[字]ミステリー・セレクション・十津川警部シリーズ42「九州ひなの国殺人ルート」…のネタバレ解析まとめ

出典:EPGの番組情報

[字]ミステリー・セレクション・十津川警部シリーズ42「九州ひなの国殺人ルート」

イブが死んだ夜、殺害された女性の刺青と残された雛人形の謎~小京都・水郷の町、九州・日田にかくされていた悲劇の愛!過去最大の難問!!

詳細情報
出演者
渡瀬恒彦、伊東四朗、田中麗奈、藤谷美紀、堤大二郎、西岡徳馬、的場浩司、小野武彦、原田佳奈、RIKIYA、木村理恵、山村紅葉、中西良太、猪野学ほか
番組内容
東京でイヴという名のコールガールが殺された。事件の真相を探るため、十津川と亀井はイヴの故郷と思われる大分県の日田市へ。イヴが大物政治家の娘ではないかとの情報を得るが、警察への何者かからの圧力があり捜査は難航。イヴとは一体誰なのか?その上その政治家の近辺を探っていたフリーライターが行方不明に。イヴの部屋に残っていた一体の雛人形が手がかりとなり十津川は次第に事件の真相に近づいていく。
原作・脚本
【原作】西村京太郎「イヴが死んだ夜」(集英社刊)
【脚本】安本莞二
監督・演出
【監督】池澤辰也
制作
2009年

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

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キーワード出現数ベスト20

  1. 咲子
  2. イヴ
  3. 史郎
  4. 警部
  5. 梅木
  6. 日田
  7. 十津川
  8. 首尾木大造
  9. 亀井
  10. 東京
  11. 野崎
  12. 梅木史郎
  13. 女性
  14. タトゥー
  15. 首尾木
  16. 二人
  17. 年前
  18. 父親
  19. 妙子
  20. 彼女

解析用ソース(見逃した方はネタバレ注意)

   ごあんない

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(男が笑う)

高校が同期だった男の娘なんです

そいつは
週刊誌の編集長をやってましてね

いや もう亡くなってますが

亀さんの友達のお嬢さんなら

会わないわけいかないでしょう

実は警部も以前 会ってるんです

会ってる?
はい

お待たせ

十津川さん ごぶさたしております
岩村妙子です

覚えておられますか?
うん

中央日報にいた頃
2年ほど警視庁詰めの記者を…

前は髪の毛 もうちょっと長くてさ

眼鏡 かけてたよね
ええ

元気がよくて
突っ込みの鋭いブンヤさんだった

彼女も私と同じ 青森の県立高校で

亀井さんの後輩です 今は独立して
フリーライターをやってます

こちらは助手兼カメラマンの

中森ハナ子です 私 十津川警部に
超あこがれてたんです

どうしよう 目の前にいるなんて

どうぞ 座って

早速ですが 警視庁一の名コンビと
言われている お二人の

特集記事を書いてほしいと
女性月刊誌から依頼されまして

特集記事?
私 事件記者として

お二人の活躍を間近に見てきた
経験もありますし 今回はぜひ

ちょっと待ってくれないか

警部も私もタレントじゃない

面白おかしく書かれても困る

捜査の機微を
つまびらかにされても困る

妙子ちゃんの頼みでも

そういった取材には
応じられないな

邪魔にならない程度の取材なら
いいんじゃないですか

ここは
亡くなったお父さんの顔 立てて

しかしですね 警部…

(ノック)

(安原)失礼します 警部

了解
今日の話 また後日

じゃあ
ありがとうございました

お妙さん どうします?

決まってるでしょ 十津川さんに
お許しいただいたのよ

取材開始
はいッ

(西本)ヒモのようなもので
首を絞められてます

死後 半日ほど たっていると

身元を明かす遺留品はありません

第一発見者は?

(小西)廃品を収集に来た業者です
今 村川と山下が

警部

見てください

タトゥー

西本 小西
タトゥーを洗え

(妙子)夕刊のスクープ記事
いただきね

やっぱり
十津川さんってカッコイイわ

ハナちゃん しばらく別行動

〈夕刊記事の反響は大きく〉

〈被害女性に関する
さまざまな情報が寄せられた〉

やはりバラのタトゥーに
関する情報が ほとんどですね

(村川)最近は気楽にタトゥーを入れる
若い人が増えてますから

「ウチのメンバーが一人」

「行方不明なので 調べてほしい」

「当人は左脚の付け根に」

「バラのタトゥーを入れている」

「板橋 バラ騎士団」

(島田)暴走族か
スケ番グループでしょう

警部 念のために

必要ならば遺体の確認も
はい

警部 匿名の男性です

殺された女は新宿歌舞伎町の
ホテル街で客を引いていた

イヴという名の
コールガールではないかと

コールガール?

≪(小西)ちょっと においますね

歌舞伎町近辺の風俗関係 洗おう

(一同)はい

〈ガイ者を全裸にして遺棄したのは
身元を隠すため〉

〈身元が分かれば 自然に犯人が
浮かび上がってくるはずだ〉

〈その手がかりは バラのタトゥー〉

ちょっといい?

この女性に見覚え ない?

この界隈で
イヴって呼ばれてるらしいけど

(キョウコ)名前は知らないけど
二~三度 見かけたことあるよ

(山下)間違いないですか?

前にボコボコに
やられてたから覚えてる

そのときの状況 教えてもらえる?

う~んとね

《(アキナ)私に あいさつもなしで
何様のつもりだよ》

《態度でっけえんだよ!》

《よしなよ 110番しようか》

《うっせえな バーカ》

《大丈夫?》

メッチャきれいな子だったから
ねたみで やられたのね

本名とか住所とか知りませんか?

知らない この辺で働くような
子には見えなかったけどね

もういいでしょ

(大川)お父さん イイ子いるよ
安くしとくからさ

イイ子いますよ
スカッとしません?

警察だ
えッ?

この辺で客を引いてた
イヴって子だけど知らないかな

いや 見たこともないっすね

悪いけど
仕事に戻んなきゃなんないんで

知ってるって顔に書いてあるよ

客を紹介して
小遣い稼ぎしてたんじゃないのか

冗談はよしこちゃんですよ

だから
知らないって言ってるでしょ

待てッ

警察の方で ゆっくり
話 聞かせてもらおうかな

ちょっと待ってくださいよ

分かりましたよ 分かりました

最近 この辺りで商売してた
イヴって女です 間違いないです

客を紹介してたのか?

イイ子いないかって
聞かれたときだけですよ

連絡方法は?
直ですよ 直

イヴは専ら
この辺りで客を引いてましたから

本名は? どこに住んでる?

そこまで知らないっすよ

でも たった一度 あそこの
コンビニで見かけたような

それは いつ?
1ヵ月ぐらい前だったかな

たまたま住んでんのが
近くだったのかな

《あれッ イヴじゃねえか》

《おい イヴ》

《何だよ かわいげのねえ女だな》

でも 女一人で おでん
買って帰る姿って寂しいっすよね

それはいいから…
その場所は?

初台1丁目のバス停付近の
コンビニっすね

こんなもんで
勘弁してください じゃあ

警部 やっと手がかりを

初台?

〈翌日 イヴが偽名で借りていた
アパートを突き止めた〉

こちらです

この奥です

警部 服どころか
下着も見当たりません

何者かが
身元を証明するような物を

残らず持ち去ったようです

管理人や住人の話では当人以外

部屋を出入りした人間を
見たことがないそうです

鉢植えひとつない 壁に絵もない

ポスターも はった形跡がない

これが 若い女が
暮らしていた部屋ですかね

警部

日本人形ですね

ああ
ひな人形の三人官女ですね

三人官女?
ええ

しかし どうして
こんなものが この部屋に

〈依然 被害の女性の身元は割れず〉

(村川)警部 三人官女の人形ですが
ひな人形専門店の話では

時代が古すぎて 作者も製造元も
特定できないとのことでした

そっか ご苦労さま

友達もいなけりゃ 恋人の影もない

イヴは
春をひさぎながら独りぼっちで

何を頼りに暮らしてたんですかね

おまけに犯人から
存在証明まで消されてしまって

何とも胸が痛みます

でも亀さん この人形のおかげで
多少 救われます

たとえ人形といえども

彼女には
話し相手がいたわけですから

その人形も 最近は押し入れの奥に

それだけ 追い詰められてたって
ことですかね

花か

すいません 警察の者なんですが

この先に住んでる女性について
お尋ねしたいんですが

この方 見たことあります?

(花代)ええ その人なら何度か

いつもバラの花を1輪だけ
買っていくので よく覚えてます

《(イヴ)ありがとう》

《どうも ありがとうございました》

どんな感じの人ですか?

とっても優しそうな方でしたよ

《≪(イヴ)おばあちゃん 大丈夫?》

《ありがとね》

《大丈夫 大丈夫》

そうそう 4~5日前に

そこで あの有名な人と

《いい加減にしてください!》

≪(西本)有名な人?

≪(花代)
テレビで よく見る人ですよ

テレビで?
あの…

盗撮疑惑で番組 降ろされた
何とかっていうコメンテーターの

経済学者の中山英次ですか?

ええ その人です

どうも ありがとう

すみません 1時間ぐらい前に

この方が
同じこと聞かれていきましたよ

《≪(妙子)ごぶさたしております》

《今は独立して
フリーライターをやってます》

ごめんください

中山さん いらっしゃいませんか?

中山さん?

ちょっと失礼します

中山さん?

失礼します

中山さん?

中山さん?

(中山)人の家に入り込んで
何をしているんだ?

(チャイム)

≪(中山)うるせえな

中山英次さん?
何です?

先日 殺害されたイヴっていう
女性について伺いたいんですが

イヴ?
知らないね そんな女性は

その女性が あなたと会ってたのを
見たっていう人がいます

バカバカしい 人違いだよ
帰ってくれたまえ

≪(妙子)助けて 誰か助けて!

中山ッ

≪(妙子)助けてください 誰か

助けて!

十津川さん ありがとうございます

≪(西本)待て 中山!

中山ッ
離せッ

中山ッ

説明してもらえますか?

説明? 私は不法侵入した人間を

警察に
引き渡すつもりで拘束しただけだ

まさか君達は その殺人事件に
私が関与していると…

違うんですか そのことを
探りに来た私を監禁して

イヴと
同じように殺そうとしたんじゃ?

十津川さん こっちへ来てください

これを見てください

確かに関係を持ちました

家に連れ込んだこともあります

しかしッ イヴを殺してはいない

ホントです 信じてください!

中山さん 先週の木曜の夜
どこで何してました?

先週の木曜?

札幌にいたよ 札幌市の
商工会に講演を頼まれてね

夜は すすきので
朝の3時まで飲んでた

商工会の岡野に
聞いてもらえば分かる

本当だよ
信じてくれよ 本当なんだよ!

行こう

十津川さん達の
捜査の様子を取材してて

たまたま あの花屋で

殺された女性と 経済学者の
中山英次の話を聞いたんです

つかんだ特ダネを警察に
進呈しろとは言わないけどさ

せめて 助手の中森君を
連れていくぐらいの用心は

必要だったんじゃないのかな

ご迷惑かけて
申し訳ありませんでした

(ノック)

はい
失礼します

そうか

何か?

残念ながら
中山英次はシロだったよ

イヴが殺された夜

札幌のすすきので
朝まで飲んでたそうだ

そうですか

妙子ちゃん どうする?

中山は犯人じゃなかったけど

殺されたイヴとは
かかわりがあった

週刊誌が
飛びつきそうなネタだと思うがね

公表したら捜査の妨げに
なりそうなので今回は自重します

その代わり 特集記事の取材を
正式に許可してください

それが交換条件です

相変わらず しぶといね 君は

津軽のじょっぱりですから

君達の私に対する無礼は
問わないことにするよ

その代わり このことは
内密にしといてくれないかな

またマスコミに騒がれて
追いかけ回されちゃ困るからね

おい これ 外してくれ

中山さん

殺人の疑いは晴れても
まだ買春の容疑は残ってます

たとえ
無断侵入した相手といえども

無抵抗の女性を
縛って監禁していい法律はない

立派な刑事事件だ

あなたが どういう人でも
黙って帰すわけにいきません

中山さん あなたの知ってる
イヴの全てを話してください

これ あなたの義務です

我々はイヴの素性を知りたい

どこで生まれ
どういう育ち方をして

どうして
殺されなければならなかったのか

手がかりになることを
思い出していただきたい

分かりましたよ 身元が
分かるような手がかりですね

そうです
どんな ささいなことでも結構です

ほとんど言葉を
発しない子だったからね

時々 この子には感情ってものが
ないんじゃないかと そんなことも

いや
一度 奇妙なことが

《イヴちゃんも羊羹 食べる?》

《おいしいよ》

《どうした
この羊羹が そんな珍しいか?》

羊羹?

私は甘いものに
目がなくてね

それを知る知人が よく旅先で
羊羹とか饅頭を買ってくるんだ

それ どこの羊羹です?

大分へ行ったときの土産だと…
大分?

警部 大分ですと日田市の羊羹が

特産品として知られています
日田市?

イヴは この羊羹を見て

涙まで流したということですか

日田の位置と市の概要を

≪(安原)ここですね 日田市は

別府と久留米の ほぼ中間で

北九州の真ん中に位置しています

これらが有名だと
ひなまつり?

警部

亀さん
イヴの故郷は大分の日田市だ

〈大分へは空路で約1時間半〉

〈国内で ただ一つしかない
ホーバークラフトに乗り〉

〈海上を一路 30分で〉

〈大分市で これに乗り換え〉

〈由布院を経て
1時間40分で日田へ〉

(野崎)今日は東京から
お客さんが来るき 遅なるばい

えッ?

坊主 風呂に入れちょって
あッ そいじゃ

警視庁の十津川さんと
亀井さんでいらっしゃいますか

日田署の?
はい 刑事課の野崎です

よろしくお願いします

こちらこそ 遠路を
ようこそ いらっしゃいました

さッ ひとまず宿の方へ

〈筑後川の上流の三隈川をはじめ〉

〈山あいから
いくつもの川が流れ込む〉

〈古くから水郷と呼ばれるほど〉

〈水資源の豊かな地である〉

〈江戸時代は幕府の直轄地で〉

〈天領といわれ〉

〈由緒ある土地柄で〉

〈古い寺社や旧家が多く〉

≪(綿吉)天領日田のわらび餅

「かぐや姫」

かぐや姫は いらんかい

〈観光地としても知られている〉

(野崎)どうぞ

伊佐山さん
東京からの大切なお客さんやき

よろしゅう頼むばい

はい かしこまりました

そいでは
私は失礼さしちいただきます

野崎さん 事前にお願いした
イヴと呼ばれる女性の件

進展ありました?

あッ いや
そんことについては

後ほど
ゆっくり報告するつもりでしたが

じゃ
ちょっと こちらへ

送っちいただいた写真をもとに

日田市周辺の家出人や失踪者を
くまなく調べたんですが

全く該当者は おりませんでした

全くですか?
ええ

失礼ですが 昨日から今日にかけて
どれだけ お調べに?

いや もちろん警視庁じきじきの
依頼ちゅうことで

日田署総出で調査したうえでの
話でありまして

そこら辺のところは後ほど詳しく

頃あいを見て また来ますので

どうぞ ごゆっくり

警部 これ普通は

「すいごう」というんですがね

この辺りは水がキレイなんで

濁らずに
「すいきょう」と読むそうです

(太鼓や笛の音)

警部 見てください

ああ 屋形船

おッ あれは鵜飼い舟ですよね

へえ~ 長良川と隅田川の趣向を

同時に楽しもうなんて

日田の人は粋なもんですな

天領だった頃
いにしえの人が楽しんだ

水遊びの名残ですかね

どうです? 今夜あたり我々も
ささやかに宴会といきますか

ところで 亀さん

はい
野崎警部補の歯切れの悪さですね

ええ 何か裏がありそうです

表向きは低姿勢だが
我々を歓迎していない節がある

私も感じました

警部
彼のことは私に任せてください

それとなく探りを入れてみます

私は街へ出てみます

日田の人と じかに触れ合うと
何か つかめるかもしれない

(電話のベル)

はい 刑事課

亀井さん?

どうも先程は 野崎です

いえ
今から そちらへ伺おうと

いや お近づきのしるしに
一献 差し上げようと思いましてね

よかったら
こっちで一緒にどうですか?

あッ よろしいんですか?

ああ そうですか

分かりました
日田ん酒を持参します

≪(女将)日田ならではの方法で
調理しております

うなぎの湯引きでございます

水郷の里・日田で捕れました
天然のアユでございます

どうぞ
ごゆっくりなさってくださいませ

さあ どうぞ
あッ すいません

はい

お一人ですか?

ええ 警部は専ら単独行動なんです

それに あの人ね 下戸なんですよ

ゆっくり飲むには
うるさい上司は いない方がね

確かに 今夜は日田ん名酒を
とことん堪能してもらいますよ

いいですねえ それじゃ乾杯

乾杯

すいません すいません

地元の人ですか?
ええ まあ

この辺で一番古い店は?

一番古い店…
やっぱ「ハンター」かな

取材か何かね?

人捜しです 日田の裏情報に
詳しい人 いますかね

ハンターのママなら
結構 事情通ばい

俺も弱みを握られてるもんな

場所 どこですか?

その先の路地を
左に入ったとこですよ

どうもすいません
もう一軒 行くぞ

(ママ)いらっしゃい どうぞ
何にします?

ビール下さい
はい

はい どうぞ

日田温泉に お泊まりかしら?

泊まり客って分かります?

そりゃ お客さんみたいな
いい男が日田におったら

とっくに私の耳に入っちょるもん

今度は耳じゃなくて
目を貸してほしいんですけど

ちょっと これ見てくれます?

アンタ 探偵?

似たようなもんです

悪いけど
お金は要らんち 帰っちくれる?

≪(ママ)ヤマちゃん 久しぶり

ママ いつもの

ママ ごちそうさんでした

じゃあ またね ありがとう

店 閉まってからで結構です

話 聞かせてもらえますか

警察の人やったんですか

今 客が切れたなき
お入りになって

「嘘つきは泥棒の始まり」

「嘘だけはつくな!」ってね

よく死んだ親父に言われましたよ

でもね 私は その言いつけだけは
いまだにね 守り続けてるんです

野崎さん 私はね
アンタを一目 見たときに

ああ この人は
日田市民の模範となるような

嘘偽りのない正直な人間だと
看破しました

我々の要望に対しても

誠実に応えてくれる
人間なんだなと思いましたね

亀井さん
面目ない こんとおりです

私は写真の女性に
心当たりがありながら

嘘をついちょった

いや 嘘を
つかざるをえんかったんです

野崎さん

亀井さん
私は こん町で生まれましてね

結婚して 子供もおります

もし
こいを漏らしたこつが知れたら

私んクビが飛ぶどころか

こん土地で生活していかるるか
どうかだって

亀井さん そいだけは
頭に入れて聞いちくれますか

はい 分かりました

数年前 不正政治献金等の
疑獄事件に連座して議員辞職した

元民自党幹事長の

首尾木大造ちゅう人
知っちょりますよね

知ってます

いまだに政界の陰のドンと呼ばれ

強大な影響力を持ってる人

確か この辺の出身ですよね

まさか…

亀井さん
実は そのまさかなんですよ

地元でも一番の実力者よ

日田市の名誉市民やし

日田祇園祭の最高顧問で

青少年育英基金の
理事長も務めちょる

その首尾木大造さんには
娘が二人おって

娘が二人?

二人とも勉強ができて
日田じゃ評判の美人姉妹でね

長女の美也子さんは
今でも家におって

亡くなった母親の代わりに
父親の世話をしよる

妹さんが…

断言はできんけど
次女の咲子さんち思う

私 彼女が日田で保育士しよった頃
何度か見かけたわよ

保育士?

笑顔の素敵なお嬢さんやったわよ

《♬~かごめ かごめ》

《♬~かごのなかのとりは》

《♬~いついつでやる》

それが3年ほど前 日田から突然
おらんごつなってしもたんよ

失踪の原因は?

父親と仲たがいしたちゅう噂
ありましたが

ホントんところは分かりません

その次女が3年後 東京で

コールガールにまで身を落とし

あげく絞殺され

全裸で発見された

首尾木大造にとっては

命取りになるような
スキャンダルですよね

それなき 亀井さん

首尾木大造氏が
殺されたイヴちゅう女性を

次女の咲子さんち
認めるはずがない

首尾木大造が認めんかぎり
関係者や日田ん住民はおろか

警察ん協力すら望めんでしょ

野崎さん
あなたは どうなんですか?

えッ?

いや 私は…

あなたが ご家族との生活を
大切に思っているのは

よ~く分かります

しかし我々も 事実関係を確認せず

東京へ帰るわけにはいかんのです

警察官の使命として

捜査を
断念するわけにはいかんのですよ

刑事さん 今ん話
私から聞いたちは くれぐれも…

はあ~
ここが首尾木大造の自宅ですか

野崎警部補の口ぶりでは
日田署の協力は期待できません

孤立無援を覚悟で当たらないと

相手が相手だけに

猪突猛進は危険です

うかつに手を出すと
大変なことになる

慎重の上に慎重を期さないと

警部の口から
それを聞いてホッとしました

とにかくイヴの素性を
洗い出すのが 最優先の課題です

さて まずは
日田の街に出てみましょうか

はい

≪(綿吉)かぐや姫は
いらんか~い

日田のわらび餅

かぐや姫

天領日田のわらび餅

亀さん

ああ これですか
イヴが涙した羊羹というのは

買ってみますか
そうですね

うまい
はい

味に品があります

イヴは これを子供の頃
よく食べてたんですかね

亀井さん

こいを 今日ん予定です

野崎さん これは

いや ゆうべん亀井さんの言葉が
胸に こたえました

そいじゃ

≪(理事)首尾木大造先生
ありがとうございます

(理事)壇上に立っているのは
首尾木先生が推進する

青少年育英基金のバックアップで
優秀な学業を修め

この春 それぞれの分野で

社会への第一歩を
踏み出した諸君であります

朝倉伸夫君は
首尾木大造先生のもとで

政治の勉強を始められています

ちなみに このたび朝倉君は

首尾木大造先生のご長女
美也子さんと婚約が調い

9月に挙式の予定で

近い将来 先生の後継者として

皆様のご支援を
たまわることとなると存じます

日田市の将来を担う五人の諸君と
首尾木大造先生に

今一度 絶大なる拍手を

(拍手)

(首尾木)ああ
どうも ご苦労さま

〈私と亀井刑事は 聞き込みの
ターゲットを二人に絞った〉

〈一人は長女の首尾木美也子〉

〈もう一人は次女の咲子の
高校時代の担任教師で〉

〈首尾木家の遠縁にあたる
山本京平である〉

すいません すいません

首尾木さん
フリーライターの岩村です

岩村?
6年前同様

政界再編の裏工作に必要な
巨額な資金を集めてるとか

(黒田)取材は断ったはずだ!

今度は
6年前のようにはいきませんよ!

フライングはいけません

慎重の上にも慎重を期すと
言ったのは どこのどなたですか

首尾木さん 必ず
不正の確証をつかみますから

覚悟してください
大丈夫だ

≪(妙子)離してよ 首尾木さん!

首尾木美也子さんですよね

(美也子)はい

警視庁捜査一課の
十津川っていいます

ぶしつけで恐縮なんですが

写真を見ていただけますか

先週の金曜日
絞殺体で見つかった女性です

妹の咲子さんじゃないですか?

違います

お気持ち分かりますが もう一度…

別人です 妹ではありません
失礼いたします

美也子さん
お手数ですが東京まで出て

ご遺体の鑑定
やっていただけませんか?

妹ではないので
その必要はありません

妹さん
今 どこにいます?

今 連絡とれますか?

≪(朝倉)美也子さん

どなたですか?

警視庁の方よ
警視庁?

妹の咲子のことで いらしたの

聞きたいことがあるなら

秘書の黒田を通して
正式に申し入れてください

行きましょう

ああ どうも
館長の山本です

お忙しいとこ どうも

警視庁捜査一課の亀井と申します

警視庁?
はあ

昨年まで県立日田高校で
教鞭をとっておられたとか

はい あの 何か?

はい 先生の教え子だった
首尾木咲子さんのことで

少し おうかがいしたいと

(電話のベル)

ああ どうぞこちらへ

(受付)はい 祇園山鉾会館です

(山本)咲子じゃありません

そうですか…

何人かの人が 本人に間違いないと
証言してくれてるんですがね

顔立ちは 似ちょるけど
違いますね

私が知っとる首尾木咲子は

間違うても 男に体を売るような
子じゃありません

ましてや 全裸で殺されたり
太ももに こげなことするような

人間じゃ…
しかしですね この3年の間に

何かが 彼女を変えてしまった
ということは?

咲子は
しんのしっかりした子ですから

3年で そこまで人間が変わるとは
思えませんね

先生

先生は
何を恐れてらっしゃるんですか?

申し訳ないが
出かくる用事がありますんで

先生

もうすぐ
日田祇園祭が始まりますよね

都会に散っていった教え子達も

祭りには
皆さん 戻ってくるんでしょうね

ええ

毎年 懐かしい顔が 一堂に

まるで 町中が
同窓会の会場んごつなります

しかし首尾木咲子は この3年の間
一度も故郷に戻ってません

そういう教え子がいるということ
心配じゃないんですか?

せめて 本人かどうか 遺体の
確認だけでもしてやってください

無縁仏として 葬られたら

それこそ彼女は 浮かばれません

失礼します

どうぞ
ああ どうも

ホシは イヴの衣服をはぎ

全裸にし

遺体を遺棄し

しかも 彼女の部屋から
身元が判明するようなものは

すべて持ち去った

ホシは とにかく
イヴの身元が割れてしまうことを

一番恐れたんです

その一点からも ガイ者は
首尾木咲子である可能性が

大だと思うんですがね

問題は イヴと首尾木咲子は
同一人物であることを

どうやって立証するかです

遺体の確認は断られる
事情聴取には応じてもらえない

指紋の提供も 無理でしょう

いや 参りました
ここまでガードが堅いとは

亀さん

一度 東京に戻って
出直しますか

山本先生

東京へ 遺体の確認に行きます

先生…
そのかわり

こんこつは マスコミはもちろん

一切 内密にしていただきたい

それが条件です

分かりました 外部には一切…

≪(妙子)おはようございます!

十津川さん 亀井さん どうも

ちょっと…

神出鬼没だね 君は

分かったんですか? イヴの正体は
いや 残念ながら 空振り三振

これから警部と
東京へ帰るところ

なんだ そうですか

とにかく くれぐれも捜査の邪魔を
しないように 頼んだよ

咲子です

間違いありませんか?

額に
子供ん頃つけた古傷があります

咲子に 間違いありません

(山本)咲子んこつを

心配せんかったわけじゃ
ありません

東京へ出て行った他の教え子にも
頼んで

何とか行方を捜しましたが

結局 見つからんかったです

3年前に何があったんです?

何があって 咲子さん
首尾木家を出て行ったんですか?

詳しいこつは知りませんが

父親に恋愛を反対されたからだと

咲子の友人が そげなこつを

恋愛を反対された?

相手は?
そこまでは…

山本さん

犯人は必死になって
被害者の身元 隠そうとしてます

身元が分かると 自分に捜査の手が
のびる そう思ってるんです

そんな人間に
心当たりありませんか?

いやあ 誰も頭に浮かびませんね

咲子は 子供ん頃から
天使のごつ 心優しい子でした

その咲子が
こげなことになるとは…

ほんとに信じられんです

《≪(ママ)笑顔の素敵な
お嬢さんやったわよ》

《それが3年ほど前 日田から突然
おらんごつなってしもうたんよ》

《≪(花代)
とっても優しそうな方でしたよ》

〈結局 引き取り手がないまま
イヴの遺体は荼毘にふされた〉

やっぱり 来てくれたんですね
よかった

妹さん 日田に
連れて帰ってあげてください

いえ 日田には持って帰りません

何だって?
妹ではありませんから

じゃあ 何のために来たんです?

その遺骨が どこに納められるか
見届けに来たんです

妹でもないものが 間違って
日田の家に運ばれてきたら

困りますから

じゃあ 妹さんが 無縁仏として
葬られてもいいんですか?

どうなさっても結構です

首尾木家とは何の関係もない人の
遺骨ですから

美也子さん

本心 話してください

あなた 心の中で
妹さんの遺骨に手を合わせてる

その本心 話してください

(カメラのシャッターの音)

十津川さん カッコイイなあ

(ノック)

(三上)はい

失礼します
亀さん

十津川君は?
十津川君を呼んだんだがね

ああ… あいにく警部は
ただ今 席を外しておりまして

私が代わりに… 何か?

元民自党幹事長の首尾木大造に
ねじ込まれて

上層部が パニックになってるんだ
一体 どういう状況なのかね?

どういう状況と申しますと?
つまり

今回のヤマのガイ者は 本当に
首尾木大造氏の次女なのか?

その確証は
取れているのか? ということだ

ああ… 高校時代の担任教師が
遺体を確認しております

ここの古傷を見て
本人に間違いないと

しかし 指紋の照合や DNA鑑定に
かけたわけじゃないだろ?

それなんですが 今は家族の協力や
同意が得られませんので

そういうことができない
というのが現状です

が 首尾木家の次女が

留学先から ひょっこりと
戻ってくるようなことは

万に一つもございませんので
どうか ご安心を

まかり間違えば 全員の首が
飛ぶかもしれないときに

君は よくそんな涼しい顔を
してられるね

まあ なるようにしか
なりませんので

それじゃあ
まあ ともかく

万に一つのことがないようにと
十津川君に

よく言っといてくれ 頼むよ
はい

警部 おはようございます

ああ 亀さん
部長が 私 呼んでんですか?

ああ それでしたら

私が 残らず
飲み込んでおきましたから

飲み込んだ?
はい

私の胃袋は 強じんに できて
おりますので どうぞ ご心配なく

(記者A)この新聞の内容は
本当ですか?

そんなものは全部デタラメだよ
(A)咲子さんは 今どちらに?

咲子はね 今 海外へ留学中でね
場所は明らかにはできないが

いたって健在だ
それは本当ですか?

ほんとだよ

だから こんな他人の名誉を傷つけ
るような情報を流した警察当局を

徹底的に糾弾して 責任の所在を
追及するつもりだ 以上だ

(記者達)ちょっと待ってください
首尾木さん!

首尾木さん! 首尾木さん!

ちょっと入りなさい

はい

なんで 私に断りもなく
東京へなんか行ったんだ?

どういうことだ?

遺骨を咲子とは認めていません

そんなことは分かってる

だから どうして わざわざマスコミの
標的になるような軽率な行動を

とったんだ? と聞いてるんだ

咲子のことを思ったら いても
たってもいられなくなったんです

誰一人 立ち会う者がないまま

荼毘にふされる咲子のことを
思うと…

こうなる前に

どうして 本気で咲子を捜して
くださらなかったんですか?

どうして3年も ほったらかしに…

(ゆう子)ちょっとあんた 何なのよ
コソコソ隠し撮りなんかして

あったまきた!
これが隠しカメラね

あッ!
気持ち悪いんだよ

警察だ! 警察を呼べー
離してよ!

≪(安原)そうですか

警部 新宿北署からです

暴行傷害罪で現行犯逮捕された
キャバクラのホステスが

太ももにイヴと同じ絵柄の
タトゥーをしていると

被害者は あの中山英次だそうです
西本 小西

はい

(西本)君がしてるバラのタトゥーだが

どこで入れたんだ?

あんた マジでうざいよ

ちゃんと答えなさい
どこで そのタトゥー入れたんだ?

どこだっていいでしょ?
イイ人に入れてもらったの

イイ人?

原宿の「クロコダイル」で歌ってる
梅木史郎ってロックシンガーよ

(バンドの演奏)

≪(小西)梅木史郎?

(ゆう子)史郎の追っかけ
やってる子は

ほとんど同じタトゥーを
彼に入れてもらってるよ

イヴって子も
その中にいたんじゃないか?

イヴ?
この子なんだけど 知らないかな?

ああ… この子だったら
史郎んとこで何度か見かけた

でも 変なんだよね
変?

史郎ったら この子には
指一本触れようとしないの

指一本触れない?

私らより ずーっと
彼に貢いでたのに かわいそう

(坂井)史郎? 2~3週間ほど前
から 行方知れずだよ

いくら電話しても 通じやしない

ギャンブルで かなり借金があるとか
それもあるけど

史郎がふけるのは
今に始まったことじゃないからね

何週間も帰らないこともあるよ
イヴって女の子が 彼の歌を

聴きに来ていたと思うんですが
イヴ? いやあ 聞かないね

ただ 史郎の自主制作のCDに
そういうタイトルの曲があったな

ちょっと待ってて
はい

(史郎)♬~真夏の夜空

♬~時が流れ 二人が

♬~残した足跡も

♬~砂の城のように消えていく

♬~イヴ 想い出だけが

(坂井)これです

(携帯で写真を撮る)

警部 届きました
梅木史郎の顔写真です

へえ~ 昔だったら
一日がかりだったことが

今じゃ 一瞬だ
いやあ 大したもんですね

安原 朝一で
梅木のガサ入れの令状 取れ

了解です

警部
はい

タトゥーの道具ですね

鑑識に回せ
はい

(村川)警部 ありました
イヴと梅木がつながりました

西本 梅木を
本件の重要参考人として手配しろ

はい

(携帯電話)

はい 十津川です
警部

イヴに関する新たな情報が

彼女は3年前 四谷の
「サン翻訳工房」という出版社で

フランス語の翻訳をしていたそうです
フランス語?

1年ほどして 理由も言わずに
辞めてしまったそうです

分かった

どうぞ
あッ…

出版社勤めから 果ては コールガール

それだけ 梅木という男に
貢がされたってことですかね?

しかし

梅木は 彼女に指一本触れてない

この二人の関係って
一体 何なんだろう?

まあ 深い事情が隠されてるとは
思うんですが

どんなに波乱万丈の人生を
生きた人間でも

最後は あんなちっぽけな
つぼの中に納まっちまう

無常を感じますね

(電話のベル)

はい 捜査一課

山本先生
(山本)会って お話ししたいこつが

こちらへ 来てくださると
ありがたいんですが

分かりました
朝一番でうかがいます じゃあ明日

警部

至急 話したいことがあるそうです

(物音)

誰か…

いますか?

ううッ…

キャーッ!

〈私と亀井刑事を
衝撃が待っていた〉

(野崎)近くの川岸に
本人のカバンが残されてましてね

帰宅途中 間違うて川に落ちて
でき死したんではないかち

間違って 川に落ちた?
ええ

たまに 近道の川沿いを歩いて
帰るこつもあったごたるです

遺体を
司法解剖に回してください

司法解剖… ですか?
監察医を呼んで

内出血の有無 薬物検査

それと 胃と肺にたまった水の分析
いや あの…

事件性があるから

お願いしてるんです
はい!

お待たせしました
司法解剖の結果が出ました

死因は やはり でき死ですが
肺から検出された水は

現場付近のものではないと

総合所見としては
別の場所で でき死させられ

現場の川に遺棄された
ちゅうことです

やはり そういうことでしたか

十津川さん なにぶん所轄内での
殺人事件は初めてなもんで…

まず 現場付近の聞き込み

ガイ者のゆうべの足取り
殺害現場の特定

この3点が急務です
はい

現場付近の聞き込み ガイ者の身辺
殺人現場の特定 行くぞ!

(刑事達)はい

(署長)十津川さん
ちょっとよろしいですか?

はい

どうぞ どうぞ

今 検視報告聞いて
驚きました さあさあ どうぞ

昨夜 山本京平本人から
あなた方に

電話があったち いう話ですが

何だったんですか?
分かりません

話うかがう前に ああいうことに
なってしまったので

ただ おそらく

東京で殺害された首尾木咲子さん
に関する情報だと思います

そのために殺害されたと
十津川さん

イヴち いう女が

首尾木咲子だち いう確証は
とれちょるんですか?

いえ 今のところ
山本京平さん1人です

署長
署長の方から 首尾木家に

捜査に協力するように
お願いしていただけませんか?

私から?
遺体の確認は拒否する

事情聴取には応じない
それじゃ世間は納得しない

そういうふうにお伝えください
ああッ…

署長を通して 探りを入れてきた
そんなとこですか

こうなったら 正面突破
本丸を攻めますか

〈翌日
首尾木家に直接電話を入れると〉

〈意外にも
当主本人が応じると言ってきた〉

(野崎)どうも
野崎さん

私も ご一緒さしてください

(黒田)どうぞ

(黒田)こちらでお待ちください

(家政婦)いらっしゃいませ

(黒田)お待たせしました

お忙しいとこ すいません

警視庁 捜査一課の

十津川と申します

亀井です
日田署 刑事課の野崎です

まあ どうぞ

いや 見事な蔵ですね

ああ…

ここは 江戸時代

幕府の直轄地で
天領として繁栄してましてね

蔵は 私の先祖が
商家をやってたときの名残です

どうぞ お召し上がりください

ああ 名物の「水郷日田羊羹」ですね

よくご存じですね

代々 接客に使ってるんですよ

地元の宣伝になると思いましてね

咲子さんも この羊羹には
深い思い出があったようですね

咲子さんは ある人の家で

この羊羹の箱を見て…

それが 彼女の素性を突き止める
最初の手がかりでした

3年前 何があって 咲子さん
この家 出て行ったんです?

突然にね

留学したいと言い出してね

留学?

いや これは
咲子さんの友人の話なんですが

父親のあなたが
恋愛問題に口を出したので

家を出たんだと

(首尾木)いやあ
とうに成人している咲子が

どこで誰と恋愛しようと
留学しようと

そりゃあ
本人の自由だと思いますがね

嘘でしょ?
何です?

咲子さん この3年
梅木史郎っていう男に…

お父さんの前じゃ
言いづらいですが

自分の体まで売って 貢いでます

あげくのはてに殺害されて
ボロぞうきんのように捨てられて

そのようになっても 親の口から
本人の自由だと言えるんですか?

君達は あくまで

その殺された女性が咲子だと
言い張るのかね?

遺体を確認していただいた
山本京平さん

今朝

でき死体で 見つかりました

我々は 「口封じのために
殺害された」 そう見てます

あなたが もっと早く
咲子さんのことを認めてくれたら

こんな犠牲者 出さずに済んだ

違いますか?

十津川君に 亀井君といったね

君達が東京に戻る頃には

自分達の犯した過ちの大きさを
思い知ることになるだろう

覚悟しとくんだな

帰ってくれ

美也子さん

おひな様 見せてもらえませんか?
おひな様?

はい 日田は
ひな祭りが盛んだと聞いてます

この家にも さぞや立派な
ひな人形があるんでしょうな

みやげ話に ぜひ
拝見したいものだと

どうぞ こちらへ

《(咲子)こんにちは
私は咲子っていうのよ》

《よろしくね
私には お姉様がいるのよ》

《すごく頭が良くてね
きれいなのよ》

《あなたは? 姉妹いる?》

《あッ お姉様 一緒に遊ぼう》

《(美也子)勉強があるから遊べない
咲子も勉強しなさい》

《はーい》

≪(家政婦)お嬢様

美也子お嬢様

3年ぶりに おひな様を出したので
気づかなかったのですが

三人官女が一つ 足りないんです
足りない?

≪(家政婦)はい

≪(家政婦)
どこにも見当たらないんです

これじゃないですか?

それをどこで?

東京の
咲子さんの部屋にありました

お返しします

(号泣する家政婦)

(従業員)お客様
屋形船で お連れ様が

お待ちになっておりますが

屋形船で お連れ様?

岩村さん
あッ お疲れさまでした

妙子ちゃん

今夜のお食事は 私が持ちます
取材費で落としますので

いや 我々警察官は公僕なんだ

民間人に ごちそうして
もらうわけにはいかない

そうですか 分かりました
撤回します

自分の分は払いますので
ご一緒させてください

いや それは…
亀さん

いいじゃないか せっかくの屋形船
にぎやかな方がいいでしょ

じゃあ 決まりですね
船頭さん お願いします

♬~「水郷音頭」

ひな人形ですか…

驚きました

首尾木家の強固なよろい戸を
打ち破ったアイテムが お人形とは

よろい戸は こじ開けたけど

あの家の奥には
まだまだ深い闇が潜んでる

まさに「伏魔殿」だな
くせ者は 秘書の黒田正則です

《帰りたまえ!》

6年前の不正献金疑獄で
首謀者の首尾木大造だけが

証拠不十分で
不起訴処分になったのは

陰で秘書の黒田が さまざま手段を
使って 暗躍したからなんです

そういえば あの騒動の火付け役は
君のお父さんだったよな?

はい

私が物心ついた頃は

父は 新聞社の海外特派員として
世界中を旅して回っていて

ほとんど 家にいたためしが
ありませんでした

君が報道記者になったのも

お父さんの背中を見て
育ったせいだろ?

私が
「新聞記者になりたい」と言ったら

父は 「女のやる仕事じゃない」と
言って 大反対したんです

でも 私 父のような新聞記者に
なることしか 考えてませんでした

6年前の不正献金疑獄は
父が手がけた最後の事件です

でも 思い半ばで倒れて…

これは 父が いつも肌身離さず
持っていた手帳です

父が病院で書いた 最後のメモです

これは…

首尾木大造を最後まで追い詰める
ことができなかったのが

よっぽど心残りだったんでしょう

今度の事件も 6年前同様

秘書の黒田が 陰で動いてるような
気がしてなりません

しかし

殺害されたのは
首尾木大造の実の娘ですよ

スキャンダルが怖くて
そこまでやりますかね?

十津川さん 同じ民自党内で
ぜい弱な現政権に見切りをつけて

大がかりな政界再編をもくろむ
人物がいることをご存じですか?

その黒幕が誰か?
君は…

首尾木大造は 今 スキャンダルで
倒れるわけにはいかないんです

(ふすまが開く)

その人形が 誰の物であっても

殺された女が咲子だという
証明にはならない

やめてください どこまで咲子を
傷つければ 気が済むんですか?

分からないのか?

今はな 私の この手に
この国の命運がかかってるんだ

どんなことがあっても

敵側に わずかな攻撃材料を
与えることはできないんだ

結局…

咲子は お父様が夢中になってる
政治ゲームの犠牲になったんです

いずれ 私も同じ運命に…

バカなことを

どうして
こんなことになったんだ?

申し訳ございません
私の目が行き届かずに

とにかく このことが
マスコミに漏れないように

すぐに対処しろ
かしこまりました

≪(妙子)中央日報の記者を辞めて
フリーライターになったのも

父の遺志を継いで
あの男を追い詰めるためなんです

今度こそ あの男の息の根を
止めるチャンスだと

よく分かりました
父親譲りの あなたの記者魂

でも こないだみたいな無茶は
やめてください

天国のお父さんも
ハラハラしてます

分かりました

《中央日報の記者を辞めて
フリーライターになったのも》

《父の遺志を継いで あの男を
追い詰めるためだったんです》

《今度こそ あの男の息の根を
止めるチャンスだと》

(携帯電話)

はい 十津川です
おはようございます 十津川さん

ガイ者の山本さんの肺から
検出された水は 小野川上流の水と

判明しました
了解 すぐ行きます

山本京平さんの殺害現場が
確定されました 行ってきます

分かりました
私は日田署に詰めてます

ここが有名な 小鹿田焼の里ですか

はい 300年の伝統がありましてね

今も10軒の窯元が
窯を守っちょります

あッ こちらです

何をやってんですか?

(女性)
土のきめを細かくしてるんです

(獣のうなるような音)

あの音は?

「唐臼」ち いいまして
水ん力で 陶土をつきよるんです

唐臼だけで土づくりするのは
世界でも ここだけとか

(野崎)
水ん採取したんは むこうです

犯行現場は
この近辺ち思うんですが

まだ 何の手がかりも…

「梅木」…

「梅木」

あそこも「梅木」

ああ そうなんですよ
こん辺りは多いんです

梅木ち名字が

日田は 日本で三つの指に入る
杉の産地やきん

「木」がつく名字が多いんですかね
梅木…

(携帯電話)

はい 十津川です

中森さん?

あッ 岩村さんのアシスタントの…

はい ハナ子です

ちょっと待ってて

実は 2時間ほど前
日田にいる お妙さん…

岩村妙子さんから電話があって

「今から 事件に関係した
情報提供者に会うので」

「1時間したら 自分から電話する
もし電話がなかったら」

「何かあったと思って十津川さんか
亀井さんに連絡して」と言われて

情報提供者?
ええ そう言ってました

でも 1時間たっても
電話がなくて…

心配になって
岩村さんの携帯にかけたんですが

電源が切られていて それっきり
何も言ってこないんです

どこへ行くって言ってた?
☎聞いてません

分かった じゃ 捜索開始する
あんまり心配しないで

野崎さん 日田に非常線張って

フリーライターの岩村妙子さん
捜してください

フリーライターの岩村妙子ですね

年が 30すぎ
身長 1メーター60ちょっと

髪 肩まで

やせ型の美人

あッ 野崎です

亀さん

彼女は ホテルを10時頃出たきり
まだ戻ってないようです

ホテルには
何か伝言はなかったんですか?

ええ 何も
せめて伝言ぐらい…

まあ 一人で処理しようとする
ブンヤの習性ですが

あの子に もしものことがあったら
死んだ岩村に 申し訳がたたない

〈何の情報もないまま
一夜が明けた〉

(携帯電話)

はい 十津川

警部 手配中の梅木史郎が
出頭してきました

梅木が出頭した?

(西本)自分から出頭してきたのは
どういう訳なんだ?

ライブハウスのオーナーから 「警察が
捜してる」って聞いたからですよ

この数週間 どこで何をしてた?

足の向くまま 気の向くまま
ってヤツです

俺は 新聞もテレビも見ないから
事件のことは知らなかったんです

ほんとは イヴを殺して逃走し

逃げ切れないと思って
出頭してきたんじゃないのか?

よしてください 疑われたままじゃ
ライブもできないから

こうやって出てきたんですよ
バラのタトゥーのことなんだが

これをイヴや相沢ゆう子の
体に入れたのは どういう訳だ?

べつに訳なんかありませんよ
合意の上だし

しいて言えば 「俺とつきあった」
っていう証しです

彼女達は
自分の所有物というわけか?

だから 売春までさせて貢がせて
いらなくなったら絞殺して

ボロきれのように捨ててしまう
そういうことか?

殺してなんかいないって
言ってるでしょ

それに 貢いだのはイヴやゆう子が
自分の意思で やったことで

こっちから強要したことなんか
一度もない

じゃ 彼女達に金を貢がせたことは
認めるんだな?

彼女達と愛し合ったことが
あるのは 認めますよ

(机をたたく西本)

話をはぐらかすな!

全面否定?

今んとこ 梅木
たった一人の重要参考人だ

出生地 および 生い立ち
じっくり攻めてくれ

警部 ここです

殺された山本先生が
館長として勤めていた

祇園祭の資料館です

あの子も 取材で
立ち寄ってるはずなんですよ

フリーのライターで岩村妙子という女性が
こちらに来たと思うんですが

(館長代理)ええ 昨日 来ました

祇園祭の歴史を熱心に聞かれて…

亀さん

亀さん!

〈梅木史郎は 12年前〉

〈県立日田高校を卒業し〉

〈首尾木美也子の婚約者である
朝倉伸夫とは〉

〈同級生の間柄だった〉

君は

県立日田高校の卒業生だね?

だとしたら

イヴと名乗っていた首尾木咲子は

君の後輩だ

彼女とは どういういきさつで
知り合ったんだ?

彼女の父親に反対されて
二人で東京へ出てきたのか?

言いたくないことって
言わなくてもいいんですよね?

〈取り調べを続けるより〉

〈釈放して泳がせた方が
賢明だと考えた〉

(三上)物証なしで釈放した?

別件で
こう留 延長すりゃよかったんだよ

取り調べを続けるより
釈放して泳がせた方が…

フリーライターの岩村妙子を
拉致した可能性もありますし

どうせ 十津川君の指示だろ?
まったく

このところ 首尾木大造は
沈黙を守ってるんだから

鬼の居ぬ間に 早期解決するように
十津川君に よく言っとけ

(携帯電話)

はい 十津川です

☎ハナ子です
中森さん?

はい 今 思い出したんですけど

お妙さんから最後に電話があった
とき 妙な音が聞こえたんです

妙な音?
何か 犬みたいな…

オオカミみたいな鳴き声が

犬やオオカミの鳴き声?

小鹿田焼の里だ

《(獣のうなるような音)》

分かった ありがとう
参考になった

亀さん
小鹿田焼の里ですね

私が行きます

〈亀井刑事に
岩村妙子の行方を追ってもらい〉

〈私は 梅木史郎の過去に
さかのぼった〉

(稲尾)どうぞ お座りください

梅木親子は 母一人子一人でね

今で言う「シングルマザー」ですよ

3年前に その母親が
三隈川に落ちて亡くなってね

亡くなった?

いまだに 事故か自殺かも
分かっていないんです

自殺だとしたら
何か心当たり ありますか?

いやあ そこまでは…

母親の礼子さんて
どんな人だったんです?

息子の史郎が生まれてから
芸者をやめて

昼は ウチの製材所で
事務の仕事をして

夜は ナイトクラブで歌って 生計をね…

ナイトクラブで… 歌を?

(稲尾)一人息子の史郎を
養うために 働きづめでしたよ

《梅木さん お疲れさま》
《(礼子)お疲れさまです》

《今夜もクラブかい?》
《ええ》

《史郎 行くよ》

おい どうだ? 何かあったか?

(野田)まだ何もありません

亀井さん 人員を増やして
捜索に かかっちょります

こちらへ

無事でいてくれ

梅木礼子…

ああ ひな菊ちゃんね
よく覚えているよ

芸達者な上に 器量よしでね

お座敷が
引きも切らなかったよ

どうして辞めたんですか?
子供ができたからだよ

父親は?

知ってても言えないね
芸妓同士の仁義だからね

認知も求めなかったんですか?

ひな菊ちゃんて
そういう子なのよ

相手に迷惑をかけたくない

子供は 自分一人で
立派に育ててみせるって言ってね

もういいでしょう 失礼します

姐さん その相手の男
今じゃ日田一番の名士 違います?

だから 名前は明かせないって
言ったろ いい加減にして

亀さん 妙子さんは どう?

まだ手がかりひとつ
見つかりません

そうですか じゃ

(支配人)お待たせしました
これが梅木礼子さんの写真です

歌もうまいし
美人でしたからね

ライブの日には 彼女目当ての客で
いつも満員盛況でした

タトゥー
その バラのタトゥー

彼女のトレードマークで

いや~ 色っぽかったな

今でも目に浮かびます

《♬~She’ll go on caring》

《♬~for one who’s wearing》

《♬~The rose, the rose tattoo》

≪(従業員)支配人

ちょっと失礼します

♬~覚めやらぬ夢の中 探し続ける

♬~ただ一人の君だけ
狂おしい程に

♬~かなわぬ「想い」
抱きしめている

♬~許されない 愛されない

♬~荒れ狂う 波のなか

♬~引き裂かれてく

♬~神の許で 二人の愛に

♬~運命の刻印は

♬~薔薇の刺青

〈梅木史郎の過去が
いくつかは明らかになったが〉

〈岩村妙子の安否は
不明のままだった〉

バラのタトゥーを?

ええ 梅木は
つき合った女性の太ももに

母親と同じタトゥーを入れてます

それだけ 梅木にとって
母親は特殊な存在なんでしょう

問題 父親です

しかし 本当なんですか?

梅木の母親が 首尾木大造と
関係があったというのは

十中八九

恐らく3年前
梅木史郎と 首尾木咲子は

梅木の出生の秘密を知らないまま
出会い 恋に落ち

それが騒動の発端になった

なるほど じゃ 梅木がイヴの体に
指一本 触れなかったというのは

いくら愛しても 愛し合っちゃ
いけない間柄だったのを

知ってたんでしょう

あッ 警部から連絡いただいた

母親の3年前の
事故死の件なんですが

野崎警部補から聞き出しました

当初 日田署では 事件の
可能性もあると見ていたようです

それが 上からのお達しで
突然 捜査が打ち切りになったと

上からのお達し

日田で それだけの力を
持ってる人間は

首尾木大造以外にはいません

亀さん 今まで何人もの人が

首尾木大造の渦に巻き込まれ
ほんろうされ 人生 狂わせてきた

その渦を止めて これ以上
犠牲者 出るの防ぎたい

はい 明日から
祇園祭が始まります

恐らく 梅木も
戻ってくるでしょうし

首尾木大造も
祭りの最高責任者として

街頭に出てくるでしょう

我々にとっても正念場です

明日から祇園祭が始まる

何が起きるか 分からん
臨戦態勢を取れ それと

山下・村川に 梅木 マークさせろ

頑張れや 頑張れや!

《♬~She’ll go on caring》

《♬~for one who’s wearing》

《♬~The rose, the rose tattoo》

(携帯電話)

おお ノブか 久しぶりだな

祭り? ああ 忘れちゃいないよ

もちろん行くさ

今度こそ 日田行って

首尾木大造に 全て認めさせてやる

えッ 認めさせるって 何を?

おい史郎 おい史郎 おい

(朝倉)何だよ あいつ

村川 梅木だ

警部 村川です
梅木が動きました

今から追尾します
☎了解

警部 村川です
梅木は 羽田空港に向かっています

☎慎重に
了解しました

すぐ向かいます

梅木が 日田に
向かったそうです

行こう
はい

〈梅木史郎は 飛行機
ホーバークラフト〉

〈列車を乗り継ぎ
日田市に入った〉

日田駅に着きました
尾行を続けます

おい 大丈夫か!

何があった!?
☎(村川)梅木が車に ひかれました

亀さん 梅木がやられた

(携帯電話)

はい 亀井です

亀井さん 見つけたんですよ
岩村妙子さんの携帯電話を

来ちくれますか?
ありがとうございます

妙子ちゃんの携帯が
見つかったそうです

私は そっちへ
了解

警部 村川です 梅木は市内の
日田病院に搬送されました

分かりました

村川
今 治療中です

先生 警視庁捜査一課の十津川です
どんな状況ですか?

(医師)外傷や 打撲傷程度で
命に別状はありません

ある事件の
重要参考人なんですが

直接 2~3質問したいんです

長時間でなければ

本人に確認します
お願いします

警部 梅木をはねた車が
付近で見つかりました

盗難車で 指紋は
全てふきとられています

そうか ご苦労さん

どうぞ
ありがとうございます

梅木史郎君 大丈夫?

警視庁捜査一課の十津川ですが

2~3質問してもいいかな?

君 3年ぶりに この日田に
帰ってきた理由って何?

祭りです 日田祇園祭だけは
欠かしたくないんで

祭りだけじゃないだろう

本命は 父親に会うため

父親?
君の父親は 首尾木大造

首尾木咲子は 君の妹

そうだよね?
どこで それを?

いろんな情報を重ね合わせると
そういう結論になった

君が イヴに指一本
触れなかったっていうのも

重要なヒントになった

話してくれないか
二人の出会いから

そうすれば なぜ君が
殺されそうになったか

分かるかもしれない

≪(史郎)俺… 毎年

祭りの日には 東京から
実家に戻ってました

あの日は やけに蒸し暑くて

《すいません》
《(咲子)すいません》

≪(史郎)お互い ひと目で…

《今度さ 東京来たら
俺のライブ見にきてよ》

《うん 早く史郎さんのライブ
見たいな》

≪(史郎)それから
毎日が楽しくて

東京には しばらく戻らなかった

《≪(史郎)母さん》

《史郎》

《こちらは?》

《はじめまして
首尾木咲子と申します》

《首尾木?》

《ひょっとして
首尾木大造さんの?》

《はい 次女です》

《史郎 あの子は ダメ》

《あの子だけは》
《何だよ いきなり?》

《何でもいいから お願いだから
あの子とは つき合わないで》

《史郎 母さんの頼みを聞いてよ》
《はあ?》

《おいおい ちょっと 咲子》

咲子の話では おふくろは
その後 首尾木大造の所へ

《ごぶさたしてます ひな菊です》

《君の息子さんと
ウチの咲子が…》

《咲子さんを 息子の史郎から
遠ざけてほしいんです》

《確かに不思議な縁だが
だからといって 二人が》

《つきあってはいけない
という法は ない》

《いえ ダメなんです》

《うん?》

《史郎は》

《あなたの子なんです》

《私の子!?》

《史郎にも
指一本触れないでください》

《さもないと 27年前》

《私が お座敷で見聞きした
あなたの全てを》

《洗いざらい 公にしますから》

≪(史郎)俺は 咲子から
そのことを聞いて

頭ん中 真っ白になって
おふくろに…

《何!?》

《俺の父親が 首尾木大造だって
聞いたけど ホントなのか?》

《史郎?》

《父親は 船乗りで
俺が生まれる前に》

《海難事故で死んだって》

《母さん 27年 俺のこと
だまし続けたのか!?》

《史郎 母さん 許して》

《何だよ それ》

《史郎!》

おふくろが 三隈川の支流で
水死体で見つかったのは

次の日の朝でした

おふくろは 俺のせいで

みずから 命を
絶ったんだと思いました

それから 君達は?

咲子は家を出て 二人で東京へ

とりあえず
俺の部屋で一緒に住んで

いくら 愛し合っても

君達は 兄妹だ

俺は 咲子を思い切ろうと

酒と 女と ギャンブルにおぼれて

地獄でしたよ

《史郎 もうやめて》

《しっかりしてよ》
《お前は うるせえんだよ》

《私達が お母さんを
どんな目にあわせたか忘れたの!?》

《申し訳ないって思わないの!?》

《分かったよ
うるさいからよ》

《史郎…》

《史郎!》

《どうも お邪魔してま~す》

それから しばらくして

咲子は 家 出ていきました

俺は ギャンブルの借金もかさんで

《(取り立て屋達の罵声)》

≪(史郎)もう人生もおしまいかと
思ってたときに

また 咲子がやってきたんです

《史郎 史郎!》

《大丈夫 大丈夫?》

《史郎…》

《史郎 もう大丈夫だよ》

《はい これあげる》

《お前 どうしたんだよ
こんな大金!?》

《女はね その気になったら
いくらでも稼げんのよ》

《私ね イヴっていう名前で
生まれ変わったの》

《お嫁さんにはなれないけど
お母さんにはなれる》

《お母さんになって 史郎を
ずっと守ってあげるからね》

《これ見て》

《咲子》

俺は咲子のことを愛してたのに

傷つけるだけ 傷つけた

でも 殺しちゃいません

それだけは

恩師の山本先生を
でき死させたのも

フリーライターの岩村妙子さん
拉致したのも 君じゃない

それより 考えたんです

3年前 おふくろが水死したのも

咲子を殺した人間の
仕業じゃないかと

梅木は打撲程度です
警部が今 面会中です

こちらです

俺は そいつが許せねえ

この手で捕まえて…

分かった

愛しちゃいけない人を愛して
苦しみ抜いて

あげくの果てに殺されて

あとは 我々警察がやる

必ず いい知らせ持ってくる

それまでに 君も

治してくれ

これです

こん辺りから発見されました

最悪んケースも考えて

これから 滝つぼも
捜索するつもりです

(捜査員)野崎さん!
おお!

《中央日報の記者を辞めて
フリーライターになったのも》

《父の遺志を継いで あの男を
追い詰めるためだったんです》

《今度こそ あの男の
息の根を止めるチャンスだと》

《父が病院で書いた
最後のメモです》

(役員)首尾木先生
お待ちしておりました

ぜひ はっぴを着ていただいて

ありがとう
(役員)どうぞ

こちらに おかけください

(首尾木)よかったね
今日は 天気がよくてね

(役員)ありがとうございます

飲みすぎないように

ノブか

今 日田病院にいるんだけど

ちょっと 手貸してくれないかな

妙子ちゃん いるのか?

生きてたか

安心しろ 亀井だ

亀井さん

お父さんの手帳見つけたんだ

お父さんが ここだぞって
教えてくれたよ

亀井さん
ああ よかった

ともかく よかった

ごめんなさい

ああ 情報提供者が
あったそうだね

梅木史郎の
交友関係を調べていたら

その男の名前が
浮かび上がったんです

彼に会って 話を聞いてみたら
妙な感じがして

妙な感じ?
何ていったらいいか

ブンヤの勘のようなもので

そのときは
別れたんですけど

今度は 彼の方から
情報を提供したいと言ってきて

知らない間に 睡眠薬入りの
コーヒーを飲まされたみたいで

それで 君を こんな目に
あわせたのは 一体誰なんだ!?

警部 亀井です

無事保護しました

妙子ちゃんを監禁したヤツは

(看護師)失礼します

梅木さん 梅木さん?

(携帯電話)

はい 十津川
すいません 梅木に逃げられました

何だって!?

≪(朝倉)史郎 お前 大丈夫か?

さっきから ずっと
黙ったまんまで

何があったんだよ?

先生には 何の用があるんだ?

お前 何も知らない方がいいよ

何を考えてるのか
それだけは教えてくれないか?

ノブ お前まで
巻き込みたくないんだよ

しばらく離れて
目つぶっててくれ

史郎 お前 まさか

おい おい 史郎!

ハハハッ

ハッハッハッハッ…

西本さん おりましたよ

あの車

あなたは…

警部 すいませんでした

すいませんでした

梅木 バカなマネはよせ
美也子さんを放せ!

(史郎)その前に この男の口から

誰が咲子を殺したのか
真相を聞きだしてください

真相?

あんたが その男に
やらせたんだろ!

3年前 おふくろを
でき死させたのも あんたらだろ

バカなことを言うな

じゃあ いいんだな
この人が どうなっても

梅木 落ち着け

ナイフを置いて
落ち着いて話し合おう

君と 首尾木さん

血のつながった 親子だ

その男は 30年前 私と
芸者・ひな菊との間に生まれた

私の子供だ

じゃあ 咲子とは…

咲子は それを知らずに
この男を愛してしまった

人に明かせるような話じゃない

明かせる話じゃない?

そのために咲子さん
どうなった?

そのために 梅木史郎のお母さんの
礼子さん どうなった?

首尾木さん あの梅木史郎の
お母さん そのために亡くなった

それだけじゃない

咲子さんへの
かなわぬ愛に苦しめられて

それから逃げるために
酒とギャンブルに おぼれた

そんな彼を 咲子さん

自分の体 売ってまで

支え続けた

あげくの果てに 殺されて

ボロぞうきんのように捨てられて

みんな あんたがまいた種だ!

自分の権勢を守るために
汲々として

自分の家族一人救えない

そんなあんたに
この国の未来を語る資格はない

梅木 この首尾木さんも

娘を持つ 人の親だ

どんなことがあっても

親は 子供を殺さない

私は そう信じたい

俺はな 小さい頃から
父親の夢ばっかり見てきたんだよ

夢でしか
会ったことのない父親を

いっつも お土産
買ってきてくれて

遠い世界の話を
してくれるんだよ

でも 顔が見えないんだよ

顔が分からないんだよ!

それが苦しくて
悲しくて 目 覚めんだよ

あんたは 俺の父親なんかじゃねえ

俺の夢にも出てこねえ

梅木!

美也子 大丈夫か

史郎…

梅木 やめろ!

(史郎)来るな!

十津川さん 俺は おふくろと
咲子んとこ行きます

待てって!

おふくろと 咲子に会って
謝りたいんですよ

何もしてやれなかった 二人に

聞け 聞いて!

女手ひとつで 君 育ててくれた

お母さんへの恩返しが それか?

違うだろ!

男として 全うな人生送ることだよ

咲子さんも それ望んでる

君が生きてるかぎり
咲子さんも お母さんも

君の中で 生き続ける

そのためにも
命を粗末にするんじゃない

亀さん 彼女 どうですか?

そうですか

ご苦労さまでした

これ 首尾木咲子さんが
殺害された当日

羽田空港の監視カメラの映像です

これ 君だよね?

この3年間
君 3ヵ月に1回 上京してる

それ 咲子さんと 史郎君の
監視のためと考えていいのかな?

今回も そのために上京して

咲子さんの様子に殺意を抱いた

朝倉 観念して
洗いざらい話すんだな

申し訳ありません
私がやりました

秘書の黒田さんから
咲子さんと 史郎から

目を離すなと
言われていたんです

でも 東京に行くたんびに
二人の生活は荒れて すさんで

大造先生には そのまま
報告する気にはなれませんでした

そして とうとう

《おじさん ねえ 行かない?》

《おじさん
あったかいとこ行かない?》

《お兄さん こんな場所より
ホテル行こうよ》

どうして 殺意を?

先生のことが
頭に浮かんだんです

今は政界再編の正念場です

咲子さんのことが
マスコミに知れたら

敵側の集中砲火を
浴びるでしょう

首尾木大造が倒れたら
君の将来もなくなってしまう

ええ それで
咲子さんを殺すしかないと

恩師の山本先生まで
手をかけたのは どういうわけだ?

東京から 大分空港に着いたとき

先生と ばったり
出くわしてしまったんです

僕の慌てた様子を見て
不審に思ったようでしたが

そのときは
そのまま別れました

でも後日 そのことを
詰問されて しかたなく

よりによって
恩師の山本先生を!

山本先生を どこで
どげんやって殺した?

祇園山鉾会館の おけの水で

《やめろ!》

≪(野崎)おけん水に!?

あん水は 小野川上流の
水をくんでたんか

梅木史郎を 車ではねたのは?

史郎は 先生の実の息子ですよ

あいつが その気になったら
僕の立場がなくなる

それだけは阻止しようと

その梅木史郎が 病院を
脱出するのを手助けした理由は?

史郎は 大造先生を疑って
殺しかねない勢いでした

それならそれで
都合がいいと思ったんです

いずれ僕は 美也子さんと結婚して
首尾木家の人間になる

たとえ大造先生がいなくても
首尾木の家は残るんです

3年前 梅木史郎の母親が水死した

これ君 何か関係してんのか?

あれは事故でした

お茶会で耳にしたことを
確かめようと…

《おばさん 史郎が大造先生の
子供だって 本当ですか?》

《朝倉君 あなたには関係ない》

《そんな話 忘れてちょうだい》

《いや 僕には大事なことなんです
僕の将来がかかってる》

《だから 関係ないって
言ってるでしょ》

《おばさん 待って》

《(礼子の悲鳴)》

それだけは
誰にも言えませんでした

岩村妙子さんを
山小屋に拉致監禁した理由?

特に理由はありません

しつこく つきまとわれて
ウザかったし

だからといって
殺すほどの理由もなくて 山小屋に

(祭り囃子)

朝倉 私には分からない

君が どうして
ああいうことするのか

僕も 母一人 子一人で

母は 小鹿田焼の窯元で
働きながら僕を育てました

でも ホント貧しくて

母は 僕を道連れに 何度も
心中考えたことがあったそうです

僕は そんな生活から
ここまで はい上がってきた

どんなことをしてでも
今の生活を失いたくない

頭にあったのは
ただ それだけです!

〈この朝倉伸夫も
首尾木大造という渦に〉

〈のみ込まれた
犠牲者の一人だった〉

本日はですね
捜査終了の報告にまいりました

我々は 昨日付で
こちらで政治の勉強をしている

朝倉伸夫を 咲子さん殺害容疑で
逮捕しました

朝倉を!?

首尾木さん 私は
あなたの道義責任を問いたい

分かってます

咲子は 私が殺したようなもんだ

《自分の権勢を守るために
汲々として》

《自分の家族一人救えない》

《そんなあんたに
この国の未来を語る資格はない》

十津川さん

あなたの言葉

胸に応えたよ

これでやっと 咲子さんも
家に帰れるというわけですね

三人官女の人形も 一緒に
お墓に納めてあげるつもりです

美也子さん 咲子さんの分まで

幸せになってください

ありがとうございました

≪(妙子)こんにちは!

あら~ 騒がしいのが来ましたよ

特集記事のゲラを
お見せしようと思って

できあがり どう?
それが

筆者がでしゃばりすぎて
客観性に欠けていると

編集長に しかられました

そりゃ言えてる

首尾木大造は 全ての公務から
身を引くと発表した

亡くなった お父さんも
少しは留飲を下げたろう

お二人のおかげです

君の執念のたまものだよ

警部 これを

えッ 私に?
お妙さんを助けてくれた お礼です

ありがとう

バラの花言葉を ご存じですか?

えッ 確か…

「純愛」です

首尾木咲子と 梅木史郎

二人が 祭りの日に出会わなければ
こんなことには ならなかった

神様も残酷な偶然を
演出したもんです

亀さん 今回つくづく
思い知らされました

日田は水の町ですが

血は水よりも濃いって

確かに

首尾木大造を弁護するつもりは
毛頭ありませんが

彼も自分の娘を殺害されて

子供亡くした 親の悲しさを

痛感したでしょう

祇園祭や

ひな祭りが 巡ってくるたびに

悲しみにひたることに
なるんでしょうね