも 私のように
実際に娘を殺された場合は
どうなんでしょうか?
私も2人 娘を殺されています。
人間が人間を恨む気持ちの
極限までいきました。
そうでしたわね。
被害者の苦しみは
年月では癒やされない。
これも事実ですが
時間が人を変える。
これも事実です。
現実に 更生した人を前にすると
何も言えなくなる。
それが 人間なんです。
だけど 本当に更生したかどうかは
他人にはわからない。
町村さんは
佐久間良二と会うおつもりは?
そんなこと…
考えたこともありません。
拘置所に行けば 会えますよ。
あなたがされた究極の修復的司法
というわけですか。
そんな大げさなことじゃない。
それじゃ 失礼します。
(花歩)「拝啓
初めてお手紙差し上げます。
『二人のために』を読んで
大変感銘を受けました。
決して相手を許したわけではない
というお言葉が印象的で
折橋さんの苦しみが
よく伝わってきました。
ただ
このたびお手紙差し上げたのは
著書への感想を
書くためではありません。
罪の意識に悩む加害者に
どうすれば贖罪が可能なのかを
教えていただきたいのです。
私の知っている人に
若宮忍さんという男性がいます。
若宮さんは 日々痛々しいほど
苦しんでおられます。
もちろん 加害者は被害者のため
一生かけて償うことは
当然でしょう。
罪火が消えることは
決してないと思います。
私は 若宮さんの苦しみを
少しでも
取り除いてあげたいのです」。
(ゆかり)町村先生!
すみません お待たせしちゃって。
新しいクラスはどう?
大変です。 なかなか
言うこと聞いてくれなくて。
焦らないで じっくりでいいのよ。
はい。
今日は ゆかりちゃんに
聞きたいことがあって。
なんですか?
去年 VOM受けたでしょう?
あれから どう?
あの少年のことを許せた?
許せるってレベルまで
いったかどうか
わからないです。
でも 供花や賠償金の
責務は果たしてるし
信じてみたいなって。
もし20年後 あの少年が
殺人を犯したら どう思う?
え?
そんなこと考えたことないです。
そうよね。
どうかしました?
私 花歩の事件の真犯人は
別にいるんじゃないかって
思ってる。
えっ?
花歩の日記帳が
1冊だけ見当たらないのよ。
あの子 小学校5年のときから
ずっと日記をつけてて。
その最新の1冊が
どこ探しても見つからないの。
おかしいと思わない?
誰かが盗み出したって
ことですか?
きっと犯人にとって
都合の悪いことが
書かれてたんじゃないかしら?
確かにおかしいですね。
ところで 旦那さんはお元気?
まだ そんなんじゃないですよ。
まだってことは 近い将来
結婚の可能性も
あるってことかしら?
からかわないでくださいよ。
中村さん お客さんですよ。
こちらです。
はい。
アンタ…。
突然の訪問 申し訳ございません!
どうしても 謝罪の言葉を
聞いてもらいたいんです。
帰ってくれ。 迷惑だ。
気が済むなら 殴るなり蹴るなり
好きにしてください!
帰れって言ってるだろ!
お前の謝罪は
自分が許されたいだけだ。
楽になりたい それだけだ。
そんな謝罪はしてほしくない!
これがあれば ドアが開けられる。
<私は 自分が怖い。
花歩の日記は 若宮の家の
どこかにあるかもしれない。
そう考えたときから
自分を止められなかった>
~
(パトカーのサイレン)
~
あっ 町村先生!
何してるんですか!?
私は若宮君を疑ってる。
それは 忍さんが花歩ちゃんを
殺したってことですか?
彼は 花歩が死んだ場所に
花を供えていた。
関係者しか知らないはずの場所に。
それだけで?
花歩の日記を盗めるのは
限られた人だけなの!
それに花歩は 若宮君のことが
好きだったみたい。
あの2人には 私たちが知らない
何かがあったのよ。
私は それを突き止めたい!
若宮君は 私の教え子なのよ。
それが 大人になって
私の娘を殺すなんて…。
そんなこと…
そんなこと考えられない。
そんなこと絶対に考えられない。
だから私の考えを
否定してもらいたいの!
ゆかりちゃん 協力して。
協力? どういうことですか?
この家のどこかに
花歩の日記帳があるかもしれない。
私に探せっていうんですか?
彼の身の潔白を信じるのなら
日記を探し出して
それを証明して!
そんなことできません!
ゆかりちゃん!
先生 今日のことは
誰にも言いません。
だから黙って帰ってください。
私は…。
わかります!
私だって 父を殺されてるんです。
先生の立場だったら
同じことをしてたかもしれません。
もう少し考えさせてください。
「佐久間容疑者 無期懲役」…。
うわぁ~!
(若宮)ただいま。
おかえり。
おっ 今日はハンバーグか。
うん。
(若宮)レトルト…。
佐久間の判決 無期懲役だってな。
らしいね。
実は あの事件
俺も容疑者の1人だったんだ。
目撃証言の男に
似てるって言われて。
そうなの?
たぶん 俺の過去のこともあって
警察に
目ぇつけられてたんだと思う。
まあ 慣れっこだけど。
母さんが火事で死んだときも
保険金詐欺で疑われたし。
町村先生 佐久間の言うこと信じて
真犯人を追ってるらしいな。
先生が? 知らなかった。
俺も なんか
手伝えることないかな?
手伝うって?
先生には世話になったしさ
納得できるまで
やらせてあげたいんだ。
そっか。
最初に聞いておきます。
あなたは
花歩を陵辱したんですね?
そうです。 僕がやりました。
すみません。
花火大会の日
あなたは花歩と一緒にいたの?
偶然見かけて 声をかけました。
何を話したの?
花歩さんの知っている
犯罪加害者の方について
話しました。
花歩さんは思い詰めてました。
だから僕は 今日は祭りを
楽しもうよって言ったんです。
花歩さんは
笑い返してくれました。
それで かき氷を買いに行った間に
いなくなったんです。
誰か怪しい男を見なかった?
赤い服の男と
すれ違ったのを覚えています。
何歳くらいの? どんな顔だった?
そこまでは…。
あなた 花歩を殺したの?
殺してません 本当です。
本当に殺してないの?
本当なんです!
僕は花歩さんを殺してない。
本当なんです! 信じてください!
お願いです! 信じてください!
僕は やってない!
あっ お待たせしてごめんなさい。
さあ 中へ。
実は 先週の火曜日に
持ち出したんですけど
今まで どうするべきか
迷ってました。
ありがとう…
ありがとう ゆかりちゃん。
中 見た?
そう。
やっぱり。
(花歩)「季節外れの蛍を見て
私は決心した。
ずっと言えなかった思いを
打ち明けよう。
私は若宮さんに愛を告白した」。
「明日は いよいよ花火大会。
お母さんの浴衣を
着せてもらって出かけよう。
本当は みんなと楽しみたいけど
私の中にあるのは
若宮さんへの思いだけ。
私の思いが本当だと証明したい。
若宮さん 待っててね。
明日は 神部神社に行くつもり。
後悔はしない」。
嘘…。
この日記帳を持ち出したことを
若宮君には?
同じ日記帳を買って
同じ場所に戻しておきました。
中身を見なければ
大丈夫だと思います。
もし見つかったら…。
若宮は 逮捕できるんですか?
これでは無理です。
まだ決定的な証拠とまでは
言えません。
どうして!? ここに
明日 神部神社に行くって
ちゃんと
書いてあるじゃないですか!
もちろん重要な証拠であることは
間違いありません。
花歩さんの首を切り裂いた凶器
それは まだ発見されてませんが
それが ほぼ間違いなく
マイナスドライバーであるということまでは
わかってるんです。
そこまでわかってるんですか?
実は あの日の証言に
若い男が 子供の風船を割って
逃げたというのがあるんです。
それがどうも ドライバーのような
ものだったというんです。
その男が若宮?
あの日 若宮は
工場で問題を起こしてます。
マイナスドライバーを盗んで
カードリーダーに突き刺してるんです。
若宮は そのドライバーを
どうしたんでしょう?
工場敷地内に捨てたと
言ってますが
もちろん 探しても出てきません。
マイナスドライバーですね。 わかりました。
くれぐれも
無理はしないでね ゆかりちゃん。
大丈夫です。
~
どうした?
お線香あげようと思って。
そう ありがとう。
花火大会 一緒に行けそう?
うん 大丈夫だと思う。
はい 町村です。
八木沼です。
嬉しい知らせですよ。
なんです? 声 弾ませて。
先ほど 中村富雄さんから
若宮忍に会ってもいいと
連絡があったんですよ。
どうして?
実はですね 若宮さんは先月
独断で中村さんの職場に
会いに行ったそうなんです。
若宮君が?
ええ 土下座して
謝罪したそうなんですが
中村さんは突然のことで
突っぱねたそうなんです。
ただ ひと月考えて
もう一度 会ってみる気に
なったというんです。
きっと若宮さんの誠意が
伝わったんでしょうね。
嘘偽りのない謝罪が
中村さんの心を
動かしたんだと思います。
あれ?
町村先生 聞いてますか?
聞いてます。
ああ 日程に関しては
これからつめますんで。
取り急ぎ 報告でした。
では 失礼します。
謝罪? 罪を… 過ちを謝罪した?
花歩を殺した彼が…。
まさか…。
これは…。
間違えてる。
(パトカーのサイレン)
ああ 町村さん 今ちょうど
若宮の自宅に
捜索をかけているとこです。
えっ 殺人容疑で
逮捕令状がとれたんですか?
いや 殺人未遂容疑です。
去年 若宮が勤め先の工場で
上司と揉め事を起こしてまして
それを立件したんです。
凶器を見つけしだい
逮捕する予定です。
別件逮捕ですか?
いや こっちも必死なんですよ。
森岡さん 私 これから
若宮君と会います。
えっ!?
どうしても
私は 若宮君と
向き合わなければならないんです。
あっ いや それは危険です。
どこで会うんですか!?
花歩と同じ場所で。
先生。
ゆかり。
私 仏壇から花歩ちゃんの日記帳
持ち出したんです。
日記帳?
どうして あんなところに
花歩ちゃんの日記帳が
あったのか 説明できますか?
さぁ? 花歩が
置いてったのかもしれないな。
もっと 早く気づくべきだったわ。
花歩は何度も
あなたの家に通っていた。
あなたのお母さんが
寝たきりになってからは
介護のために。
先生 何が言いたいんですか?
若宮君 私に
これ以上 言わせる気?
(森岡)町村さん!
町村さん!
ケガはないですか?
大丈夫です。
刑事さんも揃ったことですし
はっきりさせましょうよ。
そのつもりよ。
殺したのは佐久間でしょ。
遺体に体液も残されていて
姦淫した事実も認めてる。
俺は アイツが許せないんです!
アイツはクズだ ホントに ひでぇヤツだ!
ひどいのは お前だ!
若宮… 花歩さんを
殺したのは お前だな。
だったら 証拠 持ってこいよ!
クソ刑事が!
証拠はあんのかって聞いてんだよ。
あるんだったら
出してみろよ この野郎!
凶器のマイナスドライバーが見つかった。
さっき発見されたんだ。
お前の自宅で。
血痕と指紋が べったり残ってた。
今 鑑識に回してるところだ。
ゆかり テメエ 裏切ったな。
このクソったれが。
観念しろ!
ああ そうだよ!
俺がやったんだよ!
俺が ぶっ殺してやったんだよ!
お前ら 出てきたら
殺してやるからな!
わかった! 恨み節は
署でたっぷり聞いてやる!
待ってください 森岡さん。
どうしました?
あと少しだけ
若宮君と話をさせてください。
それは かまいませんが。
消えろよ 偽善者。
何すんだ!
放せ! 放せって!
アンタは俺が更生したと
思ってたみたいだが
とんだ見当違いだよ。
俺は中学の殺人も
ちっとも反省してねえし
花歩のことだって
なんとも思ってねえんだ。
だったら どうして
花を供えてくれたの?
花歩の好きだった コスモスの花を。
知るかよ!
あなた 中村さんに
謝りに行ったそうね。
中村さんから電話があったわ。
あなたの謝罪を受け入れたいって。
だから 何なんだよ!
この期に及んで修復的司法か?
残念だが 俺は悪なんだよ。
生まれついての悪なんだ!
若宮君 私 もうわかってるの。
お芝居は よして。
えっ!?
あなたは贖罪のために
必要以上に悪に見せかけてる。
それは 自首ではなく
逮捕されたいからでしょ?
バカじゃねえか?
だったら どうして
わざわざ ドライバーを
見つかるように
家の中に戻したりしたの?
花歩の日記も わざと
ゆかりちゃんに見つかるように
仕向けた。
中身を書き換えて。
先生 どういうことですか?
しかし 筆跡は確かに
花歩さんのものだと。
書き換えたのは 数文字です。
でも たった数文字で
まったく
意味の違うものにしてしまった。
この事件の真相を隠すために。
真相?
若宮君が 花歩を殺した動機を。
(ゆかり)動機って何なんですか?
若宮君が花歩を殺したのは
花歩にお母さんを殺されたから。
そうよね? 若宮君。
そんな… お母さんは
たしか火事で…。
町村さん 説明してください。
日記の 神部神社と
書かれたところが
どこか窮屈で…。
警察署という文字が
消された跡があった。
蛍狩りの日も
罪という文字が
愛という文字に
書き換えられていた。
あの日 花歩が告白したのは
愛ではなく罪だった。
罪?
若宮君 全部 話してちょうだい。
あの火事の日
寝たきりのはずの母が
火の不始末をするなんて
ありえなかった。
誰かの放火だって
警察に話したけど
受け入れてもらえず
逆に自分が保険金詐欺を疑われて
心が病んだ。
それで 蛍狩りの日
花歩に罪を告白されたのね。
あの火事の日
花歩は 母の看病に
来てくれてました。
じゃあ 私
洗濯物 取り込んでくるね。
ありがとう
そのとき 誤って仏壇のろうそくを
倒してしまい…。
助けて… 助けて。
熱い!
花歩:若宮さんに
言っておきたいことがあるんです。
私 若宮さんの…。
若宮さんのお母さんを
殺してしまったんです
(若宮)季節はずれの蛍を
見つけた日
花歩は
どんな罰でも受けますと言った。
俺は 自首すると言った
花歩の言葉を 信じたいと思った。
でも 花火大会の日
楽しそうに
男とたわむれてる姿を見て
怒りが湧きあがった。
ちょっと来い!
母さんを殺した謝罪は
嘘だったのか!?
(若宮)俺を裏切ったのかって…。
(若宮)お前と俺は 同じ人間だ。
(若宮)気がついたら
ドライバーが首をかすめていた。
日記を見て 裏切りは
俺の誤解だと知りました。
あの日 花歩は
自首するつもりだったんです。
ゆかりに
愛されれば愛されるほど
罪の意識が大きくなって
初めて 中村弘志に
すまないと思った。
遺族の方に
心から謝りたいと思った。
でも それが
自分の独りよがりだと
思い知らされたんです。
だから 悪になろうって
決心したんです。
どうしようもない悪になって
すべての人から嫌われる。
そうすることが
せめてもの罪滅ぼしになるって。
~
花歩が 折橋さんに宛てた
手紙の中に書いてあった
人を殺した加害者というのは
若宮君のことではなく
あの子自身のことだったのね。
手紙の中で あの子
「ざいか」という文字を
罪の過ちではなく
罪の火と書いてあった。
罪の火に焼かれていたのは
あの子自身だったのよ。
(泣き声)
(花火の音)
死ね!
智人…。
おい 何やってんだ!
ごめんな 智人…。
謝って済む問題じゃねえ!
忍さん!
智人 やめなさい やめなさい!
忍さん!
智人…。
至急 至急 県警本部。
忍さん。
う…。
おい しっかりしろ。
刑事さん これは自殺ですから。
うぅ!
やめて!
(森岡)バカな真似はやめろ!
(ゆかり)やめて 忍さん!
智人!
これ 自殺だからよ。
やめて!
お願い もうしゃべらないで!
先生…。
俺が教師になりたかったのは…。
先生に憧れたからです。
(救急車のサイレン)
どうですか?
たいした体力だ。
持ちこたえましたよ。
ありがとうございます。
よかった… よかった。
よかったです…。
母さん 僕…。
待ってるからね。
母さん あなたが帰ってくる日
待ってるから。 ね。
僕がやりました。
行くぞ。
《花歩
お母さん 約束守るからね》
中村さん お客さんですよ。
あなたは…。
少し お時間いただけますか?
そうですか。
事件のことは 新聞やテレビで
知ってはいましたが。
それで
改めてお願いなんですが
若宮君を
待ってあげてもらえませんか?
しかし…。
いつになるか わかりません。
きっと長い時間かかると
思います。
でも いつの日か
彼は 罪を償って戻ってきます。
そのときに もう一度
会っていただけないでしょうか?
お願いします。
わかりました
待ちましょう。
あなたとともに。
ありがとうございます。
<被害者と加害者が
わかり合うのは
容易なことではない。
私は今 身をもって
それを実感している。
だけど いつか… いつか
この苦しみから
解き放たれる日が来ることを
信じたい>